(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ワーク接続装置
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
B23K20/10
(21)【出願番号】P 2023552495
(86)(22)【出願日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2023017396
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
(72)【発明者】
【氏名】栗本 和之
(72)【発明者】
【氏名】高才 明宏
(72)【発明者】
【氏名】丸田 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】田附 知則
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-102586(JP,A)
【文献】特開平10-193138(JP,A)
【文献】特開2014-104493(JP,A)
【文献】特表2016-508884(JP,A)
【文献】特開2015-047629(JP,A)
【文献】特開2003-019573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するワーク接続装置において、
前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するための超音波振動子を有する第1の多関節ロボットと、
その
第1の多関節ロボットに対向して配置され、先端に、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレートを有する支持体
を備え、前記第1のワークの、前記第1のワークに対して前記第2のワークとは反対側の裏面に当接可能な第2の多関節ロボットと、
を備え、
前記
第2の多関節ロボットは、前記支持体の前記複数の第1のプレートのうち、特定の第1のプレートを選択して前記第1のワークの前記裏面に当接
可能に構成されていることを特徴とするワーク接続装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記複数の第1のプレートを備えた多面体から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク接続装置。
【請求項3】
前記
第2の多関節ロボットの先端は、前記多面体を構成する1つの前記第1のプレートに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のワーク接続装置。
【請求項4】
前記多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、
前記複数の第1のプレートの各々は、前記空洞からの締め具によって前記多面体に挟持され、前記多面体を構成する1つの面に別個に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のワーク接続装置。
【請求項5】
前記多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、
前記複数の第1のプレートの各々は、前記空洞からの締め具によって前記多面体に挟持され、前記多面体を構成する1つの面に別個に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のワーク接続装置。
【請求項6】
前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク接続装置。
【請求項7】
前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする請求項2に記載のワーク接続装置。
【請求項8】
前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする請求項3に記載のワーク接続装置。
【請求項9】
前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする請求項4に記載のワーク接続装置。
【請求項10】
前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする請求項5に記載のワーク接続装置。
【請求項11】
前記第1のプレートは、中央部が突出した構造を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載のワーク接続装置。
【請求項12】
第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するワーク接続装置において、
前記第1のワークの裏面側から前記第1のワークに向かって移動し、前記第1のワークの裏面に当接
することによって、全体が前記第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜するように
首振り自在な第2のプレートを備え、
前記第2のプレートは、前記第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜した状態で固定可能であることを特徴とするワーク接続装置。
【請求項13】
前記第2のプレートは、中央部が突出した構造を呈していることを特徴とする請求項
12に記載のワーク接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを接続するためのワーク接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のワークを接続するためのワーク接続装置が知られており、例えば、特許文献1には、作業台4に載置されたワークWに部品Pをレーザ溶接するレーザ加工装置1が記載されていると認められる(「0030」段落乃至「0032」段落の記載及び
図1等参照)。
【0003】
特許文献1に記載のレーザ加工装置1は、押さえ部26によって、作業台4に載置されたワークWの上面及び部品Pの上面を押さえ、その状態で、レーザ加工ヘッド5からレーザ光Lを照射してワークWと部品Pとを接続するものである(「0054」乃至「0057」段落の記載及び
図10等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に記載のレーザ加工装置1(以下、「ワーク接続装置」と記す)は、引用文献1に記載されるように、ワークWが平面形状であり、かつ作業台4が平面形状である場合には、その接続に問題は生じないものの、ワークWが湾曲形状、屈曲形状等複雑な形状である場合において、部品Pを複雑な形状のワークWの任意の個所に接続することは非常に困難であるという問題があった。
【0006】
一方、ワークWの形状に合わせて作業台4の形状を変更することも考えられるが、その場合には、ワークWの形状が変更される度に作業台4を変更しなければならないため、作業効率が悪くなるといった問題もあった。
【0007】
また、レーザ溶接によって部品Pが接続されたワークWについては、当然のことながら、その外観は良好であることが望ましい。
【0008】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、ワークが複雑な形状であっても、ワークに部品を迅速に接続することができるワーク接続装置、さらには、接続後のワークの外観品質を良好にしたワーク接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様は、第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するワーク接続装置において、前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するための超音波振動子を有する第1の多関節ロボットと、その第1の多関節ロボットに対向して配置され、先端に、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレートを有する支持体を備え、前記第1のワークの、前記第1のワークに対して前記第2のワークとは反対側の裏面に当接可能な第2の多関節ロボットと、を備え、前記第2の多関節ロボットは、前記支持体の前記複数の第1のプレートのうち、特定の第1のプレートを選択して前記第1のワークの前記裏面に当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様のワーク接続装置において、前記支持体は、前記複数の第1のプレートを備えた多面体から構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様のワーク接続装置において、前記第2の多関節ロボットの先端は、前記多面体を構成する1つの前記第1のプレートに接続されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、第2の態様のワーク接続装置において、前記多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、前記複数の第1のプレートの各々は、前記空洞からの締め具によって前記多面体に挟持され、前記多面体を構成する1つの面に別個に接続されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第5の態様は、第3の態様のワーク接続装置において、前記多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、前記複数の第1のプレートの各々は、前記空洞からの締め具によって前記多面体に挟持され、前記多面体を構成する1つの面に別個に接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第6の態様は、第1の