(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】非晶質タングステン酸融合体およびこれを利用して製造されたタングステン酸化物
(51)【国際特許分類】
C01G 41/00 20060101AFI20241119BHJP
C01B 32/949 20170101ALI20241119BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241119BHJP
B22F 9/20 20060101ALI20241119BHJP
C01G 41/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C01G41/00 B
C01B32/949
B22F1/00 P
B22F9/20 H
C01G41/02
(21)【出願番号】P 2023558107
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2020017467
(87)【国際公開番号】W WO2022119000
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】523210320
【氏名又は名称】ベストアール カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、チョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、チョン イン
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1800811(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0191277(KR,B1)
【文献】特開2006-156121(JP,A)
【文献】特表2007-537121(JP,A)
【文献】特開平02-141755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00 -47/00
49/10 -99/00
C01B 32/00 -32/991
B22F 1/00
B22F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン酸一次粒子を凝集させて形成し
たタングステン酸融合体に関し、
前
記タングステン酸融合体は、前記タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成して
おり、
前記タングステン酸一次粒子は、
長さ(L)が0.01ないし1.8μmであり、面積比(aspect ratio、L/D)が12ないし24である針状粒子であるか、又は、
前記針状粒子と、直径0.01ないし2.0μmの球形粒子との組み合わせであり、(前記針状粒子の重量):(前記直径0.01ないし2.0μmの球形粒子の重量)比が1:0.3ないし3である
ことを特徴とする
、タングステン酸融合体。
【請求項2】
前
記タングステン酸融合体の直径は、30μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載
のタングステン酸融合体。
【請求項3】
前
記タングステン酸融合体の、レーザー回折散乱式粒度分布測定法によって測定して得られる粒度分布によるD
50は、5ないし12μmであることを特徴とする、請求項1に記載
のタングステン酸融合体。
【請求項4】
前
記タングステン酸融合体の直径の標準偏差は、1.5ないし7μmであることを特徴とする、請求項1に記載
のタングステン酸融合体。
【請求項5】
前記タングステン酸一次粒子の少なくとも80%以上が少なくとも5個以上互いに融着結合して凝集されたことを特徴とする、請求項1に記載
のタングステン酸融合体。
【請求項6】
タングステン酸塩水溶液にアンモニウム化合物を含む第1添加剤を添加するステップ;
前記タングステン酸塩水溶液に酸性溶液を投入するステップ;および
前記酸性溶液を投入した後に、前記水溶液に過酸化水素およびフッ酸のうち少なくとも一つを含む第2添加剤を添加するステップ;を含
むタングステン酸融合体の製造方法であって、
前記タングステン酸塩水溶液の比重は、1.01超え1.50未満であり、
前記酸性溶液は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり20~80ml投入され、前記第1添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり1~10g添加され、前記第2添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり
35/3~20ml添加され、
前
記タングステン酸融合体は、タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成したものであり、
前記タングステン酸一次粒子
は、
長さ(L)が0.01ないし1.8μmであり、面積比(aspect ratio、L/D)が12ないし24である針状粒子であるか、又は、
前記針状粒子と、直径0.01ないし2.0μmの球形粒子との組み合わせであり、(前記針状粒子の重量):(前記直径0.01ないし2.0μmの球形粒子の重量)比が1:0.3ないし3である
ことを特徴とする
、タングステン酸融合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式工程によって製造されたタングステン酸融合体、これを利用して製造されたタングステン酸化物およびタングステン粉末に関し、より具体的には、湿式工程によって定形化されたタングステン酸融合体に関する。
【背景技術】
【0002】
先端産業の発展、4次産業の発展、環境に対する需要の増加で既存の最大タングステン需要先である工具および金型分野のタングステン使用量の増加とともに、半導体特殊ガス、SCR触媒、圧延部品、振動モーター、宇宙航空部品、薄膜、機能性セラミックス分野などでもタングステン使用量は速やかに増えている。
【0003】
急増するタングステン需要の大部分は、タングステン化合物(WF6gas、サーメットなど)、タングステンが含有された複合素材(SCR触媒、振動モーターなど)で、タングステンリサイクル技術の難易度が増加している現実である。
【0004】
主に使用されるタングステン素材としては、酸化タングステン(WO3)、タングステン粉末(W)および炭化タングステン粉末(WC)などがある。
【0005】
既存に開発されたタングステンリサイクル技術には、乾式法と湿式法がある。乾式法は、主にタングステン工具を多くのステップの熱処理を通じてWCを製造しているが、不純物のある廃棄物には適用し難く、リサイクル製品であるWCの純度と粒度制御が難しい限界を有している。
【0006】
一方、湿式工程は、アンモニウムパラタングステート(ammonium para tungstate、APT:(NH4)10W12O41・5H2O)製造工程を含む。APT製造工程は、アンモニアを利用してタングステン化合物を形成して結晶化させる工程であって、この過程で発生したアンモニアガスが排出するためには、大気環境基準に合うように処理設備を構築しなければならない。これは、タングステン素材の製造費用を大きく増加させるという問題があった。
【0007】
よって、本発明者らは、湿式法の限界であるAPT工程を代替できる新規な工程を導入し、多様なタングステン素材の原料として使用され得る、高純度の非晶質タングステン酸(H2WO4)を製造して本発明に至ることになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の問題を解決するために案出されたものであって、本発明の一実施例は、タングステン酸の一次粒子を凝集させて形成した非晶質タングステン酸融合体を提供する。
【0009】
また、本発明の他の一実施例は、非晶質タングステン酸融合体の粉末をか焼して製造されたタングステン酸化物を提供する。
