(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】投射装置および通信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20241119BHJP
H04B 10/50 20130101ALI20241119BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241119BHJP
H04B 10/11 20130101ALI20241119BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
G02F1/13 505
H04B10/50
G03B21/14 Z
H04B10/11
G02F1/1335 520
(21)【出願番号】P 2023543601
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2021031473
(87)【国際公開番号】W WO2023026461
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/116526(WO,A1)
【文献】特開2016-176996(JP,A)
【文献】特開2018-116156(JP,A)
【文献】特開2015-138148(JP,A)
【文献】特開2013-084004(JP,A)
【文献】特開2021-093663(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02B 26/08
G02B 27/18
H04B 10/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
所望の画像を形成するための位相画像を前記空間光変調器の前記変調部に設定し、前記位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御手段と、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有し、前記変調光を前記反射面で反射し、前記反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する曲面ミラーと、
前記曲面ミラーの後方に配置され、前記所望の画像を形成する前記変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第3遮蔽器
と、を備え
る投射装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
所望の画像を形成するための位相画像を前記空間光変調器の前記変調部に設定し、前記位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御手段と、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有し、前記変調光を前記反射面で反射し、前記反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する曲面ミラーと、を備え、
前記光源によって出射される前記光の集光点が、前記曲面ミラーの後方に設定され
る投射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記所望の画像を形成するための前記位相画像と、前記所望の画像を形成する前記変調光を前記曲面ミラーの前記反射面に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、前記空間光変調器の前記変調部に設定する請求項1
または2に記載の投射装置。
【請求項4】
前記空間光変調器と前記曲面ミラーの間に配置され、前記所望の画像を形成する前記変調光が通過するスリットが開口され、前記変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第1遮蔽器を備える請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項5】
前記曲面ミラーの前記反射面で反射された前記投射光の光路上に配置され、前記所望の画像を形成する前記投射光が通過するスリットが開口され、前記投射光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第2遮蔽器を備える請求項1
乃至4のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項6】
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光の光路を、前記曲面ミラーの前記反射面に向けて反射する折り返しミラーを備える請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項7】
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
所望の画像を形成するための位相画像を前記空間光変調器の前記変調部に設定し、前記位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御手段と、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有し、前記変調光を前記反射面で反射し、前記反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する曲面ミラーと、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光の光路を、前記曲面ミラーの前記反射面に向けて反射する折り返しミラーと、を備え、
前記曲面ミラーは、第1曲面ミラーおよび第2曲面ミラーによって構成され、
前記第1曲面ミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光の一部が照射される曲面状の第1反射面を有し、前記変調光を前記第1反射面で反射し、前記第1反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第1投射光を投射し、
前記折り返しミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、前記第1曲面ミラーの前記第1反射面で反射されなかった光成分を、前記第2曲面ミラーに向けて反射し、
前記第2曲面ミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、前記折り返しミラーによって反射された前記光成分が照射される曲面状の第2反射面を有し、前記光成分を前記第2反射面で反射し、前記第2反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第2投射光を投射し、
前記第1曲面ミラーおよび前記第2曲面ミラーは、
前記第1投射光と前記第2投射光が異なる方向に向けて投射されるように配置され
る投射装置。
【請求項8】
前記第1曲面ミラーおよび前記第2曲面ミラーは、前記第1投射光と前記第2投射光が反対向きに向けて投射されるように配置される請求項
7に記載の投射装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の投射装置と、
他の通信装置から送信された光信号を受信し、受信した前記光信号に基づく信号をデコードする受信装置と、
前記受信装置によってデコードされた前記信号を受信し、受信した前記信号に応じた処理を実行し、実行した前記処理に応じた光信号を前記投射装置に送信させる制御装置と、を備える通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間光を投射する投射装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う。空間を広がって伝搬する空間光信号を投射する際には、投射レンズなどの光学系が用いられる。空間光信号の投射角を拡大するためには、焦点距離の短い投射レンズが用いられる。
【0003】
特許文献1には、屈折型の投射光学系を使用した画像投射装置について開示されている。特許文献1の装置は、屈折光学系と屈折反射光学素子を含む投射光学系を備える。屈折光学系と屈折反射光学素子は、画像表示面の側から被投射面の側に向かって、順番に配置される。屈折光学系は、複数枚のレンズにより構成される。屈折反射光学素子は、反射面を有する反射面部材と、反射面に密接して配置される屈折媒質部とを有する。反射面部材と屈折媒質部は、境界面で接合された単一の光学素子として構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の投射光学系では、屈折反射光学素子の反射面部材の複数の反射面によって、屈折媒質部を透過する光路の距離が伸びる。そのため、屈折媒質部に屈折率の小さい材料を用いながら、屈折反射光学素子全体の屈折力が維持された、焦点距離の短い投射レンズを実現できる。しかしながら、特許文献1の投射光学系は、屈折光学系が複数枚のレンズで構成する必要があったり、屈折反射光学素子の反射面部材や屈折媒質部の構成が複雑であったりといった問題点があった。また、特許文献1の投射光学系は、屈折光学系に含まれる複数のレンズや、反射面部材や屈折媒質部を有する屈折反射光学素子などの設計において、多くの制約がかけられる。
【0006】
本開示の目的は、簡易な構成でありながら、所望の画像を形成する空間光を投射できる投射装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の投射装置は、光源と、光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された光の位相を変調部で変調する空間光変調器と、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器の変調部に設定し、位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する制御部と、空間光変調器の変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有し、変調光を反射面で反射し、反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する曲面ミラーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡易な構成でありながら、所望の画像を形成する空間光を投射できる投射装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図2】第1の実施形態に係る投射装置の遮蔽器によって遮蔽される不要成分の一例について説明するための概念図である。
【
図3】第1の実施形態に係る投射装置の遮蔽器による不要成分の遮蔽の一例について説明するための概念図である。
【
図4】第1の実施形態に係る投射装置による投射光の投射の一例について説明するための概念図である。
【
図5】第1の実施形態に係る投射装置による投射光の投射の別の一例について説明するための概念図である。
【
図6】第1の実施形態に係る投射装置の曲面ミラーの反射面の曲率に応じた投射角の違いについて説明するための概念図である。
【
図7】第1の実施形態に係る投射装置の空間光変調器と曲面ミラーとの距離に応じた投射角の違いについて説明するための概念図である。
【
図8】第1の実施形態に係る投射装置の投射範囲を180度に設定した例について説明するための概念図である。
