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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】自動車ドアパネル用ラッチ
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/26 20140101AFI20241119BHJP
   E05B 81/14 20140101ALI20241119BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
E05B85/26
E05B81/14
B60J5/00 H
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020178004
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022168866
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】1912157
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516364120
【氏名又は名称】ユーシン、フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】ローラン デュリエズ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ドゥブルーケ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・バティスト グリスラン
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第2847888(DE,A1)
【文献】特開2019-70270(JP,A)
【文献】特開2014-159702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0376919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0055181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0350173(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3591152(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト軸の周りを回転できるようになっており、ボルトの第1および第2フックポイントを備えるボルトと
ポール軸の周りを回転できるようになっており、異なる位置にあるポールの第1および第2フックポイントを備えるポールと
ストライカとを備える自動車用ラッチであって、
前記ポール軸および前記ポールの第1フックポイントは、前記ポールの対向する端部にそれぞれ位置し、前記ポールの第2フックポイントは、前記ポールの対向する端部の間の中間部に位置しており、
前記ボルトの第2フックポイントが前記ポールの第2フックポイントに当接し、前記ストライカが前記ボルトによって保持されている完全な閉位置と、
前記ポールの第1フックポイントが前記ボルトの第1フックポイントに当接し、前記ポールの第2フックポイントと前記ボルトの第2フックポイントとは、当接していなく、前記ストライカが前記ボルトによって保持されている部分的閉位置と、
前記ストライカが前記ボルトから解放されている開位置とをとるように構成されていることことを特徴とする自動車用ラッチ。
【請求項2】
前記ポールの第1フックポイントは、前記ポールの第2フックポイントよりも、前記ポール軸から離れていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ラッチ。
【請求項3】
前記ポールの第2フックポイントと前記ポール軸との距離は、前記ポールの第1フックポイントと前記ポール軸(B)との距離の30%~90%、好ましくは50%~80%であることを特徴とする請求項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項4】
前記ボルトは、前記ポールを前記ラッチの開位置に保持するようになっている連続する支持面を備えていることを特徴とする請求項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項5】
前記ボルトの前記支持面は、傾斜路を形成していることを特徴とする請求項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項6】
前記開位置は、前記ボルトの周りを第1の方向に回転することで到達し、前記完全な閉位置は、前記ボルト軸の周りを第2の方向に回転することで到達し、前記支持面は、前記ボルトの第1フックポイントの内面に対して前記ボルト軸の周りに前記第2の回転方向に配置された面に位置していることを特徴とする請求項4に記載の自動車用ラッチ
