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特許7589897情報表示方法、情報提供装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】情報表示方法、情報提供装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241119BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021001615
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106537
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-11-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001uhe5-att/o5oaa1000001uhec.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】594002439
【氏名又は名称】小田急電鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596130185
【氏名又は名称】株式会社 ヴァル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】須田 崇彦
(72)【発明者】
【氏名】藤垣 洋平
(72)【発明者】
【氏名】篠原 徳隆
(72)【発明者】
【氏名】熊野 壮真
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-018545(JP,A)
【文献】特開2018-142019(JP,A)
【文献】特開2011-210096(JP,A)
【文献】特開2013-200799(JP,A)
【文献】特開2004-185161(JP,A)
【文献】特開2020-071110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有するユーザ端末と通信接続された装置が実行する方法であって、
前記ユーザ端末で取得した位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させる地図表示工程と、
表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させるシンボル表示工程と、
前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、前記施設に関して前記ユーザが既に行った利用予約の内容、又は取得済のチケットについてのリマインド情報を前記表示画面に表示させるリマインド情報表示工程と、
を有することを特徴とする、情報表示方法。
【請求項2】
前記リマインド情報表示工程は、利用予約済の施設に移動する際に予約した移動手段及び当該移動手段を利用ノードに含む移動経路を併せてリマインドすることを特徴とする、
請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項3】
前記リマインド情報表示工程に代えて、前記利用可能な施設において又は当該施設が存在する地域において利用可能なチケットの取得を促すレコメンド情報を前記表示画面に表示させるレコメンド情報表示工程と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示方法。
【請求項4】
表示画面を有するユーザ端末からのアクセスを許容する通信手段と、
前記ユーザ端末から送信される位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させるとともに、表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させる第1表示制御手段と、
前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、当該施設において又は当該施設が存在する地域において利用可能なチケットの取得を促すレコメンド情報と、前記施設に関して前記ユーザが行った利用予約、又は取得済の前記チケットについてのリマインド情報との少なくとも一方を取得する情報取得手段と、
取得した前記レコメンド情報及び/又は前記リマインド情報を前記表示画面に表示させる第2表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
前記ユーザが取得済のチケットを、電子チケットとして前記表示画面に表示させる第3表示制御手段をさらに備えることを特徴とする、
請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
表示画面を有するユーザ端末又は前記ユーザ端末と通信接続される装置に、
前記ユーザ端末が取得した位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させるとともに、表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させる第1表示工程と、
前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、当該施設において又は当該施設が存在する地域において取得可能なチケットの取得を促すレコメンド情報と、前記施設に関して前記ユーザが行った利用予約、又は取得済の前記チケットについてのリマインド情報との少なくとも一方を取得する情報取得工程と、
