(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】自転車のかごカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 9/21 20200101AFI20241119BHJP
A45C 13/10 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B62J9/21
A45C13/10 F
(21)【出願番号】P 2020135639
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504105689
【氏名又は名称】有限会社川住製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】川住 富夫
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-026285(JP,U)
【文献】特開2000-153791(JP,A)
【文献】実開昭58-192185(JP,U)
【文献】特開2014-076708(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104354796(CN,A)
【文献】実開平07-040382(JP,U)
【文献】実開昭63-063285(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00 - 9/40
A45C 1/00 - 15/08
A45F 3/00 - 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のかごの内面に沿って設けられる筒状のカバー本体部と、該カバー本体部の上端開口部を開閉可能とされる蓋部と、該蓋部を前記カバー本体部に固定又は固定解除するための蓋部ファスナーと、を備えた自転車のかごカバーであって、
前記カバー本体部の上端部には、前記かごの上端部に係止可能な複数の係止部が設けられ、
前記係止部は、第一の面ファスナーを備える第一の係止片と、第二の面ファスナーを備える第二の係止片と、を備え、
前記カバー本体部の上端部には、外側に折り曲げられ
ることにより水平方向に延びる部分である折り曲げ部が形成され、
前記蓋部ファスナーが前記折り曲げ部の
外端縁から上側に折り曲げられた部分に設けられ、
前記第一の係止片と前記第二の係止片と
の一部が前記折り曲げ部
に沿って設けられる、自転車のかごカバー。
【請求項2】
前記折り曲げ部が前記かごの
上端縁の
上面に配置された
状態で、前記第一の係止片と前記第二の係止片とが前記
上端縁に係止される、請求項1に記載の自転車のかごカバー。
【請求項3】
前記第一の面ファスナーは前記第一の係止片を前記かごの上端部に巻回した際の外面に設けられ、
前記第二の面ファスナーは前記第二の係止片を前記かごの上端部に巻回した際の内面に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の自転車のかごカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車のかごカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車の前かごや後かごに収容した荷物がひったくり等の盗難に遭わないようにするため、かごに装着するかごカバーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなかごカバーとして、筒状のカバー本体の上部開口に開閉自在な蓋部を設ける構造が広く採用されている。このようなかごカバーによれば、蓋部を閉じることでかごカバーの内部を外側から遮蔽して、ひったくり等の盗難被害を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係るかごカバーは、カバー本体の上端付近の複数個所に紐などの固定部材を設け、この紐をかごに括り付けることによりかごに固定していた。しかし、固定部材に紐を採用した場合はかごカバーをかごに固定するための作業が煩雑になるため、使用者の作業負担が大きくなっていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、かごカバーをかごに固定するための作業を簡素化することにより、使用者の作業負担を軽減することができる、自転車のかごカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
自転車のかごの内面に沿って設けられる筒状のカバー本体部と、該カバー本体部の上端開口部を開閉可能とされる蓋部と、該蓋部を前記カバー本体部に固定又は固定解除するための蓋部ファスナーと、を備えた自転車のかごカバーであって、前記カバー本体部の上端部には、前記かごの上端部に係止可能な複数の係止部が設けられ、前記係止部は、第一の面ファスナーを備える第一の係止片と、第二の面ファスナーを備える第二の係止片と、を備え、前記カバー本体部の上端部には、外側に折り曲げられることにより水平方向に延びる部分である折り曲げ部が形成され、前記蓋部ファスナーが前記折り曲げ部の外端縁から上側に折り曲げられた部分に設けられ、前記第一の係止片と前記第二の係止片との一部が前記折り曲げ部に沿って設けられる、自転車のかごカバー。
【0008】
