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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】循環式ケーブルカー
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/00 20060101AFI20241119BHJP
   B61B 9/00 20060101ALI20241119BHJP
   B61B 11/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B61B1/00 Z
B61B9/00 Z
B61B11/00 E
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062350
(22)【出願日】2023-04-06
(65)【公開番号】P2023154423
(43)【公開日】2023-10-19
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】A50221/2022
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ・ヘック
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ドゥール
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/214035(WO,A1)
【文献】特表2023-528161(JP,A)
【文献】特開平08-099631(JP,A)
【文献】特開平05-004578(JP,A)
【文献】実公昭47-016520(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0229966(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0105832(KR,A)
【文献】特開2017-105451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/00- 1/02
B61B 9/00、11/00、12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのケーブルカー駅(2)と、輸送ケーブル(3)によって前記ケーブルカー駅(2)の間を可動である複数のケーブルカー車両(5)とを備える循環式ケーブルカー(1)であって、前記ケーブルカー駅(2)に、前記ケーブルカー車両(5)に乗車するおよび/または前記ケーブルカー車両(5)から降車するための乗客用の少なくとも1つの乗車および/または降車領域(11)がそれぞれ設けられており、各乗車および/または降車領域(11)が、輸送方向(F)で、入線する前記ケーブルカー車両(5)のための入線ゾーン(E)および発車する前記ケーブルカー車両(5)のための発車ゾーン(A)によって画定されている循環式ケーブルカー(1)において、
少なくとも1つのケーブルカー駅(2)の少なくとも1つの乗車および/または降車領域(11)の前記入線ゾーン(E)および/または前記発車ゾーン(A)に、前記輸送方向(F)に対して横方向で対向して配置された内側安全障壁(12a)と外側安全障壁(12b)とからなる一対の安全障壁(12a、12b)が間隔をあけて設けられており、これら一対の安全障壁(12a、12b)が、閉位置から開位置に変位可能であり、これら一対の安全障壁(12a、12b)には、閉位置の状態での前記間隔の部分に、前記ケーブルカー車両(5)が通過するための通過領域(D)が構成されており、前記通過領域(D)内に人が侵入したことを検出可能な検出デバイスが設けられており、前記検出デバイスで、前記通過領域(D)内に人が侵入したことが検出されると、前記ケーブルカー車両(5)を停止させる、または、前記ケーブルカー車両(5)の輸送速度を低下させる、または、アラームを発生させる制御がなされる構成である
ことを特徴とする循環式ケーブルカー(1)。
【請求項2】
前記検出デバイスの少なくとも一部が、前記対向する安全障壁(12a、12b)の少なくとも1つに組み込まれていること、および/または前記検出デバイスの少なくとも一部が、前記ケーブルカー駅(2)の固定建物部分における前記通過領域(D)に存在するケーブルカー車両(5)の横、下、または上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記検出デバイスが、前記通過領域(D)にいる人が検出されたときに第1のセンサ信号(X1)を発生または中断するように構成されている複数の第1のセンサユニット(S1)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記第1のセンサユニット(S1)が、光センサである、ライトバリア、ライトカーテン、もしくはライトグリッドを有する、および/または少なくとも1つの前記第1のセンサユニット(S1)が、モーション検出器である、赤外線センサ、電磁センサ、もしくは音センサを有することを特徴とする請求項3に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記安全障壁(12a、12b)に複数の第2のセンサユニット(S2)が設けられており、前記第2のセンサユニット(S2)が、前記安全障壁(12a、12b)が前記閉位置から前記開位置に変位される場合に第2のセンサ信号(X2)を発生または中断するように構成されており、前記第2のセンサユニット(S2)が、電気スイッチを有することを特徴とする請求項に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項6】
