(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20241119BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20241119BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20241119BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241119BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241119BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241119BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241119BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20241119BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K31/635
A61K31/5517
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C07K16/30
C12N15/13
(21)【出願番号】P 2021509758
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019073212
(87)【国際公開番号】W WO2020043878
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-19
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517182365
【氏名又は名称】アーデーセー セラピューティクス ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ザンマールキ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトーニ、フランチェスコ
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/160954(WO,A1)
【文献】特表2015-534578(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078123(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
31/00-33/44
39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
C07K 16/30
C12N 15/13
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における症状を治療するための抗CD19の抗体薬物複合体(ADC)(抗CD19-ADC)を含む医薬組成物であって、前記治療は、有効量の前記抗CD19-ADC及びベネトクラクス(Venetoclax)を前記個体に投与することを含み、ここで、前記抗CD19-ADCは、式L-(D
L)pで表される複合体であり、ここで、D
Lは以下の式I:
【化1】
(式中、
Lは、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり;
(a)R
L1’は、前記抗体(Ab)に結合するリンカーであり;
(b)R
20とR
21はともに、それらが結合する窒素原子と炭素原子の間に二重結合を形成し;
(c)mは0又は1であり;かつ、
(d)C2とC3の間に二重結合がある場合、R
2はメチルであり、C2とC3の間に単結合がある場合、R
2は、以下の:
【化2】
であり、C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R
12はメチルであり、C2’とC3’の間に単結合がある場合、R
12は、以下の:
【化3】
である)
で表される、医薬組成物であって、ここで、前記CD19に結合する抗体は、配列番号2で表される配列があるVHドメインと配列番号8の配列があるVLドメインを含み、
pは1~8である、医薬組成物。
【請求項2】
前記抗CD19-ADCは以下の式:
【化4】
(式中、Abは、CD19に結合する抗体であり、かつ、DARは、1~8である)
で表される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗CD19-ADCは、ADCT-402である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記治療は、抗CD19 ADCを、ベネトクラクスの投与前に、同時に、又は投与後に、投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記治療は、さらに、化学療法剤を投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記個体はヒトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記個体は、以下の:
(i)症状があるか、前記症状があると決定されている;
(ii)CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞を発現するがんを有するか、又は有していたと決定されている;
(iii)
CD19+浸潤性細胞を発現するがんを有するか、又は有していたと決定されている;
(i
v)ベネトクラクスで治療中である;
(v)前記ベネトクラクスで治療されてきた;及び/又は
