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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電極装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/31 20060101AFI20241119BHJP
   B23K 11/36 20060101ALI20241119BHJP
   B23K 11/11 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
B23K11/31
B23K11/36 310
B23K11/11
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020090078
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021171817
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】浅井 直樹
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-122186(JP,A)
【文献】実開昭55-033673(JP,U)
【文献】実開昭60-084191(JP,U)
【文献】特開2004-122179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/31
B23K 11/36
B23K 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記カバー部材を排水接続具が取付けられた排水用カバー部材と給水接続具が取付けられた給水用カバー部材に分割したことを特徴とした請求項1に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抵抗溶接に用いられる、冷却水によって冷却される電極装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電極装置として図7に示すように、L字型ホルダー51の水平部材52の先端部に電極53を上方に突出させて垂直に取付けるとともに、基端に分水器54を取付け、内部に、分水器54から電極53に至る冷却水路55を形成するとともに、冷却水路55内に冷却チューブ56を設置し、分水器54に取付けた給水接続具57から給水した冷却水を、冷却チューブ56内を通して電極53内部に噴出し、冷却チューブ56の外側面と、電極53とL字型ホルダー51の冷却水路55の内側面との間を通って分水器54に取付けた排水接続具58から排水することにより電極53を冷却するようにしたものがあった。(例えば、特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-074263公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、分水器54の給排水接続具57、58の取付け位置が固定されているため、溶接するワークの形状によっては、給排水接続具57、58が邪魔になり溶接できないことがあり、このような場合には給排水接続具が邪魔にならない分水器に交換しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、分水器に取付けられる給排水接続具の取付け位置を変更可能にしたことにより分水器の交換が不要になる電極装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の電極装置は、ホルダーの先端部に電極を取り付けるとともに、基端に分水器を取付け、この分水器からホルダーを介して電極に至る冷却水路を内部に形成するとともに冷却水路内に冷却チューブを設置し、分水器に取付けた給水接続具から給水した冷却水を、冷却チューブの内部を通して電極内部に噴出し、冷却チューブの外側面と、電極とホルダーと分水器の基体の冷却水路の内側面との間を通って分水器に取付けた排水接続具から排水するようにした電極装置において、前記分水器を、内部に冷却水路を形成し、外面の周方向に2個の溝を形成するとともに各々の溝の底面に冷却水路に連通する貫通孔を形成した円筒形の基体に、この基体の前記2個の溝を覆い先端側の溝に連通する排水接続具が取付けられるとともに基端側の溝に連通する給水接続具が取付けられた円筒形のカバー部材を回転可能に取付けることによって構成した、ことを特徴としたものである。
【0007】
前記カバー部材を排水接続具が取付けられた排水用カバー部材と給水接続具が取付けられた給水用カバー部材に分割したものであることが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、分水器を、内部に冷却水路を形成し、外面の周方向に2個の溝を形成するとともに各々の溝の底面に冷却水路に連通する貫通孔を形成した円筒形の基体に、この基体の前記2個の溝を覆い先端側の溝に連通する排水接続具が取付けられるとともに基端側の溝に連通する給水接続具が取付けられた円筒形のカバー部材を回転可能に取付けることによって構成した、ことを特徴としたものであるから、分水器に取付けられる給排水接続具の取付け位置が変更可能になり、分水器の交換が不要になる
【0009】
請求項2の発明では、前記カバー部材を排水接続具が取付けられた排水用カバー部材と給水接続具が取付けられた給水用カバー部材に分割したので、排水用カバー部材と給水用カバー部材は別々に回転可能に取付けたので、排水接続具と給水接続具を別々に取付け調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態の正面図である。
図2】第1図の断面図である。