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第7の態様は、第2の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第8の態様は、第3の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第9の態様は、第4の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第10の態様は、第5の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第11の態様は、第1の態様乃至第10の態様の何れかのワーク接続装置において、前記第1のプレートは、中央部が突出した構造を呈していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第12の態様は、第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、前記第1のワークの表面に前記第2のワークを接続するワーク接続装置において、前記第1のワークの裏面側から前記第1のワークに向かって移動し、前記第1のワークの裏面に当接することによって、全体が前記第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜するように首振り自在な第2のプレートを備え、前記第2のプレートは、前記第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜した状態で固定可能であることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の第13の態様は、第12の態様のワーク接続装置において、前記第2のプレートは、中央部が突出した構造を呈していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様によれば、第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、第1のワークの表面に第2のワークを接続するワーク接続装置において、第1のワークの表面に第2のワークを接続するための超音波振動子を有する第1の多関節ロボットと、その第1の多関節ロボットに対向して配置され、先端に、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレートを有する支持体を備え、第1のワークの、第1のワークに対して第2のワークとは反対側の裏面に当接可能な第2の多関節ロボットと、を備え、第2の多関節ロボットは、支持体の複数の第1のプレートのうち、特定の第1のプレートを選択して第1のワークの裏面に当接可能に構成されているので、第1のワークが複雑な形状であっても、第1のワークの裏面に適切な支持体を当接させることができ、延いては、第1のワークの表面に第2のワークを迅速に接続することができる。一方、1つの第1のプレートが使用できなくなった場合においても、他の第1のプレートを使用することができるため、装置の耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様のワーク接続装置において、前記支持体は、前記複数の第1のプレートを備えた多面体から構成されているので、第1の態様のワーク接続装置の効果に加え、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択して当接させる構造を容易に作製することができる。
【0024】
また、本発明の第3の態様によれば、第2の態様のワーク接続装置において、第2の多関節ロボットの先端は、多面体を構成する1つの第1のプレートに接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択して当接させる構造を容易に作製することができる。
【0025】
また、本発明の第4の態様によれば、第2の態様のワーク接続装置において、前記多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、前記複数の第1のプレートの各々は、前記空洞からの締め具によって前記多面体に挟持され、前記多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、第2の態様のワーク接続装置の効果に加え、複雑な形状の第1のワークに対しても適切な第1のプレートを選択してしっかりと当接させる構造を容易に作製することができる。
【0026】
また、本発明の第5の態様によれば、第3の態様のワーク接続装置において、多面体は、開口面と、内部に空洞とを有し、複数の第1のプレートの各々は、空洞からの締め具によって多面体に挟持され、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、第3の態様のワーク接続装置の効果に加え、複雑な形状の第1のワークに対しても適切な第1のプレートを選択してしっかりと当接させる構造を容易に作製することができる。
【0027】
また、本発明の第6の態様によれば、第1の態様のワーク接続装置において、第1のプレートの外表面には、第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されているので、第1の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークW1の裏面に容易に当接させることができる。
【0028】
また、本発明の第7の態様によれば、第2の態様のワーク接続装置において、第1のプレートの外表面には、第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されているので、第2の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークW1の裏面に容易に当接させることができる。
【0029】
また、本発明の第8の態様によれば、第3の態様のワーク接続装置において、第1のプレートの外表面には、第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されているので、第3の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークW1の裏面に容易に当接させることができる。
【0030】
また、本発明の第9の態様によれば、第4の態様のワーク接続装置において、第1のプレートの外表面には、第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されているので、第4の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークW1の裏面に容易に当接させることができる。
【0031】
また、本発明の第10の態様は、第5の態様のワーク接続装置において、前記第1のプレートの外表面には、前記第1のプレートの面積よりも小さく、かつ所定厚みの円板が固定されているので、第5の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークW1の裏面に容易に当接させることができる。
【0032】
また、本発明の第11の態様によれば、第1の態様乃至第10の態様の何れかのワーク接続装置において、第1のプレートは、中央部が突出した構造を呈しているので、第1の態様乃至第10の態様の何れかのワーク接続装置の効果に加え、第1のワークの表面及び/または第2のワークの表面に発生する歪を防止して、外観品質を良好にすることができる。
【0033】
また、本発明の第12の態様によれば、第1のワークの表面に第2のワークを付勢して、第1のワークの表面に第2のワークを接続するワーク接続装置において、第1のワークの裏面側から第1のワークに向かって移動し、第1のワークの裏面に当接することによって、全体が第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜するように首振り自在な第2のプレートを備え、第2のプレートは、第1のワークの裏面形状に合わせて傾斜した状態で固定可能であるので、第1のワークが複雑な形状であっても、第1のワークの裏面に適切に第2のプレートを当接させることができ、延いては、第1のワークの表面に第2のワークを迅速に接続することができる。
【0034】
さらに、本発明の第13の態様によれば、第12のワーク接続装置において、第2のプレートは、中央部が突出した構造を呈しているので、第12の態様のワーク接続装置の効果に加え、第1のワークの表面及び/または第2のワークの表面に発生する歪を防止して、外観品質を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるワーク接続装置の全体正面図である。
【
図2】第1実施形態の第1のワークの正面図である。
【
図3】第1実施形態の第1のワーク及び第2のワークを示す平面図である。
【
図4】第1実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【
図5】第1実施形態の第1押さえ部の底面図である。
【
図7】第1実施形態の第2押さえ部及び第3押さえ部の平面図である。
【
図8】第1実施形態の第2押さえ部の伸長前の状態を示す側面図である。
【
図9】第1実施形態の第2押さえ部の伸長後の状態を示す側面図である。
【
図10】第1実施形態のワーク接続装置のブロック図である。
【
図11】第1実施形態のワーク接続装置のメインコントローラのブロック図である。
【
図12】第1実施形態のワーク接続装置における接続処理プログラムのフローチャートである。
【
図13】第1実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部選択プログラムのフローチャートである。
【
