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特許7590036ダイヤモンド研削研磨一体化加工設備及びその加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ダイヤモンド研削研磨一体化加工設備及びその加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/16 20060101AFI20241119BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20241119BHJP
   B24D 3/04 20060101ALI20241119BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241119BHJP
   B24B 47/04 20060101ALI20241119BHJP
   B24D 3/28 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B24B9/16
B24D3/00 320B
B24D3/00 320A
B24D3/00 350
B24D3/04
B24B41/06 Z
B24B47/04
B24D3/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023540471
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2021099947
(87)【国際公開番号】W WO2022142158
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】202011609699.3
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521319258
【氏名又は名称】華僑大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陸 静
(72)【発明者】
【氏名】温 海浪
(72)【発明者】
【氏名】羅 求発
(72)【発明者】
【氏名】李 晨
(72)【発明者】
【氏名】艾 騰峰
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-299720(JP,A)
【文献】中国実用新案第204868529(CN,U)
【文献】特開2014-042950(JP,A)
【文献】特開2011-235438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/16
B24D 3/00
B24D 3/04
B24B 41/06
B24B 47/04
B24D 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置であって、
フレームと、
フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能であり、且つダイヤモンドをクランプできる治具が設置されたベースとを含むベース装置と、
Z軸に沿って配置され、且つ外輪研削砥石が内輪研削砥石を囲むようにそれぞれ嵌着されたスピンドルを含む研削研磨装置と、を備え、
スピンドルの回転によって内輪研削砥石及び外輪研削砥石を共に回転させ、内輪研削砥石及び外輪研削砥石のZ軸に沿った上下の位置関係を調節でき、
内輪研削砥石及び外輪研削砥石の回転、キャリッジの送り、及びベースの回転によって、治具上のダイヤモンドを研削研磨し、
該ベースの上端面中心に真空吸着盤が装着された取付溝が凹設され、治具が真空吸着盤に装着され、且つ真空吸着盤により基台に吸着されることを特徴とするダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項2】
該外輪研削砥石はスピンドルに固着され、該内輪研削砥石は、スピンドルに対してZ軸に沿って上下に摺動可能であり、かつ内輪研削砥石とスピンドルとは同期して回転するように連結され、内輪研削砥石と外輪研削砥石との上下の位置関係が、内輪研削砥石の上下の摺動によって調節されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項3】
該内輪研削砥石の外径が外輪研削砥石の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項4】
