(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】指示値読取プログラム、指示値読取装置及び指示値読取方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20241119BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06T7/70 B
G08C17/00 A
(21)【出願番号】P 2020123114
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】506301140
【氏名又は名称】公立大学法人会津大学
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】趙 強福
(72)【発明者】
【氏名】上田 菖平
(72)【発明者】
【氏名】平原 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】江原 幸治
(72)【発明者】
【氏名】速水 善範
(72)【発明者】
【氏名】金田 次男
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146154(JP,A)
【文献】特開2019-204238(JP,A)
【文献】特開2003-223693(JP,A)
【文献】特開2019-096304(JP,A)
【文献】特開2019-091301(JP,A)
【文献】特開2019-105588(JP,A)
【文献】特開昭58-137042(JP,A)
【文献】特開2015-108548(JP,A)
【文献】A Mask RCNN based Automatic Reading Method for Pointer Meter,2019 Chinese Control Conference (CCC),2019年,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8865369
【文献】画像処理によるアナログメータ自動読み取り,電気学会論文誌C Vol.129 No.5 IEEJ,2009年05月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/70
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針を有する表示器についての複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記指針の向きを示す情報を付加することによって、複数の学習データを生成し、
生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成し、
指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、
抽出した前記部分画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、
取得した前記値から前記部分画像データに含まれる前記指針の長さを算出し、
算出した前記長さが所定の範囲内にある場合、取得した前記値から、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、
特定した前記第1の向きと、
前記部分画像データに含まれる前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、
特定した前記指針が指示する値を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
指針を有する表示器が含まれる複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記表示器の位置情報を付加することによって、複数の学習データを生成し、
生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記部分画像データを抽出する処理では、
前記検査対象画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、
取得した前記値に対応する前記部分画像データを前記検査対象画像データから抽出する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項3】
請求項
1において、
前記第1の向きを特定する処理では、
前記長さが前記所定の範囲内にない場合、前記値から指針の向きを特定する処理を行う前に、前記部分画像データを抽出する処理と前記値を取得する処理とを再度行う、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項4】
請求項1において、
前記指針が指示する値を特定する処理では、前記指針が指示可能な値の範囲に含まれる最小値と、前記指針が指示可能な値の範囲に含まれる最大値と、前記第1の向きと、前記指針が前記最小値を指示する場合に前記指針が指示する第2の向きと、前記指針が前記最大値を指示する場合における前記指針が指示する第3の向きとから、前記指針が指示する値を特定する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項5】
請求項
4において、
前記指針が指示する値を特定する処理では、
前記第1の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度を減算することによって第1の値を算出し、
前記第3の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度を減算することによって第2の値を算出し、
前記最大値から前記最小値を減算することによって第3の値を算出し、
前記第1の値を前記第2の値で除算することによって第4の値を算出し、
前記第4の値と前記第3の値とを乗算することによって第5の値を算出し、
前記第5の値に前記最小値を加算することによって前記指針が指示する値を算出する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項6】
請求項1において、さらに、
撮像装置によって撮像された前記表示器についての前記検査対象画像データを取得し、
取得した前記検査対象画像データについてホモグラフィー変換を行う、
処理をコンピュータに実行させ、
前記部分画像データを抽出する処理では、ホモグラフィー変換を行った前記検査対象画像データから前記部分画像データの抽出を行う、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項7】
請求項
6において、
前記ホモグラフィー変換を行う処理では、
前記表示器における1以上の目印を特定し、
特定した前記1以上の目印が予め指定された位置に移動するように、前記検査対象画像データについてホモグラフィー変換を行う、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項8】
請求項1において、さらに、
