(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】バッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2023564208
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 KR2022017371
(87)【国際公開番号】W WO2023080749
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152521
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スンウ・ユン
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-96798(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056411(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198437(WO,A1)
【文献】特開2018-99020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0152637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/42 - 10/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーシステムであって、
複数のバッテリーパックであって、前記複数のバッテリーパックのそれぞれは、複数のバッテリーセルを含む、複数のバッテリーパックと、
前記複数のバッテリーパックのそれぞれに対して、バッテリーパックを管理する複数のスレーブBMSであって、前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、対応する複数のバッテリーセルに接続されて複数のセル電圧を測定するBMICおよび前記BMICが動作する際にオンになるリレーを含む、複数のスレーブBMSと、
電源の両端の間に延びた配線上に、前記複数のスレーブBMSに対応して位置する複数の第1抵抗と、
前記複数のリレーの一端と前記配線との間に接続されている複数の第2抵抗であって、前記複数のリレーの他端は、前記配線に接続されている、第2抵抗と、
前記配線上で、前記電源と前記複数の第1抵抗との間に接続されている第3抵抗と、
前記第3抵抗、前記複数の第1抵抗、および前記複数の第2抵抗のうち少なくとも一つによって前記電源の電圧が分配された感知電圧に基づいて前記複数のBMICのうちの動作するBMICの位置および個数を決定するマスターBMSと
を含む、バッテリーシステム。
【請求項2】
前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、
前記バッテリーパックに接続されたアノードを含み、前記リレーとフォトMOSリレーを構成するダイオードと、
前記ダイオードのカソードに接続されている一端および前記BMICに接続されている他端を含み、前記BMICの制御により動作して前記BMICに電力を供給するトランジスタと
を含む、請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、
前記ダイオードに並列接続されているキャパシタをさらに含む、請求項2に記載のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記第3抵抗の一端は、前記電源に接続され、前記第3抵抗の他端は、前記複数の第1抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数のスレーブBMSのうち一つのリレーの他端が、前記複数の第1抵抗のうち一つの一端に接続されている、請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項5】
前記一つのスレーブBMSのリレーの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数の第2抵抗のうち一つの他端が、前記配線に接続されている、請求項4に記載のバッテリーシステム。
【請求項6】
前記複数の第1抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数の第1抵抗のうち一つの他端に接続され、
前記複数のスレーブBMSのうち他の一つのリレーの他端が、前記複数の第1抵抗のうち他の一つの一端に接続されている、請求項4に記載のバッテリーシステム。
【請求項7】
前記他の一つのスレーブBMSのリレーの一端が、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端に接続され、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの他端が、前記配線に接続されている、請求項6に記載のバッテリーシステム。
【請求項8】
前記マスターBMSは、
前記複数のリレーのオンまたはオフによって前記電源の電圧が分配された電圧に関する情報を格納し、前記感知電圧と前記情報を比較して前記複数のBMICのうち動作するBMICの個数および位置を決定する、請求項1
