(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】位置を決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20241119BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
(21)【出願番号】P 2024507037
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2022028560
(87)【国際公開番号】W WO2023021934
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2024-02-05
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】クーパー カイル
(72)【発明者】
【氏名】スミス エリック
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11089566(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第113271621(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0302869(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デバイス(20)と対象物(10)に関する位置情報を決定するためのシステムであって、
対象物(10)に対して第1の固定位置に配置された第1のデバイス(40)と、
第1のデバイス(40)は、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイス(20)と通信することができ、
第1のデバイス(40)は、第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性を決定するように動作可能であり、
対象物(10)に対して第2の固定位置に配置された第2のデバイス(40)と、
第2のデバイス(40)は、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイス(20)と通信することができ、
第2のデバイス(40)は、第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性を決定するように動作可能であり、及び、
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力と、第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す、第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を決定するように動作可能なコントローラ(58)と、を備え、
コントローラ(58)は、超広帯域通信プロトコルに従った携帯デバイス(20)との通信に関する差分第1パス電力に基づいて、位置情報を決定するように動作可能であり、
差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによ
る影響を軽減する、システム。
【請求項2】
コントローラ(58)は、差分第1パス電力に基づいて位置情報を出力するように動作可能なロケータ(210)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ロケータ(210)は少なくとも1つのパラメータ(214)を含み、ロケータ(210)の出力(218)は、少なくとも1つのパラメータ(214)と差分第1パス電力とに基づくものである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ロケータ(210)の少なくとも1つのパラメータ(214)を調整するように動作可能な設定プロセッサをさらに備え、
設定プロセッサは、メモリを含み、対象物(10)に対する携帯デバイス(20)の位置に関する真正情報を取得するように動作可能であり、
設定プロセッサは、ロケータ(210)の出力(218)と真正情報との比較に基づいて、ロケータ(210)の少なくとも1つのパラメータ(214)を変更するように動作可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ロケータ(210)は、少なくとも1つのパラメータ(214)の所与の値に対するモデル出力と真正情報との比較に基づく、少なくとも1つのパラメータ(214)の反復調整を介してトレーニング可能なアルゴリズムモデルを含み、
アルゴリズムモデルは、差分第1パス電力を入力(216)として受信するように動作可能であり、そして、
差分第1パス電力は、携帯デバイス(20)の位置に関する真正情報と互いに関連付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
第1のデバイス(40)は、携帯デバイス(20)の携帯デバイスアンテナとの通信を容易にするように動作可能な第1のアンテナを含み、
第2のデバイス(40)は、携帯デバイス(20)の携帯デバイスアンテナとの通信を容易にするように動作可能な第2のアンテナを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性は、第1のアンテナの第1利得と携帯デバイスアンテナの携帯デバイス利得の関数であり、
第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性は、第2のアンテナの第2利得と携帯デバイスアンテナの携帯デバイス利得の関数であ
る、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ロケータ(210)の出力(218)は、ロケータ(210)が、多様な種類の携帯デバイス(20)の種類ごとに少なくとも1つのパラメータ(214)を変化させることなく、多様な種類の携帯デバイス(20)の位置情報を決定するように動作可能であるように、様々な種類の携帯デバイスの中での携帯デバイス利得の変化とは無関係である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
携帯デバイス(20)及び対象物(10)に関する位置情報を決定するための方法であって、
超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイス(20)と第1のデバイス(40)との間で通信すること、
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性を生成すること、
超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイス(20)と第2のデバイス(40)との間で通信すること、
第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性を生成すること、
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力と、第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す、第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を計算すること、及び、
超広帯域通信プロトコルに従った携帯デバイス(20)との通信に関する差分第1パス電力に基づいて位置情報を決定すること、を備え、
差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによ
る影響を軽減する、方法。
【請求項11】
位置情報を決定することは、差分第1パス電力と少なくとも1つのパラメータ(214)に基づいて位置情報を決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象物(10)に対する携帯デバイス(20)の位置に関する真正情報に基づいて、少なくとも1つのパラメータ(214)を調整することをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
決定された位置情報と真正情報に関して決定された誤差メトリックを低減するために、少なくとも1つのパラメータ(214)を反復的に調整することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータである、請求項10乃至
