(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/024 20170101AFI20241119BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20241119BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20241119BHJP
【FI】
H04B7/024
H04B7/0413 200
H04W16/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010448
(22)【出願日】2023-01-26
【審査請求日】2023-06-05
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】507325736
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・サザン・カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野一生
(72)【発明者】
【氏名】大関武雄
(72)【発明者】
【氏名】モリッシュ, アンドレアス
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-504867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0013945(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0235788(US,A1)
【文献】国際公開第2020/226538(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02-7/12
H04L 1/02-1/06
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
中央処理回路と、
前記中央処理回路にフロントホールインタフェースを介して接続された複数のアクセスポイントであって、前記複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントが、
複数の無線通信装置から信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに接続されており、
それぞれが前記複数のアンテナのうちの1つのアンテナと前記複数の無線通信装置のうちの1つの無線通信装置との間の通信チャネルについて、当該通信チャネルのチャネル特性を推定し、
前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を用いて、前記複数の無線通信装置のサブセットであって、前記複数のアンテナのアンテナ数以下の数の無線通信装置を含んだ前記サブセットを決定し、
無線通信装置の前記サブセットに関連付けられたデータを前記中央処理回路に送信する、
ように構成されたローカル処理回路と、
を含んだ前記複数のアクセスポイントと、
前記複数の無線通信装置のうちの各無線通信装置について、前記複数のアクセスポイントのローカル処理回路から受信されたデータを用いて、前記無線通信装置によって送信された信号を検出するように構成された中央処理回路と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを決定する際に、前記ローカル処理回路は、
前記複数の無線通信装置のうちの各無線通信装置について、当該無線通信装置に関連する通信チャネルのチャネル特性を使用して、当該無線通信装置の総チャネル利得を計算し、
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを、最も高い総チャネル利得を有する無線通信装置の数として識別する
ように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを決定する際に、前記ローカル処理回路は、
前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の前記通信チャネルの前記チャネル特性を使用して前記複数の無線通信装置の前記サブセットを識別するように構成される前記中央処理回路へ、前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を送信し、
前記中央処理回路から、前記複数の無線通信装置の前記サブセットのインジケーションを受信する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の無線通信装置の前記サブセットは第1のサブセットであり、前記ローカル処理回路は、
1つまたは複数の他のアクセスポイントへ、前記複数の無線通信装置の前記第1のサブセットのインジケーションを送信し、
第2のアクセスポイントから、前記複数の無線通信装置の第2のサブセットであって、前記第2のアクセスポイントによって決定された、前記複数の無線通信装置の前記第2のサブセットのインジケーションを受信する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ローカル処理回路は、さらに、
前記アクセスポイントの前記複数のアンテナにおいて受信された信号の共分散行列を決定し、
前記共分散行列および無線通信装置の前記サブセットに関連付けられた通信チャネルのチャネル特性を使用して、前記アクセスポイントのための干渉除去合成のためのウェイト行列を決定する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記ローカル処理回路は、さらに、
前記ウェイト行列と前記アクセスポイントの前記複数のアンテナで受信された信号のベクトルとの積を表す積ベクトルを計算し、
前記ウェイト行列と、前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を表すチャネル行列との積を表す積行列を計算し、
前記積ベクトルおよび前記積行列を前記中央処理回路に送信する、
ように構成される、ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記ローカル処理回路は、前記ウェイト行列の前記積の後の残りの干渉情報を、前記中央処理回路へ送信するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項
6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記中央処理回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記複数のアクセスポイントから受信された積ベクトルおよび積行列を使用して、前記無線通信装置によって送信された前記信号を検出するように構成される、ことを特徴とする請求項
6に記載の通信システム。
【請求項9】
前記中央処理回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置に対して、
ゼロフォーシング検出、
最小平均二乗誤差(MMSE)検出、
最大比合成、
最尤検出、
逐次干渉除去、又は、
マルチユーザ検出のためのスフィア復号
のうちの少なくとも1つを用いて、前記無線通信装置によって送信された信号を検出するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
前記ローカル処理回路は、さらに、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、当該無線通信装置によって採用される変調符号化方式(MCS)を決定し、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、前記無線通信装置によって採用される前記MCSに基づいて、前記無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定する、
ように構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
前記ローカル処理回路は、さらに、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、複数の前記チャネルのチャネル特性および前記アクセスポイントの前記複数のアンテナで受信された信号を使用し
て干渉状況を決定し、
前記無線通信装置のための前
記干渉状況に基づいて、前記無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定する、