前記循環式ケーブルカー(1)に、前記ケーブルカー車両(5)を駆動するための駆動デバイス(7)と、前記駆動デバイス(7)を制御するための制御ユニット(9)とが設けられており、前記制御ユニット(9)が、前記第1のセンサ信号(X1)および/または前記第2のセンサ信号(X2)を使用して前記駆動デバイス(7)を制御するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項7】
前記制御ユニット(9)が、前記第1および/または前記第2のセンサ信号(X1、X2)の受信時または中断時に、前記駆動デバイス(7)を停止させる、または前記ケーブルカー車両(5)の輸送速度を低下させるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項8】
前記駆動デバイス(7)が、前記輸送ケーブル(3)を駆動するための第1の駆動ユニット(7a)を有し、および/または前記ケーブルカー駅(2)に補助駆動装置(8)が設けられており、前記補助駆動装置(8)が、前記輸送ケーブル(3)から切り離されたケーブルカー車両(5)を前記入線ゾーン(E)から前記発車ゾーン(A)に移動するように構成されており、前記駆動デバイス(7)が、前記補助駆動装置(8)用の第2の駆動ユニット(7b)を有することを特徴とする請求項6に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項9】
前記制御ユニット(9)が、前記循環式ケーブルカー(1)の動作中、ケーブルカー車両(5)が関連の通過領域(D)に存在する時点で、前記複数の第1のセンサユニット(S1)を動作停止するように構成されていること、または前記制御ユニット(9)が、前記循環式ケーブルカー(1)の動作中、ケーブルカー車両(5)が関連の通過領域(D)に存在する時点で、前記複数の第1のセンサユニット(S1)から受信された前記第1のセンサ信号(X1)を無視するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項10】
前記循環式ケーブルカー(1)にアラームユニット(13)が設けられており、前記アラームユニット(13)が、通信接続を介して、第1のセンサユニット(S1)および/または第2のセンサユニット(S2)と直接的または間接的に接続されており、前記アラームユニット(13)が、前記第1および/または第2のセンサ信号(X1、X2)の受信時または中断時にアラーム信号(13a)を発生するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項11】
前記循環式ケーブルカー(1)の少なくとも1つのケーブルカー車両(5)が、複数人用のチェアを有する、および/または前記循環式ケーブルカー(1)の少なくとも1つの前記ケーブルカー車両(5)が、複数人を収容するためのキャビンを有することを特徴とする請求項1または2に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項12】
前記入線ゾーン(E)の前記内側安全障壁(12a)と、前記発車ゾーン(A)の前記内側安全障壁(12a)との間に第1の構造分離体(14)が設けられており、前記第1の構造分離体(14)が、前記乗車および/または降車領域(11)から前記ケーブルカー駅(2)の立入禁止領域(V)への人の立ち入りを遮ることを特徴とする請求項1または2に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項13】
前記入線ゾーン(E)の前記外側安全障壁(12b)と前記発車ゾーン(A)の前記外側安全障壁(12b)との間に第2の構造分離体(15)が設けられており、前記第2の構造分離体(15)が、前記乗車および/または降車領域(11)から前記ケーブルカー駅(2)の環境(U)への人の立ち入りを遮り、前記第2の構造分離体(15)に、乗客用の通行領域(16)が設けられており、前記通行領域(16)が、前記乗車および/または降車領域(11)を前記環境(U)とつなぐことを特徴とする請求項1または2に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項14】
前記通行領域(16)に、前記通行領域(16)を選択的に遮断および解放するためのバリアである自動ドアが設けられていること、ならびに/または前記通行領域(16)に、前記通行領域(16)にいる人を検出するための第2の検出デバイスが設けられていることを特徴とする請求項13に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項15】
前記通行領域(16)の領域内に、前記循環式ケーブルカー(1)のチケットを読み取るための読取装置が設けられており、前記読取装置が、前記チケットの有効性に応じて前記バリアを制御するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項16】
前記輸送方向(F)に対して横方向で見た、前記閉位置に存在する前記安全障壁(12a、12b)の可動部分と、前記通過領域(D)に存在する前記ケーブルカー車両(5)との間の距離(L)が、30cm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の循環式ケーブルカー(1)。
【請求項17】