また、本発明に係る自転車のかごカバーにおいて、前記折り曲げ部が前記かごの上端縁の上面に配置された状態で、前記第一の係止片と前記第二の係止片とが前記上端縁に係止されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る自転車のかごカバーにおいて、前記第一の面ファスナーは前記第一の係止片を前記かごの上端部に巻回した際の外面に設けられ、前記第二の面ファスナーは前記第二の係止片を前記かごの上端部に巻回した際の内面に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る自転車のかごカバーによれば、かごに固定するための作業を簡素化することにより、使用者の作業負担を軽減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態に係るかごカバーが装着された自転車を示す側面図。
【
図2】第一実施形態に係るかごカバーをかごに装着する方法を示した斜視図。
【
図3】第一実施形態に係るかごカバーをかごに装着した状態を示した斜視図。
【
図4】第一実施形態に係るかごカバーをかごに装着した状態を示した断面図。
【
図5】第二実施形態に係るかごカバーをかごに装着する方法を示した斜視図。
【
図6】第二実施形態に係るかごカバーをかごに装着した状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一実施形態に係る自転車のかごカバー(以下、単に「かごカバー」と記載する)10について、
図1から
図4を用いて説明する。本実施形態に係るかごカバー10は、自転車Cの前かごB、又は、不図示の後かごに装着して使用するものである。本実施形態に係るかごカバー10は
図1に示す如く、前かごBに装着して使用する。本実施形態においては、自転車Cの進行方向(
図1における左側方)をかごカバー10の前方として記載する。
【0013】
かごカバー10は、
図1~4に示すように、自転車Cの前かごBの内面に沿って設けられる有底筒状のカバー本体部11と、カバー本体部11の上端開口部を開閉可能とされる蓋部12と、蓋部12をカバー本体部11に固定又は固定解除するための蓋部ファスナー13と、を備える。
【0014】
カバー本体部11は防水性と可撓性とを備えたシート状の繊維素材で形成されており、前かごBの内周形状と同じか少し小さい形状に形成される。カバー本体部11は
図2中の一点鎖線矢印に示す如く、上方から前かごBの内部に挿入される。本実施形態に係るかごカバー10は、カバー本体部11を前かごBに挿入して使用することにより、かごカバー10に収容した荷物等が前かごBに直接当たることを防止している。カバー本体部11は
図3に示す如く、前かごBに挿入された状態で、その上端が前かごBの上端部Btより少し上方に位置するように形成される。また、
図3及び
図4に示す如く、カバー本体部11は後述する係止部14により前かごBに固定される。
【0015】
蓋部12は、カバー本体部11と同様に防水性と可撓性とを備えたシート状の繊維素材で形成されており、その周縁には蓋部ファスナー13が設けられる。蓋部12は、前かごBの上面の形状とほぼ同じ形状で上面とほぼ同じ大きさ若しくは少し大きくなっている。また、蓋部12の後辺はカバー本体部11の上端側の後辺と連結され、その連結部を支点としてカバー本体部11の上端開口部を開閉できるようになっている。
【0016】
蓋部ファスナー13は、蓋部12の外周縁をカバー本体部11の上端に固定又は固定解除するためのファスナーである。蓋部ファスナー13は、二個のスライダー13a・13aによって開閉自在に設けられる。なお、蓋部ファスナー13を蓋部12の周縁の全周に亘って設けることにより、蓋部12を開けたときに蓋部12が取り外せる構成とすることも可能である。
【0017】
カバー本体部11の上端部には、複数箇所(本実施形態においては六箇所)に係止部14が設けられる。具体的には、カバー本体部11の前面と後面に二箇所、左右の両側面に一箇所の係止部14が設けられる。カバー本体部11は係止部14によって前かごBの上端部Btに固定される。
【0018】
係止部14は、第一の係止片である内側係止片15aと、第二の係止片である外側係止片16aとを備える。内側係止片15aと外側係止片16aとは前かごBの上端部Btに巻回可能な帯状素材で形成されている。
【0019】
内側係止片15aには第一の面ファスナーである内側面ファスナー15bが設けられる。また、外側係止片16aには第二の面ファスナーである外側面ファスナー16bが設けられる。詳細には
図4に示す如く、内側面ファスナー15bは内側係止片15aを前かごBの上端部Btに巻回した際の外面に設けられている。また、外側面ファスナー16bは外側係止片16aを前かごBの上端部Btに巻回した際の内面に設けられている。
【0020】
上記の係止部14において、内側係止片15aを上端部Btに巻回した外面に外側係止片16aを巻回することにより、内側面ファスナー15bと外側面ファスナー16bとが互いに貼着する。このように、カバー本体部11は係止部14の内側係止片15aと外側係止片16aとを面ファスナーで接着することで、前かごBの上端部Btに固定される。
【0021】
上記の如く、本実施形態に係るかごカバー10は、カバー本体部11と前かごBとの固定部材として、それぞれに面ファスナーを設けた内側係止片15aと外側係止片16aとを備えた係止部14を採用している。これにより、内側係止片15aと外側係止片16aとを前かごBの上端部Btに巻回するだけでかごカバー10を前かごBに固定することが可能となる。即ち、かごカバー10によれば、前かごBに固定するための作業を簡素化することが可能となるため、使用者の作業負担を軽減することができる。
【0022】
また、本実施形態に係るかごカバー10において、内側面ファスナー15bは内側係止片15aの外面に、外側面ファスナー16bは外側係止片16aの内面に設けられる。これにより、係止部14でカバー本体部11を前かごBに固定した際に、内側係止片15aを外側係止片16aの内側に収容することができる。即ち、
