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特許7589916通信制御方法、通信制御装置、移動体及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】通信制御方法、通信制御装置、移動体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20241119BHJP
   H04M 1/72412 20210101ALI20241119BHJP
   H04M 1/72454 20210101ALI20241119BHJP
   H04M 1/72457 20210101ALI20241119BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
H04M1/72412
H04M1/72454
H04M1/72457
B60R16/023 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021073079
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167341
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佐
(72)【発明者】
【氏名】弘中 丈巳
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄士
(72)【発明者】
【氏名】大野 良
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-081419(JP,A)
【文献】国際公開第2014/109106(WO,A1)
【文献】特開2010-239283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/42
H04M 1/72412
H04M 1/72454
H04M 1/72457
B60R 16/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、所定の領域ごとに運転スコアを算出することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を切断することと、及び、
前記通話の切断後の経過時間が所定時間内である場合において、前記運転スコアが所定スコアを下回る領域から前記移動体が離脱したと判断されたときに通話を再開することと、
を含む、通話制御方法。
【請求項2】
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御することと、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと同一である場合は、前記第一の通話装置における音声出力部と前記第三の通話装置のいずれか一つにおける音声出力部の機能を無効化することと、
を含む、通話制御方法。
【請求項3】
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御することと、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと異なる場合は、前記第一の通話装置及び前記第三の通話装置のいずれか一つに対し、ヘッドセット、音声出力を使用者の近傍に集中させて出力することが可能な音声出力装置、及び、使用者の近傍での集音が可能な音声入力装置の少なくとも一つの使用を推奨する旨を通知することと、
を含む、通話制御方法。
【請求項4】
請求項1乃至の何れかに記載の方法であって、
前記通話に係る通信は、前記移動体に備えられたデータ処理装置を介して行われる、
通話制御方法。
【請求項5】
移動体であって、
前記移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、所定の領域ごとに運転スコアを算出する算出部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を切断する通話制御部と、及び、
前記通話の切断後の経過時間が所定時間内である場合において、前記移動体の運転スコアが所定スコアを下回る領域から前記移動体が離脱したと判断されたときに通話を再開する通話再開部と、
を備える、移動体。
【請求項6】
移動体であって、
前記移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御する通話制御部と、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと同一である場合は、前記第一の通話装置における音声出力部と前記第三の通話装置のいずれか一つにおける音声出力部の機能を無効化する無効化部と、
を備える、移動体。
【請求項7】
移動体であって、
前記移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御する通話制御部と、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと異なる場合は、前記第一の通話装置及び前記第三の通話装置のいずれか一つに対し、ヘッドセット、音声出力を使用者の近傍に集中させて出力することが可能な音声出力装置、及び、使用者の近傍での集音が可能な音声入力装置の少なくとも一つの使用を推奨する旨を通知する通知部と、
を備える、移動体。
【請求項8】
コンピュータに、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、所定の領域ごとに運転スコアを算出することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を切断することと、及び、
前記通話の切断後の経過時間が所定時間内である場合において、前記移動体の運転スコアが所定スコアを下回る領域から前記移動体が離脱したと判断されたときに通話を再開することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御することと、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと同一である場合は、前記第一の通話装置における音声出力部と前記第三の通話装置のいずれか一つにおける音声出力部の機能を無効化することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得することと、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御することと、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと異なる場合は、前記第一の通話装置及び前記第三の通話装置のいずれか一つに対し、ヘッドセット、音声出力を使用者の近傍に集中させて出力することが可能な音声出力装置、及び、使用者の近傍での集音が可能な音声入力装置の少なくとも一つの使用を推奨する旨を通知することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項11】
移動体において使用される通話装置であって、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、所定の領域ごとに運転スコアを算出する算出部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を切断する通話制御部と、及び、
前記通話の切断後の経過時間が所定時間内である場合において、前記移動体の運転スコアが所定スコアを下回る領域から前記移動体が離脱したと判断されたときに通話を再開する通話再開部と、
を備える、通話装置。
【請求項12】
移動体において使用される通話装置であって、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御する通話制御部と、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと同一である場合は、前記第一の通話装置における音声出力部と前記第三の通話装置のいずれか一つにおける音声出力部の機能を無効化する無効化部と、
を備える、通話装置。
【請求項13】
移動体において使用される通話装置であって、
移動体に関する移動体情報を時系列的に取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話に係る通信を制御する通話制御部と、及び、
前記移動体には複数の乗車者が存在し、前記複数の乗車者の一が前記第一の通話装置を使用して通話し、前記複数の乗車者の別の一が第三の通話装置を使用して通話している場合であって、前記第三の通話装置による通話における通話チャンネルが、前記第一の通話装置による通話における通話チャンネルと異なる場合は、前記第一の通話装置及び前記第三の通話装置のいずれか一つに対し、ヘッドセット、音声出力を使用者の近傍に集中させて出力することが可能な音声出力装置、及び、使用者の近傍での集音が可能な音声入力装置の少なくとも一つの使用を推奨する旨を通知する通知部と、