図14】第1実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部等動作プログラムのフローチャートである。
【
図15】第1実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部の第1段階の状態を示す図である。
【
図16】第1実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部の第2段階の状態を示す図である。
【
図17】第1実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部の最終段階の状態を示す図である。
【
図19】第1実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部が第1のワークの他の部分を押さえた状態を示す図である。
【
図20】第1実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部の第1段階の状態を示す図である。
【
図21】第1実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部の第2段階の状態を示す図である。
【
図22】第1実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部の最終段階の状態を示す図である。
【
図23】第1実施形態の第2押さえ部が第1のワークの水平面に当接した状態を示す側面図である。
【
図24】第1実施形態の第2押さえ部が第1のワークの傾斜面に当接した状態を示す側面図である。
【
図25】第2実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【
図27】第3実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【
図28】第4実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【
図29】第5実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【
図30】第6実施形態の第2押さえ部を示す側面図である。
【0036】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0037】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0038】
図1は、本発明の第1実施形態におけるワーク接続装置の全体正面図であり、
図2は、第1実施形態の第1のワークの正面図であり、
図3は、第1実施形態の第1のワーク及び第2のワークを示す平面図である。
【0039】
図1に示すように、本実施形態のワーク接続装置1は、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0040】
なお、本実施形態においては、説明の都合上、第1押さえ用多関節ロボット3が第1のワークW1の
図1上右側に1台配置された形態を説明するが、実際には、第1押さえ用多関節ロボット3は、第1のワークW1に対して左右両側に2台配置されている。
【0041】
また、第1押さえ用多関節ロボット3の配置位置及び配置台数は、第1のワークW1の形状に応じて適宜変更可能である。
【0042】
また、
図2及び
図3に示すように、本実施形態においては、第1のワークW1は、車のバンパーを一例として、第1のワークW1の4つの接続位置Pa、Pb、Pc及びPdにそれぞれ第2のワークW2a、W2b、W2c及びW2dを接続するものとして説明するが、第1のワークW1及び第2のワークW2の形状、第2のワークW2の接続個数及び接続位置は、これに限られるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0043】
図1に示すように、本実施形態のワーク接続装置1は、筐体H内に配置された載置台88と、その載置台88に固定された溶着用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7と、ワーク接続装置1全体を制御するための制御装置8と、溶着用多関節ロボット9及び第1押さえ用多関節ロボット3を制御するためのロボットコントローラ12と、第2押さえ・第3押さえ機構7の動作の一部を司るコンプレッサー4と、筐体Hに配置され、ワーク接続装置1の動作を指令するために装置の操作者が使用する操作パネル2と、を備える。
【0044】
溶着用多関節ロボット9は、ロボットコントローラ12からの指令によって動作する一般の6軸の多関節ロボットであり、先端に接続された超音波振動子20(
図10参照)によって、第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して溶着させるものである。
【0045】
溶着用多関節ロボット9は、載置台88に対して、第1の基台89を旋回させるための第1回転軸(図示せず)と、第1の基台89に対して下腕部91を前後に回動させるための第2回転軸90と、下腕部91に対して第1中腕部93を旋回させるための第3回転軸92と、第1中腕部93に対して第2中腕部95を旋回させるための第4回転軸94と、第2中腕部95に対して上腕部97を回動させるための第5回転軸96と、上腕部97に対して回転部99を同軸に回転させるための第6回転軸98との6軸を備える。
【0046】
そして、溶着機用多関節ロボット9の回転部99の先端には超音波振動子20が固定されており第1のワークW1に第2のワークW2を設置した状態で、超音波振動子20を第1のワークW1及び第2のワークW2に当接させ、その超音波振動子20を後述する溶着機ドライバー14(
図10参照)からの信号によって駆動させることにより、第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する。
【0047】
第1押さえ用多関節ロボット3は、ロボットコントローラ12からの指令によって動作する一般の5軸の多関節ロボットであり、先端に接続された第1押さえ部5によって、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0048】
第1押さえ用多関節ロボット3は、第1の基台29に対して、第2の基台32を旋回させるための第1回転軸31と、第2の基台32に対して下腕部34を前後に回動させるための第2回転軸33と、下腕部34に対して中腕部36を前後に回動させるための第3回転軸35と、中腕部36に対して上腕部38を前後に回動させるための第4回転軸37と、上腕部38に対して第1押さえ部5を回動させるための第5回転軸39との5軸を備える。
【0049】
次に、本実施形態の第1押さえ部5について説明する。
【0050】
図4は、本実施形態の第1押さえ部の左側面図であり、
図5は、その底面図であり、
図6は、
図4のA-A断面図である。
【0051】
本実施形態の第1押さえ部5は、前述の通り、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0052】
図4及び
図5に示すように、本実施形態の第1押さえ部5は、第1押さえ用多関節ロボット3の第5回転軸39に接続された第1の取付け部52と、その第1の取付け部52に一端が接続された長尺の腕部54と、その腕部54の他端に5つの取付け具56a、56b、56c、56d及び56eによって接続された第2の取付け部56と、その第2の取付け部56に接続された支持体51とからなる。
【0053】
支持体51は、14枚の略三角形の平板状の第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k、53m、53x、53y及び53zからなる多面体からなり、その多面体のうち、53x、53y及び53zを除く各第1のプレートの表面に、第1のプレートの略三角形の外周内に中央部が突出した平面視円形の突出部57a(図示せず)、57b、57c、57d(図示せず)、57e、57f、57g、57h、57j(図示せず)、57k及び57mを有する所定厚みの平坦な円板55a(図示せず)、55b、55c、55d(図示せず)、55e、55f、55g、55h、55j(図示せず)、55k及び55mを固定したものである。
【0054】
なお、
図4、後述する
図18及び
図19においては、第1押さえ部5の組付けを解り易くするために、第1プレート53a及び53dでは、円板55a及び55dが取り付けられる前の状態を図示しているが、実際には、第1プレート53a及び53dにおいても、他の第1プレートと同様に、円板55a及び55dが装着されている。
【0055】
また、第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k、53m、53x、53y及び53zの法線は、各々が異なる方向に向かうように配置されている。
【0056】
図5及び
図6に示すように、支持体51は、筐体51aによって形成された開口面51bと、多面体の内部に空洞51cとを有し、円板55a(図示せず)、55b、55c、55d(図示せず)、55e、55f、55g、55h、55j(図示せず)、55k及び55mの各々は、円板本体55aa、55ba、55ca、55da、55ea、55fa、55ga、55ha、55ja、55ka及び55ma(55ea以外図示せず)と、その円板本体から延びるネジ部55ab、55bb、55cb、55db、55eb、55fb、55gb、55hb、55jb、55kb及び55mb(55eb以外図示せず)とからなる。
【0057】
そして、円板55a(図示せず)、55b、55c、55d(図示せず)、55e、55f、55g、55h、55j(図示せず)、55k及び55mの各々は、空洞51cからの締め具58aa(図示せず)、58ba、58ca、58da(図示せず)、58ea、58fa、58ga、58ha、58ja、58ka及び58ma及び座金58ab、58bb、58cb、58db、58eb、58fb、58gb、58hb、58jb、58kb及び58mb(58eb以外図示せず)によって、第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k及び53mの孔部59a、59b、59c、59d、59e、59f、59g、59h、59j、59k及び59m(59a、59d、59e以外図示せず)を介して個別に挟持されている。