図3に示す如くかごカバー10の使用時において、係止部14をコンパクト化することが可能となるため、かごカバー10の意匠性を高く維持することができる。
【0023】
次に、第二実施形態に係るかごカバー110について、
図5及び
図6を用いて説明する。本実施形態に係るかごカバー110についても、自転車の前かごB、又は、不図示の後かごに装着して使用するものである。
【0024】
かごカバー110は、
図5及び
図6に示すように、自転車の前かごBの外面に沿って設けられる有底筒状のカバー本体部111と、カバー本体部111の上端開口部を開閉可能とされる蓋部112と、蓋部112をカバー本体部111に固定又は固定解除するための蓋部ファスナー113と、を備える。本実施形態において、蓋部112及び蓋部ファスナー113は、前記第一実施形態における蓋部12及び蓋部ファスナー13と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
カバー本体部111は防水性と可撓性とを備えたシート状の繊維素材で形成されており、前かごBの外周形状と同じか少し大きい形状に形成される。本実施形態においては
図6に示す如く、カバー本体部111は前かごBの下側まで被覆するため、高さ方向の長さは前かごBの高さよりも幾分長く形成されている。カバー本体部111の後面にはスリット111aが形成されている。また、カバー本体部111の下面にはスリット111aに連続する伸縮部111bが設けられ、ゴム紐などにより収縮させることができるように構成されている。
【0026】
カバー本体部111は
図5中の一点鎖線矢印に示す如く、上方から前かごBを覆うようにして前かごBに装着される。この際、スリット111aを広げて前かごBがカバー本体部111の内部に挿入され、その後に前かごBの底面を覆うように伸縮部111bを収縮させることにより、カバー本体部111の内部に前かごBが収容される。カバー本体部111は
図6に示す如く、前かごBが挿入された状態で、その上端が前かごBの上端部Btより少し上方に位置するように形成される。
【0027】
カバー本体部111の上端部には、複数箇所(本実施形態においては六箇所)に係止部114が設けられる。具体的には
図6に示す如く、カバー本体部111の内周面における前側と後側に二箇所、左右の両側に一箇所の係止部114が設けられる。カバー本体部111は係止部114によって前かごBの上端部Btに固定される。
【0028】
係止部114は、第一の係止片である内側係止片115aと、第二の係止片である外側係止片116aとを備える。内側係止片115aと外側係止片116aとは前かごBの上端部Btに巻回可能な帯状素材で形成されている。
【0029】
内側係止片115aには第一の面ファスナーである内側面ファスナー115bが設けられる。また、外側係止片116aには第二の面ファスナーである外側面ファスナー116bが設けられる。そして、内側係止片115aを上端部Btに巻回した外面に外側係止片116aを巻回することにより、内側面ファスナー115bと外側面ファスナー116bとが互いに貼着する。このように、カバー本体部111は係止部114の内側係止片115aと外側係止片116aとを面ファスナーで接着することで、前かごBの上端部Btに固定される。
【0030】
上記の如く、本実施形態に係るかごカバー110においても、カバー本体部111と前かごBとの固定部材として、それぞれに面ファスナーを設けた内側係止片115aと外側係止片116aとを備えた係止部114を採用している。これにより、内側係止片115aと外側係止片116aとを前かごBの上端部Btに巻回するだけでかごカバー110を前かごBに固定することが可能となる。即ち、かごカバー110によれば、前かごBに固定するための作業を簡素化することが可能となるため、使用者の作業負担を軽減することができる。
【0031】
また、本実施形態に係るかごカバー110において、カバー本体部111は、前かごBの外面に沿って設けられている。そして、係止部114は
図6に示す如く、カバー本体部111の内面に設けられるとともに、蓋部112でカバー本体部111の上端開口部を閉塞した際に、係止部114が蓋部112及びカバー本体部111によって形成される空間の内部に収容される。
【0032】
本実施形態に係るかごカバー110は、上記の如く構成することにより、蓋部112でカバー本体部111を閉塞した状態において前かごBから取り外すことを不能としている。即ち、蓋部ファスナー13により蓋部112が閉じられた状態では、蓋部ファスナー13を操作して蓋部112を開かなければ係止部114を前かごBから離脱させることができない。このため、蓋部112を閉塞した状態であればカバー本体部111を前かごBから取り外すことができなくなる。このように、本実施形態に係るかごカバー110においては、係止部114を蓋部112及びカバー本体部111の内側に収容する構成とすることにより、防犯性能をより向上させることを可能としている。
【符号の説明】
【0033】
10 かごカバー(第一実施形態)
11 カバー本体部 12 蓋部
13 蓋部ファスナー 13a スライダー
14 係止部
15a 内側係止片(第一の係止片)
15b 内側面ファスナー(第一の面ファスナー)
16a 外側係止片(第二の係止片)
16b 外側面ファスナー(第二の面ファスナー)
110 かごカバー(第二実施形態)
111 カバー本体部 111a スリット
111b 伸縮部 112 蓋部
113 ファスナー 113a スライダー
114 係止部 115a 内係止片
116a 外係止片
C 自転車 B 前かご
Bt 上端部