(v
i)前記ベネトクラクスでの、治療、又はさらなる治療、に不応性である;
請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記抗CD19-ADC又はベネトクラクスのどちらかでの単独治療と比較して、効能が高い、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
症状は、増殖性疾患である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
症状は、がんである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
症状は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)を含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)を含む白血病を含む群から選択される、請求項9又は10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載された抗CD19-ADC及びベネトクラクスを含む、医薬組成物。
【請求項13】
個体における症状を治療するための請求項12に記載の医薬組成物であって、前記治療は、請求項1~11のいずれか一項に記載された
治療である、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月31日に出願された英国特許出願第1814207.5号及び2019年6月10日に出願された英国特許出願第1908225.4号の優先権を主張する。
技術分野
本開示は、がん等の病的状態の治療の併用療法に関する。特に、本開示は、抗CD19抗体薬物複合体(抗CD19 ADC)及び抗BCL-2剤による治療を含む併用療法に関する。
【背景技術】
【0002】
〔抗体治療〕
抗体療法は、がん、免疫学的及び血管新生疾患がある被験体の標的治療として確立されている(非特許文献1)。抗体-薬物複合体(ADC)、すなわち免疫複合体を用いて、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、すなわち、がんの治療において腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬物、を局所送達するために、腫瘍及び腫瘍細胞内蓄積物への薬物部分の送達を標的とするものの、当該非複合型薬物薬剤の全身投与により、正常細胞では許容できないレベルの毒性が生じうる(非特許文献2~10)。
【0003】
〔CD19〕
CD19は、B細胞の分化の初期において発現し、当該B細胞がトリガーされるまで発現して、最終的に分化させる、95kDaの膜受容体である(非引用文献11及び12)。当該CD19細胞外ドメインは、より小さい潜在的ジスルフィド結合ドメインによって分離された、2つのC2系免疫グロブリン(jG)様ドメインを包含する。CD19細胞質ドメインは、構造的にユニークであるが、ヒト、マウス、及びモルモットの間で高度に保存される(非特許文献13)。CD19は、Bリンパ球の細胞表面に見られるタンパク質複合体の部分である。当該タンパク質複合体としては、CD19、CD21(補体受容体、2型)、CD81(TAPA-1)、及びCD225(Leu-13)があげられる(非特許文献13)。
【0004】
CD19は、B細胞における膜貫通シグナルの重要な調節因子である。CD19の細胞表面密度の増減は、B細胞の発生と機能に影響を及ぼし、自己免疫や低ガンマグロブリン血症等の疾患をもたらす。
CD19複合体は、B細胞膜上に存在する2つの別個のシグナル伝達複合体の架橋により、生体内での抗原に対するB細胞の応答を高める。膜IgMとCD19に結合した2つのシグナル伝達複合体は、異なるメカニズムでホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。CD19とB細胞受容体の架橋により、PLCの活性化に必要なIgM分子の数が減少する。CD19はまた、Arcファミリーキナーゼの増幅に特異化されたアダプタータンパク質として機能する(非特許文献14)。
【0005】
CD19の結合は、生じる架橋の量に応じて、B細胞の活性化及び増殖を即真及び抑制することが示されている(非特許文献12)。CD19は、B細胞リンパ腫の90%以上で発現しており、インビトロ及びインビボにおいて、リンパ腫の増殖に影響を及ぼすことが予測されている。
【0006】
〔抗CD19 ADCの治療的使用〕
抗CD19抗体からなる抗体薬物複合体(抗CD19-ADC)の、例えばがんの治療の効能は確立されている-例えば、特許文献1及び2を参照のこと。
【0007】
抗CD19-ADCの効能、忍容性、及び臨床的有用性をさらに向上させるために研究が続けられている。このため、本発明者らは、抗CD19 ADCを少なくとも1つの抗BCL-2剤と併用投与する臨床的に有利な併用療法を同定してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2014/057117号
【文献】国際公開第2016/166298号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Carter,P.(2006)Nature Reviews Immunology 6:343-357
【文献】Xie et al(2006)Expert.Opin.Biol.Ther.6(3):281-291;
【文献】Kovtun et al(2006)Cancer Res.66(6):3214-3121;
【文献】Law et al(2006)Cancer Res.66(4):2328-2337;
【文献】Wu et al(2005)Nature Biotech.23(9):1137-1145;