前記部分画像データを抽出する処理と、前記第1の向きを特定する処理と、前記指針が指示する値を特定する処理とを、複数の前記検査対象画像データについて行い、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の平均値を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針が指示する値を出力する処理では、算出した前記平均値を出力する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項9】
請求項
8において、さらに、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針は指示する値を出力する処理では、算出した前記標準偏差が所定の閾値以上で
ある場合に、前記平均値の出力を行う、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項10】
請求項
8において、さらに、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針は指示する値を出力する処理では、前記平均値に加えて前記標準偏差を出力する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項11】
請求項
8において、さらに、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針は指示する値を出力する処理では、
算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合、前記平均値に加えて前記指針が振動していることを示す情報を出力する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項12】
請求項
8において、さらに、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値のうちの最大値と最小値との差を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針は指示する値を出力する処理では、
算出した前記差が所定の閾値以上である場合に、前記平均値の出力を行う、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項13】
請求項
8において、さらに、
前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値のうちの最大値と最小値との差を算出する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記指針は指示する値を出力する処理では、
算出した前記差が所定の閾値以上である場合、前記平均値に加えて前記指針が振動していることを示す情報を出力する、
ことを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項14】
指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、
抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、
特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、
前記部分画像データを抽出する処理と、前記第1の向きを特定する処理と、前記指針が指示する値を特定する処理とを、複数の前記検査対象画像データについて行い、
特定した前記指針が指示する値の平均値を算出し、
特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、
算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合、算出した前記平均値を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする指示値読取プログラム。
【請求項15】
指針を有する表示器についての複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記指針の向きを示す情報を付加することによって、複数の学習データを生成するデータ生成部と、
生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成するモデル生成部と、
指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出する部分画像抽出部と、
抽出した前記部分画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、取得した前記値から前記部分画像データに含まれる前記指針の長さを算出し、算出した前記長さが所定の範囲内にある場合、取得した前記値から、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定する方向特定部と、
特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定する値特定部と、
特定した前記指針が指示する値を出力する値出力部と、を有する、
ことを特徴とする指示値読取装置。
【請求項16】
指針を有する表示器が含まれる複数の検査対象画像データごとに、各検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出する部分画像抽出部と、
前記複数の検査対象画像データごとに、抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定する方向特定部と、
複数の検査対象画像データごとに、特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定する値特定部と、
特定した前記指針が指示する値の平均値を算出し、特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合、算出した前記平均値を出力する値出力部と、を有する、
ことを特徴とする指示値読取装置。
【請求項17】
指針を有する表示器についての複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記指針の向きを示す情報を付加することによって、複数の学習データを生成し、
生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成し、
指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、
抽出した前記部分画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、
取得した前記値から前記部分画像データに含まれる前記指針の長さを算出し、
算出した前記長さが所定の範囲内にある場合、取得した前記値から、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、