取得した前記レコメンド情報及び/又は前記リマインド情報を前記表示画面に表示させる第2表示工程と、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記第1表示工程は、予め蓄積されている、前記ユーザ端末の位置情報及び日時情報の履歴、前記ユーザ及び当該ユーザ以外の他のユーザによる前記施設の利用履歴、前記ユーザ及び当該ユーザ以外の他のユーザによる前記チケットの利用履歴、前記施設における前記チケットの発行の有無、前記ユーザによる前記施設が関わる前記チケットの保有の有無、前記チケットの有効期間の少なくとも1つ以上の情報に基づいて、前記表示画面への表示対象候補となる施設に優先順位を付与し、付与された優先順位に応じた態様で、各施設を表す施設シンボルを前記地図に重畳表示する、
請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記第1表示工程は、予め蓄積されている、前記施設における前記チケットの発行の有無、前記ユーザによる前記施設が関わる前記チケットの取得の有無、前記チケットの有効期間に基づき、
前記ユーザが現に取得し、有効期間の終期が最も近い前記チケットを利用可能な特定施設について、当該施設を表す特定施設シンボルを前記地図上で強調表示する、
請求項6又は7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記第1表示工程は、前記ユーザが取得していない前記チケットが関わる施設を表す前記施設シンボルが選択されたときは、当該チケットの取得を可能にする手続画面を前記表示画面に表示する、
請求項6又は7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記地図がベクター地図である、
請求項6から9のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿泊施設、休憩施設、娯楽施設、イベント施設、飲食施設、等の様々な施設について、これらの利用を試みたい、あるいは、また利用してみたいというユーザの感情に応える施設のレコメンド技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末のような携帯端末の普及に伴い、携帯端末を所持するユーザに対して、そのユーザが触れることが予想される様々な情報を提案することが行われている。例えば、特許文献1に開示された提案装置は、ユーザの行動履歴に基づいて、そのユーザがその後に移動する可能性のある目的地のいくつかを推定し、推定した目的地をユーザが所持する携帯端末に提案する。
【0003】
また、特許文献2に開示された検索システムは、現在位置から所定距離以内に存在し、かつユーザが利用可能な施設をユーザが所持する携帯端末において視覚的に把握できるようにする。また、特許文献3に開示されたナビゲーション装置は、ユーザが好むと推定されるカテゴリを過去の施設の訪問履歴に基づいて判定し、判定したカテゴリに含まれる施設のうちユーザがまだ訪れていない未訪問の施設を案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6687679号公報
【文献】特許6118548号公報
【文献】特開2014-157143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から3に開示された提案装置等では、ユーザが存在する位置の周辺施設のうち、利用可能な施設を探そうとする場合、ユーザ自らが携帯端末のAP(Application Program)を起動して所定画面を表示させた後、検索条件を入力する必要があった。また、ユーザが利用できる施設が検索によって特定されても、その施設で使用可能なチケットやクーポンの内容は、ユーザ自らがチケット等を扱うウェブサイトにアクセスして、その内容、特に効力期限等を自ら調べなければならなかった。つまり、その都度、ユーザの権限情報等を入力して、所望のチケット等を特定した上で、そのチケットの内容を自分で把握しなければならなかった。
【0006】
本発明は、ユーザが利用可能な施設の予約及びその施設に関するチケット等の取得に関する情報をユーザ端末の検索操作を待つことなく視覚的に提供する情報表示方法の提供を目的とする。本発明の他の目的は、上記情報表示方法の実施に適した情報提供装置及びコンピュータを上記情報提供装置として動作させるためのコンピュータプログラムを提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の開示より明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する情報表示方法の一態様は、表示画面を有するユーザ端末と通信接続された装置が実行する方法であって、
前記ユーザ端末で取得した位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させる地図表示工程と、
表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させるシンボル表示工程と、
前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、前記施設に関して前記ユーザが既に行った利用予約の内容、又は取得済のチケットについてのリマインド情報を前記表示画面に表示させるリマインド情報表示工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成する情報提供装置の一態様は、表示画面を有するユーザ端末からのアクセスを許容する通信手段と、前記ユーザ端末から送信される位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させるとともに、表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させる第1表示制御手段と、前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、当該施設において又は当該施設が存在する地域において利用可能なチケットの取得を促すレコメンド情報と、前記施設に関して前記ユーザが行った利用予約、又は取得済の前記チケットについてのリマインド情報との少なくとも一方を取得する情報取得手段と、取得した前記レコメンド情報及び/又は前記リマインド情報を前記表示画面に表示させる第2表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するコンピュータプログラムの一態様は、表示画面を有するユーザ端末又は前記ユーザ端末と通信接続される装置に、前記ユーザ端末が取得した位置情報により特定される位置を起点として所定距離範囲の地図を前記表示画面に表示させるとともに、表示中の地図に、前記ユーザ端末を操作するユーザが利用可能な施設のうち所定基準を満たす施設を表す施設シンボルを重畳表示させる第1表示工程と、前記施設シンボルに対する前記ユーザによる操作検出を契機に、当該施設において又は当該施設が存在する地域において取得可能なチケットの取得を促すレコメンド情報と、前記施設に関して前記ユーザが行った利用予約、又は取得済の前記チケットについてのリマインド情報との少なくとも一方を取得する情報取得工程と、取得した前記レコメンド情報及び/又は前記リマインド情報を前記表示画面に表示させる第2表示工程と、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが利用可能な施設の予約及びその施設に関するチケット等の取得に関する情報をユーザ端末の検索操作等を待つことなく視覚的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の情報提供装置を含むシステムの全体構成図。
図2】本実施形態の情報提供装置のハードウエア構成図。
図3】本実施形態の情報提供装置の機能構成図。
図4】ユーザ登録時の処理工程例を示した図。
図5】情報表示処理の全体的な処理工程例を示した図。
図6】施設シンボルがタッチ操作された場合の処理工程例を示した図。
図7】目的地入力領域に目的地が入力された場合の処理工程例を示した図。
図8】複数の施設を絞り込んで情報表示を行う場合の処理工程例を示した図。
図9】ユーザ端末側に表示される表示画面例を示す図。
図10】目的地入力領域に語句が入力された場合に切り替わる表示画面例を示す図。
図11】チケット購入手続画面の例示図。
図12】決済手続画面の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、ユーザの目的地である施設に対する「行きたい」という感情、すなわちモビリティ(mobility)に対する行動支援をIT(information technology )によって実現する情報提供装置に適用した場合の実施の形態例を説明する。
図1は、本実施形態の情報提供装置を含むネットワークシステムの全体構成図である。本実施形態の情報提供装置10は、公衆通信回線を使用したネットワークNW、例えばインターネットなどに接続される。情報提供装置10は、ユーザDB(DBはデータベースの略、以下同じ)11及び施設DB12を備えている。
【0013】
ネットワークNWには、基地局20が多数接続されている。各基地局20は、それぞれユーザ端末30であるスマートフォン、タブレット端末などの携帯端末とネットワークNWに接続されているウェブサイトとの中継を行う。
各ユーザ端末30は、タッチパネル付のディスプレイ、全球測位衛星システムGNSS(Global Navigation Satellite System )のアンテナ及び受信機、カメラ、二次元バーコードリーダ、ストレージ、画像処理機能及び情報処理機能を備えており、情報提供装置10を通じて提示される各種情報を表示したり、ユーザの意図を表す情報や情報提供装置10の要求内容を表す所要の情報等を入力するためのインタフェース画面をディスプレイに表示する「モビリティ支援AP」がインストールされている。モビリティ支援APは、情報提供装置10の運営主体から提供されるが、汎用APの一部の機能を用いることも可能である。
ユーザ端末30においてモビリティ支援APの起動・実行が行われると、ユーザ端末30が、基地局20を通じてネットワークNW上のウェブサイトの一つである情報提供装置10に自動接続される。なお、ユーザ端末30は、有線通信によってダイレクトにネットワークNWに接続することもできる。
【0014】
ネットワークNWには、情報提供装置10とAPI(Application Programming Interface)連携により連携する複数のウエブサイト、すなわち、所定サービスの提供事業者サーバが接続されている。情報提供装置10は、ユーザ端末30と協働し、ユーザDB11に登録され、あるいは蓄積されているユーザ固有の情報と各提供事業者サーバのAPIとを利用して、モビリティ支援APによる当該提供事業者サーバのサービス利用を可能にする。
【0015】
API連携するウェブサイトとして、本実施形態では、ソーシャルネットワーク(SNS)管理サーバ41、経路案内サーバ42、地図サーバ43、デマンド交通サーバ51、タクシーサーバ52、シェアリングサーバ53、宿泊等予約サーバ61、飲食等予約サーバ62、イベント等予約サーバ63、チケット等管理サーバ71、銀行サーバ72、クレジットカードサーバ73が、ネットワークNWを介して情報提供装置10に接続されているものとする。これらのサーバ41等は、情報提供装置10を中心として1:Nの関係で接続され、結果的に情報提供装置10を介して相互に連携して動作する。
【0016】
SNS管理サーバ41は、予め登録されているユーザのアドレスに関連付けられたSNSデータを、ユーザ毎に出力するためのAPIを提供する。経路案内サーバ42は、マルチモーダル経路の探索が可能な探索エンジンを備えており、アクセス元に対して経路案内APIを提供する。経路案内APIは、例えば運行予定日時情報(月日時分)等の運行がスケジューリングされている第1移動手段、例えば公共交通機関(鉄道、地下鉄、モノレール、バス、路面電車、航空機、フェリー等:以下「公共交通移動体」と呼ぶ場合がある)のほか、運行がスケジューリングされていない第2移動手段、例えばタクシー、カーシェアリング、バイクシェアリング、サイクルシェアリング、AI運行バス(オンデマンド型の相乗型バス)など(以下、「非公共交通移動体」と呼ぶ場合がある)を利用ノード(経路の接続点となる利用開始場所又は利用終了場所)に含めた経路候補の探索を実行する。経路案内APIは、また、定期券やフリーパス等を複合的に含めた経路候補の探索を実行することもできる。この場合の利用ノードは、主として利用料金に影響を与えることになる。
