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特許7589877複合材料及びそれによって形成された物体から物体を製造する方法
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  • 特許-複合材料及びそれによって形成された物体から物体を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】複合材料及びそれによって形成された物体から物体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/68 20060101AFI20241119BHJP
   B29C 70/34 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B29C70/68
B29C70/34
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208405
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2020555116の分割
【原出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2024028939
(43)【公開日】2024-03-05
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】1805858.6
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521354031
【氏名又は名称】ユニヴァーサル マター ジービーアール リミテッド
【住所又は居所原語表記】The Wilton Centre Redcar,Cleveland TS10 4RF(GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,マシュー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ギャラフェント,アントニー シャビエル
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/014821(WO,A1)
【文献】特開2017-210515(JP,A)
【文献】国際公開第2016/149532(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維及び/又はファブリック強化複合材料から物体を製造する方法であって、
前記繊維及び/又はファブリック強化複合材料は、プルーフコーティングの少なくとも第1の層、第1の又は複合マトリックス、及び1つ又は複数の繊維及び/又はファブリック強化材料を有し、
当該方法は、
a)前記プルーフコーティングの第1の層を形成すること、及び
b)複合要素を形成する前記繊維及び/又はファブリック強化材料と前記複合マトリックスの混合物をレイアップすること、
を含み、
ここで、
(i)ステップ(a)が最初に実行され、前記プルーフコーティングの前記第1の層が金型又は支持体に適用され、続いてステップ(b)が実行され、ステップ(a)の前記プルーフコーティングの前記第1の層の表面にレイアップが実行され;又は、
(ii)ステップ(b)が最初に実行され、金型又は支持体上でレイアップが実行され、続いてステップ(a)が実行され、前記プルーフコーティングの前記第1の層がステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用され、
前記プルーフコーティングは、2Dナノ材料プレートレットが分散された第2のマトリックスから構成され、前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン/グラファイトプレートレットであり、45μm未満、30μm未満、又は15μm未満のD50粒子サイズを有し、
前記プルーフコーティングは、2Dナノ材料プレートレットの複数の層を有し、水及び/又は他の液体の浸透のための曲がりくねった経路が提供され、
前記プルーフコーティングは、0.1wt%から0.5wt%の2Dナノ材料プレートレットで構成され、
前記プルーフコーティングは、前記複合要素の前記繊維及び/又はファブリック強化材料に対する水および/または他の液体の浸透に対する障壁として作用する、方法。
【請求項2】
前記プルーフコーティングの前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークのうちの1つ又は混合物を含み、前記グラファイトフレークは1ナノスケールの寸法と35以下の原子層を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、グラファイトフレーク、ここで前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフェン(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレート、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、
c)ゲルコートの層を形成すること、
をさらに含み、
ここで、
(iii)ステップ(c)が最初に実行され、ここで、前記ゲルコートを金型又は支持体に適用して、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記ゲルコートの表面に前記プルーフコーティングが形成され、続いてステップ(b)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの自由表面にレイアップが実行される、又は
(iv)ステップ(b)が最初に実行され、ここで、金型又はサポート上でレイアップが実行されている、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層が、ステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用され、続いてステップ(c)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの自由表面に前記ゲルコートが適用される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、少なくとも2つのプルーフコーティング層を形成することをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、前記複合要素の異なる表面を覆う少なくとも2つのプルーフコーティング層をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、少なくとも1つのプルーフコーティング層をさらなるプルーフコーティング層でオーバーレイすることをさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
プルーフコーティングの前記層は、ブラッシング、スプレー、又は印刷によって作成される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記プルーフコーティングの前記第1の層は、5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μm、25μmから100μm、40μmから60μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタリックポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、並びにそれらの混合物及び組み合わせから構成される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第2のマトリックスは、架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び非架橋性樹脂の1つ又は複数から構成される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記プルーフコーティングは、さらに硬化剤を含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