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
携帯デバイス(20)及び対象物(10)に関する位置情報を決定するように動作可能なデバイスであって、
メモリ(52)と、
メモリ(52)に動作可能に結合されたプロセッサ(51)と、
プロセッサ(51)は、メモリ(52)に格納された1つ以上の命令を実行して、
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の超広帯域通信の第1パス電力を示す第1電力特性を取得し、
第1のデバイス(40)は、対象物(10)に対して固定位置に配置されており、
第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の超広帯域通信の第1パス電力を示す第2電力特性を取得し、
第2のデバイス(40)は、対象物(10)に対して固定位置に配置されており、
第1のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力と、第2のデバイス(40)と携帯デバイス(20)との間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を計算し、そして、
携帯デバイス(20)との超広帯域通信に関する差分第1パス電力に基づいて、位置情報を決定するものであり、
差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによ
る影響を軽減する、デバイス。
【請求項16】
第2電力特性は第2のデバイス(40)から受信され、
デバイスは第1のデバイスである、請求項
15に記載のデバイス。
【請求項17】
プロセッサは、差分第1パス電力と少なくとも1つのパラメータ(214)に基づいて位置情報を決定するように動作可能であり、少なくとも1つのパラメータ(214)は、対象物(10)に対する携帯デバイス(20)の位置に関する位置情報と真正情報とについて計算された誤差メトリックを低減することによって反復的に計算される、請求項
15に記載のデバイス。
【請求項18】
第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータである、請求項
15乃至
17のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年8月19日に出願された米国仮出願第63/234840号及び2022年7月8日に出願された米国非仮出願第17/860150号の利益を主張する。上記出願の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、位置を決定するシステム及び方法に関し、より具体的には、対象物に対する携帯デバイスの位置を決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
ドアや車両などの設備装置にアクセスしたり、その操作を指示したりするためのキーとしてスマートフォンを利用できるようにするために、多大な努力が払われてきた。従来のシステムは、送信機と受信機の間の相対距離及び/又は位置を決定するために通信の信号強度に依存する場合がある。例えば、多くの従来のシステムは、指向性アンテナを使用して信号強度を測定し、送信機と受信機の間の相対距離及び/又は位置を決定する。この従来の構成にはいくつかの弱点があるが、主な弱点は位置精度である。位置精度に影響を与える要因はいくつかある。このような要因の例には、物理的な境界、外部の物体、移動する物体、および設備装置の移動態様が含まれる。従来のシステムは、これらまたは他の要因を考慮すると、位置の正確性を達成又は維持できない可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一般に、本明細書に記載の主題の1つの革新的な態様は、携帯デバイス及び対象物に関する位置情報を決定するためのシステムにて具現化されることができる。このシステムは、対象物に対して第1の固定位置に配置された第1のデバイスを含み、第1のデバイスは、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイスと通信することができる。第1のデバイスは、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性を決定するように動作可能であり得る。システムは、対象物に対して第2の固定位置に配置された第2のデバイスを含み、第2のデバイスは、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイスと通信することができる。第2のデバイスは、第2のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性を決定するように動作可能であり得る。システムは、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力と、第2のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す、第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を決定するように動作可能なコントローラを含むことができる。コントローラは、超広帯域通信プロトコルに従った携帯デバイスとの通信に関する差分第1パス電力に基づいて、位置情報を決定するように動作可能であり得る。差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによる影響を軽減する。
【0005】
前述の実施形態及び他の実施形態はそれぞれ、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて任意に含むことができる。特に、一実施形態は、以下のすべての特徴の組み合わせを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、コントローラは、差分第1パス電力に基づいて位置情報を出力するように動作可能なロケータを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、ロケータは少なくとも1つのパラメータを含むことができ、ロケータの出力は、少なくとも1つのパラメータと差分第1パス電力とに基づくことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、システムは、ロケータの少なくとも1つのパラメータを調整するように動作可能な設定プロセッサを含むことができ、設定プロセッサは、メモリを含んでもよく、対象物に対する携帯デバイスの位置に関する真正情報を取得するように動作可能であってもよい。設定プロセッサは、ロケータの出力と真正情報との比較に基づいて、ロケータの少なくとも1つのパラメータを変更するように動作可能であり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、ロケータは、少なくとも1つのパラメータの所与の値に対するモデル出力と真正情報との比較に基づく、少なくとも1つのパラメータの反復調整を介してトレーニング可能なアルゴリズムモデルを含んでもよく、アルゴリズムモデルは、差分第1パス電力を入力として受信するように動作可能であってもよく、差分第1パス電力は、携帯デバイスの位置に関する真正情報と互いに関連付けられてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のデバイスは、携帯デバイスの携帯デバイスアンテナとの通信を容易にするように動作可能な第1のアンテナを含んでもよく、第2のデバイスは、携帯デバイスの携帯デバイスアンテナとの通信を容易にするように動作可能な第2のアンテナを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性は、第1のアンテナの第1利得と携帯デバイスアンテナの携帯デバイス利得の関数であり得る。第2のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性は、第2のアンテナの第2利得と携帯デバイスアンテナの携帯デバイス利得の関数であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、ロケータの出力は、ロケータが、多様な種類の携帯デバイスの種類ごとに少なくとも1つのパラメータを変化させることなく、多様な種類の携帯デバイスの位置情報を決定するように動作可能であってもよいように、様々な種類の携帯デバイスの中での携帯デバイス利得の変化とは無関係であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータであってもよい。
