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特許7590038二次電池用電解液添加剤、それを含むリチウム二次電池用非水電解液、およびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】二次電池用電解液添加剤、それを含むリチウム二次電池用非水電解液、およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20241119BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20241119BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241119BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20241119BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241119BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20241119BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241119BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/052
H01M4/133
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M4/36 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023545246
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(86)【国際出願番号】 KR2022012757
(87)【国際公開番号】W WO2024038942
(87)【国際公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0102376
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523282224
【氏名又は名称】ドクサン・エレクテラ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUKSAN ELECTERA CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Block8-5 Namgongju-ilbansaneopdanji, San7-28, Geomsang-dong, Gongju-si, Chungcheongnam-do 314240 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】パク・ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム・テウ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジソン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ソンファ
(72)【発明者】
【氏名】イ・スワァン
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/053162(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3518334(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第4080636(EP,A1)
【文献】特開2016-006759(JP,A)
【文献】特表2022-526116(JP,A)
【文献】特開2003-208920(JP,A)
【文献】特開2009-252645(JP,A)
【文献】特開2015-162398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/667
H01M 4/00- 4/98
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤;
付加添加剤;
リチウム塩; 及び
非水系有機溶媒を含むリチウム二次電池用非水電解液であって、
前記添加剤は、下記化学式1の化合物であるリチウム二次電池用非水電解液。

[化1]
【請求項2】
前記添加剤が、リチウム二次電池用非水電解液の全重量を基準にして0.05重量%ないし20重量%で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項3】
前記付加添加剤が、ハロゲン置換されているかまたは置換されていないカーボネート系化合物、ニトリル系化合物、ホウ酸塩系化合物、リチウム塩系化合物、ホスフェート系化合物、スルファイト系化合物、スルホン系化合物、スルフェート系化合物、スルトン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液。
【請求項4】
請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解液;
正極;
負極; 及び
分離膜を含むリチウム二次電池。
【請求項5】