【0010】
また、本発明の他の一実施例は、非晶質タングステン酸融合体の粉末を還元させて製造されたタングステン粉末を提供する。
【0011】
また、本発明の他の一実施例は、非晶質タングステン酸融合体の粉末を浸炭させて製造された炭化タングステン粉末を提供する。
【0012】
しかし、本発明が成そうとする技術的課題は、以上において言及した技術的課題に限定されず、言及されていないまた他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、タングステン酸の一次粒子を凝集させて形成した非晶質タングステン酸融合体に関し、前記非晶質タングステン酸融合体は、前記タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成していることを特徴とする、非晶質タングステン酸融合体を提供する。
【0014】
前記タングステン酸の一次粒子の形状は、球形、針状またはこれらの組み合わせであることを特徴とするものであってよい。
【0015】
前記タングステン酸の一次粒子は、直径0.01ないし2.0μmの球形粒子であることを特徴とするものであってよい。
【0016】
前記タングステン酸の一次粒子は、長さ(L)が0.01ないし1.8μmであり、面積比(aspect ratio、L/D)が12ないし24の針状粒子であることを特徴とするものであってよい。
【0017】
前記非晶質タングステン酸融合体の直径は、30μm以下であることを特徴とするものであってよい。
【0018】
前記非晶質タングステン酸融合体の、レーザー回折散乱式粒度分布測定法によって測定して得られる粒度分布によるD50は、5ないし12μmであることを特徴とするものであってよい。
【0019】
前記非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差は、1.5ないし7μmであることを特徴とするものであってよい。
【0020】
前記タングステン酸一次粒子の少なくとも80%以上が少なくとも5個以上互いに融着結合して凝集されたことを特徴とするものであってよい。
【0021】
前記タングステン酸一次粒子は、針状粒子および球形粒子からなり、前記タングステン酸一次粒子は、(針状粒子の重量):(球形粒子の重量)比が1:0.3ないし3であることを特徴とするものであってよい。
【0022】
本発明の他の一側面は、タングステン酸塩水溶液にアンモニウム化合物を含む第1添加剤を添加するステップ;前記タングステン酸塩水溶液に酸性溶液を投入するステップ;および前記酸性溶液を投入した以後に、前記水溶液に過酸化水素およびフッ酸のうち少なくとも一つを含む第2添加剤を添加するステップ;を含む非晶質タングステン酸融合体の製造方法であって、前記タングステン酸塩水溶液の比重は、1.01超え1.50未満であり、前記酸性溶液は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり20~80ml投入され、前記第1添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり1~10g添加され、前記第2添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり1~20ml添加され、前記非晶質タングステン酸融合体は、タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成したものであり、前記タングステン酸の一次粒子の形状は、球形、針状またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、非晶質タングステン酸融合体の製造方法を提供する。
【0023】
前記タングステン酸の一次粒子の形状は、針状であるか、または針状および球形状の組み合わせであることを特徴とするものであってよい。
【0024】
本発明の他の一側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末をか焼して製造されたことを特徴とする、タングステン酸化物を提供する。
【0025】
本発明の他の一側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末を還元させて製造されたことを特徴とする、タングステン粉末を提供する。
【0026】
本発明の他の一側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末を浸炭させて製造されたことを特徴とする、炭化タングステン粉末を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施例によれば、APT工程を進行しないことで工程費用を減らし、大気および水質汚染排出物質を大幅に減少させた環境にやさしい・低費用工程技術を提供することができる。
【0028】
また、本発明の一実施例によれば、特別な機器および装置の開発を必要としないため、商用化が容易なタングステン素材の製造工程を提供することができる。
【0029】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一具現例による非晶質タングステン酸融合体の製造方法を時間の流れによって示した順序図である。
【
図2】本発明の一具現例による非晶質タングステン酸融合体の製造方法のステップをより詳細に時間の流れによって示す順序図である。
【
図3】従来のタングステン酸粉末のSEM像(左)および本発明の一具現例によるタングステン酸融合体粉末のSEM像(右)を比較して示したものである。
【
図4】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のSEM像を示したものである。
【
図5】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のSEM像を示したものである。
【
図6】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のSEM像を示したものである。
【
図7】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のXRDピーク結果をそれぞれ示したものである。
【
図8】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のXRDピーク結果をそれぞれ示したものである。
【
図9】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例のXRDピーク結果をそれぞれ示したものである。
【
図10】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例の粒度分布分析結果を示したものである。
【
図11】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例の粒度分布分析結果を示したものである。
【
図12】本発明の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の実施例の粒度分布分析結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例によって本発明が限定されず、本発明は、後述する請求の範囲によって正義されるだけである。
【0032】
付け加えて、本発明において使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上に明白に異に意図しない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでよいということを意味する。
【0033】
本願の第1側面は、
【0034】