該内輪研削砥石は、内輪輪体と、内輪輪体にボンドによって結合された硬質砥粒とを備え、該ボンドは、セラミック、金属、樹脂又はゴムの少なくとも一つであり、該硬質砥粒は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムの少なくとも一つであり、該硬質砥粒の粒径は、0.5~60μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項5】
該外輪研削砥石はゾルゲル法で製作され、且つ硬質砥粒を有し、該硬質砥粒がダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムの少なくとも1種であり、該硬質砥粒の粒径が0.5~60μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項6】
ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置であって、
フレームと、
フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能であり、且つダイヤモンドをクランプできる治具が設置されたベースとを含むベース装置と、
Z軸に沿って配置され、且つ外輪研削砥石が内輪研削砥石を囲むようにそれぞれ嵌着されたスピンドルを含む研削研磨装置と、を備え、
スピンドルの回転によって内輪研削砥石及び外輪研削砥石を共に回転させ、内輪研削砥石及び外輪研削砥石のZ軸に沿った上下の位置関係を調節でき、
内輪研削砥石及び外輪研削砥石の回転、キャリッジの送り、及びベースの回転によって、治具上のダイヤモンドを研削研磨し、
該治具の上端面に収容溝が凹設され、該ダイヤモンドは接着剤によって治具の収容溝内に貼り付けられるように収納されることを特徴とするイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項7】
該治具はインチ級の硬質基板を基体とし、該硬質基板が炭化ケイ素基板、サファイア基板、シリコン基板又はセラミック基板であり、該接着剤は黄蝋、ABボンド、エポキシ樹脂、UV接着剤、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ラバーラテックスのうちの一種又は数種であることを特徴とする、請求項に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項8】
ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置であって、
フレームと、
フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能であり、且つダイヤモンドをクランプできる治具が設置されたベースとを含むベース装置と、
Z軸に沿って配置され、且つ外輪研削砥石が内輪研削砥石を囲むようにそれぞれ嵌着されたスピンドルを含む研削研磨装置と、を備え、
スピンドルの回転によって内輪研削砥石及び外輪研削砥石を共に回転させ、内輪研削砥石及び外輪研削砥石のZ軸に沿った上下の位置関係を調節でき、
内輪研削砥石及び外輪研削砥石の回転、キャリッジの送り、及びベースの回転によって、治具上のダイヤモンドを研削研磨し、
該治具は、本体と、2つのスライドと、2つの調節部材とを備え、
該本体の上壁は、基壁と、該基壁に対して突出して設けられるボスとを有し、
該ボスは、基壁に向かって上下に配置される2つの位置決め壁を有し、
該本体の基壁に、本体の側壁まで貫通し、且つ2つの位置決め壁に沿ってそれぞれ配置される2つのスライド溝が凹設され、
スライダーの頂部には、水平方向に突出する突出部が設けられ、2つのスライダーは突出部が基壁上に位置するように、2つのスライド溝にそれぞれ摺接し、
突出部の端面は係止壁を構成し、2つのスライダーの係止壁と両位置決め壁がそれぞれ向かい合って配置され、
2つの調節部材は、2つのスライダーと本体とをそれぞれ連結しており、調節部材によってスライダーがスライド溝に沿ってスライド調節され、2つの係止壁と2つの位置決め壁によって、基壁に接着された単結晶ダイヤモンドがクランプされることを特徴とするイヤモンド研削研磨一体化加工装置。
【請求項9】
請求項1に記載のダイヤモンド研削研磨一体化加工装置の加工方法であって、
接着剤でダイヤモンドを治具に接着させ、治具をベースに取り付けるステップと、
内輪研削砥石の底面が外輪研削砥石の底面より低くなるように、内輪研削砥石の上下の位置関係を調整し、内輪研削砥石を回転させ、基台を回転させ、キャリッジが送ることで、ダイヤモンドを研削するステップと、