前記負極が、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを含む、請求項に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とが97:3ないし50:50の重量比で含まれる請求項に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とが90:10ないし60:40の重量比で含まれる請求項に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電解液添加剤に関する。より具体的には、本発明は、リチウム塩から発生した分解生成物を除去する効果に優れた非水電解液添加剤と、これを含むリチウム二次電池用非水電解液に関する。本発明は、負極の表面に強固な固体電解質界面皮膜(SEI)を形成することができる非水電解液添加剤と、これを含むリチウム二次電池用非水電解液に関する。本発明はまた、このような非水電解液を含むリチウム二次電池に関する。本発明のリチウム二次電池は、前記非水電解液を含むことで、リチウム二次電池の高温性能が向上する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯用電源として使用されるだけでなく、電気自転車、電気自動車(Electric Vehicle、EV)などの中大型電源に応用が拡大している。このような応用分野の拡大に伴い、常温だけでなく、高温や低温環境など、より厳しい外部環境でも優れた性能を維持できるリチウム二次電池が求められている。
【0003】
現在広く使用されているリチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能なカーボン系負極と、リチウムを含有する遷移金属酸化物系正極と、混合カーボネート系有機溶媒にリチウム塩が溶解した非水電解液、及び正極と負極の接触を防止する分離膜で構成されるのが一般的である。リチウム二次電池は充電時に正極にあったリチウム原子がリチウムイオンと電子にイオン化し、電子は外部回路を通じて負極に移動し、リチウムイオンは非水電解液と分離膜を渡って負極に移動してカーボン負極内に挿入(intercalation)され、放電 時に電子は外部回路を通じて正極に移動し、同時にリチウムイオンもカーボン負極から脱離(deintercalaion)されて非水電解液と分離膜を渡って正極に移動して正極でリチウムイオンと電子が会って安定した状態であるリチウム原子になる。リチウム二次電池は、このような充電と放電を繰り返しながら電気エネルギーを生成する。
【0004】
リチウム二次電池は、充放電の進行中に正極活物質が構造的に崩壊し、正極表面から金属イオンが溶出することもある。正極から溶出した金属イオンは負極に電着(electrodeposition)され、負極を劣化させることもある。このような負極の劣化現象は、正極の電位が高いか、二次電池が高温にさらされるとさらに加速する傾向がある。
【0005】
このような問題を解決するために、負極表面に皮膜(固体電解質界面皮膜、SEI(Solid Electrolyte Interphase))を形成することができる化合物を非水電解液に添加する方法が提案された。しかしながら、このような電解液添加剤によって二次電池の寿命性能低下や高温安全性の劣化などの他の副作用が発生しつつ、リチウム二次電池の諸性能が低下するという別の問題が発生する。
【0006】
リチウム二次電池のリチウム塩としては、二次電池の適切な特性を実現するためにLiPFが主に用いられている。LiPFのPF アニオンは熱に非常に脆弱であり、二次電池が高温にさらされると熱分解してPFなどのルイス酸(Lewis acid)を発生させることが知られている。このようにして生成されたPFは、エチレンカーボネートなどの有機溶媒の分解反応を引き起こすだけでなく、フッ酸(HF)を生成して正極活物質の遷移金属溶出を加速する。このように溶出された遷移金属は、正極に電着して正極の抵抗を増加させる原因となったり、負極に電着して負極の自己放電を引き起こしたり、負極上の固体電解質界面皮膜(SEI)を破壊させ、電解液のさらなる分解と、そしてそれに伴って二次電池の抵抗増加や寿命劣化などを引き起こす。このような電解液の分解反応も二次電池内部でガス発生を招く。
【0007】
このため、完全に充電された状態でリチウム二次電池を高温で貯藏する場合、時間の経過とともに固体電解質界面皮膜(SEI)が徐々に崩壊する問題がある。このような固体電解質界面被膜の崩壊は、負極の表面を露出させる。露出した負極の表面は、電解液中のカーボネート系溶媒と反応しながら分解し、持続的な副反応を引き起こす。この副反応は継続的にガスを発生させる。
【0008】
このように生成されるガスは、その種類に関係なくリチウム二次電池の内部圧力を上昇させ、リチウム移動に抵抗素子として作用し、二次電池の体積(厚さ)を膨張させ、二次電池の軽量化にも大きな問題点を生み出し、二次電池の性能を劣化させる。
【0009】
近年、リチウム二次電池の適用分野が拡大するにつれて、高温環境で安定性と長寿命特性が着実に求められている。この性能は、電極と電解液との初期反応によって形成された固体電解質界面被膜(SEI膜)によって大きく左右される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、リチウム二次電池の高温サイクル特性および低温出力を向上させるために、正極と電解液の副反応を抑制し、負極の表面に強固な固体電解質界面皮膜(SEI膜)を形成できる添加剤の開発が絶えず求められている。
【0011】