繊維及び/又はファブリックで補強された複合材料から少なくとも一部が構築された物体であって、
当該物体は、少なくとも一つのプルーフコーティング層、第1又は複合マトリックス、及び1又は2以上の繊維及び/又はファブリック強化材料を有し
前記繊維及び/又はファブリック強化材料ならびに前記複合マトリックスは、複合要素を形成し、
前記プルーフコーティングは、2Dナノ材料プレートレットが分散された第2のマトリックスから構成され、
前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン/グラファイトプレートレットであり、45μm未満、30μm未満、又は15μm未満のD50粒子サイズを有し、
前記プルーフコーティングは、2Dナノ材料プレートレットの複数の層を有し、水及び/又は他の液体の浸透のための曲がりくねった経路が提供され、
前記プルーフコーティングは、0.1wt%から0.5wt%の2Dナノ材料プレートレットで構成され、
前記プルーフコーティングは、前記複合要素の前記繊維及び/又はファブリック強化材料に対する水および/または他の液体の浸透に対する障壁として作用する、物体。
【請求項14】
前記プルーフコーティングの前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークのうちの1つ又は混合物を含み、前記グラファイトフレークは1つのナノスケール寸法と35以下の原子層を持つ、請求項13に記載の物体。
【請求項15】
前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、グラファイトフレーク、ここで前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフェン(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレート、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造を含む、請求項13又は14に記載の物体。
【請求項16】
当該物体は、さらにゲルコートの層を含み、プルーフコーティング層は、前記ゲルコート層と前記複合要素との間にある、請求項13から15のいずれかに記載の物体。
【請求項17】
当該物体は、少なくとも2つのプルーフコーティング層を含む、請求項13から16のいずれかに記載の物体。
【請求項18】
少なくとも2つのプルーフコーティング層は、前記複合要素の異なる表面を覆う、請求項17に記載の物体。
【請求項19】
少なくとも1つのプルーフコーティング層は、さらなるプルーフコーティング層で覆われる、請求項17又は18に記載の物体。
【請求項20】
前記プルーフコーティング層は、5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項13から19のいずれかに記載の物体。
【請求項21】
前記複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタリックポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びそれらの混合物及び組み合わせから構成される、請求項13から20のいずれかに記載の物体。
【請求項22】
前記第2のマトリックスは、架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び非架橋性樹脂の1つ又は複数から構成される、請求項13から21のいずれかに記載の物体。
【請求項23】
前記プルーフコーティングは、さらに硬化剤を含む、請求項13から22のいずれかに記載の物体。
【請求項24】
当該物体は、複合材料から物体を作製する際に使用される金型である、請求項13から23のいずれかに記載の物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料に関する。特に、このアプリケーションは、既知の繊維/布強化複合材料と比較して耐用年数が改善された繊維/布強化複合材料に関連している。
【背景技術】
【0002】
繊維/布で強化された複合材料はよく知られており、マトリックス内で結合された繊維及び/又は布で構成されている。複合材料で使用される最もよく知られている繊維及び布は、ガラス繊維とガラス繊維で作られたファブリック又は布、並びに炭素繊維と、炭素繊維で作られたファブリック又は布である。しかしながら、人工及び有機の両方の、他のタイプの繊維及びそれから作られたファブリック又は布は、繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料で使用されることが知られている。複合材料には、複数の種類の繊維及び/又はファブリックを使用できる。複合材料で使用される繊維(複数可)及び/又はファブリック(複数可)の選択は、多くの場合、機械的要件又は経済性によって決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
繊維及び/又は布で強化された複合材料のマトリックスは、通常、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、又はエポキシ樹脂である。使用される樹脂のタイプの選択は、少なくとも部分的に、複合材料から作られる物体の提案された使用、複合材料の所望の機械的特性、及び様々な樹脂の異なるコストに依存するであろう。マトリックスは、既知の技術によって繊維及び/又はファブリックの補強材と組み合わされ、マトリックスが硬化すると、繊維及び/又はファブリックの補強材がマトリックス内に結合される。
【0004】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料から作られた物体はまた、物体の少なくとも1つの表面を覆うゲルコートのコーティングを含む場合が多い。通常、ゲルコートは、最も有害な環境条件にさらされると予想される物体の表面又は各表面を覆う。そのような有害な環境条件には、水などの液体への曝露が含まれるが、これらに限定されないが、その曝露は、一定(例えば、ボートの船体)又は断続的(例えば、浴又は液体貯蔵タンク)であり得る。
【0005】
ゲルコートは通常、エポキシ又は不飽和ポリエステル樹脂の化学的性質(chemistry)に基づく熱硬化性ポリマーであり、美的理由から顔料を含む場合がある。ゲルコートは耐久性があり、紫外線による劣化や加水分解に対する耐性を提供するように設計されているが、複合材料の構造特性に大きな影響を与えることはない。
【0006】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料は、そのような材料から製造された物体及び構造が、次のような従来の建築材料、例えば金属、の場合よりも軽量で少ないコンポーネントで製造できるため、多くの用途で選択される材料である。このような複合材料の機械的特性は、繊維及び/又はファブリックの補強材の強度と剛性、マトリックスの強度と剛性、繊維又はファブリックとマトリックスとの間の界面の強度、及び温度のような環境条件によって決定される。
【0007】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料から作られた物体又は構造は、使用中又は設置時に、通常、材料の機械的完全性を即座に又は時間の経過とともに低下させる可能性のある1つ又は複数の環境条件にさらさる。このような環境条件は、物体又は構造、及び物体又は構造を製造するための複合材料を設計するときに考慮する必要がある。通常、これにより、環境条件の結果として複合材料の機械的性能の低下を可能にするために必要とされるよりも高性能の材料又はより厚いセクションを利用する設計がもたらされる。