から7のうちのいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【請求項9】
電源の一端に接続されている一端を含む第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と前記電源の他端との間に直列接続されている複数の第2抵抗と、
前記複数の第2抵抗のそれぞれに対して、第2抵抗の一端と前記電源の他端との間に直列接続されている複数のリレーおよび複数の第3抵抗と、
前記複数のリレーのそれぞれに対して、フォトMOSリレーを構成する複数のダイオードと、
前記複数のダイオードが導通する際に電力の供給を受ける複数のBMICと、
前記第1抵抗、前記複数の第2抵抗、および前記複数の第3抵抗のうち少なくとも一つによって前記電源の電圧が分配された感知電圧に基づいて前記複数のBMICのうち動作するBMICの位置および個数を決定するマスターBMSと
を含む、バッテリーシステム。
【請求項10】
前記複数の第2抵抗のうち一つの一端が、前記第1抵抗の他端に接続され、前記複数のリレーのうち一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち一つの一端が、前記複数のリレーのうち一つの他端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち一つの他端が、前記電源の他端に接続されている、請求項9に記載のバッテリーシステム。
【請求項11】
前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの他端に接続され、前記複数のリレーのうち他の一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数のリレーのうち他の一つの他端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち他の一つの他端が、前記電源の他端に接続されている、請求項10に記載のバッテリーシステム。
【請求項12】
前記複数のダイオードのそれぞれに対して並列接続されている複数のキャパシタをさらに含む、請求項9に記載のバッテリーシステム。
【請求項13】
前記マスターBMSは、
前記複数のリレーのオンまたはオフによって前記電源の電圧が分配された電圧に関する情報を格納し、前記感知電圧と前記情報を比較して前記複数のBMICのうち動作するBMICの個数および位置を決定する、請求項9
から12のうちのいずれか一項に記載のバッテリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2021年11月8日付の韓国特許出願第10-2021-0152521号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
マスターBMS(Master Battery Management System)とスレーブBMS(Slave Battery Management System)との間に絶縁通信方式が適用される場合、スレーブBMSに接続された複数のバッテリーセルをモニタリングするBMIC(Battery Monitoring Integrated Circuit)の異常の有無を診断する方法として、通信可能か否かが利用されてきた。周期的な通信に対する応答がBMICからない場合、当該BMICはWatchdogによってスリープ状態に遷移することができる。スリープ状態に遷移した後、誤動作、焼損、ノイズなどによる意図しない消耗電流がBMICに発生するのかチェックする方法がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、バッテリーシステムを構成する複数のBMICが正常に運用されているかどうかを診断できるバッテリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの特徴によるバッテリーシステムは、バッテリーシステムは、複数のバッテリーパック(前記複数のバッテリーパックのそれぞれは複数のバッテリーセルを含む)、前記複数のバッテリーパックのそれぞれに対して、バッテリーパックを管理する複数のスレーブBMS(前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、対応する複数のバッテリーセルに接続されて複数のセル電圧を測定するBMICおよび前記BMICが動作する時にオンになるリレーを含む)と、電源の両端の間に延びた配線上で、前記複数のスレーブBMSに対応して位置する複数の第1抵抗、前記複数のリレーの一端と前記配線との間に接続されている複数の第2抵抗(前記複数のリレーの他端は、前記配線に接続されている)、前記配線上で、前記電源と前記複数の第1抵抗との間に接続されている第3抵抗、および前記第3抵抗、前記複数の第1抵抗および前記複数の第2抵抗のうち少なくとも一つによって前記電源の電圧が分配された感知電圧に基づいて前記複数のBMICのうち動作するBMICの位置および個数を決定するマスターBMSを含むことができる。
【0006】