前記の問題を解決するために、本発明は、電極表面、特に負極の表面に安定な固体電解質界面皮膜(SEI)を形成することができる添加剤を含むリチウム二次電池用非水電解液を提供しようとする。
【0012】
また、本発明は前記のような問題点を解決するために、電極表面、特に負極の表面に強固な固体電解質界面皮膜(SEI)を形成するとともにリチウム塩から発生した分解生成物を除去する効果に優れた二次電池用電解液添加剤を提供しようとする。
【0013】
また、本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために、リチウム二次電池の高温寿命と性能の劣化なく高温安定性を向上させることができるリチウム二次電池用非水電解液と、このリチウム二次電池用非水電解液を含むリチウム二次電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用非水電解液は、
【0015】
添加剤としてイミダゾール基とピリジン基を含む化合物;
【0016】
リチウム塩;
【0017】
付加添加剤; 及び
【0018】
非水系有機溶媒を含む。
【0019】
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用非水電解液は、
【0020】
添加剤として下記化学式1で表されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物;
【0021】
リチウム塩;
【0022】
付加添加剤; 及び
【0023】
非水系有機溶媒を含む。
【0024】
[化1]
【0025】
本発明の一実施形態では、本発明のリチウム二次電池用非水電解液、正極、負極および分離膜を含むリチウム二次電池を提供する。
【0026】
前記負極は、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを含むことができる。
【0027】
前記負極は、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを97:3ないし50:50の重量比で含むことができる。
【0028】
前記負極は、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを90:10ないし60:40の重量比で含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の非水電解液に添加剤として提供されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物、特に化学式1で表される化合物は、イジダゾール基の窒素原子がルイス塩基として作用し、二次電池が高温にさらされたときのアニオンの分解により生成される分解生成物であるHF、PF5などのルイス酸を電解液内部から除去することができる。そこで、本発明の非水電解液に添加剤として提供されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物、特に化学式1で表される化合物は、ルイス酸に起因する正極又は負極の表面皮膜(SEI)の劣化を抑制して皮膜(SEI)の破壊による二次電池のさらなる電解液分解を防ぐことができ、二次電池の自己放電も抑制することができる。前記イミダゾール基はまた、負極の表面に安定した皮膜(SEI)を形成するのにも役立つ。
【0030】
本発明の二次電池非水電解液に含まれる添加剤、すなわちイミダゾール基とピリジン基を含む化合物、特に化学式1で表される化合物の機能基は、前記のような効果があり、リチウム二次電池が高温にさらされた状況にも寿命が劣化することなく、高温での貯蔵時の抵抗の増加やガスの発生を抑制して二次電池の体積の膨張を低減する性能が向上した二次電池を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の権利範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されるべきではない。
【0032】
本明細書で使用される「含む」「有する」などの用語は、その表現が含まれる語句または文章で特に別段の言及がない限り、他の成分を含む可能性を内包する開放用語(Open-ended terms)として理解されるべきである。
【0033】
本明細書において「%」は、明示的な別の指示がない限り、重量%を意味する。
【0034】
以下、本発明のリチウム二次電池用電解液添加剤、リチウム二次電池用非水電解液、及びこの非水電解液を含むリチウム二次電池について具体的に説明する。
【0035】
<リチウム二次電池用電解液添加剤>
【0036】
本発明は、リチウム二次電池用電解液の添加剤としてイミダゾール基とピリジン基を含む化合物、特に下記化学式1で表されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物を提供する。
【0037】
[化1]
【0038】
【0039】
<リチウム二次電池用電解液>
【0040】
本発明は
【0041】
イミダゾール基とピリジン基を含む化合物;
【0042】
付加添加剤;
【0043】
リチウム塩; 及び
【0044】
非水系有機溶媒を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0045】
本発明は
【0046】
前記化学式1で表されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物;
【0047】
付加添加剤;
【0048】
リチウム塩; 及び
【0049】