特定した前記第1の向きと、
前記部分画像データに含まれる前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、
特定した前記指針が指示する値を出力する、
処理をコンピュータ
が実行
することを特徴とする指示値読取方法。
【請求項18】
指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、
抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、
特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、
前記部分画像データを抽出する処理と、前記第1の向きを特定する処理と、前記指針が指示する値を特定する処理とを、複数の前記検査対象画像データについて行い、
特定した前記指針が指示する値の平均値を算出し、
特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、
算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合、算出した前記平均値を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする指示値読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示値読取プログラム、指示値読取装置及び指示値読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体の製造等を行う工場には、一般的に、各機器の温度や圧力等の計測を行うための多くのアナログメーターが配置されている。
【0003】
このような工場において、作業者は、例えば、定期的なタイミングにおいて工場内を巡回し、各アナログメーターが指し示している値の確認を目視によって行う。そして、作業者は、例えば、各アナログメーターの値を用いて必要な計算を行い、工場内において異常(例えば、機器の故障等)が発生しているか否かについての判定を行う。その結果、工場内において異常が発生していると判定した場合、作業者は、例えば、異常が発生した機器の交換を行うための手配等を行う(特許文献1乃至2及び非特許文献1乃至2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-133560号公報
【文献】特開2017-126187号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Yixiao Fang, Yan Dai, Guoli He and Donglian Qi, "A Mask RCNN based Automatic Reading Method for Pointer Meter", 38th Chinese Control Conference, 8466-8471.
【文献】HaoWen Lai, Qi Kang, Le pan and Can Cui, "A Novel Scale Recognition Method for Pointer Meters Adapted to Different Types and Shape", 2019 IEEE 15th International Conference on Automation Science and Engineering (CASE), 374-379.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような各アナログメーターの値を用いて行う計算は、例えば、作業者が人手によって行うものであり、ある程度の時間を要する場合がある。また、このような計算は、例えば、工場内以外の場所(作業者のオフィス等)に移動してから行う必要がある場合がある。
【0007】
そのため、作業者は、工場内において発生している異常を迅速に検知することができず、発生した異常を解消するまでに時間を要する場合がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、工場内において発生した異常を迅速に検知することを可能とする指示値読取プログラム、指示値読取装置及び指示値読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、特定した前記指針が指示する値を出力する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、指針を有する表示器が含まれる複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記表示器の位置情報を付加することによって、複数の学習データを生成し、生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成し、前記検査対象画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、取得した前記値に対応する前記部分画像データを前記検査対象画像データから抽出する、ことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、指針を有する表示器についての複数の学習用画像データのそれぞれに対し、各学習用画像データに含まれる前記指針の向きを示す情報を付加することによって、複数の学習データを生成し、生成した前記複数の学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデルを生成し、前記部分画像データを入力することに伴って前記学習モデルから出力される値を取得し、取得した前記値から前記指針の向きを特定する、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記値から前記指針の長さを算出し、算出した前記長さが所定の範囲内にある場合に、前記値から指針の向きを特定する処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記長さが前記所定の範囲内にない場合、前記値から指針の向きを特定する処理を行う前に、前記部分画像データを抽出する処理と前記値を取得する処理とを再度行う、ことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示可能な値の範囲に含まれる最小値と、前記指針が指示可能な値の範囲に含まれる最大値と、前記第1の向きと、前記指針が前記最小値を指示する場合に前記指針が指示する第2の向きと、前記指針が前記最大値を指示する場合における前記指針が指示する第3の向きとから、前記指針が指示する値を特定する、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記第1の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度を減算することによって第1の値を算出し、前記第3の向きに対応する角度から前記第2の向きに対応する角度を減算することによって第2の値を算出し、前記最大値から前記最小値を減算することによって第3の値を算出し、前記第1の値を前記第2の値で除算することによって第4の値を算出し、前記第4の値と前記第3の値とを乗算することによって第5の値を算出し、前記第5の値に前記最小値を加算することによって前記指針が指示する値を算出する、ことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、撮像装置によって撮像された前記表示器についての前記検査対象画像データを取得し、取得した前記検査対象画像データについてホモグラフィー変換を行い、ホモグラフィー変換を行った前記検査対象画像データから前記部分画像データの抽出を行う、ことを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記表示器における1以上の目印を特定し、特定した前記1以上の目印が予め指定された位置に移動するように、前記検査対象画像データについてホモグラフィー変換を行う、ことを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値の平均値を算出し、算出した前記平均値を出力する、ことを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合に、前記平均値の出力を行う、ことを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、前記平均値に加えて前記標準偏差を出力する、ことを特徴とする。
【0021】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値の標準偏差を算出し、算出した前記標準偏差が所定の閾値以上である場合、前記平均値に加えて前記指針が振動していることを示す情報を出力する、ことを特徴とする。
【0022】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値のうちの最大値と最小値との差を算出し、算出した前記差が所定の閾値以上である場合に、前記平均値の出力を行う、ことを特徴とする。
【0023】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取プログラムは、一つの態様では、前記指針が指示する値を特定する処理において特定した前記指針が指示する値のうちの最大値と最小値との差を算出し、算出した前記差が所定の閾値以上である場合、前記平均値に加えて前記指針が振動していることを示す情報を出力する、ことを特徴とする。
【0024】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取装置は、指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出する部分画像抽出部と、抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定する方向特定部と、特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定する値特定部と、特定した前記指針が指示する値を出力する値出力部と、を有する、ことを特徴とする。
【0025】
また、上記目的を達成するための本発明における指示値読取方法は、指針を有する表示器が含まれる検査対象画像データから、前記表示器についての部分画像データを抽出し、抽出した前記部分画像データに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する第1の向きを特定し、特定した前記第1の向きと、前記表示器において前記指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、前記部分画像データに含まれる前記指針が指示する値を特定し、特定した前記指針が指示する値を出力する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明における指示値読取プログラム、指示値読取装置及び指示値読取方法によれば、工場内において発生している異常を迅速に検知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態における情報処理装置1の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態における指示値読取処理の概略を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における指示値読取処理の概略を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明するフローチャート図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図14】
図14は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図15】
図15は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【
図16】
図16は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
初めに、第1の実施の形態における情報処理装置1(以下、指示値読取装置1とも呼ぶ)の構成例について説明を行う。
図1は、第1の実施の形態における情報処理装置1の構成例を示す図である。
【0030】
情報処理装置1は、コンピュータ装置であって、例えば、汎用的なPC(Personal Computer)である。そして、情報処理装置1は、例えば、図示しないアナログメーター(以下、表示器とも呼ぶ)の指針が指示する値を読み取る処理(以下、指示値読取処理とも呼ぶ)を行う。
【0031】
情報処理装置1は、汎用的なコンピュータ装置のハードウエア構成を有し、例えば、
図1に示すように、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信インタフェース103と、記憶媒体104とを有する。各部は、バス105を介して互いに接続される。
【0032】
記憶媒体104は、例えば、指示値読取処理を行うためのプログラム(図示しない)を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。
【0033】
また、記憶媒体104は、例えば、指示値読取処理を行う際に用いられる情報を記憶する記憶部110(以下、記憶領域110とも呼ぶ)を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0034】
CPU101は、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラムを実行して指示値読取処理を行う。
【0035】
通信インタフェース103は、例えば、インターネット網等のネットワークNWを介してスマートフォン等の操作端末2と通信を行う。
【0036】
[第1の実施の形態の概略]
図2及び
図3は、第1の実施の形態における指示値読取処理の概略を説明する図である。具体的に、