【0017】
ただし、非公共交通移動体のうち、タクシーについては所定距離範囲(例えば乗車位置又は降車位置から1マイル未満:事後変更可能)、カーシェアリング、バイクシェアリング、サイクルシェアリング、AI運行バスについては、直前のノードから乗車ポイントまでの距離及び下車ポイントから直後のノードまでの距離が徒歩圏内(例えば1.0km:事後変更可能)に限り利用ノードに含まれるように自動設定されるようにしてもよい。出発地と目的地は、公共交通移動体の駅や停留所だけではなく、駅や停留所の周辺に存在する施設あるいは地域の名称あるいは略称とすることができる。
【0018】
地図サーバ43は、特定地域又はユーザがユーザ端末30を通じて指定した地域の地図データを提供する。地図データはユーザによる指定が無い場合は2次元の地理情報、線図及び文字、記号であるが、ユーザにより指定された場合は3次元で提供することができる。その際、様々なハードウェア及びアプリの動作環境においても表現できるように、ベクター図で地図情報を提供する。ベクター図は、データ構成として面、線、文字、シンボルといった構成を持ち、ラスター図と異なる原理で地図画像を形成する。ベクター図で提供することにより、ラスター図で提供する場合に比べて、地図画像を表示する側(ユーザ端末30側)で、拡大/縮小時の地図画像を見やすく表現することができる。
【0019】
デマンド交通サーバ51は、ユーザの事前予約等に応じる形で運行経路や運航スケジュールに合わせて運行する輸送手段の提供サービスのAPIを提供する。タクシーサーバ52は、ユーザ端末30の位置又はユーザが指定した場所への配車可能なタクシーを手配するサービスのAPIを提供する。シェアリングサーバ53は、カーシェアリング、サイクルシェアリング、バイクシェアリングのサービスのAPIを提供する。
【0020】
宿泊等予約サーバ61は、宿泊予約又は休憩場所予約のためのAPIを提供する。飲食等予約サーバ62は、飲食予約のためのAPIを提供する。イベント等予約サーバ63は、地域又は施設で開催される各種イベントの案内と予約のためのAPIを提供する。
【0021】
チケット等管理サーバ71は、サービス提供の対価に対応するチケット、サービスの予約済であることを表す証明書、サービスに付随する各種特典、例えば利用料金からの割引額を表すクーポン、現金と等価の財的価値を表すキャッシュバック又は還元ポイント、利用者限定の招待券、所定の交通機関及び施設の利用を可能にするチケット等をその発行者、及び/又は発行先(ユーザ)毎に管理するためのAPIを提供する。
銀行サーバ72及びクレジットカードサーバ73は、サービス提供の対価を決済するためのAPIを提供する。
【0022】
これらのサーバ41~43,51~53、61~63、71~73には、当該APの実行条件として、ユーザ端末30を操作するユーザの権限情報、アカウント情報その他のユーザ固有の設定情報が設定されており、サービス提供側は、APIの連携前にユーザの承諾を要求し、ユーザ側(ユーザ端末30のモビリティ支援AP)もサービスを使う際に、ユーザ情報が共有されることを許可する必要がある。どの情報が共有されるかなどは、サービスにより異なる。
【0023】
ユーザDB11には、情報提供装置10へのアクセスの権限情報のほか、上記のユーザ固有の設定情報、そのユーザの行動履歴(ユーザ端末30の位置情報及び日時情報の履歴)、そのユーザが興味のある分野に関する分野情報、そのユーザが過去に利用した施設の情報、そのユーザの今後の移動ないし行動の予定日時、今後の移動に際して利用予約済の移動手段、利用予約済であるが未利用の施設名、購入あるいは予約したチケットあるいは旅券(定期券、フリーパス(周遊券など)を含む)の情報、獲得したクーポンその他の特典に関する情報、参加を予約したイベントの日時及び場所などのスケジュールデータ、施設利用や移動手段利用の決済に用いる金融機関又はクレジットカードの情報、後述する複数のウェブサイトへのアクセス履歴などが、ユーザの識別情報と関連付けてユーザ毎に蓄積されている。
【0024】
ユーザDB11には、また、ユーザが、情報提供装置10を介して各サーバ41~43,51~53、61~63、その他のWebサイトにアクセスした際に、ユーザがユーザ端末30を通じて自ら入力した文字列(記号を含む)を蓄積したログファイルも関連付けられている。文字列は、後述する解析部105により、例えば、箱根等の地名、○○ホテル等の施設名、ロマンスカー等の列車名、小田急線等の路線名、・・・等に分類して蓄積され、重複するものについては入力回数が付加されている。文字列は、また、アルファベット順(ローマ字入力の場合)、日本語の並び順(日本語入力の場合)あるいは入力回数順にソートされる。
【0025】
施設DB12には、所定サービスを提供する施設の種別情報及び識別情報が当該施設を運営する事業者毎に格納されている。施設は、商品を扱う施設、役務を提供する施設、商品と役務の一方を主、他方を従として提供する施設、所定のイベントが開催される施設等であり、ユーザが行きたい目的地の一種である。施設の識別情報には、後述するAPI連携するウェブサーバ(提供事業者サーバ)のアドレス、及び、各施設において利用可能なチケット及び特典の情報を当該施設の識別情報と関連付けて蓄積されている。
【0026】
[情報提供装置の構成]