【請求項7】
前記ポールの第1フックポイントは、第1の自由端を有する面を形成し、前記ポールの第2フックポイントは、第2の自由端を有する第2の面を形成し、
a.開位置において前記ボルト軸を中心とし、前記第1の自由端を通過する円の半径と、
b.開位置において前記ボルト軸を中心とし、前記第2の自由端を通過する円の半径との差、0.1mmから1mmとなっていることを特徴とする請求項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項8】
前記ボルトの第1および第2フックポイントおよび前記ポールの第1および第2フックポイントは、歯のような形状をしていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項9】
前記ボルトの第1フックポイントおよび前記ボルトの第2フックポイントは、前記ボルトのハウジングの各々の側に配置されており、前記ハウジングは、前記ストライカを受け入れるようになっていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項10】
前記ボルトの第1フックポイントおよび前記ボルトの第2フックポイントは、前記ボルトのハウジングに対して同じ側に配置されており、前記ハウジングは、ストライカを受け入れるようになっていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項11】
前記ポールの動きは、電動アクチュエータによって行われることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の自動車用ラッチ。
【請求項12】
請求項1からのいずれか1項に記載の自動車用ラッチを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアパネル用ラッチ、ならびにこのようなラッチを備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のラッチは、自動車のドアパネルに固定して取り付けるようになっており、閉まっている間は、ドアパネルを確実に閉じるために、通常、自動車のフレームに締結されたストライカの周りで旋回するようになっているボルトを備えている。ボルトを逆方向に回転させることにより、ドアパネルを開けることができる。ドアパネルを開ける際の逆方向の回転は、制御手段によってラッチにリンクしている外部または室内ハンドルを動かして行う。たとえば、ボーデンケーブルにより、フック装置を介してボルトを所望の方向に回転させる。
【0003】
ラッチは、ボルトがストライカを保持する閉位置において、ボルトを保持するようになっている回転ポールも備えている。
【0004】
従来技術における公知のラッチでは、ドアパネルの状態に応じて、ボルトは2つのフックポイントを備えており、ポールは、ボルトの2つのフックポイントのそれぞれに当接するようになっている1つのフックポイントを備えている。
【0005】
実際、ポールがボルトの第1フックポイントに当接しているとき、ストライカは、保持されており、ドアパネルが半ドアに対応する部分的閉位置にあり、ポールがボルトの第2フックポイントに当接しているとき、ストライカは、保持されており、ドアパネルは、完全な閉位置にある。
【0006】
最後に、ポールの唯一のフックポイントがボルトの第1および第2のフックポイントのいずれにも当接しなくなると、ストライカは、解放され、ラッチは、ドアパネルの開位置になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ただし、このタイプのラッチには、欠点がある。
【0008】
実際、ポールを、ボルトの第1および第2のフックポイントに当接させて、ラッチを完全な閉位置から部分的閉位置に移動させるため、ポールの半径は、同じである。
【0009】
さらに、完全な閉位置から部分的閉位置に移動するために、トルクがポールの同じ箇所によって生成するという事実により、このようなラッチを開けるための力は、より大きくなってしまう。
【0010】
また、開けるためのトルクは、自動車メーカーによって決められているため、開けるための力、さらにはポールの半径について制限がなされていることとなる。
【0011】
また、ラッチが完全な閉位置から部分的閉位置を通過して開位置に移動することによって生成されるノイズは、例えば、自動車のユーザに悪影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ボルト軸の周りを回転できるようになっているボルトと、ポール軸の周りを回転できるようになっているポールと、ストライカとを備える自動車用ラッチを提供することにより、前述の欠点の少なくとも1つを解決することを目的としており、この自動車用ラッチは、
- ポールがポールの第1フックポイントでボルトに当接し、ストライカがボルトによって保持されている部分的閉位置と、