【0014】
一般に、本明細書に記載の主題の1つの革新的な態様は、携帯デバイス及び対象物に関する位置情報を決定するための方法である。この方法は、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイスと第1のデバイスとの間で通信すること、及び、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第1電力特性を生成することを含むことができる。この方法は、超広帯域通信プロトコルに従って携帯デバイスと第2のデバイスとの間で通信すること、及び、携帯デバイスと第2のデバイスとの間の通信の第1パス電力を示す第2電力特性を生成することを含むことができる。この方法は、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力と、第2のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す、第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を計算することを含むことができる。この方法は、超広帯域通信プロトコルに従った携帯デバイスとの通信に関する差分第1パス電力に基づいて位置情報を決定することを含むことができる。差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによる影響を軽減する。
【0015】
前述の実施形態及び他の実施形態はそれぞれ、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて任意に含むことができる。特に、一実施形態は、以下のすべての特徴の組み合わせを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、位置情報を決定することは、差分第1パス電力と少なくとも1つのパラメータに基づいて位置情報を決定することを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、対象物に対する携帯デバイスの位置に関する真正情報に基づいて少なくとも1つのパラメータを調整することを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、決定された位置情報と真正情報に関して決定された誤差メトリックを低減するために、少なくとも1つのパラメータを反復的に調整することを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータであってもよい。
【0021】
一般に、本明細書に記載の主題の1つの革新的な態様は、携帯デバイス及び対象物に関する位置情報を決定するように動作可能なデバイスにて具現化されることができる。このデバイスは、メモリと、メモリに動作可能に結合されたプロセッサとを含むことができる。プロセッサは、メモリに格納された1つ以上の命令を実行して、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の超広帯域通信の第1パス電力を示す第1電力特性を取得するように構成されることができ、第1のデバイスは、対象物に対して固定位置に配置され得る。1つ以上の命令は、第2のデバイスと携帯デバイスとの間の超広帯域通信の第1パス電力を示す第2電力特性を取得するようにプロセッサに指示することができ、第2のデバイスは、対象物に対して固定位置に配置され得る。1つ以上の命令は、第1のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力と、第2のデバイスと携帯デバイスとの間の通信の第1パス電力をそれぞれ示す第1及び第2電力特性間の差に基づいて、差分第1パス電力を計算するようにプロセッサに指示することができる。1つ以上の命令は、携帯デバイスとの超広帯域通信に関する差分第1パス電力に基づいて、位置情報を決定するようにプロセッサに指示することができる。差分第1パス電力は、ある種類の携帯デバイスと別の種類の携帯デバイスとでのアンテナ利得の違いによる影響を軽減する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2電力特性は第2のデバイスから受信されてもよく、デバイスは第1のデバイスであってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、差分第1パス電力と少なくとも1つのパラメータに基づいて位置情報を決定するように動作可能であってもよく、少なくとも1つのパラメータは、対象物に対する携帯デバイスの位置に関する位置情報と真正情報とについて計算された誤差メトリックを低減することによって反復的に計算されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1パス電力は、マルチパス環境における第1パスに関連付けられた電力インジケータであってもよい。
【0026】
本発明の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、以下の説明に記載される、又は図面に示される、動作の詳細、又は構成の詳細並びに構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、本明細書に明示的に開示していない他の様々な実施形態で実施することができ、代替方法にて実施又は実行することもできる。また、本明細書で使用される表現及び用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。「含む」及び「備える」並びにこれらの変種の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加の項目及びその等価物を包含することを意味する。さらに、様々な実施形態の説明において列挙が使用され得る。特に明記しない限り、列挙の使用は、構成要素の特定の順序又は数に本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、列挙の使用は、列挙されたステップ又は構成要素と組み合わされる、もしくは組み入れられる可能性のある追加のステップ又は構成要素を、本発明の範囲から除外するものとして解釈されるべきではない。「X、Y及びZの少なくとも1つ」としての特許請求の範囲の要素への言及は、X、Y又はZのいずれか1つを個別に含むこと、並びにX、Y及びZの任意の組み合わせ、例えば、X、Y、Z;X、Y;X、Z;及びY、Zを含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示が十分に理解され得るように、添付の図面を参照しながら、例として様々な形態が説明される。
【
図1】
図1は、一実施形態によるシステムの代表的な図を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による車両上のシステムの代表的な図を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態によるシステムの対象物デバイスの代表的な図を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態によるロケータをトレーニングする方法を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による超広帯域(UWB)通信用の受信段を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態によるUWB通信に従って受信されたインパルスのプロットを示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による、UWB通信の第1パス電力及び範囲の2Dヒストグラムを示し、ヒストグラムは、全てのヒストグラムビンのサブシステムの合計が1であるように正規化されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