【0058】
次に、本実施形態の第2押さえ・第3押さえ機構7について説明する。
【0059】
図7は、第1実施形態の第2押さえ部及び第3押さえ部の平面図であり、
図8は、第2押さえ部の伸長前の状態を示す側面図であり、
図9は、第2押さえ部の伸長後の状態を示す側面図である。
【0060】
第2押さえ・第3押さえ機構7は、第1押さえ部5と同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものであり、本実施形態においては、
図1に示すように、第1のワークW1の下部に第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bの2つの押さえ部を備える。
【0061】
なお、第2押さえ・第3押さえ機構7の後述する第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bの配置位置及び配置台数は、第1のワークW1の形状に応じて適宜変更可能である。
【0062】
図1及び
図7に示すように、本実施形態の第2押さえ・第3押さえ機構7は、第1のワークW1の下部に第1のワークW1の長手方向に沿って
図1上右側に第2押さえ部7aと、
図1上左側に第3押さえ部7bと、を備える。
【0063】
図7乃至
図9に示すように、第2押さえ部7aは、第1基部11と、第1基部11に対して伸縮する伸縮ロッド15と、その伸縮ロッド15の内部に配置され、伸縮ロッド15を上方へ付勢する圧縮バネ(図示せず)と、第1基部11に対して伸縮ロッド15を伸縮させる第2押さえシリンダ42と、第1基部11の上部に配置され、伸縮ロッド15の上下位置を固定するための第2上下固定用電磁弁28と、伸縮ロッド15の上端に固定された第2基部13と、第2基部13の上部に配置され、後述する第2押さえ吸引部46の首振りを固定するための首振り固定用電磁弁26と、首振り固定用電磁弁26の上部に配置され、伸縮自在の伸縮部17と、伸縮部17の上部に配置された第2押さえ吸引部46(本発明の「第2のプレート」に相当)と、を備える。
【0064】
上述のように構成された第2押さえ部7aは、先ず、第2押さえシリンダ42によって、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を-Y方向に下降させ、その後、第2上下固定用電磁弁28によって、圧縮バネが圧縮した状態で伸縮ロッド15を下降位置で固定する。
【0065】
その際、第2首振り固定用電磁弁26は、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を固定していても良いが、その後の工程を考慮すれば、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を固定せずに、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46が首振り自在の状態とする方が良い。
【0066】
なお、
図8は、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46が下降した状態を図示している。
【0067】
その後、第2押さえシリンダ42が伸縮ロッド15との接続を解除された後、第2上下固定用電磁弁28が解除されると、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46は、圧縮バネの力によって+Y方向に上昇する。
【0068】
図9は、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46が上昇した状態を図示している。
【0069】
また、第2押さえ部7aは、
図7に示すように、右載置台88bの近傍に配置された第2押さえ用スライドモータ22と、右載置台88bの内部に配置されたボールねじとを使用して、第2押さえ用スライドモータ22のモータ軸に固定されたモータギアの回転力がボールねじに伝達され、載置台88に固定された右載置台88b上を+X方向または-X方向に移動可能に構成されている。
【0070】
また、第3押さえ部7bは、第1基部に対して伸縮ロッドを伸縮させる第3押さえシリンダ44と、伸縮部の上部に配置された第3押さえ吸引部48(本発明の「第2のプレート」に相当)と、を除けば、第2押さえ部7aと同様の構造を備える。
【0071】
第3押さえ部7bも、第2押さえ部7aと同様に、第3押さえシリンダ44によって、第2基部(図示せず)、第3首振り固定用電磁弁30、伸縮部(図示せず)及び第3押さえ吸引部48を-Y方向に下降させ、その後、第3上下固定用電磁弁40によって、圧縮バネが圧縮した状態で伸縮ロッドを下降位置で固定する。
【0072】
その際、第3首振り固定用電磁弁30は、伸縮部及び第3押さえ吸引部48を固定していても良いが、その後の工程を考慮すれば、伸縮部及び第3押さえ吸引部48を固定せずに、伸縮部及び第3押さえ吸引部48が首振り自在の状態とする方が良い。
【0073】
その後、第3押さえシリンダ44が伸縮ロッドとの接続を解除された後、第3上下固定用電磁弁40が解除されると、第2基部、第3首振り固定用電磁弁30、伸縮部及び第3押さえ吸引部48は、圧縮バネの力によって+Y方向に上昇する。
【0074】
また、第3押さえ部7bは、
図7に示すように、左載置台88aの近傍に配置された第3押さえ用スライドモータ24と、左載置台88aの内部に配置されたボールねじとを使用して、第3押さえ用スライドモータ24のモータ軸に固定されたモータギアの回転力がボールねじに伝達され、載置台88に固定された左載置台88a上を+X方向または-X方向に移動可能に構成されている。
【0075】
次に、本実施形態のワーク接続装置1のブロック図について説明する。
【0076】
図10は、本実施形態のワーク接続装置のブロック図であり、
図11は、本実施形態のワーク接続装置のメインコントローラのブロック図である。
【0077】
図10において、ワーク接続装置1は、電源6に電気的に接続されたメインコントローラ10と、そのメインコントローラ10に電気的に接続され、第2押さえ用シリンダ42、第3押さえ用シリンダ44、第2押さえ吸引部46及び第3押さえ吸引部48を駆動するためのエアコンプレッサー4と、メインコントローラ10に電気的に接続され、溶着機用多関節ロボット9及び第1押さえ用多関節ロボット3を制御するためのロボットコントローラ12と、超音波振動子20を駆動するための溶着機ドライバー14と、第2押さえスライドモータ22及び第3押さえスライドモータ24を駆動するためのモータドライバー16と、第2首振り固定用電磁弁26、第2上下固定電磁弁28、第3首振り固定用電磁弁30及び第3上下固定用電磁弁40を駆動するための電磁弁ドライバー18と、装置の操作者からの入力を受け付ける操作パネル2とを備える。
【0078】
なお、メインコントローラ10、溶着機ドライバー14、モータドライバー16及び電磁弁ドライバー18は、制御装置8内に収納されている。
【0079】
また、
図11において、メインコントローラ10は、CPU(中央演算処理装置)38と、そのCPU38に入出力可能に接続されたRAM(Random Access Memory)50と、CPU38に入出力可能に接続されたROM(Read Only Memory)60とを備える。
【0080】
RAM50は、第2のワークW2を第1のワークW1に接続するための接続位置、その接続位置における傾斜情報(傾斜方向及び傾斜角度)及び接続順序を記憶した接続処理手順データテーブル50aと、第1押さえ部5の現在状態を記憶した第1押さえ現在状態データテーブル50bと、第2押さえ部7aの現在状態を記憶した第2押さえ現在状態データテーブル50cと、第3押さえ部7bの現在状態を記憶した第3押さえ現在状態データテーブル50dと、を備える。
【0081】
また、ROM60は、本実施形態のワーク接続装置1全体の動作を司る接続処理プログラム60aと、第1押さえ部5の使用する面を選択するための第1押さえ部選択プログラム60bと、第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bの動作を司る第2押さえ部等動作プログラム60cと、を備える。
【0082】
次に、上述した構成のワーク接続装置1の動作について説明する。
【0083】
図12は、本実施形態のワーク接続装置における接続処理プログラムのフローチャートであり、
図13は、本実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部選択プログラムのフローチャートであり、
図14は、本実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部等動作プログラムのフローチャートである。
【0084】
また、
図15は、本実施形態のワーク接続装置における第1押さえ部の第1段階の状態を示す図であり、
図16は、その第1押さえ部の第2段階の状態を示す図であり、
図17は、第1押さえ部の最終段階の状態を示す図であり、
図18は、
図17のB部拡大図である。
【0085】
また、
図19は、第1押さえ部が第1のワークの他の部分を押さえた状態を示す図である。
【0086】
本実施形態のワーク接続装置1は、前述した通り、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0087】
先ず、ワーク接続装置1の操作者は、装置を動作させる前に、第1のワークW1を載置台88にセットし、第2のワークW2を第1のワークW1の接続箇所にセットする。
【0088】