タングステン酸の一次粒子を凝集させて形成した非晶質タングステン酸融合体に関し、前記非晶質タングステン酸融合体は、前記タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成していることを特徴とする、非晶質タングステン酸融合体を提供する。
【0035】
以下、本願の第1側面による非晶質タングステン酸融合体について詳細に説明する。
【0036】
本願の一具現例において、前記非晶質タングステン酸融合体は、前記タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成することができる。また、前記タングステン酸の一次粒子の形状は、球形、針状またはこれらの組み合わせであることを特徴とするものであってよい。
【0037】
本願の一具現例において、タングステン酸の一次粒子の形状が球形である場合、一次粒子が一つずつ独立して存在するとともに互いに連結されているブドウの房状のタングステン酸融合体の形状となってよい。本願の一具現例において、前記タングステン酸の一次粒子は、直径0.01ないし2.0μmの球形粒子であることを特徴とするものであってよい。好ましくは、タングステン酸の一次粒子は、直径0.03ないし1.8μmであってよく、工程条件によってタングステン酸の一次粒子の直径は変化してよいが、直径が2.0μmを超える場合、製造された非晶質タングステン酸融合体が後工程を経て酸化タングステン、タングステン、炭化タングステンで製造時に粉末粒子が不要に肥大となり得、直径が0.01μm未満である場合、房状の構造を成すことが確かに観察されず、凝集がさらによく起きるようになる問題がある。
【0038】
本願の一具現例において、タングステン酸の一次粒子の形状が針状である場合、前記タングステン酸の一次粒子は、長さ(L)が0.01ないし1.8μmであり、面積比(aspect ratio、L/D)が12ないし24である針状粒子であることを特徴とするものであってよい。好ましくは、前記タングステン酸の一次粒子は、長さ(L)が0.1ないし1.5μmであってよく、面積比は15ないし20であってよい。前記タングステン酸の一次粒子が長さ(L)が0.01ないし1.8μmであり、面積比が12ないし24を満たすことで、従来の無定形であるタングステン酸粉末に比べてタングステン酸融合体の形状が定形化された房状構造の形状を成すようになるものであってよい。本願の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の場合、針状構造の一次粒子のみからなる場合、相対的に結晶化がよく行われ、相互連結されて広がっている形状を有するようになり得る。
【0039】
本願の一具現例において、タングステン酸の一次粒子の形状が球形および針状の組み合わせであってよい。この場合、球形のタングステン酸の一次粒子の直径は、上述の範囲を満たすことができ、針状のタングステン酸の一次粒子の長さ(L)および面積比値も上述の範囲を満たすことができる。本願の一具現例において、前記タングステン酸一次粒子は、(針状粒子の重量):(球形粒子の重量)比が1:0.3ないし3であることを特徴とするものであってよく、好ましくは、1:0.8ないし2であってよい。上述の範囲を満たすことで、結晶化度が適切に調節されたタングステン酸融合体粒子を得ることができるはずである。本願の一具現例によって製造されたタングステン酸融合体の場合、針状構造のみからなるタングステン酸融合体に比べて結晶化度が小さいが、球形一次粒子のみからなるタングステン酸融合体に比べて結晶化度が高くてよく、球形と針状形状粒子が混合し、相互連結されて広がっている形状を有するようになってよい。
【0040】
本願の一具現例において、前記タングステン酸一次粒子の少なくとも50%以上が少なくとも3個以上互いに融着結合して凝集されたことを特徴とするものであってよい。好ましくは、前記タングステン酸一次粒子の少なくとも80%以上が少なくとも5個以上互いに融着結合されたものであってよい。上述の範囲を満たすことで、それぞれの一次粒子が独立して存在するとともにブドウの房のような房状構造のタングステン酸融合体を形成することができるようになる。
【0041】
本願の一具現例において、前記非晶質タングステン酸融合体粒子特性は、X線回折法(X-ray Diffraction、XRD)によって測定されることができる。ピークの位置、面積、強度、半値幅(full widthat half maximum、FWHM)などのデータを通じて、タングステン酸融合体の種類、結晶化度、結晶粒の分布などを分析することができる。前記「非晶質タングステン酸融合体」は、結晶化度が相対的に低いタングステン酸融合体を全て含むものであり、下記において説明するとおり、本願の一具現例による製造方法によって形成されるタングステン酸一次粒子の形状を調節して結晶化度を調節することができるはずである。
【0042】
本願の一具現例において、前記非晶質タングステン酸融合体の直径は、30μm以下、好ましくは、25μmであることを特徴とするものであってよい。下記において詳細に説明するが、本願の一具現例によるタングステン酸融合体の場合、APT工程を省略し、タングステン酸塩水溶液に酸性溶液を投入する前後に、アンモニウム化合物を含む第1添加剤および過酸化水素およびフッ酸のうち少なくとも一つを含む第2添加剤をそれぞれ添加することで、定形化された粒子形状を有するとともに粒子の大きさを適切に制御できるタングステン酸融合体を製造することができる。
【0043】
前記非晶質タングステン酸融合体の、レーザー回折散乱式粒度分布測定法によって測定して得られる粒度分布によるD50は、5ないし16μm、好ましくは、5ないし12μmであることを特徴とするものであってよい。さらに好ましくは、タングステン酸一次粒子の形状が球形である場合、前記非晶質タングステン酸融合体のD50は7ないし10μmであってよく、タングステン酸一次粒子の形状が針状である場合、前記非晶質タングステン酸融合体のD50は8.5ないし14μmであってよく、タングステン酸一次粒子の形状が針状および球形の組み合わせである場合、前記非晶質タングステン酸融合体のD50は6.5ないし9μmであってよい。
【0044】
本願の一具現例において、前記非晶質タングステン酸融合体直径の標準偏差は、1.5ないし7μm、好ましくは、1.5ないし6.5μmであることを特徴とするものであってよい。これは、タングステン酸一次粒子の形状によって変わり得るが、好ましくは、タングステン酸一次粒子の形状が球形である場合、前記非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差は2ないし4μmであってよく、タングステン酸一次粒子の形状が針状である場合、前記非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差は4ないし7μmであってよく、タングステン酸一次粒子の形状が針状および球形の組み合わせである場合、前記非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差は2ないし4μmであってよい。前記非晶質タングステン酸融合体直径の標準偏差が7μmを超える場合、形状または粒子の大きさの制御が適切に行われた工程によって製造されたものとは見なし難く、後工程を経て酸化タングステン、タングステン、炭化タングステンの製造時に粒度ばらつきはさらに大きくなり、均一な粉末の製造が難しくなるはずである。
【0045】
本願の第2側面は、
【0046】
タングステン酸塩水溶液にアンモニウム化合物を含む第1添加剤を添加するステップ;前記タングステン酸塩水溶液に酸性溶液を投入するステップ;および前記酸性溶液を投入した以後に、前記水溶液に過酸化水素およびフッ酸のうち少なくとも一つを含む第2添加剤を添加するステップ;を含む非晶質タングステン酸融合体の製造方法であって、前記タングステン酸塩水溶液の比重は、1.01超え1.50未満であり、前記酸性溶液は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり20~80ml投入され、前記第1添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり1~10g添加され、前記第2添加剤は、前記タングステン酸塩水溶液100ml当たり1~20ml添加され、前記非晶質タングステン酸融合体は、タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成したものであり、前記タングステン酸の一次粒子の形状は、球形、針状またはこれらの組み合わせであることを特徴とする、非晶質タングステン酸融合体の製造方法を提供する。
