(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】飲料冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 3/08 20060101AFI20241119BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F25D3/08 A
F25D11/00 102K
(21)【出願番号】P 2020061020
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518440693
【氏名又は名称】株式会社ピース・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】木村 宏之
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 敬
(72)【発明者】
【氏名】松本 厚
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第01537821(GB,A)
【文献】国際公開第97/035155(WO,A1)
【文献】特開2003-325357(JP,A)
【文献】特開2013-229574(JP,A)
【文献】特開2000-130912(JP,A)
【文献】特開2010-071539(JP,A)
【文献】特開2011-127882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を冷却する冷却タンクと、
前記冷却タンク内の前記冷媒を冷却する冷媒冷却器と、
飲料缶を収容して前記飲料缶の中の飲料を冷却する冷却部と、
前記冷却タンクの中の前記冷媒を前記冷却部に供給するための第1経路および前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻すための第2経路を有し、前記冷却部を介して前記冷却タンクの中の前記冷媒を循環させる循環経路と、
前記冷却部によって前記飲料を冷却する第1期間においては前記循環経路を通して前記冷媒を循環させ、前記冷却部によって前記飲料を冷却しない第2期間においては前記第2経路を通して前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻す冷媒移送器と、を備え、
前記第1期間において前記飲料缶の中の前記飲料を冷却することによって温度が上昇した前記冷媒は、前記第2期間において前記冷却タンクに戻されることによって冷却され
、
前記冷媒移送器は、
前記第1経路に配置され、前記冷却タンクの中の前記冷媒を前記冷却部に供給する第1ポンプと、
前記第1経路の一部を通して前記冷却部に空気を送ることによって前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻す第2ポンプと、
を含むことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項2】
前記第1経路における前記第1ポンプと前記冷却部の間に、前記冷却タンクから前記冷却部に向かう方向を順方向として配置された第1逆止弁と、
前記第1経路における前記第1逆止弁と前記冷却部との間の位置と前記第2ポンプとの間に、前記第2ポンプから前記第1経路に向かう方向を順方向として配置された第2逆止弁と、
を更に備えることを特徴とする請求項
1に記載の飲料冷却装置。
【請求項3】
前記第1期間においては前記第1ポンプが動作し、
前記第2期間においては前記第2ポンプが動作する、
ことを特徴とする請求項
2に記載の飲料冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部を回転させる回転機構と、
ロータリージョイントと、を更に備え、
前記第1経路および前記第2経路は、前記ロータリージョイントを介して前記冷却部に接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の飲料冷却装置。
【請求項5】
前記冷却部は、前記飲料缶に接触する半円筒状の第1接触面を有する第1部分と、前記飲料缶に接触する半円筒状の第2接触面を有する第2部分と、前記冷却部によって保持される前記飲料缶の軸方向に直交する軸の周りで前記第1部分に対して前記第2部分が回動するように前記第1部分と前記第2部分とを接続するヒンジ部と、を含み、
前記第1部分は、前記冷媒が流れる第1流路を有し、前記第2部分は、前記冷媒が流れる第2流路を有し、前記第1流路および前記第2流路が相互に接続され、かつ、前記ロータリージョイントを介して前記第1経路および前記第2経路に接続されている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の飲料冷却装置。
【請求項6】
前記第1接触面および前記第2接触面は、前記飲料缶の側面のうち前記飲料缶の下部側面および上部側面に接触せず、前記側面のうち前記下部側面と前記上部側面との間の中央側面に接触するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
5に記載の飲料冷却装置。
【請求項7】
前記第1期間において前記飲料缶の中の前記飲料を冷却することによって温度が上昇した前記冷媒は、前記第2期間において前記冷却タンクに戻されることによって、次の飲料缶の飲料の冷却の備えるように冷却される、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の飲料冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶の中の飲料を冷却する飲料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器内の氷収納部に配置された複数の氷に缶体を接触させ、該缶体を回転させることによって該缶体内の飲料を冷却する冷却器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された冷却器では、氷が融解してその表面の高さが低くなると、氷と缶体とが接触しなくなるので、複数の缶体の飲料を冷却しようとすると、頻繁に氷を交換する必要がある。また、該冷却器では、複数の氷を整列して氷収納部に配置する必要があり非常に手間がかかる。