【文献】Lambert J.(2005)Current Opin.in Pharmacol.5:543-549;
【文献】Hamann P.(2005)Expert Opin.Ther.Patents15(9):1087-1103;
【文献】Payne,G.(2003)Cancer Cell3:207-212;
【文献】Trail et al(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328-337;
【文献】Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research19:605-614)
【文献】Pezzutto et al.(1987),J.Immunol 138:2793;
【文献】Tedder et al(1994)lmmunol Today 15:437
【文献】Fujimoto et al.,(1998)Semin Immunol.10:267
【文献】Hegawa et al,(2001)J Immunol 167:3190
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、個体に対する抗CD19 ADCと抗BCL-2剤の併用投与が予想外の臨床的利点をもたらすことを見出した。本発明者らは、さらに、抗CD19 ADCを治療がされたか、又は治療中の個体へ、抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤を投与すると、治療効果が相乗的に高まることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、第1態様では、本開示は、抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法を提供し、ここで、前記個体は、抗BCL-2剤による治療を受けていたか、又は受けている場合に、抗CD19 ADCによる治療に選択される。前記個体は、抗BCL-2剤での、治療、又はさらなる治療に不応性である場合、治療に選択されてよい。
【0012】
他の態様では、本開示は、個体における症状の治療方法を提供し、前記方法は、第1態様の方法によって治療に適した個体を選択する工程、次いで、抗CD19 ADCの有効量を前記個体に投与する工程を含む。前記治療方法は、さらに、抗CD19 ADCを抗BCL-2剤と併用投与する工程を含む。
【0013】
他の態様では、本開示は、個体における症状の治療方法を提供し、前記方法は、抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤の有効量を個体に投与する工程を含む。前記個体は、第1態様による方法による治療のために選択され得る。
【0014】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0015】
前記抗CD19-ADC剤は、本明細書に記載のADCX19であってよい。
【0016】
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(Venetoclax;ABT-1999)、ナヴィトクラクス(navitoclax;ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(oblimersen;G3139)であってよい。好ましくは、抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0017】
前記個体はヒトであってよい。前記個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定(判断)されていてよい。前記個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0018】
開示された方法では、前記抗CD19 ADCは、前記抗BCL-2剤の前に、前記抗BCL-2剤と同時に、又は前記抗BCL-2剤の後に投与されてよい。 開示された方法は、さらに化学療法剤を前記個体に投与する工程を含んでよい。
【0019】
他の態様では、本開示は、本明細書に記載の治療方法で用いる、抗CD19 ADC、又は抗CD19 ADCを含む組成物を提供する。
【0020】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の治療方法で用いる、抗BCL-2剤、又は抗BCL-2剤を含む組成物を提供する。
【0021】
さらなる態様では、本開示は、個体の症状を治療する医薬の製造における抗CD19 ADC又は抗BCL-2 ADCの使用を提供し、ここで、前記治療は、本明細書に記載される治療方法を含む。
【0022】
他の態様では、本開示は、個体の症状の治療方法で用いる抗CD19 ADCを含む第1組成物を提供し、ここで、前記治療は、第1組成物を、抗BCL-2剤を含む第2組成物と併用投与する工程を含む。
【0023】
他の態様では、本開示は、個体の症状の治療方法で用いる抗CD19 ADCを含む第1組成物を提供し、ここで、前記治療は、第1組成物を、抗BCL-2剤を含む第2組成物と併用投与する工程を含む。
【0024】
前記態様では、また、個体の疾患を治療する方法で用いる、抗BCL-2剤を含む第1組成物を提供し、ここで、前記治療は、前記第1組成物を、抗CD19 ADCを含む第2組成物と併用投与する工程を含む。
【0025】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
前記抗CD19-ADC剤は、本明細書に記載のADCX19であってよい。
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0026】