ように構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項12】
前記ローカル処理回路は、さらに、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、複数の前記チャネルのチャネル特性と前記アクセスポイントの前記複数のアンテナにおいて受信された信号とを使用して、前記無線通信装置の事後信号対干渉比(SIR)を決定し、
前記無線通信装置のための前記事後SIRに基づいて、前記無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定する、
ように構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項13】
各通信チャネルの前記チャネル特性はチャネル係数を含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項14】
複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、当該アクセスポイントの対応する複数のアンテナを介して、複数の無線通信装置から対応する複数の信号を受信することと、
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、および、それぞれが対応する前記複数のアンテナのうちの1つのアンテナと前記複数の無線通信装置のうちの1つの無線通信装置との間の通信チャネルについて、当該通信チャネルのチャネル特性を推定することと、
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのためのチャネル特性を使用して、前記複数の無線通信装置のサブセットであって、前記アクセスポイントのアンテナの数以下の数の無線通信装置を含んだ前記サブセットを決定することと、
前記複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントによって、フロントホールインタフェースを介して当該複数のアクセスポイントに接続された中央処理回路へ、無線通信装置の前記サブセットに関連付けられたデータを送信することと、
前記中央処理回路によって、前記複数の無線通信装置のうちの各無線通信装置について、前記複数のアクセスポイントから受信されたデータを使用して当該無線通信装置によって送信された信号を検出することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを決定することは、
前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、当該無線通信装置に関連付けられた通信チャネルのチャネル特性を使用して、当該無線通信装置の総チャネル利得を計算することと、
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを、最も高い総チャネル利得を有する無線通信装置の数として識別することと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対応する前記複数の無線通信装置の前記サブセットを決定することは、
前記中央処理回路へ、前記複数の無線通信装置と、対応する前記複数のアンテナの間の通信チャネルのチャネル特性を送信することと、
前記中央処理回路によって、前記複数のアクセスポイントから受信されたチャネル特性を使用して、前記複数の無線通信装置の前記サブセットを識別することと、
前記中央処理回路から前記複数の無線通信装置の前記サブセットのインジケーションを受信することと、
を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の無線通信装置の前記サブセットを決定する際に、ローカル処理回路が、
他のアクセスポイントに、前記複数の無線通信装置の前記サブセットのインジケーションを送信し、
前記複数の無線通信装置の前記サブセットのインジケーションを他のアクセスポイントから受信する、
ように構成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、対応する前記複数のアンテナにおいて受信された信号の共分散行列を決定することと、
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、前記共分散行列および無線通信装置の前記サブセットに関連付けられた通信チャネルのチャネル特性を使用して、前記アクセスポイントのための最小平均二乗誤差-干渉除去結合のウェイト行列を決定することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、ウェイト行列と、対応する前記複数のアンテナにおいて受信された信号のベクトルとの積を表す積ベクトルを計算することと、
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、前記ウェイト行列と、前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性に対するチャネル特性を表すチャネル行列との積を表す積行列を計算することと、
前記複数のアクセスポイントの各アクセスポイントによって、前記積ベクトルおよび前記積行列を前記中央処理回路に送信することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ローカル処理回路が、前記ウェイト行列の前記積の後の残りの干渉情報を前記中央処理回路に送信するようにさらに構成される、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記中央処理回路によって、前記複数の無線通信装置のうちの各無線通信装置について、前記複数のアクセスポイントから受信された積ベクトルおよび積行列を使用して前記無線通信装置によって送信された信号を検出することをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の無線通信装置の各無線通信装置に対して、前記無線通信装置によって送信される前記信号を検出することは、
ゼロフォーシング検出、
最小平均二乗誤差(MMSE)検出
、
最大比合成、
最尤検出、
逐次干渉除去、または、
マルチユーザ検出のためのスフィア復号、
の少なくとも1つを使用することを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、当該無線通信装置によって採用される変調符号化方式(MCS)を決定することと、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、当該無線通信装置によって採用される前記MCSに基づいて、当該無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
ローカル処理回路が、
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、複数の前記チャネルのチャネル特性および前記アクセスポイントの前記複数のアンテナで受信された信号を使用し
て干渉状況を決定し、
前記無線通信装置のための前
記干渉状況に基づいて、前記無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定する、
ように構成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項25】
無線通信装置の前記サブセットの各無線通信装置について、複数の前記チャネルのチャネル特性と前記アクセスポイントの前記複数のアンテナで受信された信号とを使用して、前記無線通信装置の事後信号対干渉比(SIR)を決定することと、
前記無線通信装置のための事後SIRに基づいて、前記無線通信装置に関連付けられたデータを量子化するための量子化ビット数を決定することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項26】
アクセスポイント装置であって、
複数の無線通信装置から信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに接続されたローカル処理回路であって、
それぞれが前記複数のアンテナのうちの1つのアンテナと前記複数の無線通信装置のうちの1つの無線通信装置との間の通信チャネルについて、当該通信チャネルのチャネル特性を推定し、