前記乗車および/または降車領域(11)にいる人が前記安全障壁(12a、12b)を閉位置から開位置に変位させる場合、および/または通過領域(D)にいる人が検出されるときに、前記循環式ケーブルカー(1)の前記駆動デバイス(7)が、前記制御ユニット(9)によって停止される、または前記ケーブルカー車両(5)の前記輸送速度が低下されることを特徴とする請求項6に記載の循環式ケーブルカー(1)を動作させる方法。
【請求項18】
前記乗車および/または降車領域(11)にいる人が前記安全障壁(12a、12b)を前記閉位置から前記開位置に変位させる場合、および/または通過領域(D)にいる人が存在する場合、前記アラームユニット(13)によって、音響および/または視覚および/または電気アラーム信号(13a)が発生される、請求項10に記載の循環式ケーブルカー(1)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのケーブルカー駅と、輸送ケーブルによってケーブルカー駅の間を可動である複数のケーブルカー車両とを備える循環式ケーブルカーであって、ケーブルカー駅に、ケーブルカー車両に乗車するおよび/またはケーブルカー車両から降車するための乗客用の少なくとも1つの乗車および/または降車領域がそれぞれ設けられており、各乗車および/または降車領域が、輸送方向で、入線するケーブルカー車両のための入線ゾーンおよび発車するケーブルカー車両のための発車ゾーンによって画定されている、循環式ケーブルカーに関する。
【背景技術】
【0002】
循環式ケーブルカーは、ウィンタースポーツが行われる地域において、例えば谷駅から山駅まで、2つ以上のケーブルカー駅の間で人を輸送するために、既知の様式でしばしば使用される。しかしまた、循環式ケーブルカーは、都市部での旅客輸送にもますます使用されている。特に地形の悪い都市では、循環式ケーブルカーは、地下鉄、トラム、およびバスなどの既知の輸送手段に対する、費用対効果の高い実用的な代替手段となる。循環式ケーブルカーは、基本的に複数のケーブルカー車両を有し、ケーブルカー車両は、基本的に複数人を収容するためのキャビンまたはチェアを有する。大抵の場合には、ケーブルカー車両がキャビンのみを備えるキャビンリフト、またはケーブルカー車両がチェアのみを有するチェアリフトが使用される。さらに、これら2つの実施形態の組合せ、いわゆる複合リフトもあり、キャビンとチェアとの両方が使用される。
【0003】
ケーブルカー車両は、既知の様式で、輸送ケーブルによって、終点駅の間の閉じた経路に沿って循環運動で移動される。場合によっては、終点駅の間に1つまたは複数の中間駅が設けられていてもよい。いわゆるモノケーブルカーでは、ケーブルカー車両は、懸架されて輸送ケーブルに固定され、輸送ケーブルは、牽引ケーブルと運搬ケーブルの両方として働く。マルチケーブルカー、例えば3Sケーブルカー(3S-Bahn)では、複数の運搬ケーブルと1つの別個の輸送ケーブルとが使用され、輸送ケーブルはここでは駆動用の牽引ケーブルとしてのみ使用される。以下では、簡単にするために、モノケーブルカーの形態でのチェアリフトに言及する。当然、他のすべての循環式ケーブルカーも本発明の範囲内に含まれる。
【0004】
地下鉄ですでに無人運転が行われているのと同様に、最近ではケーブルカーの分野でも、より高度な自動化を達成する取り組みが増えている。特に都市部では、将来的には、完全に操作スタッフなしで実施可能な完全自律動作を可能にするというビジョンがある。従来、利用できるセンサ設備や制御技法により、特に冬の天候条件が頻繁に見られるウィンタースポーツ地域では、これは容易には可能でなかった。また、ウィンタースポーツの装備は扱いにくいことが多いため、ウィンタースポーツ地域では、乗客にかなりの安全上のリスクがあり、したがって、緊急時に介入できる運用スタッフなしでの動作は、従来は考えられなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、乗客の安全性を損なうことなく高度な自動化を可能にする循環式ケーブルカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、少なくとも1つのケーブルカー駅の少なくとも1つの乗車および/または降車領域の入線ゾーンおよび/または発車ゾーンに、輸送方向に対して横方向で対向して配置された2つの安全障壁が設けられており、安全障壁が、閉位置から開位置に変位可能であり、安全障壁の間に、通過するケーブルカー車両のための通過領域が構成されており、検出デバイスが、通過領域にいる人を検出するために設けられていることによって達成される。それにより、安全障壁の領域における人の無許可の通行を検出することができるだけでなく、通過領域にいる人の検出も可能になる。したがって、現場にいる運用スタッフによる継続的な監視はもはや必要ない。
【0007】
検出デバイスの少なくとも一部が、対向する安全障壁の少なくとも1つに組み込まれている場合、および/または検出デバイスの少なくとも一部が、ケーブルカー駅の固定建物部分に、好ましくは、通過領域に存在するケーブルカー車両の横、下、または上に配置されている場合が有利である。特に安全障壁への検出デバイスの組込み時に、省スペースであり、高い費用対効果であり、簡単に取り付けることができる解決策を提供することができる。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの検出デバイスは、通過領域にいる人が検出されたときに第1のセンサ信号を発生または中断するように構成されている複数の第1のセンサユニットを有する。ここで、少なくとも1つの第1のセンサユニットが、光センサ、好ましくはライトバリア、ライトカーテン、もしくはライトグリッドを有する、および/または少なくとも1つの第1のセンサユニットが、モーション検出器、好ましくは赤外線センサ、電磁センサ、もしくは音センサを有すると特に有利である。それにより、人を確実に検出することができる様々な可能性が提供される。当然、異なるセンサタイプの組合せも考えられる。センサタイプに応じて、人の検出は、センサ信号の発生によって行うことができ、またはデッドマンスイッチの場合と同様に既存の信号の中断時に行うことができる。できるだけ大きい領域を特に良好にカバーするために、複数の平行なライトバリアを備えたライトカーテンまたは複数の交差するライトバリアを備えたライトグリッドが有利である。ライトバリア、ライトカーテン、またはライトグリッドは、例えば、通過するケーブルカー車両の下に検出領域が位置するように配置することができ、したがってケーブルカー車両はライトバリア、ライトカーテン、またはライトグリッドによって検知されない。これにより、ケーブルカー車両の輪郭を越えて下に突き出ていることがある乗客の身体部分または物体、例えば所定のフットレストに位置していないスキー板やストックを検出することができる。
【0009】
同様に、少なくとも1つの安全障壁に複数の第2のセンサユニットが設けられており、第2のセンサユニットが、安全障壁が閉位置から開位置に変位される場合に第2のセンサ信号を発生または中断するように構成されており、第2のセンサユニットが、好ましくは電気スイッチを有する場合が有利である。それにより、乗車または降車領域から人が許可なく出たことを確実に認識することができる。
【0010】
有利には、循環式ケーブルカーに、ケーブルカー車両を駆動するための駆動デバイスと、駆動デバイスを制御するための制御ユニットとが設けられており、制御ユニットが、第1のセンサ信号および/または第2のセンサ信号を使用して駆動デバイスを制御するように構成されている。それにより、センサ信号の1つの受信または中断に対する所望の反応、好ましくはケーブルカー車両の停止または輸送速度の低下を自動的にトリガすることができる。それにより、運用スタッフがいない、または注意を払っていない時点でも、人の安全性が確保される。
【0011】
駆動デバイスは、輸送ケーブルを駆動するための第1の駆動ユニットを有してもよく、および/または、ケーブルカー駅に補助駆動装置が設けられていてもよく、補助駆動装置は、輸送ケーブルから切り離されたケーブルカー車両を入線ゾーンから発車ゾーンに移動し、駆動デバイスは、補助駆動装置用の第2の駆動ユニットを有してもよい。それにより、通過領域または安全障壁の領域で人が認識された場合、輸送ケーブルの駆動を停止させることができ、および/または補助駆動装置を停止させることができる。
【0012】
また、制御ユニットは、循環式ケーブルカーの動作中、ケーブルカー車両が関連の通過領域に存在する時点で、複数の第1のセンサユニットを動作停止するように構成されていてもよい、またはケーブルカー車両が関連の通過領域に存在する時点で、複数の第1のセンサユニットから受信された第1のセンサ値を無視するように構成されていてもよい。それにより、ケーブルカー車両が通過領域に存在する場合、検出を中断することができる。
【0013】
さらに、循環式ケーブルカーにアラームユニットが設けられており、アラームユニットが、通信接続を介して、第1のセンサユニットおよび/または第2のセンサユニットと直接的または間接的に接続されており、アラームユニットが、第1および/または第2のセンサ信号の受信時または中断時にアラーム信号を発生するように構成されている場合は有利である。それにより、一方では、運用スタッフに注意喚起し、また、ケーブルカー駅内の他の乗客にも注意喚起することができる。
【0014】
循環式ケーブルカーはチェアリフトとして構成されていてもよく、ケーブルカー車両がそれぞれ複数人用のチェアを有し、またはキャビンとして構成されていてもよく、ケーブルカー車両はそれぞれ複数人を収容するためのキャビンを有する。循環式ケーブルカーは、チェアとキャビンとを備える複合リフトとして構成することもできる。それにより、循環式ケーブルカーは、所望の使用目的および輸送能力に最適に適合させることができる。
【0015】
入線ゾーンの内側安全障壁と発車ゾーンの内側安全障壁との間に第1の構造分離体が設けられており、第1の構造分離体が、乗車および/または降車領域からケーブルカー駅の立入禁止領域への人の立ち入りを遮る場合有利である。さらに、入線ゾーンの外側安全障壁と発車ゾーンの外側安全障壁との間に第2の構造分離体が設けられており、第2の構造分離体が、乗車および/または降車領域からケーブルカー駅の環境への人の立ち入りを遮り、第2の構造分離体に、乗客用の通行領域が設けられており、通行領域が、乗車および/または降車領域を環境とつなぐ場合有利であり得る。したがって、乗車および/または降車領域のすべての側での分離を可能にすることができ、その結果、安全障壁または検出デバイスがかいくぐられるリスクが低減される。
【0016】
さらに、通行領域に、通行領域を選択的に遮断および解放するためのバリア、好ましくは自動ドアが設けられていてもよく、ならびに/または通行領域にいる人を検出するための第2の検出デバイスが設けられていてもよい。通行領域の領域内に、循環式ケーブルカーのチケットを読み取るための読取装置が設けられており、読取装置が、チケットの有効性に応じてバリアを制御するように構成されていることも考えられる。したがって、高度な自動化を達成することができる。
【0017】
輸送方向に対して横方向で見た、閉位置に存在する安全障壁の可動部分と、通過領域に存在するケーブルカー車両との間の距離は、好ましくは50cm未満、特に好ましくは30cm未満である。それにより、安全障壁と、通過領域に存在するケーブルカー車両との間の乗車および/または降車領域を通って人が出る危険が低減される。