【
図9】第1の実施形態に係る投射装置の空間光変調器の変調部に設定される合成画像について説明するための概念図である。
【
図10】第1の実施形態に係る投射装置の光源から出射された光の集光点の一例を示す概念図である。
【
図11】第1の実施形態に係る投射装置の光源から出射された光の集光点の別の一例を示す概念図である。
【
図12】第1の実施形態の変形例1に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図13】第1の実施形態の変形例2に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図14】第1の実施形態の変形例3に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図15】第2の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図16】第2の実施形態に係る投射装置による投射光の投射範囲について説明するための概念図である。
【
図17】第3の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図18】第3の実施形態に係る投射装置による投射光の投射範囲について説明するための概念図である。
【
図19】第4の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図20】第4の実施形態に係る投射装置における光源と空間光変調器の位置関係の一例を示す概念図である。
【
図21】第4の実施形態に係る投射装置による投射光の投射例について説明するための概念図である。
【
図22】第5の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】第5の実施形態に係る通信装置が備える受信装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図24】第5の実施形態の適用例について説明するための概念図である。
【
図25】第5の実施形態の適用例における通信網の一例について説明するための概念図である。
【
図26】第5の実施形態の適用例における通信網で用いられる通信装置が備える送信装置の構成の一例について説明するための概念図である。
【
図27】第6の実施形態に係る投射装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図28】各実施形態に係る制御や処理を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0011】
以下の実施形態の説明に用いる全図において、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、光や信号の向きを限定するものではない。また、図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、回折、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信に用いられる。本実施形態の投射装置は、同程度の高さに位置する通信対象に向けて、空間光信号を送光するのに好適である。本実施形態の投射装置は、空間を伝搬する光を投射する用途であれば、光空間通信以外の用途に用いられてもよい。
【0013】
(構成)
図1は、本実施形態の投射装置10の構成の一例を示す概念図である。投射装置10は、光源11、空間光変調器13、遮蔽器14、曲面ミラー15、および制御部17を備える。光源11、空間光変調器13、遮蔽器14、および曲面ミラー15は、投射部100を構成する。
図1は、投射装置10の内部構成を横方向から見た側面図である。
図1は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0014】
光源11は、出射器111とレンズ112を含む。出射器111は、制御部17の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光101を出射する。光源11から出射されるレーザ光101の波長は、特に限定されず、用途に応じて選定されればよい。例えば、出射器111は、可視や赤外の波長帯のレーザ光101を出射する。例えば、800~900ナノメートル(nm)の近赤外線であれば、レーザクラスを上げられるので、他の波長帯よりも1桁くらい感度を向上できる。例えば、1.55マイクロメートル(μm)の波長帯の赤外線ならば、高出力のレーザ光源を用いることができる。1.55μmの波長帯の赤外線のレーザ光源としては、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)系レーザ光源や、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)系レーザ光源などを用いることができる。レーザ光101の波長が長い方が、回折角を大きくでき、高いエネルギーに設定できる。
【0015】
レンズ112は、出射器111から出射されたレーザ光101を、空間光変調器13の変調部130の大きさに合わせて拡大する。出射器111から出射されたレーザ光101は、レンズ112によって拡大され、光源11から出射される。光源11から出射された光102は、空間光変調器13の変調部130に向けて進行する。
【0016】
空間光変調器13は、光102が照射される変調部130を有する。空間光変調器13の変調部130には、光源11から出射された光102が照射される。空間光変調器13の変調部130には、制御部17の制御に応じて、投射光105によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器13の変調部130に入射した光102は、空間光変調器13の変調部130に設定されたパターンに応じて変調される。空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103は、曲面ミラー15の反射面150に向けて進行する。
【0017】
例えば、空間光変調器13は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。例えば、空間光変調器13は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器13は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。位相変調型の空間光変調器13では、投射光105を投射する箇所を順次切り替えるように動作させることによって、エネルギーを像の部分に集中することができる。そのため、位相変調型の空間光変調器13を用いる場合、光源11の出力が同じであれば、その他の方式と比べて画像を明るく表示させることができる。
【0018】
空間光変調器13の変調部130は、複数の領域に分割される(タイリングとも呼ぶ)。例えば、変調部130は、所望のアスペクト比の四角形の領域(タイルとも呼ぶ)に分割される。変調部130に設定された複数のタイルの各々には、位相画像が割り当てられる。複数のタイルの各々は、複数の画素によって構成される。複数のタイルの各々には、投射される画像に対応する位相画像が設定される。複数のタイルの各々に設定される位相画像は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
変調部130に割り当てられた複数のタイルの各々には、位相画像がタイリングされる。例えば、複数のタイルの各々には、予め生成された位相画像が設定される。複数のタイルに位相画像が設定された状態で、変調部130に光102が照射されると、各タイルの位相画像に対応する画像を形成する変調光103が出射される。変調部130に設定されるタイルが多いほど、鮮明な画像を表示させることができるが、各タイルの画素数が低下すると解像度が低下する。そのため、変調部130に設定されるタイルの大きさや数は、用途に応じて設定される。
【0020】
遮蔽器14(第1遮蔽器とも呼ぶ)は、空間光変調器13と曲面ミラー15の間に配置される。言い換えると、遮蔽器14は、空間光変調器13の変調部130によって変調された変調光103の光路上に配置される。遮蔽器14は、所望の画像を形成する光を通過させる部分にスリット状の開口が形成されたアパーチャである。言い換えると、遮蔽器14は、変調光103に含まれる不要な光成分を遮蔽し、投射光105の表示領域の外縁を規定する枠体である。遮蔽器14は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器14は、変調光103に含まれる0次光やゴースト像を遮蔽する。例えば、遮蔽器14の開口は、矩形状や楕円形状、円形状に形成される。遮蔽器14として、0次光を遮蔽する0次光遮蔽部材(図示しない)を用いてもよい。0次光遮蔽部材は、光を吸収/反射する部分が形成された部材である。0次光遮蔽部材は、0次光の光路上に配置される。例えば、光が透過できないように黒塗りされた部分を有するガラスなどの透明部材を、0次光遮蔽部材として用いることができる。また、遮蔽器14の開口の内側に、変調光103に含まれる0次光を遮蔽する部分を設けてもよい。
【0021】
図2は、遮蔽器14を用いない場合に、被投射面に表示される画像の一例を示す概念図である。
図2の例では、被投射面の表示可能領域には、所望の画像に加えて、0次光や、高次の回折光に由来するゴースト像が表示される。所望の画像、0次光、およびゴースト像は、等間隔Lで表示される(Lは、正の実数)。
【0022】
図3は、所望の画像の投射範囲に合わせてスリット状の開口が形成された遮蔽器14を用いた場合に、被投射面に表示される画像の一例を示す概念図である。被投射面の表示可能領域は、遮蔽器14のスリット状の開口を通過した投射光105の成分が表示される。0次光やゴースト像は、遮蔽器14によって遮蔽される。
図3の例では、被投射面の表示可能領域には、所望の画像が表示され、0次光やゴースト像は表示されない。なお、
図3のスリットの開口は、同程度の高さの通信対象に向けて空間光信号を送光するのに好適な形状であって、遮蔽器14に形成されるスリットの開口の形状を限定するものではない。
【0023】
曲面ミラー15は、曲面状の反射面150を有する反射鏡である。曲面ミラー15の反射面150は、投射光105の投射角に合わせた曲率を有する。
図1の例の場合、曲面ミラー15の反射面150は、円柱の側面の形状を有する。例えば、曲面ミラー15の反射面150は、球面でもよい。例えば、曲面ミラー15の反射面150は、自由曲面であってもよい。例えば、曲面ミラー15の反射面150は、単一の曲面ではなく、複数の曲面を組み合わせた形状であってもよい。例えば、曲面ミラー15の反射面150は、曲面と平面を組み合わせた形状であってもよい。
【0024】
図4は、曲面ミラー15の反射面150で反射された投射光105の投射の一例について説明するための概念図である。
図4は、投射装置10の内部構成を上方向から見た平面図である。
図4においては、光源11を省略する。
図4は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0025】
曲面ミラー15は、空間光変調器13の変調部130に反射面150を向けて、変調光103の光路上に配置される。曲面ミラー15の反射面150には、空間光変調器13の変調部130で変調され、遮蔽器14のスリット状の開口を通過した変調光103が照射される。曲面ミラー15の反射面150で反射された光(投射光105)は、反射面150の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図4の例の場合、投射光105は、曲面ミラー15の反射面150における変調光103の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図4の紙面の上下方向)に沿って拡大される。