前記複数の無線通信装置と前記複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を用いて、前記複数の無線通信装置のサブセットであって、前記複数のアンテナのアンテナ数以下の数の無線通信装置を含んだ前記サブセットを決定し、
無線通信装置の前記サブセットに関連付けられたデータを、前記複数の無線通信装置によって送信された信号の検出のための使用のために、前記ローカル処理回路にフロントホールインタフェースを介して接続された中央処理回路に送信する、
ように構成された前記ローカル処理回路と、
を有することを特徴とするアクセスポイント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、限定はしないが、分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出のための方法、装置、およびシステムを含む、通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)無線通信システムなどの通信システムでは、分散アンテナシステムおよび多入力多出力(MIMO)チャネルがより一般的になっている。MIMOチャネルは受信されるデータに冗長性を導入し、これは、マルチユーザデータ検出を強化するために使用されうる。しかしながら、そのような利点は、分散アンテナシステムの異なる構成要素間の通信インタフェースを介した計算の複雑さの増加およびデータ負荷の増加を伴う。
【発明の概要】
【0003】
本実施形態は、分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出に関する。一実施形態において、通信システムは、中央処理回路と、フロントホールインタフェースを介して中央処理回路に接続された複数のアクセスポイントとを含みうる。複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントは、複数の無線通信デバイスから信号を受信するように構成された複数のアンテナと、その複数のアンテナに接続されたローカル処理回路とを含み得る。ローカル処理回路は、複数のアンテナのうちのあるアンテナと複数の無線通信装置の中のある無線通信装置との間の各通信チャネルについて、通信チャネルのチャネル特性を推定するように構成されうる。ローカル処理回路は、複数の無線通信装置と複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を使用して、その複数の無線通信装置のサブセットを決定しうる。サブセットは、その複数のアンテナについてのアンテナの数以下の数の無線通信装置を含みうる。ローカル処理回路は、無線通信装置のサブセットに関連付けられたデータを中央処理回路に送信しうる。中央処理回路は、複数の無線通信装置の中の各無線通信装置について、複数のアクセスポイントのローカル処理回路から受信されたデータを使用して、その無線通信装置によって送信された信号を検出するように構成されうる。
【0004】
別の実施形態では、分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出の方法が、複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントによって、そのアクセスポイントの対応する複数のアンテナを介して複数の無線通信装置から対応する複数の信号を受信することを含みうる。本方法は、複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントによって、また、対応する複数のアンテナのうちのアンテナと複数の無線通信デバイスのうちの無線通信デバイスとの間の各通信チャネルについて、通信チャネルのチャネル特性を推定することを含みうる。本方法は、複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントによって、複数の無線通信装置と複数のアンテナとの間の通信チャネルのためのチャネル特性を使用して、複数の無線通信装置のサブセットを決定することを含みうる。サブセットは、アクセスポイントのアンテナの数以下の数の無線通信装置を含み得る。本方法は、複数のアクセスポイントのうちの各アクセスポイントによって、フロントホールインタフェースを介して複数のアクセスポイントに接続された中央処理回路に、無線通信装置のサブセットに関連付けられたデータを送信することを含みうる。本方法は、中央処理回路によって、複数の無線通信装置のうちの各無線通信装置について、複数のアクセスポイントから受信されたデータを使用して無線通信装置によって送信された信号を検出することを含みうる。
【0005】
別の実施形態において、アクセスポイントは、複数の無線通信装置から信号を受信するように構成された複数のアンテナと、その複数のアンテナに接続されたローカル処理回路とを含みうる。ローカル処理回路は、複数のアンテナのうちのアンテナと複数の無線通信装置のうちの無線通信装置との間の各通信チャネルについて、通信チャネルのチャネル特性を推定しうる。ローカル処理回路は、複数の無線通信装置と複数のアンテナとの間の通信チャネルのチャネル特性を使用して、複数の無線通信装置のうちのサブセットを決定しうる。サブセットは、複数のアンテナについてのアンテナの数以下の数の無線通信装置を含みうる。ローカル処理回路は、フロントホールインタフェースを介してローカル処理回路に接続された中央処理回路に、複数の無線通信装置によって送信された信号を検出するための使用のために、無線通信装置のサブセットに関連付けられたデータを送信しうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本実施形態のこれらのおよび他の態様および特徴は、添付の図面と併せて特定の実施形態の以下の説明を検討することによって、当業者に明らかになるだろう。
【
図1】
図1は、本実施形態による、例示的な多入力多出力(MIMO)通信システムの図を示す。
【
図2】
図2は、本実施形態による、分散アンテナ通信システムのブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本実施形態による、例示的なアクセスポイントのブロック図を示す。
【
図4】
図4は、本実施形態による、別の例示的なアクセスポイントのブロック図を示す。
【
図5】
図5は、本実施形態による、さらに別の例示的なアクセスポイントのブロック図を示す。
【
図6】
図6は、本実施形態による、分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出の方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態は、当業者が実施形態および当業者に明らかな代替形態を実施することを可能にするように、実施形態の例示的な例として提供される図面を参照して詳細に説明される。特に、以下の図面および例は、本実施形態の範囲を単一の実施形態に限定することを意味するものではなく、説明または図示される要素の一部または全部を交換することによって、他の実施形態が可能である。また、本実施形態の所定の要素が、公知の構成要素を用いて部分的に又は全部実現することができる場合、そのような公知の構成要素のうち、本実施形態の理解に必要な部分のみを説明し、本実施形態を不明瞭にしないように、そのような公知の構成要素の他の部分の詳細な説明は省略する。ソフトウェアで実施されるものとして説明される実施形態は、それに限定されるべきではなく、ここで別段の指定がない限り、当業者に明らかであるように、ハードウェアで実施される実施形態、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せを含むことができ、逆もまた同様である。本明細書において、単数の構成要素を示す実施形態は限定的であるとみなされるべきではなく、むしろ、本開示は、ここで別段の明示的な記載がない限り、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態を包含することを意図しており、逆もまた同様である。さらに、出願人は、明細書または特許請求の範囲におけるいかなる用語も、そのように明示的に記載されていない限り、一般的でないまたは特別な意味に帰することを意図しない。さらに、本実施形態は、例示としてここで参照される既知の構成要素に対する現在および将来の既知の等価物を包含する。
【0008】