- ポールの第1フックポイントとは異なる、ポールの第2フックポイントでポールがボルトに当接し、ストライカがボルトによって保持されている完全な閉位置と、
- ストライカがボルトから解放されている開位置とをとるように構成されていることを特徴としている。
【0013】
このポールは、2つのフックポイントを有しており、これにより、ポールの径を、フックポイントごとに2つの異なるものとすることができる。
【0014】
また、ラッチの完全な閉位置から部分的閉位置へのノッチ間の通過が容易になる。実際、ポールの第2フックポイントは、ボルトの第2フックポイントにより近い位置にある。
【0015】
さらに、これにより、完全な閉位置から開位置への通過中に、ラッチによって生ずるノイズを大幅に減らすことができる。
【0016】
さらに、本発明のポールが2つの異なるフックポイントを備えているという事実により、ラッチが完全な閉位置または部分的閉位置にあるとき、ポールの位置は、異なっている。したがって、ポールがボルトを支える範囲は、ラッチのさまざまな位置により変わってくる。ポールがボルトを支える範囲を変えることは、より良い機械的強度を確保するもので、例えば自動車事故の際に、ラッチを構成する部品の変形および/または擦過のリスクが低減する。
【0017】
支える範囲とは、ポールがボルトを支える範囲の長さ、すなわち、ポールと接触するボルトの面および厚さのことである旨を理解することが必要である。
【0018】
最後に、本発明は、電動式開閉ラッチを開ける際の力を低減させることもできる。
【0019】
一実施形態によれば、ボルトは、部分的閉位置で、ポールの第1フックポイントに当接するようになっているボルトの第1フックポイントを備えており、かつ、ボルトは、完全な閉位置で、ポールの第2フックポイントに当接するようになっているボルトの第2フックポイントを備えている。
【0020】
さらに一実施形態によれば、ポールの第1フックポイントは、ポールの第2フックポイントよりも、ポール軸から離れている。
【0021】
特に、ポールの第2フックポイントとポール軸との距離は、ポールの第1フックポイントとポール軸との距離の30%~90%、好ましくは50%~80%である。
【0022】
さらに、ボルトは、ポールをラッチの開位置に保持するようになっている連続する支持面を備えている。
【0023】
1つの可能性によれば、ボルトの支持面は、傾斜路を形成している。
【0024】
別の可能性によれば、ポールの第1フックポイントは、第1の自由端を有する面を形成し、ポールの第2フックポイントは、第2の自由端を有する第2の面を形成し、
a.ボルト軸を中心とし、第1の自由端を通過する円の半径と、
b.ボルト軸を中心とし、第2の自由端を通過する円の半径との差(d)は、0.1mmから1mmとなっている。
【0025】
1つの特徴によれば、フックポイントは、歯のような形状をしている。
【0026】
別の特徴によれば、ボルトの第1フックポイントおよびボルトの第2フックポイントは、ボルトのハウジングの各々の側に配置されており、ハウジングは、ストライカを受け入れるようになっている。
【0027】
一実施形態では、ボルトの第1フックポイントおよびボルトの第2フックポイントは、ボルトのハウジングに対して同じ側に配置されており、ハウジングは、ストライカを受け入れるようになっている。
【0028】
別の実施形態では、開位置は、ボルト軸の周りを第1の方向に回転することで到達し、閉位置は、ボルト軸の周りを第2の方向に回転することで到達し、支持面は、ボルトの第1フックポイントにおけるボルトの第1フックポイントの内面に対してボルト軸の周りに第2の回転方向に配置された面に位置している。
【0029】
さらに別の実施形態では、ポールの動きは、電動アクチュエータによって行われる。
【0030】
本発明はまた、前述の特徴のうちの少なくとも1つを有する自動車用ラッチを備える自動車に関する。
【0031】
本発明を、その理解を容易にする、以下に示す異なる図を通して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】本発明の第1の実施形態による、完全な閉位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図1B】本発明の第1の実施形態による、部分的閉位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図1C】本発明の第1の実施形態による、開位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図2A】本発明の第2の実施形態による、完全な閉位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図2B】本発明の第2の実施形態による、部分的閉位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図2C】本発明の第2の実施形態による、開位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による、開位置にある自動車ドアパネル用ラッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による、完全な閉位置にある自動車ドアパネル用ラッチ1を示している。
