(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】自動倉庫システム、および荷物保管方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2024507565
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2023003992
(87)【国際公開番号】W WO2023176195
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2022040924
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】桑田 城
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252906(JP,A)
【文献】特開2018-205861(JP,A)
【文献】特開2014-34442(JP,A)
【文献】特開2018-184272(JP,A)
【文献】特開2004-315101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の荷物を保管する複数の自動倉庫を備える自動倉庫群と、前記自動倉庫群から出庫される荷物を受け取る複数のステーションと、前記自動倉庫群から前記ステーションへ荷物を搬送する搬送手段と、前記自動倉庫における荷物の保管位置を決定する管理装置と、を備えた自動倉庫システムであって、
前記管理装置は、
荷物の出庫頻度に基づいて荷物の種類ごとに高ランク品、中ランク品、低ランク品に荷物を区分する区分情報を取得する区分情報取得部と、
前記自動倉庫群において中ランク品に区分される荷物を保管する複数の領域であって、前記ステーションのそれぞれに近い領域である近隣領域を示す近隣領域情報を取得する近隣領域情報取得部と、
前記区分情報に基づき高ランク品に区分される荷物を前記自動倉庫のそれぞれに分散して保管させ、前記区分情報、および前記近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物を複数の前記近隣領域へ分散して保管させる保管情報を生成する保管情報生成部と、を備える
自動倉庫システム。
【請求項2】
前記保管情報生成部は、
前記区分情報、および前記近隣領域情報に基づき低ランク品に区分される荷物を前記近隣領域よりも前記ステーションから遠い領域に保管させる保管情報を生成する
請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
中ランク品に区分される荷物の出庫、および高ランク品に区分される荷物の出庫を示すオーダーを取得した場合、中ランク品に区分される荷物を出庫する近隣領域を決定し、決定した領域から出庫する中ランク品に区分される荷物と同タイミングで出庫可能な前記オーダーに含まれる高ランク品に区分される荷物を決定して出庫情報を生成する出庫情報生成部を備える
請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
近隣領域に保管されている中ランク品に区分される荷物の保管状態を取得する保管状態取得部を備え、
前記保管情報生成部は、
取得した保管状態に基づき、中ランク品に区分される荷物がすでに保管されている近隣領域以外の近隣領域に荷物を保管させる保管情報を生成する
請求項1
または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
複数種類の荷物を保管する複数の自動倉庫を備える自動倉庫群と、前記自動倉庫群から出庫される荷物を受け取る複数のステーションと、前記自動倉庫群から前記ステーションへ荷物を搬送する搬送手段と、前記自動倉庫における荷物の保管位置を決定する管理装置と、を備えた自動倉庫システムの荷物保管方法であって、
荷物の出庫頻度に基づいて荷物の種類ごとに高ランク品、中ランク品、低ランク品に荷物を区分する区分情報を区分情報取得部が取得し、
前記自動倉庫群において中ランク品に区分される荷物を保管する複数の領域であって、前記ステーションのそれぞれに近い領域である近隣領域を示す近隣領域情報を近隣領域情報取得部が取得し、
前記区分情報に基づき高ランク品に区分される荷物を前記自動倉庫のそれぞれに分散して保管させ、前記区分情報、および前記近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物を複数の前記近隣領域へ分散して保管させる保管情報を保管情報生成部が生成する
荷物保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラックから複数のステーションへ搬送手段を用いて荷物の搬送を行う自動倉庫システム、および荷物保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のラックを備えた自動倉庫システムにおいて、出庫作業の効率化を図るため、各ラックに荷物を分散して保管する自動倉庫システムが存在している(例えば特許文献1参照)。また、特許文献2には、荷物の種類ごとに出庫頻度を管理し、低頻度の商品を分散して保管する自動倉庫システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-255720号公報