その後、装置の操作者が、電源スイッチを入れた後、操作パネル2上の操作ボタンによって第2のワークW2の接続個数及び接続手順を入力してスタートボタンを押下すると、
図12に示されるように、ワーク接続装置1は、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を初期位置に移動させ(S1)、接続処理手順データテーブル50aから、第2のワークW2を第1のワークW1に接続するための接続順序を読み取るとともに(S3)、最初の第2のワークW2の接続位置を読み取り(S5)、第1押さえ部選択プログラムが実行される(S7)。
【0089】
第1押さえ部選択プログラムでは、
図13に示されるように、第1押さえ現在状態データテーブル50bから、第1押さえ部5の現在状態(最初は初期状態)を読み取り(S41)、接続処理手順データテーブル50aから次回の押さえ位置(ここでは、最初の第2のワークW2の接続位置Pdに対向する第1のワークW1の裏面位置とする)を読み取り(S43)、次回の押さえ位置(最初の第2のワークW2の接続位置Pdに対向する第1のワークW1の裏面位置)の傾斜情報を読み取る(S45)。
【0090】
そして、第1押さえ部5の現在状態(初期状態)、次回の押さえ位置(最初の第2のワークW2の接続位置Pdに対向する第1のワークW1の裏面位置)、及び次回の押さえ位置(最初の第2のワークW2の接続位置に対向する第1のワークW1の裏面位置)の傾斜情報に基づいて、次回の押さえ位置における第1押さえ部5の第1のプレート(ここでは、53mが選択されたものとする)が選択され(S47)、接続処理プログラムに戻る(S49)。
【0091】
なお、本実施形態の第1押さえ部5は、第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続されているため、あらゆる角度に移動可能であり、次回位置の押さえ位置における第1のプレートの選択は、1つに限られない場合もある。
【0092】
しかしながら、そのような場合であっても、移動する距離、回転する角度量を考慮して、最適な1つの第1のプレートが選択される。
【0093】
なお、本実施形態では、説明の都合上、上述のように、最初の第2のワークW2の接続位置をPdとし、第1押さえ選択プログラムによって、最初に第1のプレート53mが選択されたものとして説明する。
【0094】
また、
図15は、溶着機用多関節ロボット9の超音波振動子20及び第1押さえ用多関節ロボット3の第1押さえ部5が第1のワークW1及び第2のワークW2に当接する前の状態を示している。
【0095】
接続処理プログラムに戻り、S49の処理が完了すると、選択された第1押さえ部5の第1のプレート55mを第1のワークW1の接続位置Pdの裏面に当接させ(S9)、その後、溶着機用多関節ロボット9を動作させて、超音波振動子20と第1押さえ部5の第1のプレート55mとによって、第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の接続位置Pdに第2のワークW2を超音波溶着させる(S11)。
【0096】
なお、
図16は、超音波振動子20を第1のワークW1の接続位置Pdから離間させた状態で、選択された第1押さえ部5の第1のプレート5mを第1のワークW1の接続位置Pdの裏面に当接させた状態を示しており、
図17及び
図18は、その後、溶着機用多関節ロボット9を動作させて、超音波振動子20と第1押さえ部5の第1のプレート5mとによって、第1のワークW1と第2のワークW2とを付勢して、第1のワークW1の接続位置Pdに第2のワークW2を超音波溶着させた状態を示している。
【0097】
一方、第1押さえ選択プログラムによって、第1押さえ部5の第1のプレート55eが選択され、その第1のプレート55eを第1のワークW1の他の接続位置の裏面に当接させ、その後、溶着機用多関節ロボット9を動作させて、超音波振動子20と第1押さえ部5の第1のプレート55eとによって、第1のワークW1の他の接続位置に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の接続位置に第2のワークW2を超音波溶着させた状態を
図19に示している。
【0098】
超音波溶着後、超音波振動子20と第1押さえ部5の第1のプレート5mとを離間させ(S13)、第1押さえ部5による接続がすべて終了したか否かが判断され(S15)、第1押さえ部5による接続がすべて終了していないと判断された場合には(S15:No)、接続処理手順データテーブル50aから次の第2のワークW2の接続位置を読み取り(S17)、S7乃至S15の処理を繰り返す。
【0099】
一方、第1押さえ部5による接続がすべて終了していると判断された場合には(S15:Yes)、接続処理手順データテーブル50aから次の第2のワークW2の接続位置(ここでは、第2のワークW2の接続位置Pcに対向する第1のワークW1の裏面位置とする)を読み取り(S19)、その接続位置により近い第2押さえ部7aまたは第3押さえ部7bが選択され(S21)、第2押さえ部等動作プログラムが実行される(S23)。
【0100】
なお、本実施形態では、説明の都合上、S21の処理によって第2押さえ部7aが選択されたものとして説明するが、第3押さえ部7bが選択された場合においても、当接する位置が異なる以外は、後述する第2押さえ部7aの動作と同様である。
【0101】
また、本実施形態では、上述のように、第2のワークW2の接続位置をPcとして説明する。
【0102】
図20は、本実施形態のワーク接続装置における第2押さえ部の第1段階の状態を示す図であり、
図21は、第2押さえ部の第2段階の状態を示す図であり、
図22は、第2押さえ部の最終段階の状態を示す図である。
【0103】
また、
図23は、本実施形態の第2押さえ部が第1のワークの水平面に当接した状態を示す側面図であり、
図24は、第2押さえ部が第1のワークの傾斜面に当接した状態を示す側面図である。
【0104】
第2押さえ部等動作プログラムでは、
図14に示されるように、選択された第2押さえ部7aを、第2押さえ用スライドモータ22を使用して接続位置Pcの下方まで移動させ(S51)、第2上下固定用電磁弁28を解除し、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を、圧縮バネの力によって+Y方向(
図8参照)に上昇させ(S53)、第2押さえ吸引部46を第1のワークW1の裏面に当接させる(S55)。
【0105】
なお、
図20は、溶着機用多関節ロボット9の超音波振動子20及び第2押さえ・第3押さえ機構7の第2押さえ部7aが第1のワークW1及び第2のワークW2に当接する前の状態を示しており、
図21は、第2押さえ・第3押さえ機構7の第2押さえ部7aを第1のワークW1の接続位置Pcの裏面に当接させた状態を示している。
【0106】
また、第2押さえ部7aを第1のワークW1の接続位置の裏面に当接させた状態では、第2首振り固定用電磁弁26は解除されており、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46は固定されておらず、首振り自在の状態となっている。
【0107】
したがって、第1のワークW1が水平な平面の場合には、
図23に示されるように、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46は、圧縮バネの力によって第1のワークW1の水平な平面に沿うように当接し、第1のワークW1が傾斜した平面の場合には、
図24に示されるように、第2押さえ吸引部46は、伸縮部17が変形した状態で、圧縮バネの力によって第1のワークW1の傾斜した平面に沿うように当接する。
【0108】
そして、第2押さえ吸引部46を第1のワークW1の裏面に当接させた後(S55)、第2上下固定用電磁弁28によって、伸縮ロッド15を当接状態のままで固定し、第2首振り固定用電磁弁26によって、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を当接状態のままで固定し(S57)、接続処理プログラムに戻る(S59)。
【0109】
この際、第2押さえ吸引部46をエアコンプレッサー4によって吸引し、第1のワークW1と第2押さえ吸引部46との密着度を向上させても良い。その場合には、第2押さえ部7aを第1のワークW1に、より強固に固定することができる。
【0110】
また、第3押さえ部7bを使用する場合には、第3押さえ吸引部48をエアコンプレッサー4によって吸引し、第1のワークW1と第3押さえ吸引部48との密着度を向上させても良い。その場合にも、第2押さえ部7a同様に、第3押さえ部7bを第1のワークW1に、より強固に固定することができる。
【0111】
接続処理プログラムに戻り、S59の処理が完了すると、溶着機用多関節ロボット9を動作させて、超音波振動子20と第2押さえ部7aの第2押さえ吸引部46とによって、第1のワークW1に第2のワークW2と付勢して、第1のワークW1の接続位置Pcに第2のワークW2を超音波溶着させる(S25)。
【0112】
なお、
図22は、溶着機用多関節ロボット9を動作させて、超音波振動子20と第2押さえ部7aの第2押さえ吸引部46とによって、第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の接続位置Pcに第2のワークW2を超音波溶着させた状態を示している。
【0113】
超音波溶着後、超音波振動子20と第2押さえ部7aの第2押さえ吸引部46とを離間させ(S27)、第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bによる接続がすべて終了したか否かが判断され(S29)、第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bによる接続がすべて終了していないと判断された場合には(S29:No)、接続処理手順データテーブル50aから次の第2のワークW2の接続位置を読み取り(S31)、S21乃至S29の処理を繰り返す。
【0114】
