(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液、蓄電デバイスセパレータスラリー、蓄電デバイスセパレータ、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/403 20210101AFI20241119BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20241119BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M50/403 D
H01M50/42
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/451
H01M50/46
H01M4/13
(21)【出願番号】P 2023567876
(86)(22)【出願日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2023010215
(87)【国際公開番号】W WO2023182119
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2022045375
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笹川 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 真仁
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/026095(WO,A1)
【文献】特開2015-162313(JP,A)
【文献】特開2015-118908(JP,A)
【文献】特表2013-522843(JP,A)
【文献】関東化学株式会社 48%水酸化ナトリウム溶液 製品規格書,日本,2024年05月17日,https://cica-web.kanto.co.jp/CicaWeb/servlet/wsj.front.LogonSv|t?ReqItem=37959-00
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド及び2価以上の金属イオンを含み、
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位を65モル%以上含み、
かつ(メタ)アクリル酸ナトリウム単位を含まず、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液の質量に基づくと、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドの含有量は、1質量%~20質量%であり、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液の質量に基づくと、前記2価以上の金属イオンの含有量は、0.001質量ppm~47質量ppmである、
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液及び非導電性粒子を含む、
蓄電デバイスセパレータスラリー。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータ。
【請求項4】
請求項2に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体。
【請求項5】
請求項3に記載の蓄電デバイスセパレータ及び/又は請求項4に記載の蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液、蓄電デバイスセパレータスラリー、蓄電デバイスセパレータ、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスのセパレータにおいて、コーティング層(耐熱層)と基材との接着を維持するため、バインダーが用いられる。セパレータのコーティング層は非導電性粒子を含む。
【0003】
出願人は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドをバインダーとして用いる手法を検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液には、良好な塗工性及び良好な非導電性粒子結着性が求められる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、塗工性、非導電性粒子結着性が良好な蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の成分を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド及び2価以上の金属イオンを含み、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液の質量に基づくと、前記2価以上の金属イオンの含有量は、0.001質量ppm~47質量ppmである、
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目2)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液及び非導電性粒子を含む、
蓄電デバイスセパレータスラリー。
(項目3)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータ。
(項目4)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体。
(項目5)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータ及び/又は上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイス。
(項目A1)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A2)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリルアミド単位及び/又はN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド由来単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A3)
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、10モル%~99.97モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A4)
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、60モル%~99.96モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A5)
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、75モル%~99.955モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A6)
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、99モル%~99.95モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A7)
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、99モル%~99.97モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A8)
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、10質量%~99.95質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A9)
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、60質量%~99.94質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A10)
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、85質量%~99.91質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A11)
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、99.1質量%~99.9質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A12)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A13)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アリルスルホン酸単位、(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸単位、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム単位及び(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸単位からなる群から選択される1つ以上を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A14)
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~1モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A15)
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.01モル%~0.95モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A16)
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.03モル%~0.7モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A17)
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.05モル%~0.5モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A18)
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~1質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A19)
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.01質量%~0.9質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A20)
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.02質量%~0.8質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A21)