前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、前記バッテリーパックに接続されたアノードを含み、前記リレーとフォトMOSリレーを構成するダイオード、および前記ダイオードのカソードに接続されている一端および前記BMICに接続されている他端を含み、前記BMICの制御により動作し、前記BMICに電力を供給するトランジスタを含むことができる。
【0007】
前記複数のスレーブBMSのそれぞれは、前記ダイオードに並列接続されているキャパシタをさらに含むことができる。
【0008】
前記第3抵抗の一端は、前記電源に接続され、前記第3抵抗の他端は、前記複数の第1抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数のスレーブBMSのうち一つのリレーの他端が、前記複数の第1抵抗のうち一つの一端に接続されてもよい。
【0009】
前記一つのスレーブBMSのリレーの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数の第2抵抗のうち一つの他端が前記配線に接続されてもよい。
【0010】
前記複数の第1抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数の第1抵抗のうち一つの他端に接続され、前記複数のスレーブBMSのうち他の一つのリレーの他端が、前記複数の第1抵抗のうち他の一つの一端に接続されてもよい。
【0011】
前記他の一つのスレーブBMSのリレーの一端が、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端に接続され、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの他端が、前記配線に接続されてもよい。
【0012】
前記マスターBMSは、前記複数のリレーのオンまたはオフによって前記電源の電圧が分配された電圧に関する情報を格納し、前記感知電圧と前記情報を比較して前記複数のBMIC中に動作するBMICの個数および位置を決定することができる。
【0013】
本発明の他の特徴によるバッテリーシステムは、電源の一端に接続されている一端を含む第1抵抗、前記第1抵抗の他端と前記電源の他端との間に直列接続されている複数の第2抵抗、前記複数の第2抵抗のそれぞれに対して、第2抵抗の一端と前記電源の他端との間に直列接続されている複数のリレーおよび複数の第3抵抗、前記複数のリレーのそれぞれに対して、フォトMOSリレーを構成する複数のダイオード、前記複数のダイオードが導通する時に電力の供給を受ける複数のBMIC、および前記第1抵抗、前記複数の第2抵抗および前記複数の第3抵抗のうち少なくとも一つによって前記電源の電圧が分配された感知電圧に基づいて前記複数のBMIC中に動作するBMICの位置および個数を決定するマスターBMSを含むことができる。
【0014】
前記複数の第2抵抗のうち一つの一端が、前記第1抵抗の他端に接続され、前記複数のリレーのうち一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの一端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち一つの一端が、前記複数のリレーのうち一つの他端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち一つの他端が前記電源の他端に接続されてもよい。
【0015】
前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち一つの他端に接続され、前記複数のリレーのうち他の一つの一端が、前記複数の第2抵抗のうち他の一つの一端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち他の一つの一端が、前記複数のリレーのうち他の一つの他端に接続され、前記複数の第3抵抗のうち他の一つの他端が、前記電源の他端に接続されてもよい。
【0016】
前記バッテリーシステムは、前記複数のダイオードのそれぞれに対して並列接続されている複数のキャパシタをさらに含むことができる。
【0017】
前記マスターBMSは、前記複数のリレーのオンまたはオフによって前記電源の電圧が分配された電圧に関する情報を格納し、前記感知電圧と前記情報を比較して前記複数のBMIC中に動作するBMICの個数および位置を決定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示は、バッテリーシステムを構成する複数のBMICが正常に運用されるかどうかを診断することができるバッテリーシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施例に係るバッテリーシステムを示した図である。
【
図2】一実施例に係るスレーブBMSの内部を図式的に示した図である。
【