【0047】
本願の第1側面と重複する部分に対しては、詳細な説明を省略したが、本願の第1側面について説明した内容は、第2側面でその説明が省略されても同一に適用されることができる。
【0048】
以下、本願の第2側面による非晶質タングステン酸融合体の製造方法について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施例による非晶質タングステン酸融合体の製造方法を時間の流れによって示した順序図である。
【0050】
図1に示されたように、タングステン酸化物の製造方法は、タングステン酸塩水溶液を提供するステップ(S110)、およびタングステン酸塩水溶液からタングステン酸を析出するステップ(S120)を含む。
【0051】
本発明の実施例による非晶質タングステン酸融合体の製造方法は、タングステン酸塩水溶液からタングステン酸(H2WO4)を析出するので、湿式工程に該当し得る。湿式工程でタングステン酸化物を製造する場合、通常的にアンモニウムパラタングステート(APT)の製造工程が含まれるようになるが、本発明の実施例によれば、APT製造工程の省略が可能である。APT製造工程を伴うときには、製造工程の特性上、様々な短所を伴う。特に、APT製造工程は、アンモニアを使用してタングステン化合物を形成して結晶化させるので、決定化ステップで行われる蒸発/濃縮過程は多くのエネルギーを必要とし、多量のアンモニアガスを発生させる。アンモニアガスを処理するためには多くの費用が発生し、国内タングステン生産をさらに難しくする。多くの費用が発生するにもAPT製造工程が必要であることは、タングステン酸塩からタングステン酸に置換する過程でタングステン酸粉末が微細且つ不完全な形状の粒子を形成するためである。置換過程で形成されたタングステン酸粒子は、その後に進行される繰り返し水洗工程を経るとともにより細かく壊れるようになり、タングステン酸粒子の大きさが微細且つ不規則であるほど、以後に進行される濾過および水洗工程をさらに難しくする。ここで、APT製造工程は、タングステン酸粒子の大きさを大きくして形状を一様に作ることができるので、濾過および水洗工程を含む後続処理でタングステン酸粒子を円滑にハンドリングすることができるようにする。
【0052】
本願の一具現例において、非晶質タングステン酸融合体の製造方法は、タングステン酸塩からタングステン酸に置換する過程で添加剤を使用して、形成される粒子の大きさと形状を制御する。粒子の大きさはAPT製造工程によるタングステン酸粒子ほど大きくなることができ、粒子形状は繰り返した水洗過程でも容易に壊れない、タングステン酸一次粒子間に相互連結されて房状の構造を形成することが見られる。
【0053】
本願の一具現例において、添加剤は、アンモニウム化合物の第1添加剤と、過酸化水素およびフッ酸のうち少なくとも一つを含む第2添加剤であってよい。置換過程で上記の添加剤を使用して、析出されるタングステン酸粉末に溶解、凝集および分散効果を与えることで、一定大きさ以上の均一な形状の粒子を作り、後続する濾過および水洗ステップでの工程効率を高めることができる。
【0054】
【0055】
図2は、本発明の実施例による非晶質タングステン酸融合体の製造方法のステップS110およびS120をより詳細に時間の流れによって示す順序図である。
【0056】
図2に示されたように、本願の一具現例において、ステップ(S110)はタングステン原料と炭酸塩とを混合して高温で溶融させるステップ(S112)、および溶融された混合物を冷却させた後、水に入れてタングステン酸塩水溶液を溶出するステップ(S114)を含んでよい。
【0057】
本願の一具現例において、タングステン原料はタングステンを含有した原料であって、鉱石、スラッジ、スクラップなどを含んでよい。タングステン原料は、炭酸塩と混合前に、ステップ(S112)がより効率的に遂行するための前処理ステップとして、粉砕および酸化されることができる。具体的に、タングステン原料のうち鉱石は、繰り返した粉砕および選別を通じて、スラッジは乾燥および粉砕を通じてスラッジ内に存在する油分を除去し、適切な大きさの酸化粒子に作る。スクラップは、酸化および粉砕の繰り返し過程を経て適切な大きさの酸化粒子に作る。このとき、酸化温度は800~1000℃であってよい。
【0058】
上記のように用意されたタングステン原料に炭酸塩を混合して高温で溶融させる(S112)。高温では炭酸塩とタングステンが結合してタングステン化合物が作られ、このとき、タングステン化合物は水溶性になる。本願の一具現例において、炭酸塩は炭酸ナトリウム(Na2CO3)であってよい。すなわち、ステップ(S112)では、タングステン原料と炭酸ナトリウムとを適切な割合で混合して高温で溶融させ、水溶性のタングステン酸ナトリウム(Na2WO4)を製造する。
【0059】
本願の一具現例において、タングステン原料と炭酸ナトリウムは1:0.4~1の割合で混合されてよい。タングステン原料に対して炭酸ナトリウムの割合が0.4未満である場合には、炭酸ナトリウムの量がタングステンの量より相対的に低すぎる。それで、ナトリウムとタングステンとが結合できる当量に到達することができず、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)で結合することができない残存タングステンがあり得るため不利である。その割合が1を超える場合には、ナトリウムも結局無くさなければならない不純物であるため、後工程で過投入による不純物除去の量が多くなるという短所を有する。そのため、その割合は0.4~1であることが好ましい。
【0060】
本願の一具現例において、ステップ(S112)の溶融温度は800~1000℃であってよい。このとき、溶融温度が800℃未満である場合には、溶融温度に到達することができないため、結合および溶けないタングステンの量が多くなり、回収率を落とす短所を有し、1000℃を超える場合には、不要に多くのエネルギーを消費して生産費用を増加させるので、溶融温度は800~1000℃で選択されることが好ましい。
【0061】
次に、本願の一具現例において、ステップ(S112)で溶融された混合物を冷却させた後、水に入れてタングステン酸塩水溶液を溶出する(S114)。ステップ(S112)で溶融されたタングステン化合物は水溶性であり、比較的炭酸塩との結合力が弱いタングステン原料の他の成分(例えば、コバルト、銅、ニッケル、アルミナなど)は溶出ステップで水に溶けずにそのまま残るため、ステップ(S114)で選択的にタングステン酸塩水溶液を抽出することが可能である。溶出数の量がタングステン原料重量に比べて2倍未満である場合には、水に溶け切れず、非水溶性で残る残渣にタングステンが共に残存できる可能性が大きくなる。15倍を超える場合には、後工程である置換工程で、一定pHまで到達させるための酸性溶液の使用量が増加することができ、微粉末を作って生産効率を落とす問題が発生する。よって、溶出数の量はタングステン原料重量に比べて2~15倍にすることが適切である。
【0062】
また本願の一具現例において、前記タングステン酸塩水溶液の比重は、1.01超え1.50未満、好ましくは、1.05ないし1.40であってよい。タングステン酸塩水溶液の比重が高くなるほど、前記タングステン酸の一次粒子の形状は球形になる傾向を有することを特徴とすることができる。よって、タングステン酸塩水溶液の比重を調節することで、タングステン酸一次粒子の形状を調節し、さらに非晶質タングステン酸融合体の結晶化度を調節することができるようになる。
【0063】