【文献】特開2008-162747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、出庫頻度が中程度であるため複数のラック全てに分散して保管させるほどの入庫数がないような荷物を従来の処理に基づいて保管位置を決定すると、自動倉庫システム全体として出庫の効率が低下することを発明者は見出した。
【0005】
本発明は、上記発明者の知見に基づきなされたものであり、出庫頻度が中程度の荷物を含む荷物をラックに保管しても効率的に出庫できる自動倉庫システム、および荷物保管方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである自動倉庫システムは、複数種類の荷物を保管する複数の自動倉庫を備える自動倉庫群と、前記自動倉庫群から出庫される荷物を受け取る複数のステーションと、前記自動倉庫群から前記ステーションへ荷物を搬送する搬送手段と、前記自動倉庫における荷物の保管位置を決定する管理装置と、を備えた自動倉庫システムであって、前記管理装置は、荷物の出庫頻度に基づいて荷物の種類ごとに高ランク品、中ランク品、低ランク品に荷物を区分する区分情報を取得する区分情報取得部と、前記自動倉庫群において中ランク品に区分される荷物を保管する複数の領域であって、前記ステーションのそれぞれに近い領域である近隣領域を示す近隣領域情報を取得する近隣領域情報取得部と、前記区分情報に基づき高ランク品に区分される荷物を前記自動倉庫のそれぞれに分散して保管させ、前記区分情報、および前記近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物を複数の前記近隣領域へ分散して保管させる保管情報を生成する保管情報生成部と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つである荷物保管方法は、複数種類の荷物を保管する複数の自動倉庫を備える自動倉庫群と、前記自動倉庫群から出庫される荷物を受け取る複数のステーションと、前記自動倉庫群から前記ステーションへ荷物を搬送する搬送手段と、前記自動倉庫における荷物の保管位置を決定する管理装置と、を備えた自動倉庫システムの荷物保管方法であって、荷物の出庫頻度に基づいて荷物の種類ごとに高ランク品、中ランク品、低ランク品に荷物を区分する区分情報を区分情報取得部が取得し、前記自動倉庫群において中ランク品に区分される荷物を保管する複数の領域であって、前記ステーションのそれぞれに近い領域である近隣領域を示す近隣領域情報を近隣領域情報取得部が取得し、前記区分情報に基づき高ランク品に区分される荷物を前記自動倉庫のそれぞれに分散して保管させ、前記区分情報、および前記近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物を複数の前記近隣領域へ分散して保管させる保管情報を保管情報生成部が生成する。
【発明の効果】
【0008】
出庫頻度が中ランク品に区別される荷物を含む複数種類の荷物を複数のラックに保管しても効率的にラックから出庫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る自動倉庫システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0012】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、自動倉庫システム100を示す斜視図である。同図に示すように、自動倉庫システム100は、荷物200を自動的に出庫するシステムであって、自動倉庫群110と、複数のステーション120と、複数台の搬送手段130と、管理装置140と、を備えている。
【0014】
自動倉庫群110は、複数の自動倉庫を備える。本実施の形態の場合、自動倉庫群110は、自動倉庫として第一自動倉庫111、第二自動倉庫112、第三自動倉庫113、第四自動倉庫114と、を備えている。なお、自動倉庫群110が備える自動倉庫の数は限定されるものではない。また、自動倉庫の種類や大きさ(荷物200の保管可能数)などは相互に異なっていても構わない。
【0015】
第一自動倉庫111は、荷物200を保管し、自動的に出庫、および入庫可能な倉庫である。自動倉庫の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、自動倉庫は、ラック115と、多段コンベヤ161と、搬送装置165と、バーチカルコンベヤ166と、を備えている。なお、第二自動倉庫112、第三自動倉庫113、第四自動倉庫114も同様の構成であり、詳細な説明を省略する。
【0016】
ラック115は、荷物200を保管する棚である。本実施の形態の場合、ラック115は、水平面内の第一方向(図中Y軸方向)に荷物200を並べて載置状に保持する棚板を垂直方向(図中Z軸方向)に複数段備えている。また、第一自動倉庫111は、水平面内において第一方向と直交する第二方向(図中X軸方向)において、搬送装置165を挟んで二つのラック115を平行に並べて備えている。なお、第一方向におけるラック115の長さは、特に限定されるものではない。図中では、ラック115の長さを短く記載しているが、これは図示を容易にするためであり、ラック115の少なくとも一方は図示されるものよりも長くても構わない。