一方、第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bによる接続がすべて終了していると判断された場合には(S29:Yes)、処理を終了する(S33)。
【0115】
なお、第3押さえ部7bが選択された場合には、第2押さえ部7aと同様、先ず、選択された第3押さえ部7bを、第3押さえ用スライドモータ24を使用して接続位置の下方まで移動させ、第3上下固定用電磁弁40を解除し、第2基部13、第3首振り固定用電磁弁30、伸縮部17及び第3押さえ吸引部48を、圧縮バネの力によって+Y方向(
図8参照)に上昇させ、第3押さえ吸引部48を第1のワークW1の裏面に当接させる。
【0116】
そして、第3押さえ吸引部48を第1のワークW1の裏面に当接させた後、第3上下固定用電磁弁40によって、伸縮ロッド15を当接状態のままで固定し、第3首振り固定用電磁弁30によって、伸縮部17及び第3押さえ吸引部48を当接状態のままで固定することとなる。
【0117】
本実施形態のワーク接続装置1によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体51と、を備えているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な支持体51を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0118】
また、本実施形態のワーク接続装置1によれば、支持体51を、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k及び53mとしたので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な第1のプレートを選択して当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を効率良く接続することができる。また、1つの第1のプレートが使用できなくなった場合においても、他の第1のプレートを使用することができるため、装置の耐久性を向上させることができる。
【0119】
また、本実施形態のワーク接続装置1によれば、第1押さえ用多関節ロボット3の先端には多面体が接続され、第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k及び53mの各々は、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択して当接させる構造を容易に作製することができる。
【0120】
また、本実施形態のワーク接続装置1によれば、多面体は、開口面51bと、内部に空洞51cとを有し、第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k及び53mの各々は、空洞51cからの締め具58aa(図示せず)、58ba、58ca、58da(図示せず)、58ea、58fa、58ga、58ha、58ja、58ka及び58maによって多面体に挟持され、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択してしっかりと当接させる構造を容易に作製することができる。
【0121】
また、本実施形態のワーク接続装置1によれば、第1のプレート53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53j、53k及び53mは、中央部が突出した平面視円形の突出部57a(図示せず)、57b、57c、57d(図示せず)、57e、57f、57g、57h、57j(図示せず)、57k及び57mを有しているので、溶着時に第1のワークW1の表面及び/または第2のワークW2の表面に発生する歪を防止して、第1のワークW1及び第2のワークW2を含むワーク全体の外観品質を良好にすることができる。
【0122】
さらに、本実施形態のワーク接続装置1によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1のワークW1の裏面に当接可能であって、法線が複数の方向に変更可能な1つの移動可能な第2押さえ吸引部46または第3押さえ吸引部48と、を備え、第2押さえ吸引部46または第3押さえ吸引部48は、第1のワークW1の裏面に当接したときに、法線の方向が固定可能であるので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切に第2押さえ吸引部46または第3押さえ吸引部48を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0123】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0124】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、本実施形態のワーク接続装置21は、第1押さえ部を除けば、第1実施形態のワーク接続装置1と同様であるため、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0125】
図25は、第2実施形態の第1押さえ部の左側面図であり、
図26は、
図25のC-C断面図である。
【0126】
本実施形態のワーク接続装置21も、第1の実施形態のワーク接続装置1と同様に、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0127】
また、本実施形態の第1押さえ部25は、第1実施形態の第1押さえ部5と同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0128】
図25に示すように、本実施形態の第1押さえ部25は、第1押さえ用多関節ロボット3の第5回転軸39に接続された第1の取付け部62と、その第1の取付け部62に一端が接続された長尺の腕部64と、その腕部64の他端に5つの取付け具66a、66b、66c、66d及び66e(66c乃至66eは図示せず)によって接続された第2の取付け部66と、その第2の取付け部66に接続された支持体66とからなる。
【0129】
支持体66は、14枚の略三角形の平板状の第1のプレート63a、63b、63c、63d(図示せず)、63e、63f、63g、63h、63j(図示せず)、63k(図示せず)、63m、63x、63y及び63z(図示せず)からなる多面体からなり、その多面体のうち、63x、63y及び63zを除く各第1のプレートの表面に、第1のプレートの略三角形の外周内に所定厚みの平坦な円板65a(図示せず)、65b、65c、65d(図示せず)、65e、65f、65g、65h、65j(図示せず)、65k(図示せず)及び65mを固定したものである。
【0130】
なお、
図25においては、第1押さえ部25の組付けを解り易くするために、第1プレート63aでは、円板65aが取り付けられる前の状態を図示しているが、実際には、第1プレート63aにおいても、他の第1プレートと同様に、円板65aが装着されている。
【0131】
また、第1のプレート63a、63b、63c、63d、63e、63f、63g、63h、63j、63k、63m、63x、63y及び63zの法線は、各々が異なる方向に向かうように配置されている。
【0132】
支持体66も、第1実施形態の支持体51と同様に、筐体61a(図示せず)によって形成された開口面61b(図示せず)と、多面体の内部に空洞61c(図示せず)とを有し、
図26に示すように、円板65a(図示せず)、65b、65c、65d(図示せず)、65e、65f、65g、65h、65j(図示せず)、65k(図示せず)及び65mの各々は、円板本体65aa、65ba、65ca、65da、65ea、65fa、65ga、65ha、65ja、65ka及び65ma(65ea以外図示せず)と、その円板本体から延びるネジ部65ab、65bb、65cb、65db、65eb、65fb、65gb、65hb、65jb、65kb及び65mb(65eb以外図示せず)とからなる。
【0133】
そして、円板65a(図示せず)、65b、65c、65d(図示せず)、65e、65f、65g、65h、65j(図示せず)、65k(図示せず)及び65mの各々は、空洞61cからの締め具68aa、68ba、68ca、68da、68ea、68fa、68ga、68ha、68ja、68ka及び68ma(68ea以外図示せず)及び座金68ab、68bb、68cb、68db、68eb、68fb、68gb、68hb、68jb、68kb及び68mb(68eb以外図示せず)によって、第1のプレート第1のプレート63a、63b、63c、63d、63e、63f、63g、63h、63j、63k及び63mの孔部69a、69b、69c、69d、69e、69f、69g、69h、69j、69k及び69m(69e以外図示せず)を介して個別に挟持されている。
【0134】
そして、本実施形態の第1押さえ部25は、円板65a、65b、65c、65d、65e、65f、65g、65h、65j、65k及び65mのうち、上述の第1押さえ部選択プログラムによって選択された円板が第1のワークW1の裏面に当接する。
【0135】
本実施形態のワーク接続装置21によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体66と、を備えているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な支持体66を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0136】