【0018】
以下、図1~2を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの図は、本発明の例示的、概略的、非限定的な有利な構成を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】チェアリフトの形態での循環式ケーブルカーの上面図である。
図2】チェアリフトのケーブルカー駅の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の有利な実施形態における循環式ケーブルカー1を示す。循環式ケーブルカー1は、ここではチェアリフトとして設計されており、既知の様式で、2つのケーブルカー駅2を備え、ケーブルカー駅2の間に輸送ケーブル3が閉ループで延びている。ケーブルカー駅2をより良く図示するために、ケーブルカー駅2の間の領域は図示されておらず、中断された輸送ケーブル3によって表されている。長さおよび地形に応じて、ケーブルカー駅2の間に、既知の様式で複数のケーブルカー支持体(図示せず)を設けることができ、そこで輸送ケーブル3が案内される。案内のために、基本的にはいわゆるローラバッテリが設けられ、ローラバッテリはそれぞれ、輸送方向Fで前後に配置された、複数の回転可能に支承されたローラを備える。ケーブルカー駅2にはそれぞれケーブルプーリ4が設けられ、ケーブルプーリ4の周りで、輸送ケーブル3が例えば180°偏向される。
【0021】
さらに、循環式ケーブルカー1には複数のケーブルカー車両5が設けられる。ここではケーブルカー駅2ごとに2つのケーブルカー車両5のみが示されている。ケーブルカー駅2の間にあるケーブルカー車両5の図示は省略されている。循環式ケーブルカー1はチェアリフトとして構成されているので、ケーブルカー車両5はそれぞれ、複数の乗客を収容するためのチェアを備える。チェアは、以前は2~4人を収容するように構成されることが多かったが、現在では基本的には6~8人を収容するように構成され、したがって、より高い輸送能力が実現される。ケーブルカー車両5はそれぞれ懸架機構を備え、懸架機構によって、チェアを懸架して、基本的には取外し可能に輸送ケーブル3に固定可能である。取外し可能な固定のために、大抵は、懸架機構の上端部に、作動可能なケーブルクランプ(図示せず)が設けられる。ケーブルクランプを介して、ケーブルカー車両5を、既知の様式で輸送ケーブル3に摩擦係止で固定することができる。
【0022】
ケーブルカー駅2への入線時、ケーブルクランプを開き、ケーブルカー車両5を輸送ケーブル3から切り離すことができる。それにより、ケーブルカー車両5を制動し、より低速でケーブルカー駅2を通して移動させることができる。ケーブルカー駅2からの発車時、ケーブルカー車両5を輸送ケーブル3の速度まで再び加速し、ケーブルクランプを閉じることによって輸送ケーブル3と再び連結させることができる。切り離された状態でケーブルカー駅2を通してケーブルカー車両5を移動させることができるようにするために、基本的には、ケーブルカー車両5に案内ローラが配置され、ケーブルカー駅2に案内レール6が設けられ、案内レール6に沿ってケーブルカー車両5が案内される。ケーブルクランプの作動は、基本的には、ケーブルカー駅2内の固定作動デバイス(図示せず)、例えば既知の機械的拘束案内機構によって行われる。
【0023】
循環式ケーブルカー1には、ケーブルカー車両5を駆動するための駆動デバイス7も設けられる。駆動デバイス7は、輸送ケーブル3を駆動するために使用される電気機械の形で少なくとも1つの第1の駆動ユニット7aを備えることができる。第1の駆動ユニット7aは、ケーブルカー駅2の少なくとも1つに配置される。さらに、第1の駆動ユニット7aは、それぞれのケーブルカー駅2のケーブルプーリ4を駆動することができる。ケーブルカー駅2内で切り離された状態でケーブルカー車両5を移動させるために、通常、各ケーブルカー駅2に別個の補助駆動装置8が設けられる。したがって、循環式ケーブルカー1の駆動デバイス7は、好ましくは、補助駆動装置8用の少なくとも1つの第2の駆動ユニット7b、例えば電気機械も備える。補助駆動装置8は、既知の様式で複数の車輪(図示せず)を備え、車輪を案内レール6に沿って配置して、第2の駆動ユニット7bによって駆動させることができる。ケーブルカー車両5には、適切な摩擦ライニングを設けることができ、摩擦ライニングと、ケーブルカー車両5を駆動するための車輪が相互作用する。
【0024】
駆動デバイス7は、適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えることができる制御ユニット9によって制御される。制御ユニット9は、例えば、ケーブルカー駅にすでに存在し得る制御室10に、またはケーブルカー駅2の別の適切な場所に配置することができる。制御ユニット9は、ケーブルカー車両5を輸送方向Fに移動させるために駆動デバイス7を制御するように構成される。ケーブルカー駅2の間の自由経路において、輸送方向Fは、輸送ケーブル3の進路によって規定される。ケーブルカー駅2内では、輸送方向Fは、案内レール6の進路によって規定される。ここで、制御ユニット9は、第1の駆動ユニット7aおよび第2の駆動ユニット7bに接続されている。
【0025】