を備える、通話装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法、通信制御装置、移動体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(例えば、自動車、自動二輪車、自転車、船舶、航空機等が挙げられるが、これらに限られない)の乗車者が、移動体外の人物、例えば他移動体の乗車者と通話を行うにあたっては、例えば、移動体の乗車者が保有するスマートフォン、移動体に設置された機器、または移動体自体を制御するシステムにインストールされたアプリケーション等により、電話回線やインターネット通信網を通じて行うことが可能である。関連技術の一例として、特許文献1には、運転者による通話の確立に応じて、安全性の異なる経路を用いてナビゲーションを行うように制御するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-019650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の運転スキルや移動体の状況等に応じて、移動体外との通話を制御する技術は提案されていなかった。特に、運転者が通話者である場合に、適宜に通話を制御しないと、安全な運転を維持することに問題が生じる恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、移動体において使用される通話装置が当該移動体外の通話装置と通話をするにあたり、移動体に関する状況に応じて通話を制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、移動体に関する移動体情報を取得することと、及び、前記移動体情報に基づいて、前記移動体において使用される第一の通話装置における、前記移動体外の第二の通話装置との通話を制御することと、を含む、通話制御方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体における通話装置を用いて移動体外の通話装置と通話を行うにあたり、移動体に関する状況に応じて通話を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態における移動体100と移動体100に備えられた各装置との概略構成を示す図である。
図2】第一の実施形態における移動体100内の各装置の構成を説明するブロック図である。
図3】第一の実施形態におけるデータ処理装置110の概略構成を説明するブロック図である。
図4】第一の実施形態における通信装置150の概略構成を説明するブロック図である。
図5】第一の実施形態における複数のデータ処理装置110およびサーバとの間の通信の説明図である。
図6】第一の実施形態におけるサーバ200の概略構成を説明するブロック図である。
図7】第一の実施形態における通話確立処理のフローチャートである。
図8】第一の実施形態におけるユーザテーブルの一例を示す図である。
図9】第一の実施形態におけるグループテーブルの一例を示す図である。
図10】第一の実施形態における通話制御処理のフローチャートである。
図11】通話成立処理時に通話装置150であるスマートフォンに表示されるインタフェースの一例である。
図12】通話制御処理時に通話装置150であるスマートフォンに表示されるインタフェースの一例である。
図13】通話再開処理時に通話装置150であるスマートフォンに表示されるインタフェースの一例である。
図14】通話処理時に移動体に備えられた通話装置150であるヘッドアップディスプレイに表示されるインタフェースの一例である。
図15】第二の実施形態にかかる移動体300に備えられた各部の概略構成を示す図である。
図16】第二の実施形態における通話制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例である第一実施形態について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
また、これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
第一実施形態の概要について説明する。図1は、通話者が運転する車両である移動体100と、移動体100に備えられた各装置との概略構成を示す図である。
図1に示される移動体100には、例えば、データ処理装置110、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130、燃料情報取得装置140、および通話装置150が備えられている。
【0011】
図2は第一の実施形態における移動体100内の各装置の構成を説明するブロック図である。図2を参照して、移動体100に備えられた各装置の構成について以下説明する。
【0012】
データ処理装置110は、たとえば自動車のソケット(一例として、シガーソケット、電気供給用ソケット、又は、接続用ソケット)に挿入して、自動車の車両内に固定することができる。電気供給用ソケット又は接続用ソケットは、たとえばUSB(Universal Serial Bus)をサポートするソケットである。無論、データ処理装置110はかかるものに限定されず、例えば、ドライブレコーダーや、任意のIoT機器などであってよく、それらが単体で、またはそれら機器を組み合わせることで、後述するデータ処理装置110の各構成要素を備えていればよい。
【0013】
図3はデータ処理装置110の概略構成を説明するブロック図である。図3に示すように、データ処理装置110は、例えば、第一通信部111、第二通信部112、加速度情報取得部113、位置情報取得部114、および処理部115を備え、データ処理装置110が備えられた移動体100に関する情報(以降、移動体情報と呼ぶ。詳しい定義は後述する)を、当該装置内から、および移動体100に備えられた他の装置(例えば、タイヤ情報取得装置120)から取得し、外部に送信するとともに、外部から送信されてきた情報を受信し送信先対象の装置に送信するよう構成される。
【0014】
第一通信部111は、移動体100に備えられた他の装置との間で有線通信または無線通信を行う通信機能を備える。通信方式として例えば、Wi-Fi(登録商標)が挙げられるが、通信方式は特に限定されない。
【0015】
第二通信部112は、外部の通信ネットワークNW(例えば、インターネット)に接続し、移動体情報等を外部(例えば、サーバ200)へ送信したり、外部からの情報を受信したりするための、通信インタフェースである。通信方式としては、例えば、3G回線や4G回線を利用したモバイル通信が挙げられるが、通信方式は特に限定されない。
【0016】
例えば、データ処理装置110は、第一通信部111と第二通信部112とを含んで構成することで、移動体100に備えられた各装置からデータを受信し、その受信したデータをサーバ200等のインターネット上の指定の場所へと送信する通信ハブ(例えば、Wi-Fiアクセスポイント)としての役割を果たす。もちろん、データ処理装置110は通信ハブとして機能することに限られず、記憶部(不図示)を有し、移動体100に備えられた各装置から受信したデータを一旦記憶し、適宜情報を加工(例えば、所定のフォーマットに変換する、他情報との紐づけを行う、不必要なデータを削除する、新たな情報を生成する、等)した上でサーバ200に送信してもよく、また、逆に外部からの情報を一旦記憶し、適宜加工した上で移動体100内の各装置へ送信することとしてもよい。
【0017】
加速度情報取得部113は、移動体100の加速度を取得するように構成される。加速度情報取得部113として例えば、圧電型加速度センサが挙げられるが、特に限定されず、周波数変化式、ピエゾ抵抗式、静電容量式といった任意の方式でよく、また、例えば後述する位置情報取得部114にて得られた位置情報から加速度を算出する方式であっても良い。
【0018】
位置情報取得部114は、例えば、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいてデータ処理装置110の位置情報(例えば、緯度経度情報)を所定間隔で取得する。すなわち、データ処理装置110が設置された移動体100の位置情報を取得することができる。しかしながら、位置情報取得部114はかかる構成に限定されず、任意の方式を適用してよい。例えば、道路脇に設置された路側機により発せられる位置情報を移動体100が近接した際に取得することとしてもよい。
【0019】
処理部115は、所定のプログラム(たとえば、マイコン内のメモリに記憶されたプログラム)を実行することによって、データ処理装置110の各機能を実現する。例えば、加速度情報取得部113により取得された加速度情報、及び位置情報取得部114により取得された位置情報に対し、取得時間に対応する時間情報を紐付け、外部のサーバへと第二通信部112を介して送信する制御を行う。また、移動体100に備えられた他の装置から第一通信部111を介して受信した情報を第二通信部112を介して外部のサーバ200へ送信する制御を行うとともに、外部より第二通信部112を介して受信した情報を、指定された装置へ送信する制御を行う。
【0020】
タイヤ情報取得装置120は、タイヤに関する情報(以下、タイヤ情報と呼ぶ)を取得するよう構成される。タイヤ情報取得装置120は、例えば、第一通信部121、タイヤ摩耗度検出部122、及び処理部123を備える。
第一通信部121は、データ処理装置110の第一通信部111と通信可能に構成され、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信方式を用いて第一通信部111と接続され、データ処理装置110に対して情報送信を行う。
タイヤ摩耗度検出部122は例えばタイヤの摩耗度合い(タイヤ摩耗情報)を検出し取得するセンサにより構成され、処理部123は取得したタイヤ摩耗情報をタイヤ情報の少なくとも一部として、第一通信部121を介しデータ処理装置110へ送信する制御を行う。データ処理装置110へ送信されたタイヤ情報は、その後外部のサーバ200に送信される。