【0034】
ラッチ1は、ボルト回転軸Aの周りを回転するようになっているボルト2、ポール回転軸Bの周りを回転するようになっているポール3、およびストライカ(図示せず)を備えている。
【0035】
ボルト2は、ボルトの2つのフックポイントCおよびDを備えており、ポール3は、ポールの2つのフックポイントEおよびFを備えている。
【0036】
本発明のこの第1の実施形態では、ボルトのフックポイントCおよびDは、ボルト2のハウジング4の各々の側に配置されている。ボルト2のくぼみに対応するこのハウジング4は、ラッチ1のストライカを受け入れるようになっている。
【0037】
ボルトの第1フックポイントCの幅は、ボルトの第2フックポイントDの幅よりも広くなっている。
【0038】
ボルト2の第1フックポイントCは、ボルト2のハウジング4の一部を形成しボルト回転軸Aに向かってほぼ延伸しているボルトの第1フックポイントの内面5aと、ボルトの第1フックポイントの内面5aにほぼ平行に延伸しているボルトの第1フックポイントの外面5bとによって形成されており、ボルトの第1フックポイントの内面5aとボルトの第1フックポイントの外面5bとは、支持面6によって接続され、傾斜路を形成している。
【0039】
ポールの第2フックポイントFは、ポールの第1フックポイントEよりも、ポール回転軸Bの近くに位置している。
【0040】
より具体的には、ポールの第2フックポイントFとポール軸Bとの距離は、ポールの第1フックポイントEとポール軸Bとの距離の30%~90%、好ましくは50%~80%である。
【0041】
また、ポール3は、ほぼ「F」のような形状をしている。実際、ポールの各フックポイントEおよびFは、径方向かつポール3の伸長軸に対して直角に延伸している。ポールの第2フックポイントFは、ポールの第1フックポイントEよりも短くなっている。
【0042】
ポールの第1フックポイントEは、ポールの回転軸B側を向いているポールの第1フックポイントの内面7aとポールの回転軸Bの反対側を向いているポールの第1フックポイントの外面8aとを有し、ポールの第2フックポイントFは、ポールの回転軸B側を向いているポールの第2フックポイントの内面7bとポールの回転軸Bの反対側を向いているポールの第2フックポイントの外面8bとを有している。
【0043】
ラッチ1の完全な閉位置では、ポールの第2フックポイントFがボルトの第2フックポイントDに当接し、これにより、ストライカは、ボルト2のハウジング4に完全に保持されている。
【0044】
より具体的には、ボルトの第2フックポイントDは、ポールの第1フックポイントEとポールの第2フックポイントFとの間に配置されている。
【0045】
さらにより具体的には、ボルトの第2フックポイントDは、ポールの第2フックポイントFの外面8bおよびポールの第1のフックポイントEの内面7aに対して配置されている。
【0046】
ボルトの各フックポイントCおよびDならびにポールの各フックポイントEおよびFは、歯のような形状をしている。
【0047】
図1Bは、本発明の第1の実施形態による、部分的閉位置にあるラッチ1を示している。
【0048】
部分的閉位置では、ポールの第1フックポイントEがボルトの第1フックポイントCに当接し、これにより、ストライカは、常にボルト2のハウジング4に保持されている。
【0049】
より具体的には、ボルトの第1フックポイントCに当接しているのは、ポールの第1フックポイントEの外面8aである。
【0050】
さらにより具体的には、ボルトの第1フックポイントの内面5aに当接しているのは、ポールの第1フックポイントEの外面8aである。
【0051】
ポールの第2フックポイントFとボルトの第2フックポイントDとは、当接していない。
【0052】
図1Cは、本発明の第1の実施形態による、開位置にあるラッチ1を示している。
【0053】
ラッチ1の開位置では、ポールの各フックポイントEおよびFは、ボルトの第1フックポイントCを支えている。
【0054】
実際、傾斜路を形成する支持面6は、ボルトの第1フックポイントの内面5aとボルトの第1フックポイントの外面5bとの間に配置されている。
【0055】
ポールの第1フックポイントEの自由端およびポールの第2フックポイントFの自由端は、ボルトの第1フックポイントC、この場合は傾斜路によって形成されている支持面6を支えている。
【0056】
ラッチ1のこの位置では、ストライカは、ボルト2のハウジング4から解放されている。
【0057】
図2Aは、本発明の第2の実施形態による、完全な閉位置にあるラッチ100を示している。
【0058】
図1Aから図1Cに示した本発明の第1の実施形態とは異なり、ボルトの第1フックポイントC’およびボルトの第2フックポイントD’は、ボルト200のハウジング4に対して同じ側に配置されている。
【0059】