図3】一実施例に係るバッテリーシステムで、BMICの動作を感知するための構成だけを図式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本明細書に開示された実施例を詳細に説明する。同一または類似の構成要素には同一、類似の符号を付与し、これに関する重複した説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さのみを考慮して付与または混用されるものであり、それ自体が互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施例を説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであって、添付された図面によって本明細書に開示された技術思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0021】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素は、このような用語によって限定されない。当該用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0022】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定するものであって、一つまたは複数の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0023】
一実施例による構成のうちの特定制御条件で、他の構成を制御したり情報を処理して決定を行う構成には、他の構成を制御したり情報を処理するために必要な制御アルゴリズムを具体化した命令語の集合で具現されたプログラムが設けられてもよい。制御構成は、設けられたプログラムにより、入力データおよび格納されたデータを処理して出力データを生成することができる。制御構成は、プログラムを格納する非揮発性メモリおよびデータを格納するメモリを含むことができる。
【0024】
図1は、一実施例に係るバッテリーシステムを示した図面である。
【0025】
図1に示したように、バッテリーシステム1は、マスターバッテリー管理システム(Master Battery Management System,MBMS)10、複数のスレーブバッテリー管理システム(Slave Battery Management System,SBMS)21-23、複数のバッテリーパック31-33、およびリレー40を含む。
【0026】
図1に示したように、バッテリーシステム1には電源2から入力電圧(Vin)を供給することができる。電源2は、壁電源のような常用電源であってもよく、例えば、24Vであってもよい。
図1では、3個のバッテリーパック31-33および3個のスレーブBMS21-23が示されているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。バッテリーシステム1に要求される出力電力に応じて、複数のバッテリーパックが、直列、並列、または、直並列になる。バッテリーシステム1の出力端(P+、P-)は、負荷に接続される、または充電器に接続されてよい。
【0027】
複数のバッテリーパック31-33のそれぞれは、直列接続された複数のバッテリーセル(例えば、311-314)を含むことができる。
図1では、複数のバッテリーパック31-33のそれぞれが直列接続された4個のバッテリーセル311-314を含むものとして示されているが、これは一例であり、本発明がこれに限定されるのではない。
【0028】
リレー40は、複数のバッテリーパック31-33に対する一電極(例えば、正極)とバッテリーシステム1の出力端(P+)との間に接続され、マスターBMS10の制御によってスイッチングする。マスターBMS10は、リレー40の開放または閉鎖を制御するためのリレー制御信号(RCS)を生成して、リレー40に供給することができる。
図1には一つのリレーだけが示されているが、複数のバッテリーパック31-33に対する他電極(例えば、負極)とバッテリーシステム1の出力端(P-)との間にリレーがさらに接続されてもよい。
【0029】
複数のスレーブBMS21-23のそれぞれは、複数のバッテリーパック31-33のうち対応するバッテリーパックに接続される。例えば、バッテリーパック31は、直列接続された複数のバッテリーセル311-314を含み、スレーブBMS21は、端子(C1-C5)を介して複数のバッテリーセル311-314のそれぞれの両端に接続されている。スレーブBMS21は、バッテリーパック31から供給される電圧によって動作でき、複数のバッテリーセル311-314のそれぞれのセル電圧を測定し、バッテリーパック31の電流および温度を測定し、複数のバッテリーセル311-314に対するセルバランシングを制御および行うことができる。
【0030】
同様に、バッテリーパック32も直列接続された複数のバッテリーセル321-324を含み、スレーブBMS22に接続され、バッテリーパック33も直列接続された複数のバッテリーセル331-334を含み、スレーブBMS23に接続されている。
【0031】
マスターBMS10は、複数のスレーブBMS21-23と通信を通じて、バッテリーシステム1の管理に必要な情報を送受信することができる。例えば、マスターBMS10は、バッテリーシステム1の出力電力を制御する、または、複数のバッテリーパック31-33のSOC(State of Charge)、SOH(State of Health)、SOP(State of Power)等を推定することができる。マスターBMS10は、これのために複数のスレーブBMS21-23から複数のバッテリーパック31-33に対するセル電圧、バッテリー電流と温度などに関する情報を受信することができる。