【0008】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料の機械的特性に影響を与える典型的な環境条件は、水及び/又は他の液体への暴露であり、特にそのような暴露が頻繁又は長期間である場合である。これは、マトリックスとゲルコートを構成する材料が透過性であるため、水やその他の液体が時間の経過とともに材料内を移動する可能性があるためである。
【0009】
繊維やファブリックで補強された複合材料には、自由な体積やボイドが存在することがよくある。これらのボイドは、マトリックス及び/又はゲルコートの分子間及び分子内のギャップ、閉じ込められた気泡、亀裂、及び/又は乾燥した繊維及び/又はファブリック(すなわち、マトリックス材料で飽和していない繊維及び/又はファブリック)などの製造上の欠陥の結果である可能性がある。水や他の液体がマトリックスやゲルコートを透過すると、これらの空隙に蓄積する。
【0010】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料の構造内の水及び/又は他の液体の存在及び蓄積は、繊維及び/又はファブリック、マトリックス、及び/又は繊維及び/又はファブリックとマトリックスとの間の界面に、可逆的及び不可逆的な変化及び/又は損傷をもたらすと予想される。
【0011】
マトリックスの場合、発生する可能性のある可逆的な変化は次のとおりである。:
・ マトリックス材 料の膨潤;
及び発生する可能性のある不可逆的な変更/損傷は次のとおりである。:
・ 加水分解のプロセスによるマトリックスの化学的分解;
・ 膨潤及び加えられた応力に関連する応力誘発効果に起因するマトリックスの化学的破壊;
・ 浸出に起因するマトリックスの材料への化学組成の変化;
・ 水の取り込みと損失に続く不均一な収縮の結果としての表面の亀裂とひび割れの形成。
【0012】
繊維及び/又はファブリックの場合、発生する可能性のある不可逆的な変化/損傷は次のとおりである。:
・ 強度の損失をもたらす腐食;
・ 強度の損失につながる浸出。
【0013】
繊維及び/又はファブリックとマトリックスとの間のインターフェースの場合、発生する可能性のある可逆的な変化は次のとおりである。:
・ 可塑化/繊維の表面及び/又は繊維及び/又は布の表面に隣接するマトリックスの柔軟性の増加、その結果、マトリックスと繊維及び/又は布との間の結合の強度が失われる;
及び発生する可能性のある不可逆的な変更/損傷は次のとおりである。:
・ 加水分解のプロセスによるマトリックス/繊維及び/又はファブリック結合の化学的分解;
・ 膨張と収縮に関連する内部で発生した応力による剥離。
【0014】
水及び/又は他の液体が複合材料のボイドに入ると、ボイド内又はボイドに隣接する水溶性材料が溶液中の水に入るため、加水分解は繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料に特に損傷を与える。これにより、ボイド内の溶液と複合材料の表面の水分との間に浸透圧勾配が生じる。その結果、浸透の結果として、さらに水が空隙に引き込まれる。これにより、溶液が複合材料に圧力を加え、層間剥離及び/又は複合材料のブリスターの形成が発生する可能性がある。
【0015】
水及び/又はその他の液体の損傷効果は、温度の上昇とともに増加する。
【0016】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料からの物体の製造に通常含まれるステップは既知であり、少なくとも部分的には、製造される物体の性質及び使用されるマトリックス及び繊維及び/又はファブリックの補強に依存する。製造される物体は、他の物体又は製品、1つの製品、又は1つの構造物の製造に使用するための型(mould)であり得る。そのような製品の例は、本発明が有用である分野を限定することなく、ボート、道路車両、飛行機の構造部品;貯蔵タンク、風呂、温水浴槽、プールなどの液体封じ込め容器;及びタービンブレード;を包含し得る。
【0017】
繊維及び/又はファブリックで強化された複合材料からの物体の製造に通常含まれるいくつかのステップは次のとおりである。:
【0018】
複合材料の成形に使用するのに好適な型が得られる。型は、雄型又は雌型であり得る。雄型では、複合材料が型の外側の周りに形成される。雌型では、複合材料が型の内側に形成される。
【0019】
離型剤は、複合材料が形成される金型の表面に塗布される。そのような離型剤は知られている。
【0020】
複合材料が形成される型の表面は、任意選択で、それに適用されるゲルコートの1つ又は複数のコーティングを有することができる。通常、塗布(application)は、ブラッシング、ローリング、又はスプレーによるものである。ゲルコートの所望の厚さは、通常、0.30mmから0.56mm(0.012インチから0.022インチ)の間であるが、他の厚さが適切であり得る。次に、ゲルコートを硬化させる。表現を明確にするために、ゲルコートの外側表面又は外面は型の表面に近接していること、及びゲルコートの内側表面又は内面は型の表面から離れていることが理解されるべきである。
【0021】
ゲルコートが適用された場合、硬化が十分に進んだら、既知の技術を使用して、ゲルコートの内側表面上での繊維のレイアップ及び/又はファブリックの補強が行われる。ゲルコートが使用されていない場合、既知の技術を使用して、金型の表面上での繊維のレイアップ及び/又はファブリックの補強が行われる。
【0022】
繊維及び/又はファブリックの補強材は、プリプレグ(適切な硬化条件、例えば、十分に高い温度の適用によって硬化の準備ができているマトリックスを含浸させた繊維及び/又はファブリックの補強材)の形態で、又は適所に配置される前に液体マトリックスが塗布された、又は繊維及び/又はファブリックが所定の位置に配置された後に液体マトリックスが塗布された繊維及び/又はファブリックの形態であり得る。複合材料の望ましい厚さを達成するために、十分な繊維及び/又はファブリックが使用される。
【0023】
すべての繊維及び/又はファブリックが配置されると、マトリックスは硬化するか、又は使用される特定のマトリックスに応じて硬化する条件にさらされる。
【0024】
マトリックスが硬化すると、物体は型から取り外される。その物体は、使用する準備ができているか、さらに処理が必要な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の態様によれば、プルーフコーティングの少なくとも1つの第1の層、1つの第1の又は複合マトリックス、及び1つ又は複数の繊維及び/又はファブリック強化材料を含む、繊維及び/又はファブリックで補強された複合材料から物体を製造する方法が提供される。製造ステップが、
a)前記プルーフコーティングの1つの第1の層を形成すること、及び
b)複合要素を形成する前記繊維及び/又はファブリック強化材料と前記複合マトリックスの混合物をレイアップすること(laying up)、
ここで、
(i)ステップ(a)が最初に実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層を金型又はサポートに適用され、続いてステップ(b)が実行され、ここで、ステップ(a)の前記プルーフコーティングの前記第1の層の表面にレイアップが実行される;又は、
(ii)ステップ(b)が最初に実行され、ここで、金型又は支持体上でレイアップが実行され、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層がステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用される。