図3】本発明の要部の断面図である。
図4図3のカバー部材を180°回転させた断面図である。
図5】給排水接続具の回転を説明するための図である。
図6】第2の実施形態の要部の断面図である。
図7】従来例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図5に基づいて説明する。
【0012】
1は、水平部材2と、この水平部材2の基端部下面に取付けられた垂直軸部材3とからなるL字型ホルダー4と、このL字型ホルダー4の水平部材2の先端に形成された上面開口の嵌合穴5に下部を嵌合し垂直に突出して取付けられた電極6と、水平部材2の基端面に螺合により取付けられた分水器7と、冷却水を分水器7から電極6内部に噴出するためのポリテトラフルオロエチレン製の冷却チューブ8とからなる電極装置であり、電極装置1には、分水器7からL字型ホルダー4の水平部材2を通って電極6に達する、基端を細径部9aとした冷却水路9が形成され、この冷却水路9内に、分水器7からL字型ホルダー4の水平部材2を通って電極6の冷却水路9端部近傍まで延び、外径が冷却水路9の細径部9aと略同径の冷却チューブ8が設置されている。
【0013】
次に本発明の要部である分水器7について詳細に説明すると、10は内部に、中間部より基端を細径部9aとした先端が開口した、冷却水路9の基端部分を形成した筒状の基体であり、基体10の外面には2個の平行な溝11、12が全周に渡って形成されており、先端側の溝11の底面には、冷却水路9の太径部9bに連通する貫通孔13が180°離れて2個形成されるとともに基端側の溝12の底面には冷却水路9の細径部に連通する貫通孔14が180°離れて2個形成されている。
【0014】
15は基体10が嵌め込まれ基体10の2個の溝11、12を覆う円筒形のカバー部材であり、カバー部材15の基体10の2個の溝11、12に対応する部分には溝11に連通する排水接続具16が取付けられた排水孔17と溝12に連通する給水接続具18が取付けられた給水孔19が設けられている。
【0015】
20は、回転可能なカバー部材15を基体10に取付けるためのC型止め輪であり、21、22は基体10とカバー部材15との間の防水のためのパッキンである。
【0016】
前記のような電極装置は、冷却チューブ8の基端が、基体10の冷却水路9の細径部9aに、基端部が給水孔19より先端側となるように嵌め込まれており、給水接続具18から給水した冷却水が冷却チューブ8の内部を通り電極6内に噴出し、冷却チューブ8と外面と電極6及びL字型ホルダー4の水平部材2の冷却水路9の内面の間を通り、分水器7の排水接続具から排水されるのは従来と同様であるが、前記のものでは図5に示すように、ワーク23,24を溶接する場合、一方のワーク23の端部が給排水接続具16、18に当たり、溶接ができない場合、カバー部材15を180°回転し、給排水接続具16、18を破線で記載した位置にすれば、ワーク23、24は破線で示したように、給排水接続具16、18が邪魔にならないので、ワーク23、24を溶接可能である。尚、25は上部電極である。
【0017】
また、前記の電極装置1は、給水接続具18から給水された冷却水は溝12及び貫通孔14を介して冷却水路9の細径部9aから冷却チューブ8内部を通って電極内部に噴出し、冷却チューブ8と外面と電極6及びL字型ホルダー4の水平部材2の冷却水路9の内面の間を通り、分水器7の冷却水路9の太径部9bから貫通孔13及び溝11を介して排水接続具16から排水される。
【0018】
次に、第2の実施の形態について図6に基づいて説明すると、カバー部材31が、排水接続具16が取付けられた排水用カバー部材32と給水接続具18が取付けられた給水用カバー部材33に分割されており、排水用カバー部材32と給水用カバー部材33は別々に回転可能に取付けたので、排水接続具16と給水接続具18を別々の位置に取付け可能となっている。その他の構成は前記第1の実施形態と同一であるので、同一箇所に同一番号を付して説明を省略する。
【0019】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、分水器7の基体1の全周に渡って形成した溝は、給排水接続具16、18を360°の任意の位置で取付けできるためであり、最大回転範囲が決まっている場合には、最大回転範囲に対応した溝を設ければよく、また、溝11、12の底面に形成される貫通孔は1個でも良い。
【0020】
以上のように本発明によれば、分水器7を、内部に冷却水路9を形成し、外面の周方向に2個の溝11、12を形成するとともに、各々の溝11、12の底面に冷却水路9に連通する貫通孔13、14を形成した円筒形の基体10に、この基体10の溝11、12を覆い、先端側の溝11に連通する排水接続具16が取付けられるとともに、基端側の溝12に連通する給水接続具18が取付けられたカバー部材15、31を回転可能に取付けたので、分水器7に取付けられる給排水接続具16、18の取付け位置が変更可能になり、分水器7の交換が不要になる。
【0021】
また、前記カバー部材31を排水接続具16が取付けられた排水用カバー部材と給水接続具18が取付けられた給水用カバー部材に分割したので、排水用カバー部材32と給水用カバー部材33は別々に回転可能に取付けたので、排水接続具16と給水接続具18を別々に取付け調整可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 電極装置
4 L字型ホルダー
6 電極
7 分水器
8 冷却チューブ
9 冷却水路
9a 細径部
9b 太径部
10 基体
11 溝
12 溝
13 貫通孔
14 貫通孔
15 カバー部材
16 排水接続具
18 給水接続具
31 カバー部材
32 排水用カバー部材
33 給水用カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7