上記のようなステップ(S112)ないしステップ(S114)を通じて提供されたタングステン酸塩水溶液は、次のステップ(S122ないしS128)を通じてタングステン酸に析出される。以下、
図2を参照してより詳細に検討する。
【0064】
本願の一具現例において、ステップ(S120)は、タングステン酸塩水溶液にアンモニウム化合物を添加するステップ(S122)、タングステン酸塩水溶液に酸性溶液を投入するステップ(S124)、タングステン酸塩水溶液に過酸化水素を添加するステップ(S126)、およびタングステン酸塩水溶液を加熱および撹拌するステップ(S128)を含んでよい。
【0065】
一方、本発明の一具現例において、酸性溶液投入の以後にアンモニウム化合物と過酸化水素が添加されてもよいが、酸性溶液投入の以前にアンモニウム化合物を添加することは、より一様な分布を有する粒子形成側面で有利であり、酸性溶液投入の以後に過酸化水素を添加することは、同一のpH条件でタングステン酸を析出させることができるため、より規則的な定形性を有する粉末生成が可能であるという点で有利であるので、酸性溶液投入の以前にアンモニウム化合物が添加されて酸性溶液投入の以後に過酸化水素が添加される実施例を中心に検討する。また、本発明の一具現例によれば、過酸化水素の代わりにフッ酸(HF)が添加されてもよく、フッ酸より過酸化水素を使用した場合、再結晶および凝集の効果に卓越であるという点で、過酸化水素を使用した実施例を中心に検討する。
【0066】
先ず、本願の一具現例において、ステップ(S110)から提供されたタングステン酸塩水溶液に添加剤としてアンモニウム化合物を入れて溶解させることができる(S122)。ステップ(S122)で添加される添加剤を以後のステップ(S126)で添加される添加剤と区別するために、ステップ(S122)のアンモニウム化合物を第1添加剤と言い、ステップ(S126)の過酸化水素を第2添加剤と言う。
【0067】
本願の一具現例において、タングステン酸塩水溶液は、タングステン酸ナトリウム水溶液(Na2WO4(aq))であってよい。以下においては、タングステン酸塩水溶液がタングステン酸ナトリウム水溶液である実施例を中心に検討することにする。
【0068】
本発明の一具現例によるアンモニウム化合物は、アンモニウムイオン(NH4+)を含む水溶性の化合物であって、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)、重炭酸アンモニウム(NH4HCO3)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、フッ化アンモニウム(NH4F)、シュウ酸アンモニウム((NH4)2C2O4)、酢酸アンモニウム(NH4CH3CO2)、リン酸一アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸二アムモニウム((NH4)2HPO4)のうち少なくとも一つを含んでよい。アンモニウムイオンを含む第1添加剤は、後述のとおり、タングステン酸ナトリウム水溶液から析出されるタングステン酸に対する分散剤として作用することができる。アンモニウム化合物のアンモニウムイオン(NH4+)は、タングステン酸ナトリウム水溶液のタングステートイオン(WO4
-)に対してナトリウムイオン(Na+)より結合力が弱いため、タングステン酸ナトリウム水溶液内でタングステートイオン(WO4
-)と新たな化合物を形成せず、後述のとおり、タングステン酸ナトリウム水溶液内で安定的に分散剤の役割を果たすことができる。本願の一具現例において、アンモニウム化合物は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり1~10g添加されてよい。タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たりアンモニウム化合物が1g未満で添加される場合には、分散剤としての効果に劣り、粒子のかたまり現象が発生し得る。10g超えて添加される場合には、アンモニウムイオンが多くなることによってアンモニウムイオン、タングステンイオン、ナトリウムイオンが共に結合することができ、後工程でナトリウムを除去し難くなる。また、不要な過多添加は生産費用上昇の原因になる。よって、アンモニウム化合物は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり1~10g添加されることが好ましい。
【0069】
次に、本願の一具現例において、アンモニウム化合物が溶解されたタングステン酸水溶液内に酸性溶液を投入することができる(S124)。酸性溶液は、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)および硫酸(H2SO4)のうち少なくとも一つを含んでよい。酸性溶液は、タングステン酸ナトリウム水溶液のpHを下げて水溶液が一定pH値に到達したときからタングステン酸ナトリウム水溶液からタングステン酸が析出できる環境を造成する。一定pH値は1~2以下であってよい。酸性溶液は、タングステン酸ナトリウム水溶液に添加されてタングステン酸ナトリウムのナトリウムイオン(Na+)を水素イオン(H+)に置換する置換剤の役割を果たす。すなわち、酸性溶液が投入されてタングステン酸ナトリウム水溶液のpHが一定値(一例として、1以下)に到達すると、水溶液内でタングステン酸ナトリウムのナトリウムイオンが水素イオンに置換され、水に溶けない非水溶性のタングステン酸が形成されて水溶液内で沈殿し始めることである。酸性溶液は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり20~80ml投入されてよい。タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり酸性溶液が20ml未満に投入される場合には、タングステン酸が析出される一定pH値(一例として、1~2)に到達することができないこともあり、ナトリウムイオン(Na+)と水素イオン(H+)が置換され得る当量に満たさないため、回収率に劣る効果をもたらすことがある。80ml超えて投入される場合には、過多投入された酸性溶液の影響で不規則な粒子が生成される可能性があり、後工程でハンドリングしなければならない溶液の量が多くなって生産性に劣ることになる。よって、酸性溶液は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり20~80ml範囲で投入されることが好ましい。
【0070】
本願の一具現例において、酸性溶液を投入した直後には、タングステン酸ナトリウム水溶液内で酸性溶液がよく混ざるように撹拌が行われることができる。
【0071】
次に、本願の一具現例において、酸性溶液が投入されたタングステン酸水溶液内に第2添加剤として過酸化水素(H2O2)を添加する(S126)。過酸化水素は、水溶液内で析出されたタングステン酸に対する溶解剤として作用することができる。先立って説明したように、酸性溶液が投入されることによって水溶液のpHが一定値以下に下げると、非水溶性のタングステン酸が沈殿し始めるが、このとき、過酸化水素は析出されたタングステン酸を溶解させることで、後述のとおり、所望する形状にタングステン酸粒子が形成できるようにする。一方、フッ酸もまたタングステン酸ナトリウム水溶液内で析出されるタングステン酸を溶解させ得るので、本発明の他の実施例によれば、第2添加剤としてフッ酸が添加されてよい。第2添加剤は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり1~20ml添加されてよい。タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり第2添加剤が1ml未満で添加される場合には、溶解されないタングステン酸が存在して不規則な粒子形成の原因となり得る。20ml超えて添加される場合には、溶解後さらにタングステン酸が生成される時間が長くかかり、多くの過酸化水素水投入はpHを上昇させることができるため、pHを下げるために酸性溶液をさらに投入しなければならない状況を招くことがある。これは効率性に劣る。よって、第2添加剤は、タングステン酸ナトリウム水溶液100ml当たり1~20ml範囲で添加されることが好ましい。本願の一具現例において、第2添加剤がタングステン酸塩水溶液(例えば、タングステン酸ナトリウム水溶液)100ml当たり12ml超えで添加される場合、析出されるタングステン酸の一次粒子の形状が針状である割合が増えるようになり得る。すなわち、第2添加剤が相対的に高含量であるほど、前記タングステン酸の一次粒子の形状は、針状であるか、または針状および球形状の組み合わせであることを特徴とするものであってよい。よって、第2添加剤を所定量以上添加する程度を調節することで、タングステン酸一次粒子の形状を調節し、さらに非晶質タングステン酸融合体の結晶化度を調節することができるようになる。