前記プルーフコーティングは、その中に2Dナノ材料プレートレットを分散させた第2のマトリックスからなることを特徴とする。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、前記プルーフコーティングの前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークとの1つ又は混合物を含み、ここで、前記グラファイトフレークは、1つのナノスケール寸法及び35以下の原子層(単に「層」と呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、前記グラフェンナノプレートは、2つ以上のグラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレット、ならびに数層(few-layer)グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレットのうちの1つ又は混合物を含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元グラフェンオキシドナノプレート、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケール寸法及び35以下の層を有する、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフィン(graphyne)(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内ヘテロ構造、を含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2Dナノ材料は層状2D材料を含み、これは、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D垂直ヘテロ構造面内ヘテロ構造、を含む。
【0029】
上記のように、本発明の複合マトリックスとしての使用に適したエポキシ樹脂及び他の材料は、水又は湿気への比較的短い期間の曝露後、水で飽和するであろう。これは、複合材料に対する加水分解の影響を悪化させる可能性がある。加水分解のメカニズムはよく知られており、本明細書で論じる必要はない。
【0030】
グラフェンに関する一般的な研究では、グラフェン膜は、膜が堆積されている金属基板を環境から効果的に切り離すことができることがわかっている。グラフェンの単一の原子及び欠陥のない膜は、ガス、水、及びその水中の溶存ガス及びイオンに対して不浸透性であることが示されている。ただし、欠陥密度が1um-2の場合、グラフェンを介した水輸送は1m/sを超える(>1m/s)速度で発生する可能性があると推定されている。このような物質移動速度は、金属に対する観察された腐食の影響を説明することができる。
【0031】
グラフェンには多くの形態があり、CVD(Chemical Vapor Deposition)による膜の成長はよく理解されており、1~3原子層のグラフェン膜を生成することができる。このようなフィルムは、グラフェンに関連するほとんどの実験で使用される。そのような技術は、フィルムの比較的小さな領域のみを作成すること、又は基板をコーティングすることを可能にするため、商業的適用性が制限されている。商用アプリケーションでは、グラフェンがグラフェンナノプレート(ナノプレートレットとも呼ばれる)の形で使用されるのがより一般的である。グラフェンナノプレートレットは、グラファイトの剥離又は合成ソルボサーマルプロセスのいずれかによって生成できる。このようなグラフェンナノプレートレットは、原子層の数、表面積、機能性(functionality)、及びsp含有量が実質的に異なる場合がある。このような変動は、グラフェンの導電率などのグラフェンの物理的特性に影響を与える。同様に、ナノスケール寸法で炭素原子の層が40以下のグラファイトフレーク、ナノスケール寸法で炭素原子の25~30層のグラファイトフレーク、ナノスケール寸法で炭素原子の層が20~35層のグラファイトフレーク、ナノスケール寸法で炭素原子の層が25~35層のグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法で炭素原子の層が20~40層のグラファイトフレークは、グラファイトの剥離又は合成ソルボサーマルプロセスのいずれかによって生成できる。
【0032】
本発明の第2のマトリックスとして使用するのに好適であるエポキシ樹脂及び他の材料は、水、湿気、及び/又は他の液体への比較的短い期間の曝露後、水及び/又は他の液体で飽和する。
【0033】
本発明のプルーフコーティングを形成するための第2のマトリックス中の2Dナノ材料プレートレットの分散(dispersal)は、プルーフコーティング層の適用される乾燥膜厚に応じて、その層内に2Dナノ材料プレートレットの複数の層をもたらすであろう。各プレートレットは潜在的に数原子層の厚さである。プルーフコーティングに2Dナノ材料プレートレットの複数の層が存在することで、水やその他の液体が浸透するための複雑で曲がりくねった(迷路のような)経路が提供される。この迷路のような経路は、水及び/又は水に溶解した他の液体及び物質の、第2のマトリックスを通って及びしたがってプルーフコーティング層を横切る、拡散速度を著しく低下させる。これは、2種類の市販のグラフェン/グラファイトプレートレット(6~14層の炭素原子を持つA-GNP35と25~35層の炭素原子を持つA-GNP10は、どちらもApplied Graphene Materials Plcから入手可能)とコントロールを含むコーティングの水蒸気透過率のテストの結果によって証明されている。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0034】
グラフェン/グラファイト小板は、通常、0.3nmから12nmの厚さで、横方向の寸法は約100nmから100μmの範囲である。その結果、そしてグラフェン/グラファイトプレートレットの側面(lateral aspect)と表面積が大きいため、第2のマトリックスに分散したグラフェン/グラファイトプレートレットで構成されるコーティング層は比較的薄い可能性がある。結果として、コーティングは、本発明の複合要素の機械的特性に有意な影響を与える可能性は低い。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン/グラファイトプレートレットであり、マスターサイザー3000によって測定される場合、45μm未満、30μm未満、又は15μm未満のD50粒子サイズを有する。
【0036】
本発明の第1の態様による製造方法を採用することの利点は、製造される物体の複合材料又は構造要素、複合材料マトリックスに結合された繊維及び/又はファブリックへの水又は他の液体の浸透速度が大幅に低減されることである。これは、水及び/又は他の液体による物体の構造特性への損傷も大幅に減少するという効果がある。これは、本発明の第1の態様による製造方法を使用して製造された物体の寿命を延ばすことにつながる。これにより、物体の設計者は、水やその他の液体から予想される損傷を補正する必要がないため、設計に含める材料を減らすことができる。より少ない材料の使用は、もたらす環境的及び経済的利益を伴う物体で使用されるより少ない材料につながる。それはまた、より軽い物体につながり、それはまた環境的及び経済的利益につながる可能性が高い。
【0037】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、製造ステップは、
c)前記ゲルコートの層を形成すること、
をさらに含む。ここで、
(iii) ステップ(c)が最初に実行され、ここで、前記ゲルコートが金型又は支持体に適用され、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記ゲルコートの表面に前記プルーフコーティングを形成し、続いてステップ(b)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの自由表面でレイアップが実行される;又は、
(iv) ステップ(b)が最初に実行され、ここで、金型又は支持体上でレイアップが実行され、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層が、ステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用され、続いてステップ(c)が実行され、ここで、前記ゲルコートを前記プルーフコーティングの自由表面に適用される。