非水系有機溶媒を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0050】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05ないし20重量%で含まれてもよい。
【0051】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05ないし10重量%で含まれてもよい。
【0052】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、より好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して、0.05ないし5重量%、0.05ないし3重量%、0.05ないし2重量%で含まれてもよい。
【0053】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1ないし20重量%で含まれてもよい。
【0054】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.1ないし10重量%で含まれてもよい。
【0055】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物は、より好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して、0.1ないし5重量%、0.1ないし3重量%、または0.1ないし2重量%で含まれてもよい。
【0056】
前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物が前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05重量%未満で含まれる場合には、リチウム二次電池の体積膨張防止効果と内部抵抗低減効果が十分ではなく、逆に前記イミダゾール基とピリジン基を含む化合物が前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して20重量%を超えて含まれると、二次電池の内部抵抗増加および容量減少により高温寿命特性が低下し、高温貯蔵特性が低下する問題が発生する。
【0057】
前記リチウム二次電池用電解液は、ハロゲン置換されているかまたは置換されていないカーボネート系化合物、ニトリル系化合物、ホウ酸塩系化合物、リチウム塩系化合物、ホスフェート系化合物、スルファイト系化合物、スルホン系化合物、スルフェート系化合物、スルトン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の付加添加剤をさらに含み得る。
【0058】
前記付加添加剤の代表例としては、リチウムジフルオロホスフェート(Lithium difluorophosphate)、リチウムテトラフルオロ(オキサレート)ホスフェート(Lithium tetrafluoro(oxalate)phosphate)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、1,3-プロパンスルトン(1,3-Propane sultone)、1,3-プロペンスルトン(1,3-Propene sultone)、フルオロエチレンカーボネート(Fluoroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate)、およびビニルエチレンカーボネート(Vinyl ethylene Carbonate)が挙げられる。
【0059】
前記付加添加剤は、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05ないし20重量%で含まれてもよい。
【0060】
前記付加添加剤は、好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05ないし10重量%含まれてもよい。
【0061】
前記付加添加剤は、より好ましくは、前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して0.05~5重量%、具体的には0.05ないし3重量%で含まれてもよい。
【0062】
前記付加添加剤が前記リチウム二次電池用電解液総重量に対して0.05重量%未満で含まれる場合には、電極の皮膜形成効果が微少であり、電極と電解液の副反応抑制効果が低下することがあり、前記電解液添加剤が前記リチウム二次電池用電解液の総重量に対して20重量%を超えて含まれると、電極表面に厚すぎる皮膜が形成されて界面抵抗が増加し、容量低下が発生することがある。
【0063】
前記リチウム塩は、LiPF, LiClO, LiAsF, LiBF, LiBF, LiSbF, LiAl0, LiAlCl, LiClO, LiCFSO, LiCSO, LiN(CSO, LiN(CSO, LiN(CFSO, 及び LiB(C からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことができる。
【0064】
前記リチウム塩は、格子エネルギーの解離度が大きく、イオン伝導度に優れ、熱安定性及び耐酸化性に優れたリチウム塩を用いることが好ましい。前記リチウム塩は二次電池内のリチウムイオンの移動通路として機能し、リチウム二次電池の基本的な動作を可能にする。
【0065】
前記リチウム塩の濃度は、前記リチウム二次電池用電解液の総量に対して0.1ないし2.5M(mol/L)で含まれてもよい。
【0066】