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.05質量%~0.3質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A22)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A23)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸ナトリウム単位、(メタ)アクリル酸リチウム単位からなる群から選択される1つ以上を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A24)
モル%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~40モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A25)
モル%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~10モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A26)
質量%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~30質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A27)
質量%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~10質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A28)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、α,β-不飽和ニトリル単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A29)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリロニトリル単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A30)
モル%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~40モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A31)
モル%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~10モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A32)
質量%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~30質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A33)
質量%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~10質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A34)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、多官能モノマー単位を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A35)
前記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミド単位、トリ(アリル基)含有モノマー単位及びトリ((メタ)アクリロイル基)含有トリアジン単位からなる群から選択される1つ以上を含む、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A36)
モル%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0モル%~0.3モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A37)
モル%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.05モル%~0.2モル%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A38)
質量%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0質量%~0.3質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A39)
質量%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、0.05質量%~0.2質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A40)
質量%含有量(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、1質量%~20質量%である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A41)
2価以上の金属イオンは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン及びマンガンイオンからなる群から選択される1つ以上である、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A42)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.001質量ppm~47質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A43)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.01質量ppm~46質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A44)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.01質量ppm~35質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A45)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.1質量ppm~25質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A46)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.1質量ppm~15.4質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目A47)
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、0.1質量ppm~9.9質量ppmである、上記項目のいずれか1項に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
【0009】
上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、良好な塗工性、良好な非導電性粒子結着性である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、A3、A2、A1(A3>A2>A1とする)等が挙げられる場合、数値αの範囲は、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0012】
本発明が解決しようとする課題が解決される限り、各成分、条件、数値等は、特に限定されない。
【0013】
「αβ量(A/B)」は、B100αに対するAのβ量(α)を意味する。αは、例えば、質量%、モル%、質量部等が挙げられる。β量は、例えば、含有量、使用量等が挙げられる。「質量%含有量(A/B)」は、B100質量%に対するAの含有量(質量%)を意味する。
【0014】
「γ比(A/B)」は、式「A÷B」により算出されるγ比を意味する。γ比は、例えば、質量比、モル比等が挙げられる。
【0015】
「(メタ)アクリル」は、「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0016】
アルキル基は、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
【0017】
直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が挙げられる。
【0018】
分岐アルキル基は、例えば、i-プロピル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が挙げられる。
【0019】
「シクロアルキル基」は、環状構造を有する、-CnH2n+1で表される基を意味する。シクロアルキル基は、例えば、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が挙げられる。
【0020】
「単環」は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。「縮合環」は、2つ以上の単環が2つの原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。「架橋環」は、2つ以上の単環が3つ以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0021】
単環シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
架橋環シクロアルキル基は、例えば、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0023】
[蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液:水溶液]
本開示は、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド及び2価以上の金属イオンを含み、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液の質量に基づくと、前記2価以上の金属イオンの含有量は、0.001質量ppm~47質量ppmである、
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液に関する。
【0024】
<水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド>
水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0025】
「水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド」は、(メタ)アクリルアミド基含有化合物を構成単位に含む水溶性ポリマーを意味する。
【0026】
「水溶性」は、25℃において、その化合物0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5質量%未満(2.5mg未満)であることを意味する。
【0027】
水不溶分(ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.3質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0028】