内輪研削砥石の底面が外輪研削砥石の底面より高くなるように、内輪研削砥石の上下の位置関係を調整し、外輪研削砥石を回転させ、基台を回転させ、キャリッジが送ることで、ダイヤモンドを研磨するステップと、を含んでいることを特徴とするダイヤモンド研削研磨一体化加工装置の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド加工の技術分野に関し、特に、ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置及びその加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド材料は、現在自然界で知られている最も硬い材料であり、超硬材料の範疇に属する。その材料の超硬性のため、表面加工が難しく、効率が低下している。
【0003】
従来のダイヤモンド単結晶の表面加工方法は、高速金属製回転盤を用いてダイヤモンド研削面に直接的に接触して機械研磨するものである。この加工方式はダイヤモンドアクセサリーの結晶表面加工に広く用いられ、研磨効率は高いが、以下二点の欠点が依然として存在している。研磨後のダイヤモンド結晶の表面粗さが100nm程度しか得られず、ダイヤモンド材料の半導体分野での要求を満足できない一方、機械的な硬質研磨工程における発熱が大きく、ダイヤモンド結晶と金属盤の表面温度が高くなりすぎて、ダイヤモンド表面がグラファイト化しやすく、研磨中に発生するグラファイトとダイヤモンド破片が金属盤に多量に入り込み、金属盤に著しい傷を付けやすいため、研磨盤の交換頻度が非常に高く、研磨効果の再現性が悪く、ダイヤモンド単結晶の表面加工のコストも大幅に増加する。
【0004】
半導体材料の分野で現在一般的に使用されている研磨方法として、マイクロ波プラズマエッチングと化学研磨がある。マイクロ波プラズマエッチング技術は、専用のエッチング装置を必要とするため、高価なだけではなく、エッチング終了後に、非破壊のダイヤモンド結晶表面を形成するための更なる表面処理が必要である。化学研磨は、研磨液中の化学成分がダイヤモンド表面と化学反応して表面粗さを小さくすることを利用するが、ダイヤモンド表面の平坦性や平行性が悪く、エッチピット等の欠陥が発生しやすい。
【0005】
現状のダイヤモンドの研削と研磨は、互いに独立した2系統の方法であり、ダイヤモンドをブランクから研削まで仕上げる工程は複雑で時間を要し、且つ研削研磨におけるクランプを2回行なうため、加工工程に位置決め誤差が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置及びその加工方法に関し、従来のダイヤモンド研磨研削加工における欠点を解消したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題を解決するための技術手段の一つは、ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置であって、フレームと、フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能であり、且つダイヤモンドをクランプできる治具が設置されたベースとを含むベース装置と、Z軸に沿って配置され、且つ外輪研削砥石が内輪研削砥石を囲むようにそれぞれ嵌着されたスピンドルを含む研削研磨装置と、を備え、スピンドルの回転によって内輪研削砥石及び外輪研削砥石を共に回転させ、内輪研削砥石及び外輪研削砥石のZ軸に沿った上下の位置関係を調節でき、内輪研削砥石及び外輪研削砥石の回転、キャリッジの送り、及びベースの回転によって、治具上のダイヤモンドを研削研磨する。
【0008】
一実施形態において、外輪研削砥石はスピンドルに固着され、該内輪研削砥石は、スピンドルに対してZ軸に沿って上下に摺動可能であり、かつ内輪研削砥石とスピンドルとは同期して回転するように連結され、内輪研削砥石と外輪研削砥石との上下の位置関係が、内輪研削砥石の上下の摺動によって調節される
一実施形態において、該内輪研削砥石の外径が外輪研削砥石の内径よりも小さい。
【0009】
一実施形態において、該内輪研削砥石は、内輪輪体と、該内輪輪体にボンドによって結合された硬質砥粒とを備え、該ボンドは、セラミック、金属、樹脂又はゴムの少なくとも一つであり、該硬質砥粒は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムの少なくとも一つであり、該硬質砥粒の粒径は、0.5~60μmである。
【0010】
一実施形態において、該外輪研削砥石はゾルゲル法で製作され、且つ硬質砥粒を有し、該硬質砥粒がダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムの少なくとも1種であり、該硬質砥粒の粒径が0.5~60μmである。
【0011】
一実施例において、該ベースの上端面中心に真空吸着盤が装着された取付溝が凹設され、治具が真空吸着盤に装着され、且つ該真空吸着盤により基台に吸着される。