なお、タイヤ情報取得装置120が取得するタイヤ情報はタイヤ摩耗情報に限られず、タイヤに関する任意の情報であってよい。例えば、タイヤ情報取得装置120はタイヤの空気圧情報を検出し取得するタイヤ空気圧検出情報検出部を備え、検出されたタイヤの空気圧情報を少なくとも含むタイヤ情報をデータ処理装置110へ送信することとしてもよい。
【0021】
車内情報取得装置130は、移動体100の車内情報を取得するよう構成される。車内情報取得装置130は、例えば、第一通信部131、車内温度検出部132、及び処理部133を備える。
第一通信部131は、データ処理装置110の第一通信部111と通信可能に構成され、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信方式を用いて第一通信部111と接続され、データ処理装置110に対して、またはデータ処理装置110を介してサーバ200に対して情報送信を行う。
車内温度検出部132は例えば乗務室の車内の温度(車内温度情報)を検出し取得するセンサにより構成され、処理部133は取得した車内温度情報を車内情報として、第一通信部131を介しデータ処理装置110へ送信する制御を行う。データ処理装置110へ送信された車内情報は、その後外部のサーバ200と送信される。
なお、車内情報取得装置130が取得する車内情報は車内温度情報に限られず、車内(移動体100内)に関する任意の情報であってよい。例えば、車内情報取得装置130は移動体100内の湿度や二酸化炭素濃度を検出し、検出されたこれら情報をデータ処理装置110経由でサーバ200へ送信することとしてもよい。また、車内の特定の部分(例えば、運転手の顔や乗車者全体の画像など)を撮影して得られる撮影データであってもよく、撮影データをサーバ200へ送信することとしてもよい。更には、移動体100の乗務室内の温度のほか、貨物室部分等、移動体100における任意の部分の温度等に関する情報を取得することとしてもよい。
【0022】
燃料情報取得装置140は、移動体100の燃料情報を取得するよう構成される。燃料情報取得装置140は、例えば、第一通信部141、燃料残量検出部142、及び処理部143を備える。
第一通信部141は、データ処理装置110の第一通信部111と通信可能に構成され、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信方式を用いて第一通信部111と接続され、データ処理装置110に対して、またはデータ処理装置110を介してサーバ200に対して情報送信を行う。
燃料残量検出部142は例えば移動体100の残燃料(残燃料情報)を検出し取得するセンサにより構成され、処理部143は取得した残燃料情報を燃料情報として、第一通信部141を介しデータ処理装置110へ送信する制御を行う。データ処理装置110へ送信された燃料情報は、その後外部のサーバ200に送信される。
なお、燃料情報取得装置140が取得する燃料情報は移動体100の残燃料情報に限られず、移動体100における燃料に関する任意の情報であってよい。また、移動体100が電気自動車またはハイブリッド車であれば、燃料情報取得装置140に代えて、または加えて、移動体100の充電情報を取得する充電情報取得装置が移動体100に備えられ、移動体100の残充電量情報(例えば、SOC)を検出し取得する残充電量情報検出部を備え、検出された残充電量情報を少なくとも含む充電情報をデータ処理装置110またはサーバ200へ送信することとしてもよい。
【0023】
通話装置150は、移動体100外と通話可能に構成される装置であり、また通話相手の確認や選択が可能となるよう、ユーザに対し情報を表示することが可能であるとともに、ユーザからの操作入力を受け付けることが可能に構成される。通話装置150は、限定ではなく例として、移動体100の乗車者が携帯する、スマートフォンやタブレット等に通話処理を行うプログラムをインストールしたものが挙げられる。
【0024】
図4は通話装置150の概略構成を説明するブロック図である。図4に示すように、通話装置150は、例えば、第一通信部151、音声入力部152、音声出力部153、表示部154、操作部155、処理部156、及び記憶部157を備える。
第一通信部151は、データ処理装置110の第一通信部111と通信可能に構成される。通信方式としては、イーサネットやUSB(Universal Serial Bus)等所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム) 等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
音声入力部152は、マイクロフォンやA/Dコンバータ等を有して構成される音声入力装置であり、処理部156へ入力される音声入力信号に基づいた各種の音入力を行う。
音声出力部153は、D/Aコンバータやスピーカ等を有して構成される音声出力装置であり、処理部156から出力される音声出力信号に基づいた各種の音出力を行う。
表示部154は、は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electro-luminescence Display)等を有して構成される表示装置であり、処理部156から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。
操作部155は、キーボードやマウス等の、ユーザーがサーバに対する各種の操作入力を行うための入力装置を有して構成される。操作部155からは、ユーザー操作に対応した操作信号が処理部156に出力される。
なお、操作部155は、表示部154と一体的に構成された不図示のタッチパネルを有し、このタッチパネルは、ユーザーと通話装置150との間の入力インターフェースとして機能するようにしてもよい。
処理部156は、記憶部157に記憶されたプログラムを起動することによって、通話装置150の各機能を実現するように構成される。処理部156は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせである。
記憶部157は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部157には、例えば、移動体100外の装置との通話を制御するプログラムやシステムプログラム等の各種プログラム、及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
なお、通話装置150は、移動体100の乗車者が携帯するスマートフォン等に特に限定されない。例えば、移動体100に固定的に備えられ、これら機能部を有するものであってもよい。第一の実施形態においては、通話装置150がスマートフォンである場合、または一部をヘッドアップディスプレイとして実現されている場合を想定して以下説明する。
【0025】
ここで、第一の実施形態においては、移動体100においてデータ処理装置110、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130、燃料情報取得装置140、および通話装置150が備えられる例を示したが、備えられる装置のパターンはこれらに限られない。
例えば、加速度情報や位置情報はデータ処理装置110において取得するのではなく、移動体100に備えられた別の装置により取得し、データ処理装置110を通じてサーバ200に送信されることとしてもよい。
また、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130、及び燃料情報取得装置140において取得される情報は、データ処理装置110において取得してもよいし、別の情報として取得された情報から、サーバ200又はデータ処理装置110において生成されることで取得することとしてもよい。例えば、加速度情報はデータ処理装置110において取得しなくてもよく、移動体100について取得された位置情報に基づいて、サーバ200またはデータ処理装置110において加速度情報を算出し取得してもよく、加えて速度情報を算出し取得することとしてもよい。
また、データ処理装置110と通話装置150は一体として構成されていてもよい。即ち、取得された移動体情報をサーバ200へ送信するための通信ハブ等として機能しつつ、移動体100外との通話を行うことができる装置であってもよい。
【0026】
以下、第一の実施形態におけるデータ処理装置110とサーバ200との間の通信について説明する。図5は、第一の実施形態における複数のデータ処理装置110とサーバ200との間の通信の説明図である。
【0027】
図5に示すように、複数の移動体100それぞれにおいて、データ処理装置110は、移動体100内の各装置およびデータ処理装置110自身から移動体情報を取得してサーバ200に送信する。そして、移動体100間の通信装置150による通話は、サーバ200により、またはサーバ200に記憶された情報を参照し通話装置150により制御される。
【0028】
図6は、サーバ200の構成を説明するブロック図である。サーバ200は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ200を構成することもできる。サーバ200は、図6に示すように、サーバ200は、例えば、記憶部201と、通信部202と、処理部203とを備える。