((メタ)アクリルアミド基含有化合物)
(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0029】
1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、下記構造式により表される。
【化1】
(式中、R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
R
2及びR
3は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又はアセチル基から選択される。或いはR
2及びR
3は、一緒になって環構造を形成する基である。
R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、ヒドロキシ基、置換若しくは非置換のアミノ基、アセチル基から選択される。)
【0030】
置換基(置換アミノ基)は、例えば、置換若しくは非置換のアルキル基等が挙げられる。
【0031】
置換基(置換アルキル基)は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基(-NH2)、アセチル基等が挙げられる。
【0032】
環構造は、例えば、モルホリル基等が挙げられる。
【0033】
(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0034】
1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、好ましくは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0035】
水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド100モル%に基づくと、(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位の含有量は、例えば、99.97モル%、99.96モル%、99.955モル%、99.95モル%、99.94モル%、99.92モル%、99.90モル%、99.85モル%、99.80モル%、99.75モル%、99.70モル%、99.65モル%、99.6モル%、99.5モル%、99.4モル%、99.3モル%、99.2モル%、99.1モル%、99モル%、98モル%、95モル%、90モル%、89モル%、85モル%、80モル%、75モル%、70モル%、65モル%、60モル%、55モル%、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10モル%~99.97モル%が挙げられ、より好ましくは、60モル%~99.96モル%が挙げられ、さらに好ましくは、75モル%~99.955モル%が挙げられ、特に好ましくは、99モル%~99.95モル%が挙げられる。
【0036】
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、99.95質量%、99.94質量%、99.91質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%、99.1質量%、99質量%、98質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%~99.95質量%が挙げられ、より好ましくは、60質量%~99.94質量%が挙げられ、さらに好ましくは、85質量%~99.91質量%が挙げられ、特に好ましくは、99.1質量%~99.9質量%が挙げられる。
【0037】
(不飽和スルホン酸及び/又はその塩)
1つの実施形態において、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、任意で、不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位を含み得る。不飽和スルホン酸及び/又はその塩は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0038】
不飽和スルホン酸は、例えば、α,β-エチレン性不飽和スルホン酸、(メタ)アクリルアミド基含有不飽和スルホン酸、不飽和スルホン酸カルボン酸エステル等が挙げられる。
【0039】
α,β-エチレン性不飽和スルホン酸は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。
【0040】
(メタ)アクリルアミド基含有不飽和スルホン酸は、例えば、(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0041】
不飽和スルホン酸カルボン酸エステルは、例えば、3-スルホプロパン(メタ)アクリル酸エステル、ビス-(3-スルホプロピル)イタコン酸エステル等が挙げられる。
等が挙げられる。
【0042】
「(メタ)アクリルアミド基含有化合物」にも「不飽和スルホン酸及び/又はその塩」にも該当する化合物は、「不飽和スルホン酸及び/又はその塩」とする。
【0043】
不飽和スルホン酸塩は、例えば、不飽和スルホン酸無機塩、不飽和スルホン酸有機塩等が挙げられる。
【0044】
不飽和スルホン酸無機塩は、例えば、不飽和スルホン酸ナトリウム塩、不飽和スルホン酸リチウム塩、不飽和スルホン酸カルシウム塩等が挙げられる。
【0045】
不飽和スルホン酸有機塩は、例えば、不飽和スルホン酸アンモニウム塩、不飽和スルホン酸アミン塩等が挙げられる。
【0046】
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、1モル%、0.95モル%、0.9モル%、0.85モル%、0.8モル%、0.75モル%、0.7モル%、0.65モル%、0.6モル%、0.55モル%、0.5モル%、0.45モル%、0.4モル%、0.35モル%、0.3モル%、0.25モル%、0.2モル%、0.15モル%、0.1モル%、0.05モル%、0.04モル%、0.03モル%、0.02モル%、0.01モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~1モル%が挙げられ、より好ましくは、0.01モル%~0.95モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.03モル%~0.7モル%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0.05モル%~0.5モル%が挙げられる。
【0047】
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、1質量%、0.95質量%、0.9質量%、0.85質量%、0.8質量%、0.75質量%、0.7質量%、0.65質量%、0.6質量%、0.55質量%、0.5質量%、0.45質量%、0.4質量%、0.35質量%、0.3質量%、0.25質量%、0.2質量%、0.15質量%、0.1質量%、0.05質量%、0.01質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~1質量%が挙げられ、より好ましくは、0.01質量%~0.9質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.02質量%~0.8質量%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0.05質量%~0.3質量%が挙げられる。
【0048】
(不飽和カルボン酸及び/又はその塩)
1つの実施形態において、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、任意で、不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位を含み得る。不飽和カルボン酸及び/又はその塩は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0049】
不飽和カルボン酸は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0050】
不飽和カルボン酸塩は、例えば、不飽和カルボン酸無機塩、不飽和カルボン酸有機塩等が挙げられる。
【0051】
不飽和カルボン酸無機塩は、例えば、不飽和カルボン酸ナトリウム塩、不飽和カルボン酸リチウム塩、不飽和カルボン酸カルシウム塩等が挙げられる。
【0052】
不飽和カルボン酸有機塩は、例えば、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、不飽和カルボン酸アミン塩等が挙げられる。
【0053】
モル%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、4モル%、2モル%、1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~40モル%が挙げられ、より好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0モル%~5モル%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0モル%~1モル%が挙げられる。
【0054】
質量%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、30質量%、29質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~30質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~25質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられる。
【0055】
(α,β-不飽和ニトリル)
1つの実施形態において、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、任意で、α,β-不飽和ニトリル単位を含み得る。α,β-不飽和ニトリルは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0056】
α,β-不飽和ニトリルは、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α-クロル(メタ)アクリロニトリル、α-エチル(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。
【0057】
モル%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、4モル%、2モル%、1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~40モル%が挙げられ、より好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0モル%~5モル%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0モル%~1モル%が挙げられる。
【0058】
質量%含有量(α,β-不飽和ニトリル単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~30質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~25質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、よりさらに好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられる。
