(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ガスタービンシステム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/22 20060101AFI20241119BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20241119BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20241119BHJP
F23R 3/00 20060101ALI20241119BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20241119BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F02C7/22 Z
F02C3/30 C
F02C6/18 A
F23R3/00 A
F23R3/28 B
F02C3/22
(21)【出願番号】P 2023529704
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2022021005
(87)【国際公開番号】W WO2022270187
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2021105619
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 湧介
(72)【発明者】
【氏名】内田 正宏
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165603(JP,A)
【文献】特開2015-078775(JP,A)
【文献】特開平09-239299(JP,A)
【文献】特開2020-159264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
B05B 1/00- 3/18; 7/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアを貯蔵するアンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクと接続され、前記液体アンモニアを流通させるアンモニア流路と、
前記アンモニア流路と接続される噴射ノズルと、
前記噴射ノズル
が取り付けられる燃焼器と、
前記燃焼器と接続される排気流路と、
前記排気流路に設けられた排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラに設けられた熱交換器と、
前記熱交換器と前記噴射ノズルとを接続し、水蒸気を流通させる水蒸気流路と、
を備えるガスタービンシステム。
【請求項2】
前記燃焼器に設けられる燃焼室を備え、
前記燃焼室には、前記水蒸気流路と連通する前記噴射ノズルの第1開口、および、前記アンモニア流路と連通する前記噴射ノズルの第2開口が臨む、
請求項1に記載のガスタービンシステム。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、二流体ノズルである、
請求項1または2に記載のガスタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンシステムに関する。本出願は2021年6月25日に提出された日本特許出願第2021-105619号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
燃焼器で燃料を燃焼させることによって動力を得るガスタービンシステムが利用されている。ガスタービンシステムとして、例えば、特許文献1に開示されているように、アンモニアを燃料として用いるものがある。アンモニアを燃料として用いることによって、二酸化炭素の排出が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンモニアは、他の燃料と比べると燃焼しにくい性質(つまり、難燃性)を有する。この点、特許文献1には、液体アンモニアと水蒸気を予混合してアンモニア蒸気を生成する予混合器を備えることについて開示がある。予混合器でアンモニア蒸気が生成されることで、気化されたアンモニアが燃焼器に供給されるため、燃焼性が改善し、未燃のアンモニアが排出され難くなる。
【0005】