図示の例では、左側のケーブルカー駅2が谷駅、右側のケーブルカー駅2が山駅である。左側のケーブルカー駅2には、乗客がケーブルカー車両5に乗車することができる乗車領域11が設けられ、右側のケーブルカー駅2には、乗客がケーブルカー車両5から降車することができる降車領域11が設けられている。乗車領域11および降車領域11は斜線で示されている。当然、これは単に例として理解されるべきであり、乗車と降車の両方のために設けられている複合の乗車/降車領域11も当然設けられていてもよい。これは、特にキャビンリフトの場合に当てはまる。当然、同様に、乗車専用の別個の乗車領域11と降車専用の別個の降車領域11とを、例えば輸送方向Fで前後に、同じケーブルカー駅2内に配置することもできる。乗車領域11と降車領域11とは、例えば互いに直接隣接する、または互いに離間することができる。
【0026】
各乗車領域11は、輸送方向Fで、乗車領域11に入線するケーブルカー車両5のための入線ゾーンEと、乗車領域11から発車するケーブルカー車両5のための発車ゾーンAとによって画定される。同様に、各降車領域11は、輸送方向Fで、降車領域11に入線するケーブルカー車両5のための入線ゾーンEと、降車領域11から発車するケーブルカー車両5のための発車ゾーンAとによって画定される。したがって、乗車/降車領域11は、乗客がいてもよいケーブルカー駅2の領域として理解されるべきである。安全上の理由から、乗車/降車領域11以外のケーブルカー駅2の領域への乗客の立ち入りは許可されない。
【0027】
少なくとも1つのケーブルカー駅2の少なくとも1つの乗車および/または降車領域11の入線ゾーンEおよび/または発車ゾーンAに、輸送方向Fに対して横方向で対向して配置された2つの安全障壁12a、12bが設けられており、これらは、閉位置から開位置に変位可能である。安全障壁12a、12bの間に、通過するケーブルカー車両5のための通過領域Dが構成されており、検出デバイスが、通過領域Dにいる人を検出するために設けられている。図示の例では、左側のケーブルカー駅2の乗車領域11の入線ゾーンEおよび発車ゾーンAにそれぞれ1つずつ、2つの安全障壁12a、12bが設けられており、右側のケーブルカー駅2の降車領域11の入線ゾーンEおよび発車ゾーンAにそれぞれ1つずつ、2つの安全障壁12a、12bが設けられている。さらに、4つの通過領域Dのそれぞれに、それぞれの通過領域Dにいる人を検出するための検出デバイスが設けられている。さらなる詳細は、図2を参照して以下でより詳細に述べる。
【0028】
図2に、ケーブルカー駅2が斜視図で示されている。図示されるケーブルカー駅2は、図1での左側のケーブルカー駅に対応する。安全障壁12a、12bはそれぞれ、静止部分と、静止部分に対して可動の部分とを有する。静止部分は、例えば垂直な支柱を有してもよく、可動部分は、例えばヒンジによって支柱に関節接続された可動仕切要素をゆうしてもよい。静止部分は、例えばケーブルカー駅2の床に固定することができ、または場合によってはケーブルカー駅2の固定建物構造に固定することもできる。閉位置では、2つの対向する安全障壁12a、12bの2つの可動部分は、互いに向かい合い、図1に示されるように本質的に平行であり、好ましくは面一である。
【0029】
検出デバイスは、対向する安全障壁12a、12b、例えば静止部分に組み込むことができ、またはケーブルカー駅2の固定建物部分、好ましくは通過領域Dに存在するケーブルカー車両5の横、下、または上に配置することもできる。具体的な構成は、例えば、使用される検出デバイスのタイプおよび循環式ケーブルカー1の使用目的に応じて決まる。例えば、チェアリフトの場合、地面が雪で覆われているので地面への配置は好ましくないが、都市での用途では地面への配置が有利であり得る。
【0030】
好ましくは、輸送方向Fに対して横方向で見た、安全障壁12a、12b(特に可動部分)と、関連の通過領域Dに存在するケーブルカー車両5との間の距離Lは、50cm未満、好ましくは30cm未満である。これにより、ケーブルカー車両5と閉じた安全障壁12a、12bとの間の隙間を人が通り抜けることが妨げられる。これにより、例えば通過領域Dでケーブルカー車両5が停止されることにより、例えば動作時間外でも通行を遮ることができる。
【0031】
検出デバイスはそれぞれ、第1のセンサユニットS1(概略的に示される)を有し、第1のセンサユニットS1は、割り当てられた通過領域Dで人が検出されたときに第1のセンサ信号X1を発生するように構成される。代替として、第1のセンサユニットS1は、人が検出されたときに既存のセンサ信号X1を中断することもできる。第1のセンサユニットS1は、例えば、光センサ、好ましくはライトバリア、ライトカーテン、またはライトグリッドを有してもよい。代替としてまたは追加として、第1のセンサユニットS1は、モーション検出器、好ましくは赤外線センサ、電磁センサ、または音センサを有してもよい。原則として、人を検出するのに適しており、予想される気象条件に耐えられる任意のセンサが使用され得る。
【0032】
ライトバリアは、既知の様式で、送信機としての光ビーム源(例えば複数の発光ダイオードまたは赤外線発光ダイオードを備えた)と、受信機としてのセンサ(例えば複数のフォトダイオードを備えた)とを有する。ライトバリアは、送信機と受信機とが対向して配置された一方向ライトバリアとして構成されていてもよい。ライトバリアは、反射型ライトバリアとして構成されていてもよく、この場合、送信機と受信機とが隣り合わせに配置され、光ビームは、対向する適切な反射要素(例えばミラー)によって受信機の方向に反射される。本発明の範囲内では、ライトバリアは、単一の光ビームを有する。ライトカーテンおよびライトグリッドも本質的に同じ機能を有するが、複数の光ビームを有する。例えば、ライトカーテンは、平行な光ビームを有する複数のライトバリアを有し得る。さらに、ライトグリッドは、平行でない光ビーム、例えば複数の水平な光ビームおよび複数の垂直な光ビームを有するさらなるライトバリアを有し得る。一般に、光ビームの数を増加させることによって、通過領域でのより広い面積がカバーされ得る。