【0059】
(多官能モノマー)
1つの実施形態において、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、任意で、多官能モノマー単位を含み得る。多官能モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0060】
「多官能モノマー」は、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを意味する。
【0061】
多官能モノマーは、例えば、N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、トリ(アリル基)含有モノマー、トリ((メタ)アクリロイル基)含有トリアジン等が挙げられる。
【0062】
N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミドは、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0063】
トリ(アリル基)含有モノマーは、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリアリルアミン、トリアリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0064】
トリ((メタ)アクリロイル基)含有トリアジンは、例えば、1,3,5-トリ((メタ)アクリロイル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリ((メタ)アクリロイル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0065】
モル%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、10モル%、9モル%、8モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.3モル%、0.2モル%、0.15モル%、0.1モル%、0.05モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、より好ましくは、0モル%~0.3モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.05モル%~0.2モル%が挙げられる。
【0066】
質量%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%、0.05質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~0.3質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.05質量%~0.2質量%が挙げられる。
【0067】
(上記のいずれでもない単量体:その他成分)
上記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドは、任意で、(メタ)アクリルアミド基含有化合物、不飽和カルボン酸及び/又はその塩、不飽和スルホン酸及び/又はその塩、α,β-不飽和ニトリルのいずれでもない単量体(その他成分)単位を含み得る。その他成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0068】
その他成分は、例えば、不飽和リン酸、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル、共役ジエン及び芳香族ビニル化合物並びにその塩等が挙げられる。
【0069】
不飽和リン酸は、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、モノメチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げられる。
【0070】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、水酸基含有直鎖(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有分岐(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0071】
水酸基含有直鎖(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0072】
水酸基含有分岐(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチルエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1-エチル-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0073】
水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有置換(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0074】
水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。
【0075】
水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸i-アミル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0076】
水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0077】
共役ジエンは、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン、置換及び側鎖共役ヘキサジエン等が挙げられる。
【0078】
芳香族ビニル化合物は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0079】
質量%含有量(その他成分単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、10質量%未満、9質量%未満、7質量%未満、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.7質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%未満が挙げられ、より好ましくは、5質量%未満が挙げられ、さらに好ましくは、1質量%未満が挙げられ、特に好ましくは、0質量%が挙げられる。
【0080】
モル%含有量(その他成分単位/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、10モル%未満、9モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0モル%が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10モル%未満が挙げられ、より好ましくは、5モル%未満が挙げられ、さらに好ましくは、1モル%未満が挙げられ、特に好ましくは、0モル%が挙げられる。
【0081】
<製造方法(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)>
製造方法(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、ラジカル重合法等が挙げられる。1つの実施形態において、重合温度は、好ましくは、50℃~100℃が挙げられる。1つの実施形態において、重合時間は、好ましくは、1時間~10時間が挙げられる。
【0082】
ラジカル重合開始剤は、例えば、アゾ系開始剤、過硫酸塩、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
【0083】
アゾ系開始剤は、例えば、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩等が挙げられる。
【0084】
過硫酸塩は、例えば、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0085】
レドックス系重合開始剤は、例えば、上記過硫酸塩と還元剤とを組み合わせた系等が挙げられる。
【0086】
還元剤は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0087】
質量%使用量(ラジカル重合開始剤/単量体群)は、好ましくは、0.05質量%~5.0質量%が挙げられ、より好ましくは、0.1質量%~3.0質量%が挙げられる。
【0088】
<物性等(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)>
重量平均分子量(Mw:水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、600万、550万、500万、450万、400万、350万、300万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、35万、30万、25万、20万、15万、10万等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、好ましくは、10万~600万が挙げられ、より好ましくは、35万~600万が挙げられる。
【0089】
数平均分子量(Mn:水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、600万、550万、500万、450万、400万、350万、300万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、30万、20万、10万、5万、1万等が挙げられる。1つの実施形態において、上記数平均分子量は、好ましくは、1万以上が挙げられる。
【0090】
分子量分布(Mw/Mn:水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、15、14、13、11、10、9、7.5、5、4、3、2.9、2.5、2、1.5、1.1等が挙げられる。1つの実施形態において、上記分子量分布は、好ましくは、1.1~15が挙げられる。
【0091】
測定条件(重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布)は、例えば、下記条件等が挙げられる。
・測定機器:東ソー(株)製、GPC(型番:HLC-8420)
・カラム:TSKgel guardcolum PWXL、TSK-GEL G4000、TSK-GEL α-M(以上東ソー(株)製)
・溶離液:0.2M NaNO3 50mMリン酸緩衝液/アセトニトリル=90/10(v/v)水溶液
・カラム温度:40℃
・検量線:標準ポリエチレンオキシド-ポリエチレングリコール
・測定方法:水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドの濃度が0.10質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
【0092】
B型粘度(上記水溶液)は、例えば、10万mPa・s、9万mPa・s、8万mPa・s、7万mPa・s、6万mPa・s、5万mPa・s、4万mPa・s、3万mPa・s、2万mPa・s、1万mPa・s、9000mPa・s、8000mPa・s、7000mPa・s、6000mPa・s、5000mPa・s、4000mPa・s、3000mPa・s、2000mPa・s、1000mPa・s等が挙げられる。1つの実施形態において、B型粘度は、好ましくは、1000mPa・s~10万mPa・sが挙げられる。