【0032】
図1では、マスターBMS10と複数のスレーブBMS21-23との間の通信のための構成が示されていないが、公知の文献および技術において、様々な方式の通信を通じて、マスターBMS10と複数のスレーブBMS21-23との間の情報送受信が可能であることがわかる。
【0033】
電源2の両端の間に延びた配線61を介して、電源2と複数のスレーブBMS21-23が接続されている。電源2の両端は、正極電位の一端と負極電位の他端を含み、電源2の一端と他端との間に複数の抵抗51-54が直列接続されている。
【0034】
複数のスレーブBMS21-23は、配線61を介して複数のスレーブBMS21-23のBMICで消耗する電流に関する情報をマスターBMS10に伝達することができる。スレーブBMS21は、端子(P1)を介して接点(N1)で配線61に接続されており、端子(P2)を介して、接点(N4)で配線61に接続されている。スレーブBMS22は、端子(P1)を介して接点(N2)で配線61に接続されており、端子(P2)を介して接点(N4)で配線61に接続されている。スレーブBMS23は、端子(P1)を介して接点(N1)で配線61に接続されており、端子(P2)を介して接点(N4)で配線61に接続されている。
【0035】
抵抗51は、電源2と接点(N1)との間に接続されており、抵抗52は、接点(N1)と接点(N2)との間に接続されており、抵抗53は、接点(N2)と接点(N3)との間に接続されており、抵抗(R54)は、接点(N3)と接点(N4)との間に接続されている。
【0036】
マスターBMS10は、接点(N1)の電圧を測定し、測定された電圧および複数のバッテリーパック31-33に対する制御条件に応じて、複数のスレーブBMS21-23のうち異常があるスレーブBMSを検出することができる。
【0037】
図2は、一実施例に係るスレーブBMSの内部を図式的に示した図面である。
【0038】
図2にはスレーブBMS21だけ示されているが、
図1に示されたスレーブBMS22、23も
図2に示されたスレーブBMS21の構成と同じであってもよい。
【0039】
スレーブBMS21は、BMIC211、フォトMOSリレー(PhotoMOS Relay)を構成するダイオード212およびリレー213、BJT(Bipolar Junction Transistor)215、および抵抗55を含む。
【0040】
スレーブBMS21において、端子(C1)は、バッテリーセル311の正極に、端子(C2)は、バッテリーセル311の負極およびバッテリーセル312の正極に、端子(C3)は、バッテリーセル312の負極およびバッテリーセル313の正極に、端子(C4)は、バッテリーセル313の負極およびバッテリーセル314の正極に、端子(C5)は、バッテリーセル314の負極に接続されている。BMIC211は、複数の端子(C1-C5)のうち隣接した二つの端子(例えば、C1およびC2)の間の電圧差に基づいてバッテリーセル(例えば、311)のセル電圧を測定することができる。
【0041】
BMIC211は、バッテリーパック31から駆動に必要な電力の入力を受ける。BJT215のベース端には、BMIC211から制御電圧(VB)が供給され、BJT215が制御電圧(VB)によって導通されてバッテリーパック31からBMIC211の駆動に必要な電力が供給される。BJT215のベース端およびエミッタ端は、BMIC211に接続され、BMIC211から制御電圧(VB)がBJT215のベース端に供給され、BJT215のエミッタ端を介してバッテリーパック31からの電力が供給されてよい。
【0042】
ダイオード212のカソードは、BJT215のコレクター端に接続され、ダイオード212のアノードは、端子(C1)を介してバッテリーパック31の正極に接続されている。ダイオード212の両端の間にキャパシタ214が並列接続されて、ダイオード212の両端電圧を平滑化することができる。これにより、ダイオード212の両端電圧がパルスのような不連続的な波形ではなく、連続的な波形の電圧で制御することができる。
【0043】
リレー213は、ダイオード212が発光する間にオンされ(閉)、BMIC211が電流を消費していることをマスターBMS10に伝達することができる。リレー213の一端は、接点(N1)に接続され、リレー213の他端は、抵抗55の一端に接続され、抵抗55の他端は、配線(N4)に接続されている。即ち、BMIC211が動作して電流がBMIC211に流れるとリレー213がオンされ、接点(N1)と接点(N4)との間に抵抗55が接続される。
【0044】
スレーブBMS22、23のそれぞれもBMICを含み、BMICが動作して電流を消費する場合、対応する接点(N2、N3)と配線(N4)との間に抵抗が接続される。
【0045】
以下、複数のスレーブBMS21-23のBMICが動作して電流が流れるか否かによって、接点(N1)の電圧(以下、感知電圧)(VS)が異なる実施例を説明する。マスターBMS10は、感知電圧(VS)を測定して複数のスレーブBMS21-23のBMICのうち動作するBMICを導き出すことができる。
【0046】
図3は、一実施例に係るバッテリーシステムで、BMICの動作を感知するための構成だけを図式的に示した図である。
【0047】