携帯デバイス及び対象物に関する位置情報を決定するためのシステム及び方法が提供される。このシステムおよび方法は、UWB通信に基づいており、より詳細には、UWB通信に関して決定される第1パス電力に関するものであり得る。一実施形態では、差分第1パス電力が、携帯デバイスとのUWB通信を介して、第1及び第2のデバイスによってそれぞれ取得された第1及び第2の第1パス電力値に基づいて決定され得る。差分第1パス電力は、対象物に対する携帯デバイスの範囲又は距離の決定の基礎の少なくとも一部を形成することができる。差分第1パス電力は、システムとともにユーザが持ち運んで使用する携帯デバイスの違いによる影響を受けないか、又はあまり影響を受けず、そのような違いによる影響が少ない、又は影響を受けないシステム内でロケータが使用されることを可能にする。
【0029】
I.概要
一実施形態によるシステムが、
図1及び
図2の図示された実施形態に示され、全体として100で表されている。システム100は、本明細書で概説されるように、1つ以上のシステムコンポーネントを含むことができる。システムコンポーネントは、ユーザ60、又は、リモートデバイス20、リモートデバイス40、もしくは対象物デバイス50であり得る電子システムコンポーネント、あるいは、それらのデバイスの1つ以上の態様を含むコンポーネントであり得る。本明細書で論じられるように、対象物デバイス50の基礎となるコンポーネントは、これらのデバイスの任意の1つ以上と連携して動作するように構成することができる。この意味で、一実施形態では、リモートデバイス20、リモートデバイス40、および対象物デバイス50の間で共通のいくつかの態様又は特徴があり得る。
図3に示される対象物デバイス50に関連して説明される特徴は、リモートデバイス20、又はリモートデバイス40、あるいはその両方に組み込まれてもよい。一実施形態では、対象物デバイス50は、車両又は建物などの対象物10上に配置された機器コンポーネントを形成することができる。対象物デバイス50は、対象物10の1つ以上のシステムに通信可能に結合されて、対象物10の動作を制御し、対象物10の1つ以上のシステムに情報を送信し、又は、対象物10の1つ以上のシステムから情報を受信し、あるいは、それらの組み合わせを行うことができる。例えば、対象物10は、対象物10の動作を制御するように構成された対象物コントローラ12を含むことができる。対象物10は、対象物コントローラ12と対象物デバイス50との間の通信を容易にする、有線または無線の1つ以上の通信ネットワークを含むことができる。対象物デバイス50と対象物コントローラ12との間の通信を容易にするための通信ネットワークは、
図2の図示された実施形態では150で表され、CANバスとして提供される。
【0030】
一実施形態では、システムは、テレマティクス制御ユニット(図示せず)などの通信コントローラを含むことができる。例えば、TCU(テレマティクス制御ユニット)は、(SPIを介して)対象物デバイス50に接続されてもよい。別の実施形態では、TCUは対象物デバイス50と組み合わされてもよい。別の実施形態では、TCUは、車両の対象物コントローラ12の一部であってもよいし、車両の対象物コントローラ12に接続されてもよい。別の実施形態では、TCUが存在しなくてもよく、データは携帯デバイスを通じて(例えば、BLEを介して)トンネリングされ得る。「トンネリング」は、BLE上でTCP/IPを実行するような、従来のトンネルとして定義され得る。しかしながら、本開示はそれに限定されない。トンネルは、関連データがコマンド/応答を介して対象物デバイス50又は他のシステムコンポーネントに通信されることを可能にする構成として定義され得る。通信コントローラは、通信を容易にすることができる任意の種類の制御ユニット又はシステムであってもよい。通信コントローラは、対象物又は携帯デバイス、もしくはその両方を含む、本明細書に記載の任意のコンポーネントに設けられてもよい。一実施形態では、TCUは、セルラーモデム又は他の長距離WAN無線機(Lora、Sigfoxなど)を含むことができる。
【0031】
一実施形態では、上述したように、TCUはシステムの必須部分ではない。例えば、TCUとそれが通信するシステムのすべての機能が、(クラウド内ではなく)ローカルで実行されてもよい。
【0032】
II.対象物デバイス
図3の図示の実施形態では、対象物デバイス50は、本明細書で論じられる1つ以上の機能及びアルゴリズム、又はそれらの態様に従って、対象物デバイス50の動作を制御するように構成された制御システム又はコントローラ58を含むことができる。リモートデバイス20、又はリモートデバイス40(例えば、センサ)、あるいはその両方などのシステムコンポーネントは、同様に、それぞれのシステムコンポーネントの動作又は様相を制御するように構成されたコントローラ58を含むことができる。
【0033】
コントローラ58には、本明細書に記載の機能及びアルゴリズムを実行するための、任意の及び全ての電気回路及びコンポーネントが含まれる。一般的に言えば、コントローラ58は、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又は他のプログラム可能な電子機器を含むことができる。コントローラ58は、追加的又は代替的に、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた、又はマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又は他の電子機器をサポートする他の電子コンポーネントを含むことができる。他の電子コンポーネントには、限定されるものではないが、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ、システムオンチップ、揮発性又は不揮発性メモリ、ディスクリート回路、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は他のハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアが含まれる。このようなコンポーネントは、1つ以上の回路基板に実装したり、他の態様で配置したりすることによってなど、単一のユニットにまとめようと、複数のユニットにまたがって分散しようと、任意の適切な態様で物理的に構成され得る。このようなコンポーネントは、対象物デバイス50内の異なる位置に物理的に分散されても良いし、又は、対象物デバイス50内の共通の場所に存在してもよい。物理的に分散される場合、コンポーネントは、限定されないが、CAN(登録商標)、LIN、FireWire(登録商標)、I2C、RS-232、RS-422、RS-485、SPI、イーサネット、Universal SerialBus(USB)、及びRF(セルラー、WiFi、ブルートゥース(登録商標、以下同様)、ブルートゥースローエナジー)のような任意の適切なシリアル又はパラレル通信プロトコルを使用して通信しても良い。本明細書で説明するように、ロケータ、モジュール、モデル、及びジェネレータという用語は、コントローラ58の部品を示す。例えば、一実施形態におけるモデル又はロケータは、1つ以上のコア関数、及び、その1つ以上のコア関数の出力に影響を与える1つ以上のパラメータを有するものとして説明される。モデル、ロケータ、モジュール、又はジェネレータ、もしくはそれらの組み合わせの態様は、コントローラ58のメモリに格納されても良く、又は、モデル、ロケータ、モジュール、又はジェネレータ、もしくはそれらの組み合わせが、1つ以上の入力を受信して変換するとともに1つ以上の出力を出力するように動作するよう構成されたコントローラ58の一部であるように、コントローラ構成の一部を形成してもよい。モデル、ロケータ、モジュール、又はジェネレータ、もしくはそれらの組み合わせは、コントローラ58が、モデル、ロケータ、モジュール、又はジェネレータ、もしくはそれらの組み合わせと連携して記載された入力を受信し、モデル、ロケータ、モジュール、又はジェネレータ、もしくはそれらの組み合わせに関連付けられたアルゴリズムに応じた出力を提供するように構成されるよう、コントローラ58の一部であってもよい。
【0034】
図3の図示された実施形態における対象物デバイス50のコントローラ58は、他の電子ハードウェアの中でも、1つ以上のアプリケーション57(ソフトウェア及び/又はファームウェアを含む)を実行する1つ以上のプロセッサ51、1つ以上のメモリユニット52(例えば、RAM及び/又はROM)、及び、1つ以上の通信インターフェース53を含むことができる。対象物デバイス50は、通信インターフェース53を介して下位レベルのデバイス/電子機器へのアクセスを制御するオペレーティングシステム56を有していてもよいし、有していなくてもよい。対象物デバイス50は、ハードウェアベースの暗号化ユニット55を有していてもよいし、有していなくてもよい。それらがない場合、暗号化機能はソフトウェアで実行され得る。対象物デバイス50は、セキュアメモリユニット54(例えば、セキュアエレメント又はハードウェアセキュリティモジュール(HSM))を有して(又は、それへのアクセスを有して)いてもよいし、有していなくてもよい。図示の実施形態では、オプションのコンポーネント及び通信パスが仮想線で示されている。