【0012】
一実施形態において、該治具の上端面に収容溝が凹設され、該ダイヤモンドは接着剤によって治具の収容溝内に貼り付けられるように収納される。
【0013】
一実施例において、該治具はインチ級の硬質基板を基体とし、該硬質基板が炭化ケイ素基板、サファイア基板、シリコン基板又はセラミック基板であり、該接着剤は黄蝋、ABボンド、エポキシ樹脂、UV接着剤、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ラバーラテックスのうちの一種又は数種である。
【0014】
一実施例において、該治具は、本体と、2つのスライドと、2つの調節部材とを備え、該本体の上壁は、基壁と、該基壁に対して突出して設けられるボスとを有し、該ボスは、基壁に向かって上下に配置される2つの位置決め壁を有し、該本体の基壁に、本体の側壁まで貫通し、且つ2つの位置決め壁に沿ってそれぞれ配置される2つのスライド溝が凹設され、スライダーの頂部には、水平方向に突出する突出部が設けられ、2つのスライダーは突出部が基壁上に位置するように、2つのスライド溝にそれぞれ摺接し、突出部の端面は係止壁を構成し、2つのスライダーの係止壁と両位置決め壁がそれぞれ向かい合って配置され、2つの調節部材は、2つのスライダーと本体とをそれぞれ連結しており、調節部材によってスライダーがスライド溝に沿ってスライド調節され、2つの係止壁と2つの位置決め壁によって、基壁に接着された単結晶ダイヤモンドがクランプされる。
【0015】
本発明が解決しようとする第2の課題は、ダイヤモンド研削一体化加工装置の加工方法であって、
接着剤でダイヤモンドを治具に接着させ、治具をベースに取り付けるステップと、
内輪研削砥石の底面が外輪研削砥石の底面より低くなるように、内輪研削砥石の上下の位置関係を調整し、内輪研削砥石を回転させ、基台を回転させ、キャリッジが送ることで、ダイヤモンドを研削するステップと、
内輪研削砥石の底面が外輪研削砥石の底面より高くなるように、内輪研削砥石の上下の位置関係を調整し、外輪研削砥石を回転させ、基台を回転させ、キャリッジが送ることで、ダイヤモンドを研磨するステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の解決策は、背景技術と比較して以下の利点を有する。
【0017】
ダイヤモンド研削研磨を一工程に統合して加工し、研削研磨を一回のクランプで行うことで、複数回のクランプによる誤差をなくし、歩留まりを向上させ、オリジナル表面が300nmより大きい大型単結晶ダイヤモンドの表面粗さを0.2~0.4nmに加工でき、且つダイヤモンド表面のスクラッチ損傷が少なく、表面品質が均一で、研削研磨時間が短く、効率が高い。
【0018】
真空吸着盤により治具をベースに吸着することにより、クランプが簡単で、精度が高い。
【0019】
ダイヤモンドは接着剤によって治具の収容溝に接着されるように収容されることで、クランプが容易になり、精度が高く、単結晶ダイヤモンドが小さいサイズ(10mm×10mm以下の方形の薄片)であるため、クランプし難いという問題を解決した。
【0020】
内輪研削砥石が上下にスライド移動することで、内輪研削砥石と外輪研削砥石との上下位置関係を調整することにより、研削研磨の切り換えが容易且つ迅速であり、自己回転研削機能と協同し自動化研削研磨加工を実現することができる。
【0021】
内輪研削砥石による研削と、外輪研削砥石による研磨によって、効率よく表面品質を確保できる。
【0022】
内輪研削砥石は、内輪輪体と、ボンドによって内輪輪体に結合された硬質砥粒とを備え、ボンドが、セラミック、金属、樹脂またはゴムの少なくとも1種であり、硬質砥粒が、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、炭化珪素、アルミナの少なくとも1種であり、硬質砥粒の粒径が0.5~60μmであり、研削効率が高く、長寿命である。
【0023】
外輪研削砥石は、ゾルゲル法により作製され、且つ硬質砥粒を有し、硬質砥粒は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムのうちの少なくとも1種であり、硬質砥粒の粒径は、0.5~60μmであり、研磨効率が高く、長寿命である。
【0024】