情報提供装置10の構成について説明する。図2は、情報提供装置10のハードウエア構成図である。情報提供装置10は、制御バスB1を介して接続されたCPU110、RAM111、ROM112、GPU113を主要部品として含む制御コンピュータを備えている。CPU(Central Processing Unit)110は、本発明のコンピュータプログラムを実行することにより、ユーザ端末30に対して、ユーザが利用可能な施設、イベント、移動手段、各種特典及びこれらが関連する案内情報の提案装置として動作する上で必要な機能を構築する。RAM(Random Access Memory)111は、CPU110の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる書換可能なメモリである。ROM(Read Only Memory)112は、各種デバイスドライバ及びパラメータデータなどが格納されている読出専用メモリである。GPU(Graphics Processing Unit)113は、地図や画像の処理など、負荷の高い処理についてCPU110を補助するための処理手段である。
【0027】
制御バスB1には、メモリI/F(I/Fはインタフェースの略、以下同じ)114、入出力I/F116、通信I/F118も接続されている。メモリI/F114はユーザDB11及びハードディスクなどの外部記憶装置STへの各種情報の格納と格納された各種情報の読み出しを行うためのインタフェースである。外部記憶装置STには、本発明のコンピュータプログラムなどが格納されている。入出力I/F116は、ディスプレイDPへの情報表示並びにタッチパネル及びキーボードKBなどの入力デバイスからのデータ入力を行うためのインタフェースである。通信I/F118は、ネットワークNWとの通信を可能にするインタフェースである。
【0028】
次に、本発明のコンピュータプログラムにより情報提供装置10において実現される各種機能ブロックについて説明する。図3は、情報提供装置10の機能構成図である。コンピュータプログラムは、情報提供装置10を、API連携部101、ユーザ管理部102、認証部103、情報取得部104、解析部105、編集部106及び主制御部107として動作させる。
【0029】
API連携部101は、API連携を実行する。例えば、上述したサービス提供事業者サーバのAPIのうち、該当するAPIを呼び出して当該サービスの利用に関する情報を取得し、当該サービス提供事業者サーバによるサービスの利用を可能にする。
【0030】
ユーザ管理部102は、ユーザ端末30を操作するユーザの個人情報及び各種権限情報の登録を行うとともに、情報提供装置10をアクセスしたユーザ端末30から得られるユーザ関連情報をユーザ毎に、ユーザDB11に蓄積する。ユーザ関連情報は、ユーザ端末30の位置及び日時の履歴、ユーザ端末30による提供事業者サーバの検索履歴、利用履歴、チケット又はクーポンを含む特典の獲得及び使用履歴などである。
【0031】
認証部103は、上記モビリティ支援APの操作を通じてアクセスしてきたユーザ端末30を操作するユーザが、ユーザDB11に登録されたユーザで、かつ、そのユーザ端末30が権限情報の登録がなされたものであるかどうかを認証する。認証部103は、後述するユーザ登録処理後、最初の登録があったときに上記権限情報の入力を求め、入力された権限情報と登録された権限情報との一致性がとれた場合、つまり認証に成功した場合、入力された権限情報をユーザテーブルに更新自在に記録しておき、以後、ユーザからの変更がなされない限り、モビリティ支援APと情報提供装置10との間に通信路が確立された時点で認証成功とすることができる。認証に成功しなかった場合は、その旨をモビリティ支援APに通知して再度のアクセスを促す。認証に成功した場合は、モビリティ支援APを用いたサービスの提供が可能となる。
【0032】
情報取得部104は、ある態様では、ユーザ端末30から、ユーザ情報、GNSSの位置情報及び日時情報を自動的に取得するユーザ端末情報取得手段として動作する。また、ある態様では、ユーザ端末30のソフトウエアキーボード等の入力手段を通じて入力された情報を取得する入力情報取得手段として動作する。また、ある態様では、いずれかのサービス提供事業者サーバ、例えば地図サーバ43から読み出した地図データその他の地理情報を取得するサーバ情報取得手段として動作する。また、ある態様では、装置内で作成された後述のリマインド情報又はレコメンド情報を取得するリマインド情報等取得手段として動作する。
【0033】
解析部105は、情報取得部104で取得した情報の内容を解析する。ある態様では、解析は、テキストデータの形態素解析及びフィルタリングを行った後、予め蓄積されている参照データに基づいて意味解析を行い、目的地、施設名、イベントなどを、情報提供装置10全体において特定しやすい語句に変換してRAM111に保存する。また、ある態様では、日時及び位置の情報に基づいて、近隣の施設又はそこで開催されているイベントなどを特定し、RAM111に保存する。また、ある態様では、複数のユーザによる情報の検索履歴、施設又はイベントの利用履歴、移動手段の利用履歴等に基づいて、頻度等に基づく順位付けを行い、順位の高い情報を提供しているサービス提供事業者サーバが提供するAPIなどを優先的に利用できるようにするためのレコメンド情報を作成する。また、ある態様では、有効期限が近いチケット又は特典ほど優先的に利用できるようにするためのリマインド情報又はレコメンド情報を作成する。
【0034】
編集部106は、ユーザ端末30のディスプレイに表示される画面のレイアウトをユーザDB11に登録されている当該ユーザ端末30の表示スペックに応じて編集する。その際、ユーザ端末30を所持するユーザを表すユーザシンボル、ユーザが利用可能な施設を表す施設シンボル、ユーザが現に取得し、有効期間の終期が最も近いチケット又は特典を利用可能な特定施設を表す特定施設シンボル、ユーザが参加可能なイベントを表すイベントシンボル、移動手段の特徴を表す移動手段シンボル、サービス事業者提供サーバに掲載されている施設等の詳細情報にアクセスするための二次元コード画像などを作成し、RAM111に保存する。
【0035】
主制御部107は、API連携部101、ユーザ管理部102、認証部103、情報取得部104、解析部105、編集部106の機能ブロックを統括的に制御することで、アクセスしてきたユーザ端末30からの要求に応答し、あるいは、ユーザ端末30を操作するユーザのモビリティに対応する表示対象情報を生成、編集して当該ユーザ端末30の表示画面にレコメンド又はリマインドする制御手段、あるいは、そのためにユーザ端末30の表示画面の表示制御を行う表示制御手段として機能する。