前記リチウム塩の濃度は、電気伝導度に関連する性質及びリチウムイオンの移動性に関連する粘度を考慮して、好ましくは前記リチウム二次電池用電解液の総量に対して0.3ないし2.5M(mol/L)で含まれてもよい。
【0067】
前記リチウム塩の濃度は、電気伝導度に関連する性質およびリチウムイオンの移動性に関連する粘度を考慮して、より好ましくは0.7ないし1.6M(mol/L)で含まれてもよい。
【0068】
前記リチウム塩の濃度が0.1M未満であると、前記リチウム二次電池用電解液の電気伝導度が低くなり、リチウム二次電池の正極と負極との間で高速でイオンを伝達する非水電解液の性能が低下し、前記リチウム塩の濃度が2.5Mを超過すると、前記リチウム二次電池用電解液の粘度が増加し、リチウムイオンの移動性が低下し、低温で二次電池性能が低下するという問題点がある。
【0069】
前記非水系有機溶媒は、線状カーボネート系溶媒、環状カーボネート系溶媒、またはそれらの混合溶媒であり得る。
【0070】
前記線状カーボネート系溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びメチルプロピルカーボネート(MPC)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことができる。
【0071】
また、前記環状カーボネート系溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)およびフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことができる。
【0072】
二次電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度を有する環状である高誘電率のカーボネート系有機溶媒と、前記高誘電率のカーボネート系有機溶媒の粘度を適切に調節できる粘度の低い線状のカーボネート系有機溶媒を混合して使用することが望ましい場合がある。
【0073】
具体的には、前記環状カーボネート系溶媒であるエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる高誘電率のカーボネート系有機溶媒と、前記線状カーボネート系溶媒であるジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる低粘度のカーボネート系有機溶媒を混合して使用することができる。
【0074】
前記環状カーボネート溶媒は極性が大きくてリチウムイオンを十分に解離させることができる一方、粘度が大きくてイオン伝導度が小さい欠点があるため、前記環状カーボネート溶媒に極性は小さいが粘度の低い線状カーボネート溶媒を混合して使用することによりリチウム二次電池の特性を最適化することができる。
【0075】
したがって、前記非水系有機溶媒として前記環状カーボネート溶媒から選ばれる少なくとも1つの溶媒と前記線状カーボネート溶媒から選ばれる少なくとも1つの溶媒とを混合して使用することが好ましい場合がある。
【0076】
前記線状カーボネート系溶媒と前記環状カーボネート系溶媒との混合溶媒は、前記線状カーボネート系溶媒と前記環状カーボネート系溶媒とを9:1ないし1:9の体積比で混合して用いることができる。
【0077】
前記線状カーボネート系溶媒と前記環状カーボネート系溶媒との混合溶媒は、二次電池の寿命特性と貯蔵特性の観点から、前記線状カーボネート系溶媒と前記環状カーボネート系溶媒とを2:8ないし8:2の体積比で混合して使用することがより好ましい場合がある。
【0078】
前記非水系有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)を含むことができる。
【0079】
前記非水系有機溶媒は、前記エチレンカーボネート(EC)5ないし40重量%、前記プロピレンカーボネート(PC)5ないし20重量%、前記エチルメチルカーボネート(EMC)10ないし70重量%、および前記ジエチルカーボネート(DEC)10ないし60重量%を含むことができる。
【0080】
具体的には、前記環状カーボネート系溶媒中では、誘電率の高いエチレンカーボネート(EC)またはプロピレンカーボネート(PC)を用いることができる。負極活物質として人造黒鉛を用いる場合には、前記エチレンカーボネート(EC)を用いることが好ましい。前記線状カーボネート系溶媒の中では、粘度の低いジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、またはジエチルカーボネート(DEC)を用いることが好ましい。
【0081】
前記非水系有機溶媒は、前記リチウム二次電池用電解液の総量に対して5%ないし80%で含まれてもよい。前記非水系有機溶媒は、前記リチウム二次電池用電解液の総量に対して5%ないし70%で含まれてもよい。
【0082】
<リチウム二次電池>
【0083】
前記非水電解液を含むリチウム二次電池は、高温で寿命特性が劣化せず、高温で貯蔵時の抵抗が増加せず、二次電池体積(厚さ)の膨張を抑制する性能が優れている。
【0084】
以下、本発明のリチウム二次電池を具体的に説明する。
【0085】
本発明のリチウム二次電池は、
【0086】
正極;
【0087】
負極;
【0088】
分離膜; 及び
【0089】
非水電解液を含む。
【0090】