記憶部201は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部201には、例えば、通信装置150間の通話を制御するプログラム、運転スコア算出プログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、各データ処理装置110から受信した移動体情報、ユーザテーブル(後述)、グループテーブル(後述)、及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
通信部202は、装置内部で利用される情報を外部の情報処理装置との間でネットワークを介して送受信するための通信装置である。通信部202の通信方式としては、イーサネットやUSB(Universal Serial Bus)等所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム)等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
処理部203は、記憶部201に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってサーバ200の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。
【0029】
以下、第一の実施形態における通話装置150間の通話成立における処理を説明する。図7は、第一の実施形態における通話装置150間の通話成立処理のフローチャートである。なお、通話成立処理を行う前提として、通話装置150を用いて通話を行うユーザは、ユーザ登録を行っているものとする。このユーザ登録は、例えば、通話装置150の識別情報をサーバ200の記憶部201にあるユーザテーブルに記憶することにより行われ、例えば、ユーザが通話装置150に対し通話を制御するプログラムをインストールすることにより実現される。サーバ200または通話装置150は、ユーザテーブルを適宜参照することにより、登録されているユーザ間の通話を制御する。この通話の制御は、例えば、各ユーザの通話装置150において通話を制御するプログラムがユーザにより開始され、当該プログラムを通じて行われる。
【0030】
図7に示すように、まず、通話を開始すべく、ユーザは通話装置150を通じて通話相手を指定すべく、通話相手候補ユーザを抽出する(S1001)。具体的には、通話装置150はデータ処理装置110を通じてサーバ200に記憶されたユーザテーブルを参照し、通話相手候補ユーザを抽出して、抽出したユーザのユーザ名を表示部154に表示する。ユーザテーブルは、例えば図8に示すような構成からなり、ユーザ名、ユーザID、友達ユーザID、及び所属グループIDが互いに紐づけて記憶されている。
なお、ユーザテーブルはかかる構成に限定されず、任意の要素を追加してもよく、例えば、上記内容に加えて各ユーザに対応するアイコンや画像を登録することとしてもよい。
【0031】
ユーザ名は、ユーザが登録した自身の名称であり、例えば、通話の際、相手側に通話相手として表示される名称である。ユーザIDは各ユーザに付与された固有の識別子である。
【0032】
友達ユーザIDは、各ユーザについて友達ユーザとして登録されたユーザのユーザIDであり、友達ユーザとは、例えば、通話開始時に通話相手候補として選択可能なもの、または、優先的に選択可能とされるものである。
【0033】
所属グループIDは、ユーザが所属するグループの識別子を示すものであり、グループとは、複数のユーザを含んだ集団を指す。グループに所属していれば、例えば、そのグループ所属者間での通話(グループ通話)を行うことができる。各グループはグループテーブルによって管理されている。グループテーブルは、例えば図9に示すような構成からなり、グループ名、グループID、所属ユーザID、及びオープンチャンネルかどうかの別が互いに紐づけて記憶されている。
【0034】
グループ名は、そのグループの名称であり、例えば、グループ通話が行われている際には、その通話チャンネル名称として表示される名称である。
【0035】
所属ユーザIDは、各グループにおいて所属しているユーザのユーザIDである。
【0036】
グループがオープンかクローズか別は、グループがオープンである場合、どのユーザであっても任意に参加できるグループであることを意味する。逆に、グループがオープンでない(クローズである)場合は、そのグループに参加するためには所定の条件を満たすことが必要となることを意味する。所定の条件として、例えば、グループの所属者により参加が承認されたユーザであること、運転スコアが所定の条件を満たすユーザであること、などが挙げられる。
【0037】
なお、グループテーブルはかかる構成に限定されず、任意の要素を追加してもよく、例えば、上記内容に加えて各グループに対応するアイコンや画像、さらには各グループの説明文等を登録することとしてもよい。
【0038】
次に、抽出された通話相手候補ユーザについて、通話可能であるかどうかを判断する(S1003)。通話可能であるかどうかは、その時点において通話相手候補ユーザが所定の条件を満たしているかどうかに応じて判断する。そして、通話不可として検出された通話相手候補ユーザについては(S1003;N)、表示部154において選択不可な態様、すなわち、ユーザによる選択操作を受け付けない態様で表示される(S1004)。一方で、通話可能であるとして検出された通話相手候補ユーザについては(S1003;Y)、表示部154において選択可能な態様で表示される(S1005)。
【0039】
ここで、所定の条件とは、例えば以下に挙げるものの少なくとも1つである。さらには、これらを適宜組み合わせた条件としてもよい。
・その通話相手候補ユーザが、自身の通話装置150において通話することを意図していない状態(例えば、「busy」)ではないこと
・その通話相手候補ユーザが、自身の通話装置150において通話処理と連動するスケジュール情報において何らかのイベントを設定していないこと
・その通話相手候補ユーザが運転する移動体100の速度が所定値以下であること
・その通話相手候補ユーザについて算出された総合運転スコア(領域を限定せずに算出した運転スコア)が所定値以上であること
・その通話相手候補ユーザが過去一定期間(例えば、過去2時間)において危険運転(例えば、急加減速、急ハンドル等)を行っていないこと
・その通話相手候補ユーザの位置情報に対応する領域における運転スコアが所定値以上であること
・その通話相手候補ユーザが運転する移動体100が自動運転状態または半自動運転状態にある(例えば、所定の自動運転レベルにある)こと
また、この所定の条件は、移動体100の管理者などの人物や、機械学習によって得られた判別器等により設定され、また状況に応じて変更可能であることが好ましい。
【0040】
そして、通話装置150は、通話相手候補ユーザであって通話可能として検出されたユーザのうち、通話相手を選択するユーザ入力を受け付ける(S1007)。この際、選択するユーザは1または複数のいずれかでもよい。または、グループ通話を開始すべく、グループを選択するユーザ入力であってもよい。グループを選択するユーザ入力である場合、そのグループに含まれるユーザのうち少なくとも所定人数(例えば、1名)が通話可能であれば選択可能とすることが好ましい。その後、通話装置150は選択されたユーザのユーザIDまたはグループIDをサーバ200に送信し(S1009)、サーバ200は、その通話装置150と、受信したユーザIDまたはグループIDに対応する通話装置150との通信接続を許可する(S1011)。
【0041】
ここで、通話可能であるかどうかの判断を運転スコアに応じて行なっていることに関連し、移動体情報に基づく運転スコアの算出、及び運転スコアに応じての通話制御を行うことにつき以下に詳細を説明する。
【0042】
[移動体情報に基づく運転スコアの算出]
上述したように、データ処理装置110は、各機能部(例えば、加速度情報取得部113や位置情報取得部114)によって取得した加速度情報および位置情報を、サーバ200へ送信する。これら情報は、所定の周期(例えば、加速度情報は0.2秒、位置情報は1.0秒)で取得され、取得した時間に関する情報(以下、タイムスタンプという)と紐づけられて、サーバへ送信される。更に、移動体100内に備えられた各装置(例えば、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130及び燃料情報取得装置140)において、それぞれタイヤ情報、車内情報及び燃料情報が取得され、これら取得された情報は、データ処理装置110経由でサーバ200へ送信される。これら情報も、所定の周期(例えば、タイヤ情報は10.0秒、車内情報は5.0秒、燃料情報は15.0秒)で取得され、同様にタイムスタンプと紐づけられて、都度送信されてもよいし、各装置において蓄積された後、所定のトリガー(例えば、5分毎、エンジンストップ毎など)に基づいて送信されてもよい。
このように移動体100について取得された情報を移動体情報と呼ぶ。
【0043】
送信されたこれら移動体情報はサーバ200の記憶部201へ蓄積される。移動体情報の蓄積にあたっては、どの移動体100またはどの装置によって取得されたかを区別するための識別情報、例えば、送信元であるデータ処理装置110または移動体100、もしくは各装置の識別情報と紐付けて蓄積される。識別情報としては、例えば、データ処理装置110の第二通信部112のMACアドレスなどが挙げられるが、移動体100、データ処理装置110、移動体100に備えられた各装置またはユーザを識別可能なものであれば特に限定されない。また、これらのうちの一つの識別情報と紐づけるのではなく、複数の識別情報と紐づけることとしてもよい。