【0036】
[運用形態例]
次に、上記のように構成される情報提供装置10の運用形態例を説明する。
[ユーザ登録処理]
情報提供装置10は、まず、ユーザ登録処理を行う。このときの情報提供装置10のユーザ管理部102が実行する処理工程例を示したのが図4である。図4を参照すると、ユーザ管理部102は、ユーザ端末30からのユーザプロファイルの入力を待つ(S101:N)。ユーザプロファイルが入力されると(S101:Y)、ユーザ管理部102は、そのユーザのユーザテーブルを作成し、ユーザDB11へ登録(格納)する(S102)。その後、情報提供装置10がAPI連携する他のウェブサイトを例示して、これらのウェブサイトへのユーザ登録があるかどうかをユーザ端末30へ問い合わせる(S103)。ユーザ登録が無い場合は、ユーザ登録処理を終了する(S104:N)。ユーザ登録がある場合(S104:Y)、そのウェブサイトへの登録情報の入力完了を待つ(S105:N)。他のウェブサイトへの登録情報が入力されると(S105:Y)、ユーザ管理部102は、これらの登録情報を当該ウェブサイトのアドレス情報(例えばURL)と関連付けてユーザテーブルへ追加登録する(S106)。
【0037】
このとき、登録した他のウェブサイトにおいて取得(有料の場合は購入)済のチケット、取得(有料の場合は購入)済の特典等を保有するかどうかをユーザ端末30へ問い合わせる(S107)。保有する場合(S108:Y)、それらを識別するための情報の入力を待ち(S108:N)、入力された場合、ユーザ管理部102は、そのユーザ用の補助テーブルを作成し、保有するチケット、特典等を補助テーブルに記録した後、そのユーザのユーザテーブルと関連付けてユーザDB11へ登録する(S108:Y、S109)。これにより、ユーザ管理部102は、ユーザ登録の処理を終了させる。
【0038】
ユーザ登録が終了すると、ユーザは、ユーザ端末30を操作して情報提供装置10にアクセスして様々なサービスを享受することができる。サービスの享受は、上記のモビリティ支援APの表示画面及び操作により実現される。以下、ユーザがサービスを享受するために情報提供装置10が行う手順について説明する。
【0039】
[情報表示処理]
情報提供装置10は、モビリティ支援APがユーザ端末30において起動し、認証部103によるユーザ認証(2回目アクセスの場合は自動認証)が成功すると、主制御部107の制御のもとで情報取得部104で様々な情報を取得し、取得した情報を解析部105で解析し、解析結果に基づいて編集部106でユーザ端末30のディスプレイに応じた画面レイアウトを編集した後、これらの情報をユーザ端末30へ提示する。これらの機能ブロック104~107が実行する上記一連の処理工程の概要を示したのが図5である。
【0040】
図5を参照すると、情報取得部104は、認証に成功したユーザ端末30から日時及び位置情報を取得する(S201)。情報取得部104は、取得した位置情報を起点として所定距離範囲の地図データを取得する(S202)。情報取得部104は、さらに、ユーザ端末30から所定距離範囲の施設のうち所定基準を満たす施設の情報(チケット、特典発行の有無を含む)、交通機関などの移動手段の情報をAPI連携により取得する(S203)とともに、ユーザが保有しているチケット、特典等の情報をユーザDB11より取得する(S204)。これらの取得情報は、とりあえず、所定の記録領域(RAM111)に一時的に記録される。
【0041】
対象となる施設を決定するときの所定基準は、例えば、そのユーザ又は他のユーザが過去に利用した結果、SNS管理サーバ41からAPI連携により読み出した口コミ情報又は評価情報が登録されている施設かどうか、ユーザの興味のあるジャンルとしてユーザ自身がSNS管理サーバ41か当該施設が関連するサーバに登録されている施設かどうか、ユーザがチケットを購入し、あるいは特典を獲得している施設かどうか、営業時間中の施設かどうかなどである。この基準は、解析部105の解析結果により決定されるもので、適宜変更することができる。
【0042】
各種情報を取得すると、編集部106は、ユーザを表すユーザシンボル、表示対象となる施設を表す施設シンボル(あるいは特定施設シンボル)を作成し、作成したユーザシンボルと施設シンボルとを位置情報と関連付ける(S205)。編集部106は、さらに、取得した地図データに基づいて作成された地図画像を含む表示画面を編集する(S206)。編集された表示画面の例を図9に示す。図9に示されるように表示画面500のうち起動時に表示されるトップ画面は、例えば地図画像501をベースに表示される。
地図画像501の中心位置には、ユーザシンボル511が当該位置の他の道路等との相対位置がわかるように重畳表示あるいは強調表示される。例えば、ユーザシンボル511が1つだけであることが一目で判るように、シンボル形状あるいはシンボル色を変えたり、点滅させたりして表示される。また、施設シンボル512が重畳表示あるいは強調表示される。
【0043】
地図画像501は、デフォルトでは、取得した位置情報により特定される位置を起点とする所定距離範囲のベクター図であり、ユーザ操作、例えばユーザによるタッチ操作等によって上下左右方向へのスライド、あるいは拡大又は縮小が可能である。地図画像501がベクター図なので、ユーザ端末30側で拡大又は縮小しても文字や記号の解像度が変わらない見やすい表示が可能となる。
【0044】
図9に示される表示画面500には、上記地図画像501のほか、目的地入力領域502、補助表示領域503、用意されている複数の機能をダイレクトに呼び出すための複数の機能アイコン504が形成されている。機能アイコン504は、例えばソーシャルネットワーク(SNS)管理サーバ41、経路案内サーバ42、デマンド応答型輸送サーバ51、タクシーサーバ52、シェアリングサーバ53、宿泊等予約サーバ61、飲食等予約サーバ62、イベント等予約サーバ63、チケット等管理サーバ71などをダイレクトに呼び出すためのアイコンである。各機能アイコン504は、各サーバで提供するサービスをわかりやすく表現した語句であってよい。例えばチケット等管理サーバ71をダイレクトに呼び出す機能アイコン504は、「チケットストア」と表現してもよい。