図3に示したように、スレーブBMS21には、リレー213および抵抗55が接点(N1)と接点(N4)との間に直列接続され、スレーブBMS22には、リレー223および抵抗56が接点(N2)と接点(N4)との間に直列接続され、スレーブBMS23には、リレー233および抵抗57が接点(N3)と接点(N4)との間に直列接続されている。
図3に示された抵抗56、57およびリレー223、233は、スレーブBMS22、23においれ、
図2に示されたスレーブBMS21の抵抗55およびリレー213に対応する構成である。
【0048】
感知電圧(VS)は、複数のリレー213、223、233のうちオン状態(閉)であるリレーの位置および個数に応じて、その値が異なる場合がある。
【0049】
例えば、複数のリレー213、223、233全てがオン状態(閉)の場合、感知電圧(VS)は下数式1のような値を有する。
【数1】
数式1で、R0-R6のそれぞれは、抵抗51-57のそれぞれの抵抗値であり、Vinは電源の電圧であり、記号“││”は、並列接続抵抗値を意味する。以下の数式2~8においても前記の定義は同様に適用される。
【0050】
複数のリレー213、223、233のうちリレー213がオン状態であり、リレー223、233がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式2のような値を有する。
【数2】
【0051】
複数のリレー213、223、233のうちリレー223がオン状態であり、リレー213、233がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式3のような値を有する。
【数3】
【0052】
複数のリレー213、223、233のうちリレー233がオン状態であり、リレー213、223がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式4のような値を有する。
【数4】
【0053】
複数のリレー213、223、233のうちリレー213、223がオン状態であり、リレー233がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式5のような値を有する。
【数5】
【0054】
複数のリレー213、223、233のうちリレー213、233がオン状態であり、リレー223がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式6のような値を有する。
【数6】
【0055】
複数のリレー213、223、233のうちリレー223、233がオン状態であり、リレー213がオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式7のような値を有する。
【数7】
【0056】
複数のリレー213、223、233全てがオフ状態(開)の場合、感知電圧(VS)は下記数式8のような値を有する。
【数8】
【0057】
上記のように、複数のリレー213、223、233のうちオン状態であるリレーの位置および個数に応じて、感知電圧はすべて異なる値を有し得る。従って、マスターBMS10は、感知電圧(VS)を測定し、測定された感知電圧(VS)に応じて、動作しているBMICの位置および個数を決定することができる。例えば、マスターBMS10は、数式1~8による感知電圧(VS)の値をテーブルに格納し、測定された感知電圧(VS)とテーブルに格納された値を比較して、比較結果により、複数のスレーブBMS21-23のBMICのうち動作しているBMICの個数および位置を決定することができる。この時、マスターBMS10は、テーブルに格納された値のそれぞれを基準に対応する複数の抵抗範囲を設定し、測定された感知電圧(VS)が属する抵抗範囲により、複数のスレーブBMS21-23のBMICのうち動作しているBMICの個数および位置を決定することができる。
【0058】
一実施例により、マスターBMS10は、BMICが動作しないスリープ状態であっても、誤動作、ノイズ、焼損などによってBMICがウェイク(wake)状態であるか、BMICに漏れ電流が流れているか否かをチェックすることができる。
【0059】
図1および
図2では、抵抗55、56、57がスレーブBMS21、22、23の内部に位置するものとして示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、抵抗55、56、57は、スレーブBMS21、22、23の端子(P2)と接点(N4)との間に接続することができる。
【0060】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、本発明の属する分野において通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0061】
1 バッテリーシステム
2 電源
10 マスターバッテリー管理システム(MBMS)
21-23 スレーブバッテリー管理システム(SBMS)
31-33 バッテリーパック
40 リレー
51-57 抵抗
61 配線
212 ダイオード
213 リレー
214 キャパシタ
223 リレー
233 リレー
311-314 バッテリーセル
321-324 バッテリーセル
331-334 バッテリーセル