【0093】
測定条件(B型粘度)は、例えば、下記条件等が挙げられる。
固形分濃度:15質量%
測定温度:25℃
B型粘度計:東機産業株式会社製 製品名「B型粘度計モデルBM」
粘度100mPa・s~10000mPa・s:No.3ローター、回転数12rpm
粘度10000mPa・s超20000mPa・s:No.3ローター、回転数6rpm
粘度20000mPa・s超100000mPa・s:No.4ローター、回転数6rpm
【0094】
ガラス転移温度(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、0℃以上が挙げられ、より好ましくは、30℃以上が挙げられる。好ましい理由は、例えば、機械的強度向上、耐熱性向上等が挙げられる。
【0095】
単量体のホモポリマーのガラス転移温度及び単量体の質量分率に基づいて、ポリマーのガラス転移温度は、Foxの式により計算され得る。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+(W3/Tg3)+・・・+(Wn/Tgn)
[Foxの式中、Tgは、求めようとしているポリマーのガラス転移温度(K)、W1~Wnは、各単量体の質量分率、Tg1~Tgnは、各単量体のホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す]
【0096】
単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)等により測定され得る。
ガラス転移温度の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
温度範囲:-100℃~300℃
昇温速度:10℃/min
【0097】
単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、文献に記載されている値も採用され得る。文献は、例えば、「化学便覧 基礎編II 日本化学会編 (改訂5版)」、p325等が挙げられる。単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、下記温度等が挙げられる。
アクリルアミド:165℃
アクリル酸:106℃
アクリル酸ヒドロキシエチル:-15℃
アクリロニトリル:105℃
【0098】
質量%含有量(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、20質量%、19質量%、15質量%、14質量%、12質量%、10質量%、9質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1~20質量%が挙げられる。
【0099】
<2価以上の金属イオン>
2価以上の金属イオンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0100】
2価以上の金属イオンは、例えば、2価以上の典型金属イオン、2価以上の遷移金属イオン等が挙げられる。
【0101】
2価以上の典型金属イオンは、例えば、アルカリ土類金属イオン、13族金属イオン等が挙げられる。
【0102】
アルカリ土類金属イオンは、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。
【0103】
13族金属イオンは、例えば、アルミニウムイオン等が挙げられる。
【0104】
2価以上の遷移金属イオンは、例えば、第4周期遷移金属イオン、第5周期遷移金属イオン、第6周期遷移金属イオン等が挙げられる。
【0105】
第4周期遷移金属イオンは、例えば、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン等が挙げられる。
【0106】
第5周期遷移金属イオンは、例えば、ルテニウムイオン、ロジウムイオン等が挙げられる。
【0107】
第6周期遷移金属イオンは、例えば、白金イオン、金イオン等が挙げられる。
【0108】
2価以上の金属イオンは、対応する金属塩として水溶液に添加され得る。
【0109】
1つの実施形態において、2価以上の金属イオンは、好ましくは、アルカリ土類金属イオン、第4周期遷移金属イオンが挙げられ、より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオンが挙げられる。
【0110】
質量ppm含有量(2価以上の金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、47質量ppm、46質量ppm、45質量ppm、40質量ppm、35質量ppm、30質量ppm、25質量ppm、20質量ppm、16質量ppm、15.4質量ppm、15質量ppm、11質量ppm、10質量ppm、9.9質量ppm、9質量ppm、7質量ppm、5質量ppm、4.9質量ppm、4.8質量ppm、4.7質量ppm、4.5質量ppm、4.0質量ppm、3.5質量ppm、3.0質量ppm、2.5質量ppm、2.0質量ppm、1.5質量ppm、1.0質量ppm、0.9質量ppm、0.7質量ppm、0.6質量ppm、0.5質量ppm、0.4質量ppm、0.2質量ppm、0.1質量ppm、0.09質量ppm、0.05質量ppm、0.03質量ppm、0.01質量ppm、0.009質量ppm、0.005質量ppm、0.002質量ppm、0.001質量ppm等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.001~47質量ppmが挙げられ、より好ましくは、0.01~46質量ppmが挙げられ、さらに好ましくは、0.01質量ppm~35質量ppmが挙げられ、よりさらに好ましくは、0.1質量ppm~25質量ppmが挙げられ、0.1質量ppm~15.4質量ppmが挙げられ、より特に好ましくは、0.1質量ppm~9.9質量ppmが挙げられる。特に好ましい理由は、例えば、結着性向上等が挙げられる。
【0111】
質量ppm含有量(2価以上の典型金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、47質量ppm、45質量ppm、40質量ppm、35質量ppm、30質量ppm、25質量ppm、20質量ppm、16質量ppm、15.4質量ppm、15質量ppm、11質量ppm、10質量ppm、9.9質量ppm、9質量ppm、7質量ppm、5質量ppm、4.9質量ppm、4.8質量ppm、4.7質量ppm、4.5質量ppm、4.0質量ppm、3.5質量ppm、3.0質量ppm、2.5質量ppm、2.0質量ppm、1.5質量ppm、1.0質量ppm、0.9質量ppm、0.7質量ppm、0.6質量ppm、0.5質量ppm、0.4質量ppm、0.2質量ppm、0.1質量ppm、0.09質量ppm、0.05質量ppm、0.03質量ppm、0.01質量ppm、0.009質量ppm、0.005質量ppm、0.002質量ppm、0.001質量ppm、0質量ppm等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量ppm~47質量ppmが挙げられ、より好ましくは、0質量ppm~35質量ppmが挙げられ、さらに好ましくは、0.01質量ppm~12質量ppmが挙げられ、特に好ましくは、0.1質量ppm~9.9質量ppmが挙げられる。特に好ましい理由は、例えば、結着性向上等が挙げられる。
【0112】
質量ppm含有量(2価以上の遷移金属イオン/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、47質量ppm、45質量ppm、40質量ppm、35質量ppm、30質量ppm、25質量ppm、20質量ppm、16質量ppm、15.4質量ppm、15質量ppm、11質量ppm、10質量ppm、9.9質量ppm、9質量ppm、7質量ppm、5質量ppm、4.9質量ppm、4.8質量ppm、4.7質量ppm、4.5質量ppm、4.0質量ppm、3.5質量ppm、3.0質量ppm、2.5質量ppm、2.0質量ppm、1.5質量ppm、1.0質量ppm、0.9質量ppm、0.7質量ppm、0.6質量ppm、0.5質量ppm、0.4質量ppm、0.2質量ppm、0.1質量ppm、0.09質量ppm、0.05質量ppm、0.03質量ppm、0.01質量ppm、0.009質量ppm、0.005質量ppm、0.002質量ppm、0.001質量ppm、0質量ppm等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量ppm~47質量ppmが挙げられ、より好ましくは、0質量ppm~11質量ppmが挙げられ、さらに好ましくは、0.01質量ppm~5質量ppmが挙げられ、特に好ましくは、0.1質量ppm~3質量ppmが挙げられる。さらに好ましい理由は、例えば、結着性向上等が挙げられる。
【0113】
2価以上の金属イオンの含有量の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
測定方法:ICP-MS
希釈溶媒:1%硝酸超純水
希釈濃度:0.25%
【0114】
<水>
水は、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水及び水道水等が挙げられる。
【0115】
質量%含有量(水/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、99.9質量%、99質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、80質量%~99.9質量%が挙げられる。
【0116】
質量比〔水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド/水〕は、例えば、0.25、0.24、0.22、0.20、0.18、0.15、0.12、0.10、0.09、0.07、0.05等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.05~0.25が挙げられる。
【0117】
<その他バインダー>
1つの実施形態において、上記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、任意で、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド以外のバインダー(その他バインダー)を含み得る。その他バインダーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0118】
その他バインダーは、例えば、ジエン系共重合体、フッ素系共重合体、アミド・イミド系共重合体、上記以外の共重合体等が挙げられる。
【0119】
ジエン系共重合体は、例えば、スチレン-ブタジエン系共重合体、ポリブタジエン系重合体、アクリロニトリル-ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン系共重合体、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0120】
フッ素系共重合体は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
【0121】
アミド・イミド系共重合体は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド等が挙げられる。
【0122】