また、本実施形態のワーク接続装置21によれば、支持体66を、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレート63a、63b、63c、63d、63e、63f、63g、63h、63j、63k及び63mとしたので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な第1のプレートを選択して当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を効率良く接続することができる。また、1つの第1のプレートが使用できなくなった場合においても、他の第1のプレートを使用することができるため、装置の耐久性を向上させることができる。
【0137】
また、本実施形態のワーク接続装置21によれば、第1押さえ用多関節ロボット3の先端には多面体が接続され、第1のプレート63a、63b、63c、63d、63e、63f、63g、63h、63j、63k及び63mの各々は、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択して当接させる構造を容易に作製することができる。
【0138】
さらに、本実施形態のワーク接続装置21によれば、多面体は、開口面61b(図示せず)と、内部に空洞61c(図示せず)とを有し、円板65a、65b、65c、65d、65e、65f、65g、65h、65j、65k及び65mの各々は、空洞61cからの締め具68aa、68ba、68ca、68da、68ea、68fa、68ga、68ha、68ja、68ka及び68ma(68ea以外図示せず)によって第1のプレート63a、63b、63c、63d、63e、63f、63g、63h、63j、63k及び63mに挟持され、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択してしっかりと当接させる構造を容易に作製することができる。
【0139】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0140】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、本実施形態のワーク接続装置61は、第1押さえ部を除けば、第1実施形態のワーク接続装置1と同様であるため、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0141】
図27は、第3実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【0142】
本実施形態のワーク接続装置61も、第1の実施形態のワーク接続装置1と同様に、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0143】
また、本実施形態の第1押さえ部45は、第1実施形態の第1押さえ部5と同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0144】
図27に示すように、本実施形態の第1押さえ部45は、第1押さえ用多関節ロボット3の第5回転軸39に接続された第1の取付け部72と、その第1の取付け部72に一端が接続された長尺の腕部74と、その腕部74の他端に5つの取付け具76a、76b、76c、76d及び76e(76c乃至76eは図示せず)によって接続された第2の取付け部76と、その第2の取付け部76に接続された支持体77とからなる。
【0145】
支持体77は、14枚の略三角形の平板状の第1のプレート73a、73b、73c、73d(図示せず)、73e、73f、73g、73h、73j(図示せず)、73k(図示せず)、73m(図示せず)、73x、73y及び73z(図示せず)からなる多面体からなる。
【0146】
また、第1のプレート73a、73b、73c、73d、73e、73f、73g、73h、73j、73k、73m、73x、73y及び73zの法線は、各々が異なる方向に向かうように配置されている。
【0147】
支持体77も、第1実施形態の支持体51と同様に、筐体71a(図示せず)によって形成された開口面71b(図示せず)と、多面体の内部に空洞71c(図示せず)とを有する。
【0148】
そして、本実施形態の第1押さえ部45は、第1のプレート73a、73b、73c、73d、73e、73f、73g、73h、73j、73k及び73mのうち、上述の第1押さえ部選択プログラムによって選択された第1のプレートが第1のワークW1の裏面に当接する。
【0149】
本実施形態のワーク接続装置61によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体77と、を備えているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な支持体77を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0150】
また、本実施形態のワーク接続装置61によれば、支持体77を、法線が複数の方向に向かうように配置された複数の第1のプレート73a、73b、73c、73d、73e、73f、73g、73h、73j、73k及び73mとしたので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な第1のプレートを選択して当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を効率良く接続することができる。また、1つの第1のプレートが使用できなくなった場合においても、他の第1のプレートを使用することができるため、装置の耐久性を向上させることができる。
【0151】
さらに、本実施形態のワーク接続装置61によれば、第1押さえ用多関節ロボット3の先端には多面体が接続され、第1のプレート73a、73b、73c、73d、73e、73f、73g、73h、73j、73k及び73mの各々は、多面体を構成する1つの面に別個に接続されているので、複雑な形状の第1のワークW1に対しても適切な第1のプレートを選択して当接させる構造を容易に作製することができる。
【0152】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0153】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、本実施形態のワーク接続装置71は、第1押さえ部を除けば、第1実施形態のワーク接続装置1と同様であるため、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0154】
図28は、第4実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【0155】
本実施形態のワーク接続装置71も、第1の実施形態のワーク接続装置1と同様に、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0156】
また、本実施形態の第1押さえ部75は、第1実施形態の第1押さえ部5と同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0157】
図28に示すように、本実施形態の第1押さえ部75は、第1押さえ用多関節ロボット3の第5回転軸39に接続された第1の取付け部82と、その第1の取付け部82に一端が接続された長尺の腕部84と、その腕部84の他端に接続された5つの軸86a、86b、86c、86d及び86eと、それら5つの軸86a、86b、86c、86d及び86eの各々の先端に接続された所定厚みの円板状の第1のプレート(本発明の「支持体」に相当)83a、83b、83c、83d及び83eと、それら第1のプレート83a、83b、83c、83d及び83eの各々の表面に配置され、中央部が腕部84に対して放射方向に突出した平面視円形の突出部87a、87b、87c、87d及び87eと、を備える。
【0158】
また、円板状の第1のプレート(本発明の「支持体」に相当)83a、83b、83c、83d及び83eの法線は、各々が異なる方向に向かうように配置されている。
【0159】
そして、本実施形態の第1押さえ部75は、第1のプレート(本発明の「支持体」に相当)83a、83b、83c、83d及び83eのうち、上述の第1押さえ部選択プログラムによって選択された第1のプレート(支持体)が第1のワークW1の裏面に当接する。
【0160】
本実施形態のワーク接続装置71によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体83a、83b、83c、83d及び83eを備えているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な支持体83a、83b、83c、83d及び83eを当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0161】
また、本実施形態のワーク接続装置71によれば、第1のプレート83a、83b、83c、83d及び83eは、法線が複数の方向に向かうように配置されているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切な第1のプレートを選択して当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を効率良く接続することができる。また、1つの第1のプレートが使用できなくなった場合においても、他の第1のプレートを使用することができるため、装置の耐久性を向上させることができる。
【0162】
さらに、本実施形態のワーク接続装置71によれば、第1のプレート83a、83b、83c、83d及び83eは、中央部が突出した平面視円形の突出部87a、87b、87c、87d及び87eを有しているので、溶着時に第1のワークW1の表面及び/または第2のワークW2の表面に発生する歪を防止して、第1のワークW1及び第2のワークW2を含むワーク全体の外観品質を良好にすることができる。