【0072】
本願の一具現例において、前記第1添加剤、置換剤および第2添加剤がそれぞれ投入されたタングステン酸ナトリウム水溶液を加熱および撹拌する(S128)。このとき、加熱および撹拌は30~75℃の温度範囲で1~6時間の間60~400rpmの速度で進行され得る。加熱温度が30℃未満である場合には、析出される時間が長くなり、均一な粒子形成を期待し難く、加熱温度が75℃超えの場合には、微粉末が形成されて後工程を難しくする。加熱および撹拌が1時間未満で進行される場合には、析出される反応時間に及ばないため、結晶形成にならないことがあり、6時間超えで進行される場合には、既に全ての反応が終わった状態であるため、6時間超え反応時間に対しては意味がない。そして、撹拌速度が60rpm未満である場合には、粒子のかたまり現象発生および均一なpH条件を合わせ難いため、生産工程の適用が難しく、400rpm超えの場合には、微粉末形成に影響を及ぼし、粒子の均一性を保証し難い。よって、加熱および撹拌は30~75℃の温度範囲で1~6時間の間60~400rpmの速度で進行されることが好ましい。ステップ(S128)が進行されることによって、一次粒子が独立して存在して房状構造で形成されたタングステン酸融合体粒子が生成される。このように生成されたタングステン酸粒子は、既存の一般的な湿式工程を適用して製造した粒子とは異なり、それぞれ一定大きさ以上に形成された粒子が定形性を有することで壊れ現象が改善し、後続する濾過および水洗ステップで処理が容易であり、既存のAPT製造工程なしにもタングステン酸融合体を製造できるようにする。
【0073】
析出されるタングステン酸粒子の大きさと形状を制御するために、タングステン酸ナトリウム水溶液内に添加された添加剤の役割をより詳しく検討する。次のように、水溶液内で過酸化水素は溶解および凝集役割を、アンモニウム化合物は分散役割をする。酸性溶液によってタングステン酸ナトリウム水溶液のpHが一定値に到達すると、水溶液内に非水溶性のタングステン酸が析出し始める。このとき、過酸化水素を投入して非水溶性のタングステン酸を溶解させる。先立って言及したように、過酸化水素の代わりにフッ酸が使用されてもよい。
【0074】
そして、水溶液に対する加熱および撹拌が一定条件で遂行され、時間が過ぎることにより、タングステン酸がさらに析出し始めるが、これは、高いpH値(一例として、pH14)を有するタングステン酸ナトリウム溶液でタングステン酸が析出される低いpH値(一例として、pH1)になるまで不規則に生成されたタングステン酸を同一のpH区間を含む、様々な同一の条件で溶解させて再析出ステップを経るようになるものであって、これは規則的且つ定形性を有する粒子形成のための再結晶過程であると見なし得る。一方、タングステン酸が析出されるときには、水溶液内に溶解されていたアンモニウム化合物が分散剤として作用するので、タングステン酸粉末は互いに過度に凝集されないように分散した状態で析出される。
【0075】
すなわち、過酸化水素によってタングステン酸粉末が溶解され、再結晶過程を経るとともにタングステン酸粉末は互いに凝集して一定大きさ以上の融合体粒子を成し得る状態となり(過酸化水素の溶解および凝集役割)、同時に、一定大きさ以上に形成されたタングステン酸融合体粒子は、アンモニウム化合物の界面活性効果によって互いに凝集されないように分散することにより(アンモニウム化合物の分散役割)、粒子はこれ以上凝集されずにその形状を保持することができる。もし、アンモニウム化合物が添加されていない場合であれば、過酸化水素によって一定大きさに形成されたタングステン酸粒子は、その形状をさらに保持することができず、部分的に互いにかたまり続け、横や縦に不規則に伸びた無定形の新たな粒子に変形されるはずである。このような無定形の粒子は、後続ステップである繰り返した水洗過程で外部衝撃に脆弱である。逆に、過酸化水素が添加されていない場合であれば、タングステン酸ナトリウム水溶液から析出されるタングステン酸粉末は溶解されず、全てかたまって一つの大きい塊を形成するようになるはずである。つまり、タングステン酸ナトリウム水溶液内で過酸化水素の溶解および凝集役割とアンモニウム化合物の分散役割は、相互補完的に作用することで、析出されるタングステン酸粉末が一次粒子がそれぞれ独立して存在する房状構造の定形性を有するタングステン酸融合体粒子を形成することができるようにする。
【0076】
タングステン酸ナトリウム水溶液に置換剤である酸性溶液が投入されることによって、水溶液のpHが一定値(例えば、pH1以下)に到達すると、タングステン酸ナトリウム水溶液からタングステン酸が析出し始め、このとき析出されるタングステン酸粉末は、無定形的に互いに凝集する傾向を有している(
図3の左側参照)。
【0077】
図3の左側を参照すると、アンモニウム化合物と過酸化水素なしに、既存の湿式工程によって製造されたタングステン酸粒子を示す。
図3の左側に示されたように、タングステン酸粉末が集まって成す粒子の大きさは、あるものは横長であり、他のものは縦長である、無定形且つ不規則である。これは、後続する繰り返した濾過および水洗ステップで容易に細かく壊れることで後続処理を難しくすることができる。
【0078】
しかし、本願の一具現例による方法によってタングステン酸ナトリウム水溶液にアンモニウム化合物と過酸化水素が添加された場合には、タングステン酸ナトリウム水溶液から析出されるタングステン酸粉末が過酸化水素により溶解および凝集され、アンモニウム化合物により分散することで、析出されるタングステン酸粉末が概して一様にかたまって分散して定形性を有する粒子が形成され得る(
図3の右側参照)。
図3の右側に示されたように、タングステン酸塩水溶液内で過酸化水素とアンモニウム化合物の相互補完作用によって一つずつ離れているブドウの房状の定形性を有するタングステン酸粒子が形成される。このような形状のタングステン酸融合体粒子は、後続ステップで繰り返し水洗による壊れ現象が改善して濾過および水洗を容易にすることで、APT製造工程なしに直ちに、後工程によってタングステン酸化物、タングステン粉末、または炭化タングステンを製造できるようにする。
【0079】
続けて、上述のステップ(S122ないしS128)を通じて得られたタングステン酸を利用してタングステン酸化物を製造するステップを検討する。
【0080】
図2に示されたように、本願の一具現例によるタングステン酸融合体の製造方法は、加熱および撹拌された水溶液を濾過および水洗して水分を含有した結晶形態のタングステン酸粒子を得るステップ(S132)、およびタングステン酸粒子を乾燥して水分を除去するステップ(S134)を含んでよい。
【0081】
先ず、本願の一具現例において、ステップ(S132)においては、ステップ(S128)まで済ませた溶液を濾過装置に濾過し、酸洗浄と蒸溜水洗浄を繰り返す。ステップ(S132)を通じて、水分を含有した結晶形態のタングステン酸粒子を得ることができる。本願の一具現例によるタングステン酸融合体粒子は、繰り返し水洗による粉末の壊れ現象が改善して円滑に繰り返し水洗処理が可能である。濾過のために、濾過紙が使用されることができ、有効なタングステン酸粒子の大きさを考慮して濾過紙のホール大きさが決定され得る。好ましくは、本願の一具現例によって得られるタングステン酸粒子の大きさは、おおよそ3μm以上の大きさを有してよいので、ホール大きさ3μm以下を有する濾過紙を選択的に使用することができる。