図1を参照すると、本実施形態による、例示的な多入力多出力(MIMO)通信システム100を図解する図が示されている。概要では、MIMO通信システム100は、複数の無線通信装置またはユーザ装置(UE)102-1~102-Kと、複数のアクセスポイント104-1~104-Lと、中央処理回路(または中央演算処理装置)106と、を含み得る。無線通信装置またはUE102-1~102-Kは、以下では個々にまたは集合的に、無線通信装置またはUE102とも呼ばれる。アクセスポイント104-1~104-Lは、以下では個別にまたは集合的に、アクセスポイント104と呼ばれる。アクセスポイント104は、フロントホールインタフェース108を介して、中央処理回路106に接続されうる。各アクセスポイント104-lは、複数のアンテナ110-l-1~110-l-Nを含むことができ、これらを、以下では個別にまたはまとめて、アンテナ108とも呼ぶ。インデックスK、L、およびNは、それぞれ、UE102の総数、アクセスポイント104の総数、およびアクセスポイント104ごとのアンテナ104の総数、を表す整数である。
【0009】
UE102は、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレットデバイス、スマートウォッチ、車両通信デバイス、またはアクセスポイント104と無線通信することが可能な任意の他のタイプの通信装置を含みうる。
図1は、各UE102が単一のアンテナを有するものとして示しているが、一般に、UE102は、信号を送信および/または受信するための1つまたは複数のアンテナを含むことができる。信号を送信するとき、UE102は、当業者に知られているか、または将来知られるのであろう通信プロトコルまたは規格を採用することができる。UE102は、アクセスポイント104を介して、他のUE102と、または(
図1に図示されていない)リモートサーバと通信するための信号を送信することができる。UE102によって送信される信号は、制御プレーン信号もしくはメッセージ、または、ユーザプレーン信号もしくはメッセージを含みうる。
【0010】
(アクセスポイント装置、無線アクセスポイント、または無線アクセスポイント装置とも呼ばれる)アクセスポイント104は、UE102がブロードバンドネットワークに接続することを可能にするデバイスを含みうる。アクセスポイント104は、地理的に分散されうる。たとえば、アクセスポイント104は、セルラーネットワークの1つまたは複数のセルにわたって分散され得る。各アクセスポイントはUE102から無線信号を受信し、および/または、UE102に無線信号を送信するための複数のアンテナ110を含むことができる。各アンテナ110は、たとえば、UE102がそれぞれのアクセスポイント104にどれだけ近いか、および/または、アンテナ110の向きに応じて、複数の通信チャネルを介して複数のUE102から無線信号を受信することができる。各UE-アンテナペア間の無線接続は、別個の通信チャネル(または別個の無線通信チャネル)と見なすことができる。UE102と様々なアクセスポイント104のアンテナ110との間の様々な通信チャネルは、多入力多出力伝搬チャネルと見なすことができる。所与のアンテナ110によって受信される無線信号は、アンテナ110とUE102との間の複数の通信チャネルを介して、複数のUE102によって送信される複数の無線信号の累積和でありうる。各アクセスポイント(または少なくともアクセスポイントの一部)における複数のアンテナ110を使用することは、冗長性を考慮する。たとえば、所与のUE102によって送信された無線信号は、単一のアクセスポイント104および/または複数のアクセスポイント104に関連付けられた複数のアンテナ110によって受信されうる。受信冗長性は、別個のUE102によって送信される別個の信号の、より信頼できる検出を可能にする。
【0011】
フロントホールインタフェース108は、アクセスポイントを中央処理回路106に接続する有線通信インタフェースを含むことができる。中央処理回路106は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つまたは複数のマルチコアプロセッサ、1つまたは複数のネットワークプロセッサ、他のプログラマブルソフトウェアデバイス、または1つまたは複数の集積回路(IC)の任意の組合せを含むことができる。中央処理回路106は、中央処理回路106のプロセッサによって実行可能なコンピュータコード命令および/またはアクセスポイント104から受信されたデータを記憶するための(
図1には図示されていない)メモリを含むことができる。メモリは、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。中央処理回路106は、マルチユーザ検出を実行するように構成することができる。
【0012】
各アクセスポイント104は、マルチユーザ検出のために、UE102から受信されたデータを、フロントホールインタフェース108を介して中央処理回路106に転送することができる。具体的には、各アクセスポイント104が、各アンテナ110によって受信されたベースバンドI/Q(たとえば、複素値ベースバンド信号の実数成分および虚数成分)データを、フロントホールインタフェース108を介してデータ処理回路106に送信することができる。中央処理回路106は、各アクセスポイント104から、アクセスポイント104の各アンテナ110によって取得されたI/Qベースバンドデータを受信することができ、これは、特に大規模分散アンテナシステムの場合、フロントホールインタフェース108を介して重大な通信負荷をかける。換言すれば、UE102の数、アクセスポイント104の数、および/または、アクセスポイント104ごとのアンテナ110の数が増加することにつれて、フロントホールインタフェース108を介して送信されるベースバンドデータの量が増加する。フロントホール負荷の増加は、データ損失、遅延、および/または、通信リンクの下降をもたらしうる。加えて、フロントホールインタフェース108を介して転送されるデータの量が大きいほど、中央処理回路における信号処理(例えば、マルチユーザ検出)の計算複雑性が高くなる。これらの欠点は、大規模分散アンテナシステムの信頼性を妨げる。
【0013】
ここで説明するシステム、装置、および方法は、分散アンテナシステム(たとえば、セルフリー・マッシブMIMO通信)のための信頼できるスケーラブルなアップリンク信号検出方式を可能にする。分散アンテナシステムにおけるアクセスポイント104は、UEから受信されたデータを処理およびフィルタリングし、フィルタリングされたまたは低減されたデータを中央処理回路106に送信するように構成されたローカル処理回路を含むことができる。
【0014】
たとえば、アクセスポイント104ごとのアンテナ110の総数Nに基づいて、各アクセスポイント104によって受信されるデータにおける冗長度を比較的高くすることができることを考慮すると、各アクセスポイント104内のローカル処理回路は、中央処理回路におけるマルチユーザ検出の信頼性および精度に悪影響を及ぼすことなく、中央処理回路106に転送されるべきデータの量を低減することができる。中央処理回路106に転送されるデータ量の低減は、アクセスポイント104のアンテナ110に関連付けられた様々な通信チャネルのチャネル特性またはプロパティ(たとえば、チャネル係数)の推定および分析に基づくことができる。特に、いくつかの通信チャネルが、他の通信チャネルと比較して、相対的に低いチャネル利得を有しうる。したがって、低利得の通信チャネルを介して受信されるデータを中央処理回路106に転送することは、異なる通信チャネルを介して受信されるデータの冗長性を考慮して緩和されうる。このアプローチは、中央処理回路106におけるマルチユーザ検出の演算の複雑性と同様に、フロントホールインタフェース108上の負荷を低減し、相対的に大規模な分散アンテナシステムの信頼性を高める。
【0015】
例示的な実施形態によれば、通信システムまたは分散アンテナシステムは、それぞれが複数のアンテナおよびローカル処理回路(またはローカル処理ユニット)を有する複数のアクセスポイントと、フロントホールインタフェースを介して複数のアクセスポイントに接続された中央処理回路とを含むことができる。中央処理回路は、複数のユーザ機器(UE)から、様々なアクセスポイントの様々なアンテナによって受信されたデータを処理して、マルチユーザ検出(MUD)を実行し、別個のUEによって送信された別個の信号を検出することができる。中央処理回路に転送され、中央処理回路によって処理されるデータの量を低減するために、各アクセスポイントのローカル処理回路は、UEとアクセスポイントのアンテナとの間の様々な通信チャネルのチャネル特性または特性(たとえば、チャネル係数)を推定し、推定されたチャネル特性に基づいてUEのサブセットを決定することができる。ローカル処理回路は、決定されたUEのサブセットに基づいて、対応するアクセスポイントのアンテナによって受信されたデータの処理されたバージョンを生成し、中央処理回路へ、データの処理されたバージョンを送信することができる。中央処理回路は、UEごとに、複数のアクセスポイントのローカル処理回路から受信されたデータを使用して、UEによって送信された信号を検出することができる。