【0026】
図5は、曲面ミラー15の反射面150で反射された投射光105の投射の別の一例について説明するための概念図である。
図5の例では、空間光変調器13の変調部130の中央付近で変調された変調光103のみが、曲面ミラー15の反射面150で反射されるように構成される。
図5は、投射装置10の内部構成を上方向から見た平面図である。
図5においては、光源11を省略する。
図5は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0027】
曲面ミラー15は、空間光変調器13の変調部130に反射面150を向けて、変調光103の光路上に配置される。曲面ミラー15の反射面150には、空間光変調器13の変調部130の中央付近で変調され、遮蔽器14のスリット状の開口を通過した変調光103が照射される。空間光変調器13の変調部130の周辺部分で変調された変調光103は、曲面ミラー15の反射面150から外れた領域に進行する。曲面ミラー15の反射面150で反射された光(投射光105)は、反射面150の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図5の例の場合、投射光105は、曲面ミラー15の反射面150における変調光103の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図5の紙面の上下方向)に沿って拡大される。空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103の強度は、変調部130の中央付近ほど大きく、変調部130の周辺に向かうほど小さくなっていく傾向がある。
図5の構成では、変調部130の周辺部分で変調された強度の弱い変調光103は用いずに、変調部130の中央付近で変調された強度の強い変調光103を投射光105として用いる。
【0028】
図6は、曲面ミラー15の反射面150の曲率と、投射光105の投射角との関係の一例を示す概念図である。
図6の例の場合、曲面ミラー15の反射面150の曲率の小さい方(1)と、曲面ミラー15の反射面150の曲率の大きい方(2)とにおいて、空間光変調器13と曲面ミラー15との距離は同じである。曲面ミラー15の反射面150の曲率の小さい方(1)と比較して、曲面ミラー15の反射面150の曲率の大きい方(2)が、投射角が大きい。言い換えると、曲面ミラー15の反射面150の曲率半径の大きい方(1)と比較して、曲面ミラー15の反射面150の曲率半径の小さい方(2)が、投射角が大きい。すなわち、投射角を大きくするためには、曲面ミラー15の反射面150の曲率を小さくすればよい。それに対し、投射角を小さくするためには、曲面ミラー15の反射面150の曲率を大きくすればよい。
【0029】
図7は、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離と、投射光105の投射角との関係の一例を示す概念図である。
図7の例の場合、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離の小さい方(3)と、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離の大きい方(4)とにおいて、曲面ミラー15の曲率は同じである。空間光変調器13と曲面ミラー15の距離の小さい方(3)と比較して、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離の大きい方(4)が、反射面150に対する変調光103の入射角/反射角が大きくなるため、投射角が大きい。すなわち、投射角を大きくするためには、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離を大きくすればよい。それに対し、投射角を小さくするためには、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離を小さくすればよい。
【0030】
図8は、曲面ミラー15の反射面150の曲率と、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離とを調整し、投射角を180度に設定した例である。曲面ミラー15の反射面150の曲率と、空間光変調器13と曲面ミラー15の距離とを調整することで、投射装置10の投射角を180度に設定することもできる。
【0031】
制御部17は、光源11および空間光変調器13を制御する。例えば、制御部17は、プロセッサとメモリを含むマイクロコンピュータによって実現される。制御部17は、空間光変調器13の変調部130に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を変調部130に設定する。例えば、制御部17は、画像表示や通信、測距など、用途に応じた画像に対応する位相画像を変調部130に設定する。投射される画像の位相画像は、記憶部(図示しない)に予め記憶させておけばよい。投射される画像の形状や大きさには、特に限定を加えない。
【0032】
制御部17は、空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相と、変調部130で反射される変調光103の位相との差分を決定づけるパラメータが変化するように空間光変調器13を駆動する。空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相と、変調部130で反射される変調光103の位相との差分を決定づけるパラメータは、例えば、屈折率や光路長などの光学的特性に関するパラメータである。例えば、制御部17は、空間光変調器13の変調部130に印可する電圧を変化させることによって、変調部130の屈折率を調節する。位相変調型の空間光変調器13の変調部130に照射された光102の位相分布は、変調部130の光学的特性に応じて変調される。なお、制御部17による空間光変調器13の駆動方法は、空間光変調器13の変調方式に応じて決定される。
【0033】
制御部17は、表示される画像に対応する位相画像が変調部130に設定された状態で、光源11の出射器111を駆動させる。その結果、空間光変調器13の変調部130に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源11から出射された光102が空間光変調器13の変調部130に照射される。空間光変調器13の変調部130に照射された光102は、空間光変調器13の変調部130において変調される。空間光変調器13の変調部130において変調された変調光103は、曲面ミラー15の反射面150に向けて出射される。
【0034】
図9は、制御部17によって、空間光変調器13の変調部130に設定されるパターンの一例を示す概念図である。空間光変調器13の変調部130には、合成画像133が設定される。合成画像133は、所望の画像を形成するための位相画像131と、所望の画像を形成する光を集光させる仮想レンズ画像132とが合成されたパターンである。光の波面は、回折と同様に、位相制御によって制御できる。位相が球状に変化すると、波面に球状の差ができてレンズ効果が発生する。仮想レンズ画像132は、空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相を球状に変化させ、所定の焦点距離の位置(第2集光点とも呼ぶ)に集光するレンズ効果を発生させる。仮想レンズ画像132によって集光された像は、曲面ミラー15の反射面150に結像される。例えば、合成画像133は、予め生成させておき、記憶部(図示しない)に記憶させておけばよい。なお、
図9は、一例であって、位相画像131や仮想レンズ画像132、合成画像133のパターンを限定するものではない。
【0035】
図10は、0次光が集光される集光点(第1集光点)と、仮想レンズ画像132によって変調光103が集光される第2集光点との位置関係の一例について説明するための概念図である。
図10の例では、曲面ミラー15の裏側の位置に、第1集光点が設定される。
図10においては省略されるが、0次光は、遮蔽器14によって遮蔽される。遮蔽器14がない場合、0次光は、曲面ミラー15の反射面150で反射され、一旦集束し、その後発散していく。例えば、0次光を集光させずに、発散させてもよい。その場合、反射面150で反射された0次光は、反射面150から離れるにつれて発散していき、投射光105によって形成される画像への影響が低減される。第2集光点は、曲面ミラー15の反射面150に設定される。曲面ミラー15の反射面150には、仮想レンズ画像132によって結像された画像が表示される。なお、曲面ミラー15の反射面150に、第1集光点が設定されてもよい。曲面ミラー15の反射面150に第1集光点が設定されれば、仮想レンズ画像132が不要となるため、空間光変調器13の変調部130には位相画像131が表示されればよい。仮想レンズ画像132を用いない場合、変調光103に含まれるゴースト像は、デフォーカスされないが、遮蔽器14によって遮蔽される。
図10においては省略するが、曲面ミラー15の反射面150で反射された変調光103は、投射光105として投射される。曲面ミラー15の反射面150に表示された画像の形状と、投射光105によって被投射面に表示される画像の形状とは、鏡面対称性を示す。
【0036】
図11は、0次光が集光される第1集光点と、仮想レンズ画像132によって変調光103が集光される第2集光点との位置関係の別の一例について説明するための概念図である。
図11の例では、空間光変調器13と曲面ミラー15の間の位置に、第1集光点が設定される。
図11の構成の場合、
図10の構成と比べて、空間光変調器13と第1集光点との距離が短く設定される。そのため、
図11の構成の場合、
図10の構成と比べて、大きめのレンズ112が用いられる。空間光変調器13と曲面ミラー15の間の第1集光点の位置には、0次光を遮蔽する0次光除去器16が配置される。0次光除去器16は、変調光に含まれる0次光を除去する。第2集光点は、曲面ミラー15の反射面150に設定される。曲面ミラー15の反射面150には、仮想レンズ画像132によって結像された画像が表示される。曲面ミラー15の反射面150で反射された変調光103は、投射光105として投射される。曲面ミラー15の反射面150に表示された画像の形状と、投射光105によって被投射面に表示される画像の形状とは、鏡面対称性を示す。
【0037】
0次光除去器16は、支持部材161と光吸収部材163とを含む。支持部材161は、光吸収部材163を支持する部材である。光吸収部材163は、支持部材161によって、変調光103に含まれる0次光の光路上に固定される。例えば、支持部材161は、ガラスやプラスチックなどのように変調光103を透過しやすい材質で構成される。支持部材161をプラスチックで構成する場合は、リタデーションが発生しにくいように、全面が均一であり、位相むらの小さい材料を用いることが好ましい。例えば、支持部材161には、複屈折が抑制されたプラスチック材料が好適である。例えば、支持部材161は、光吸収部材163を固定する線材を含む構成としてもよい。例えば、支持部材161の周縁を枠状に形成し、その枠の開口部の内側に線材を張り巡らせて、張り巡らせた線材によって光吸収部材163を固定できる。支持部材161を線材で構成する場合は、変調光103の照射によって劣化が起こりにくいように、光による劣化の起こりにくい素材とし、変調光103の通過を妨げにくいように細い線材を用いることが好ましい。光吸収部材163は、支持部材161によって、0次光の光路上に保持される。例えば、光吸収部材163には、カーボンなどの黒体が用いられる。また、使用されるレーザ光101の波長が固定されている場合には、レーザ光101の波長の光を選択的に吸収する材質の光吸収部材163が用いられることが好ましい。