【0082】
本願の一具現例において、酸洗浄に使用される酸溶液は、ステップ(S124)で使用した置換剤溶液と同一のものを使用してよい。これは、工程効率側面で有利である。例えば、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)のうち少なくとも一つが利用されてよい。酸洗浄に使用される酸溶液の濃度は1~10%であってよい。酸溶液の濃度が1%未満である場合には不純物除去効果に劣り、10%を超える場合には蒸溜水洗浄過程で洗浄水増加の原因となるので、1~10%範囲内で酸溶液の濃度が選択されることが好ましい。酸洗浄と蒸溜水洗浄は2回以上で繰り返して実施されることができる。酸洗浄と蒸溜水洗浄回数が5回を超える場合には、蒸溜水使用量が増加して生産費用が上昇し、粉末の壊れ現象の可能性が高くなるので、5回を超えないことが好ましい。
【0083】
本願の一具現例において、水洗を済ませたタングステン酸粉末を乾燥機で乾燥して水分を除去することができる(S134)。ステップ(S134)を通じて、タングステン酸融合体粒子に含有されていた水分が除去される。このとき、乾燥温度は60~100℃が適切である。乾燥温度が60℃未満である場合には、乾燥時間が長くかかり乾燥効率に劣り、100℃を超える場合には、粉末間にかたまり現象が発生し得るので不利であるため、乾燥温度は60~100℃範囲で選択されることが適切である。
【0084】
本願の第3側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末をか焼して製造されたことを特徴とするタングステン酸化物を提供する。
【0085】
本願の第1側面および第2側面と重複する部分に対しては、詳細な説明を省略したが、本願の第1側面および第2側面について説明した内容は、第3側面でその説明が省略されても同一に適用されることができる。
【0086】
以下、本願の第3側面によるタングステン酸化物について詳細に説明する。
【0087】
本願の一具現例において、か焼処理のために、大気または真空雰囲気でか焼炉を使用することができる。か焼温度は500~1000℃、か焼時間は1~6hrが適切である。か焼温度が500℃未満であるか、か焼時間が1hr未満である場合には、タングステン酸から酸化タングステンに結晶構造の変化が上手く行われず、か焼温度が1000℃超えであるか、か焼時間が6hr超えの場合には、粉末が硬く固まって後工程に問題があるので、か焼温度は500~1000℃範囲で選択され、か焼時間は1~6hr範囲内で選択されることが好ましい。
【0088】
本願の第4側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末を還元させて製造されたことを特徴とするタングステン粉末を提供する。
【0089】
本願の第1側面ないし第3側面と重複する部分に対しては詳細な説明を省略したが、本願の第1側面ないし第3側面について説明した内容は、第4側面でその説明が省略されても同一に適用されることができる。
【0090】
本願の一具現例において、前記タングステン粉末は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末を水素還元させて製造されたことを特徴とするものであってよい。還元処理のために、温度は900~1200℃で行われることができる。温度が900℃未満である場合には、タングステン酸からタングステンに変化が上手く行われず、還元処理温度が1200℃超えの場合には、粉末の粒子間にかたまり現像が発生して硬く固まって後工程に問題があるので、還元処理の温度は900~1200℃範囲で選択されることが好ましい。
【0091】
本願の第5側面は、前記非晶質タングステン酸融合体の粉末を炭素粉末と混合して浸炭させて製造されたことを特徴とする炭化タングステン粉末を提供する。
【0092】
本願の第1側面ないし第4側面と重複する部分に対しては詳細な説明を省略し、本願の第1側面ないし第4側面について説明した内容は、第5側面でその説明が省略されたとしても同一に適用されることができる。
【0093】
本願の一具現例において、浸炭処理のために、温度は900~1300℃で行われることができる。温度が900℃未満である場合には、タングステン酸から炭化タングステンに変化が上手く行われず、還元処理温度が1300℃超えの場合には、粉末の粒子間にかたまり現像が発生して不要に肥大な粉末が形成されることがあり、硬く固まって後工程に問題があるので、浸炭処理の温度は900~1300℃範囲で選択されることが好ましい。
【0094】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0095】
実施例1.タングステン酸融合体の製造
【0096】
適切な大きさで作られたタングステン原料粉末に炭酸ナトリウムを重さ割合1:0.6で混合して容器に入れ、ボックス型電気炉に装入後、大気雰囲気800℃で6時間の間高温溶融させた。そして、溶融物を常温冷却後、水に入れてタングステンのみ溶かし出した後、濾過してタングステン酸ナトリウム(Na2WO4)水溶液を製造した。
【0097】
製造されたタングステン酸ナトリウム水溶液300mlにアンモニウム化合物を入れて撹拌して溶解させた後、酸性溶液100mlと過酸化水素水(H2O2、35%)をそれぞれ下記表1にしたがって入れて45~50℃を保持し、約100rpmの撹拌速度を保持するとともに約6時間の間反応させ、タングステン酸(H2WO4)を析出させた。
【0098】
以後、タングステン酸と溶液を分離させるために、濾過装置に濾過紙を敷いて濾過させた。酸洗浄溶液(HCl、3.5%)を作って2回水洗後、蒸溜水で3回水洗した後、85℃が保持される乾燥機に乾燥させてタングステン酸融合体を形成した。
【0099】
【0100】
実施例2.タングステン酸融合体の製造
【0101】
下記表2のように条件を変えたことを除いては、実施例1と同一にタングステン酸融合体を製造した。
【0102】
【0103】
実施例3.タングステン酸融合体の製造
【0104】
下記表3のように条件を変えたことを除いては、実施例1と同一にタングステン酸融合体を製造した。
【0105】
【0106】
実験例1.タングステン酸融合体の粒子形状SEM分析
【0107】
図4ないし6は、前記製造された実施例1ないし3のタングステン酸融合体のSEM像を示したものである。
【0108】
図4を参照すると、実施例1によって製造されたタングステン酸融合体の場合、一次粒子の形状が球形であり、一つずつ離れているブドウの房状にかたまっている粒子の形状をしていることが確認できる。
【0109】
図5を参照すると、実施例2によって製造されたタングステン酸融合体の場合、一次粒子の形状が針状であり、比較的結晶構造であり、針状一次粒子がかたまって広がっている粒子の形状をしていることが確認できる。
【0110】
図6を参照すると、実施例2によって製造されたタングステン酸融合体の場合、一次粒子の形状が球形および針状を全て含んでおり、結晶化度が高いものと低いものとが混合していることが確認でき、かたまっている形状はブドウの房状の房状構造の粒子の形状をしていることが確認できる。
【0111】
実験例2.タングステン酸融合体XRDピーク分析
【0112】
前記実施例において製造して乾燥したタングステン酸融合体粉末を試料ホルダーに入れて圧縮させて表面を平らにしてXRD分析用試料を作った。そして、試料を高分解能X-線回折分析機(Bruker、D8 ADVANCE)に取り付けた。分析条件は、回折角度10°~80°と回折速度0.2秒、回折間隔は0.02stepでセッティングしてタングステン融合体XRD分析を遂行した。
【0113】
図7ないし9は、前記製造された実施例1ないし3のタングステン酸融合体のXRDピーク結果をそれぞれ示したものである。ピーク結果を解釈するために、WO