主制御部107は、編集部106で編集された表示画面500をユーザ端末30のディスプレイに表示させる(S207)。
【0045】
[情報表示処理2]
ユーザ端末30の表示画面500において、いずれかの施設シンボル512がユーザ操作された場合に主制御部107が実行する処理工程例を図6に示す。なお、ユーザ操作は、以下の説明では、便宜上、指やスタイラスペンを用いたタッチ操作であるものとするが、物理的なキーボード操作、あるいは音声による操作等であってもよい。
【0046】
図6を参照すると、主制御部107は、表示画面500における施設シンボル512のタッチ操作の検出を待つ(S301:N)。タッチ操作が検出されると(S301:Y)、主制御部107は、ユーザDB11の蓄積されているユーザ固有の設定情報あるいは施設DB12を参照して、当該施設又は当該施設を含む地域でそのユーザが利用可能なチケット又は特典をユーザが保有しているかどうかを調べる(S302)。保有している場合(S303:Y)、その内容を読み出して補助表示領域503にリマインド情報として重畳表示させ(S304)、処理を終える。これにより、ユーザに対して当該施設の再利用に対するモビリティを惹起させることができる。
【0047】
S303において、ユーザがチケット又は特典を保有していない場合(S303:N)、主制御部107は、当該施設又は上記地域で利用可能なチケット又は特典が発行されているかどうかを施設DB12の蓄積情報を基に調べる(S305)。発行されている場合(S306:Y)、チケットについては、購入を促すレコメンド情報と共に購入手続のための案内情報補助表示領域503に表示させ(S307:Y、S308)、特典については、獲得を促すレコメンド情報と共に獲得のための案内情報を補助表示領域503に表示させる(S307:N、S309)。チケット等が発行されていない場合(S306:N)、あるいはリマインド情報あるいはレコメンド情報を表示した後、処理を終える。
これにより、ユーザも情報提供装置10へのアクセス時点では気がつかなかった、当該施設に対するモビリティを新たにユーザに惹起させることができる。また、ユーザが忘れていた当該施設又はチケット等に対する予約済情報を確認させることができる。
【0048】
なお、例えばチケット購入手続のための案内情報補助表示領域503への表示の際に、API連携部101を通じて、銀行サーバ72又はクレジットサーバ73からの必要手続の手順を示す画面を読み出して、表示画面500の表示を、これらの画面に切替表示するようにしてもよい(S308)。
【0049】
[情報表示処理3]
ユーザ端末30の表示画面において、目的地入力領域に目的地(語句)が入力された場合に主制御部107が実行する処理工程例を図7に示す。
図7を参照すると、主制御部107は、目的地入力領域502への目的地の入力を待つ(S401:N)。目的地の入力があると(S401:Y)、解析部105を通じて当該目的地の位置を地図データより特定する(S402)。目的地は、地域名や住所であってもよいし、施設名であってもよい。地域名の場合の位置を当該地域の代表的な住所の位置としてもよい。あるいは、情報提供装置10において、最も多く表示され、あるいは、利用された施設の位置を目的地としてもよい。施設名は、予め施設DB12に蓄積されている場合は、当該施設名に関連付けられた位置となる。
【0050】
主制御部107は、解析部105で特定した位置を含む地図データを情報取得部104を通じて取得し、編集部106を通じて目的地を起点として所定距離範囲の地図画像を生成する(S403)。そして、目的地を入力する前の地図画像501に代えて、新たに生成した地図画像に切替表示させる(S404)。そして、この新たな地図画像において、ユーザが利用可能な施設のうち、前述の所定基準を満たす施設を表す施設シンボル(前述の特定施設シンボルを含む)を重畳表示させる(S405)。
【0051】
図10は、目的地入力領域に「箱根湯本」の語句が入力された場合の表示画面500の例示図である。「箱根湯本」は駅名であるが、「箱根町湯本」の住所表示の略称でもある抽象表現であるため、解析部105で、最も多く検索され且つ利用された施設の位置が目的地と解析される。その結果、表示画面500は、その目的地を起点とする箱根湯本の地図画像601が表示され、目的地の位置に目的地シンボル611が強調表示され、他の施設の位置に該当する施設シンボル612が重畳表示される。
【0052】
S405以後の処理ステップは、図6のS301~S308と同様の手順となる。
本例の場合、ユーザは保有していないが、発行されているチケットとして「デジタル箱根フリーパス」があり、獲得可能な特典として「箱根パターゴルフ」があるとすると、これらの情報が図10の補助表示領域603に表示される。
【0053】
ユーザが補助表示領域603の該当表示部分をタッチ操作するか、あるいは、図10の表示状態で機能アイコン504の1つである「チケットストア」をタッチ操作すると、表示画面500は、図11のように、ユーザが購入可能なチケットを販売するチケット等管理サーバ71における手続画面に切り替わる。
【0054】
図示の例では、チケットは、広域領域701に属するドリンクチケット(回数券)7011のほか、箱根702で2日間、ユーザ端末30を乗り物のフリーパス券の代わりに電子チケットとして使えるデジタル箱根フリーパス7021、同様の電子チケットを3日間使えるデジタル箱根フリーパス7022、神奈川県に隣接する静岡県703で3日間電子チケットとして使用可能なフリーパス7031が選択できるようになっている。
【0055】
ユーザがいずれかのチケットを選択すると、表示画面500が例えば図12に示される決済手続画面に切替表示される。図示の例ではクレジットカード決済が選択されている。そのため、API連携部101がクレジットカードサーバ73のAPIを読み出す。この表示画面500で必要な情報が入力され、確定ボタン801がタッチ操作されると決済が完了し、ユーザが購入したチケットがユーザDB11に登録される。入力済の内容を修正する場合、ユーザは、修正ボタン802をタッチ操作して入力をやり直すことになる。