しかし、予混合器でアンモニア蒸気を生成し、燃焼器と予混合器とを接続する配管でアンモニア蒸気を燃焼器に導く場合、当該配管内では、液体アンモニア水が生じる可能性がある。液体アンモニア水は腐食性を有するため、配管内で液体アンモニア水が生じると、配管が腐食するおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、腐食を抑制可能なガスタービンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンシステムは、液体アンモニアを貯蔵するアンモニアタンクと、アンモニアタンクと接続され、液体アンモニアを流通させるアンモニア流路と、アンモニア流路と接続される噴射ノズルと、噴射ノズルが取り付けられる燃焼器と、燃焼器と接続される排気流路と、排気流路に設けられた排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラに設けられた熱交換器と、熱交換器と前記噴射ノズルとを接続し、水蒸気を流通させる水蒸気流路と、を備える。
【0008】
燃焼器に設けられる燃焼室を備え、燃焼室には、水蒸気流路と連通する噴射ノズルの第1開口、および、アンモニア流路と連通する噴射ノズルの第2開口が臨んでいてもよい。
【0009】
噴射ノズルは、二流体ノズルであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るガスタービンシステムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る燃料噴射ノズルの構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、第1の変形例に係る燃料噴射ノズルの構成を示す概略断面図である
【
図4】
図4は、第2の変形例に係る燃料噴射ノズルの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るガスタービンシステム100の構成を示す模式図である。
図1に示すように、ガスタービンシステム100は、過給機110と、発電機120と、燃焼器130と、アンモニアタンク140と、ポンプ150と、第1流量制御弁160と、排熱回収ボイラ170と、第2流量制御弁180と、制御装置190とを備える。
【0014】
ガスタービンシステム100のうち、燃焼器130と、アンモニアタンク140と、ポンプ150と、排熱回収ボイラ170と、第1流量制御弁160と、第2流量制御弁180と、制御装置190とが、燃焼装置200に含まれる。
【0015】
過給機110は、圧縮機112とタービン114とを有する。圧縮機112およびタービン114は、一体として回転する。圧縮機112とタービン114とは、シャフト116によって連結されている。
【0016】
圧縮機112は、燃焼器130と接続される吸気流路10に設けられている。吸気流路10には、燃焼器130に供給される空気が流通する。吸気流路10の上流側の端部には、空気が外部から取り込まれる不図示の吸気口が設けられる。吸気口から取り込まれた空気は、圧縮機112を通過して、燃焼器130に送られる。圧縮機112は、空気を圧縮して下流側に吐出する。
【0017】
タービン114は、燃焼器130と接続される排気流路20に設けられている。排気流路20には、燃焼器130から排出された排気ガスが流通する。排気流路20の下流側の端部には、排気ガスが外部に排出される不図示の排気口が設けられる。燃焼器130から排出された排気ガスは、タービン114を通過して、排気口に送られる。タービン114は、排気ガスによって回されることによって、回転動力を生成する。
【0018】
発電機120は、過給機110と接続される。発電機120は、過給機110によって生成された回転動力を用いて発電する。
【0019】
燃焼器130では、アンモニアが燃料として用いられ、燃焼が行われる。燃焼器130は、燃焼室132と、燃料噴射ノズル(噴射ノズル)134と、点火装置136と、を有する。燃焼室132には、圧縮機112により圧縮された空気が吸気流路10から供給される。
【0020】
燃焼器130には、燃料噴射ノズル134が接続される。燃料噴射ノズル134は、燃焼室132と連通する。燃料噴射ノズル134は、燃料としての液体アンモニアおよび水蒸気を燃焼室132に供給する。
【0021】
燃焼室132において、燃料と空気を含む混合気が生成される。点火装置136は、燃焼室132内の混合気を点火する。例えば、点火装置136は、燃焼室132の内部に設けられる。燃焼器130には、排気流路20が接続される。燃焼室132内での燃焼により生じた排気ガスは、排気流路20に排出される。
【0022】
アンモニアタンク140には、液体アンモニアが貯蔵される。アンモニアタンク140には、アンモニア流路30が接続される。アンモニア流路30は、アンモニアタンク140から供給される液体アンモニアを流通させる。アンモニア流路30には、ポンプ150および第1流量制御弁160が設けられる。アンモニア流路30は、アンモニアタンク140と燃料噴射ノズル134とを接続する。
【0023】