図2は、第1の実施の形態における指示値読取処理のうち、学習段階の処理について説明する図である。また、
図3は、第1の実施の形態における指示値読取処理のうち、推論段階の処理について説明する図である。
【0037】
初めに、第1の実施の形態における指示値読取処理のうち、学習段階の処理について説明を行う。
【0038】
情報処理装置1の第1データ生成部111は、
図2に示すように、例えば、アナログメーターが一部において映る学習用画像データ(以下、第1学習用画像データとも呼ぶ)に対し、第1学習用画像データにおけるアナログメーターの位置及びサイズについての情報(以下、これらを総称して位置情報とも呼ぶ)を付加することによって学習データ(以下、第1学習データとも呼ぶ)を生成する。
【0039】
そして、情報処理装置1の第1モデル生成部112は、第1データ生成部111が生成した複数の第1学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデル(以下、第1学習モデルとも呼ぶ)を生成する。その後、第1モデル生成部112は、生成した第1学習モデルを記憶領域110に記憶する。
【0040】
すなわち、第1モデル生成部112は、複数の第1学習データを用いることによって、検査対象画像データからアナログメーターの部分画像データを抽出する際に用いられる第1学習モデルを生成する。
【0041】
また、情報処理装置1の第2データ生成部113は、例えば、アナログメーターについての学習用画像データ(以下、第2学習用画像データとも呼ぶ)に対し、第1モデル生成部112が生成した第1学習モデルによって抽出された部分画像データにおけるアナログメーターの指針の向きを示す情報を付加することによって学習データ(以下、第2学習データとも呼ぶ)を生成する。
【0042】
そして、情報処理装置1の第2モデル生成部114は、第2データ生成部113が生成した複数の第2学習データを用いた機械学習を行うことによって、学習モデル(以下、第2学習モデルとも呼ぶ)を生成する。その後、第2モデル生成部114は、生成した第2学習モデルを記憶領域110に記憶する。
【0043】
すなわち、第2モデル生成部114は、複数の第2学習データを用いることによって、アナログメーターの指針が指示する方向を特定(推定)する際に用いられる第2学習モデルを生成する。
【0044】
次に、第1の実施の形態における指示値読取処理のうち、推論段階の処理について説明を行う。
【0045】
情報処理装置1の部分画像抽出部121は、アナログメーターを一部において含む検証対象画像データから、アナログメーターについての部分画像データを抽出する。
【0046】
具体的に、部分画像抽出部121は、記憶領域110に記憶された第1学習モデルに対する検証対象画像データの入力に伴って出力される値が示す位置情報を特定する。そして、部分画像抽出部121は、特定した位置情報に対応する部分画像データを検証対象画像データから抽出する。
【0047】
そして、情報処理装置1の方向判定部122は、部分画像抽出部121が抽出した部分画像データに基づいて、その部分画像データに映るアナログメーターの指針が指示する向き(以下、第1の向きとも呼ぶ)を特定する。
【0048】
具体的に、方向判定部122は、記憶領域110に記憶された第2学習モデルに対する部分画像データの入力に伴って出力される値が示す第1の向きを特定する。
【0049】
続いて、情報処理装置1の値特定部123は、方向判定部122が特定した第1の向きと、アナログメーターの指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、部分画像抽出部121が抽出した部分画像データに含まれるアナログメーターの指針が指示している値を特定する。
【0050】
その後、情報処理装置1の値出力部124は、例えば、値特定部123が特定した値を操作端末2に出力する。
【0051】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、工場内に配置されたアナログメーターが映る画像データを学習モデルに対する入力として用いることで、アナログメーターの指針が向いている方向の特定を自動的に行う。そして、情報処理装置1は、特定した方向に基づいて、アナログメーターの指針が示す値を特定する。
【0052】
その後、情報処理装置1は、例えば、各アナログメーターの指針が示す現在の値と過去の値とから工場内の機器における異常値の発生確率の算出(推定)を行う。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した異常値の発生確率が所定の閾値を上回った場合に、工場内において異常が発生している可能性が高いと判定する。
【0053】
これにより、情報処理装置1は、工場内において異常が発生している可能性が高いか否かについての判定を自動的かつ迅速に行うことが可能になる。そして、情報処理装置1は、例えば、工場内において異常が発生している可能性が高いと判定した場合、作業者に対して必要な作業(操作)を行う旨の通知を行うことが可能になる。
【0054】
この点、工場内における異常の発生は、工場内における大きな事故の発生に繋がる可能性がある。そのため、作業者は、工場内における大きな事故の発生を防止する観点から、工場内において発生した異常に対して迅速な処置を行う必要がある。
【0055】
したがって、情報処理装置1は、例えば、工場内において異常が発生する可能性が高いと判定した場合、作業者に対して適切な処置を行う旨の指示を行う。また、情報処理装置1は、例えば、工場内において異常が発生している可能性が極めて高いと判定した場合(異常が発生していると断定可能な状況にあると判定した場合)、作業者に対して緊急処理を取るように指示を行う。
【0056】
さらに、情報処理装置1は、各アナログメーターの指針が示す値の読み取りを自動的に行うことで、この読み取りを作業者が行うことによる人為的なミス(読み取りミスや値の入力ミス等)の発生を防止することが可能になる。
【0057】
[第1の実施の形態の詳細]
次に、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細について説明を行う。
図4から
図7は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明するフローチャート図である。また、
図8から
図16は、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細を説明する図である。
【0058】
[学習段階における処理]
初めに、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細のうち、学習段階における処理の詳細について説明を行う。
図4は、学習段階における処理の詳細について説明する図である。
【0059】
第1データ生成部111は、
図4に示すように、例えば、学習タイミングになるまで待機する(S11のNO)。学習タイミングは、例えば、作業者が操作端末2を介して第1学習用画像データを入力したタイミングであってよい。また、学習タイミングは、例えば、作業者が各学習モデルの生成を行う旨の情報を入力したタイミングであってよい。