前記正極は、LiCoO, LiFePO, LiMnO, LiMn, LiNiO2, またはLiNi1-x-yCo(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1, MはAl, Sr, Mg, Mnまたは La)等のリチウム金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の正極活物質を含むことができる。
【0091】
前記負極は、ケイ素、ケイ素化合物、錫、錫化合物、チタン酸リチウム、結晶質炭素、非晶質炭素、人造黒鉛、天然黒鉛及び人造黒鉛と天然黒鉛の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の負極活物質を含むことができる。
【0092】
前記分離膜は、エチレン重合体、プロピレン重合体、エチレン/ブテン共重合体、及びエチレン/ヘキセン共重合体から選ばれる少なくともいずれか1つ以上のポリオレフィン系高分子から製造された多孔性高分子フィルム単独で構成されてもよく、これらの積層物から構成されてもよい。前記分離膜は、セラミックまたは高分子物質がコーティングされたコーティング膜を含むことができる。
【0093】
前記非水電解液は、イミダゾール基とピリジン基を含む化合物、特に下記式化学1で表されるイミダゾール基とピリジン基を含む化合物;
【0094】
付加添加剤;
【0095】
リチウム塩; 及び
【0096】
非水系有機溶媒を含むことができる。
【0097】
[化1]
【0098】
【0099】
前記リチウム二次電池の例としては、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、またはリチウムイオンポリマー二次電池などがあり、これに限定されない。
【0100】
より詳細に説明すると、前記正極活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルから選ばれる1種以上の物質とリチウムとの複合金属酸化物であることが好ましい。前記複合金属酸化物のコバルト、マンガン、ニッケル金属間の固溶率は様々になることができ、これらのコバルト、マンガン、ニッケル金属の他に、Mg、Al、K、Na、Ca、Si、Ti、Sn、V、Ge、Ga 、B、As、Zr、Cr、Fe、Sr、Vおよび希土類元素からなる群から選ばれる元素をさらに含むことができる。
【0101】
具体的には、前記正極活物質としては、LiCoO, LiFePO, LiMnO, LiMn, LiNiO2, またはLiNi1-x-yCo(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1, MはAl, Sr, Mg, Mnまたは La)などのリチウム金属酸化物またはリチウムカルコゼナイド化合物などのリチウムインターカレーション化合物を用いることができるが、これに限定されず、二次電池において正極活物質として使用可能な任意の物質を用いることができる。
【0102】
前記正極は、集電体と、前記集電体上に形成された正極活物質層とを含む。正極活物質層は、リチウムを吸蔵および放出することができる正極活物質、バインダー、導電材などを含むことができる。
【0103】
前記負極は、集電体と、前記集電体上に形成された負極活物質層とを含む。負極活物質層は、リチウムを挿入および脱離することができる負極活物質、バインダー、導電材などを含むことができる。負極活物質としては、結晶質炭素、非晶質炭素、炭素複合体、炭素繊維、リチウム金属、リチウム合金、または炭素-シリコン複合体などを用いることができるが、これに限定されず、二次電池において負極活物質として使用可能な任意の物質を用いることができる。
【0104】
前記正極および/または負極は、電極活物質、バインダーおよび導電材、必要に応じて増粘剤を溶媒に分散させて電極スラリー組成物を製造した後、前記スラリー組成物を電極集電体に塗布して製造することができる。正極集電体としてはしばしばアルミニウムまたはアルミニウム合金などを用いることができ、負極集電体としてはしばしば銅または銅合金などを用いることができる。
【0105】
前記正極集電体および前記負極集電体の形態としては、ホイルまたはメッシュの形態が挙げられる。
【0106】
前記バインダーは、活物質のペースト化、活物質の相互接着、集電体との接着、活物質の膨張及び収縮に対する緩衝効果等の役割を果たす物質であり、当業者によって使用できるバインダーであればいずれも可能である。例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、 ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン-ポリビニリデンフルオリドの共重合体(PVdF/HFP)、ポリ(ビニルアセテート)、 アルキルレイテッドポリエチレンオキシド、ポリビニルエーテル 、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピリジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリルレイテッドスチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0107】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために用いられるものであり、構成される二次電池において化学変化を引き起こさない導電性材料であれば、いずれも使用可能である。前記導電材としては、黒鉛系導電材、カーボンブラック系導電材、金属または金属化合物系導電材からなる群から選ばれる少なくともいずれか一つを用いることができる。前記黒鉛系導電材の例としては、人造黒鉛、天然黒鉛などがあり、前記カーボンブラック系導電材の例としては、アセチレンブラック(acetylene black)、ケッチェンブラック(ketjen black)、デンカブラック(denka black)、サーマルブラック(thermal black)、チャネルブラック(channel black)などがあり、前記金属系または金属化合物系導電材の例としては、錫、酸化錫、リン酸錫(SnPO)、酸化チタン、チタン酸カリウム、LaSrCoO、LaSrMnOなどのペロブスカイト(perovskite)物質がある。しかし、前記に列挙した導電材に限定されるものではない。