【0016】
ここで
図2を参照すると、例示的な実施形態による、分散アンテナ通信システム200のブロック図が示されている。簡単な概要において、分散アンテナ通信システム200は、複数のアクセスポイント104、および、フロントホールインタフェース108を介してその複数のアクセスポイント104に接続された中央処理回路106を含むことができる。各アクセスポイント104は、複数のアンテナ110と、無線周波数(RF)回路202と、アナログ-デジタル変換器(ADC)204と、ローカル処理回路206と、量子化コンポーネントまたはモジュール208(量子化器208とも呼ばれる)と、並列-直列マルチプレクサ210とを含みうる。中央処理回路106は、直列-並列デマルチプレクサ212およびマルチユーザ検出コンポーネント214を含むことができる。
【0017】
各アクセスポイント104において、各アンテナ110は、対応するRF回路202に接続されうる。RF回路202は、アンテナ110によって受信された信号を復調して、対応するベースバンド信号を生成することができる。RF回路202は、対応するADC204に接続することができる。ADC204は、RF回路202によって出力されたベースバンド信号を1つまたは複数の離散シンボルに変換することができる。各RF回路とADCのペアは、対応するアンテナ110からローカル処理回路206へのデータパスを形成するものと見なすことができる。言い換えると、アンテナ110によって受信された信号を表すデジタルシンボルは、別個のアンテナ110に関連付けられた並列データパスを介して、ローカル処理回路206へ、入力として供給される。
【0018】
ローカル処理回路206は、1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、1つもしくは複数のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、1つもしくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つもしくは複数のマルチコアプロセッサ、1つもしくは複数のネットワークプロセッサ、他のプログラマブルソフトウェアデバイス、または、1つもしくは複数の集積回路(IC)の任意の組合せを含むことができる。ローカル処理回路206は、ローカル処理回路206のプロセッサによって実行可能なコンピュータコード命令および/またはアンテナ110から受信したデータを記憶するための(
図2には図示されていない)メモリを含むことができる。メモリは、キャッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、または他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。各アクセスポイント104にN個のアンテナ110(たとえば、110-l-1~110-l-N、ここでlは
図1に関して論じたアクセスポイントインデックスである)があると仮定すると、ローカル処理回路206は、N個の入力ポートを含むことができ、その各々は、対応するアンテナ110に関連付けられたデータを受信する。
【0019】
ローカル処理回路206は、アクセスポイント104のアンテナ110とUE102との間の各通信チャネル(または無線通信チャネル)について、通信チャネルのチャネル特性を推定することができる。チャネル特性は、各通信チャネルのチャネル係数を含むことができる。ここで使用されるように、通信チャネルは、送信機の送信アンテナと受信機の受信アンテナとの間の伝搬チャネルと同様に、送信機と受信機との両方のRF回路特性を指してもよく、または、それを含んでもよいことに留意されたい。ローカル処理回路206は、対応するアクセスポイントに関連付けられた通信チャネル(たとえば、アクセスポイント104の複数のアンテナと複数のUE102との間の通信チャネル)の推定されたチャネル特性を使用して、複数のUE102のうちのUEのサブセットを決定することができる。UEのサブセットは、P個のUEを含むことができ、ここで、Pは、アクセスポイント104内のアンテナ110の数N以下である。ローカル処理回路206は、UEのサブセットに関連付けられたデータを中央処理回路106に送信することができる。
【0020】
ここで
図3を参照すると、例示的な実施形態による、例示的なアクセスポイント300のブロック図が示されている。アクセスポイント300は、
図1および
図2のアクセスポイント104-lに対応することができ、ここで、lは1≦l≦Lのような整数である。アクセスポイント300は、N個のアンテナ110-1~110-Nと、干渉除去部302と、UE選択部304とを含みうる。干渉除去部302およびUE選択部304は、ローカル処理回路206の構成要素またはモジュールでありうる。干渉除去部302は、チャネル推定器306と、ウェイト計算部308と、ウェイト合成部310とを含むことができる。干渉除去部302、UE選択部304、チャネル推定器306、ウェイト計算部308、および/または、ウェイト合成部310は、ソフトウェアモジュール、ハードウェアコンポーネント、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せとして実装されうる。たとえば、干渉除去部302、UE選択部304、チャネル推定器306、ウェイト計算部308、および/またはウェイト合成部310は、ローカル処理回路206の1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なソフトウェアとして実装されうる。
【0021】
チャネル推定器306は、アクセスポイント300のアンテナ110-l-1~110-l-NとUE102との間の通信チャネルの各々について、チャネル特性を推定することができる。UEとアンテナの各ペアの間に通信チャネルが存在する。また、UE102とアクセスポイント300のアンテナ110-l-1~110-l-Nとの間の通信チャネルの合計は、K個の入力およびN個の出力を有するMIMOチャネルと見なすことができる。チャネル特性またはプロパティを推定する際に、チャネル推定器は、UEとアンテナの各ペアの間の各通信チャネルのチャネル係数を推定することができる。MIMOチャネルを考慮すると、チャネル係数は、N行K列のチャネル行列H
lとして記述することができる。チャネル推定器306によって決定されるチャネル行列H
lの推定値は、ここでは
と呼ばれる。
のn番目の行およびk番目の列のエントリを、ここでは
と呼び、これは、k番目のUEとアクセスポイント300のn番目のアンテナとの間の通信チャネルの推定チャネル係数を表す。
【0022】
チャネル推定器306は、関連技術において知られているかまたは知られるようになるチャネル推定技法を使用して、
を推定することができる。たとえば、チャネル推定器306は、参照信号を使用してチャネル特性を推定することができる。アンテナ110-l-nは、事前定義された参照信号をUE102に送信することができ、UE102は、アンテナ110-l-nとUE102との間の通信チャネルのチャネル係数を推定し、推定されたチャネル係数をアクセスポイント300に送信することができる。いくつかの実装形態において、UE102は、アクセスポイント300のアンテナ110-l-1~110-l-Nの各々において受信される、事前定義された参照信号を送信することができる。チャネル推定器306は、アンテナ110-l-1~110-l-Nにおける受信信号と所定の参照信号とに基づいて、UE102とアンテナ110-l-1~110-l-Nとの間のN個の通信チャネルのチャネル係数を推定することができる。たとえば、所与の通信チャネルについて、対応するアンテナにおける受信されたバージョンの参照信号は、チャネル係数が乗算された参照信号に等しくなりうる。
【0023】
チャネル推定器306は、さらに、アンテナ110-l-1~110-l-Nの各々についての総チャネル雑音、またはアクセスポイント300についての雑音ベクトルn
lを推定しうる。雑音ベクトルn
lの推定値を、ここでは
と呼ぶ。n
lおよび
の両方は、それぞれがアクセスポイント300のアンテナ110-l-1~110-l-Nのうちの対応するアンテナにおける、雑音(またはその推定値)を表すエントリを有するN×1ベクトルである。
【0024】
UE選択部304は、推定されたチャネル特性または推定されたチャネル行列