前記個体はヒトであってよい。前記個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてよい。前記個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0027】
前記第1組成物は、前記第2組成物の投与の前、前記第2組成物と同時に、又は、前記第2組成物の後に投与されうる。前記治療は、さらなる化学療法剤を前記個体に投与することを含んでよい。
【0028】
さらなる態様では、本開示は、個体の疾患を治療する医薬の製造における抗CD19-ADCの使用を提供し、ここで、前記医薬は抗CD19-ADCを含み、かつ、前記治療は、抗BCL-2剤を、抗BCL-2剤を含む組成物と併用投与する工程を含む。
【0029】
前記態様ではまた個体の疾患を治療する医薬の製造における抗BCL-2剤の使用を提供し、ここで、前記医薬は抗BCL-2剤を含み、かつ、前記治療は、前記医薬を抗CD19-ADCを含む組成物と併用投与する工程を含む。
【0030】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0031】
前記抗CD19-ADCは、本明細書に記載のADCX19であってよい。
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0032】
前記個体はヒトであってよい。前記個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてよい。前記個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0033】
前記医薬は、前記組成物の投与の前、前記組成物と同時に、又は、前記組成物の後に投与されうる。
前記治療は、さらなる化学療法剤を前記個体に投与することを含んでよい。
【0034】
本開示の他の態様は、以下の:
抗CD19 ADCを含む第1薬剤;
本明細書に開示されるような治療方法により前記第1薬剤を投与するための指示書を含む添付文書;を含むキットを提供する。当該キットは、さらに、抗BCL-2剤を含む第2薬剤を含んでよい。
【0035】
本開示の他の態様では、以下の:
抗CD19 ADCを含む第1薬剤;
抗BCL-2剤を含む第2薬剤;かつ場合によっては、
症状の治療のために、前記第1薬剤を第2薬剤と併用して、個体に投与するための指示書を含む添付文書;を含む、キットを提供する。
【0036】
当該態様ではまた、抗CD19 ADCを含む薬剤及び症状の治療のために、個体に前記薬剤を、抗BCL-2剤を含む組成物と併用投与するための指示書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
当該態様によりさらに、抗BCL-2剤を含む薬剤及び、症状の治療のために、個体に前記薬剤を抗CD19 ADCを含む組成物と併用投与するための指示書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。
【0037】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0038】
前記抗CD19-ADCは、本明細書に記載のADCX19であってよい。前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0039】
前記個体はヒトであってよい。前記個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてよい。
前記個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。前記抗CD19-ADCを含む前記薬剤又は組成物は、前記抗BCL-2剤を含む前記薬剤又は組成物より前に、前記抗BCL-2剤を含む前記薬剤又は組成物と同時に、又は、前記抗BCL-2剤を含む前記薬剤又は組成物より後に投与されてよい。前記治療は、さらなる化学療法剤を前記個体に投与することを含んでよい。
【0040】
さらにさらなる態様では、本開示は、抗CD19-ADC及び抗BCL-2剤を含む組成物を提供する。
本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療方法が提供され、前記方法は、個体に有効量の抗CD19-ADC及び抗BCL-2剤を含む組成物を投与する工程を含む。本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療方法で用いられる抗CD19-ADC及び抗BCL-2剤を含む組成物が提供される。
【0041】
本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療のための薬剤の製造における抗CD19-ADC及び抗BCL-2剤を含む組成物の使用が提供される。本開示の当該態様ではさらに、抗CD19-ADC及び抗BCL-2剤を含む組成物及び症状の治療のための個体への前記薬剤の投与のための指示書のセットを含むキットが提供される。
【0042】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
前記抗CD19-ADC剤は、本明細書に記載のADCX19であってよい。
【0043】
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0044】
前記個体はヒトであってよい。前記個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてよい。前記個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。前記治療は、さらなる化学療法剤を前記個体に投与することを含んでよい。
【発明を実施するための形態】
【0045】
〔抗体薬物複合体(ADCs)〕
ADCは薬物を標的部位に送達することができる。