【0017】
搬送装置165は、ラック115、多段コンベヤ161に保持される荷物200を別の場所に移送することができる装置である。搬送装置165の種類は、特に限定されるものではなく、スタッカクレーンなどを例示することができる。本実施の形態の場合、搬送装置165は、ラック115の各段に対応する位置にそれぞれ敷設されるレールと、レール毎に配置される走行台車と、を備えている。
【0018】
レールは、二つのラック115の間においてラック115に沿って第一方向に多段コンベヤ161に至るまで延在して配置される部材である。走行台車は、荷物200を保持した状態でレールに沿って往復動することができる。走行台車には、ラック115、多段コンベヤ161と走行台車との間で荷物200を移載することができる移載装置を備えている。移載装置は、搬送装置165の両側に隣接するラック115、多段コンベヤ161、のいずれとの間でも荷物200を移載することができる。
【0019】
多段コンベヤ161は、ラック115のそれぞれの各段に対応する位置にそれぞれ配置されるコンベヤを備え、ラック115の延在方向である第一方向に沿って荷物200を搬送し、バーチカルコンベヤ166に荷物200を移載する。また、バーチカルコンベヤ166から移載された荷物200を多段コンベヤ161内の所定の位置まで搬送する。多段コンベヤ161の種類は、特に限定されるものではなく、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤなどを例示することができる。本実施の形態の場合、第一自動倉庫111は、水平面内において第一方向と直交する第二方向(図中X軸方向)において、搬送装置165を挟んで二つの多段コンベヤ161を平行に並べて備えている。
【0020】
バーチカルコンベヤ166は、多段コンベヤ161が備える各段のコンベヤに対応する位置まで上下動する昇降台を備え、所定の段の多段コンベヤ161から移載された荷物200を垂直方向(図中Z軸方向)に搬送し、搬送手段130との間で荷物200を移載可能である。本実施の形態の場合、第一自動倉庫111は、多段コンベヤ161に対応して二つのバーチカルコンベヤ166を備えている。また、バーチカルコンベヤ166は、搬送手段130との間でも荷物200を移載することができるものとなっている。
【0021】
第一自動倉庫111は、搬入コンベヤ(不図示)に接続されている。搬入コンベヤは、第一自動倉庫111へ荷物200を供給するコンベヤである。搬入コンベヤは、第一自動倉庫111から第四自動倉庫114までのそれぞれの自動倉庫に備えられた入庫用のバーチカルコンベヤ166に端部が接続されるように枝分かれしており、荷物200をいずれの自動倉庫に入庫するかを管理装置140により管理されている。
【0022】
ステーション120は、自動倉庫群110のラックのいずれかから出庫される荷物200を受け取る領域である。本実施の形態の場合、ステーション120は、ピッキングステーションである。ピッキングステーションでは、受け取った荷物200からオーダーにより指示された商品を作業員、またはロボットが所定の個数取り出し、配送用の容器210に収納するピッキング作業が実行される。商品が取り出された荷物200は、搬送手段130によりステーション120から自動倉庫群110に搬送され、再びラックに保管される。商品が収納された容器210は、オーダーに示された種類の商品が全て収納されるとステーション120から搬出される。
【0023】
搬送手段130は、自動倉庫群110からステーション120へ荷物200を搬送する装置である。搬送手段130の種類は、自動倉庫群110からステーション120へ荷物200を搬送できる装置であれば特に限定されるものではない。本実施の形態の場合、自律的に床面上を走行することができ、自律的に荷物200を移載することができる移載装置を備えた無人搬送台車が搬送手段130として採用されている。なお、バーチカルコンベヤ166と搬送手段130との間で荷物200を直接移載する場合を図示しているが、チェーンコンベヤなどの搬送装置を介してバーチカルコンベヤ166と搬送手段130との間で荷物200を移載してもかまわない。この場合、搬送手段130が搬送装置内に侵入し、搬送装置によりバーチカルコンベヤ166から搬送された荷物200を持ち上げて受け取ってもよく、実荷の搬送手段130が搬送装置内に侵入し、荷物200を降下させることで搬送装置に荷物200を受け渡してもよい。
【0024】
図2は、管理装置140の機能部を示すブロック図である。管理装置140は、自動倉庫群110が備えるラックにおける荷物200の保管位置を決定する装置であって、プログラムをプロセッサに実行させることにより荷物の保管方法を実現する処理部として、区分情報取得部141と、近隣領域情報取得部142と、保管情報生成部143と、を備えている。本実施の形態の場合、管理装置140は、出庫情報生成部144と、保管状態取得部145と、を備えている。
【0025】