【0108】
前記増粘剤は、活物質スラリーの粘度を調節する役割を果たすものであれば特に限定されず、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどを用いることができる。
【0109】
前記電極活物質、バインダー、導電材等が分散される溶媒としては、非水系溶媒または水系溶媒を用いることができる。前記非水系溶媒としては、N-メチル-2-ピロールジドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、またはテトラヒドロフランなどが挙げられる。前記水系溶媒としては、水などが挙げられる。
【0110】
前記リチウム二次電池は、正極と負極との間の短絡を防止し、リチウムイオンの移動通路を提供する分離膜(セパレータ)を含むことができ、前記分離膜としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンなどのポリオレフィン系高分子膜またはこれらの多層膜、微多孔性フィルム、織布または不織布を用いることができる。また、前記分離膜として多孔性のポリオレフィンフィルムに安定性に優れた樹脂がコーティングされたフィルムを用いることもできる。
【0111】
そして、前記リチウム二次電池は、角型、円筒型、ポーチ型、コイン型など、様々な形状にすることができる。
【実施例
【0112】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されるべきではない。
【0113】
<化学式1の化合物の製造方法>
【0114】
2-(ピリジン-2-イル)エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレート(化学式1の化合物)の合成例
【0115】
1000mL三口フラスコにNパージライン、滴下漏斗、温度計を装着した後、1,1'-カルボニルジイミダゾール(1,1'-carbonyldiimidazole)1.23mol及びジクロロメタン400mLを投入して攪拌した。反応器の内部を窒素雰囲気に充填し、温度を周囲温度から10℃に冷却した。温度を維持しながら、2-ピリジンエタノール(2-pyridineethanol)1.36モルを30分間滴下した。2-ピリジンエタノールを投入完了した後、温度を10℃から常温に変更し、4時間同じ温度で反応を進行した。反応が完了した後、水400mLを投入した後、有機層を抽出し、この手順を3回繰り返した。水分を除去するためにMgSOで処理した後、濾過を行い、ろ液中のジクロメタンを除去するために濃縮を進行した。こうして粉末を得た。粉末を真空オーブンで乾燥した後、最終化合物である2-(ピリジン-2-イル)エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを得た。収率は50%であった。
【0116】
H NMR(Chloroform-d, δ ppm): 1H 8.5ppm, 1H 8.0ppm, 1H 7.6ppm, 1H 7.4ppm, 2H 7.4ppm, 1H 7.0ppm, 2H 4.8ppm, 2H 3.3ppm HRMS: C1111S(M+):217.09
【0117】
<2-(ピリジン-2-イル)エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレート(化学式1)を含むリチウム二次電池用電解液の製造>
【0118】
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(EC/EMC=25/75体積比)にLiPFを1.0Mとなるように溶解した後、前記混合溶液に1.0重量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)、1.0重量%のリチウムジフルオロホスフェート(LiPO)、0.5重量%プロパンスルトン(PS)、0.5重量%のエチレンサルフェート(Esa)、および前記化学式1で表される前記合成例の2-(ピリジン-2-イル)エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレート化合物0.5重量%を添加して化学式1の化合物を含むリチウム二次電池用電解液を製造した。
【0119】
<化学式1の化合物を含む電解液を含むリチウム二次電池の製造>
【0120】
Li[NixCo1-x-yMny]O2(0<x<0.5, 0<y<0.5)を含むNCM系正極活物質94重量%、導電材(Super-P)3重量%、バインダー(PVdF)3重量%を有機溶媒であるN-メチル2-ピロリドン(NMP)に添加して正極活物質スラリーを調製した。前記正極活物質スラリーを集電体であるアルミニウム薄膜に塗布し、乾燥して正極を製造した後、ロールプレスで圧延して正極を作製した。また、SiOx(0<x<2)を含む黒鉛系負極活物質96重量%、導電材(Super-P)1重量%、バインダーSBR1.5重量%、CMC1.5重量%を混合して負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを負極集電体である銅薄膜に塗布し、乾燥して負極を作製した。