【0035】
図3の図示された実施形態におけるコントローラ58は、任意のコンポーネントにおけるセキュアメモリユニット54の存在に依存しない。セキュアメモリユニット54がオプションで存在しない場合、そうでなければセキュアメモリユニット54に格納され得るデータ(例えば、非公開鍵及び/又は秘密鍵)は、休止時(可能なとき)に暗号化され得る。そのようなデータへのアクセスを実質的に防止するだけでなく、システムコンポーネント全体の危殆化を実質的に防止又は検出するか、あるいはその両方を行うために、ソフトウェアベース及びハードウェアベースの対策の両方が利用されてもよい。このような対策機能の例には、物理的な障害物又はシールドを実装すること、JTAG及び他のポートを無効にすること、攻撃ベクトルを排除するためにソフトウェアインターフェイスを強化すること、信頼できる実行環境を使用すること(例えば、ハードウェア又はソフトウェア、あるいはその両方)、オペレーティングシステムのルートアクセス又は危殆化を検出することが含まれる。
【0036】
開示の目的のため、安全であることは、一般に、秘密であること(暗号化されていること)、認証されていること、および完全性が検証されていることと考えられている。しかし、本開示はそのように限定されず、「安全」という用語はこれらの態様のサブセットであってもよく、またはデータセキュリティに関連する追加の態様を含んでもよいことを理解されたい。
【0037】
通信インターフェース53は、有線又は無線を含む、本明細書で説明する通信リンクの種類のいずれかを含む、任意の種類の通信リンクとすることができる。通信インターフェース53は、外部又は内部の、もしくはその両方の通信を容易にすることができる。例えば、通信インターフェース53は、アンテナアレイ30に結合されてもよく、又はアンテナアレイ30を組み込んでもよい。アンテナアレイ30は、BLE通信、超広帯域(UWB)通信、又は別の種類の無線通信、もしくはそれらの組み合わせを含む無線通信を容易にするように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0038】
別の例として、通信インターフェース53は、WiFi規格に従う無線通信など、リモートデバイス20の形態の別のシステムコンポーネントとの無線通信リンクを提供してもよい。別の例では、通信インターフェース53は、複数のデバイス間の通信を容易にするCANベースの有線ネットワークなどの有線リンクを介して車両(例えば、車両コンポーネント)の対象物コントローラ12と通信するように構成されてもよい。一実施形態における通信インターフェース53は、ユーザ60に情報を伝達し、及び/又はユーザ60から情報を受信するためのディスプレイ及び/又は入力インターフェースを含んでもよい。
【0039】
一実施形態では、対象物デバイス50は、別の対象物デバイス50又はユーザ以外の1つ以上の補助デバイスと通信するように構成されてもよい。補助デバイスは、対象物デバイス50とは異なって構成されてもよい。例えば、補助デバイスは、プロセッサ51を含まず、代わりに、対象物デバイス50との情報の送信又は受信、もしくはその両方のための少なくとも1つの直接接続及び/又は通信インターフェースを含んでもよい。例えば、補助デバイスは対象物デバイス50からの入力を受け入れるソレノイドであってもよく、又は、補助デバイスは対象物デバイス50にアナログ及び/又はデジタルフィードバックを提供するセンサ(例えば、近接センサ)であってもよい。
【0040】
図示された実施形態のシステム100は、リモートデバイス20に関してリアルタイムで位置情報を決定するように構成され得る。
図1の図示の実施形態では、ユーザ60は、リモートデバイス20(例えば、スマートフォン)を携帯することができる。システム100は、対象物10へのアクセス又は対象物コマンドの許可が与えられるべき位置にユーザ60が位置しているかどうかを判定するのに十分な精度でリアルタイムに、対象物10(例えば、車両)に対するリモートデバイス20の位置特定を容易にすることができる。
【0041】
一実施形態において、対象物10が車両である場合、システム100は、リモートデバイス20が車両の外部にあるが、運転者側のドアまで5フィート、3フィート、又は2フィート以下のようにすぐ近くであるかどうかの決定を容易にすることができる。この決定は、システム100が車両をアンロックすべきかどうかを識別するための基礎をなすことができる。一方、システム100が、リモートデバイス20は車両の外部にあり、運転者側ドアのすぐ近くにない(例えば、2フィート、3フィート、又は5フィートの範囲外にある)と判定した場合、システム100は、運転者側ドアをロックすることを決定することができる。別の例として、システム100が、リモートデバイス20は運転者側席のすぐ近くにあるが、助手席又は後席の近くではないと判断した場合、システム100は、車両の始動を可能にすることを決定することができる。逆に、リモートデバイス20が運転者側席の近接範囲外であると判定された場合、システム100は、車両を不動にすること又は不動を維持することを決定することができる。
【0042】
対象物10は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態に従って、アンテナアレイ30に結合されるリモートデバイス40などの、複数の対象物デバイス50又はその変形例を含むことができる。
【0043】
リモートデバイス20のマイクロロケーションは、全地球測位システム、リモートデバイス20からの通信の1つ以上の信号特性、及び1つ以上のセンサ(例えば、近接センサ、リミットスイッチ、又は視覚センサ)、もしくはそれらの組み合わせから得られた情報を使用するなど、様々な方法で決定することができる。システム100が構成されることができるマイクロロケーション技法の一例は、2017年4月14に出願され、「リアルタイムロケーションを確立するためのシステム及び方法」と題する、Raymond Michael Stittらの米国非仮出願第15/488136号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
一実施形態において、
図2の図示された実施形態では、対象物デバイス50(例えば、システム制御モジュール(SCM))及び(アンテナアレイ30に結合された)複数のリモートデバイス40は、対象物10上に、又は対象物10に対して固定された位置に配置することができる。対象物10の例示のユースケースは、先の例で特定された車両、又は対象物デバイス50によってアクセスが制御される建物を含む。
【0045】
リモートデバイス20は、通信リンク140を介して対象物デバイス50と無線で通信することができる。
【0046】
追加的又は代替的に、複数のリモートデバイス40は、リモートデバイス20と通信リンク160を確立することができる。通信リンク160は、互いに分離されてもよいし、リモートデバイス40のそれぞれと共有されてもよい。一実施形態における通信リンク160は、リモートデバイス40が、他の通信リンク上の通信に積極的に参加したり、影響を与えたりすることなく、別の通信リンク(例えば、通信リンク140)の通信を監視又は傍受するように、受動的であってもよい。
【0047】
本明細書で説明するように、複数のリモートデバイス40のそれぞれは、同時に又は異なる時点で、リモートデバイス20と別個の通信リンク160を確立することができる。複数のリモートデバイス40は、車両に対して第1の固定位置に配置された第1のデバイスと、車両に対して第2の固定位置に配置された第2のデバイスとを含む。リモートデバイス40のそれぞれは、通信リンク160を介した通信に関して第1パスを識別することができる。第1パスは、通信が受信機に到達するまでに複数のパスを取るマルチパス環境内で、通信リンク160の受信機に到達する通信の最初のパスに対応し得る。リモートデバイス40は、検出された第1パスに関して第1パス電力を決定することができる。第1パス電力は、本明細書で説明される通信の信号特性の種類に対応し得る。本開示は、リモートデバイス40が通信の信号特性として第1パス電力を決定することに限定されず、リモートデバイス40は、通信の任意の種類の信号特性を決定することができることに留意されたい。対象物デバイス50は、追加的に又は代替的に、リモートデバイス20と通信リンク140を確立し、通信の第1パス電力などの通信の信号特性を決定することができる。