区分情報取得部141は、荷物200が自動倉庫群110から出庫される頻度を示す出庫頻度に基づいて荷物200の種類ごとに高ランク品、中ランク品、低ランク品に荷物200を区分する区分情報を取得する。
【0026】
区分情報とは、荷物200を出庫頻度を示す高ランク品、中ランク品、低ランク品のグループに分類するための情報である。本実施の形態の場合、荷物200は、収納されている商品の種類によって区別されており、出庫頻度の高い同一種類の商品が収納された荷物200(以下、「同一荷物」と記載する場合がある。)は、出庫頻度に対応する数だけ自動倉庫群110に保管される。高ランク品に区分される荷物200とは、同一荷物が頻繁に出庫されるため、全ての自動倉庫に配置できる程度の数以上(例えば、全ての自動倉庫の数の90%以上)の同一荷物を自動倉庫群110に在庫する荷物200である。本実施の形態の場合、自動倉庫システム100は自動倉庫を四台備えているため、四つ以上の同一荷物を在庫する荷物200が高ランク品に区分される荷物となる。中ランク品に区分される荷物200とは、同一荷物を自動倉庫群110に複数個在庫するが、全ての自動倉庫に配置することはできない数を在庫する荷物200である。本実施の形態の場合、二個、または三個の同一荷物が自動倉庫群110に在庫される荷物200である。低ランク品に区分される荷物200とは、同一荷物を自動倉庫群110に単数しか在庫しない荷物200である。なお、高ランク品、中ランク品、低ランク品を自動倉庫の数に基づき定義したが、これに限定されるものではなく、例えばラックの数に基づき定義しても良い。また、出庫頻度に基づき定義しても良い。例えば、高ランク品に区分される荷物200は、毎日出庫される荷物200、中ランク品に区分される荷物200は、2~6日に1回出庫される荷物200、低ランク品に区分される荷物200は、7日以上に1回出庫される荷物200などである。本実施の形態においてラックの数に基づき定義する場合、同一物品を八個以上在庫する荷物200は高ランク品に区分され、同一物品を二個以上七個以下在庫する荷物200は、中ランク品に区分され、同一物品を一個、または二個在庫する荷物200は、低ランク品に区分される。
【0027】
区分情報は、同一荷物が自動倉庫群110から出庫される度に区分情報取得部141がカウントすることにより取得しても構わない。また、自動倉庫システム100を立ち上げる場合や、季節要因などにより荷物200の在庫状況が大きく変わる場合などにおいては、区分情報を上位コントローラなどから取得しても構わない。
【0028】
近隣領域情報取得部142は、自動倉庫群110において中ランク品に区分される荷物200を保管する複数の領域であって、ステーション120のそれぞれに近い領域である近隣領域を示す近隣領域情報を取得する。近隣領域とは、荷物200を保管することができる領域であって、複数のステーション120に対応してそれぞれ一つ設定される領域である。例えば
図3に示すように、自動倉庫システム100が、第一ステーション121、第二ステーション122、第三ステーション123を備えている場合、それぞれに第一近隣領域221、第二近隣領域222、第三近隣領域223が設定される。「近い」とは、距離的に近いのではなく、ラックから荷物200を搬送装置165が取り出し、搬送手段130がステーション120に届けるまでの時間が短い(時間的距離が近い)ことを意味している。「それぞれに近い領域」とは、第一ステーション121と第一ステーション121に対応する第一近隣領域221との時間的距離は、第一ステーションと第一ステーション121以外に対応する近隣領域(第二近隣領域222、第三近隣領域223)との時間的距離よりも近いことを意味している。なお、複数の近隣領域が重複する場合があってもよい。また、近隣領域に配置できる荷物200の数は、一個でもよく、複数個でも構わない。近隣領域情報は、上位コントローラから取得してもよく、近隣領域情報取得部142が演算することにより取得しても構わない。
【0029】
保管情報生成部143は、区分情報取得部141が取得した区分情報に基づき高ランク品に区分される荷物200を自動倉庫のそれぞれに分散して保管させる。高ランク品に区分される荷物200は、出庫頻度が高いため各ステーションに近いラック115に分散させて保管させることが望ましい。また、取得した区分情報、および近隣領域情報取得部142が取得した近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物200を複数の近隣領域へ分散して保管させる保管情報を生成する。本実施の形態の場合、保管情報生成部143は、区分情報、および近隣領域情報に基づき低ランク品に区分される荷物200を近隣領域よりもステーション120から遠い領域に保管させる保管情報を生成する。例えば、保管情報生成部143は、
図3に示す遠方領域230に低ランク品に区分される荷物200が保管される保管情報を生成する。
【0030】
具体的には、管理装置140は、近隣領域に保管されている中ランク品に区分される荷物200の保管状態を荷物200の種類毎に取得する保管状態取得部145を備えており、保管情報生成部143は、保管状態取得部145が取得した保管状態に基づき、中ランク品に区分される荷物200がすでに保管されている近隣領域以外の近隣領域に荷物200を保管させる保管情報を生成する。例えば、中ランク品に区分される荷物200が第一近隣領域221と第二近隣領域222にすでに保管されている場合、第三近隣領域223に中ランク品に区分される荷物200を保管させる。