【0121】
前記のようにして製造された正極および負極を準備し、その間に分離膜を介在させた。その後、前記分離膜が介在された2つの電極の間に、前記化学式1の化合物を含むリチウム二次電池用電解液を注入し、アルミニウムポーチ型(Al-Pouch型)である化学式1の化合物を含む電解液を含むリチウム二次電池を製造した。
【0122】
比較例
【0123】
<1.3-プロペンスルトン(1,3-propene sultone(PRS))添加剤を含むリチウム二次電池用電解液の製造>
【0124】
リチウム二次電池用非水電解液は、非水電解液が分解して高温安定性を妨げ、高温で二次電池が膨張する現象を防ぐために、必要に応じてスルトン系化合物を含むことができる。前記スルトン系化合物は、例えば、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,4-ブタンスルトン(BS)、エテンスルトン、1,3-プロペンスルトン、1,4-ブテンスルトンおよび1- メチル-1,3-プロペンスルトンからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の化合物であり得る。比較例では、現在一般的に使用されている1,3-プロペンスルトン(PRS)を使用した。
【0125】
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(EC/EMC=25/75体積比)にLiPFを1.0Mとなるように溶解した後、前記混合溶液に1.0重量%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)、1.0重量%のリチウムジフルオロホスフェート(LiPO)、0.5重量%のプロパンスルトン(PS)、0.5重量%のエチレンサルフェート(Esa)、および比較例として0.5重量%の1.3-プロペンスルトン(PRS)添加剤を添加してリチウム二次電池用電解液を製造した。
【0126】
<1,3-プロペンスルトン(PRS)添加剤を含む電解液を含むリチウム二次電池の製造>
【0127】
電解液として前記化学式1の化合物で表される2-(ピリジン-2-イル)エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレート化合物を添加せず、1,3-プロペンスルトン(PRS)を含むリチウム二次電池用電解液を用いることを除いては、前記実施例のリチウム二次電池の製造と同様の方法で化学式1の化合物を含まず、1,3-プロペンスルトン(PRS)電解液を含むリチウム二次電池を製造した。
【0128】
前記実施例と比較例のリチウム二次電池用電解液の構成を下記表1に示した。
【0129】
<リチウム二次電池用電解液の構成>
【0130】
[表1]
【0131】
[実験例]
【0132】
<実験例1>高温(45℃)寿命容量維持率の測定
【0133】
前記実施例及び比較例のリチウム二次電池用電解液を用いて作製したポーチ型のリチウム二次電池を高温(45℃)で1C-rateで4.2Vまで充電した後、10分の休止時間を有して1C-rateで 2.7Vまで放電した後、再び10分の休止時間を有した。この過程を100回繰り返して電池の放電容量(mAh)および寿命容量維持率(retention、%)を測定した。測定した二次電池の放電容量と寿命容量維持率を比較し、その結果を表2に示した。
【0134】
[表2]
【0135】
前記表2に示すように、高温での寿命評価の結果、前記実施例のリチウム二次電池は、前記比較例のリチウム二次電池に比べて高温での寿命容量維持率が高いレベルを示した。
【0136】
したがって、前記実施例のリチウム二次電池は、前記化学式1で表される化合物を含む電解液を含むことにより、前記比較例のリチウム二次電池と比較して二次電池の高温寿命性能が劣化することなく寿命容量維持率が高いことを確認できた。すなわち、化学式1の化合物添加剤は、他の添加剤との副反応による性能の低下なしに、高温での寿命容量維持率を改善した。
【0137】
<実験例2>高温(60℃)貯藏特性測定
【0138】
前記実施例及び比較例のリチウム二次電池用電解液を用いて作製したポーチ型のリチウム二次電池を高温(60℃)で4週間貯藏した後、電池のIR(内部抵抗)及び二次電池体積変化率を測定した。下記表3に、高温(60℃)で0週目に比べ4週目貯蔵後の二次電池の内部抵抗(IR)及び二次電池体積変化率の結果をそれぞれ示した。
【0139】
[表3]
【0140】
内部抵抗(IR)の増加率は、実施例のリチウム二次電池が比較例のリチウム二次電池に比べて低く出て性能に優れた。
【0141】
体積増加率の指標は同じ性能でした(0.3%は大きな差のない同等のレベルだ)。
【0142】
<実験例3>交流インピーダンスの測定
【0143】
実施例及び比較例のリチウム二次電池を高温(60℃)で4週間貯藏後1.0C CC/CV充電(4.2VCut-off)した後、インピーダンス分析器(Impedance analyzer)を用いて交流インピーダンスを測定した。交流インピーダンスの測定結果を表4に示す。
【0144】
[表4]
【0145】
前記表4に示すように、比較例のリチウム二次電池と比較して、実施例のリチウム二次電池は非常に小さい交流インピーダンス測定値を示した。比較例のリチウム二次電池対比実施例のリチウム二次電池は、高温(60℃)で4週間放置した後の二次電池内部抵抗が減少した。