【0038】
コーティング、層、又は複合要素の自由表面は、コーティング、層、又は複合要素によって覆われていないものである。
【0039】
ゲルコートは、特にゲルコートが古くなるにつれて透過性であることが知られているが、ゲルコートの使用は、プルーフコーティング層を物理的に保護するのに役立つので、これらの実施形態では、ゲルコート層を含めることが有益である。ゲルコートを使用すると、色や表面仕上げの面でも美的メリットが得られる。ゲルコート層のさらなる利点は、透過性になるが、透過性の流量が水又は他の液体を制限する場合であるということである。
【0040】
複合材料から物体を製造する方法はいくつかあることが知られている。しかしながら、一般的に、それらの現在知られている技術はすべて、その構造要素がマトリックスに結合された繊維及び/又はファブリックである物体をもたらす場合である。その構造要素は、水及び/又はや他の液体の浸透によって弱くなる傾向がある。本発明の第1の態様の製造方法は、マトリックスに結合された繊維及び/又はファブリックへのその水又は他の液体の浸透に対する障壁として作用する少なくとも1つのプルーフコーティング層の組み込みを包含する含む。
【0041】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、製造ステップは、少なくとも2つのプルーフコーティング層の作成を含む。これらの実施形態のいくつかでは、製造ステップは、プルーフコーティングの第2の、及び任意選択でさらなる層を作成することを含み、ここで、プルーフコーティングの各層は、複合要素の異なる表面をオーバーレイする。
【0042】
これらの実施形態は、製造される物体の1より多い表面が水及び/又は他の液体にさらされることが予想される場合に特に有益である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプルーフコーティング層の適用方法は、複合マトリックスに結合された繊維及び/又はファブリックの性質及び正確な製造方法に適合するように異なる場合がある。
【0043】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、製造ステップは、少なくとも1つのプルーフコーティング層を少なくとも1つのさらなるプルーフコーティング層でオーバーレイすることをさらに含む。プルーフ(proofing)層は、互いに対して異なる組成のものであり得る。このアプローチは、単一のプルーフコーティング層よりも、水又は他の液体による透過に対してさらに大きな耐性を提供する。プルーフコーティング層は、中間層によって互いに分離することができる。中間層は、プルーフコーティング層を分離するのに使用するのに好適な材料のものであり得る。
【0044】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングの前記層又は各層は、ブラッシング、スプレー、又は印刷によって作成される。プルーフコーティングは、型の表面、ゲルコート層の表面、又はプリプレグ、テープ又はトウ(tow)又は繊維の形態であり得る複合マトリックスに結合された繊維及び/又はファブリックの表面に適用され得る。且つここで、製造方法には、プリプレグレイアップ、ハンドレイアップ自動テープレイアップ、フィラメントワインディング、フレキシブルRTMを包含する樹脂トランスファー成形(RTM)、連続RTM、真空アシストRTM、高速RTM、及び引抜成形が含まれる。同様に、プルーフコーティングは、型の表面、短繊維又は不連続繊維を使用して製造された複合製品のゲルコート層の表面に適用することができ、ここで、製造には、チョップドストランドスプレーレイアップ、シート成形コンパウンド及びバルク成形コンパウンドが含まれる。
【0045】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティング層は、5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μmの範囲の厚さを有する。
【0046】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、0.1重量%から0.5重量%の2Dナノ材料プレートレットで構成される。
【0047】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル性ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸系(chlorendic)ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール(phenolic)、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びそれらの混合物及び組み合わせで構成される。
【0048】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、第2のマトリックスは、好適な架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩(silicates)、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルトフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタリックポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール樹脂(phenolics)、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び好適な非架橋性樹脂の混合物及びそれらの組み合わせで構成される。
【0049】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、硬化剤をさらに含む。このような硬化剤は既知であり、プルーフコーティングにおける第2のマトリックスが適切に硬化することを保証する。
【0050】
本発明の第2の態様によれば、繊維及び/又はファブリックで補強された複合材料から構築された物体が提供され、物体が複合要素とプルーフコーティング層で構成されていることを特徴とする。ここで、複合要素は、繊維及び/又はファブリック強化材料と複合マトリックスとの混合物から形成され、且つプルーフコーティングは、その中に2Dナノ材料プレートレットを分散させた第2のマトリックスから構成される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングの2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレート及びグラファイトフレークの1つ又は混合物を含み、ここで、グラファイトフレークは、1つのナノスケール寸法及び35以下の原子層(単に「層」と呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、グラフェンナノプレートは、グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレット、及び数層グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレットのうちの1つ又は2つ以上の混合物を含む。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元グラフェンオキシドナノプレート、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケール寸法及び35以下の層を有する、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフィン(graphyne)(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内ヘテロ構造、を含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2Dナノ材料は層状2D材料を含み、これは、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D垂直ヘテロ構造面内ヘテロ構造、を含む。