【0038】
〔変形例1〕
次に、本実施形態の変形例1に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。
図12は、本変形例の投射装置10-1の構成の一例を示す概念図である。本変形例の投射装置10-1は、投射装置10(
図1)とは、遮蔽器の位置が異なる。本変形例では、遮蔽器14-1(第2遮蔽器とも呼ぶ)は、曲面ミラー15の後段に配置される。光源11、空間光変調器13、遮蔽器14-1、および曲面ミラー15は、投射部100-1を構成する。遮蔽器14-1が配置される位置以外、投射装置10-1は投射装置10(
図1)と同様の構成を有する。
【0039】
本変形例では、曲面ミラー15の後段に遮蔽器14-1が配置されるため、光源11や空間光変調器13、曲面ミラー15の位置関係による空間的な制約が少ない。そのため、遮蔽器14-1が配置される位置の自由度が高く、装置全体をコンパクトに構成することもできる。例えば、遮蔽器14-1は、投射装置10-1の筐体に配置されてもよい。例えば、投射装置10-1の筐体にスリット状の開口を形成し、遮蔽器14-1として機能させてもよい。
【0040】
〔変形例2〕
次に、本実施形態の変形例2に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。
図13は、本変形例の投射装置10-2の構成の一例を示す概念図である。本変形例の投射装置10-2は、投射装置10(
図1)とは、0次光やゴースト像を遮蔽する機構が異なる。本変形例では、曲面ミラー15-2の後方に、遮蔽器140(第3遮蔽器とも呼ぶ)を配置する。光源11、空間光変調器13、遮蔽器140、および曲面ミラー15-2は、投射部100-2を構成する。遮蔽器140と曲面ミラー15-2以外、投射装置10-2は投射装置10(
図1)と同様の構成を有する。
【0041】
曲面ミラー15-2は、投射装置10(
図1)の曲面ミラー15と比べて小さい点以外は、曲面ミラー15と同様である。曲面ミラー15-2は、投射光105の投射方向および投射角に応じて構成される。曲面ミラー15-2は、変調光103に含まれる0次光やゴースト像の照射位置から外れた位置に配置される。曲面ミラー15-2によって反射された変調光103は、投射光105として投射される。
【0042】
遮蔽器140は、曲面ミラー15-2の後方に配置される。遮蔽器140には、曲面ミラー15-2によって反射されなかった変調光103が照射される。遮蔽器140に照射される変調光103には、0次光やゴースト像が含まれる。遮蔽器140は、照射された変調光103を吸収する。例えば、遮蔽器140には、カーボンなどの黒体が用いられる。また、使用されるレーザ光101の波長が固定されている場合には、レーザ光101の波長の光を選択的に吸収する材質を含む遮蔽器140が用いられることが好ましい。遮蔽器140は、全体が光を吸収する必要はなく、少なくとも変調光103の入射位置で光を吸収すればよい。例えば、遮蔽器140は、投射装置10-2の筐体の内側面に構成されてもよい。
【0043】
本変形例の構成では、変調光103や投射光105の光路上に、光を遮蔽する構成が配置されない。そのため、光の利用効率を向上できる。また、本変形例によれば、遮蔽器140を配置することによる、光源11や空間光変調器13、曲面ミラー15の空間的な位置関係の制約が少ないため、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0044】
〔変形例3〕
次に、本実施形態の変形例3に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。
図14は、本変形例の投射装置10-3の構成の一例を示す概念図である。本変形例の投射装置10-3は、曲面ミラー15-3の反射面150-3の曲率中心の軸方向が、投射装置10(
図1)の曲面ミラー15の反射面150の曲率中心の軸方向に対して垂直である。光源11、空間光変調器13、遮蔽器14、および曲面ミラー15-3は、投射部100-3を構成する。曲面ミラー15-3以外、投射装置10-3は投射装置10(
図1)と同様の構成を有する。
【0045】
曲面ミラー15-3の反射面150-3の曲率中心の軸方向は、
図14の紙面に対して垂直である。曲面ミラー15-3は、反射面150-3の曲率中心の軸方向が、投射装置10(
図1)の曲面ミラー15の反射面150の曲率中心の軸方向に対して垂直に設定される。
【0046】
曲面ミラー15-3の反射面150-3には、空間光変調器13の変調部130で変調され、遮蔽器14のスリット状の開口を通過した変調光103が照射される。曲面ミラー15-3の反射面150-3で反射された光(投射光105-3)は、反射面150-3の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図14の例の場合、投射光105-3は、曲面ミラー15-3の反射面150-3における変調光103の照射範囲の曲率に応じて、垂直方向(
図14の紙面の上下方向)に沿って拡大される。例えば、曲面ミラーの反射面の形状を球面にすれば、水平方向および垂直方向に拡がる投射光を投射することもできる。曲面ミラーの反射面の形状は、用途に応じて形成すればよい。
【0047】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、および曲面ミラーを備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部は、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器の変調部に設定する。制御部は、位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器(第1遮蔽器とも呼ぶ)は、空間光変調器と曲面ミラーの間に配置される。第1遮蔽器は、所望の画像を形成する変調光が通過するスリットが開口され、変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有する。曲面ミラーは、変調光を反射面で反射し、反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する。
【0048】
本実施形態の投射装置は、投射レンズなどの投射光学系が省略された構造でありながら、所望の画像を投射できる。また、本実施形態の投射装置は、変調光に含まれる不要な光成分を除去する。そのため、本実施形態の投射装置によれば、簡易な構成でありながら、不要な光成分が除去された所望の画像を形成する空間光を投射できる。
【0049】
本実施形態の一態様において、制御部は、所望の画像を形成するための位相画像と、所望の画像を形成する変調光を曲面ミラーの反射面に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、空間光変調器の前記変調部に設定する。本態様によれば、曲面ミラーの反射面に所望の画像の鏡像が結像される。曲面ミラーの反射面で反射された光はフォーカスフリーで投射されるため、本態様によれば、歪の少ない所望の画像が被投射面に表示される。
【0050】
本実施形態の一態様の投射装置は、第1遮蔽器の代わりに、第2遮蔽器を備える。第2遮蔽器は、曲面ミラーの反射面で反射された投射光の光路上に配置される。第2遮蔽器は、所望の画像を形成する投射光が通過するスリットが開口され、投射光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。本態様では、曲面ミラーの後段に第2遮蔽器が配置されるため、光源や空間光変調器、曲面ミラーの位置による空間的な制約が少ない。そのため、本態様によれば、第2遮蔽器が配置される位置の自由度が高く、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0051】
本実施形態の一態様の投射装置は、第1遮蔽器の代わりに、第3遮蔽器を備える。第3遮蔽器は、曲面ミラーの後方に配置される。第3遮蔽器は、所望の画像を形成する変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。本態様では、変調光や投射光の光路上に、光を遮蔽する構成が配置されない。そのため、本態様によれば、光の利用効率を向上できる。また、本変形例によれば、第1遮蔽器を配置することによる、光源や空間光変調器、曲面ミラーの空間的な位置関係の制約が少ないため、装置全体をコンパクトに構成できる。
【0052】
本実施形態の一態様において、曲面ミラーの反射面は、水平面に平行な面内に曲率を有する。本態様によれば、水平方向に拡大投射される投射光を投射できる。
【0053】
本実施形態の一態様において、曲面ミラーの反射面は、水平面に垂直な面内に曲率を有する。本態様によれば、水平方向に対して垂直な方向に拡大投射される投射光を投射できる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、空間光変調器の変調部で変調された変調光を、曲面ミラーに向けて折り返すように反射する反射鏡(折り返しミラーとも呼ぶ)を含む。
【0055】
(構成)
図15は、本実施形態の投射装置20の構成の一例を示す概念図である。投射装置20は、光源21、空間光変調器23、遮蔽器24、曲面ミラー25、折り返しミラー26、および制御部27を備える。光源21、空間光変調器23、遮蔽器24、曲面ミラー25、および折り返しミラー26は、投射部200を構成する。
図15は、投射装置20の内部構成を横方向から見た側面図である。
図15は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0056】
光源21は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。光源21は、出射器211とレンズ212を含む。出射器211は、制御部27の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光201を出射する。レンズ212は、出射器211から出射されたレーザ光201を、空間光変調器23の変調部230の大きさに合わせて拡大する。出射器211から出射されたレーザ光201は、レンズ212によって拡大され、光源21から出射される。光源21から出射された光202は、空間光変調器23の変調部230に向けて進行する。
【0057】
空間光変調器23は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器23は、光202が照射される変調部230を有する。空間光変調器23の変調部230には、光源21から出射された光202が照射される。空間光変調器23の変調部230には、制御部27の制御に応じて、投射光205によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器23の変調部230で変調された変調光203は、折り返しミラー26の反射面260に向けて進行する。
【0058】