実際、第1の実施形態に示した傾斜路を形成する支持面6は、この第2の実施形態では、凹部9を備えており、凹部9の各々の側に、ボルトの第1フックポイントC’およびボルトの第2フックポイントD’を形成している。
【0060】
ラッチ100のこの完全な閉位置では、ポールの第2フックポイントFがボルトの第2フックポイントD’に当接している。こうして、ストライカは、ボルト200のハウジング4に保持されている。
【0061】
図2Bは、本発明の第2の実施形態による、部分的閉位置にあるラッチ100を示している。
【0062】
ラッチ100のこの部分的閉位置では、ポールの第1フックポイントEは、ボルトの第1フックポイントC’に当接している。
【0063】
より具体的には、ポールの第1フックポイントの外面7aは、ボルトの回転軸Aに向かってほぼ延伸している凹部9に開口しているボルトの第1フックポイントの内面5a’と接触している。
【0064】
この部分的閉位置では、ストライカは、常にボルト200のハウジング4に保持されている。
【0065】
ポールの第2フックポイントFとボルトの第2フックポイントD’とは、当接していない。
【0066】
図2Cは、本発明の第2の実施形態による、開位置にあるラッチ100を示している。
【0067】
ラッチ100の開位置では、ポールの第1フックポイントEがボルトの第1フックポイントC’を支えている。
【0068】
より具体的には、ボルトの第1フックポイントの内面5a’と、ボルトの第1フックポイントの内面5a’にほぼ平行に延びるボルトの第1フックポイントの外面5b’との間に構成された傾斜路を形成する支持面6に当接するのは、ポールの第1フックポイントEの自由端である。ボルトの第1フックポイントの内面5a’およびボルトの第1フックポイントの外面5b’は、傾斜路によって接続されている
【0069】
ラッチ100の開位置では、ストライカは、ボルト200から解放されている。
【0070】
図3は、本発明の第1の実施形態による、開位置にあるラッチ1を示している。
【0071】
ボルト軸Aを中心とし、ポールの第2フックポイントFの第2の自由端を通過する第1の円、およびボルト軸Aを中心とし、ポールの第1フックポイントEの第1の自由端を通過する第2の円が示されている。
【0072】
こうして、これらの2つの円は、ラッチ1の開位置における、ポールの第1フックポイントEとポールの第2フックポイントFとの間の接触間隔を示している。
【0073】
この位置では、ボルト軸Aを中心とし、第1の自由端を通過する円の半径と、ボルト軸Aを中心とし、第2の自由端を通過する円の半径との差dは、0.1mmから1mmとなっている。
【0074】
もちろん、この差は、ラッチ100の開位置において、本発明の第2の実施形態にも有効である。
【0075】
次に、本発明の作動について説明する。
【0076】
例えば、人が自分の車のドアを開けるとき、その人は、車のドアパネルのハンドルを引く。このハンドルは、例えば、ボーデンケーブルによってラッチ1、100に連結されている。
【0077】
ハンドルを引く前に、ラッチ1、100は完全な閉位置にあり、したがって、ストライカは、ボルト2、200のハウジング4に保持されている。この場合、ポールの第2フックポイントFは、ボルトの第2フックポイントD、D’に当接している。
【0078】
人がハンドルを引くと、ボーデンケーブルが引かれ、ボルト軸Aの周りを時計回りにボルト2、200が回転して、ボルトの第2フックポイントD、D’がポールの第2フックポイントFから解放され、ポールの第1フックポイントEは、ラッチ1、100の部分的閉位置に対応する、ボルトの第1フックポイントC、C’に当接する。次に、ボルトの第1フックポイントC、C’がポールの第1フックポイントEから解放され、ポール3は、ラッチ1、100の開位置に対応するボルト2、200の傾斜路を形成する支持面6を支えて、ストライカがボルト2、200のハウジング4から解放される。
【0079】
人が車のドアを閉めたいときは、ラッチ1、100によって逆の操作を行う。
【0080】
上記の実施形態のそれぞれにおいて、ポール3の動きは、電動アクチュエータによって行うことができるため、ハンドルは、例えば、ボーデンケーブルによって、ラッチ1、100にリンクされていない。
【0081】
もちろん、本発明の異なる変形例としての、すべての簡単な変更または要素の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1、100 ラッチ
2、200 ボルト
3 ポール
4 ハウジング
5a、5a’ ボルトの第1フックポイントの内面
5b、5b’ ボルトの第1フックポイントの外面
6 支持面
7a ポールの第1フックポイントの内面
7b ポールの第2フックポイントの内面
8a ポールの第1フックポイントの外面
8b ポールの第2フックポイントの外面
9 凹部
A ボルト軸
B ポール軸
C、C’ ボルトの第1フックポイント
D、D’ ボルトの第2フックポイント
E ポールの第1フックポイント
F ポールの第2フックポイント
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3