アンモニアタンク140は、アンモニア流路30および燃料噴射ノズル134を介して燃焼器130と接続される。液体アンモニアは、アンモニアタンク140からアンモニア流路30および燃料噴射ノズル134を介して燃焼室132に供給される。
【0024】
ポンプ150は、アンモニアタンク140から供給されるアンモニアを下流側に送出する。ポンプ150により送出されたアンモニアは、アンモニア流路30を通過して、燃料噴射ノズル134に送られる。
【0025】
第1流量制御弁160は、アンモニア流路30を流通するアンモニアの流量を制御(つまり、調整)する。つまり、第1流量制御弁160は、アンモニアタンク140から燃焼器130へのアンモニアの供給量を調整する。第1流量制御弁160の開度が調整されることによって、アンモニアタンク140から燃焼器130へのアンモニアの供給量が調整される。
【0026】
排熱回収ボイラ170は、排気流路20のうちタービン114より下流側に配置されている。排熱回収ボイラ170には、熱媒流路(水蒸気流路)40が設けられる。熱媒流路40は、熱媒として水または水蒸気を流通させる。排熱回収ボイラ170では、熱媒流路40内の水と排気流路20内の排気とが熱交換可能となっている。排気流路20を流通する排気ガスは、高温(例えば、550℃程度)になっている。ゆえに、ガスタービンシステム100の運転中(つまり、燃焼装置200の運転中)において、熱媒流路40を流通する水は、水蒸気となる温度まで、排気流路20を流通する排気ガスによって加熱される。
【0027】
熱媒流路40には、図示しないタービンが設けられている。熱媒流路40を流通する水蒸気によって図示しないタービンが回され、回転動力が生成される。本実施形態の排熱回収ボイラ170には、第1熱交換器172と、第2熱交換器174とが設けられる。
【0028】
第1熱交換器172は、排気流路20のうち第2熱交換器174より下流側に設けられる。第2熱交換器174は、排気流路20のうち第1熱交換器172より上流側に設けられる。第1熱交換器172において、熱媒流路40を流通する液体の水は、排気流路20を流通する排気ガスによって加熱される。そして、加熱された液体の水は、第2熱交換器174において、排気流路20を流通する排気ガスによって再度加熱され、気化して気体(つまり、水蒸気)になる。そして、水蒸気によって図示しないタービンが回され、回転動力が生成される。
【0029】
排熱回収ボイラ170より上流側の熱媒流路40には、主に水が流通しており、排熱回収ボイラ170より下流側の熱媒流路40には、主に水蒸気が流通する。排熱回収ボイラ170より下流側の熱媒流路40には、分岐点Pが設けられる。熱媒流路40は、分岐点Pから第1熱媒流路42と、第2熱媒流路44とに分岐する。
【0030】
第1熱媒流路42は、分岐点Pと燃料噴射ノズル134とを接続する。このように、熱媒流路40は、排気流路20を流通する排気ガスと熱交換することで生成された水蒸気を流通させる。また、熱媒流路40は、燃料噴射ノズル134と接続する第1熱媒流路42を備える。換言すれば、第1熱媒流路42は、第2熱交換器174と燃料噴射ノズル134とを接続する。なお、第1熱媒流路42は、アンモニア流路30と交わることなく、アンモニア流路30と個別に燃料噴射ノズル134に接続される。換言すれば、アンモニア流路30および第1熱媒流路42は、燃料噴射ノズル134に個別に接続される。
【0031】
第1熱媒流路42には、第2流量制御弁180が設けられる。第1熱媒流路42は、水蒸気を流通させる。また、第2熱媒流路44は、分岐点Pと図示しないタービンとを接続する。第2熱媒流路44は、水蒸気を流通させる。図示しないタービンは、第2熱媒流路44を流通する水蒸気によって回転される。
【0032】
第2流量制御弁180は、第1熱媒流路42を流通する水蒸気の流量を制御(つまり、調整)する。つまり、第2流量制御弁180は、排熱回収ボイラ170から燃焼器130への水蒸気の供給量を調整する。第2流量制御弁180の開度が調整されることによって、排熱回収ボイラ170から燃焼器130への水蒸気の供給量が調整される。
【0033】
制御装置190は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含み、ガスタービンシステム100全体を制御する。例えば、制御装置190は、点火装置136、ポンプ150、第1流量制御弁160、第2流量制御弁180を制御する。
【0034】
例えば、制御装置190は、燃焼室132内の空気の量に基づいて、第1流量制御弁160によりアンモニア流路30を流通する液体アンモニアの流量を制御する。制御装置190は、液体アンモニアの流量に基づいて、第2流量制御弁180により第1熱媒流路42を流通する水蒸気の流量を制御する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る燃料噴射ノズル134の構成を示す概略断面図である。