【0060】
そして、学習タイミングなった場合(S11のYES)、第1データ生成部111は、第1学習用画像データのそれぞれに対し、各画像データに含まれるアナログメーターの位置情報を付加することによって、第1学習データを生成する(S12)。
【0061】
具体的に、第1データ生成部111は、
図7に示すように、例えば、アナログメーターの位置及びサイズを示すバウンディングボックスBB11(作業者によって指定されたバウンディングボックスBB11)を用いることによって、第1学習用画像データDT11に対してアナログメーターの位置情報を付加する。
【0062】
さらに具体的に、作業者は、例えば、撮像装置(図示しない)によって撮影された動画データに含まれる各フレームに対応する画像データを第1学習用画像データとして用意する。そして、作業者は、バウンディングボックスを用いることによって、第1学習用画像データのそれぞれに対してアナログメーターの位置情報を付加する。その後、第1データ生成部111は、例えば、第1学習用画像データと、バウンディングボックスの左上の座標(X座標及びY座標)と、バウンディングボックスの縦及び横の長さとを対応付けることによって、第1学習データを生成する。
【0063】
その後、第1モデル生成部112は、S12の処理で生成した第1学習データを用いた機械学習を行うことによって、第1学習モデルを生成する(S13)。
【0064】
続いて、第2データ生成部113は、第2学習用画像データのそれぞれに対し、各画像データにおける指針の向きを示す情報を付加することによって、第2学習データを生成する(S14)。
【0065】
具体的に、第2データ生成部113は、
図8に示すように、例えば、アナログメーターの指針の位置を示すバウンディングボックスBB12(作業者によって指定されたバウンディングボックスBB12)を用いることによって、第2学習用画像データDT12に対して指針の位置情報を付加する。
【0066】
さらに具体的に、第2データ生成部113は、例えば、S13の処理で生成した第1学習モデルに対する第1学習用画像データの入力に伴って出力される画像データを第2学習用画像データとして取得する。そして、作業者は、バウンディングボックスを用いることによって、第2学習用画像データのそれぞれに対して指針の位置情報を付加する。その後、第2データ生成部113は、例えば、第2学習用画像データと、バウンディングボックスの左上の座標(X座標及びY座標)と、バウンディングボックスの縦及び横の長さとを対応付けることによって、第2学習データを生成する。
【0067】
ここで、第2データ生成部113は、推定精度が高い第2学習モデルを生成する必要性から、例えば、アナログメーターの目盛りごとに、各目盛りを指針が示している状態のアナログメーターが映る第2学習用画像データを数百から数千単位で生成する必要がある。さらに、例えば、複数のアナログメーターが工場に配置されている場合、第2データ生成部113は、例えば、第2学習用画像データの生成をアナログメーターごとに行う必要がある。
【0068】
この点、作業者は、本実施の形態における指示値読取処理を行う場合、例えば、アナログメーターの目盛りの1/4の領域(例えば、
図8に示すアナログメーターにおける「0.1」から「0.3」までの間の領域)に対応する第1学習用画像データのみを用意し、これらを第1学習モデルに入力することによって第2学習用画像データを生成するものであってよい。そして、作業者は、生成した第2学習用画像データから第2学習データを生成した後、生成した第2学習用画像データを左右反転または上下反転(左右反転及び上下反転)させることによって、他の領域(例えば、
図8に示すアナログメーターにおける「0.1」から「0.3」までの間の領域以外の領域)に対応する新たな第2学習データをさらに生成し、アナログメーターの目盛りの全ての領域に対応する第2学習データを生成するものであってよい。
【0069】
具体的に、例えば、
図8に示す第2学習用画像データDT12に映るアナログメーターの指針が指し示す値が「0.178」である場合、第2学習用画像データDT12を左右反転させた画像データに映るアナログメーターの指針が指し示す値が「0.422」であり、第2学習用画像データDT12を上下反転させた画像データに映るアナログメーターの指針が指し示す値が「0.022」であり、第2学習用画像データDT12を左右反転及び上下反転させた画像データに映るアナログメーターの指針が指し示す値が「0.578」である。
【0070】
そのため、作業者は、この場合、第2学習用画像データDT12を左右反転させた画像データに対し、「0.422」を指し示す場合における指針の位置情報を付加した新たな第2学習データと、第2学習用画像データDT12を上下反転させた画像データに対し、「0.022」を指し示す場合における指針の位置情報を付加した新たな第2学習データと、第2学習用画像データDT12を左右反転及び上下反転させた画像データに対し、「0.578」を指し示す場合における指針の位置情報を付加した新たな第2学習データとを生成する。
【0071】
すなわち、本実施の形態における第2学習モデルは、アナログメーターが映る検証対象画像データを認識する学習モデルではなく、アナログメーターの指針が指示する方向(角度)を検知する学習モデルである。そのため、作業者は、第2学習モデルを生成する際に、例えば、目盛りを示す文字(「0.1」等)が反転している画像データを用いることも可能である。したがって、作業者は、例えば、アナログメーターの目盛りの一部の領域に対応する第2学習データのみを生成し、さらに、生成した第2学習データに含まれる第2学習画像データを各種反転させることによって新たな第2学習データを生成するものであってもよい。
【0072】
これにより、作業者は、第2学習データの生成に要する負荷を軽減させることが可能になる。また、作業者は、この場合、例えば、指針の種類や目盛りの数等が異なる他のアナログメーターにおける指針の向きについても特定(推定)可能な第2学習モデルを生成することが可能になる。
【0073】
その後、第2モデル生成部114は、S14の処理で生成した第2学習データを用いた機械学習を行うことによって、第2学習モデルを生成する(S15)。
【0074】
なお、作業者は、新たな第1学習用画像データを情報処理装置1に対して随時入力するものであってよい。そして、情報処理装置1は、新たな第1学習用画像データを含む新たな第1学習データを随時生成するものであってよい(S12)。
【0075】
その後、例えば、追加された新たな第1学習用画像データの割合が、全ての第1学習用画像データの所定割合を上回った場合、情報処理装置1は、第1学習モデル及び第2学習モデルを再度生成するものであってもよい(S13からS15)。
【0076】
これにより、作業者は、第1学習モデル及び第2学習モデルの判定精度を継続的に向上させていくことが可能になる。
【0077】
[推論段階における処理]
次に、第1の実施の形態における指示値読取処理の詳細のうち、推論段階における処理の詳細について説明を行う。
図5及び
図6は、推論段階における処理の詳細について説明する図である。
【0078】
部分画像抽出部121は、