当該標的部位は、好ましくは増殖性細胞集団である。抗体は、増殖性細胞集団上に存在する抗原に対する抗体である。一態様では、当該抗原は、非増殖性細胞集団において存在しないか、又は、存在しても、当該増殖性細胞集団、例えば、腫瘍細胞集団に存在する抗原の量と比較して、そのレベルが減少している。
当該ADCは、当該標的部位で当該薬物を放出するように切断されてよいリンカーを含んでよい。当該薬物は、RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEから選択される化合物でありうる。すなわち、当該結合体を用いて、化合物RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEを標的部位に選択的に提供しうる。
当該リンカーは当該標的部位に存在する酵素により切断されてよい。
本開示は、具体的には、特許文献1及び本明細書に開示された抗CD19 ADCによる治療に関する。
【0046】
〔抗CD19 ADCs〕
本明細書中で用いられる用語「抗CD19 ADC」又は「CD19-ADC」は、抗体成分が抗CD19抗体であるADCをいう。
用語「PBD-ADC」は、当該薬物成分がピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭であるACDをいう。
用語「抗CD19 ADC」は、当該抗体成分が抗CD19 ADC抗体であり、かつ当該薬物成分がPBD弾頭である、ADCをいう。
当該ADCは、式L-(DL)pの複合体であり、ここで、DLは以下の式I又はII:
【0047】
【化1】
(式中、
Lは、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり;
C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R
12は、以下の:
(ia)場合によっては、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1~7アルキル、C
3~7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1~3アルキレンを含む群から選択される、1又はそれ以上の置換基により置換される、C
5~10アリール基;
(ib)C
1~5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C
3~6飽和シクロアルキル;
(id)
【0048】
【化2】
(式中、R
21、R
22及びR
23は各々、独立して、H、C
1~3飽和アルキル、C
2~3アルケニル、C
2~3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、R
12基の炭素原子の総数は5個以下である);
(ie)
【0049】
【化3】
(式中、R
25a及びR
25bの一方がHであり、他方が、場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルから選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される);
(if)
【0050】
【化4】
(式中、R
24は、H;C
1~3飽和アルキル;C
2~3アルケニル;C
2~3アルキニル;シクロプロピル;場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルで選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される);
からなる群から選択され;
C2’とC3’の間に単結合がある場合、
R
12は、以下の:
【0051】
【化5】
(式中、R
26a及びR
26bは、独立して、H、F、C
1~4飽和アルキル、C
2~3アルケニルから選択され、当該アルキル及びアルケニル基は、場合によっては、C
1~4アルキルアミド及びC
1~4アルキルエステルから選択される基により置換されてよく;又は、R
26a及びR
26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC
1~4アルキルエステルから選択され);
R
6及びR
9は、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択され;
ここで、R及びR’は、独立して、場合によっては、置換されたC
1~12アルキル、C
3~20ヘテロシクリル及びC
5~20アリール基から選択され;
R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択され;
R”は、C
3~12アルキレン基であり、その鎖は、1又はそれ以上のヘテロ原子、例えばO、S、NR
N2(ここで、R
N2は、H又はC
1~4アルキルである)、及び/又は芳香環、例えばベンゼン又はピリジンにより中断されてよく;
Y及びY’は、O、S又はNHから選択され;
R
6’、R
7’及びR
9’は各々、R
6、R
7及びR
9と上記同じ基から選択され;
[式I]
R
L1’は、当該抗体(Ab)に結合するリンカーであり;
R
11aは、OH、OR
AであってR
AはC
1~4アルキルであり、及びSOzMであって、zは2又は3であり、Mは一価の医薬的に許容されるカチオンである、から選択され;
R
20とR
21はともに、それらが結合する窒素原子と炭素原子の間に二重結合を形成するか又は;
R
20は、H及びR
Cから選択され、ここでR
Cはキャッピング基であり;
R
21は、OH、OR
A及びSOzMから選択され;
C2とC3の間に二重結合がある場合、R
2は、以下の:
(ia)場合によっては、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1~7アルキル、C