【0031】
出庫情報生成部144は、中ランク品に区分される荷物200の出庫、および高ランク品に区分される荷物200の出庫を示すオーダーを取得した場合、中ランク品に区分される荷物200を出庫する近隣領域を決定し、決定した領域から出庫する中ランク品に区分される荷物200と同じ自動倉庫、またはオーダーに対応するステーション120にできる限り近い自動倉庫から高ランク品に区分される荷物200を出庫する出庫情報を生成する。具体的に例えは、1つのオーダーに中ランク品に区分される荷物200および高ランク品に区分される荷物200の両方が含まれている場合、先に中ランク品に区分される荷物200が出庫される自動倉庫を決定し、決定された自動倉庫とは異なる自動倉庫から高ランク品に区分される荷物200を出庫する出庫情報を生成する。これにより、同じステーション120へ搬送する高ランク品に区分される荷物200を中ランク品に区分される荷物200と同じタイミングで搬送することができ、ピッキング作業待ちの発生を抑制することができる。
【0032】
本実施の形態の場合、管理装置140は、生成された保管情報に基づき、自動倉庫群110に入庫する荷物200が所定の近隣領域に保管されるように自動倉庫群110などを制御する入庫制御部146を備えている。また、出庫情報生成部144により生成された出庫情報に基づき自動倉庫群110から荷物200を出庫する制御を行う出庫制御部147を備えている。
【0033】
本実施の形態にかかる自動倉庫システム100によれば、全ての自動倉庫に分散して保管するほどの在庫量がない出庫頻度が中ランク品に区分される荷物200をステーション120へ出庫しやすい位置である近隣領域に保管することで、自動倉庫システム100全体としての搬送能力を向上させることができる。
【0034】
また、低ランク品に区分される荷物200は、近隣領域よりも遠い場所へ保管することでステーション120に近い位置の空き領域を確保することができ、近隣領域を確保しやすくなる。
【0035】
また、中ランク品に区分される荷物200が新規に自動倉庫群110に入庫する場合、中ランク品に区分される荷物200をすでに保管している近隣領域以外に新規の荷物200を保管することで中ランク品に区分される荷物200を分散して保管することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0037】
例えば、自動倉庫群110が備える搬送装置165と、搬送手段130とを別の装置として説明したが、床面を走行する搬送手段130が、ラックに沿って上下方向に移動し、自動倉庫内のいずれかの段に設置されているレールを走行しても構わない。搬送手段130は、バーチカルコンベヤなどにより空荷、実荷を問わず上下方向に移動してもよく、搬送手段130が備えるモータにより上下方向に延在するレールに沿って移動するものでも構わない。
【0038】
また、保管情報生成部143は、近隣領域情報取得部142が取得した近隣領域情報に基づき中ランク品に区分される荷物200を複数の近隣領域へ分散して保管させる保管情報を生成するが、例えばラック115の空き状況に応じて近隣領域に中ランク品以外に区分された荷物200を保管させる保管情報を生成してもかまわない。また、一時的に在庫が重複した場合などにおいて、近接領域以外に中ランク品を保管させる保管情報を生成してもかまわない。
【0039】
また、近隣領域をステーション120に対して固定的に設定する場合を例示したが、近隣領域は、中ランク品に区分される荷物200が入庫する都度、ラック115の空き状況に応じて動的に設定されてもかまわない。
【0040】
また、搬送手段130として自律的に走行する台車を備えた自動倉庫システム100を例示したが、自動倉庫システム100は、自動倉庫間で荷物200を受け渡すコンベヤなどの搬送装置を設けてもよく、この場合、搬送手段130として自動倉庫とピッキングステーションを連結するコンベヤなどを採用してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
複数のラックに保管される荷物がラックの数より少ないステーションに搬送される自動倉庫に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
100 自動倉庫システム
110 自動倉庫群
111 第一自動倉庫
112 第二自動倉庫
113 第三自動倉庫
114 第四自動倉庫
115 ラック
120 ステーション
121 第一ステーション
122 第二ステーション
123 第三ステーション
130 搬送手段
140 管理装置
141 区分情報取得部
142 近隣領域情報取得部
143 保管情報生成部
144 出庫情報生成部
145 保管状態取得部
146 入庫制御部
147 出庫制御部
161 多段コンベヤ
165 搬送装置
166 バーチカルコンベヤ
200 荷物
210 容器
221 第一近隣領域
222 第二近隣領域
223 第三近隣領域
230 遠方領域