【0048】
代替の実施形態では、複数のリモートデバイス40は、リモートデバイス20と対象物デバイス50との間の通信を傍受して、信号強度、到達角度、飛行時間、又はそれらの任意の組み合わせなどの、通信の1つ以上の信号特性を決定するように構成され得る。代替の実施形態では、リモートデバイス20は、対象物デバイス50以外の別のデバイスとの通信を確立することができるが、対象物デバイス50及び1つ以上のリモートデバイス40のうちの少なくとも1つが、対象物10に対する各々のデバイスの位置を決定するために、それらの通信を傍受するように構成され得る。
【0049】
図示の実施形態における通信リンク140は、UWB通信リンクである。しかしながら、本開示はこれに限定されない。例えば、通信リンク140は、UWBでなくてもよく、有線又は無線で、UWBに代わる、ブルートゥースローエナジー(BTLE)を含む、任意のプロトコルに従って確立され得る。別の例として、通信リンク140は、複数の種類の通信リンクを含むことができる。例えば、通信リンク140は、BTLEとUWBの両方に従って確立されてもよい。
【0050】
決定された信号特性は、リモートデバイス20と対象物デバイス50との間の通信リンク140とは別の通信リンク130を介して対象物デバイス50に通信され、又は分析された後に通信され得る。追加的に又は代替的に、本明細書で説明するように、リモートデバイス20は、1つ以上のリモートデバイス40と直接的な通信リンクを確立することができ、1つ以上の信号特性が、この直接的な通信リンクに基づいて決定され得る。
【0051】
本明細書に記載されるように、第1パス電力、信号強度、飛行時間、到達角度などの1つ以上の信号特性が、対象物10、対象物10の態様、又は対象物デバイス50、もしくはそれらの組み合わせに対するリモートデバイス20についての位置情報を決定するために分析され得る。例えば、差分第1パス電力が、第1及び第2のデバイス(例えば、対象物デバイス50とリモートデバイス40、又は第1及び第2のリモートデバイス4)によって決定される第1パス電力に関して決定され得る。別の例として、リモートデバイス40と対象物デバイス50とでの到達時間差、又は到達角度、もしくはその両方が処理されて、リモートデバイス20の相対位置を決定することができる。対象物デバイス50に対する1つ以上のアンテナアレイ30の位置は、リモートデバイス20の相対位置が、アンテナアレイ30及び対象物デバイス50に対する絶対位置に変換され得るように、既知とすることができる。
【0052】
信号特性の追加又は代替の例が、距離関数、三辺測量関数、三角測量関数、多辺測量関数、フィンガープリント関数(例えば、フィンガープリンティングヒューリスティック)、セキュリティ及び一貫性チェック関数、微分関数、飛行時間関数、到達時間関数、到達時間差関数、出発角関数、幾何関数、機械学習関数など、又はそれらの任意の組み合わせを含む、本明細書で説明されるロケータの1つ以上のアルゴリズムに従う位置の決定を容易にするために取得されても良い。本明細書に記載されるように、複数のアルゴリズムからの出力は、位置LEを決定するために様々な手法で結合又は相関付けされ得る。追加的に又は代替的に、1つ以上のアルゴリズムから決定された位置LEは、1つ以上の他のアルゴリズムによって(例えば、正確さ、精度、信頼性、又はそれらの組み合わせを増大することによって)強化されてもよい。
【0053】
III.リモートデバイス
一実施形態によるリモートデバイスが
図1に示される。リモートデバイス40は、対象物デバイス50と同様に構成され、いくつかの点で対象物デバイス50の制御システムと類似の制御システムを含むことができる。例えば、リモートデバイス40の制御システムは、1つ以上のアプリケーション(ソフトウェア及び/又はファームウェア)を実行する1つ以上のプロセッサ、1つ以上の通信インターフェース、及びセキュアメモリを含むことができる。
【0054】
本明細書で説明するように、リモートデバイス40は、制御システムの内部又は外部にあるメモリ(例えば、RAM及び/又はROM)を含むことができる。
【0055】
リモートデバイス40は、通信インターフェース53を含むことができ、アンテナアレイ30の1つ以上のアンテナに結合することができる。リモートデバイス40は、通信インターフェース53及びアンテナアレイ30を介して、リモートデバイス20と通信リンク160を確立することができる。通信リンク160は、UWB規格に従って、又はBTLE、UWB、近距離通信(NFC)を含む本明細書に記載の任意の種類の通信に従って確立され得る。
【0056】
あるいは、本明細書で説明されるように、通信リンク160は、リモートデバイス40が、通信リンク140を介して通信するリモートデバイス20と対象物デバイス50との間の通信を受動的に受信するように、リモートデバイス40に対して受動的であってもよい。例えば、この受動的な構成では、リモートデバイス20は、通信リンク160を利用して、通信リンク140に干渉したり、通信リンク140に積極的に参加したりすることなく、通信リンク140を介して発生する送信を監視又は受信することができる。
【0057】
図示された実施形態におけるリモートデバイス40は、リモートデバイス40の通信インターフェース53と連携して、対象物デバイス50との通信リンク130の確立を容易にすることができるリモートデバイスコミュニケータを含んでもよい。
【0058】
本明細書で説明されるリモートデバイス40は、対象物デバイス50と同様であり得る。一実施形態では、リモートデバイス40は、対象物デバイス50に関連して説明される任意の機能を実行するように構成され得る。例えば、リモートデバイス40は、リモートデバイス40によって、又は別のデバイスからの通信を介して取得される1つ以上の検知された特性に基づいて位置情報を決定するロケータを含むことができる。
【0059】
IV.第1パス電力
本明細書で説明されるように、対象物デバイス50及び/又はリモートデバイス40などのシステムコンポーネントは、それぞれのコンポーネントとリモートデバイス20との間のUWB通信に関して第1パス電力を決定するように構成され得る。一実施形態によるUWB通信用の受信機が、
図6に示されており、アンテナ段310、ミキサ段320、及び相関器段330を含み、それは、時間窓を横切ってスライドさせることによって受信信号のインパルス応答を決定することができる。相関器段330の出力は、チャネルインパルス応答(CIR)アキュムレータを含むアキュムレータ段340に提供され得る。
【0060】
アンテナ段310によって受信される送信信号は、擬似ランダムシーケンス(セキュリティ目的で鍵付きのランダム化されたシーケンスであるプリアンブル)であってもよい。相関器段330の出力は、送信された信号の擬似ランダムシーケンスが検出されるとき、スパイク又はパルスを含みえる。最も早いスパイクは、直接的な応答(見通し線)であるか、直接的な反応が検出されなかった(非見通し線)かのいずれかでありえる。最初のスパイクの後のスパイクは、すべてマルチパス応答である(つまり、最初のスパイクの後のすべてのスパイクは、1つ又は複数の反射である)。
【0061】
UWB通信は広帯域であるため、スパイクはインパルスである。スパイクは減衰せず、それ故、ゼロ以外のエントリはすべて戻りから生じる。
【0062】
相関器段330及びアキュムレータ段340は、出力が電力測定値(例えば、dBm単位)となるように構成され得る。結果として、第1パス電力は、何らかの所定の閾値を超える、相関器段330の時間的に最初の出力の校正された電力測定値でありえる。言い換えれば、閾値を下回るすべてのピークは、あるノイズフロア以下であるため、ゼロに設定されえる。このタイプの閾値フィルタリングは、
図7に見ることができる。これは、ゼロに設定される閾値以下の値を除いて、
図6に示されるCIRアキュムレータ値に対応し、最初のパルスが、識別された第1パス電力として残される。
【0063】
ブルートゥース通信の場合、ブルートゥース通信の信号強度(RSSIとも呼ばれる)は、dBm単位の電力測定値として決定されることが多いことに留意されたい。第1パス電力は電力測定値に関して特定され得るが、UWB通信の第1パス電力は、ブルートゥース通信の信号強度とは異なることに留意されたい。