図5に示すように、判定タイミングなるまで待機する(S21のNO)。判定タイミングは、例えば、作業者が操作端末2を介して検証対象画像データを入力したタイミングであってよい。また、判定タイミングは、例えば、作業者が検証対象学習データの判定を行う旨の情報を入力したタイミングであってよい。
【0079】
そして、判定タイミングになった場合(S21のYES)、部分画像抽出部121は、撮像装置(図示しない)が撮像したアナログメーターについての検査対象画像データを取得する(S22)。
【0080】
具体的に、部分画像抽出部121は、
図9に示すように、例えば、作業者が撮影を行う撮像装置から送信されたアナログメーターの検査対象画像データDT21を受信する。撮像装置は、例えば、非固定のカメラであってもよい。また、撮像装置は、例えば、操作端末2に内蔵されているものであってもよい。
【0081】
続いて、部分画像抽出部121は、S22の処理で取得した検査対象画像データを入力することに伴って第1学習モデルから出力される値を取得する(S23)。
【0082】
そして、部分画像抽出部121は、S23の処理で取得した値に対応する部分画像データを、S22の処理で取得した検査対象画像データから抽出する(S24)。
【0083】
具体的に、部分画像抽出部121は、
図10に示すように、例えば、S23の処理で取得した値に対応する位置情報(座標)を参照し、S21の処理で取得した検査対象画像データのうち、アナログメーターが映る部分を部分画像データDT22として取得する。
【0084】
次に、方向判定部122は、
図6に示すように、S24の処理で抽出した部分画像データを入力することに伴って第2学習モデルから出力される値を取得する(S31)。
【0085】
なお、方向判定部112は、この場合、アナログメーターにおける指針の回転軸から先端までの長さ(指針の位置に対応するバウンディングボックスの対角線の長さ)を、S31の処理で取得した値を用いることによって算出するものであってもよい。そして、方向判定部112は、算出した対角線の長さが予め指定された所定の許容範囲内(例えば、±5(%)の範囲内)にない場合、S24の処理においてエラー(部分画像データの読取エラー)が発生しているものと判定し、S24以降の処理を再度行うものであってもよい。
【0086】
これにより、方向判定部112は、S24の処理における部分画像データの読取精度の向上を図ることが可能になる。
【0087】
そして、方向判定部122は、S31の処理で取得した値からアナログメーターにおける指針が向いている第1の方向を特定する(S32)。
【0088】
具体的に、方向判定部122は、
図11に示すように、例えば、S24の処理で抽出した部分画像データDT22に映るアナログメーターの指針が向いている第1の方向として方向DRpを特定する。
【0089】
続いて、値特定部123は、S32の処理で特定した第1の向きとアナログメーターにおいて指針が示す値の範囲とに基づいて、S24の処理で抽出した部分画像データに含まれる指針が指示する値を特定する(S33)。
【0090】
具体的に、値特定部123は、例えば、指針が指示可能な値の範囲のうちの最小値(以下、単に最小値とも呼ぶ)と、指針が指示可能な値の範囲のうちの最大値(以下、単に最大値とも呼ぶ)と、S32の処理で特定した第1の方向と、指針が最小値を指示する場合に指針が指示する方向(以下、第2の方向とも呼ぶ)と、指針が最大値を指示する場合における指針が指示する方向(以下、第3の方向とも呼ぶ)とから、S24の処理で抽出した部分画像データに含まれる指針が指示する値の特定を行う。以下、S33の処理の具体例について説明を行う。
【0091】
[S33の処理の具体例]
値特定部123は、例えば、以下の式1に従って、S24の処理で抽出した部分画像データに含まれる指針が指示する値の特定を行う。なお、以下、
図12に示すように、第2の方向を方向DRmとも呼び、第3の方向を方向DRMとも呼び、各角度を算出する際の基準となる方向(X軸方向)を方向DRXとも呼ぶ。
【0092】
【0093】
上記の式1において、θpは、方向DRXから方向DRpまで時計回りで進んだ場合の角度を示し、θmは、方向DRXから方向DRmまで時計回りで進んだ場合の角度を示し、θMは、方向DRXから方向DRMまで時計回りで進んだ場合の角度を示している。また、上記の式1において、vpは、指針が指示可能な値の範囲のうちの方向DRpに対応する値を示し、vmは、指針が指示可能な値のうちの最小値(方向DRmに対応する値)を示し、vMは、指針が指示可能な値のうちの最大値(方向DRMに対応する値)を示している。なお、値特定部123は、θp及びθMがθmよりも小さい場合、方向DRXから方向DRMまでの角度に360度を加算した角度をθMとする。
【0094】
具体的に、
図12に示すように、例えば、θ
mが135度であって、θ
Mが405度であって、θ
pが215度である場合、値特定部123は、v
pとして約0.178を算出する。
【0095】
図6に戻り、値出力部124は、S33の処理で特定した指針が指示する値を出力する(S34)。
【0096】
具体的に、値出力部124は、例えば、S33の処理で特定した指針が指示する値を操作端末2に出力する。
【0097】
なお、値出力部124は、例えば、S33の処理で特定した指針が示す値を用いて予め定められた計算を行い、その算出結果についても操作端末2に出力するものであってもよい。すなわち、値出力部124は、例えば、S33の処理で特定した指針が示す値を用いることによって、工場内において異常が発生している否かを判定するための計算を行い、その算出結果を操作端末2に出力するものであってもよい。
【0098】
このように、本実施の形態における情報処理装置1は、指針を有するアナログメーターが映る検査対象画像データから、そのアナログメーターについての部分画像データを抽出する。そして、情報処理装置1は、抽出した部分画像データに基づいて、その部分画像データに含まれる指針が指示する第1の向きを特定する。
【0099】
さらに、情報処理装置1は、特定した第1の向きと、アナログメーターにおいて指針が指示可能な値の範囲とに基づいて、部分画像データに含まれる指針が指示する値を特定する。その後、情報処理装置1は、特定した指針が指示する値を出力する。
【0100】
すなわち、本実施の形態における情報処理装置1は、工場内における各アナログメーターの画像データを入力とすることによって、各アナログメーターが示している値の特定(読み取り)を自動的に行う。
【0101】
これにより、情報処理装置1は、例えば、各アナログメーターが示す値を用いることで、工場内において異常が発生している確率を算出(推定)することが可能になる。そして、情報処理装置1は、例えば、算出した確率に基づいて工場内において異常が発生していると判定した場合、作業者に対して必要な作業(操作)を行う旨の通知を行うことが可能になる。
【0102】
また、情報処理装置1は、各アナログメーターの指針が示す値の読み取りを自動的に行うことで、この読み取りを作業者が行うことによる人為的なミス(読み取りミスや値の入力ミス等)の発生を防止することが可能になる。
【0103】