【0054】
本発明の第2の態様による物体は、本発明の第1の態様の方法に従って作成された物体と同じ利点及び利益を有する。
【0055】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、物体は、ゲルコートの層をさらに含み、及びここで、プルーフコーティング層は、ゲルコート層と複合要素との間にある。
【0056】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、物体は、少なくとも2つのプルーフコーティング層を含む。
【0057】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、物体は、第2のプルーフコーティング層を含み、ここで、第1及び第2のプルーフコーティング層が複合要素の第1及び第2の表面を覆う(overlie)。
【0058】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、各プルーフコーティング層は、ブラッシング、スプレー、又は印刷によって作成される。
【0059】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティング層は、5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μm、25μmから100μm又は40μmから60μmの範囲の厚さを有する。
【0060】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、0.1重量%から0.5重量%の2Dナノ材料プレートレットで構成される。
【0061】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸(chlorendic)ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール(phenolic)、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びそれらの混合物及び組み合わせで構成される。
【0062】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第2のマトリックスは、好適な架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩(silicates)、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルトフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸(chlorendic)ポリエステル樹脂、フェノール(phenolics)、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び好適な非架橋性樹脂の混合物及びそれらの組み合わせで構成される。
【0063】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、硬化剤をさらに含む。
【0064】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、物体は、複合材料から物体を作製する際に使用するための型である。
【0065】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による製造方法で使用するためのプルーフコーティングが提供され、本発明の第2の態様による物体は、プルーフコーティングが0.1wt%から0.5wt%の2Dナノ材料プレートレットで構成されていることを特徴とする。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングの2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークとの1つ又は混合物を含み、ここで、グラファイトフレークは、1つのナノスケール寸法及び35以下の原子層(単に「層」と呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、グラフェンナノプレートは、グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレート、二層グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレット、及び数層グラフェン、酸化グラフェン、及び/又は還元型酸化グラフェンナノプレートレットのうちの1つ又は2つ以上の混合物を含む。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元グラフェンオキシドナノプレート、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケール寸法及び35以下の層を有する、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフィン(graphyne)(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内ヘテロ構造、を含む。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2Dナノ材料は層状2D材料を含み、これは、グラファイトフレーク、ここで、前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D垂直ヘテロ構造面内ヘテロ構造、を含む。
【0069】
本発明の第3の態様によるプルーフコーティングを使用して製造された物体は、本発明の第1の態様の方法に従って製造された物体と同じ利点及び利益を有する。
【0070】
本発明の第3の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、6~14層の炭素原子からなる0.1wt%~0.5wt%のグラフェン/グラファイトナノプレート、又はナノスケールの寸法と25~35層の炭素原子を備えたグラファイトフレークで構成されている。
【0071】
本発明の第3の態様のいくつかの実施形態では、第2のマトリックスは、好適な架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩(silicates)、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルトフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸(chlorendic)ポリエステル樹脂、フェノール(phenolics)、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び好適な非架橋性樹脂の混合物及びそれらの組み合わせで構成される。
【0072】
本発明の第3の態様のいくつかの実施形態では、プルーフコーティングは、硬化剤をさらに含む。
【0073】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による製造方法によるプルーフコーティングの使用が提供される。
【0074】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様によるある量のプルーフコーティングと、本発明の第1の態様による製造方法におけるそのプルーフコーティングの使用に関する説明書とを含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明は、例として、添付の図面を参照してさらに記載及び説明され、