遮蔽器24は、第1の実施形態の遮蔽器14と同様の構成である。遮蔽器24は、空間光変調器23と折り返しミラー26の間に配置される。言い換えると、遮蔽器24は、空間光変調器23の変調部230によって変調された変調光203の光路上に配置される。遮蔽器24は、所望の画像を形成する光を通過させる部分にスリット状の開口が形成されたアパーチャである。遮蔽器24は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器24は、変調光203に含まれる0次光やゴーストを遮蔽する。
【0059】
折り返しミラー26は、変調光203の光路上に配置される。折り返しミラー26は、平面状の反射面260を有する。言い換えると、折り返しミラー26は、平面鏡である。折り返しミラー26の反射面260は、遮蔽器24の開口と、曲面ミラー25の反射面250とに向けて配置される。折り返しミラー26は、遮蔽器24の開口を通過して到来した変調光203を、曲面ミラー25の反射面250に向けて反射する。変調光203に含まれる0次光やゴースト像は、遮蔽器24で遮蔽され、折り返しミラー26の反射面260には到達しない。すなわち、折り返しミラー26の反射面260で反射される変調光203は、所望の画像を形成する光成分によって構成される。
【0060】
曲面ミラー25は、第1の実施形態の曲面ミラー15と同様の構成である。曲面ミラー25は、曲面状の反射面250を有する反射鏡である。曲面ミラー25の反射面250は、投射光205の投射角に合わせた曲率を有する。
図15の例の場合、曲面ミラー25の反射面250は、円柱の側面の形状を有する。
【0061】
曲面ミラー25は、折り返しミラー26の反射面260に反射面250を向けて、折り返しミラー26の反射面260の反射光の光路上に配置される。曲面ミラー25の反射面250には、空間光変調器23の変調部230で変調され、遮蔽器24のスリット状の開口を通過した変調光203のうち、折り返しミラー26の反射面260で反射された光成分が照射される。
【0062】
図16は、曲面ミラー25の反射面250で反射された光(投射光205)の投射範囲の一例を示す概念図である。
図16は、投射装置20の内部構成を上方から見た図である。
図16においては、曲面ミラー25以外の構成は省略する。曲面ミラー25の反射面250で反射された投射光205は、反射面250の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図16の場合、投射光205は、曲面ミラー25の反射面250における変調光203の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図16の紙面における上下方向)に沿って拡大される。
【0063】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、折り返しミラー、および曲面ミラーを備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部は、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器の変調部に設定する。制御部は、位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器(第1遮蔽器とも呼ぶ)は、空間光変調器と曲面ミラーの間に配置される。第1遮蔽器は、所望の画像を形成する変調光が通過するスリットが開口され、変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。折り返しミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光の光路を、曲面ミラーの反射面に向けて反射する。曲面ミラーは、折り返しミラーの反射面で反射された変調光が照射される曲面状の反射面を有する。曲面ミラーは、変調光を反射面で反射し、反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する。
【0064】
本実施形態の構成では、折り返しミラーを用いて、空間光変調器と曲面ミラーの間の光路を折り返す。そのため、本実施形態の構成によれば、空間光変調器と曲面ミラーの間の光路を直線状に設定しなくて済むため、装置のサイズをコンパクトに構成できる。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、空間光変調器の変調部で変調された変調光を、異なる二つの向きに向けて投射する点において、第1~第2の実施形態とは異なる。
【0066】
(構成)
図17は、本実施形態の投射装置30の構成の一例を示す概念図である。投射装置30は、光源31、空間光変調器33、第1曲面ミラー35A、第2曲面ミラー35B、折り返しミラー36、および制御部37を備える。光源31、空間光変調器33、第1曲面ミラー35A、第2曲面ミラー35B、および折り返しミラー36は、投射部300を構成する。
図17は、投射装置30の内部構成を横方向から見た側面図である。
図17は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。なお、
図17の構成においては、遮蔽器を図示していないが、第1~第2の実施形態と同様に遮蔽器が追加されてもよい。
【0067】
光源31は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。光源31は、出射器311とレンズ312を含む。出射器311は、制御部37の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光301を出射する。レンズ312は、出射器311から出射されたレーザ光301を、空間光変調器33の変調部330の大きさに合わせて拡大する。出射器311から出射されたレーザ光301は、レンズ312によって拡大され、光源31から出射される。光源31から出射された光302は、空間光変調器33の変調部330に向けて進行する。
【0068】
空間光変調器33は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器33は、光302が照射される変調部330を有する。空間光変調器33の変調部330には、光源31から出射された光302が照射される。空間光変調器33の変調部330には、制御部37の制御に応じて、投射光305によって表示される画像に応じたパターンが設定される。空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303は、第1曲面ミラー35Aの反射面350Aと、折り返しミラー36の反射面360とに向けて進行する。
【0069】
第1曲面ミラー35Aは、第1の実施形態の曲面ミラー15と同様の構成である。第1曲面ミラー35Aは、曲面状の反射面350Aを有する反射鏡である。第1曲面ミラー35Aの反射面350Aは、投射光305Aの投射角に合わせた曲率を有する。
図17の例の場合、第1曲面ミラー35Aの反射面350Aは、円柱の側面の形状を有する。
【0070】
第1曲面ミラー35Aは、空間光変調器33の変調部330に反射面350Aを向けて、変調光303の光路上に配置される。光源31、空間光変調器33の変調部330、および第1曲面ミラー35Aの反射面350Aの間には、第1光路が形成される。第1曲面ミラー35Aの反射面350Aには、空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303が照射される。第1曲面ミラー35Aの反射面350Aで反射された光(投射光305A)は、反射面350Aの曲率に応じた拡大率で拡大されて、第1の向き(
図17の紙面における左方向)に向けて投射される。
図17の例の場合、投射光305Aは、第1曲面ミラー35Aの反射面350Aにおける変調光303の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図17の紙面に対して垂直な方向)に沿って拡大される。
【0071】
折り返しミラー36は、空間光変調器33の変調部330に反射面360を向けて、変調光303の光路上に配置される。折り返しミラー36は、平面状の反射面360を有する。言い換えると、折り返しミラー36は、平面鏡である。折り返しミラー36の反射面360は、空間光変調器33の変調部330と、第2曲面ミラー35Bの反射面350Bとに向けて配置される。折り返しミラー36の反射面360には、空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303のうち、折り返しミラー36の反射面に向けて照射された光成分が照射される。変調光303のうち、第1曲面ミラー35Aに向けて照射された光成分は、折り返しミラー36の反射面360には到達しない。折り返しミラー36の反射面360で反射される変調光303は、第2曲面ミラー35Bの反射面350Bで反射され、第2の向き(
図17の紙面における右方向)に向けて、投射光305Bとして投射される光成分によって構成される。例えば、曲面ミラーを用いて投射光を拡大しない場合、第1曲面ミラー35Aと第2曲面ミラー35Bを省略して、フラウンホーファ領域の光のみを用いてもよい。その場合、空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303の一部の光成分をそのまま投射し、残りの光成分を折り返しミラー36の反射面360で反射して投射するように、空間光変調器33と折り返しミラー36を配置すればよい。
【0072】
第2曲面ミラー35Bは、折り返しミラー36の反射面360に反射面350Bを向けて、折り返しミラー36の反射面360の反射光の光路上に配置される。光源31、空間光変調器33の変調部330、折り返しミラー36の反射面360、および第2曲面ミラー35Bの反射面350Bの間には、第2光路が形成される。第1光路と第2光路とは、同じ光路長に設定されることが好ましい。第2曲面ミラー35Bの反射面350Bには、空間光変調器33の変調部330で変調された変調光303のうち、折り返しミラー36の反射面360で反射された光成分が照射される。
【0073】
図18は、第1曲面ミラー35Aの反射面350Aで反射された光(投射光305A)の投射範囲と、第2曲面ミラー35Bの反射面350Bで反射された光(投射光305B)の投射範囲との一例を示す概念図である。
図18は、投射装置30の内部構成を上方から見た図である。
図18においては、第1曲面ミラー35Aおよび第2曲面ミラー35B以外の構成は省略する。第1曲面ミラー35Aの反射面350Aで反射された投射光305A(実線)は、反射面350Aの曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。第2曲面ミラー35Bの反射面350Bで反射された投射光305B(破線)は、反射面350Bの曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
【0074】
図18の例では、第1曲面ミラー35Aの反射面350Aで反射された投射光305Aは、第1の向き(
図18の紙面における左方向)に向けて投射される。また、第2曲面ミラー35Bの反射面350Bで反射された投射光305Bは、第2の向き(
図17の紙面における右方向)に向けて投射される。例えば、第1の向きと第2の向きは、正反対の向きに設定される。例えば、第1の向きと第2の向きは、正反対ではない向きに設定されてもよい。