上記以外の共重合体は、例えば、ポリウレタン系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体、塩化ビニル系重合体、酢酸ビニル系重合体、酢酸ビニル-エチレン系共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系重合体、アルギン酸とその塩等が挙げられる。
【0123】
質量%含有量(その他バインダー/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、100質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、19質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~100質量%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、電極柔軟性向上、放電容量維持率向上等が挙げられる。
【0124】
<増粘剤>
1つの実施形態において、上記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、任意で、増粘剤を含み得る。増粘剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0125】
増粘剤は、例えば、セルロース系ポリマー及び/又はその塩、ポリビニルアルコール類、(変性)ポリ(メタ)アクリル酸及び/又はその塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、変性デンプン、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体水素化物等が挙げられる。
【0126】
セルロース系ポリマー及び/又はその塩は、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0127】
ポリビニルアルコール類は、例えば、(無水)マレイン酸及び/又はフマル酸とビニルアルコールとの共重合体等が挙げられる。
【0128】
質量%含有量(増粘剤/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、19質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0.5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられる。
【0129】
<添加剤>
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、任意で、添加剤として、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド、2価以上の金属イオン、水、その他バインダー、増粘剤のいずれにも該当しない剤を含み得る。添加剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0130】
添加剤は、例えば、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0131】
分散剤は、例えば、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、非イオン性分散剤、高分子分散剤等が挙げられる。
【0132】
レベリング剤は、例えば、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。
【0133】
酸化防止剤は、例えば、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、有機リン化合物、硫黄化合物、フェニレンジアミン化合物、ポリマー型フェノール化合物等が挙げられる。「ポリマー型フェノール化合物」は、フェノール構造を有する重合体を意味する。ポリマー型フェノール化合物の重量平均分子量は、好ましくは、200~1000が挙げられ、より好ましくは、600~700が挙げられる。
【0134】
質量%含有量(添加剤/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.09質量%未満、0.05質量%未満、0.04質量%未満、0.02質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0135】
質量%含有量(添加剤/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.09質量%未満、0.05質量%未満、0.04質量%未満、0.02質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0136】
pH(蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、9、8.9、8.5、8、7.9、7.5、7、6.9、6.5、6、5.9、5.6、5.5、5.4、5.2、5.1、5等が挙げられる。1つの実施形態において、上記pHは、好ましくは、5~9が挙げられる。好ましい理由は、例えば、溶液安定性向上等が挙げられる。
【0137】
測定条件(pH)は、例えば、下記条件等が挙げられる。
測定機器:株式会社堀場製作所製 製品名「pHメータ D-52」
測定温度:25℃
【0138】
用途(蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、電池セパレータバインダー水溶液、非水系二次電池セパレータバインダー水溶液、リチウムイオン電池セパレータバインダー水溶液、ナトリウムイオン電池セパレータバインダー水溶液等が挙げられる。
【0139】
[蓄電デバイスセパレータスラリー:スラリー]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液及び非導電性粒子を含む、蓄電デバイスセパレータスラリーに関する。
【0140】
「スラリー」は、液体と固体粒子の懸濁液を意味する。
【0141】
上記水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド、水、その他バインダー、増粘剤は、例えば、上述の剤等が挙げられる。
【0142】
質量%含有量(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド/蓄電デバイスセパレータスラリー不揮発分)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において質量%、上記含有量は質量%、好ましくは、0.1質量%~10質量%が挙げられる。
【0143】
質量%含有量(水/蓄電デバイスセパレータスラリー)は、例えば、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、30質量%~80質量%が挙げられる。
【0144】
含有量(その他バインダー)、含有量(増粘剤)は、例えば、上述の量等が挙げられる。
【0145】
<非導電性粒子>
非導電性粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0146】
非導電性粒子は、例えば、酸化物粒子、窒化物粒子、共有結合性結晶粒子、難溶性イオン結晶粒子、粘土微粒子等が挙げられる。
【0147】
酸化物粒子は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アルミニウムの水和物(ベーマイト(AlOOH)、ギブサイト(Al(OH)3)、ベークライト、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化カルシウム、酸化チタン(チタニア)、BaTiO3、ZrO、アルミナ-シリカ複合酸化物等が挙げられる。
【0148】
窒化物粒子は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等が挙げられる。
【0149】
共有結合性結晶粒子は、例えば、シリコン、ダイヤモンド等が挙げられる。
【0150】
難溶性イオン結晶粒子は、例えば、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等が挙げられる。
【0151】
粘土微粒子は、例えば、シリカ、タルク、モンモリロナイト等の粘土微粒子等が挙げられる。
【0152】
1つの実施形態において、非導電性粒子は、好ましくは、ベーマイト、アルミナ、酸化マグネシウム、硫酸バリウムが挙げられ、より好ましくは、ベーマイトが挙げられる。非導電性粒子がこれらである場合、セパレータの吸水性が低くなり、セパレータの耐熱性が高くなる。
【0153】
平均粒子径(非導電性粒子)は、例えば、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、0.1μm、0.05μm、0.01μm等が挙げられる。1つの実施形態において、上記平均粒子径は、好ましくは、0.01μm~30μmが挙げられる。
【0154】
質量%含有量(非導電性粒子/蓄電デバイスセパレータスラリー不揮発分)は、例えば、99.9質量%、95質量%、90質量%、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%、10質量%、5質量%、1質量%、0.5質量%、0.2質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.1質量%~99.9質量%が挙げられる。
【0155】
質量%含有量(水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド/非導電性粒子)は、例えば、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1.5質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~15質量%が挙げられ、より好ましくは、1.5質量%~14質量%が挙げられ、さらに好ましくは、2質量%~12質量%が挙げられる。
【0156】
<スラリー粘度調整溶媒>
1つの実施形態において、上記蓄電デバイスセパレータスラリーは、任意で、スラリー粘度調整溶媒を含み得る。スラリー粘度調整溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0157】
スラリー粘度調整溶媒は、例えば、アミド溶媒、炭化水素溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、アミン溶媒、ラクトン溶媒、スルホキシド・スルホン溶媒、水等が挙げられる。
【0158】
アミド溶媒は、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0159】
炭化水素溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、n-ドデカン、テトラリン等が挙げられる。
【0160】
アルコール溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロピルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ノナノール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
【0161】
ケトン溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等が挙げられる。
【0162】
エーテル溶媒は、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0163】