ここで、情報処理装置1は、S22の処理において、撮像装置(図示しない)が撮像したアナログメーターについての動画データを取得するものであってもよい。そして、情報処理装置1は、S23からS34の処理を、動画データに含まれる複数の検査対象画像データ(例えば、連続する10フレームに対応する複数の検査対象画像データ)のそれぞれについて処理を行うものであってよい。
【0104】
具体的に、情報処理装置1は、この場合、例えば、S33の処理で算出した値(複数の検査対象画像データのそれぞれについて算出した値)の標準偏差を算出する。その結果、標準偏差が閾値を上回っていると判定した場合、情報処理装置1は、S22の処理で取得した動画データに映るアナログメーターの指針が振動していると判定し、S33の処理で算出した値の平均値を出力する。
【0105】
これにより、情報処理装置1は、アナログメーターの指針が振動しているか否かについての判定を行うことが可能になる。また、情報処理装置1は、アナログメーターの指針が振動している場合であっても、指針が指し示す値を精度良く出力することが可能になる。
【0106】
なお、情報処理装置1は、この場合、例えば、S33の処理で算出した値の平均値に加えて、S33の処理で算出した値の標準偏差や、S22の処理で取得した動画データに映るアナログメーターの指針が振動していることを示す情報を出力するものであってもよい。また、情報処理装置1は、S33の処理で算出した値の標準偏差が閾値を上回っているか否かについての判定に代えて、S33の処理で算出した値のうちの最大値と最小値との差が閾値を上回っているか否かについての判定を行うものであってもよい。
【0107】
さらに、情報処理装置1は、標準偏差が閾値を上回っていないと判定した場合においても、S33の処理で算出した値の平均値を出力するものであってもよい。これにより、情報処理装置1は、アナログメーターの指針が指し示す値の推定精度を高めることが可能になる。
【0108】
[ホモグラフィー変換]
次に、部分画像データのホモグラフィー変換について説明を行う。
【0109】
情報処理装置1は、例えば、S31の処理を行う前に、S24の処理で抽出した部分画像データについてホモグラフィー変換を行うものであってもよい。具体的に、情報処理装置1は、例えば、S24の処理で抽出した部分画像データに映るアナログメーターにおける1以上の目印が予め指定された位置に移動するように、ホモグラフィー変換を行うものであってよい。そして、情報処理装置1は、S31の処理において、ホモグラフィー変換を行った部分画像データを第2学習モデルに入力するものであってもよい。
【0110】
これにより、情報処理装置は、例えば、傾いた状態のアナログメーターが映る検知対象画像データを、正しい姿勢(真正面から撮影した場合と同じ姿勢)のアナログメーターが映る検知対象画像データに変換することが可能になる。そのため、情報処理装置1は、傾いた状態のアナログメーターが映る検知対象画像データを取得した場合であっても、指針が指し示す値の推定精度の低下を抑えることが可能になる。以下、ホモグラフィー変換の具体例について説明を行う。
【0111】
[ホモグラフィー変換の具体例]
図13及び
図14は、ホモグラフィー変換の具体例について説明する図である。
【0112】
作業者は、例えば、
図13に示すように、撮像装置(図示しない)による撮像対象であるアナログメーターの外枠FLに、アナログメーターにおいて用いられていない色のシールである4つの目印MR31、MR32、MR33及びMR34を貼り付ける。
【0113】
具体的に、作業者は、
図13に示すように、例えば、目印MR31と目印MR33とを結ぶ直線(以下、第1の直線とも呼ぶ)が地面と垂直になるように、かつ、その第1の直線が指針の基端部(指針の回転軸)を通るように、検査対象のアナログメーターに対して目印MR31及びMR33を貼り付ける。また、作業者は、例えば、目印MR32と目印MR34とを結ぶ直線(以下、第2の直線とも呼ぶ)が地面と水平になるように、かつ、その第2の直線が指針の基端部を通るように、検査対象のアナログメーターに対して目印MR32及びMR34を貼り付ける。
【0114】
そして、
図14(A)に示すように、例えば、S24の処理において、左に傾いたアナログメーターが映る部分画像データDT31を抽出した場合、情報処理装置1は、
図14(B)に示すように、例えば、第1の直線が部分画像データの横の辺と並行になるように、かつ、第2の直線が部分画像データの縦の辺と並行になるようにホモグラフィー変換を行い、部分画像データDT31aを生成する。その後、情報処理装置1は、S31の処理において、部分画像データDT31aを第2学習モデルに入力する。
【0115】
同様に、
図14(C)に示すように、例えば、S24の処理において、右に傾いたアナログメーターが映る部分画像データDT32を抽出した場合、情報処理装置1は、
図14(D)に示すように、例えば、第1の直線が部分画像データの横の辺と並行になるように、かつ、第2の直線が部分画像データの縦の辺と並行になるようにホモグラフィー変換を行い、部分画像データDT32aを生成する。その後、情報処理装置1は、S31の処理において、部分画像データDT32aを第2学習モデルに入力する。
【0116】
[ホモグラフィー変換を行った場合の第2学習モデルの推定結果]
次に、ホモグラフィー変換を行った場合における第2学習モデルの推定結果について説明を行う。
図15及び
図16は、ホモグラフィー変換を行った場合における第2学習モデルの推定結果について説明する図である。具体的に、
図15(A)は、ホモグラフィー変換を行わなかった場合における第2学習モデルの推定結果を示す散布図であり、
図15(B)は、ホモグラフィー変換を行わなかった場合における第2学習モデルの推定結果を示すヒストグラムである。また、
図16(A)は、ホモグラフィー変換を行った場合における第2学習モデルの推定結果を示す散布図であり、
図16(B)は、ホモグラフィー変換を行った場合における第2学習モデルの推定結果を示すヒストグラムである。
【0117】
なお、
図15(A)及び
図16(A)に示す散布図の横軸は、アナログメーターが実際に指し示した値を示しており、縦軸は、S33の処理で特定した値とアナログメーターが実際に指し示した値との誤差(エラー)を示している。また、
図15(B)及び
図16(B)に示すヒストグラムの横軸は、S33の処理で特定した値とアナログメーターが実際に指し示した値との誤差(エラー)を示しており、縦軸は、第2学習モデルに入力した部分画像データの数を示している。
【0118】
具体的に、
図16に示す各図は、
図15に示す各図と比較した場合に、例えば、S33の処理で特定した値とアナログメーターが実際に指し示した値との誤差が0であった部分画像データの数が増えていることを示している。また、
図16に示す各図は、
図15に示す各図と比較した場合に、部分画像データのそれぞれに対応する誤差が全体として小さくなっていることを示している。
【0119】
すなわち、
図15及び
図16に示す例は、S24の処理で抽出した部分画像データについてホモグラフィー変換を行った方が、第2学習モデルの推定精度が向上することを示している。
【符号の説明】
【0120】
1:情報処理装置
2:操作端末
101:CPU
102:メモリ
103:通信インタフェース
104:記憶媒体
105:バス