【0033】
図2に図示される例では、例えば、光ビームによってカバーされる検出領域が、通過領域D内で通過するケーブルカー車両5の下にのみあるように、ライトバリアまたはライトカーテンは入線ゾーンEおよび/または発車ゾーンAに配置されていてもよい。それにより、通過するケーブルカー車両はライトバリアまたはライトグリッドによって検知されず、ケーブルカー車両の輪郭を越えて検出領域へ下に突き出ている物体または身体部分があれば、それのみが検知される。このために、ライトバリアまたはライトカーテンは、例えば、対向する安全障壁12a、12bの下側領域に、例えばそれぞれ静止部分に配置することができる。
【0034】
安全障壁12a、12bにはそれぞれ、(概略的に示される)第2のセンサユニットS2が設けられ、第2のセンサユニットS2は、安全障壁12a、12b、特に可動部分が閉位置から開位置に変位されるときに第2のセンサ信号X2を発生するように構成される。単純な実施形態では、第2のセンサユニットS2は、例えば、可動部分が閉位置から動かされるとすぐにトリガされる電気スイッチ、例えば接触スイッチを有してもよい。当然、ここでも任意の他の適切なセンサが使用され得る。この場合にも、安全障壁12a、12bが作動されるとき、第2のセンサユニットS2は、既存のセンサ信号X2を中断することができる。
【0035】
第1のセンサユニットS1および第2のセンサユニットS2は、適切な(有線または無線)通信接続を介して循環式ケーブルカー1の制御ユニット9に接続されている。制御ユニット9は、循環式ケーブルカー1の駆動デバイス7を制御するために第1のセンサ信号X1および/または第2のセンサ信号X2を使用するように構成される。既述のように、駆動デバイス7は、好ましくは、輸送ケーブル3を駆動するための第1の駆動ユニット7aを有し、各ケーブルカー駅2に、補助駆動装置8のための第2の駆動ユニット7bを有する。制御ユニット9は、好ましくは、第1のセンサユニットS1からの少なくとも1つの第1のセンサ信号X1を受信した場合、および/または第2のセンサユニットS2からの少なくとも1つの第2のセンサ信号X2を受信した場合(または代替として、一方もしくは両方の信号X1、X2の中断時に)、駆動デバイス7(例えば第1および/または第2の駆動ユニット7a、7b)を停止させる、またはケーブルカー車両5の輸送速度を低下させるように構成されている。
【0036】
第1のセンサユニットS1は、例えば不連続に動作させることができる。制御ユニット9は、例えば、ケーブルカー車両5が関連の通過領域Dを通過する時点で、第1のセンサユニットS1を自動的に動作停止するように構成されていてもよい。これにより、ケーブルカー車両5が通過領域Dを通過したときに第1のセンサユニットS1が第1のセンサ信号X1を発生し、第1のセンサ信号X1が循環式ケーブルカー1の制御(停止または減速)に誤って使用されることを回避することができる。これに対する代替として、第1のセンサユニットS1を連続的に動作させることもできる。制御ユニット9は、ケーブルカー車両5が関連の通過領域Dを通過する時点で受信される第1のセンサ信号X1を、例えば制御ユニット9に格納されている適切なアルゴリズムによって自動的に無視するように構成されていてもよい。これらの時点は、本質的に、循環式ケーブルカー1の具体的な構成(例えば、ケーブルカー車両5のタイプまたは長さ、およびケーブルカー車両5間の距離)および輸送速度に依存し、既知と見なすことができる。
【0037】
しかし、原則として、第1のセンサユニットS1は、人と物体(特にケーブルカー車両5)とを区別するように構成されている適切なセンサ、例えば表面温度を検知するための温度センサ、例えば赤外線センサを有し得る。
【0038】
したがって、本発明により、図1による例での制御ユニット9は、例えば、左側のケーブルカー駅2の乗車領域11にいる人が、入線ゾーンEにある安全障壁12a、12bの1つ、もしくは発車ゾーンAにある安全障壁12a、12bの1つを作動させるとき、または右側のケーブルカー駅2の降車領域11にいる人が、入線ゾーンEにある安全障壁12a、12bの1つ、もしくは発車ゾーンAにある安全障壁12a、12bの1つを作動させるときに、動作を停止することができる。同様に、制御ユニット9は、左側のケーブルカー駅2の乗車領域11にいる人が、入線ゾーンEの通過領域Dもしくは発車ゾーンAの通過領域Dに入ったとき、または右側のケーブルカー駅2の降車領域11にいる人が、入線ゾーンEの通過領域Dもしくは発車ゾーンAの通過領域Dに入ったときに、動作を停止することができる。
【0039】
段階的な停止も考えられる。例えば、安全障壁12a、12bの作動時、最初は輸送速度の低下のみを行うことができ、第2のセンサ信号X2が受信されたとき(すなわち通過領域Dで人が検出されたとき)に初めて、循環式ケーブルカー1を完全に停止させることができる。循環式ケーブルカー1の通常の動作は、好ましくは、危険区域に人がいなくなったことが確認されたときに初めて、再び続けられる。これは、例えば、第2のセンサユニットS2の第2のセンサ信号X2に依存する検出デバイスによって自動的に行うことができる。運用スタッフがいるときには、好ましくは当然、職員による目視での確認が行われる。さらに、例えば、乗車/降車領域11を撮影するためのカメラを設けることもできる。これにより、例えば別のケーブルカー駅2から遠隔監視を行うこともできる。図1による例では、例えば左側のケーブルカー駅2に、乗車領域11を監視するためのカメラを設け、右側のケーブルカー駅2の制御室10に、カメラ映像を表示するため画面を設けることができる。例えば左側のケーブルカー駅2(ケーブルカー職員がいない)で人が検出されたとき、検出デバイスによって循環式ケーブルカー1を自動的に停止させることができる。右側のケーブルカー駅2の職員は、カメラ映像を用いて、左側のケーブルカー駅2にいる人が危険領域から再び出たかどうか、および出た時点をチェックし、循環式ケーブルカー1を再び開始することができる。