エステル溶媒は、例えば、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
【0164】
アミン溶媒は、例えば、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン等が挙げられる。
【0165】
ラクトン溶媒は、例えば、γ-ブチロラクトン、δ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0166】
スルホキシド・スルホン溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
【0167】
1つの実施形態において、スラリー粘度調整溶媒は、好ましくは、N-メチルピロリドンが挙げられる。好ましい理由は、例えば、塗布作業性向上等が挙げられる。
【0168】
質量%含有量(スラリー粘度調整溶媒/蓄電デバイスセパレータスラリー)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられる。
【0169】
<添加剤>
上記スラリーは、任意で、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド、2価以上の金属イオン、水、その他バインダー、増粘剤、非導電性粒子、スラリー粘度調整溶媒のいずれにも該当しない剤(添加剤)を含み得る。添加剤は、例えば、上述した剤等が挙げられる。
【0170】
質量%含有量(添加剤/水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド)は、例えば、0質量%~5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0171】
質量%含有量(添加剤/非導電性粒子)は、例えば、0質量%~5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0172】
上記スラリーの製造は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミド、2価以上の金属イオン、非導電性粒子及び水並びに必要に応じてその他バインダー、増粘剤、スラリー粘度調整溶媒及び添加剤を混合することにより行われ得る。
【0173】
混合手段は、例えば、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー等が挙げられる。
【0174】
用途(蓄電デバイスセパレータスラリー)は、例えば、非水系二次電池セパレータスラリー、リチウムイオン電池セパレータスラリー、ナトリウムイオン電池セパレータスラリー等が挙げられる。
【0175】
[蓄電デバイスセパレータ:セパレータ]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータに関する。
【0176】
上記蓄電デバイスセパレータの製造は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーを基材の片面又は両面に塗布し乾燥させることにより行われ得る。
【0177】
基材は、例えば、多孔質のポリオレフィン樹脂基材、プラスチック製不織布等が挙げられる。
【0178】
(多孔質のポリオレフィン樹脂基材)
「多孔質のポリオレフィン樹脂基材」は、ポリオレフィン及びそれらの混合物又は共重合体等の樹脂を50質量%以上含む微多孔膜を意味する。
【0179】
ポリオレフィン樹脂は、単独又は2種以上で使用され得る。ポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のホモポリマー、コポリマー等が挙げられる。
【0180】
ポリオレフィンの立体構造は、例えば、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック等が挙げられる。
【0181】
1つの実施形態において、ポリオレフィン樹脂は、好ましくは、高密度ポリエチレンが挙げられ、より好ましくは、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0182】
1つの実施形態において、シャットダウン性能等の観点から、質量%含有量(ポリオレフィン樹脂/基材)は、好ましくは、50質量%~100質量%が挙げられ、より好ましくは、60質量%~100質量%が挙げられ、さらに好ましくは、70質量%~100質量%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、シャットダウン性能向上等が挙げられる。
【0183】
多孔質のポリオレフィン樹脂基材は、任意で、フィラー、繊維化合物を含み得る。多孔質のポリオレフィン樹脂基材の強度、硬度、熱収縮率は、フィラー、繊維化合物により制御され得る。
【0184】
多孔質のポリオレフィン樹脂基材は、必要に応じて、表面処理が行われ得る。
【0185】
表面処理は、例えば、被覆処理、電磁線処理、プラズマ処理等が挙げられる。
【0186】
1つの実施形態において、表面処理は、好ましくは、極性基含有高分子による被覆処理が挙げられる。上記被覆処理により、電解液含侵性、スラリー乾燥物との密着性が高められ得る。極性基は、例えば、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0187】
1つの実施形態において、厚さ(多孔質のポリオレフィン樹脂基材)は、好ましくは、2μm~100μmが挙げられ、より好ましくは、5μm~50μmが挙げられる。
【0188】
(プラスチック製不織布)
プラスチック製不織布は、例えば、合成繊維のみから構成される不織布等が挙げられる。
【0189】
材料(合成繊維)は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、アニリン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアゾメチン系樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂等が挙げられる。
【0190】
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。
【0191】
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)系樹脂、ポリエチレンメフタレート(PEN)系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ポリエチレンイソナフタレート系樹脂、全芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0192】
アクリロニトリル系樹脂は、例えば、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルと(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等との共重合物等が挙げられる。
【0193】
ポリアミド系樹脂は、例えば、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド等が挙げられる。
【0194】
脂肪族ポリアミドは、例えば、ナイロン等が挙げられる。
【0195】
全芳香族ポリアミドは、例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド-3,4-ジフェニルエーテルテレフタルアミド、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミド等が挙げられる。
【0196】
「半芳香族ポリアミド」は、芳香族ポリアミドの主鎖の一部が脂肪鎖であるポリイミドを意味する。
【0197】
繊維(プラスチック製不織布)は、任意で、合成樹脂繊維以外の繊維を含み得る。
【0198】
合成樹脂繊維以外の繊維は、例えば、溶剤紡糸セルロース、溶剤紡糸セルロースのフィブリル化物、再生セルロース、再生セルロースのフィブリル化物、天然セルロース繊維、天然セルロース繊維のパルプ化物、天然セルロース繊維のフィブリル化物、無機繊維等が挙げられる。
【0199】
質量%含有量(合成繊維以外の繊維/不織布)は、好ましくは、30質量%以下が挙げられ、より好ましくは、20質量%以下が挙げられ、さらに好ましくは、10質量%以下が挙げられる。
【0200】
形態(繊維)は、例えば、単繊維、複合繊維等が挙げられる。
【0201】
「単繊維」は、単一の樹脂からなる繊維を意味する。「複合繊維」は、2種以上の樹脂からなる繊維を意味する。
【0202】
複合繊維は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型等が挙げられる。
【0203】
1つの実施形態において、平均繊維径(プラスチック製不織布)は、好ましくは、1μm~15μmが挙げられ、より好ましくは、1μm~10μmが挙げられる。
【0204】
「平均繊維径」は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選んだ20本の繊維の繊維径の平均値を意味する。
【0205】
1つの実施形態において、平均ポア径(プラスチック製不織布)は、好ましくは、1μm~20μmが挙げられ、より好ましくは、3μm~20μmが挙げられ、さらに好ましくは、5μm~20μmが挙げられる。
【0206】
「ポア径」は、繊維同士の隙間の幅を意味する。「平均ポア径」は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選んだ20本の繊維のポア径の平均値を意味する。
【0207】
厚さ(プラスチック製不織布)は、好ましくは、5μm~25μmが挙げられ、より好ましくは、5μm~15μmが挙げられる。
【0208】
<製造方法(蓄電デバイスセパレータ)>
製造方法(蓄電デバイスセパレータ)は、例えば、基材に蓄電デバイスセパレータスラリーを塗工する塗工工程、塗工した蓄電デバイスセパレータスラリーを乾燥する乾燥工程を含む方法等が挙げられる。
【0209】
(塗工工程)
塗工方法は、例えば、塗工方式、印刷方式、転写方式、浸漬方式等が挙げられる。
【0210】
塗工方式は、例えば、ブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等が挙げられる。
【0211】
印刷方式は、例えば、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等が挙げられる。
【0212】
転写方式は、例えば、ロール転写、フィルム転写等が挙げられる。
【0213】
浸漬方式は、例えば、ディッピング等が挙げられる。
【0214】
(乾燥工程)
乾燥方法は、例えば、風(温風、熱風、低湿風等)による乾燥、照射(赤外線、遠赤外線、電子線等)による乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
【0215】
乾燥温度は、好ましくは、40℃~90℃が挙げられ、より好ましくは、50℃~80℃が挙げられる。
【0216】
乾燥時間は、好ましくは、5秒~3分が挙げられ、より好ましくは、15秒~2分が挙げられる。
【0217】
上記蓄電デバイスセパレータの製造方法は、任意で、プレス工程を含み得る。
【0218】
プレス手段は、例えば、金型プレス、ロールプレス等が挙げられる。
【0219】
上記蓄電デバイスセパレータは、例えば、電池セパレータ、非水系二次電池セパレータ、リチウムイオン電池セパレータ、ナトリウムイオン電池セパレータ等として使用され得る。
【0220】