【0005】
本発明は、簡単な操作で飲料缶の中の飲料を冷却することができる飲料冷却装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、飲料冷却装置に係り、前記飲料冷却装置は、冷媒を冷却する冷却タンクと、前記冷却タンク内の前記冷媒を冷却する冷媒冷却器と、飲料缶を収容して前記飲料缶の中の飲料を冷却する冷却部と、前記冷却タンクの中の前記冷媒を前記冷却部に供給するための第1経路および前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻すための第2経路を有し、前記冷却部を介して前記冷却タンクの中の前記冷媒を循環させる循環経路と、前記冷却部によって前記飲料を冷却する第1期間においては前記循環経路を通して前記冷媒を循環させ、前記冷却部によって前記飲料を冷却しない第2期間においては前記第2経路を通して前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻す冷媒移送器と、を備え、前記第1期間において前記飲料缶の中の前記飲料を冷却することによって温度が上昇した前記冷媒は、前記第2期間において前記冷却タンクに戻されることによって冷却され、前記冷媒移送器は、前記第1経路に配置され、前記冷却タンクの中の前記冷媒を前記冷却部に供給する第1ポンプと、前記第1経路の一部を通して前記冷却部に空気を送ることによって前記冷却部の中の前記冷媒を前記冷却タンクに戻す第2ポンプと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な操作で飲料缶の中の飲料を冷却することができる飲料冷却装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の飲料冷却装置の構成を模式的に示す図。
【
図2】実施形態の飲料冷却装置の構成を模式的に示す図。
【
図3】実施形態の飲料冷却装置の冷却部の構成を模式的に示す図。
【
図4】実施形態の飲料冷却装置の冷却部の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1および
図2には、実施形態の飲料冷却装置1の構成が模式的に示されている。
図3および
図4には、
図1および
図2に示された飲料冷却装置1の冷却部20の構成が模式的に示されている。飲料冷却装置1は、例えば、飲料缶5に充填されたビール、発泡酒等のビール系飲料を冷却するように構成されうる。ただし、飲料缶5に充填された飲料は、ビール系飲料に限定されるものではなく、あらゆる飲料でありうる。飲料冷却装置1が取り扱いうる飲料缶5のサイズは、特に限定されるものではないが、例えば、350mLおよび500mLでありうる。
【0011】
飲料冷却装置1は、冷媒12を冷却する冷却タンク10と、飲料缶5の中の飲料を冷却する冷却部20と、冷媒12を循環させる循環経路30と、冷媒12を移送するための冷媒移送器40とを備えうる。飲料冷却装置1は、冷却タンク10内の冷媒12を目標温度(例えば、-25℃、10℃等)まで冷却する冷媒冷却器15を備えうる。冷却部20は、飲料缶5を収容して飲料缶5の中の飲料を飲料缶5とともに冷却するように構成されうる。
【0012】
循環経路30は、冷却タンク10の中の冷媒12を冷却部20に供給するための第1経路31および冷却部20の中の冷媒12を冷却タンク10に戻すための第2経路32を有し、冷却部20を介して冷却タンク10の中の冷媒12を循環させうる。冷媒移送器40は、冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却する第1期間においては、循環経路30を通して冷媒12を循環させうる。また、冷媒移送器40は、冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却しない第2期間においては、第2経路32を通して冷却部20の中の冷媒12を冷却タンク10に戻しうる。
【0013】
飲料缶5は、第1期間の終了後に冷却部20から取り出されうる。第2期間において冷却部20の中の冷媒12を冷却タンク10に戻すことにより、冷却部20の温度が上昇しうるので、冷却部20における結露の発生を低減することができる。また、冷却部20および第2経路32内において冷媒12の温度が上昇することを防止することができる。また、冷却タンク10に戻された冷媒12、即ち、飲料の冷却によって温度が上昇した冷媒12を冷却タンク10において速やかに冷却することができるので、次の飲料缶5の飲料の冷却に備えることができる。
【0014】
冷媒移送器40は、第1ポンプ41および第2ポンプ42を含みうる。第1ポンプ41は、第1経路31に配置され、冷却タンク10の中の冷媒12を冷却部20に供給するように動作しうる。第2ポンプ42は、第1経路31の一部を通して冷却部20に空気を送ることによって、冷却部20の中の冷媒12を冷却タンク10に戻すように動作しうる。飲料冷却装置1あるいは冷媒移送器40は、第1逆止弁51および第2逆止弁52を備えうる。第1逆止弁51は、第1経路31における第1ポンプ41と冷却部20との間に配置されうる。第1逆止弁51は、冷却タンク10から冷却部20に向かう方向を順方向として、即ち、冷却タンク10から冷却部20に向かう方向には冷媒12が流れるが、その逆方向には冷媒12も空気も流れないように配置されうる。第2逆止弁52は、第1経路31における第1逆止弁51と冷却部20との間の位置と、第2ポンプ42との間に配置されうる。第2逆止弁52は、第2ポンプ42から第1経路31に向かう方向を順方向として、即ち、第2ポンプ42から第1経路31には空気が流れるが、その逆方向には冷媒12も空気も流れないように配置されうる。
【0015】
冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却する第1期間においては第1ポンプ41が動作し、冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却しない第2期間においては第2ポンプ42が動作する。また、冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却する第1期間においては第2ポンプ42が動作せず、冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却しない第2期間においては第1ポンプ41が動作しない。
【0016】
飲料冷却装置1は、冷却部20を回転させる回転機構60と、ロータリージョイント50と備えうる。第1経路31および第2経路32は、ロータリージョイント50を介して冷却部20に接続されうる。冷却部20は、飲料缶5に接触する半円筒状の第1接触面CS1を有する第1部分21と、飲料缶5に接触する半円筒状の第2接触面CS2を有する第2部分22とを含みうる。また、冷却部20は、ヒンジ部23を含みうる。ヒンジ部23は、
図2に模式的に示されるように、冷却部20によって保持される飲料缶5の軸方向に直交する軸の周りで第1部分21に対して第2部分22が回動するように第1部分21と第2部分22とを接続する。冷却部20によって飲料缶5の中の飲料を冷却する第1期間において、回転機構60は、冷却部20を回転させうる。これにより、飲料缶5もその軸の周りで回転する。飲料缶5を回転させることは、飲料缶5の中での飲料の対流を促進するので、飲料の冷却効率の向上(例えば、冷却に要する時間の短縮)に有利である。
【0017】
第1部分21は、冷媒12が流れる第1流路24を有し、第2部分22は、12冷媒が流れる第2流路25を有しうる。第1流路24および第2流路25は相互に接続され、かつ、中継部26およびロータリージョイント50を介して第1経路31および第2経路32に接続されうる。回転機構60による冷却部20の回転は、第1部分21が第2部分22の下に位置する状態で冷却部20の回転が停止されるように制御されうる。冷却部20に対する飲料缶5の投入および冷却部20からの飲料缶5の取り出しは、第1部分21に対して第2部分22を回動させるように第2部分22を開くことによってなされうる。
【0018】
図3および
図4に例示されるように、第1接触面CS1および第2接触面CS2は、飲料缶5の側面のうち飲料缶5の下部側面P3および上部側面P1に接触せず、飲料缶5の側面のうち下部側面P3と上部側面P1との間の中央側面P2に接触するように構成されうる。このような構成は、例えば、第1接触面CS1および第2接触面CS2に凹部(拡径部)R1、R2、R3を設けることによって実現されうる。ここで、飲料缶5の下部側面P3および上部側面P1は、中央側面P2よりも僅かに径が大きい場合がある。下部側面P3、中央側面P2および上部側面P1を含む飲料缶5の側面の全域に第1接触面CS1および第2接触面CS2が接触するように第1接触面CS1および第2接触面CS2を構成することは極めて困難であるし、また、飲料缶5の形状は、製造誤差による影響を受けうる。更には、
図3および
図4に例示されるように、2以上のサイズの飲料缶5に対応するためには、2以上のサイズの飲料缶5の側面の形状に第1接触面CS1および第2接触面CS2の形状を適合させなければならない。一方で、絞り加工で製造されうる飲料缶5は、中央側面P2における寸法精度が高いことが確認されている。
【0019】
飲料缶5の下部側面P3および上部側面P1に接触せず、中央側面P2に接触するように第1接触面CS1および第2接触面CS2を構成することは、第1接触面CS1および第2接触面CS2と飲料缶5の側面との接触面積を、製造誤差等を含みうる多数の飲料缶5について安定的に広く確保するために有利である。これは、冷却部20による飲料缶5の中の飲料の冷却効率を向上させるために有利である。冷却部20(第1部分21、第2部分22)は、熱伝導性が優れた材料、例えば、アルミニウム又はその合金によって構成されうる。
【0020】
飲料冷却装置1は、操作表示部72を備えうる。操作表示部72は、使用者が飲料冷却装置1を操作するための操作部(タッチパネル)と表示部を兼ねることができ、その場合、操作表示部72は、タッチパネルディスプレイで構成されうる。飲料冷却装置1は、制御部71を備え、制御部71は、冷媒冷却器15、冷媒移送器40(第1ポンプ41、第2ポンプ42)、回転機構60、操作表示部72等を制御しうる。飲料冷却装置1は、冷却タンク10、冷却部20、循環経路30、ロータリージョイント50、回転機構60、冷媒冷却器15および制御部71等の複数の構成要素の各々の全部または一部を収容する筺体80を備えうる。筺体80は、冷却部20に対する飲料缶5の投入および冷却部20からの飲料缶5の取り出しのための開口部を有することができ、飲料冷却装置1は、該開口部に設けられたドア73を備えうる。
【0021】
使用者は、ドア73を開き、更に第2部分22を開いて第1部分21の第1接触面CS1の上に飲料缶5を配置した後に第2部分22を閉じ、更にドア73を閉じて、操作表示部72を操作して飲料の冷却を開始させればよい。飲料の冷却が完了した後、使用者は、ドア73を開き、更に第2部分22を開いた後に、第1接触面CS1の上に飲料缶5を取り出せばよい。本実施形態によれば、簡単な操作で飲料缶5の中の飲料を冷却することができる。
【0022】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1:飲料冷却装置、5:飲料缶、10:冷却タンク、12:冷媒、20:冷却器、21:第1部分、22:第2部分、23:ヒンジ部、24:第1流路、25:第2流路、26:中継部、30:循環経路、31:第1経路、32:第2経路、40:冷媒移送器、41:第1ポンプ、42:第2ポンプ、50:ロータリージョイント、51:第1逆止弁、52:第2逆止弁、60:回転機構、71:制御部、72:操作表示部、73:ドア、80:筺体、CS1:第1接触面、CS2:第2接触面、P1:上部側面、P2:中央側面、P3:下側側面、R1、R2、R3:凹部