または、移動体情報がサーバ200へ送信される際、タイムスタンプとともに各装置の識別情報を紐付けて送信することとしてもよい。この場合、各装置の識別情報とデータ処理装置110または移動体100、もしくは各装置の識別情報とを紐付けたテーブルが記憶部201に参照可能に記憶されることが好ましい。
【0044】
サーバ200の処理部203は、蓄積された移動体情報を参照し、運転スコア算出の対象となる移動体100に対応する移動体情報を特定する。またこの際、例えば、期間や領域など、運転スコア算出のための条件が別途設定されている場合は、タイムスタンプや位置情報を用いて対応する移動体情報を特定する。このようにして特定した移動体情報を、記憶部201に記憶された運転スコア算出プログラムを用いて処理し、その出力として運転スコアを得る。
【0045】
運転スコアは、例えば、走行品質をスコア化したものが挙げられる。具体例として、スカラ値が大きい加速度が測定されると運転スコアが低下する傾向を持つロジックなどが挙げられるが、そのロジック内容は特に限定されず、任意の移動体情報を用いたロジックが適用可能である。
【0046】
第一の実施形態において、運転スコアは、例えば0から100までの間の整数値として出力されるものとし、値が大きいほど運転品質が良いことを意味するものとする。もちろん、運転スコアはかかる形態には限定されず、任意に設定された範囲において任意の数集合に基づいて出力されるものとしてよく、また値が小さいほど運転品質が良いことを意味してもよい。また、算出される運転スコアは一次元に限定されず、任意の複数の要素に応じた複数次元の出力値であってもよい。
【0047】
[運転スコアに応じての通話制御]
以下、第一の実施形態における通話装置150間の通話制御を行う処理を説明する。図10は、第一の実施形態における通話装置150間の通話制御処理のフローチャートである。本処理の前提として、図7に示す通話成立処理が既に行われ、通話装置150間で既に通話が成立している(S1011)ものとする。また、以下説明において、この通話は移動体100を運転するユーザAを少なくとも含んで行われているものとし、ユーザAの運転スコアに応じてユーザAの保有する通話装置150における通話制御がなされるものとする。
【0048】
図10に示すように、サーバ200の処理部203は、ユーザAが運転する移動体100の移動体情報に基づいて(例えば、過去所定期間の移動体情報に含まれる位置情報及び加速度情報に基づいて)、ユーザAが位置する領域に隣接する周辺領域におけるユーザAの運転スコアを算出する(S1021)。
【0049】
処理部203は、領域ごとに算出されたユーザAの運転スコアの全てが、所定の条件を満たしているかどうかを判断する(S1023)。所定の条件として、限定ではなく例として、運転スコアが所定の閾値以上であるか(例えば、閾値を70点として、それぞれの領域における運転スコアが70点以上であるか)などが挙げられる。周辺領域全てにおける運転スコアが所定の条件を満たしている場合(S1023;Y)は、ステップS1021の実施から所定時間(例えば、5分間)経過後または所定走行距離(例えば、5km)の運転実施後(S1029)に、ステップS1021に戻り、本通話制御処理を繰り返す。
【0050】
所定の条件を満たしていない運転スコアがある場合、例えば、運転スコアが70点を下回る領域がある場合(S1023;N)は、所定の条件を満たしていない領域(以下、領域Zとする)に進入すると、通話が切断される旨を通話装置150の表示部154に表示して、ユーザAに通知する(S1024)。
【0051】
その後、移動体100が領域Zに進入したかどうかについて、移動体情報に含まれる位置情報に基づき判断される(S1025)。移動体100が領域Zに進入したと判断された場合(S1025;Y)、通話装置150はユーザAによる通話を切断する(S1027)。領域Zに進入していないと判断された場合(S1025;N)、領域Zから所定距離以上離れたかどうかが判断され(S1026)、所定距離以上離れたと判断された場合(S1026;Y)は、ステップS1029の処理へ進む。逆に、離れていないと判断された場合(S1026;N)は、ステップS1025に戻り領域Zに進入したかどうかの判断を繰り返す。
【0052】
ここで、ステップS1021においては、周辺領域での運転スコアを算出することになっているが、周辺領域に対応する運転スコアを過去の所定期間(例えば、1週間)以内に算出したことがある場合は、それら算出済みのスコアをサーバ200の記憶部201に所定期間(例えば、1週間)記憶しておき、既に算出した運転スコアを適宜参照することで、再度の算出を省略してもよい。すなわち、算出した運転スコアはサーバ200の記憶部201に所定期間キャッシュとして記憶し参照可能としてもよい。ただし、算出された運転スコアと、算出した日時を紐づけて記憶しておき、算出した日時が所定期間(例えば、1ヶ月)以上古い場合は、キャッシュの存在に関係なく、新たに運転スコアを算出して、最新の運転スコアを参照することが好ましい。
【0053】
また、ステップS1024における通知は、表示部154への表示によるものに限られない。例えば、音声出力部153から切断される旨のアナウンス音声を出力する、移動体100の運転ハンドルや運転席を振動させることにより通知する等としてもよく、その形態は特に限定されない。
【0054】
また、領域とは、例えば市街地、山道、高速道路といった別で区別されるものでもよいし、市町村などの別で区別されるものでもよく、領域のあり方は特に限定されない。例えば、ユーザAが運転する移動体100がP町に位置し、その移動体100の位置から所定距離内(例えば、10km以内)にある領域がQ市及びR町である場合は、ユーザAのQ市及びR町における過去所定期間の運転スコアを算出する。更には、道路の性質や地理上の名称などによる区別に限られず、所定の大きさ、例えば、10キロ四方で区切られた領域による区別としてもよい。
【0055】
また、過去の運転における移動体情報に基づいた運転スコアに応じて通話制御をすることとしているが、運転スコアを算出するために十分な移動体情報が蓄積されていない領域の場合は、十分な移動体情報が蓄積されるまで一律に通話禁止とするか、逆に一律に通話を許可することとしてもよい。更には、基準とすべき運転スコアを別途設定してもよく、例えば、そのユーザによる他の領域の運転スコアや、領域を限定しないでユーザによる運転内容から算出される総合の運転スコアに基づいて、通話を許可するか禁止するかを判断してもよい。
【0056】
また、通話を許可または禁止することについての判断基準は、通話者であるユーザの運転スコアに限られず、他の移動体による移動体情報も含めて算出される運転スコア(以降、一般運転スコアと呼ぶ)を含めて判断することとしてもよい。すなわち、対象となる領域において、ユーザAによる運転品質、及び他のユーザによる運転品質の少なくとも一つを考慮して判断することとしてもよい。
【0057】
また、通話切断後の一定期間(例えば、5分)以内に領域Zから離れ、通話が許可される運転スコアを有している領域に進入したと判断された場合、通話を再開するように制御してもよい。この場合、短時間のうちに領域Zから離れる見込みである(即ち、領域Zから所定距離内となった等)と判断された際、または領域Zから離れたと判断された際に、表示部154に通話を再開する旨を表示する等、何らかの通知をユーザAに行うことが好ましい。
【0058】
以下、通話成立処理、通話制御処理、及び通話再開処理において通話装置150の表示部154に表示されるインターフェースについて説明する。
【0059】
図11は、通話成立処理において表示部154に表示されるインターフェースの一例である。
図11に示すように、インターフェースは領域9501、9502、9503及び9504を含んで構成されている。
【0060】
領域9501は、通話装置150を使用するユーザ情報を示すものであり、ユーザ名として氏名、及びユーザに対応するアイコンが表示されている。ユーザ名としてはユーザテーブルに登録されているユーザ名をそのまま使用してもよく、または、通話装置150を使用するユーザが適宜設定してもよい。例えば、ニックネーム等を使用することも可能である。アイコンについても同様に、ユーザテーブルに登録された画像を用いてもよいし、通話装置150を使用するユーザが適宜設定してもよい。
【0061】
領域9502は、ユーザの業務に関する情報を表示したものである。左側はメール等による業務通知の有無を示し、新着の通知が3件あることを示している。この左側の領域をタップする等の選択操作をすることにより、通知内容を確認することができる。また、右側は現時点での直近のスケジュールに関する内容とそのスケジュールまでの時間を示している。
【0062】
領域9503は、通話状態を示すものである。現時点では、アイコンによって示される3名、その他の3名、及びユーザ自身と合わせ計7名をメンバーとするグループ通話を3時間行なっていることを示している。なお、ユーザの通話が制御されている状態(例えば、運転している領域において運転スコアが所定条件を満たさない、等)であるときは、制御状態に関する情報を表示することとしてもよい。
【0063】
領域9504は、通話装置150において通話が許可されている相手のユーザ及びそのユーザステータスを表示するものである。左側は相手のユーザのアイコン及びユーザ名が表示されており、右側はユーザステータスが表示されている。
【0064】