【0163】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0164】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、本実施形態のワーク接続装置81は、第1押さえ部を除けば、第1実施形態のワーク接続装置1と同様であるため、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0165】
図29は、第5実施形態の第1押さえ部の左側面図である。
【0166】
本実施形態のワーク接続装置81も、第1の実施形態のワーク接続装置1と同様に、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0167】
また、本実施形態の第1押さえ部85は、第1実施形態の第1押さえ部5と同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0168】
図29に示すように、本実施形態の第1押さえ部85は、第1押さえ用多関節ロボット3の第5回転軸39に接続された第1の取付け部102と、その第1の取付け部102に一端が接続された長尺の腕部104と、その腕部104の他端に5つの取付け具106a、106b、106c、106d及び106e(106c乃至106eは図示せず)によって接続された第2の取付け部106と、その第2の取付け部106に接続された支持体103と、を備える。
【0169】
また、支持体103は、半球状を呈している。
【0170】
そして、本実施形態の第1押さえ部85は、支持体103の表面の法線が、第1のワークW1の裏面の法線に一致するように当接する。
【0171】
本実施形態のワーク接続装置81によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体103を備えているので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に支持体103を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0172】
(第6実施形態)
最後に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0173】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、本実施形態のワーク接続装置101は、第2押さえ部及び第3押さえ部を除けば、第1実施形態のワーク接続装置1と同様であるため、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0174】
図30は、第6実施形態の第2押さえ部を示す側面図である。
【0175】
本実施形態のワーク接続装置101も、第1の実施形態のワーク接続装置1と同様に、溶着機用多関節ロボット9、第1押さえ用多関節ロボット3及び第2押さえ・第3押さえ機構7を使用することによって、筐体H内に配置された載置台88上に固定された第1のワークW1に第2のワークW2を付勢して接続するものである。
【0176】
また、本実施形態の第2押さえ部7cは、第1実施形態の第2押さえ部7aと同様に、溶着用多関節ロボット9が第2のワークW2を第1のワークW1に溶着する際に、第1のワークW1の裏面を押さえるものである。
【0177】
図30に示すように、第2押さえ部7cは、第1基部11と、第1基部11に対して伸縮する伸縮ロッド15と、その伸縮ロッド15の内部に配置され、伸縮ロッド15を上方へ付勢する圧縮バネ(図示せず)と、第1基部11に対して伸縮ロッド15を伸縮させる第2押さえシリンダ42と、第1基部11の上部に配置され、伸縮ロッド15の上下位置を固定するための第2上下固定用電磁弁28と、伸縮ロッド15の上端に固定された第2基部13と、第2基部13の上部に配置され、後述する第2押さえ吸引部46の首振りを固定するための首振り固定用電磁弁26と、首振り固定用電磁弁26の上部に配置され、伸縮自在の伸縮部17と、伸縮部17の上部に配置された第2押さえ吸引部46(本発明の「第2のプレート」に相当)と、吸引部46に配置された中央部が突出した突出部49と、を備える。
【0178】
上述のように構成された第2押さえ部7cは、第1実施形態の第2押さえ部7aと同様に、先ず、第2押さえシリンダ42によって、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17及び第2押さえ吸引部46を-Y方向に下降させ、その後、第2上下固定用電磁弁28によって、圧縮バネが圧縮した状態で伸縮ロッド15を下降位置で固定する。
【0179】
その後、第2押さえ部等動作プログラムによって、第2押さえ部7cが選択されると、第2押さえ用スライドモータ22を使用して第2押さえ部7cを接続位置の下方まで移動させた後、第2上下固定用電磁弁28を解除し、第2基部13、第2首振り固定用電磁弁26、伸縮部17、第2押さえ吸引部46及び突出部49を、圧縮バネの力によって+Y方向に上昇させ、第2押さえ吸引部46及び突出部49を第1のワークW1の裏面に当接させる。
【0180】
なお、第2押さえ部7cは、
図7に示すように、右載置台88bの近傍に配置された第2押さえ用スライドモータ22と、右載置台88bの内部に配置されたボールねじネジとを使用して、第2押さえ用スライドモータ22のモータ軸に固定されたモータギアの回転力がボールねじネジに伝達され、載置台88に固定された右載置台88b上を+X方向または-X方向に移動可能に構成されている。
【0181】
また、第2押さえ部7cは、第3押さえ部7bに替えて使用することも可能である。
【0182】
本実施形態のワーク接続装置101によれば、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1のワークW1の裏面に当接可能であって、法線が複数の方向に変更可能な1つの移動可能な第2押さえ吸引部46を備え、第2押さえ吸引部46は、第1のワークW1の裏面に当接したときに、法線の方向が固定可能であるので、第1のワークW1が複雑な形状であっても、第1のワークW1の裏面に適切に第2押さえ吸引部46を当接させることができ、延いては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を迅速に接続することができる。
【0183】
また、本実施形態のワーク接続装置101によれば、第2押さえ吸引部46は、中央部が突出した突出部49を備えているので、溶着時に第1のワークW1の表面及び/または第2のワークW2の表面に発生する歪を防止して、第1のワークW1及び第2のワークW2を含むワーク全体の外観品質を良好にすることができる。
【0184】
以上、本発明の実施形態におけるワーク接続装置について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0185】
例えば、上述の実施形態においては、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を超音波溶着する場合を説明してきたが、本発明は、これに限られるものではなく、第2のワークW2を第1のワークに付勢して接続するものであれば、圧着、圧接等を含むあらゆる接続において適用可能である。
【0186】
また、第1実施形態乃至第3実施形態においては、支持体を14面の多面体とし、その多面体を構成する第1のプレートの形状を略三角形として説明してきたが、それに限られるものではなく、多面体は2面以上の多面体であれば良く、一部が湾曲するようなものであっても良い。また、多面体を構成する第1のプレートの形状もどのような形状であっても良い。
【0187】
但し、制御のし易さを考慮すれば、多面体を構成する第1のプレートの形状は、統一された形状とした方が良く、多面体もその統一された形状の第1のプレートで構成した方が良い。
【0188】
また、第6実施形態のおいては、支持体を半球状の形態として説明したが、それに限られるものではなく、例えば、2つ以上の平面がV字状に折られたような形態であっても良い。但し、第1のワークW1を効果的に押圧する観点からは、支持体の表面を半球状のように湾曲形状とするよりも、支持体の表面を平面状に形成する方がより良い。
【0189】
さらに、上述の実施形態において、第2押さえ部7a及び第3押さえ部7bは、直線方向に移動するものとして説明してきたが、それに限られるものではなく、移動方向はワーク接続装置の仕様に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0190】
1,21,61,71,81,101・・・ワーク接続装置
3・・・第1押さえ用多関節ロボット
4・・・エアコンプレッサー
5,25,45,75,85・・・第1押さえ部
7・・・第2押さえ・第3押さえ機構
7a,7c・・・第2押さえ部
7b・・・第3押さえ部
9・・・溶着機用多関節ロボット
12・・・ロボットコントローラ
20・・・超音波振動子
22・・・第2押さえ用スライドモータ
24・・・第3押さえ用スライドモータ
26・・・第2首振り固定用電磁弁
28・・・第2上下固定用電磁弁
30・・・第3首振り固定用電磁弁
40・・・第3上下固定用電磁弁
42・・・第2押さえ用シリンダ
44・・・第3押さえ用シリンダ
46・・・第2押さえ吸引部
48・・・第3押さえ吸引部
49,57,87・・・突出部
51,66,77,83,103・・・支持体
51b・・・開口面
51c・・・空洞
53,63,73,83・・・第1のプレート
55,65・・・円板
58・・・締め具
W1・・・第1のワーク
W2・・・第2のワーク
【要約】
【課題】 ワークが複雑な形状であっても、ワークに部品を迅速に接続することができるワーク接続装置を提供する。
【解決手段】 ワーク接続装置1は、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を付勢して、第1のワークW1の表面に第2のワークW2を接続するものを対象として、特に、第1押さえ用多関節ロボット3と、その第1押さえ用多関節ロボット3の先端に接続され、第1のワークW1の裏面に当接可能な支持体51と、を備える。
【選択図】
図4