3・H
2O TungstiteのXRD-JCPDS CARDを参照し、これによると、X線回折法によって算出したパターンで約16.5390°(以下、第1ピーク)、25.6377°(以下、第2ピーク)、および35.0352°(以下、第3ピーク)の2θで主要ピークを示しており、その強度は約565.999、および160でそれぞれ示されることと確認された。
【0114】
図7を参照すると、2θの16.5390±0.1°の範囲では、WO
3・H
2OTungstiteの第1ピークに対応するピークが殆ど示されておらず、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.001ないし0.03程度に形成され得ることを示した。また、25.6377±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第2ピークに対応するピークは弱く示されるが、シフトが起きるかピークが広く形成されることを示し、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.001ないし0.1程度に形成され得ることを示した。また、35.0352±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第3ピークに対応するピークは弱く示されるが、シフトが起きるかピークが広く形成されることを示し、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.001ないし0.1程度に形成できることを示した。よって、結果を整理すれば、主要ピークの強度が特徴的に強く示されるよりは、広く分布されることが見られ、これは、結晶化度が比較的低くて結晶の大きさが一様であるということを意味するものと見てよい。すなわち、タングステン酸一次粒子の形状が球形である場合、結晶性が低くて結晶大きさが一様に示され得ることを示すものである。
【0115】
図8を参照すると、2θの16.5390±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第1ピークに対応するピークが強く示されており(750ないし1100の強度(Intensity))、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし2.3程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.30°ないし1.0°を示すことが見られた。また、25.6377±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第2ピークに対応するピークも強く示され(1350ないし1900の強度(Intensity))、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし2.3程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.20°ないし0.90°を示すことが見られた。また、35.0352±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第3ピークに対応するピークが示され(300ないし450の強度(Intensity))、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし1.3程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.30°ないし1.10°を示すことが見られた。整理すると、主要ピークの強度がWO
3・H
2O Tungstiteと比較してさらに特徴的に強く示されたことが確認でき、これは、タングステン酸一次粒子の形状が針状のみからなる場合、結晶化度が相対的に高いタングステン酸融合体が形成されることを示す。
【0116】
図9の場合、2θの16.5390±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第1ピークに対応するピークが、ある程度強く示されており(330ないし480の強度(Intensity))、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし1.2程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.30°ないし1.0°を示すことが見られた。また、25.6377±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第2ピークに対応するピークも、ある程度強く示され(450ないし820の強度(Intensity))、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし1.2程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.20°ないし0.90°を示すことが見られた。また、35.0352±0.1°の範囲ではWO
3・H
2O Tungstiteの第3ピークに対応するピークが示され(200ないし290の強度(Intensity))、よって、該当ピーク強度対WO
3・H
2OのX線回折ピーク強度の比は0.5ないし1.3程度に形成され得ることを示した。また該当ピークのFWHM(full width at half maximum)が0.30°ないし1.10°を示すことが見られた。整理すると、主要ピークの強度がWO
3・H
2O Tungstiteと比較して一定水準強く示されたが、その強度が実施例2に対比して弱く示された一方、ピークの分布は相対的に広く分布されたことが確認でき、これは、タングステン酸一次粒子の形状が針状および球形の組み合わせからなっており、結晶性が相対的に良い部分とそうでない部分が混在することを意味するものと見られる。
【0117】
実験例3.タングステン酸融合体の粒度分布分析
【0118】
図10ないし12は、前記製造された実施例1ないし3のタングステン酸融合体の粒度分布分析結果を示したものである。
【0119】
図10を参照すると、非晶質タングステン酸融合体のD
50が約8.13μm、非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差が約3.10μmを示し、タングステン酸一次粒子が球形である場合、タングステン酸融合体の粒度が比較的一様に形成され、その大きさも30μm以下によく調節できることを確認することができる。
【0120】
図11を参照すると、非晶質タングステン酸融合体のD
50が約10.48μm、非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差が約6.47μmを示し、これを通じてタングステン酸一次粒子の形状が針状である場合、実施例1に比べてD
50および直径の標準偏差が相対的に大きく出されたが、タングステン酸融合体の粒度が比較的一様に形成され、その約99%粒子の分布で大きさも35μm以下によく調節できることを確認することができる。
【0121】
図12を参照すると、非晶質タングステン酸融合体のD
50が約7.27μm、非晶質タングステン酸融合体の直径の標準偏差が約2.92μmを示し、これを通じてタングステン酸一次粒子の形状が針状および球形の組み合わせである場合、実施例1と類似してタングステン酸融合体の粒度が比較的一様に形成され、その大きさも30μm以下によく調節できることを確認することができた。
[産業上利用可能性]
【0122】
本発明の一実施例によれば、APT工程を進行しないことで工程費用を減らし、大気および水質汚染排出物質を大幅に減少させた環境にやさしい・低費用工程技術を提供することができる。
【0123】
また、本発明の一実施例によれば、特別な機器および装置の開発を必要としないため、商用化が容易なタングステン素材の製造工程を提供することができる。