ユーザステータスは、ユーザに関する状況、および通話が可能かどうかを示すものである。例えば、「Driving」と太字で記載されているものは、その時点においてユーザが移動体を運転中であり、かつ自身の通話装置150にて通話可能であることを示す。また、「Driving [通話不許可]」と記載されているものは、その時点においてそのユーザが移動体を運転中であり、かつ自身の通話装置150での通話が許可されていないことを示す。ここで、通話が許可されていないとは、例えば、通話制御処理によって、運転している領域において運転スコアが所定の条件を満たしておらず、通話が切断されている状態や、移動体100の管理者などにより、そのユーザが通話を許可しない(例えば、市街地においては通話を許可しない)として設定されている状態であるなど、ユーザ自身の意図にかかわらず、通話ができない状態をいう。また、「Driving [Busy]」と記載されているものは、その時点においてそのユーザが移動体を運転中であるが、ユーザが通話装置150にて通話することを意図していない状態であることを示す。ここで、通話することを意図していない状態であるとは、例えば、ユーザが操作部155を通じて通話装置150に対して通話不可であると設定した状態や、通話装置150上で設定され記憶部157(またはサーバ200の記憶部203)に記憶されたユーザのスケジュールにおいて、イベント(例えば、配送業務の予定時間である等)が発生している時間に該当するなど、ユーザ自身の意図により通話をしないよう設定がなされた状態をいう。また、「No Driving」と太字で記載されているものは、その時点においてユーザが移動体を運転しておらず、かつユーザの通話装置150または同じユーザのアカウントに紐づけられた機器(例えば、オフィス内のPCなど)を通じて通話可能であることを示す。
【0065】
図11には記載されていないが、その他のパターンとして、例えば、「No Driving [Busy]」と記載されているものは、その時点においてそのユーザが移動体を運転しておらず、かつ通話することを意図していない状態であることを示す。同様に、「No Driving [通話不許可]」と記載されているものは、その時点においてそのユーザが移動体を運転しておらず、かつ通話が許可されていないことを示す。
【0066】
次に、通話制御処理において表示部154に表示されるインターフェースについて説明する。図12は、通話制御処理において表示部154に表示されるインターフェースの一例である。
図12に示すインターフェースは、図11と同様に、領域9501、9502、9503及び9504を含んで構成されている。なお、領域9503を除いた各領域については、通話成立処理における各領域と示す情報が同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
ステップS1023において所定条件を満たしていない運転スコアがあった場合(S1023;N)、すなわち、領域Zが存在する場合は、図12に示すように、ユーザに通話が切断される旨を通知すべく(S1024)、通話装置150の処理部156は領域9503にその旨を表示させるよう表示部154を制御する。この際、サーバ200または通話装置150は、領域Zまでの距離(地図上の物理的距離でもよいが、移動体が移動可能な経路上の最短距離が好ましい)及びその方向をその時点の位置情報に基づいて算出し、その距離情報及び方向情報も含めて領域9503に表示することが好ましい。
【0068】
次に、通話再開処理において表示部154に表示されるインターフェースについて説明する。図13は、通話再開処理において表示部154に表示されるインターフェースの一例である。
図13に示すインターフェースは、図11と同様に、領域9501、9502、9503及び9504を含んで構成されている。なお、領域9503を除いた各領域については、通話成立処理における各領域と示す情報が同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
上述したように、ステップS1027において通話が切断された後所定期間以内に、サーバ200によって移動体100が領域Zから離れ、かつ所定の条件を満たす領域に進入したと判断された場合は、ステップS1027まで行われていた通話を自動的に再開することとしてもよい。この際、通話を再開可能な残り時間をユーザに通知するため、図13に示すように、通話装置150は、通話が切断中である旨を領域9503に表示するほか、通話が切断されてからの時間をカウントし、自動的に通話が再開可能な時間に対する残り時間に関する情報を領域9503に表示する。
【0070】
上述の説明においては、通話装置150がスマートフォンであるとしたが、例えば、通話装置150の表示部154は、移動体100において運転席の正面等に設置されているインストルメントパネルの少なくとも一部として実現されていてもよいし、またはヘッドアップディスプレイとして実現されたものであってもよく、その形態は特に限定されない。ここで、ヘッドアップディスプレイとは、ウインドシールドやコンバイナに画像や映像を投影させ、移動体の乗員に視認させることができるものである。以下、通話装置150においてヘッドアップディスプレイ機能を利用した場合のインターフェースの例について説明する。
【0071】
図14は、ヘッドアップディスプレイ機能を備えた通話装置150の表示部154により表示されるインターフェースの一例である。
図14に示すインターフェースは、領域9502及び9503を含んで構成されている。
【0072】
領域3502は、図11等における領域9502と同様に、ユーザの業務に関する情報を表示したものである。しかしながら、図14に示す例では、ヘッドアップディスプレイの性質上、運転者の移動体外に対する視界をできるだけ阻害しないよう、表示する情報を簡略化し、領域9502における右側の部分のみ、すなわち、現時点での直近のスケジュールとそのスケジュールまでの時間を示している。
【0073】
領域3503は、図11等における領域9503と同様に、通話状態を示すものである。領域3503も領域3502の場合と同様に、ヘッドアップディスプレイの性質上、運転者の外に対する視界をできるだけ阻害しないよう表示する情報を省略されていることが好ましい。
【0074】
また、通話装置150の表示部154をヘッドアップディスプレイ機能で実現する場合、例えば、音声入力部152、音声出力部153及び操作部155を適宜ヘッドアップディスプレイ機能に対応させた構成とすることが好ましい。図14に示す例では、音声入力部152として運転ハンドル中心にマイクが備えられ、音声出力部153として運転席左右(例えば、ドア部分)にスピーカーが備えられ、及び、操作部155として運転ハンドル外縁の左右にボタンが備えられている。
このように構成することで、運転者による視界及び操作を大きく阻害することなく、通話及び通話に関する操作を行わせることができる。
【0075】
なお、操作部155は音声入力部152と一体として構成されていてもよい。すなわち、音声入力により操作を可能としてもよい。例えば、音声認識により、通話相手や通話チャンネルの選択、通話の切断などを行うこととしてもよい。
【0076】
以下、本発明に係る第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、移動体に乗車しつつ通話装置により通話する通話者が複数存在し、運転者の他に非運転者も通話者である場合の処理である。
【0077】
第二の実施形態の概要について説明する。図15は、通話する人物である運転者及び非運転者が乗車する車両である移動体300に備えられた各部の概略構成を示す図である。
図15に示される移動体300には、データ処理装置310、タイヤ情報取得装置320、車内情報取得装置330、燃料情報取得装置340、並びに通話装置350が備えられている。
【0078】
データ処理装置310、タイヤ情報取得装置320、車内情報取得装置330、及び燃料情報取得装置340は、第一の実施形態におけるデータ処理装置110、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130、及び燃料情報取得装置140と構成は同様であるので、その説明を割愛する。
【0079】
通話装置350は、第一の実施形態における通話装置150と同様の構成である。なお、移動体300には少なくとも2つの通話装置350が備えられていることとし、一つを通話装置350A、もう一つを通話装置350Bと呼ぶこととする。ここで、通話装置350Aは、移動体300に乗車している運転者が使用し、通話装置350Bは移動体300に乗車している非運転者が使用するものとする。
【0080】
以下、第一の実施形態との差異となる、第二の実施形態における通話装置350での通話制御処理について説明する。なお、第二の実施形態における通話成立処理および通話再開処理についての第一の実施形態と同様であり、その説明については省略する。
【0081】
図16は、第二の実施形態における通話制御処理のフローチャートである。図16に示すように、まず、通話装置350によって通話するユーザが運転者か否かを特定する(S2021)。運転者か否かを特定する方法としては、限定ではなく例として、ユーザが移動体300に乗車する際に、運転者かそうでないかについて、ユーザが通話装置350にインストールされた通話処理を行うプログラム(アプリケーション)にその旨を入力することで、当該通話処理プログラムによりサーバ200の記憶部201に記憶されている運転者テーブルに登録される。また、ユーザが移動体300から降車するときには、ユーザが通話処理プログラム経由で降車する旨を登録する(運転手である登録を解除する)ことが好ましい。
【0082】
