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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】棒状化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/10 20060101AFI20241119BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20241119BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A45D40/10
A45D40/00 R
B65D83/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024017542
(22)【出願日】2024-02-08
【審査請求日】2024-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】松岡 昌亨
(72)【発明者】
【氏名】湯下 大樹
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-161055(JP,A)
【文献】実開昭59-193179(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112806697(CN,A)
【文献】国際公開第2013/068660(WO,A1)
【文献】特開2009-242001(JP,A)
【文献】実開昭59-155016(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブとハカマ筒との相対回転により棒状化粧料を上下する繰り出し機構と、スリーブ内に収納した棒状化粧料を繰り出し機構ごと収納する外筒と、外筒内にスライド自在に収納されスリーブを先端側から嵌合して収納する収納凹部を有する内筒と、外筒の底部側に設置され内筒の底部側を押圧付勢するスプリングと、を備え、前記内筒の側面の一部に弾性舌片を形成すると共に、弾性舌片の外側に係止突起を突設した棒状化粧料容器において、
前記弾性舌片は、前記内筒の側面の一部を水平に切り欠いて周方向に沿った帯状に形成され、前記弾性舌片の先端外側に前記係止突起を突設すると共に、前記棒状化粧料の収納時に係止突起が内側から係止する収納係止窓と、前記棒状化粧料の使用時に係止突起が内側から突出する突出係止窓とを、前記外筒の側面の長手中央側に開口し、
外筒側面の長手中央において該収納係止窓と該突出係止窓とが長手方向に沿って連設され、該収納係止窓は該収納係止窓の上端より上方に設けられ、前記係止突起を押し込むための突出操作部が、該収納係止窓及び該突出係止窓に配置されていることを特徴とする棒状化粧料容器。
【請求項2】
前記外筒の断面形状は、前記ハカマ筒の断面形状と相似形状を成し、少なくとも側面の一部に平面部を有し、前記ハカマ筒を前記外筒内に回動不能に収納すると共に、該平面部に前記収納係止窓と前記突出係止窓とを形成した請求項1記載の棒状化粧料容器。
【請求項3】
前記外筒は、断面矩形状を成し長手中央部位に前記収納係止窓と前記突出係止窓とを形成した請求項1記載の棒状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、リップクリーム、スティックファンデーションなどの棒状化粧料をコンパクトに収納することができる棒状化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の棒状化粧料容器として、棒状化粧料を収納した保持筒(9)を、この保持筒(9)ごと容器体(8)に収納する収納容器が特許文献1に提案されている。この収納容器によると、棒状物品(A)を複数個収納する容器として構成され、棒状物品(A)を個々に収納する保持筒(9)の側面を切り欠いて弾性係止片(11)を設けている。そして、保持筒(9)の底部に配したばね(13)を保持筒(9)で圧縮し、弾性係止片(11)上端の長縁(6a)を容器体(8)の側壁(5)に設けた窓孔(6)の上部に内側から係止する。
【0003】
この状態で、窓孔(6)の外側から弾性係止片(11)を解除すると、ばね(13)の弾性力で保持筒(9)が差し込み口(4)方向に押圧付勢され棒状物品(A)が突出する。この保持筒(9)は、容器体(8)の中に並列設置され、複数個の棒状物品(A)を各保持筒(9)に収納し、格別に取り出すものである。
【0004】
一方、化粧に必要な用具を収納する収納筒が特許文献2に記載されている。この収納筒は、化粧用具(11)を収納する嵌合筒(4)の長手端部から長手方向に沿って舌片状の係止機構(8)を設けた構造である。
【0005】
この係止機構(8)は、舌片状を成した係止機構(8)の長手端部の外側に操作ピン(7)を突出した構成で、この操作ピン(7)を収納筒本体(1)の側面に形成した切割溝(3)にスライド自在に設けると共に、切割溝(3)の上端部に形成した係止溝(9)に、操作ピン(7)の周囲に形成した操作ピン根部(10)を係止する機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭59-193179号公報
【文献】特開2022-161055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の棒状物品収納容器は、保持筒(9)の側面を切り欠いて弾性係止片(11)を設けているので、保持筒(9)が径方向に変形する不都合があり棒状物品(A)の収納には適さない。しかも、棒状物品(A)を複数個収納することを目的としているので、単品の棒状物品(A)をコンパクトに収納することはできない構成である。