【0075】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、折り返しミラー、および曲面ミラーを備える。光源は、光を出射する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部は、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器の変調部に設定する。制御部は、位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器(第1遮蔽器とも呼ぶ)は、空間光変調器と曲面ミラーの間に配置される。第1遮蔽器は、所望の画像を形成する変調光が通過するスリットが開口され、変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。曲面ミラーは、第1曲面ミラーと第2曲面ミラーによって構成される。第1曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光の一部が照射される曲面状の第1反射面を有する。第1曲面ミラーは、変調光を第1反射面で反射し、第1反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第1投射光を投射する。折り返しミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光のうち、第1曲面ミラーの第1反射面で反射されなかった光成分を、第2曲面ミラーの第2反射面に向けて反射する。第2曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光のうち、折り返しミラーによって反射された光成分が照射される曲面状の第2反射面を有する。第2曲面ミラーは、光成分を第2反射面で反射し、第2反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第2投射光を投射する。第1曲面ミラーおよび第2曲面ミラーは、第1投射光と第2投射光が異なる方向に向けて投射されるように配置される。例えば、第1曲面ミラーおよび第2曲面ミラーは、第1投射光と第2投射光が反対向きに向けて投射されるように配置される。
【0076】
本実施形態の構成では、第1曲面ミラーの反射面で反射された投射光を、第1の向きに向けて投射する。また、第2曲面ミラーの反射面で反射された投射光を、第2の向きに向けて投射する。そのため、本実施形態の構成によれば、コンパクトな構成でありながら、対向する投射方向に向けて投射角を拡大できる。例えば、本実施形態の構成では、第1曲面ミラーおよび第2曲面ミラーの各々の投射角を180度に設定すれば、360度の方向に向けて、投射光を投射できる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、複数の光源を含む。本実施形態の構成は、第2~第3の実施形態と組み合わせてもよい。
【0078】
(構成)
図19は、本実施形態の投射装置40の構成の一例を示す概念図である。投射装置40は、複数の光源41、空間光変調器43、遮蔽器44、曲面ミラー45、および制御部47を有する。複数の光源41、空間光変調器43、遮蔽器44、および曲面ミラー45は、投射部400を構成する。
図19は、投射装置40の内部構成を横方向から見た図である。
図19には、光源41を一つしか図示していないが、紙面に対して垂直な方向に複数の光源41が配置される。
図19は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0079】
複数の光源41の各々は、第1の実施形態の光源11と同様の構成である。
図20は、投射装置40の内部に配置された複数の光源41-1~3と空間光変調器43の位置関係の一例を示す概念図である。光源41-1~3は、出射器411-1~3とレンズ412-1~3を含む。本実施形態では、投射装置40が三つの光源41-1~3を含む例をあげるが、投射装置40が備える光源41の数は、三つに限定されない。
【0080】
出射器411-1~3は、制御部47の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光401-1~3を出射する。出射器411-1~3は、同じ波長帯のレーザ光401-1~3を出射するように構成されてもよいし、異なる波長帯のレーザ光401-1~3を出射するように構成されてもよい。また、出射器411-1~3は、同じ出力のレーザ光401-1~3を出射するように構成されてもよいし、異なる出力のレーザ光401-1~3を出射するように構成されてもよい。出射器411-1~3の出射するレーザ光401-1~3の波長帯や出力は、用途に応じて選択されればよい。
【0081】
レンズ412-1~3は、出射器411-1~3から出射されたレーザ光401-1~3を、レーザ光401-1~3の各々に対して空間光変調器43の変調部430に設定された領域の大きさに合わせて拡大する。出射器411-1~3から出射されたレーザ光401-1~3は、レンズ412-1~3によって拡大され、光源41-1~3から出射される。光源41-1~3から出射された光402-1~3は、空間光変調器43の変調部430に向けて進行する。
【0082】
空間光変調器43は、第1の実施形態の空間光変調器13と同様の構成である。空間光変調器43は、光402-1~3が照射される変調部430を有する。変調部430は、光402-1~3のいずれかに割り当てられた複数の領域に分割される。空間光変調器43の変調部430の複数の領域の各々には、光源41-1~3から出射された光402-1~3のうち、割り当てられた光402が照射される。空間光変調器43の変調部430には、制御部47の制御に応じて、投射光406によって表示される画像に応じたパターンが、光402-1~3ごとの領域に設定される。
【0083】
遮蔽器44は、第1の実施形態の遮蔽器14と同様の構成である。遮蔽器44は、空間光変調器43と曲面ミラー45の間に配置される。言い換えると、遮蔽器44は、空間光変調器43の変調部430によって変調された変調光403の光路上に配置される。遮蔽器44は、所望の画像を形成する光を通過させる部分にスリット状の開口が形成されたアパーチャである。遮蔽器44は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器44は、変調光403に含まれる0次光やゴーストを遮蔽する。
【0084】
曲面ミラー45は、第1の実施形態の曲面ミラー15と同様の構成である。曲面ミラー45は、曲面状の反射面450を有する反射鏡である。曲面ミラー45の反射面450は、投射光405の投射角に合わせた曲率を有する。
図19の例の場合、曲面ミラー45の反射面450は、円柱の側面の形状を有する。
【0085】
曲面ミラー45は、空間光変調器43に反射面450を向けて、空間光変調器43の変調部430によって変調された変調光403の光路上に配置される。曲面ミラー45の反射面450には、空間光変調器43の変調部430で変調され、遮蔽器44のスリット状の開口を通過した変調光403が照射される。
【0086】
図21は、曲面ミラー45の反射面450で反射された光(投射光405)の投射例を示す概念図である。
図21は、曲面ミラー45を見下ろす視座から、投射装置40の内部構成を見下ろした図である。曲面ミラー45の反射面450で反射された変調光403に由来する投射光405は、反射面450の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。投射光405は、反射面450における変調光403の照射位置に応じた方向に向けて投射される。投射光405は、被投射面上の任意の位置に、空間光変調器13の変調部130に設定された位相画像に対応する画像を表示させる。
【0087】
以上のように、本実施形態の投射装置は、光源、空間光変調器、遮蔽器、および曲面ミラーを備える。光源は、複数の出射器と、複数の出射器の各々によって出射される光を、空間光変調器の変調部の大きさに合わせて拡大する複数のレンズを有する。空間光変調器は、光源から出射された光が照射される変調部を有する。空間光変調器は、照射された光の位相を変調部で変調する。制御部は、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器の変調部に設定する。制御部は、位相画像が設定された変調部に光が照射されるように光源を制御する。遮蔽器(第1遮蔽器とも呼ぶ)は、空間光変調器と曲面ミラーの間に配置される。第1遮蔽器は、所望の画像を形成する変調光が通過するスリットが開口され、変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する。曲面ミラーは、空間光変調器の変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有する。曲面ミラーは、変調光を反射面で反射し、反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する。
【0088】
本実施形態の投射装置は、複数の光源を含む。そのため、本実施形態によれば、異なる被投射体に向けて、所望の画像を同時に投射できる。例えば、本実施形態によれば、複数の波長帯の投射光や、複数の通信対象に向けた空間光信号を同時に投射できる。例えば、本実施形態によれば、通信対象をスキャンするための空間光信号と、通信が確立された通信対象と通信するための空間光信号を同時に投射することができる。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信装置は、第1~第4の実施形態のいずれかの投射装置と、空間光信号を投射する投射装置とを備える。以下においては、位相変調型の空間光変調器を含む投射装置を備える通信装置の例について説明する。なお、本実施形態の通信装置は、位相変調型の空間光変調器ではない送光機能を含む投射装置を備えてもよい。
【0090】
(構成)
図22は、本実施形態の通信装置500の構成の一例を示す概念図である。通信装置500は、投射装置510、制御装置550、受信装置570およびを備える。投射装置510および受信装置570は、外部の通信対象と空間光信号を送受信し合う。そのため、通信装置500には、空間光信号を送受信するための開口や窓が形成される。
【0091】
投射装置510は、第1~第4の実施形態のいずれかの投射装置である。投射装置510は、制御装置550から制御信号を取得する。投射装置510は、制御信号に応じた空間光信号を投射する。投射装置510から投射された空間光信号は、通信対象(図示しない)によって受光される。
【0092】
制御装置550は、受信装置570から出力された信号を取得する。制御装置550は、取得した信号に応じた処理を実行する。制御装置550が実行する処理については、特に限定を加えない。制御装置550は、実行した処理に応じた光信号を投射するための制御信号を、投射装置510に出力する。
【0093】
受信装置570は、通信対象(図示しない)から投射された空間光信号を受光する。受信装置570は、受光した空間光信号を電気信号に変換する。受信装置570は、変換後の電気信号を制御装置550に出力する。
【0094】
〔受信装置〕
次に、受信装置の詳細構成の一例について図面を参照しながら説明する。
図23は、本実施形態の受信装置570の詳細構成の一例を示す概念図である。受信装置570は、ボールレンズ571、受光素子アレイ573、および受信回路575を備える。ボールレンズ571と受光素子アレイ573は、受光器57を構成する。
【0095】
ボールレンズ571は、球形のレンズである。ボールレンズ571は、外部から到来した空間光信号を集光する光学素子である。ボールレンズ571は、どの角度から見ても球形である。ボールレンズ571は、入射される空間光信号を集光する。ボールレンズ571によって集光された空間光信号に由来する光(光信号とも呼ぶ)は、集光領域に向けて集光される。ボールレンズ571は、球形であるため、任意の方向から到来する空間光信号を集光する。すなわち、ボールレンズ571は、任意の方向から到来する空間光信号に対して、同様の集光性能を示す。