【0064】
ブルートゥース通信の信号強度(例えば、ブルートゥース通信のRSSI)の場合、信号強度は、距離とブロードキャスト電力値に依存し、数1で示される以下の数式のように、デバイスとアンカー間の距離を近似するために使用され得る。
【数1】
ここで、1mでの測定電力は、校正測定値であり、Nは環境に基づく補正係数(例えば、ファッジファクター)である。
【0065】
ブルートゥース通信のRSSIとは対照的に、第1パス電力は、距離(又はレンジ)に直接的に変換され得ない。換言すると、ブルートゥース通信のRSSIとは対照的に、UWB通信の範囲は、時間、つまり、RFパルスが一方のデバイスから別のデバイスに到達するのにかかった時間によって決定される。例えば、同じ時間量で発生する-50dBmの第1パス電力と-100dBmの第1パス電力は、同じレンジとなる。この例では、-50dBmのデータポイントはおそらく見通し線であり、-100dBmのデータポイントはおそらく見通し線ではない。
【0066】
第1パス電力及びレンジについてのヒートマップの形式のヒストグラムが、
図8の例示的な実施形態に示されており、特定の範囲において、第1パス電力値の分布があることを示している。図示されているように、ブルートゥース通信ではRSSIが距離に変換できるのとは対照的に、任意の1つの第1パス値は、レンジ又は距離に直接的には変換され得ない。しかしながら、一実施形態によれば、その分布を含む第1パス電力値は、アルゴリズムに提供されて、一実施形態に従って、距離又はレンジを決定することを容易にすることができる。例えば、第1パス電力値の分布は、距離の関数として変化するように現れる。別の例として、単一の第1パス電力値は、距離に直接変換できないが、単一の第1パス値は、距離又はレンジに関して少なくとも信頼度を提供することができ、第1パス電力値以外の1つ以上のパラメータ(例えば、UWB通信の飛行時間)に基づいて決定されるレンジ又は距離を裏付ける又はサポートすることができる。
【0067】
V.ロケータ
図1-3の図示の実施形態におけるシステム100は、対象物10に対するリモートデバイス20に関する位置情報を決定するように構成され得る。位置情報は、対象物10に対するリモートデバイス20の外部の位置を示すことができ、又は、位置情報は、対象物10内のリモートデバイス20の内部位置を示すことができ、もしくは、その組み合わせであり得る。一実施形態では、ロケータは、この位置情報を決定するように構成され得る。本明細書で説明されるロケータは、第1及び第2のデバイスからそれぞれ取得される第1及び第2の特性に基づいて、差分第1パス電力を決定するように構成され得る。第1及び第2の特性はそれぞれ、第1及び第2のデバイスによってそれぞれ決定される第1パス電力に対応する。差分第1パス電力は、差分アプローチが、異なる種類のデバイス(例えば、Apple iphone(登録商標)とSamsung Galaxy(登録商標))のアンテナ構成による違いによって、影響を受けないか、又はあまり影響を受けない分布を生じ得るという点を除いて、
図8に示される第1パス電力の分布と同様の分布を形成することができる。
【0068】
1つのロケータからの出力は、別のロケータの出力によって強化され得る。例えば、1つのロケータからの出力の正確さ、精度、信頼性、またはそれらの任意の組み合わせは、別のロケータの出力によって強化され得る。
【0069】
一実施形態によるロケータからの位置情報出力は、位置情報もしくはゾーン分類、あるいはその両方を含むことができる。位置情報は、座標(絶対的又は相対的)もしくは基準点からの相対的な距離に相当し得る。基準点は、ロケータが設けられるデバイスの位置、又は対象物の別の位置として定義することができる。1つ以上のロケータが、同じ又は異なる基準点を使用してもよい。ゾーン分類は、本明細書で説明されるゾーンなど、車両に関して定義される空間領域に対応してもよい。利用可能なゾーン分類の第1ゾーンと第2ゾーンは、さまざまな方法で相互に定義することができる。例えば、第1ゾーンと第2ゾーンは交差してもよいし、交差しなくてもよい。別の例として、第2のゾーンは第1のゾーンの適切なサブセットであってもよい(例えば、第2のゾーンはより小さく、第1のゾーン内に含まれてもよい)。本明細書で説明される任意のロケータは、位置情報、ゾーン分類、またはその両方の形式で位置情報を提供するように構成され得る。
【0070】
一実施形態によるロケータが
図4に示されており、全体として210で示されている。ロケータ210は、リモートデバイス20によって送信され、1つ以上のリモートデバイス40及び/又は対象物デバイス50によって受信される無線通信の1つ以上の信号特性などの、1つ以上の入力216を受信するように構成され得る。入力は、位置情報に対応する1つ以上の出力218に変換され得る。
【0071】
入力216は、無線通信の信号特性に限定されないことを理解されたい。入力216は、無線通信以外の特性又はパラメータの1つ以上の測定値を含むことができる。追加的に、又は代替的に、入力216は、対象物10又はシステム100内の別のデバイスの状態を示すものであってもよい。例えば、車両の場合、入力216のうちの1つ以上が、車両のドアの1つ又は複数が開いているか閉じているか、又は窓が開いているか閉じているかを示してもよい。
【0072】
図示の実施形態におけるロケータ210は、対象物デバイス50及びリモートデバイス40のうちの少なくとも1つに組み込まれてもよい。例えば、対象物デバイス50のコントローラ58は、ロケータ210を組み入れてもよく、通信インターフェース53を介してリモートデバイス40のうちの1つ以上と通信可能に結合されてもよい。別の例として、リモートデバイス40のコントローラ58が、ロケータ210を組み入れてもよく、対象物デバイス50及び1つ以上の他のリモートデバイス40のうちの少なくとも1つと通信可能に結合されてもよい。
【0073】
ロケータ210は、1つ以上の入力216を受信し、対象物10に対するリモートデバイス20の位置を示す1つ以上の出力218を生成するように構成されたコア関数又はロケータアルゴリズム212を含むことができる。本明細書で説明するように、1つ以上の入力216はアプリケーションごとに異なり得る。入力216の例には、UWB通信の第1パス電力、信号強度(RSSI)、到達角度(AOA)、及び飛行時間(TOF)などの通信の1つ以上の信号特性が含まれる。
【0074】
一実施形態におけるロケータ210は、リモートデバイス40又は対象物デバイス50から取得した信号特性を、例えば、各固定位置デバイスの各固定位置又は種類に対する変換テーブル、フィンガープリンティング、もしくは他のヒューリスティック(例えば、機械学習された変換機)を含む、様々な方法で距離メトリック又は他のパラメータに変換することができる。このような変換の追加の一例は、スミスによる、2019年10月23日に出願された、「SYSTEM AND METHOD OF DETERMINING REAL-TIME LOCATION」と題する米国特許出願公開第2020/0137817号に記載されており、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
ロケータ210のロケータアルゴリズム212は、ロケータ210の複数のパラメータ214に応じて調整可能であり得る。1つ以上の入力と複数のパラメータ214の値に基づいて、ロケータアルゴリズム212は、対象物10に対するリモートデバイス20の位置を示す出力を提供することができる。ロケータアルゴリズム212は、アプリケーションごとに異なり得る。
【0076】
一例において、ロケータアルゴリズム212は、ニューラルネットワーク(例えば、1つ以上の層を有する畳み込みニューラルネットワーク)であってもよく、1つ以上のパラメータは、ニューラルネットワーク内のノードの重みを含み得る。重みは、リモートデバイス20及び対象物10から取得されるサンプルと、サンプルに関して取得される真正情報を用いたロケータ210のトレーニング中に調整することができる。
【0077】
車両内には、システム100の一実施形態に従って、多数のアンテナが存在する可能性があり、アンテナの各々は、異なる方向で異なる位置に存在し得る。アンテナ及び関連デバイス(対象物デバイス50又はリモートデバイス40など)のすべて又はサブセットは、第1パス電力、RSSI、到達角度、飛行時間、又は他の、もしくはそれらの任意の組み合わせの測定値を同時に取得することを容易にすることができる。
【0078】