を使用して、UE102のサブセットを決定することができる。たとえば、UE選択部304は、最も高い方からP個の総チャネル利得を有するP個のUEを選択することができ、ここで、Pは、N以下の整数である。いくつかの実施態様では、Pは、Kより小さい。チャネル推定器は、k番目のUEとアクセスポイント300のn番目のアンテナとの間の通信チャネルに対して、対応するチャネル利得を
のように決定(または計算)することができる。UE選択部304は、k番目のUEに対して、対応する総チャネル利得を、
のように決定(または計算)することができる。すなわち、UE選択部304は、k番目のUEとアンテナ110-l-1~110-l-Nのそれぞれとの間の通信チャネルに対するチャネル利得を合計することができる。UE選択部304は、最も高い方からP個の総チャネル利得G
l
(k)に関連付けられたP個のUEを選択することができる。なお、添え字lは、l番目のアクセスポイント300を示す。いくつかの実装形態では、UE選択部304が、(たとえば、最も高い方からP個の総チャネル利得を有するものの代わりに)異なるアプローチに従ってP個のUEを決定することができる。
【0025】
ここで
図2および
図3を参照すると、いくつかの実装形態によれば、UE選択部304は、中央処理回路106において実装されうる。アクセスポイント300のローカル処理回路206(またはチャネル推定器306)は、推定されたチャネル特性または推定されたチャネル行列
を中央処理回路106に送信することができる。中央処理回路106のUE選択部304は、各アクセスポイント300または104について、複数のUE102とアクセスポイント300または104の複数のアンテナ110との間の通信チャネルについてのチャネル特性を使用して、(たとえば、1≦P<NであるP個のUEを含んだ)UEの対応するサブセットを決定し、識別し、または選択することができる。たとえば、中央処理回路106のUE選択部304は、各アクセスポイント300または104について、各UE102が少なくとも1つのアクセスポイント300または104において選択されるという制約を受ける最も高い総チャネル利得G
l
(k)を有するP個のUEを選択することができる。この制約は、すべてのアクセスポイントにおいて選択されないままのUE102がないことを保証する。アクセスポイント300のために選択または決定された複数のUEのサブセットのインジケーションを、中央処理回路106が送信することができ、アクセスポイント300のローカル処理回路206が受信することができる。いくつかの実装において、PはKよりも小さい。
【0026】
ウェイト計算部308は、中央処理回路106に送信されるべきデータを重み付けする(およびその量を減らす)ための重み付け行列を決定または計算することができる。ウェイト計算部308は、アクセスポイント300の複数のアンテナ110-l-1~110-l-Nで受信された信号の共分散行列を決定することができる。アクセスポイント300または対応するアンテナ110-l-1~110-l-Nによって受信された信号ベクトルr
lが与えられると、ウェイト計算部308は、(アクセスポイント300に関連する)信号ベクトルr
lのN×Nの共分散行列R
lを
のように演算または計算することができる。上付き文字Hは、信号ベクトルr
lのエルミート転置(または共役転置)を指す。ウェイト計算部308は、共分散行列R
lの逆行列R
l
-1を計算することもできる。
【0027】
ウェイト計算部308は、UEのサブセットに関連付けられた通信チャネルの共分散行列およびチャネルプロパティを使用して、アクセスポイント300のための最小平均二乗誤差-干渉除去合成(MMSE-IRC)のウェイト行列U
lを決定することができる。ウェイト計算部308は、UEのサブセットに関連付けられた推定チャネル行列
の列ベクトルのみを使用する(または抽出する)ことによって、チャネルサブ行列
を決定することができる。言い換えれば、推定されたチャネル行列
から開始して、ウェイト計算部308は、UEの選択されたサブセットに関連付けられていない(または選択されていないUEに関連付けられている)列ベクトルを削除または除去し、チャネルサブ行列
を構築または決定するために、UEの選択されたサブセットに関連付けられた列ベクトルのみを維持することができる。なお、チャネルサブ行列
は、N×P行列である(N×K行列ではない)。ウェイト計算部308は、アクセスポイント300のためのMMSE-IRCのウェイト行列U
lを
のように計算または決定することができる。なお、
の上付き文字Hは、チャネルサブマトリクス
のエルミート転置を示す。行列
はP×N行列であり、行列R
l
-1はN×N行列である。したがって、MMSE-IRCのウェイト行列U
lは、P×N行列である。
【0028】
ウェイト合成部310は、重み算出部308が決定したMMSE-IRCのウェイト行列U
lを用いて、中央演算回路106に送信されるべきデータに重み付けを行うことができる。たとえば、ウェイト合成部310は、ウェイト行列U
lと、アクセスポイント300の複数のアンテナ110-l-1~110-l-Nにおいて受信された受信信号のベクトルr
lとの積を表す積ベクトルとして、重み付けされた信号ベクトルr
l
wを計算または決定することができる。すなわち、
である。ウェイト合成部310は、ウェイト行列U
lと、複数のUE102と複数のアンテナ110-l-1~110-l-Nとの間の通信チャネルのチャネル特性またはプロパティ(たとえば、チャネル係数)を表す推定チャネル行列
との積を表す積行列として、チャネル行列の重み付けされた推定値
を計算または決定することができる。すなわち、
である。ウェイト合成部310は、
のように、ウェイト行列U
lと推定雑音ベクトル
との積として、重み付けされた雑音ベクトル
を計算または決定することができる。
【0029】
なお、重み付けされた信号ベクトルr
l
wは、P×1の次元を有し、一方で、元の信号ベクトルr
lは、N×1の次元を有する。PがN以下であると仮定すると、r
l
wの長さはr
lの長さ以下である。(次元N×1を有する)推定雑音ベクトル
と比較した(次元P×1を有する)重み付けされた雑音ベクトルの推定値
についても同じことが当てはまる。また、推定されたチャネル行列
の次元はN×Kであるが、重み付けされたチャネル行列の推定値
の次元はP×Kである。PがN未満であると仮定すると、重み付けされたチャネル行列
は推定されたチャネル行列
よりも少ない行を有する。
【0030】
ウェイト合成部310またはローカル処理回路206は、重み付けされた信号ベクトルr
l
w、重み付けされたチャネル行列の推定値
および/または重み付けされた雑音ベクトル推定値
を、中央処理回路106に送信することができる。信号ベクトルr
l、推定されたチャネル行列
および/または推定された雑音ベクトル
を送信する代わりに、重み付けされた信号ベクトルr
l
w、重み付けされたチャネル行列の推定値
および/または重み付けされた雑音ベクトル推定値
を送信することは、フロントホールインタフェース108を介して送信されるデータの量の低減につながる。Nおよび/またはKと比較してPが小さいほど、フロントホールインタフェース108を介して転送されるデータ量の減少がより顕著になる。いくつかの実施態様では、ウェイト合成部310またはローカル処理回路206が、行列U
l、行列R
l、相関行列
および/または、干渉部分空間の何らかの他の尺度を中央演算処理装置106に送信することができる。ウェイト合成部310またはローカル処理回路206は、小規模フェージングに対する
の期待値を計算または決定することができる。アクセスポイント104は、干渉状況を示す情報の送信を可能にするために、(たとえば、
図4および
図5に関して以下でさらに詳細に説明するように)相対的に粗い量子化を適用することにより、P(たとえば、ここで説明するより粗い量子化)個の所望の信号の容量を犠牲にすることを決定しうる。
【0031】
重み合成ユニット310またはローカル処理回路206は、P個の出力ポート312を有しうる。ウェイト合成部310またはローカル処理回路206は、重み付けされた信号ベクトルr
l
wおよび/または重み付けされた雑音ベクトルの推定値
の異なるエントリを、別々の出力ポートにわたって出力することができる。ウェイト合成部310またはローカル処理回路206は、重み付けされたチャネル行列の推定値
の別々の行を別々の出力行にわたって出力することができる。例えば、ウェイト合成部310又はローカル処理回路206は、P個の出力ポートのうち、p番目の出力ポートを介して、重み付けされたチャネル行列推定値
のp番目の行(又は重み付けされた信号ベクトルr