本体の頂壁は、基壁とボスとを有し、スライダーは、スライド溝に摺接し、かつ、スライダーの頂部の水平突出部が基壁に位置することで、係止壁を構成し、両係止壁と両位置決め壁とにより、基壁に接着されたダイヤモンドをクランプすることで、薄いダイヤモンドをクランプすることができ、異なるサイズのダイヤモンドに適応でき、ダイヤモンド基板片のクランプが難しいという問題を解決し、クランプが強固で、信頼性があり、取り付け、取り外しが簡単で、加工効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1】本発明の一実施形態に係る加工設備の一部を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る加工設備の一部を示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る加工設備の一部を示す平面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る加工装置の治具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3を参照すると、ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置は、フレーム、ベース装置1、および研磨装置2を備える。当該ベース装置1は、フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能なベース11とを含み、このベース11に単結晶ダイヤモンド3をクランプ可能な治具12が装着されている。該研削装置2は、Z軸に沿って配置され且つ内輪研削砥石21及び外輪研削砥石22が嵌着されたスピンドルを備える。外輪研削砥石22は、内径が該内輪研削砥石21の外径よりも大きく、内輪研削砥石21を取り囲むようにスピンドルに固着される。該内輪研削砥石21は、スピンドルに対してZ軸に沿って上下に摺動可能であり、且つスピンドルとは同期回転可能に連結される。内輪研削砥石21が上下に摺動することにより、内輪研削砥石21と外輪研削砥石22との上下位置関係が調節可能であり、スピンドルが回転すると、内輪研削砥石21と外輪研削砥石22とを共に回転させ、内輪研削砥石21と外輪研削砥石22の回転、キャリッジの送りおよびベース11の回転によって、治具12に装着されたダイヤモンド3を研磨する。具体的には、第1モータは、例えば、スクリューナット伝動機構によってキャリッジに連結され、キャリッジの送りを駆動し、第2モータは、キャリッジに取り付けられ且つベースに伝動連結され、ベースの回転を駆動し、第3モータは、スピンドルに伝動連結され。主軸の回転を駆動し、スピンドルに設置された第4モータは、内輪研削砥石に伝動連結され、内輪研削砥石の摺動を駆動する。
【0027】
この内輪研削砥石21は、内輪輪体と、ボンドによって内輪輪体に結合された硬質砥粒とを備え、このボンドが、セラミックス、金属、樹脂またはゴムの少なくとも一つであり、この硬質砥粒が、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、炭化珪素、アルミナの少なくとも一つであり、且つ粒径が0.5~60μmである。この外輪研削砥石22は、ゾルゲル法により製造されたものであり、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウムのうちの少なくとも1種の硬質砥粒を有し、この硬質砥粒の粒径は0.5~60μmである。研削砥石22は、例えばサブサーフェース傷を低減することができるSG研削砥石である。
【0028】
このベース11は、上端面中心に真空吸着盤13が装着された取付溝が凹設される。この治具12が真空吸着盤13に装着され、真空吸着盤13によってベース11に吸着される。具体的な構造において、該治具12の上端面に収容溝が凹設され、該ダイヤモンド3が接着剤によって治具12の収容溝内に貼り付けられるように収容される。該治具12はインチ級の硬質基板を基体とし、該硬質基板が炭化ケイ素基板、サファイア基板、シリコン基板又はセラミック基板であり、該接着剤は黄蝋、ABボンド、エポキシ樹脂、UV接着剤、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、ラバーラテックスのうちの一種又は数種である。さらに、収容溝の長さと広さは、ダイヤモンドの実際の寸法よりも0.5mm~1.5mm大きく、収容溝の深さは、ダイヤモンドの厚さの約1/3~2/3であり、隙間が接着剤で僅かに溢れるのを許すように充填され、各収容溝の底部の中心に、それぞれ1つまたは複数のφ0.5~φ1.5mmの貫通孔が形成される。
【0029】
前記ダイヤモンド研削研磨一体化加工装置の加工方法は、以下の工程を含む。
【0030】
トリミング
トリミングプレートにより、内輪研削砥石21および外輪研削砥石22をトリミングし、トリミングが完成されるたびに、砥石の高さの調整が必要となる。
【0031】
ダイヤモンド前処理
ダイヤモンド原料(例えば、7mm×7mm)をアルコールの入ったビーカーに入れて浸漬し、ビーカーを超音波洗浄機に入れて超音波洗浄(例えば、10分間)し、洗浄されたダイヤモンドの厚さを測定し、厚さの差が10μm以内であるダイヤモンド原料を同じバッチで処理する。