図1】ここで、図1は、金型及びその金型内の本発明による物体の実施形態の部分的な概略断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図を参照して、金型2の部分断面が示されている。型の中には、複合材料から作られた物体4がある。
【0077】
物体4は、以下の方法で作成又は製造される。:
離型剤6の層は、スプレーアプリケーターを使用して型2の内面に塗布される。これにより、完成した物体4を金型2から容易に取り外すことができる。離型剤6は、ゲルコート8の組成物と関連して使用するのに好適な市販の離型剤である。
【0078】
スプレーアプリケーターを使用して、離型剤6の層の表面又は面に、型2から離れたゲルコート8の層を塗布する。ゲルコート8の層は、少なくとも部分的に硬化することができる。ゲルコート層8は、プルーフコーティング10の組成に関連して使用するのに好適な市販のゲルコートである。
【0079】
ゲルコート8の層が少なくとも部分的に硬化すると、プルーフコーティング10の層が、ブラシを使用して、型2から離れたゲルコート層8の面に塗布される。プルーフコーティング層10は、少なくとも部分的に硬化することができる。プルーフコーティング10は、エポキシ樹脂の形態の第2のマトリックスから構成され、ここで、炭素原子の6~14層のグラフェン/グラファイトナノプレート又はナノスケールの寸法と炭素原子の25~35層のグラファイトフレークの0.1wt%~0.5wt%が分散されている。プルーフコーティング層10の乾燥/硬化厚さは5μmから50μmの間である。
【0080】
プルーフコーティング層10が少なくとも部分的に硬化されると、複合材料12を作製するために複合材料マトリックスと混合された強化繊維は、既知のハンドレイアップ技術を使用して、型2から離れたプルーフコーティング層10の面に対して配置される。複合層12は、少なくとも部分的に硬化することができる。強化繊維は炭素繊維であり、複合マトリックスは、物体4に所望の機械的特性を与えるように選択された樹脂である。第1及び第2のマトリックスの材料は同じであり得るが、各マトリックスの異なる役割を考えると異なる可能性が高い。
【0081】
複合層12が少なくとも部分的に硬化すると、第2のプルーフコーティング層14が、金型2から離れた複合層12の表面に塗布される。第2のプルーフコーティング層14は、噴霧によって塗布され、第1のプルーフコーティング層10と同じ組成である。この場合も、第2のプルーフコーティング層14の平均厚さは5μmから50μmの間であった。
【0082】
すべての層が十分に硬化して、物体4が損傷することなく型2から取り出されるようになったら、それは型2から取り出される。
【0083】
物体4がゲルコート8を包含しない場合、第1のプルーフコーティング層10が金型2の表面に塗布される。
【0084】
他の製造方法の場合、プルーフコーティングは、プリプレグ、テープ、又はトウ(tow)又は繊維の形態であり得る、複合マトリックスで結合された連続繊維及び/又はファブリックの表面に適用することができること、且つ、製造方法には、プリプレグレイアップ、ハンドレイアップ自動テープレイアップ、フィラメントワインディング、フレキシブルRTMを包含する樹脂トランスファー成形(RTM)、連続RTM、真空アシストRTM、高速RTM、及び引抜成形が含まれる場合が理解される。
【0085】
本出願の範囲内で、前の段落及び/又は特許請求の範囲に記載された様々な態様、実施形態、例及び代替案、特にその個々の特徴を、独立して又は任意の組み合わせでとることができることが明確に意図されている。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態及び/又は機能は、そのような機能に互換性がない場合を除いて、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、最初に提出されたクレームを変更する権利、又はそれに応じて新しいクレームを提出する権利を留保する。これには、最初に提出されたクレームを修正して、他のクレームの機能に従属及び/又は組み込む権利が含まれる。
【0086】
請求項1
プルーフコーティングの少なくとも第1の層、第1の又は複合マトリックス、及び1つ又は複数の繊維及び/又はファブリック強化材料を含む、繊維及び/又はファブリック強化複合材料から物体を製造する方法であって、前記製造ステップは、
a)前記プルーフコーティングの1つの第1の層を形成すること、及び
b)複合要素を形成する前記繊維及び/又はファブリック強化材料と前記複合マトリックスの混合物をレイアップすること、
を含み、
ここで、
(i)ステップ(a)が最初に実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層が金型又は支持体に適用され、続いてステップ(b)が実行され、ここで、ステップ(a)の前記プルーフコーティングの前記第1の層の表面にレイアップが実行される;又は、
(ii)ステップ(b)が最初に実行され、ここで金型又は支持体上でレイアップが実行され、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層がステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用される、
ことを特徴とし、
前記プルーフコーティングは、その中に2Dナノ材料プレートレットを分散させた第2のマトリックスから構成されることを特徴とする方法。
請求項2
前記プルーフコーティングの前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークのうちの1つ又は混合物を含み、前記グラファイトフレークは1ナノスケールの寸法と35以下の原子層を持つ、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、グラファイトフレーク、ここで前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフェン(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレート、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造を含む、請求項1又は2に記載の方法。
請求項4
製造ステップが、
c)ゲルコートの層を形成すること、
をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
ここで、
(iii)ステップ(c)が最初に実行され、ここで、前記ゲルコートを金型又は支持体に適用して、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記ゲルコートの表面に前記プルーフコーティングが形成され、続いてステップ(b)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの自由表面にレイアップが実行される、又は
(iv)ステップ(b)が最初に実行され、ここで、金型又はサポート上でレイアップが実行されている、続いてステップ(a)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの前記第1の層が、ステップ(b)の前記複合要素の少なくとも1つの表面に適用され、続いてステップ(c)が実行され、ここで、前記プルーフコーティングの自由表面に前記ゲルコートが適用される、方法。
請求項5
製造ステップが、少なくとも2つのプルーフコーティング層を形成することをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
請求項6