【0040】
循環式ケーブルカー1にアラームユニット13が設けられていてもよく、アラームユニット13は、適切な(無線または有線)通信接続を介して第1のセンサユニットS1および/または第2のセンサユニットS2と接続されている。ここで、接続は、制御ユニット9を介して間接的に行うことができ、またはセンサユニットS1、S2をアラームユニット13に直接取り付けることによって直接行うことができる。アラームユニット13は、第1のセンサ信号X1および/または第2のセンサ信号X2を受信したときにアラーム信号13aを発生するように構成される。アラームユニット13の具体的な実施形態は、適切に選択することができる。アラームユニット13は、例えば、音響アラーム信号13aを発生するためにスピーカを有してもよい。代替としてまたは追加として、アラームユニット13は、例えば光学アラーム信号13aを発生するために信号ランプを有してもよい。代替としてまたは追加として、アラームユニット13は、例えば、電気アラーム信号13aを発生し、循環式ケーブルカー1のユーザインターフェース、例えば画面に送信するように構成されていてもよい。ユーザインターフェースに、対応するメッセージを表示することができる。電気アラーム信号13aを移動無線端末に伝送し、移動無線端末にメッセージを表示することも考えられる。
【0041】
図示の例では、循環式ケーブルカー1はチェアリフトとして構成されており、ケーブルカー車両5はそれぞれ、数人用のチェアを備える。冒頭で述べたように、当然、循環式ケーブルカーはキャビンリフトとして構成されていてもよく、ケーブルカー車両5はそれぞれ複数人を収容するためのキャビンを有する。しかし、循環式ケーブルカー1は、複合リフト、すなわちチェアリフトとキャビンリフトとの組合せとして構成されていてもよく、それにより混合動作が可能である。この場合、チェアを備える所定数のケーブルカー車両5と、キャビンを備える所定数のケーブルカー車両5とが輸送方向Fで交互に移動される。しかし、キャビンリフトでも複合リフトでも根本的な機能は同じであり、したがって、ここで詳細な説明は行わない。ここでは、ケーブルカー駅2だけが、図示したチェアリフトとは多少異なる設計になっている。複合リフトのケーブルカー駅2は、チェア車両用の乗車および/または降車領域11と、キャビン車両用の乗車および/または降車領域11との両方を有する。案内レール6での適切な転轍器によって、対応するケーブルカー車両5は関連の乗車/降車領域11に送られ得る。したがって、好ましくは、チェア用の乗車および/または降車領域11とキャビン用の乗車および/または降車領域11との両方に、それぞれ、本発明の意味における安全障壁12a、12bおよび検出デバイスが設けられる。
【0042】
図2に示されているように、乗車および/または降車領域11の入線ゾーンEの内側安全障壁12aと発車ゾーンAの内側安全障壁12aとの間に第1の構造分離体14が設けられ、第1の構造分離体14が、乗車および/または降車領域11からケーブルカー駅2の立入禁止領域Vに人が立ち入るのを遮ると有利であり得る。これにより、安全障壁12aによって検出されずに人が立入禁止領域Vに達することを妨げることができる。図2で見られるように、第1の構造分離体14は、例えばケーブルカー駅2の柱であり得る。内側の安全障壁12aは、例えば、構造分離体14に直接固定する、または人が通り抜けることができないように十分近くで離間することができる。
【0043】
図示の例では、乗車および/または降車領域11の入線ゾーンEの外側安全障壁12bと発車ゾーンAの外側安全障壁12bとの間にも第2の構造分離体15が設けられ、第2の構造分離体15は、乗車および/または降車領域11からケーブルカー駅2の環境Uに人が立ち入るのを遮る。ここで、第2の構造分離体15では、好ましくは、循環式ケーブルカー1の乗客のための通行領域16が設けられ、通行領域16は、乗車および/または降車領域11を環境Uとつなぐ。第2の構造分離体15は、例えばフェンスとして、またはケーブルカー駅2の建物構造の一部として設計されていてもよい。通行領域16を遮るために、通行領域16にバリア(図示せず)、例えば好ましくは自動ドアが設けられていてもよい。追加としてまたは代替として、通行領域16にいる人を検出するための第2の検出デバイスが通行領域16内に設けられていてもよい。本質的に完全に無人の動作のために、通行領域16の領域内に、例えば循環式ケーブルカー1のチケットを読み取るための読取装置を設けられていてもよく、読取装置は、チケットの有効性に応じてバリアを制御する。
【符号の説明】
【0044】
1 循環式ケーブルカー
2 ケーブルカー駅
3 輸送ケーブル
5 ケーブルカー車両
7 駆動デバイス
7a 第1の駆動ユニット
7b 第2の駆動ユニット
8 補助駆動装置
9 制御ユニット
11 乗車および/または降車領域
12a、12b 安全障壁
13 アラームユニット
13a アラーム信号
14 第1の構造分離体
15 第2の構造分離体
16 通行領域
A 発車ゾーン
D 通過領域
E 入線ゾーン
F 輸送方向
L 距離
S1 第1のセンサユニット
S2 第2のセンサユニット
U 環境
V 立入禁止領域
X1 第1のセンサ信号
X2 第2のセンサ信号
図1
図2