図2に示すように、燃料噴射ノズル134は、外部混合式の二流体ノズルである。二流体ノズルは、圧搾空気、蒸気、不活性ガスなどの気体の高速の流れを利用して液体を微粒化するノズルである。本実施形態では、排熱回収ボイラ170により加熱された水蒸気の高速の流れを利用して液体アンモニアを微粒化する。
【0036】
二流体ノズルは、ポンプ150だけで噴霧する一流体ノズルでは困難な平均粒子径10μm以下の微粒化を可能とする。また、二流体ノズルは、粒子径や流量分布を一定に保ちながら噴霧流量の調整範囲を大きく取ることができ、噴霧流量ノズルとして好適である。さらに、二流体ノズルは、同一水量の一流体ノズルと比較して大きな異物通過径を持ち、目詰まりの対策にも有効である。
【0037】
燃料噴射ノズル134は、気体流路134aと、液体流路134bと、第1噴射口134cと、第2噴射口134dとを含む。
【0038】
気体流路134aは、第1熱媒流路42と連通している。第1熱媒流路42を流通した水蒸気は、気体流路134aから燃料噴射ノズル134の内部空間134eに導入され、第1噴射口134cから燃焼室132内に噴射される。
【0039】
液体流路134bは、アンモニア流路30と連通している。液体流路134bは、内部空間134eに配される配管134fを有する。配管134fにより、液体流路134bと内部空間134eとが区画される。アンモニア流路30を流通した液体アンモニアは、液体流路134bを通って内部空間134eを通過し、第2噴射口134dから燃焼室132内に噴射される。そのため、液体流路134bを流通する液体アンモニアは、内部空間134eを流通する水蒸気と混合されることなく第2噴射口134dから燃焼室132内に噴射される。ゆえに、燃焼室132には、気体流路(水蒸気流路)134aと連通する燃料噴射ノズル134の第1噴射口(第1開口)134c、液体流路(アンモニア流路)134bと連通する燃料噴射ノズル134の第2噴射口(第2開口)134dが臨んでいると言える。
【0040】
第1噴射口134cは、例えば、円環形状を有する。第2噴射口134dは、例えば、円形状を有する。第1噴射口134cは、配管134fを挟んで第2噴射口134dと隣り合うように設けられ、第2噴射口134dの周囲を囲っている。
【0041】
第1噴射口134cから噴射された水蒸気は、第2噴射口134dから噴射された液体アンモニアと燃焼室132内で混合される。これにより、燃焼室132内でアンモニア蒸気が生成される。
【0042】
液体アンモニアと水蒸気を混合して直接熱交換することから、液体アンモニアを効率よく気化させることができる。気化したアンモニア蒸気を燃焼器130で燃焼させるため、液体アンモニアを燃焼させる場合に比べ、燃焼性を改善することができる。その結果、未燃のアンモニアの排出を抑制することができる。水蒸気とともに液体アンモニアを燃焼室132内に噴射するため、燃焼室132内での酸素分圧が低下し、NOx濃度を低減することができる。
【0043】
以上説明したように、ガスタービンシステム100では、アンモニア流路30および第1熱媒流路42が個別に燃料噴射ノズル134に接続される。燃料噴射ノズル134は、燃焼器130に取り付けられ、燃焼室132内と連通している。そのため、液体アンモニアと水蒸気を直接的に燃焼室132内に噴射し、燃焼室132内で混合させることで、アンモニア蒸気を生成することができる。
【0044】
したがって、予混合器において予め液体アンモニアと水蒸気とを混合し、配管を介して混合されたアンモニア蒸気を燃焼室132内に供給する場合に比べ、液体アンモニア水が生成され難くなる。それゆえ、液体アンモニア水による部材の腐食を抑制することができる。
【0045】
また、燃焼室132内で液体アンモニアと水蒸気を混合するため、予混合器を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0046】
また、液体アンモニアと水蒸気を個別に燃焼室132内に供給するため、ポンプ150、第1流量制御弁160および第2流量制御弁180の制御を容易にすることができ、制御装置190の処理負荷を低減することができる。
【0047】
また、液体アンモニアの圧力を水蒸気の圧力より小さく制御しても燃焼室132内に液体アンモニアを噴射可能であることから、ポンプ150の仕事量を必要最低限に低下させることができ、エネルギ消費を低減することができる。
【0048】
また、外部混合式の二流体ノズルを燃料噴射ノズル134として使用していることから、内部空間134eで液体アンモニアが蒸発してしまい、流動性が悪化することを抑制することができる。
【0049】
なお、本開示では、気体流路134a、液体流路134bとする実施形態を開示したが、気体流路と液体流路が逆に配置されていても構わない。また、気体流路と液体流路の少なくとも一方が複数の流路を有してもよい。
【0050】
以下、
図3、