無論、特定方法は上記の方法に限定されない。例えば、移動体300に複数のユーザが乗車している場合であって、そのうちの一ユーザが運転者であると通話処理プログラムを通じて登録をした場合は、同じ移動体300に乗車している他ユーザは自動的に非運転者として登録されることとしてもよい。またこの際、移動体300にユーザが乗車しているかどうかの判別は、移動体300に備えられたデータ処理装置310の位置情報取得部によって取得された位置情報と、通話装置350に備えられた位置情報取得部(不図示)によって取得された位置情報とが略同一である場合に乗車していると判断してもよいし、または、通話装置350においてデータ処理装置310との接続情報があらかじめ記憶されていて(通話装置350に、データ処理装置310との接続に関する情報、例えば、アクセスポイント名とパスワードの組が登録されている)、通話装置350において対応する接続がなされたことをもって、通話処理プログラムが起動され、ユーザに運転者かどうかの登録を促すこととてもよい。
【0083】
更には、通話装置350が移動体300と一体として備えられている場合などにおいては、エンジン起動時などにおいて運転者認証(例えば、顔認証、指紋認証など)を行い、それによって運転者を認識することで、運転者登録を行ってもよい。
【0084】
また、移動体300における運転が終了されたと判断したり(例えば、位置情報の変位に基づき判断する)、ユーザが通話処理プログラムを終了したり、ユーザが運転者ではなくなったことを通話処理プログラム経由で登録したり、非運転者であるユーザが運転者登録を行う等によって、ユーザが運転者である旨の登録が解除されることとしてもよい。この場合、サーバ20の記憶部201における運転者テーブルから、ユーザが運転者である旨の情報を削除する。
【0085】
ステップS2021において、ユーザが運転者であると判断されたとき(S2021;Y)、すなわち、ユーザが通話装置350Aを使用していると判断されたときは、第一の実施形態における通話制御処理のステップS1023以降と同様の処理を行う。ユーザが非運転者であると判断されたとき(S2021;N)、すなわち、ユーザが通話装置350Bを使用していると判断されたときは、同一の移動体300において運転者と登録されているユーザがその時点で通話装置350Aを用いて通話中かどうかを判断する(S2023)。運転者であるユーザが通話中である場合(S2023;Y)は、ステップS2025に進む。運転者であるユーザが通話中でない場合(S2023;N)は、一定期間経過後に改めてステップS2023の処理を行う。
【0086】
ステップS2025においては、通話装置350Bにおける通話と、運転者であるユーザによる通話装置350Aにおける通話とが、同一チャンネルで行われているかどうかが判断される。同一チャンネルで通話されているとは、例えば、お互いに通話相手であること、または、同じグループチャンネルで通話していることを意味する。ここで、同一チャンネルで通話されている場合(S2025;Y)は、通話装置350Aと通話装置350Bとの音声入力部及び音声出力部の少なくとも一つを共通化する(S2026)。すなわち、例えば、通話装置350A及び通話装置350Bの少なくとも一方の音声入力部の機能を無効化(実質的な無効化、例えば、集音機能をかなり低下させる等を含む)し、別の一方の音声入力部を中心として運転手及び非運転手両方の音声を入力することとする、及び/又は通話装置350A及び通話装置350Bの少なくとも一方の音声出力部の機能を無効化(実質的な無効化、例えば、出力ボリュームをかなり小さくする等を含む)し、別の一方の音声出力部を中心として音声出力することとする。このようにすることで、移動体300内で複数の音声出力部から同じ音声が異なるタイミングで出力されることや、同乗者が話している内容が直接聞こえながら、音声出力部から遅れて同様の音声が出力され聞こえてしまうなどによる通話の混乱化を回避することができる。
【0087】
なお、無効化(実質的な無効化を含む。以下同じ。)対象となる音声入力部及び/又は音声出力部は、通話装置350B側のものであることが好ましい。これは、運転者が使用している通話装置350Aの機能が突然に切り替わってしまうことにより、運転手による運転操作に悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0088】
ステップS2025において、同一チャンネルでは通話していない場合(S2025;N)は、通話装置350Bにおいて、ヘッドセットを着用することを推奨する旨の通知が表示部等を介して行われる(S2027)。これは、異なるチャンネルでの通話が同一の移動体300内で発生していることから、運転者及び非運転者の少なくとも一方が、他チャンネルの通話を意図せず聞いてしまい、混乱する状況を回避することができる。
ここで、ヘッドセットとは、頭部に装着するための、音声入力部と音声出力部を有する装置であり、通話装置350に接続することで、通話装置350の音声入力部および音声出力部に代わって機能するものである。通常、ヘッドセットは、着用した人物にのみ音声が聞こえるよう、ヘッドセットの近傍のみにおいて出力された音声が聞こえるような構造となっており、また、着用した人物からの音声のみを拾うよう、ヘッドセットの近傍のみにおいて発せられた音声を集音するような構造となっている。
【0089】
ステップS2027において、ヘッドセット着用を推奨する旨の通知がなされるとしたが、推奨されるものはヘッドセットの着用に限られない。ヘッドセット着用を推奨する意図は、音声出力の観点では、異なるチャンネルの音声が同一移動体内で混在して出力されることにより通話に混乱が生じてしまうことを回避するためである。従って、通話装置350Bの音声出力部の代替として機能するものであって、音声出力を使用者の近傍(特に耳の近傍)に集中させて出力することが可能な音声出力装置(例えば、イヤホン、ヘッドホン)の使用であれば特に限定されない。なお、非運転者の耳(外耳道)を塞ぐ形態で装着できるものであることが望ましい。または、通話装置350A及び通話装置350Bの両方の音声出力部のボリュームに上限を設定する(例えば、出力音声が半径1mの範囲を超えると50dBを下回るレベルを上限とする、など)こととしてもよい。
また、音声入力の観点では、異なるチャンネルに対して意図しない通話者(運転者又は非運転者)の音声が入力されてしまうことにより通話に混乱が生じてしまうことを回避するためである。従って、通話装置350Bの音声入力部の代替として機能する音声入力装置であって使用者の近傍(特に口の近傍)での集音が可能な音声入力装置の使用であれば特に限定されない。なお、音声入力装置近傍の音声を高感度に集音できる指向特性を有する音声入力装置(例えば、ヘッドマイク、ピンマイク等)であることが好ましい。
即ち、ヘッドセット着用を推奨する旨、音声出力を使用者の近傍に集中させて出力することが可能な音声出力装置の使用を推奨する旨、及び、使用者の近傍での集音が可能な音声入力装置の使用を推奨する旨の少なくとも一つを通知することとしてもよい。
【0090】
ここで、ステップS2027において、通話装置350B側にヘッドセット着用を推奨する旨の通知がなされることにつき説明したが、ヘッドセット着用を推奨する旨の通知は通話装置350A側になされてももちろんよい。または、通話装置350A及び通話装置350Bの両方に通知をすることとしてもよい。
【0091】
ステップS2026又はステップS2027の処理が終了したら、一定時間経過後、ステップS2023に戻って再度以降の処理が行われる。
【0092】
[変形例]
上述の実施形態の変形例について説明する。
【0093】
上述の実施形態の説明では、ユーザが通話の制御に係るプログラムを通話装置にて開始させることにより、通話処理に係るアプリケーションが起動されることとしているが、これに限られない。例えば、通話装置の記憶部にデータ処理装置のネットワーク情報(例えば、Wi-Fiのホスト名およびパスワード)を予め記憶しておき、通話装置が記憶されたネットワーク情報に対応する情報を探知したら、ネットワーク接続を行うとともに、通話処理に係るアプリケーションが自動的に起動される、または起動をユーザに促すこととしてもよい。または、通話装置が移動体に固定的に備えられている場合は、移動体の起動(例えば、エンジンのスタート)をもって、通話処理に係るアプリケーションが起動されることとしてもよい。
【0094】
上述の実施形態の説明では、通話の制御に係る判断および処理を主にサーバ200にて行うこととして説明しているが、これに限られない。例えば、通話の制御に係る判断はサーバ200の処理部203にて行いつつ、対応する処理(例えば、通話の接続、通話の切断、通話の再開等)は、サーバ200の処理部203から送付されたトリガー情報を受けて、処理対象となる通話装置の処理部156が行ってもよいし、通話の制御に係る判断及び処理は、サーバ200の記憶部201に格納された情報を参照しつつ、通話装置の処理部156が行うこととしてもよい。または、サーバ200の記憶部201に格納された情報を参照しつつ、通話装置の処理部156と、通話の制御が行われる対象となる通話装置の通話相手の通話装置の処理部とが協働して、通話の制御を行うこととしてもよいし、ユーザの通話相手の通話装置の処理部がユーザによる通話の制御を行うこととしてもよい。
なお、個々の通話装置にて通話の制御を行う場合は、制御を行った後に、そのログ情報をサーバ200の記憶部201等に記憶しておくことが好ましい。
【0095】