l
wのp番目のエントリもしくは重み付けされた雑音ベクトル推定値
のp番目のエントリ)を出力することができる。出力ポートは、物理出力ポートまたは論理出力ポートでありうる。
【0032】
図2に戻ると、シリアル-パラレルマルチプレクサ210は、P個の出力ポートを介して出力されたデータを多重化またはインタリーブして、対応するシリアルデータを形成することができる。フロントホールインタフェース108の他端において、パラレル-シリアルデマルチプレクサ212が、フロントホールインタフェース108を介して転送されたシリアルデータを、P個のパラレルデータチャネル216に逆多重化することができる。いくつかの実装において、シリアル-パラレルマルチプレクサ210および/またはパラレル-シリアルデマルチプレクサ212が、アクセスポイント104の一部であるシリアル-パラレルマルチプレクサ210および/または中央処理回路106の一部であるパラレル-シリアルデマルチプレクサ212の代わりに、フロントホールインタフェース108において統合されうる。
【0033】
中央処理回路106のマルチユーザ検出(MUD)コンポーネント214は、ソフトウェア構成要素、ハードウェア構成要素、または、ソフトウェア構成要素とハードウェア構成要素との組合せとすることができる。たとえば、MUDコンポーネント214は、中央処理回路106の1つまたは複数のハードウェアプロセッサによって実行されるコンピュータコード命令として実装されうる。MUDコンポーネント214は、アクセスポイント104-1~104-Lから受信されたデータを使用して、別個のUE102によって送信された別個の信号を推定するように構成または設計されうる。MUDコンポーネント214は、他の検出方法の中でもとりわけ、マルチユーザ検出のために、最大比合成、ゼロフォーシング検出、最小平均二乗誤差(MMSE)検出、最尤検出、逐次干渉除去、またはスフィア復号を採用することによって、別個のUE102によって送信された別個の信号を推定することができる。
【0034】
MUDコンポーネント214または中央処理回路106は、アクセスポイント104-lから受信されたデータを使用して、重み付けされた信号ベクトルr
l
w、重み付けされたチャネル行列推定値
および/または重み付けされた雑音ベクトル推定値
を構成することができる。具体的には、MUDコンポーネント214または中央処理回路106が、P個のチャネル216を介して、アクセスポイント104-lから受信されたデータを使用して、重み付けされた信号ベクトルr
l
w、重み付けされたチャネル行列推定値
および/または重み付けされた雑音ベクトル推定値
を再構成することができる。MUDコンポーネント214または中央演算回路106は、
のように、LP×K等価チャネル行列H
(E)を構築することができる。MUDコンポーネント214または中央処理回路106は、すべてのアクセスポイント104-1~104-Lのための重み付けされた信号ベクトルr
l
wを組み合わせる、LP×1の完全な重み付けされた受信信号ベクトル
を構築することができる。MUDコンポーネント214または中央処理回路106は、
のように、完全な受信信号ベクトル
を構築することができる。同様に、MUDコンポーネント214または中央処理回路106は、
のように、完全な重み付け雑音ベクトル
を構築することができる
推定された送信信号ベクトル
は、複数のUE102によって送信された信号の推定値を表すものとする。完全な受信信号ベクトル
は、
のように記述することができる。ゼロフォーシング検出を適用するとき、MUDコンポーネント214は、ゼロフォーシング検出行列を
のように決定または計算することができる。ゼロフォーシング検出行列W
ZFを使用して、MUDコンポーネント214は、推定送信信号ベクトル
を
のように決定することができる。MUDコンポーネント214または中央処理回路106は、推定された送信信号ベクトル
を、(
図2に示されていない)他のネットワーク要素またはデバイスに出力することができる。
【0035】
式(12)に記載される送信信号ベクトル
の推定は、推定された送信信号ベクトル
に対する干渉の影響の除去または緩和を可能にする。概して、式(3)で定義される重み行列U
lは、送信信号を推定する際に使用されるとき、妨害の影響を低減することを可能にする。
【0036】
いくつかの実装において、各ローカル処理回路206が、残留干渉情報を決定または計算し、残留干渉情報を中央処理回路106に送信することができる。第1のアプローチによれば、AP104_lのためのローカル処理回路206は、それぞれの信号電力およびそれぞれの干渉電力を計算することができる。ローカル処理回路206は
のように、選択されたユーザごとにそれぞれの信号電力を計算することができ、ここで、整数pおよびk
pは、出力ポートおよび対応する選択されたUEのインデクスを表す。ローカル処理回路206は、
のように、それぞれの干渉電力を計算することができる。ベクトル
は、式(5)に記載されたチャネル行列
の重み付けされた推定値の列を表す。
【0037】
ローカル処理回路206は、さらに、l番目のAP104_lに対する信号対干渉比(SIR)(または信号対雑音および干渉比(SNIR))を
のように計算することができる。いくつかの実装において、ローカル処理回路206は、SIRγ
l,pを、残留干渉情報として中央処理回路106に送信することができる。いくつかの実装において、ローカル処理回路206は、残留干渉情報としてそれぞれの信号電力P
l,p
(S)およびそれぞれの干渉電力P
l,p
(I)を、中央処理回路106に送信することができる。中央処理回路106は、式(15)に従って、SIRγ
l,pを計算することができる。
【0038】
第2のアプローチによれば、ローカル処理回路206は、
のように、又は、
のように、干渉および雑音のそれぞれの共分散行列を計算することができ、ここで、E[H
l
(D)HH
l
(D)]は、相対的に小規模なフェージングに対する期待値を表している。ローカル処理回路206は、それぞれの残留干渉情報を積U
lR
l
(IN)として計算することができる。ローカル処理回路206は、積U
lR
l
(IN)またはU
lとR
l
(IN)との両方を、それぞれの残留干渉情報を示すものとして、中央処理回路106に送信することができる。後者の場合、中央処理回路は、積U
lR
l
(IN)を計算することができる。
【0039】
中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、推定送信信号ベクトル
を決定する際に、残留干渉情報を使用することができる。たとえば、中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、式(10)の複雑さを低減するために残留干渉情報を使用することができる。具体的には、中央演算回路106またはMUDコンポーネント214は、等価チャネル行列H
(E)内の相対的に低いSIR(またはSINR)に関連するAPに対応する要素または行、完全な受信信号ベクトル
および、完全な重み付けされた雑音ベクトル
を除去することができる。たとえば、中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、SIRのしきい値に基づいて、1つまたは複数のAPに関連する式(7)~(9)中のデータ(または行)を除去することができる。中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、最も低いSIRの固定数のAPに関連する式(7)~(9)のデータ(または行)を除去することができる。
【0040】
いくつかの実施態様では、中央演算回路106またはMUDコンポーネント214が送信信号の推定を改善するために、等価チャネル行列H
(E)中のAPに対応する重み付けデータと、異なるAPのSIRまたはSINRに基づく完全な重み付けされた雑音ベクトル
のために、残差干渉情報を使用することができる。例えば、等価受信信号モデルに対する式(10)は、
のように書き換えることができる。W
(P)はウェイト行列である。中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、ウェイト行列W
(P)を
のように決定または計算することができる。中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、行列W
(P)の(l,(l-1)P+p)におけるエントリまたは要素を、α
l,pのように決定または計算することができ、ここで、
である。パラメータγ