【0032】
クランプ
ダイヤモンドを接着剤で治具12の凹溝に接着し、各ダイヤモンドの接着後の高さを測定し、各ダイヤモンド間の最大高低差が5μm以内になるように制御し、ダイヤモンドの側面と凹溝の側面との隙間を接着剤で満たし、クランプ後にダイヤモンド治具を真空吸着盤に吸着させる。
【0033】
研削研磨
内輪研削砥石21の底面が外輪研削砥石22の底面より低くなるように、内輪研削砥石21の上下の位置関係を調整し、内輪研削砥石21を回転させ、ベース11を回転させ、スライドベースが送ることで、スピンドル回転数1000r/s、ベース11回転数301r/s、送り速度0.2μm/s、および送り量100μmで、ダイヤモンド3を研削する。
【0034】
内輪研削砥石21の底面が外輪研削砥石22の底面より高くなり、且つ内輪研削砥石21が外輪研削砥石22から突出するように、内輪研削砥石21の上下の位置関係を調整し、外輪研削砥石22を回転させ、ベース11を回転させ、キャリッジが送ることで、スピンドルの回転数1500r/s、基台の回転数301r/s、送り速度0.1μm/s、送り量50μmで、ダイヤモンド3を研削する。
【0035】
上記の研削研磨に使用される自己回転研削装置は、例えばモデルACCRETECHHRG300であり、ダイヤモンドの黒鉛化を回避するために、研削研磨において脱イオン水で冷却する。
【0036】
取り外し
研磨後のダイヤモンドをダイヤモンド治具とともに取り外し、洗浄剤で洗浄し、洗浄したダイヤモンドを取り出す。
【0037】
検査
洗浄後のダイヤモンドを厚み計で厚みを測定し、さらに原子間力顕微鏡により表面粗さを測定する。
【0038】
もう1つの実施例において図4を参照する。該治具12は、本体121、2つのスライダー122、2つの調節部材123、及びベース124を含む。該本体121の上壁は、基壁と、基壁から突出して設けられるボスとを含む。該ボスは、基壁に向かって上下に配置され、且つ互いに垂直にL字形を成す2つの位置決め壁を有する。該本体121の基壁には、本体側壁に連通し且つそれぞれ二つの位置決め壁に沿って互いに垂直に配置される二つのスライド溝が凹設される。2つのスライダーは、頂部に水平に突出する突出部を有し、且つ突出部が基壁に位置するようにそれぞれ両スライド溝に摺接し、該突出部の端面が係止壁を構成し、2つのスライダーの係止壁と両位置決め壁は、それぞれ向かい合って配置される。該2つの調節部材は、2つのスライダーと本体とをそれぞれ連結しており、調節部材によってスライダーがスライド溝に沿ってスライド調節され、2つの係止壁と2つの位置決め壁によって、基壁に接着された単結晶ダイヤモンド3がクランプされる。L字形構造のボスと小さな矩形構造の基壁は協働して、大きな矩形構造を構成する。該2つの位置決め壁は、それぞれ長方形構造の2つの隣接する側面と平行であり、該2つのスライド溝は、それぞれ長方形構造の2つの隣接する側面と平行であり、該スライド溝の溝壁と位置決め壁とが整列して配置され、該スライダーの頂壁とボスの頂壁とは面一であり、該突出部の底壁が摺接可能に基壁に嵌合される。調節部材は、スライダーを貫通し、本体のスライド溝の内溝壁に螺着され、調節ネジの回転によりスライダーがスライド溝に沿って摺動するようにする調節ネジを含む。スライダーに貫通孔を設け、調節ネジがスライダーの外側壁に当接すると、ネジの締め付けにより係止壁がダイヤモンドに当接する。
【0039】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲をこれらによって限定することはできず、即ち、本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に基づいた等価な変更及び修飾は、いずれも本発明の包括的な範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ダイヤモン研削研磨一体化加工装置及びその加工方法に関するものであり、フレームと、フレームに対してY軸に沿って送り可能なキャリッジと、Z軸の周りでキャリッジに転接可能であり、且つダイヤモンドをクランプできる治具が設置されたベースとを含むベース装置と、Z軸に沿って配置され、且つ外輪研削砥石が内輪研削砥石を囲むようにそれぞれ嵌着されたスピンドルを含む研削研磨装置と、を備え、スピンドルの回転によって内輪研削砥石及び外輪研削砥石を共に回転させ、内輪研削砥石及び外輪研削砥石のZ軸に沿った上下の位置関係を調節でき、内輪研削砥石及び外輪研削砥石の回転、キャリッジの送り、及びベースの回転によって、治具上のダイヤモンドを研削研磨する。
図1
図2
図3
図4