様々な要因が受信機と送信機との間の通信の1つ以上の信号特性に影響を与える可能性があるため、ロケータ210及びロケータアルゴリズム212の調整を容易にするために、様々な条件下で1つ以上の信号特性についてサンプルが取得され得る。
【0079】
条件の例示的な変化として、リモートデバイス20を意図的に全方向に回転させること、地面までの異なる高さでテストサンプルを取得すること、並びに、可能なすべての角度/方向の大部分をカバーするように強制的にテストするか又はサンプルを取得することを含むことができる。
【0080】
図5の図示の実施形態では、ロケータ210をトレーニングする方法が示されており、全体として3000で示されている。方法3000は、テスト中のリモートデバイス20及び対象物10に関するトレーニングデータを取得することを含むことができる。テスト中のリモートデバイス20のトレーニングデータを取得するプロセスは、リモートデバイス20を対象物に対して様々な位置に移動させ、それぞれの位置でトレーニングデータを取得することによって実行され得る。リモートデバイス20の向きは、それぞれの位置で変えることができ、向き及び位置はトレーニングデータの一部として記録される。追加的に、又は代替的に、テスト中のリモートデバイス20と対象物10との間のパスに障害物が選択的に設けられ、障害物の位置がトレーニングデータの一部として記録されてもよい。レーニングデータを取得する手順の一例が、スミスらによる、2019年12月13日に出願された、「SYSTEM AND METHOD OF CALIBRATION FOR ESTABLISHING REAL-TIME LOCATION」と題する米国特許出願公開第2020/0196095号に記載されており、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
一実施形態において、方法3000は、ステップ3002及び3004にて、テスト中のリモートデバイス20及び対象物10のテスト環境を制御することを含むことができる。方法3000はまた、ステップ3006にて、繰り返すことが可能である、テスト中のリモートデバイス20及び対象物10についてのサンプルを取得するための一連の条件を確立することを含むことができる。一連の条件が確立され、テスト中のリモートデバイス20及び対象物10が提供されると、ロケータ210のトレーニングデータが取得され得る。ステップ3008において、一実施形態におけるトレーニングデータは、テスト中のリモートデバイス20と対象物デバイス50又はセンサデバイス、もしくはその両方との間の通信の1つ以上の感知された特性に対応する複数のサンプル、並びに、テスト中のリモートデバイス20の1つ以上の特性(例えば、位置、高さ、向き、及び配置)に関する真正情報を含むことができる。
【0082】
トレーニングデータを取得する手順の例は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月13日に出願された、スミスらによる、「SYSTEM AND METHOD OF DETERMINING REAL-TIME LOCATION」と題する米国特許出願公開第2020/0196094号、及び、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月13日に出願された、スミスらによる、「SYSTEM AND METHOD OF CALIBRATION FOR ESTABLISHING REAL-TIME LOCATION」と題する米国特許出願公開第2020/0196095号に記載されている。
【0083】
一例として、一実施形態によるトレーニングデータは、テスト中のリモートデバイス20とのUWB通信に基づいて、第1及び第2のデバイスによって別々に決定される第1パス電力を含むことができる。差分第1パス電力は、第1及び第2のデバイスによって別々に決定される、それぞれの第1パス電力値から決定され得る。差分第1パス電力値は、異なる種類のリモートデバイス20の異なるアンテナ構成によって影響されないか、またはあまり影響を受けない可能性がある。例えば、UWB通信に関して第1及び第2のデバイスによって別々に決定される第1パス電力は、リモートデバイス20のアンテナ利得だけでなく、第1及び第2のデバイスのアンテナ利得の関数でありえる。第1及び第2のデバイスは変わらぬままであり、つまり、対象物10に設けられるシステム100内で固定されている。しかしながら、リモートデバイス20はユーザごとに異なる場合がある。差分第1パス電力は、異なる種類の携帯デバイスの間で(又は同じ種類の携帯デバイスの中でも可能性として)変化する、携帯デバイスのアンテナ利得の違いによる又は携帯デバイスの他の任意の態様による、影響を除去又は軽減することができる。リモートデバイス20の種類ごとにロケータ210をトレーニングするのではなく、多様な種類のリモートデバイス20で動作可能な、又はデバイスの種類や同じ種類のデバイス間の違いによる影響を受けない(又は影響が少ない)ロケータ210を得るべく、差分第1パス電力がロケータ210をトレーニングするための基礎として使用され得る。
【0084】
方法3000は、テスト中のリモートデバイス20及び対象物10に関して取得されたトレーニングデータに基づいて、ロケータ210をトレーニングするプロセスを含むことができる。例えば、1つ以上のパラメータ214は、ロケータ210の出力218に影響を与えるようにトレーニング中に変更され得る。出力218は、真正情報と比較することができ、ステップ3010において、出力218及び真正情報に関して決定される誤差メトリック(例えば、平均二乗誤差)を低減又は最小化するべく、1つ以上のパラメータ214が変更され得る。1つ以上のパラメータ214を調整するプロセスは、誤差メトリックが許容可能な目標値を満たすまで反復的に実行することができる。
【0085】
本明細書に記載されるように、差分第1パス電力は、対象物10に対するリモートデバイス20の距離又は範囲に直接的に変換できない場合がある。差分第1パス電力は、範囲又は距離を示す出力218を生成するためにロケータ210に与えられる複数の入力216のうちの1つであってもよい。このようにして、単一の差分第1パス電力値が距離又は範囲に直接的に変換できないにもかかわらず、差分第1パス電力は、範囲又は距離に関する信頼度をサポート又は提供することができる。
【0086】
一実施形態において、ロケータ210は、決定木ベースのアルゴリズムを含む勾配ブースティングフレームワークに基づくことができる。差分第1パス電力値の諸態様(例えば、差分第1パス電力値の分布)は、UWB通信から決定される飛行時間などの1つ以上の他の入力に主として基づく、距離又は範囲の決定に関する信頼性をサポートし又は強化するための決定木分析に影響を与える可能性がある。
【0087】
「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「内側」、「内側へ」、「外側」及び「外側へ」などの方向を示す用語が、図示された実施形態の方向に基づいて本発明を説明するのを助けるために使用される。方向を示す用語の使用が、本発明をいずれかの特定の方向に限定すると解釈されるべきではない。
【0088】
上記の説明は、本発明の現在の実施形態の説明である。均等論を含む特許法の原則に従って解釈されるべき、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の主旨及び広範な態様から逸脱することなく、様々な変更や変化がなされることができる。本開示は、説明の目的のために提示されたものであり、本発明のすべての実施形態の包括的な説明として、あるいは、請求の範囲をこれらの実施形態に関連して図示又は説明される特定の要素に限定するように解釈されるべきではない。例えば、限定するものではないが、記載された発明の任意の個々の要素は、実質的に同様の機能を提供するか、さもなければ適切な動作を提供する代替要素によって置き換えることができる。これには、例えば、当業者に現在知られているような、現時点で知られている代替要素、及び、開発時に当業者が代替要素として認識するような、将来的に開発される代替要素が含まれる。さらに、開示された実施形態は、一緒に説明され、協調して一連の利点を提供する複数の特徴を含む。本発明は、発行された特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除き、これらの特徴の全てを含む、または、記載された全ての利点を提供する実施形態のみに限定されない。例えば、冠詞「a」、「an」、「the」または「said」を使用する、単数形での請求項要素への言及は、その要素を単数に限定するものとして解釈されるべきではない。