[蓄電デバイスセパレータ/電極積層体:セパレータ/電極積層体]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体に関する。蓄電デバイスセパレータ/電極積層体は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーを電極に塗布し乾燥させることにより得られる。
【0221】
蓄電デバイスセパレータ/電極積層体の製造方法は、例えば、下記工程を含む方法等が挙げられる。
(1)集電体に電極材料含有スラリーを塗布する工程
(2)電極材料含有スラリーを乾燥させる工程
(3)電極材料含有スラリーの乾燥物をプレスする工程
(4)電極材料含有スラリーの乾燥物に蓄電デバイスセパレータスラリーを塗布する工程
(5)蓄電デバイスセパレータスラリーを乾燥させる工程
【0222】
塗布方法、乾燥方法、プレス方法は、例えば、上述の方法等が挙げられる。
【0223】
用途(蓄電デバイスセパレータ/電極積層体)は、例えば、電池セパレータ/電極積層体、電池セパレータ/負極積層体、電池セパレータ/正極積層体、非水系二次電池セパレータ/電極積層体、非水系二次電池セパレータ/負極積層体、非水系二次電池セパレータ/正極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/電極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/負極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/正極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/電極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/負極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/正極積層体等が挙げられる。
【0224】
[蓄電デバイス]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータ及び/又は上記蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイスに関する。
【0225】
(電解液)
蓄電デバイスは、電解液を含む。電解液は、例えば、非水系溶媒に支持電解質を溶解させた溶液等が挙げられる。
【0226】
非水系溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0227】
非水系溶媒は、例えば、鎖状カーボネート溶媒、環状カーボネート溶媒、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状エステル溶媒、環状エステル溶媒、アセトニトリル等が挙げられる。
【0228】
鎖状カーボネート溶媒は、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。
【0229】
環状カーボネート溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
【0230】
鎖状エーテル溶媒は、例えば、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
【0231】
環状エーテル溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3-ジオキソラン等が挙げられる。
【0232】
鎖状エステル溶媒は、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0233】
環状エステル溶媒は、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。
【0234】
1つの実施形態において、非水系溶媒は、好ましくは、環状カーボネート及び鎖状カーボネートの組み合わせが挙げられる。
【0235】
支持電解質は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0236】
支持電解質は、例えば、リチウム塩等が挙げられる。リチウム塩は、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLi等が挙げられる。1つの実施形態において、リチウムイオン伝導度を高くする観点から、支持電解質は、好ましくは、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが挙げられる。
【0237】
1つの実施形態において、非水系電解液は、任意で、被膜形成剤を含み得る。被膜形成剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0238】
被膜形成剤は、例えば、カーボネート、アルケンサルファイド、スルトン、酸無水物等が挙げられる。
【0239】
カーボネートは、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0240】
アルケンサルファイドは、例えば、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド等が挙げられる。
【0241】
スルトンは、例えば、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン等が挙げられる。
【0242】
酸無水物は、例えば、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられる。
【0243】
1つの実施形態において、質量%含有量(被膜形成剤/電解液全量)は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~8質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられ、特に好ましくは、0質量%~2質量%が挙げられる。
【0244】
形態(蓄電デバイス)は、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
【0245】
製造方法(蓄電デバイス)は、例えば、特開2013-089437号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0246】
用途(蓄電デバイス)は、例えば、電池、非水系二次電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池等が挙げられる。
【実施例】
【0247】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の説明及び以下の実施例は、本発明を限定する目的で記載されていない。本発明は、特許請求の範囲のみにより限定される。以下特に説明がない限り、部、%等の数値は、質量基準である。
【0248】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、超純水2300g、アクリルアミド400g(5.63mol)、メタリルスルホン酸ナトリウム8.05g(0.051mol)を入れた。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、50℃まで昇温した。そこに2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC-32」)4.0g、超純水30gを投入し、80℃まで昇温し3時間反応を行い、水溶液を得た。得られた水溶液に、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硝酸第二鉄を金属イオンが下記表に記載の値になる量加え、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を得た。
【0249】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0250】
【0251】
<略称の説明>
・AM:アクリルアミド(三菱ケミカル(株)製 「50%アクリルアミド」)
・DMAA:N,N-ジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製 「DMAA」)
・SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
・ATBS:アクリルアミドt-ブチルスルホン酸(東亞合成(株)製 「ATBS」)
・AA:アクリル酸(大阪有機化学工業(株)製 「80%アクリル酸」)
・MAA:メタクリル酸(三菱ケミカル株式会社製 「メタクリル酸」)
・AANa:アクリル酸由来の構成単位を水酸化ナトリウム(関東化学(株)製 「48%水酸化ナトリウム溶液」)を用いて中和することにより生成
・MAANa:メタクリル酸由来の構成単位を水酸化ナトリウム(関東化学(株)製 「48%水酸化ナトリウム溶液」)を用いて中和することにより生成
・AN:アクリロニトリル(三菱ケミカル(株)製 「アクリロニトリル」)
・MBAA:N,N’-メチレンビスアクリルアミド
・ポリビニルアルコール:平均重合度約3100~3900 部分けん化型
・カルボキシメチルセルロースナトリウム:第一工業製薬(株)製 1%水溶液 7800mPa・s
【0252】
<蓄電デバイスセパレータの動作評価>
(1)蓄電デバイスセパレータスラリーの製造
実施例で得られた蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液5質量部(固形分換算)、水113質量部を撹拌混合し、非導電性粒子としてベーマイト(平均粒径0.8μm)を100質量部加え、ホモジナイザー(IKA社製 T25 digital ULTRA-TURRAX)で15000rpm 60分間、分散撹拌させた。さらにイオン交換水を加えて粘度を調整し、蓄電デバイスセパレータスラリーを製造した。
【0253】
(2)セパレータの製造:セパレータ用スラリーの層(コーティング層)の積層
幅250mm、長さ200mm、厚さ6μmの湿式法により製造された単層ポリエチレン製セパレータ基材(PE基材)を用意した。上記蓄電デバイスセパレータスラリーをセパレータの一方の面上に、乾燥後の厚みが3.0μmになるようにグラビアコーターを用いて塗工、乾燥し、蓄電デバイスセパレータを得た。
【0254】
(3)蓄電デバイスの製造
上記セパレータ及び下記材料を用いて、蓄電デバイスを製造した。実施例の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を用いて製造した蓄電デバイスは、問題なく機能した。
正極活物質:ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
負極活物質:グラファイト
電解液:ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の1mol/L炭酸エチレン(EC)/炭酸ジメチル(DMC)(容量比3/7)の混合溶媒溶液
【0255】
<塗工性>
蓄電デバイスバインダー水溶液をプラスチック製不織布にバーコーターを用いて塗工した。塗工後の不織布を下記基準にて評価した。
○:塗工スジやかすれが生じていない。
×:塗工スジやかすれが生じている。
【0256】
<非導電性粒子結着性>
得られたセパレータを10cm×10cm四方に切り出し、正確に質量(X0)を秤量し、一方を厚紙に貼りつけ固定した後、セラミック層側に綿布で覆った直径5cm、900gの分銅を乗せ、これらを50rpmの回転数で10分間擦り合わせた。その後、再度正確に質量(X1)を測定した。セパレータの耐粉落ち性を以下の基準により評価した。
非導電性粒子結着性={(X0-X1)/X0}×100
A:非導電性粒子結着性が2質量%未満
B:非導電性粒子結着性が2質量%以上5質量%未満
C:非導電性粒子結着性が5質量%以上