製造ステップが、前記複合要素の異なる表面を覆う少なくとも2つのプルーフコーティング層をさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
請求項7
製造ステップが、少なくとも1つのプルーフコーティング層をさらなるプルーフコーティング層でオーバーレイすることをさらに含む、請求項5又は6に記載の製造方法。
請求項8
プルーフコーティングの前記層が、ブラッシング、スプレー、又は印刷によって作成される、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
請求項9
前記プルーフコーティング層が5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μm、25μmから100μm、40μmから60μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項1から8のいずれかに記載の製造方法。
請求項10
プルーフコーティングが0.1重量%から0.5重量%の2Dナノ材料プレートレットから構成される、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
請求項11
前記複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタリックポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びそれらの混合物及び組み合わせから構成される、請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
請求項12
前記第2のマトリックスは、架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び非架橋性樹脂の1つ又は複数から構成される、請求項1から11のいずれかに記載の製造方法。
請求項13
前記プルーフコーティングが硬化剤をさらに含む、請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
請求項14
繊維及び/又はファブリックで補強された複合材料から少なくとも部分的に構築された物体、当該物体が、少なくとも1つの第1のプルーフコーティング層、第1又は複合マトリックス、及び繊維及び/又はファブリック強化材料から構成されている、ここで、繊維及び/又はファブリック強化材料及び前記複合マトリックスが複合要素を形成する、且つ前記プルーフコーティングは、その中に2Dナノ材料プレートレットを分散させた第2のマトリックスから構成されていることを特徴とする物体。
請求項15
前記プルーフコーティングの前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェンナノプレートとグラファイトフレークのうちの1つ又は混合物を含み、前記グラファイトフレークは1つのナノスケール寸法と35以下の原子層を持つ、請求項14に記載の物体。
請求項16
前記2Dナノ材料プレートレットは、グラフェン(C)ナノプレート、酸化グラフェンナノプレート、還元型酸化グラフェンナノプレート、グラファイトフレーク、ここで前記グラファイトフレークが1ナノスケールの寸法と35以下の層を持つ、六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、シリセン(Si)ナノプレート、ゲルマネン(Ge)ナノプレート、グラフェン(C)ナノプレート、ボロフェン(B)ナノプレート、フォスフォレン(P)ナノプレート、多層グラフェン(C)ナノプレート、多層グラフェンオキシドナノプレート、多層還元グラフェンオキシドナノプレート、多層六方晶窒化ホウ素(hBN)ナノプレート、多層二硫化モリブデン(MoS)ナノプレート、多層二セレン化タングステン(WSe)ナノプレート、多層シリセン(Si)ナノプレート、多層ゲルマネン(Ge)ナノプレート、多層グラフィン(C)ナノプレート、多層ボロフェン(B)ナノプレート、多層フォスフォレン(P)ナノプレートのうちの1つ又は混合物、又は前述の材料の2つ以上の2D面内もしくは垂直ヘテロ構造を含む、請求項14又は15に記載の物体。
請求項17
当該物体がゲルコートの層をさらに含み、プルーフコーティング層が前記ゲルコート層と前記複合要素との間にある、請求項14から16のいずれかに記載の物体。
請求項18
前記物体が少なくとも2つのプルーフコーティング層を含む、請求項14から17のいずれかに記載の物体。
請求項19
少なくとも2つのプルーフコーティング層が前記複合要素の異なる表面を覆っている、請求項18に記載の物体。
請求項20
少なくとも1つのプルーフコーティング層がさらなるプルーフコーティング層で覆われている、請求項18又は19に記載の物体。
請求項21
前記プルーフコーティング層が5μmから100μm、5μmから50μm、10μmから30μm、25μmから100μm、又は40μmから60μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項14から20のいずれかに記載の物体。
請求項22
前記プルーフコーティングが0.1重量%から0.5重量%の2Dナノ材料プレートレットから構成される、請求項14から21のいずれかに記載の物体。
請求項23
前記複合マトリックスは、1つ又は複数のサーモセットマトリックス、不飽和ポリエステル樹脂、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタリックポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル、ビスマレイミド、ウレタンアクリレート、フェノール、フラン又はポリ(フルフラールアルコール)、ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びそれらの混合物及び組み合わせから構成される、請求項14から22のいずれかに記載の物体。
請求項24
前記第2のマトリックスは、架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び非架橋性樹脂の1つ又は複数から構成される、請求項14から23のいずれかに記載の物体。
請求項25
前記プルーフコーティングが硬化剤をさらに含む、請求項14から24のいずれかに記載の物体。
請求項26
当該物体が、複合材料から物体を作製する際に使用するための金型である、請求項14から25のいずれかに記載の物体。
請求項27
請求項1から13に記載の製造方法又は請求項14から26に記載の物体に使用するためのプルーフコーティングであって、当該プルーフコーティングは、0.1wt%~0.5wt%のグラフェン/6~14層の炭素原子のグラファイトナノプレート、又は1ナノスケール寸法と25~35層の炭素原子を持つグラファイトフレークから構成されることを特徴とする、プルーフコーティング。
請求項28
前記第2のマトリックスは、架橋性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル、アミノプラスト、ウレタン、カルバメート、アルキッド、シリコーン、ポリ尿素、ケイ酸塩、ポリジメチルシロキサン、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、オルソフタル酸ポリエステル樹脂、テレフタル酸ポリエステル樹脂、イソフタル酸ポリエステル樹脂、ジシクロペンタジエンポリエステル樹脂、クロレンド酸ポリエステル樹脂、フェノール、フラン又はポリ(フルフリルアルコール)、ポリイミド、ベゾキサジン及び非架橋性樹脂の1つ又は複数から構成される、請求項27に記載のプルーフコーティング。
請求項29
当該プルーフコーティングが硬化剤をさらに含む、請求項27又は28のいずれかに記載のプルーフコーティング。
請求項30
請求項1から13に記載の製造方法における、請求項27から29に記載のプルーフコーティングの使用。
請求項31
請求項27から30に記載のある量のプルーフコーティング、及び請求項1から13に記載の製造方法におけるそのプルーフコーティングの使用説明書を含むキット。


図1