図4を参照して、各変形例に係るガスタービンシステムについて説明する。上記実施形態のガスタービンシステム100と実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図3は、第1の変形例に係る燃料噴射ノズル234の構成を示す概略断面図である。
図3に示すように、第1の変形例に係る燃料噴射ノズル234は、半内部混合式の二流体ノズルである。
【0052】
燃料噴射ノズル234は、気体流路234aと、液体流路234bと、合流路234cと、噴射口234dとを含む。
【0053】
気体流路234aは、第1熱媒流路42と合流路234cを接続する。気体流路234aは、第1熱媒流路42と連通している。第1熱媒流路42を流通した水蒸気は、気体流路234aを通過して合流路234cに導入される。
【0054】
液体流路234bは、アンモニア流路30と合流路234cを接続する。液体流路234bは、アンモニア流路30と連通している。アンモニア流路30を流通した液体アンモニアは、液体流路234bを通過して合流路234cに導入される。気体流路234aと液体流路234bは、燃料噴射ノズル234内で個別に形成される。
【0055】
合流路234cは、気体流路234a、液体流路234b、噴射口234dを接続する。合流路234cは、気体流路234aを通過した水蒸気と、液体流路234bを通過した液体アンモニアとを混合し、アンモニア蒸気を生成して噴射口234dへ導く。
【0056】
噴射口234dは、例えば、円環形状を有する。噴射口234dは、合流路234cで生成されたアンモニア蒸気を燃焼室132内に噴射する。
【0057】
第1の変形例によれば、上記実施形態と比べ、燃料噴射ノズル234の先端部品であるチップの交換だけで噴霧角を広範囲に変えることができる。
【0058】
図4は、第2の変形例に係る燃料噴射ノズル334の構成を示す概略断面図である。
図4に示すように、第2の変形例に係る燃料噴射ノズル334は、内部混合式の二流体ノズルである。
【0059】
燃料噴射ノズル334は、気体流路334aと、液体流路334bと、内部空間334cと、噴射口334dとを含む。
【0060】
気体流路334aは、第1熱媒流路42と連通している。第1熱媒流路42を流通した水蒸気は、気体流路334aから燃料噴射ノズル334の内部空間334cに導入され、噴射口334dから燃焼室132内に噴射される。
【0061】
液体流路334bは、アンモニア流路30と連通している。アンモニア流路30を流通した液体アンモニアは、液体流路334bから内部空間334cに導入され、内部空間334eを流通する水蒸気に混合され、噴射口334dから水蒸気とともに燃焼室132内に噴射される。
【0062】
内部空間334cは、気体流路334aから水蒸気が供給され、液体流路334bから液体アンモニアが供給され、供給された液体アンモニアと水蒸気を混合し、一部の液体アンモニアが蒸発する。
【0063】
噴射口334dは、例えば、円形状を有する。噴射口334dは、内部空間334cで混合されたアンモニア蒸気を燃焼室132内に噴射する。
【0064】
第2の変形例によれば、内部空間334c内で液体アンモニアと水蒸気を混合するため、上記実施形態と比べ、アンモニア蒸気の生成に優れている。
【0065】
このように、本開示は、例えば、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SustainableDevelopment Goals:SDGs)の目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。」に貢献することができる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
上記では、ガスタービンシステム100において、過給機110によって生成された回転動力が発電機120を駆動させるエネルギとして利用される例を説明した。ただし、ガスタービンシステム100において、過給機110によって生成された回転動力が他の用途(例えば、船舶等の移動体を駆動させる目的等)に利用されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
P 分岐点
10 吸気流路
20 排気流路
30 アンモニア流路
40 熱媒流路(水蒸気流路)
42 第1熱媒流路
44 第2熱媒流路
100 ガスタービンシステム
110 過給機
112 圧縮機
114 タービン
116 シャフト
120 発電機
130 燃焼器
132 燃焼室
134 燃料噴射ノズル(噴射ノズル)
136 点火装置
140 アンモニアタンク
150 ポンプ
160 第1流量制御弁
170 排熱回収ボイラ
172 第1熱交換器
174 第2熱交換器(熱交換器)
180 第2流量制御弁
190 制御装置
200 燃焼装置
234 燃料噴射ノズル(噴射ノズル)
334 燃料噴射ノズル(噴射ノズル)