【0096】
例えば、ボールレンズ571は、ガラスや結晶、樹脂などの材料で構成できる。可視領域の空間光信号を受光する場合、ボールレンズ571には、可視領域の光を透過/屈折するガラスや結晶、樹脂などの材料を適用できる。例えば、ボールレンズ571には、クラウンガラスやフリントガラスなどの光学ガラスを適用できる。例えば、ボールレンズ571には、BK(Boron Kron)などのクラウンガラスを適用できる。例えば、ボールレンズ571には、LaSF(Lanthanum Schwerflint)などのフリントガラスを適用できる。例えば、ボールレンズ571には、石英ガラスを適用できる。例えば、ボールレンズ571には、サファイア等の結晶を適用できる。例えば、ボールレンズ571には、アクリル等の透明樹脂を適用できる。空間光信号が近赤外領域の光(以下、近赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ571には、近赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、1.5マイクロメートル(μm)程度の近赤外領域の空間光信号を受光する場合、ボールレンズ571には、ガラスや結晶、樹脂などに加えて、シリコンなどの材料を適用できる。空間光信号が赤外領域の光(以下、赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ571には、赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、空間光信号が赤外線である場合、ボールレンズ571には、シリコンやゲルマニウム、カルコゲナイド系の材料を適用できる。空間光信号の波長領域の光を透過/屈折できれば、ボールレンズ571の材質には限定を加えない。ボールレンズ571の材質は、求められる屈折率や、用途に応じて、選択されればよい。
【0097】
受光素子アレイ573は、ボールレンズ571の周方向に沿って、円弧状に並べられた複数の受光素子を含む。受光素子アレイ573を構成する受光素子の数には限定を加えない。受光素子アレイ573は、ボールレンズ571の後段に配置される。複数の受光素子は、受光対象の空間光信号に由来する光信号を受光する受光部を含む。複数の受光素子の各々は、受光部がボールレンズ571の出射面と対面するように配置される。複数の受光素子の各々は、ボールレンズ571の集光領域に受光部が位置するように配置される。ボールレンズ571によって集光された光信号は、集光領域に位置する受光素子の受光部で受光される。
【0098】
受光素子は、受光対象の空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、受光素子は、可視領域の光に感度を有する。例えば、受光素子は、赤外領域の光に感度を有する。受光素子は、例えば1.5μm(マイクロメートル)帯の波長の光に感度を有する。なお、受光素子が感度を有する光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。受光素子が受光する光の波長帯は、投射装置(図示しない)から投射される空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。受光素子が受光する光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、受光素子が受光する光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、受光素子は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する光信号を読み取ることができない。そのため、受光素子よりも前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタが設置されてもよい。
【0099】
例えば、受光素子は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、受光素子は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された受光素子は、高速通信に対応できる。なお、受光素子は、光信号を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。通信速度を向上させるために、受光素子の受光部は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、受光素子の受光部は、一辺が5mm(ミリメートル)程度の正方形の受光面を有する。例えば、受光素子の受光部は、直径0.1~0.3mm程度の円形の受光面を有する。受光素子の受光部の大きさや形状は、空間光信号の波長帯や通信速度などに応じて選定されればよい。
【0100】
受光素子は、受光された光信号を電気信号に変換する。受光素子は、変換後の電気信号を、受信回路575に出力する。
図23には、受光素子アレイ573と受信回路575の間に一本の線(経路)しか図示していないが、受光素子アレイ573と受信回路575は複数の経路で接続されてもよい。例えば、受光素子アレイ573を構成する受光素子の各々が、受信回路575と個別に接続されてもよい。例えば、受光素子アレイ573を構成する受光素子のいくつかをまとめたグループごとに、受信回路575と接続されるように構成されてもよい。
【0101】
受信回路575は、複数の受光素子の各々から出力された信号を取得する。受信回路575は、複数の受光素子の各々からの信号を増幅する。受信回路575は、増幅された信号をデコードし、通信対象からの信号を解析する。例えば、受信回路575は、複数の受光素子ごとの信号をまとめて解析する。複数の受光素子ごとの信号をまとめて解析する場合は、単一の通信対象と通信するシングルチャンネルの受信装置570を実現できる。例えば、受信回路575は、複数の受光素子ごとに、個別に信号を解析する。複数の受光素子ごとに個別に信号を解析する場合、複数の通信対象と同時に通信するマルチチャンネルの受信装置570を実現できる。受信回路575によってデコードされた信号は、任意の用途に使用される。受信回路575によってデコードされた信号の使用については、特に限定を加えない。
【0102】
本実施形態の受信装置570は、ボールレンズ571によって集光される光信号を、複数の受信素子によって受信する。ボールレンズ571は、任意の方向から到来する空間光信号を、周囲の集光領域に均等に集光する。そのため、本実施形態によれば、簡易な構成でありながら、多様な方向から到来する光信号を均等に受信できる。
【0103】
例えば、受信装置570を、ボールレンズ571の集光領域に、環状に配置された複数の受信素子が配置される構成とする。ボールレンズ571は、複数の受光素子が形成する環を含む平面に略平行な任意の方向から到来する光信号を、集光領域に集光する。複数の受信素子は、ボールレンズ571の集光領域に環状に配置されるため、任意の方向から到来する空間光信号を受信できる。すなわち、ボールレンズ571の集光領域に、環状に配置された複数の受信素子が配置される構成とすれば、360度の方向から到来する空間光信号を受信できる。例えば、360度の向きに投射光を投射するように構成された第2の実施形態の投射装置30と、環状に配置された複数の受信素子によって構成される受光素子アレイ573を備える受信装置570とを組み合わせた構成とする。このような構成とすれば、360度の向きに空間光信号を投射し、360度の方向から到来する空間光信号を受光する通信装置を実現できる。
【0104】
〔適用例〕
次に、本実施形態の通信装置500の適用例について図面を参照しながら説明する。
図24は、本適用例について説明するための概念図である。本適用例では、電柱や街灯などの柱の上部に、複数の通信装置500を配置した通信ネットワークを構成する。複数の通信装置500は、空間光信号を用いて、双方向通信を行う。
【0105】
電柱や街灯などの柱の上部には障害物が少ない。そのため、電柱や街灯などの柱の上部は、通信装置500を設置するのに適している。また、柱の上部の同じ高さに通信装置500を設置すれば、空間光信号の到来方向が水平方向に限定されるので、受光器57を構成する受光素子アレイ573の受光面積を小さくし、装置を簡略化できる。通信をやり取りする通信装置500のペアは、少なくとも一つの通信装置500が、いずれかの通信装置500から投射された空間光信号を受光するように配置される。通信装置500のペアは、空間光信号を互いに送受信するように配置されてもよい。複数の通信装置500で空間光信号の通信ネットワークが構成される場合、中間に位置する通信装置500は、他の通信装置500から投射された空間光信号を、別の通信装置500に中継するように配置すればよい。
【0106】
図25は、複数の通信装置500をメッシュ状に配置して形成される通信ネットワークの一例を示す概念図である。例えば、複数の通信装置500は、
図25のように電柱や街灯などの柱の上部に配置される。
図25には、複数の通信装置500の間に形成される通信パスを矢印で示す。
図25の例では、複数の通信装置500が、空間光信号を送受信することによって、双方向通信を行う。
【0107】
図26は、メッシュ状の通信ネットワークを形成する通信装置500に用いられる投射装置510の構成の一例を示す概念図である。投射装置510は、光源(図示しない)、レンズ(図示しない)、空間光変調器53、第1曲面ミラー55A、および第2曲面ミラー55Bを備える。第1曲面ミラー55Aと第2曲面ミラー55Bは、垂直方向(
図26の紙面の上下)にずらして配置される。第1曲面ミラー55Aと第2曲面ミラー55Bは、いずれか一方が上方に配置され、他方が下方に配置される。
図26においては、光源やレンズを省略する。
図26は、投射装置510の内部構成を上方向から見た平面図である。
図26は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0108】
第1曲面ミラー55Aは、空間光変調器53の変調部530に反射面550Aを向けて、変調光503の光路上に配置される。第1曲面ミラー55Aの反射面550Aには、空間光変調器53の変調部530の中央付近で変調された変調光503が照射される。空間光変調器53の変調部530の周辺部分で変調された変調光503は、第1曲面ミラー55Aの反射面550Aから外れた領域に進行する。第1曲面ミラー55Aの反射面550Aで反射された光(投射光505A)は、反射面550Aの曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図26の例の場合、投射光505Aは、第1曲面ミラー55Aの反射面550Aにおける変調光503の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図26の紙面の上下方向)に沿って拡大され、第1の向き(
図26の紙面における右向き)に向けて出射される。例えば、第1曲面ミラー55Aの反射面550Aの面積や曲率、向き等が調整され、投射光505Aの投射範囲が広げられてもよい。例えば、第1曲面ミラー55Aの反射面550Aの面積や曲率、向き等が調整され、投射光505Aの投射方向が変更されてもよい。
【0109】