l,pは、式(15)に記載されるように、SIRまたはSNIRを表す。そして、中央処理回路106またはMUDコンポーネント214は、式(18)に基づいて、送信信号を解くことができる。
【0041】
いくつかの実装において、AP104_lのローカル処理回路206が、AP104_lによって選択されたUEのサブセットのインジケーション、および/または、ウェイト行列U
l、推定チャネル行列
、信号ベクトルr
l、推定雑音ベクトル
、重み付けされた信号ベクトルr
l
w、重み付けされた雑音ベクトル推定値
、重み付けされたチャネル行列の推定値
、もしくはそれらの組合せなどの関連情報を、他のアクセスポイント104に送信することができる。AP104_lは、1つまたは複数の他のAP104から、1つまたは複数の他のAPによって選択されたUEの1つまたは複数の他のサブセットのインジケーション、および/または、対応するウェイト行列、対応する推定チャネル行列、対応する受信信号ベクトル、対応する推定雑音ベクトル、対応する重み付けされた信号ベクトル、対応する重み付けされた雑音ベクトル、対応する重み付けされたチャネル行列、もしくはそれらの組合せなどの関連データを受信することができる。言い換えれば、そのような情報を中央処理回路106に送信する代わりに、AP104は、それらの間で情報を交換することができる。このように、AP104(または1つのAP)は、対応する送信信号を決定または計算することができる。
【0042】
ここで、
図4を参照すると、例示的な実施形態による、別の例示的なアクセスポイント400のブロック図が示されている。アクセスポイント300と同様に、アクセスポイント400は、
図2におけるアクセスポイント104-lに対応することができ、ここでlは1≦l≦Lのような整数である。アクセスポイント300と比較して、アクセスポイント400は、量子化コンポーネント402と、量子化制御部404と、UE情報取得部406とをさらに含みうる。量子化コンポーネント402は、それぞれがP個の出力ポート312の対応する出力ポート312に関連付けられたP個の量子化器208を含むことができる。
【0043】
UE情報取得部406は、選択されたUEのサブセットの中の各UEについて、変調符号化方式(MCS)及び/又はチャネル状態情報を取得することができる。UE情報取得部406は、MCSおよび/またはチャネル状態情報を、UEに問い合わせうる。いくつかの実装において、UE情報取得部406は、たとえばUEのサブセットの判定の前に、MCSおよび/またはチャネル状態情報についてUEについてすべてのUE102に照会しうる。
【0044】
量子化制御ユニット404は、UEのサブセットの各UE102について、無線通信装置によって採用されるMCSおよび/またはチャネル状態情報および/または干渉状況に基づいて、UEに関連付けられたデータを量子化するための量子化ビットの数を決定することができる。たとえば、量子化制御部404は、量子化器208の各々について、ウェイト合成部310の対応する出力ポート312によって出力されたデータを量子化するための対応する量子化ビット数を決定することができる。量子化制御部404は、ルックアップテーブル(LUT)を用いて、量子化器208ごとの量子化ビット数を決定することができる。以下の表1は、量子化器208の各々の量子化ビット数を決定するために量子化制御部404によって使用される例示的なLUTを提供している。表1のLUTは、異なるMCSインデックスを、量子化器208によって使用されるべき対応する量子化ビット数にマッピングする。量子化制御ユニット404は、量子化器208のそれぞれを、決定された量子化ビット数に従って動作させる(例えば、データを量子化する)ことができる。
表1
【0045】
ここで
図5を参照すると、例示的な実施形態による、さらに別の例示的なアクセスポイント500のブロック図が示されている。アクセスポイント300と同様に、アクセスポイント500は、
図2のアクセスポイント104-lに対応することができ、ここでlは1≦l≦Lのような整数である。アクセスポイント300と比較して、アクセスポイント500は、量子化コンポーネント502と量子化制御部504とをさらに含みうる。量子化コンポーネント502は、
図4の量子化コンポーネント402と同様である。ただし、量子化制御部504は、
図4の量子化制御部404とは異なる動作をする。具体的には、量子化制御部504が、事後信号対干渉比(SIR)を使用して、各量子化器208について(またはUEのサブセットにおける各UEに関連付けられた量子化データについて)、量子化ビットの数を決定するように構成されうる。
【0046】
量子化制御部504は、UEのサブセットにおける各UE102について、UE102のための事後信号対干渉比(SIR)を決定することができる。量子化制御部504は、複数の通信チャネルのチャネル特性またはプロパティを使用して、事後SIRを決定することができる。具体的には、量子化制御部504が、アクセスポイント500のチャネル行列の重み付けされた推定値
(またはウェイト行列と推定チャネル行列との積
)のエントリを使用して、事後SIRを決定または計算することができる。量子化制御部504は、事後SIRを
のように決定または計算することができる。式(21)において、k
pは、ウェイト合成部310の出力ポート312のうち、p番目の出力ポートに割り当てられたUEのインデクスを示す。量子化制御部504は、そのUEに対して決定された事後SIRγ
l,pに基づいて、インデクスk
pを有するUEに関連付けられたデータの量子化のための量子化ビット数を決定することができる。例えば、量子化制御部504は、事後SIR値を、対応する量子化ビット数にマッピングするために、例えば、以下の表2に示されるようなLUTを使用することができる。表2に示されるように、事後SIRの各範囲は、対応する量子化ビット数にマッピングされうる。量子化制御部504は、各量子化器208を、対応するUEのための事後SIRに基づいて決定された量子化ビット数に従って(たとえば、表2のマッピングに従って)動作させることができる。いくつかの実装において、量子化制御部504は、式(21)の代わりに、式(15)において定義されるように、対応するUEのための事後SIRγ
l,pに基づいて、各量子化器208に量子化ビット数を決定させうる。
表2
【0047】
ここで
図6を参照すると、例示的な実施形態による、分散アンテナシステムにおけるマルチユーザ検出の方法600を図解するフローチャートが示されている。方法600は、各アクセスポイントによって、そのアクセスポイントの対応する複数のアンテナを介して複数のUEから対応する複数の信号を受信することを含むことができる(ステップ602)。方法600は、各アクセスポイントによって、アンテナとUEとの間の通信チャネルのチャネル特性を推定することを含むことができる(ステップ604)。方法600は、各アクセスポイントによって、そのアクセスポイントによって決定されたチャネル特性を使用して、UEの対応するサブセットを決定することを含むことができる(ステップ606)。方法600は、各アクセスポイントが、UEのサブセットに関連付けられたデータを、フロントホールインタフェースを介して複数のアクセスポイントに接続された中央処理回路に送信することを含むことができる(ステップ608)。方法600は、中央処理回路が、複数のアクセスポイントから受信されたデータを使用して、UEによって送信された信号を各UEについて検出することを含むことができる(ステップ610)。
【0048】
方法600は、
図2~
図5に関して上述したように実装することができる。方法600は、アクセスポイント104のローカル処理回路206および中央処理回路106のハードウェアプロセッサによって実行されるコンピュータコード命令として実装されうる。いくつかの実装において、方法600は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの両方の組合せを使用して実装されうる。
【0049】
いくつかの実装において、コンピュータ可読媒体が、その上に記憶されたコンピュータコード命令を含みうる。コンピュータコード命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに、
図2~
図6で説明したように、方法600を実行させることができる。
【0050】
本実施形態はその好ましいものを参照して特に説明されてきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における変更および修正が行われうることが、当業者には容易に明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、そのような変更および修正を包含することが意図される。