【0008】
一方、特許文献2の収納筒は、嵌合筒(4)の長手端部から長手方向に舌片状の係止機構(8)を延長しているので、嵌合筒(4)と係止機構(8)とを収納する収納筒本体(1)の全長が長くなる構成である。
【0009】
しかも、この係止機構(8)は、収納筒本体(1)の長手端部の外側に突出した操作ピン(7)を、収納筒本体(1)の側面に形成した切割溝(3)に沿って操作する構成なので、操作ピン(7)の操作位置は、化粧用具(11)の出没側とは反対の収納筒本体(1)の長手端部側になる。操作ピン(7)の操作位置がこのような位置にあると、操作性が悪くなる。
【0010】
棒状化粧料容器は、化粧料自体が口紅等の棒状であることから、容器全体の長さはできるだけコンパクトな構成が望まれている。しかも、コンパクトな容器でも取出し操作はできるだけ容易になることが更に望ましい。
【0011】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、棒状化粧料をコンパクトに収納することができ、しかも操作性に優れた棒状化粧料容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、スリーブ12とハカマ筒11との相対回転により棒状化粧料を上下する繰り出し機構10と、スリーブ12内に収納した棒状化粧料Pを繰り出し機構10ごと収納する外筒20と、外筒20内にスライド自在に収納されスリーブ12を先端側から嵌合して収納する収納凹部31を有する内筒30と、外筒20の底部側に設置され内筒30の底部側を押圧付勢するスプリング40と、を備え、前記内筒30の側面の一部に弾性舌片32を形成すると共に、弾性舌片32の外側に係止突起33を突設した棒状化粧料容器において、前記弾性舌片32は、前記内筒30の側面の一部を水平に切り欠いて周方向に沿った帯状に形成され、前記弾性舌片32の先端外側に前記係止突起33を突設すると共に、前記棒状化粧料Pの収納時に係止突起33が内側から係止する収納係止窓21と、前記棒状化粧料Pの使用時に係止突起33が内側から突出する突出係止窓22とを、前記外筒20の側面の長手中央側に開口し、外筒20側面の長手中央において該収納係止窓21と該突出係止窓22とが長手方向に沿って連設され、該収納係止窓21は該収納係止窓21の上端より上方に設けられ、前記係止突起33を押し込むための突出操作部が、該収納係止窓21及び該突出係止窓22に配置されていることにある。
【0013】
第2の手段の前記外筒20の断面形状は、前記ハカマ筒11の断面形状と相似形状を成し、少なくとも側面の一部に平面部を有し、前記ハカマ筒11を前記外筒20内に回動不能に収納すると共に、該平面部に前記収納係止窓21と前記突出係止窓22とを形成した。
【0014】
第3の手段の前記外筒20は、断面矩形状を成し長手中央部位に前記収納係止窓21と前記突出係止窓22とを形成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、内筒30の側面の一部に弾性舌片32を形成すると共に、弾性舌片32の外側に係止突起33を突設し、棒状化粧料P収納時に係止突起33が係止する収納係止窓21と、棒状化粧料P使用時に係止突起33が突出する突出係止窓22とを外筒20側面の長手中央側に開口したことにより、棒状化粧料をコンパクトに収納することができる。
【0018】
しかも、係止突起33は、内筒30の側面の一部に形成した弾性舌片32に突設して外筒20側面の長手中央側に開口した突出係止窓22から突出するものなので、係止突起33を操作する位置は、従来のように外筒20の長手端部がわに配置される不都合は解消された。この結果、コンパクトであっても操作性に優れた棒状化粧料容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図。
図2】本発明の一部切欠き斜視図。
図3】本発明の弾性舌片の位置を示す一部切欠き側面図。
図4】本発明の弾性舌片の位置を示す一部切欠き側面図。
図5】本発明の係止突起の位置を示す要部拡大側断面図。
図6】本発明の係止突起の位置を示す要部拡大側断面図。
図7】本発明の内筒の一実施例を示す斜視図。
図8】本発明の係止突起を示す要部拡大側断面図。
図9】本発明の弾性舌片を示す要部拡大側正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の基本構成は、繰り出し機構10、外筒20、内筒30、スプリング40を備えた構成である(図2参照)。
【0021】
繰り出し機構10は、スリーブ12とハカマ筒11との相対回転により棒状化粧料Pを上下する機構である。棒状化粧料Pはスリーブ12の中に出没自在に収納されている(図1参照)。
【0022】
外筒20は、スリーブ12内に収納した棒状化粧料Pを繰り出し機構10ごと収納する有底筒状を成す(図4参照)。図示の外筒20は断面矩形状を成している。そして外筒20側面の中央側に収納係止窓21と突出係止窓22とを長手方向に沿って連設している(図2参照)。図示例では、収納係止窓21と突出係止窓22とを矩形状に形成している。
【0023】
外筒20の断面形状は、ハカマ筒11の断面形状と相似形状を成すもので、少なくとも側面の一部に平面部を有するものであればよい(図1参照)。そして、ハカマ筒11を外筒20内に回動不能に収納する。図示では、この平面部に収納係止窓21と突出係止窓22とを形成している(図2参照)。
【0024】