【0056】
これにより、ユーザに、目的地の施設の再利用に対するモビリティを惹起させることができる。ユーザがチケット等を保有していない施設については、その場でそれを購入することができるため、ユーザもアクセス時点では気がつかなかった、当該施設に対するモビリティを新たにユーザに惹起させることができる。
【0057】
[情報表示処理4]
ユーザ端末30の表示画面のままの場合、又は、目的地入力領域に目的地が入力された場合において、ユーザが利用可能な施設が複数となる際に、これらの施設を絞り込んで情報表示を行う場合の例を説明する。この処理は、主として主制御部107による制御のもとで解析部105及び編集部106が実行する。これらの機能ブロックが実行する処理工程例を図8に示す。
【0058】
図8を参照すると、解析部105は、表示対象となる複数の施設の各々について、ユーザDB11に、ユーザ端末30を操作するユーザの利用履歴、チケットの購入履歴、特典の獲得履歴が蓄積されているかどうかを調べる(S501)。蓄積されている場合(S502:Y)、解析部105は、各施設に対して、利用履歴、購入履歴、獲得履歴のいずれかが多いほど高くなる順位を付加する(S503)。順位の決定に際しては、利用履歴、購入履歴、獲得履歴を等価としてもよく、重み付けを行うようにしてもよい。
その後、解析部105は、順位の高い施設に関する情報ほど優先的に利用され易い表示態様にする(S504)。このような表示態様は、例えば、施設シンボルのサイズ、色を変えたり、施設シンボル内に順位を付加する表示態様である。
【0059】
S502において、どの施設においても、ユーザ端末30を操作するユーザによる利用履歴、購入履歴、獲得履歴が蓄積されていない場合(S502:N)、解析部105は、ユーザDB11に上記ユーザ以外の他のユーザによる利用履歴、購入履歴、獲得履歴が蓄積されているかどうかを調べる(S505)。蓄積されている場合(S506:Y)、解析部105は、各施設に対して、利用履歴、購入履歴、獲得履歴のいずれかが多いほど高くなる順位を付加する(S507)。その後、解析部105は、順位の高い施設に関する情報ほど優先的に利用され易い表示態様にする(S508)。このときの表示態様は、S504で選択した表示態様と異なるようにしてもよい。
【0060】
S506において、どのユーザによる利用履歴等も蓄積されていない場合(S506:N)、解析部105は、チケットの購入又は特典の獲得が可能な施設かどうかを調べる(S509)。可能な場合(S510:Y)、解析部105は、そのような施設に順位を付加する(S511)。その後、解析部105は、順位の高い施設に関する情報ほど優先的に利用され易い表示態様にする(S512)。
【0061】
以後の処理は、図6のS301~S308と同じ手順となる。これにより、ユーザに、目的地の施設の再利用に対するモビリティを惹起させることができる。ユーザがチケット等を保有していない施設については、ユーザもその時点では気がつかなかった、当該施設に対するモビリティを新たにユーザに惹起させることができる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、ユーザ端末30による検索操作によらず、そのユーザ端末30の現在位置及び日時に基づいて、そのユーザ端末30から所定距離範囲の施設のうち利用可能な施設と、チケット、特典などの情報が自動的に表示画面500に表示される。そして、チケットが未購入であれば、それを購入するための手続画面に案内され、特典が未獲得の場合は、それを獲得するための案内情報が表示される。そのため、ユーザが条件を考えて検索する手間を省くことができ、ユーザ自身が意識することなく(検索することなく)、周辺地域の施設に対するモビリティを高めることができる。
【0063】
また、他のユーザがよく利用している施設もレコメンドされることにより、新たなモビリティの動機付けになることが期待される。
【0064】
さらに、ユーザDB11に、ユーザの移動又は行動の予定、例えば予約した施設やイベントの日時情報やこれらの施設やイベントまで移動する際に予約した移動手段等を表すスケジュールデータをユーザの識別情報と関連付けて格納しておくことで、当該予約した日時に近づいたときに、予約した内容を表示画面500に表示することで、ユーザにタイムリーにリマインドすることができる。
【0065】
[変形例]
本実施形態では、情報提供装置10を1台で実施した場合の例を説明したが、複数台の装置で分散処理する態様で実施してもよい。
また、本実施形態では、情報提供装置を、API連携部101、ユーザ管理部102、認証部103、情報取得部104、解析部105、編集部106及び主制御部107として動作させるコンピュータプログラムの動作例について説明したが、例えばユーザ端末30にインストールされるモビリティ支援APに情報提供装置10が有するユーザDB11及び施設DB12にアクセスする機能を付加することで、API連携部101、ユーザ管理部102、認証部103、情報取得部104、解析部105、編集部106及び主制御部107と同様の機能をモビリティ支援APで実施してもよい。この場合、モビリティ支援APが、本発明のコンピュータプログラムとなる。
あるいは、情報提供装置10の一部の機能、例えば編集部106、あるいは解析部105と編集部106の機能をモビリティ支援AP側で実現し、情報提供装置10とモビリティAPとで構成される情報提供システムとして実施してもよい。
【0066】
本実施形態では、また、ユーザ端末30の表示画面500にトップ画面に地図画像501を表示する例を説明したが、目的地入力領域502に目的地が入力された時点で地図画像501に切替表示する態様で実施してもよい。
本実施形態では、また、地図画像に代えて、公共交通機関の路線図、車輌のロードマップであってもよい。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12