同様に、第2曲面ミラー55Bは、空間光変調器53の変調部530に反射面550Bを向けて、変調光503の光路上に配置される。第2曲面ミラー55Bの反射面550Bには、空間光変調器53の変調部530の中央付近で変調された変調光503が照射される。空間光変調器53の変調部530の周辺部分で変調された変調光503は、第2曲面ミラー55Bの反射面550Bから外れた領域に進行する。第2曲面ミラー55Bの反射面550Bで反射された光(投射光505B)は、反射面550Bの曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図26の例の場合、投射光505Bは、第2曲面ミラー55Bの反射面550Bにおける変調光503の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図26の紙面の上下方向)に沿って拡大され、第2の向き(
図26の紙面における左向き)に向けて出射される。例えば、第2曲面ミラー55Bの反射面550Bの面積や曲率、向き等が調整され、投射光505Bの投射範囲が広げられてもよい。例えば、第2曲面ミラー55Bの反射面550Bの面積や曲率、向き等が調整され、投射光505Bの投射方向が変更されてもよい。
【0110】
本適用例によれば、異なる柱に設置された複数の通信装置500の間で、空間光信号を用いた通信が可能になる。例えば、異なる柱に設置された通信装置500の間における通信に応じて、自動車や家屋などに設置された無線装置や基地局と通信装置500との間で、無線通信による通信を行うように構成してもよい。例えば、柱を介して、通信装置500をインターネットに接続するように構成してもよい。
【0111】
以上のように、本実施形態の通信装置は、第1~第4の実施形態のいずれかの投射装置、受信装置、および制御装置を備える。受信装置は、他の通信装置から送信された光信号を受信する。受信装置は、受信した光信号に基づく信号をデコードする。制御装置は、受信装置によってデコードされた信号を受信する。制御装置は、受信した信号に応じた処理を実行する。制御装置は、実行した処理に応じた光信号を投射装置に送信させる。本実施形態によれば、光信号を送受信する通信装置を実現できる。
【0112】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る投射装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の投射装置は、第1~第4の実施形態の投射装置を簡略化した構成である。
【0113】
図27は、本実施形態の投射装置60の構成の一例を示すブロック図である。投射装置60は、光源61、空間光変調器63、曲面ミラー65、および制御部67を備える。
図27は、投射装置60の内部構成を横方向の視座から見た図である。
【0114】
光源61は、光を出射する。空間光変調器63は、光源61から出射された光602が照射される変調部630を有する。空間光変調器63は、照射された光602の位相を変調部630で変調する。制御部67は、所望の画像を形成するための位相画像を空間光変調器63の変調部630に設定する。制御部67は、位相画像が設定された変調部630に光602が照射されるように光源61を制御する。曲面ミラー65は、空間光変調器63の変調部630で変調された変調光603が照射される曲面状の反射面650を有する。曲面ミラー65は、変調光603を反射面650で反射し、反射面650の曲率に応じて投射角が拡大された投射光605を投射する。
【0115】
以上のように、本実施形態の投射装置は、投射レンズなどの投射光学系が省略された構造でありながら、所望の画像を投射できる。すなわち、本実施形態の投射装置によれば、簡易な構成でありながら、所望の画像を形成する空間光を投射できる。
【0116】
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、
図28の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、
図28の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0117】
図28のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図28においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0118】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0119】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0120】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0121】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0122】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0123】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0124】
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0125】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図28のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0126】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0127】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0128】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光源と、
前記光源から出射された光が照射される変調部を有し、照射された前記光の位相を前記変調部で変調する空間光変調器と、
所望の画像を形成するための位相画像を前記空間光変調器の前記変調部に設定し、前記位相画像が設定された前記変調部に前記光が照射されるように前記光源を制御する制御部と、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された変調光が照射される曲面状の反射面を有し、前記変調光を前記反射面で反射し、前記反射面の曲率に応じて投射角が拡大された投射光を投射する曲面ミラーと、を備える投射装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記所望の画像を形成するための前記位相画像と、前記所望の画像を形成する前記変調光を前記曲面ミラーの前記反射面に集光させる仮想レンズ画像とが合成された合成画像を、前記空間光変調器の前記変調部に設定する付記1に記載の投射装置。
(付記3)
前記空間光変調器と前記曲面ミラーの間に配置され、前記所望の画像を形成する前記変調光が通過するスリットが開口され、前記変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第1遮蔽器を備える付記1または2に記載の投射装置。
(付記4)
前記曲面ミラーの前記反射面で反射された前記投射光の光路上に配置され、前記所望の画像を形成する前記投射光が通過するスリットが開口され、前記投射光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第2遮蔽器を備える付記1または2に記載の投射装置。
(付記5)
前記曲面ミラーの後方に配置され、前記所望の画像を形成する前記変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽する第3遮蔽器を備える付記1または2に記載の投射装置。
(付記6)
前記光源によって出射される前記光の集光点が、前記曲面ミラーの後方に設定される付記1乃至5のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記7)
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光に含まれる0次光を除去する0次光除去器を備え、
前記光源によって出射される前記光の集光点が、前記空間光変調器と前記曲面ミラーの間に設定され、
前記0次光除去器は、前記光の焦点の位置に配置される付記1乃至5のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記8)
前記曲面ミラーの前記反射面は、水平面に平行な面内に曲率を有する付記1乃至7のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記9)
前記曲面ミラーの前記反射面は、水平面に垂直な面内に曲率を有する付記1乃至8のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記10)
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光の光路を、前記曲面ミラーの前記反射面に向けて反射する折り返しミラーを備える付記1乃至9のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記11)
前記曲面ミラーは、第1曲面ミラーおよび第2曲面ミラーによって構成され、
前記第1曲面ミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光の一部が照射される曲面状の第1反射面を有し、前記変調光を前記第1反射面で反射し、前記第1反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第1投射光を投射し、
前記折り返しミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、前記第1曲面ミラーの前記第1反射面で反射されなかった光成分を、前記第2曲面ミラーに向けて反射し、
前記第2曲面ミラーは、
前記空間光変調器の前記変調部で変調された前記変調光のうち、前記折り返しミラーによって反射された前記光成分が照射される曲面状の第2反射面を有し、前記光成分を前記第2反射面で反射し、前記第2反射面の曲率に応じて投射角が拡大された第2投射光を投射し、
前記第1曲面ミラーおよび前記第2曲面ミラーは、
前記第1投射光と前記第2投射光が異なる方向に向けて投射されるように配置される付記10に記載の投射装置。
(付記12)
前記第1曲面ミラーおよび前記第2曲面ミラーは、前記第1投射光と前記第2投射光が反対向きに向けて投射されるように配置される付記11に記載の投射装置。
(付記13)
前記光源は、
複数の出射器と、
前記複数の出射器の各々によって出射される光を、前記空間光変調器の前記変調部の大きさに合わせて拡大する複数のレンズを有する付記1乃至12のいずれか一つに記載の投射装置。
(付記14)
付記1乃至13のいずれか一つに記載の投射装置と、
他の通信装置から送信された光信号を受信し、受信した前記光信号に基づく信号をデコードする受信装置と、
前記受信装置によってデコードされた前記信号を受信し、受信した前記信号に応じた処理を実行し、実行した前記処理に応じた前記光信号を前記投射装置に送信させる制御装置と、を備える通信装置。
【符号の説明】
【0129】
10、20、30、40、60 投射装置
11、21、31、41、61 光源
13、23、33、43、63 空間光変調器
14、24、44 遮蔽器
15、25、45、65 曲面ミラー
17、27、37、47、67 制御部
26、36 折り返しミラー
35A 第1曲面ミラー
35B 第2曲面ミラー
111、211、311、411 出射器
112、212、312、412 レンズ
100、200、300、400 投射部
500 通信装置
510 投射装置
550 制御装置
570 受信装置
571 ボールレンズ
573 受光素子アレイ
575 受信回路