内筒30は、外筒20内にスライド自在に収納される有底筒状の部材で、スリーブ12を先端側から嵌合して収納する収納凹部31を形成している(図3参照)。図示例では、内筒30の底部側をスプリング40が押圧付勢する構成である。そして、収納凹部31にスリーブ12を収納した後、更にハカマ筒11を押し込むと、内筒30が移動してスプリング40が圧縮状態になる(図4参照)。
【0025】
また、内筒30の側面の一部に弾性舌片32を形成すると共に、弾性舌片32の外側に係止突起33を突設している(図7参照)。図示の弾性舌片32は、収納筒体34の側面の一部を水平に切り欠いて周方向に沿った帯状に形成している(図9参照)。この弾性舌片32は、収納筒体34の側面に形成しているので、従来例のように内筒30の長手端部から弾性舌片32が突出することはなく、しかも、弾性舌片32を形成しても内筒30の強度は変わらないように構成している。
【0026】
すなわち、図示の内筒30は、収納凹部31を形成する収納筒体34と、この収納筒体34の上端側に形成され外筒20の内側面に嵌合する上部嵌合部35と、収納筒体34の下端側に形成され外筒20の内側面に嵌合する下部嵌合部36とを備えている(図7参照)。更に、下部嵌合部36の内部には、スプリング40の上端部を嵌合する収納筒部37を形成している(図3参照)。
【0027】
この弾性舌片32は、これら上部嵌合部35と下部嵌合部36との間の収納筒体34の側面を切り欠いて形成する。更に、係止突起33は、断面楔形状を成す(図8参照)。そして、棒状化粧料P収納時には、この係止突起33の上面が外筒20の収納係止窓21の上端部に係止している(図4参照)。この状態から、収納係止窓21の外側から外筒20内に係止突起33を押し込むと、係止状態が解除されスプリング40の押圧付勢力にて内筒30が上昇し、係止突起33は突出係止窓22に内側から突出する(図3参照)。
【0028】
更に、突出係止窓22に突出している係止突起33を下に押し込むと、突出係止窓22から収納係止窓21に移動した係止突起33の上面が収納係止窓21の上端に係止する(図5参照)。この際、これら収納係止窓21と突出係止窓22とを外筒20の長手中央側に形成することで、係止突起33を外筒20の長手中央側で操作することになりコンパクトなサイズの外筒20でも操作が容易になる(図2参照)。
【0029】
係止突起33を押し込むために外筒20の外側に押しボタン50を配置している(図1参照)。図示の押しボタン50は、収納係止窓21と突出係止窓22とにそれぞれ係止する係止部51を上下に有する棒状の部材である(図5参照)。更に、収納係止窓21に係止している係止突起33を外側から押し込む位置に解除突起52を設けている。
【0030】
そして、図5に示す係止突起33に、この解除突起52を外側から押し込むと、弾性舌片32が上昇して突出係止窓22に係止突起33が突出する(図6参照)。図示では、突出係止窓22の上端部に係止している係止部51の下端に、弾性舌片32の上端部が係止している。
【0031】
スプリング40は、外筒20の底部側に設置され内筒30の底部側を押圧付勢する弾性部材である。図示のスプリング40はコイルスプリングを使用し、内筒30の下部嵌合部36内に形成した収納筒部37に上端部を嵌合し、下端部を外筒20の底部に載置したものである(図3参照)。
【0032】
次に、本発明の使用手順を説明する。まず、棒状化粧料Pを収納する際に、スリーブ12内に収納した状態で内筒30の収納凹部31にスリーブ12の先端を挿入する(図3参照)。更に、ハカマ筒11を押して内筒30を底部方向に押し込むと、内筒30がスプリング40を圧縮し、弾性舌片32の係止突起33が突出係止窓22から収納係止窓21に移動し、収納係止窓21の上端部に係止する(図4参照)。
【0033】
次に、棒状化粧料Pを使用するには、突出係止窓22内の係止突起33を押しボタン50の解除突起52で押し込んで解除する(図5参照)。そうすると、スプリング40の押圧付勢力で内筒30が押し上げられ、係止突起33が突出係止窓22に移動する(図6参照)。この位置は、繰り出し機構10のハカマ筒11が外筒20から突出した位置になる(図2参照)。このハカマ筒11をつかんで収納凹部31からスリーブ12を取り出し、繰り出し機構10でスリーブ12から棒状化粧料Pを繰出して使用する(図1参照)。
【0034】
尚、本発明の構成は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。また、本発明の使用対象は、例えば、口紅、リップクリーム、スティックファンデーションなどの棒状化粧料の他、リップブラシ、フェイスブラシあるいは化粧用のパフ等の化粧に必要な棒状の用具を収納することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
P 棒状化粧料
10 繰り出し機構
11 ハカマ筒
12 スリーブ
20 外筒
21 収納係止窓
22 突出係止窓
30 内筒
31 収納凹部
32 弾性舌片
33 係止突起
34 収納筒体
35 上部嵌合部
36 下部嵌合部
37 収納筒部
40 スプリング
50 押しボタン
51 係止部
52 解除突起
【要約】
【課題】棒状化粧料をコンパクトに収納することができ、しかも操作性に優れた棒状化粧料容器を提供する。
【解決手段】内筒30の側面に弾性舌片32を形成し弾性舌片32に係止突起33を突設する。内筒30の側面の一部に弾性舌片32を形成する。弾性舌片32の外側に係止突起33を突設する。スプリング40圧縮時に係止突起33が係止する収納係止窓21を開口する。ハカマ筒11が突出すると係止突起33が係止する突出係止窓22を開口する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9