上述の第二の実施形態の説明では、運転者かどうかの判断は、ユーザにより入力された情報に基づいて行うこととしているが、これに限られない。例えば、移動体についての過去の運転者履歴から推測してもよい。具体的には、例えば、ステップS2021の実行前の所定の期間以内に運転者であったユーザが再度移動体に乗車し通話処理アプリケーションを起動した場合、そのユーザが運転者であると決定してもよく、または運転者であると推定しユーザに確認させることとしてもよい。または、移動体に係る車両保険情報(移動体に関する車両保険を適用可能なユーザ情報を含む)をサーバに登録しておき、あるユーザが移動体に乗車し通話処理アプリケーションを起動した場合、車両保険情報を参照してそのユーザが車両保険を適用可能なユーザであった場合は、そのユーザを運転者であると決定してもよく、または運転者であると推定しユーザに確認させることとしてもよい。なお、車両保険情報と合致しないユーザを運転者であると入力した場合は、警告として、例えば当該ユーザの通話装置350Aの表示部に警告に関する表示、または音声出力部から警告に関するアナウンスを出力することとしてもよい。
【0096】
上述の第二の実施形態の説明では、ステップS2027において、運転者と非運転者の通話チャンネルが異なる場合にはヘッドセット着用を非運転者側に推奨する通知を行うこととしているが、同様の背景から、運転者と非運転者の両方が通話しており、かつ非運転者側がヘッドセットを着用している場合において、その着用するヘッドセットの接続が通話装置から外れたことが探知された場合には、非運転者による通話を切断したり、または通話を維持しつつ、音声入力及び音声出力の少なくとも一方を無効化したりすることとしてもよい。こうすることで、ハウリングの発生回避、または、通話が混在することの回避といった効果を奏する。さらには、ヘッドセットが外れたことについて通話相手側にその旨を通知することが好ましい。
【0097】
また、通話装置がスマートフォンである等、移動体とは固定的に備えられていない場合には、表示部による通知や、操作部における操作において、ユーザが非運転者であれば、表示部による通知、操作部における手動操作を許可することとし、ユーザが運転者であれば手動操作を禁止することが好ましい。また、ユーザが運転者である場合、操作部における操作は、音声入力部と連動しての音声入力のみ許可することとしてもよい。更には、例えば、駐車して所定時間(例えば、20秒)経過しないと手動操作を許可しないこととしてもよい。
【0098】
上述の実施形態の説明では、ユーザ自身の運転状況に応じて通話の制御がなされ、その制御に関する内容が通話装置の表示部に表示されることとしているが、表示される内容はこれに限られない。例えば、通話相手であるユーザの運転状況に応じた通話の状況が表示部に表示されることとしてもよい。例えば、あるユーザがステップS1023において所定条件を満たしていない(S1023;N)と判定された場合に、そのユーザの通話相手であるユーザの通話装置の表示部に、そのユーザが近く通話ができなくなる状況にある旨を表示することとしてもよい。
【0099】
上述の実施形態の説明では、移動体に備えられた各装置から取得したデータを一旦サーバに送信し、サーバ上のデータを参照して制御を行うこととしているが、制御方法はこれに限られない。例えば、通話装置はデータ処理装置において取得された加速度情報及び位置情報をデータ処理装置から取得し、それら取得した加速度情報及び位置情報の少なくとも一つに基づいて、通話の制御を行ってもよい。この場合、通話の制御として、例えば、所定値よりも大きな加速度が発生したと判断された場合は、通話を切断または一時中断するよう制御してもよく、また、通話相手に対し、大きな加速度が発生した旨や、危険運転が行われた旨などの通知が行われることとしてもよい。
【0100】
上述の実施形態の説明では、領域ごとに運転スコアを算出して、算出された運転スコアに基づいて通話の制御を行う例を示したが、領域ごとに区別すること限られず、任意のカテゴリについて区別することとしてもよい。例えば、天気や時間帯といった性質に応じて通話の制御を行うこととしてもよい。具体例として、天気においては、例えば、晴れ、曇り、雨のそれぞれの天気の種類に応じて運転スコアを算出し、天気予報などから天気の変化を推測して、または実際の天気の変化に応じて、通話を制御することとし、時間帯においては、例えば、早朝、昼間、夕方、夜間のそれぞれの時間帯に応じて運転スコアを算出し、時間の変化に応じて通話を制御することとしてもよい。もちろん、これらのカテゴリを組み合わせて通話を制御することとしてもよい。
【0101】
上述の実施形態の説明では、ユーザは通話装置によって一つの通話チャンネルを通じての通話を実施する例を挙げたが、これに限られず、複数の通話チャンネルを重畳させることとしてもよい。例えば、友達ユーザと通話を双方向に行う通話チャンネルに参加しつつ、同時に、他の通話チャンネルと重畳する形態としてもよい。例えば、音楽や交通情報等を伝える通話チャンネルを友達ユーザとの通話チャンネルと重畳して音声出力することとしてもよい。この場合、音楽や交通情報等を伝える通話チャンネルに係る制御と、友達ユーザとの通話チャンネルの通話に係る制御は、異なる条件に基づいて行うこととしてもよい。例えば、通話が切断される条件において、対応する運転スコアの閾値を異ならせることにより、友達ユーザとの通話チャンネルは制御されつつ、音楽や交通情報等を伝える通話チャンネルはそのまま音声出力されるという状況となってもよい。
【0102】
従って、上述の実施形態の説明では、ステップS2025において、通話装置350Aの通話における通話チャンネルと通話装置350Bの通話における通話チャンネルが同一であるか否かが判断されることとしているが、これに限られず、通話装置350Bの通話における通話チャンネルが、通話装置350Aの通話における複数ある通話チャンネルに含まれる場合も、同様にステップS2026における処理を行うこととしてもよい。
【0103】
なお、音楽や交通情報等を伝える通話チャンネルの例の一つとして、運転する領域に関するコマーシャルを伝える通話チャンネルがあってもよい。このコマーシャル通話チャンネルは、例えば、移動体の位置情報に応じたコマーシャルを伝えるものである。また、この通話チャンネルを友達として登録したり、一定時間聴取したりすることで、メリット(例えば、クーポンの配布、対価性を有するポイントの付与など)をユーザに供与することとしてもよい。また、コマーシャル通話チャンネルによる情報の通達は音声に限られず、通話装置の表示部に表示されるものであってもよい。
【0104】
上述の第二の実施形態の説明では、通話装置の使用者が非運転者であると特定され、非運転者が使用する通話装置による通話における通話チャンネルと、運転者が使用する通話装置の通話におけるチャンネルとが同一である場合に、どちらかの音声入力部及び/又は音声出力部の機能を無効化することについて述べたが、使用者が運転者及び非運転者として区別されている場合に限られない。例えば、移動体に乗車する非運転者が二人おり、その両方が通話装置によってそれぞれ通話を行なっている場合に適用してもよい。この場合、無効化される対象となる音声入力部及び/又は音声出力部を有する通話装置はどちらが使用するものでもよく、予め設定された優先順位に基づいて無効化する対象を決定することとしてもよい。例えば、移動体300に据え付けられた通話装置350は、移動体300の乗務室内全体において音声入力及び出力が有効に機能すると考えられるため、非据え付けの、例えば、スマートフォンなどにより実現される通話装置350に比べて、予め優先順位が高く設定されることとしてもよい。
【0105】
上述の実施形態の説明では、少なくとも運転スコアに基づいて通話装置による通話を制御する例を示したが、通話を制御するために参照する情報は運転スコアに限られない。例えば、移動体に備えられた装置から得られた情報や、移動体を取り巻く状況に関する情報に基づいて通話を制御することとしてもよく、具体例として、タイヤ情報取得装置120によって取得されたタイヤ摩耗情報が、所定の条件(例えば、タイヤの溝が1.6mm以下になった)を満たした場合は、通話に割り込みし警告音を音声出力部から発したり、周辺に渋滞が発生していると判断された場合は、移動体が位置する領域におけるスコアは通話可能な所定条件を満たしていなくとも通話を許可したり、といった制御を行ってもよい。また、車内情報取得装置130によって取得された車内二酸化炭素濃度が、所定の条件(例えば、2,500ppm以上となった)を満たした場合は、通話に割り込みし警告音や休息をとるべきメッセージを音声出力部から発したり、通話を遮断したり、または逆に眠気を防ぐべく音量の大きな音楽を出力したり、といった制御を行ってもよい。
【0106】
上述の実施形態の説明では、移動体に備えられた各装置から、データ処理装置110を通じて移動体情報をサーバ200に送信する例を示したが、これに限られない。例えば、タイヤ情報取得装置120、車内情報取得装置130、燃料情報取得装置140、および通話装置150は、それぞれの通信部から直接インターネットへ接続し、サーバ200へと移動体情報を送信することとしてもよい。
【0107】
上述の実施形態の説明では、移動体とは別個の存在であるスマートフォン等により実現された通話装置により通話を制御する例などを示したが、これに限られない。例えば、移動体が各装置に対応する機能部を備え、移動体にインストールされ実行されるプログラムにより各機能部を協働させ機能させることで通話の制御を実現することとしてもよい。
【0108】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0109】
100 移動体
110 データ処理装置
120 タイヤ情報取得装置
130 車内情報取得装置
140 燃料情報取得装置
150 通信装置
200 サーバ
300 移動体
310 データ処理装置
320 タイヤ情報取得装置
330 車内情報取得装置
340 燃料情報取得装置
350 通信装置




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16