3~7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C
1~3アルキレンを含む群から選択される、1又はそれ以上の置換基により置換されるC
5~10アリール基;
(ib)C
1~5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C
3~6飽和シクロアルキル;
(id)
【0052】
【化6】
(式中、R
11、R
12及びR
13は各々、独立して、H、C
1~3飽和アルキル、C
2~3アルケニル、C
2~3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R
2基中の炭素原子の総数は5個以下である);
(ie)
【0053】
【化7】
(式中、R
15a及びR
15bの一方がHであり、他方が、場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルから選択される基により置換されてよいフェニル及びチオフェニルから選択される);
(if)
【0054】
【化8】
(式中、R
14は、H;C
1~3飽和アルキル;C
2~3アルケニル;C
2~3アルキニル;シクロプロピル;場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルで選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される));
からなる群から選択され;
C2とC3の間に単結合がある場合、
R
2は、
【0055】
【化9】
(式中、R
16a及びR
16bは、独立して、H、F、C
1~4飽和アルキル、C
2~3アルケニルから選択され、当該アルキル及びアルケニル基は、場合によっては、C
1~4アルキルアミド及びC
1~4アルキルエステルから選択される基により置換されてよく;又は、R
16a及びR
16bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC
1~4アルキルエステルから選択される);
〔式II〕
R
22は、以下の式IIIa、式IIIb又は式IIIcであり:
(a)
【0056】
【化10】
(式中、Aは、C
5~7アリール基であり、以下の:
(i)Q
1は単結合であり、かつ、Q
2は単結合及び-Z-(CH
2)
n-から選択され、ここで、当該Zは、単結合、O、S及びNHから選択され、nは1~3である;か又は、
(ii)Q
1は-CH=CH-、かつ、Q2は単結合である;のいずれかである);
(b)
【0057】
【化11】
(式中、R
C1、R
C2及びR
C3は、独立して、H及び非置換C
1~2アルキルから選択される);
(c)
【0058】
【化12】
(式中、Qは、O-R
L2’、S-R
L2’及びNR
N-R
L2’から選択され、R
Nは、H、メチル及びエチルから選択され、
Xは、O-R
L2’、S-R
L2’、CO
2-R
L2’、CO-R
L2’、NH-C(=O)-R
L2’、NHNH-R
L2’、CONHNH-R
L2’、
【0059】
【化13】
、NR
NR
L2’を含む群から選択され、ここで、R
Nは、H及びC
1~4アルキルを含む群から選択され;
R
L2’は、抗体(Ab)に結合するリンカーであり;
R
10及びR
11はともに、それらと結合している窒素原子と炭素原子との間に二重結合を形成するか又は;
R
10はHであり、R
11はOH、OR
A及びSOzMから選択され;
R
30及びR
31はともに、それらが結合している窒素原子と炭素原子との間に二重結合を形成するか又は、又は;
R
30はHであり、R
31はOH、OR
A及びSOzMから選択される)である。
【0060】
ある実施形態では、L-RL1’又はL-RL2’は以下の基:
【0061】
【化14】
(式中、星印は、PBDへの接着点を示し、Abは抗体であり、L
1は切断可能なリンカーであり、AはL
1を抗体に連結する連結基であり、L
2は共有結合であるか、又は-OC(=O)-とともに自己非浸透性リンカーを形成する)である。
当該実施形態のいくつかでは、L
1は酵素で切断されうる。
当該ADCが、CD19発現がん治療で有用であることは以前に示されている(例えば、その全体が参照により本明細書に援用される特許文献1参照)。
【0062】
用語「抗CD19-ADC」としては、特許文献1に記載されたいかなる実施形態があげられる。特に、好ましい実施形態では、ADCには、以下の:
【0063】
【化15】
(式中、当該AbはCD19抗体であり、当該DARは、1~8である)である
化学構造があってよい。
【0064】
当該抗体は、配列番号1、2、3、4、5、又は6のいずれか1つの配列を有するVHドメインを含み、場合によっては、さらに、配列番号7、8、9、10、11、又は12のいずれか1つの配列を有するVLドメインを含む。
【0065】
ある態様では、抗CD19-ADCの抗体成分は、各々、配列番号1及び配列番号7の、配列番号2及び配列番号8の、配列番号3及び配列番号9の、配列番号4及び配列番号10の、配列番号5及び配列番号11の、又は配列番号6及び配列番号12の、配列を有するVHドメイン及びVLドメインを含む抗体である。
【0066】
好ましい実施形態では、当該抗体は、配列番号2の配列を有するVHドメインを含む。好ましい実施形態では、当該抗体は、配列番号8の配列を有するVLドメインを含む。
【0067】
好ましい実施形態では、当該抗体は、配列番号2の配列を有するVHドメイン及び配列番号8の配列を有するVLドメインを含む。
【0068】
当該VHドメイン及びVLドメインCD19に結合する抗体抗原結合部位を形成するように対合しうる。
【0069】
ある実施形態では、当該抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含むインタクト抗体であり、当該VHドメイン及びVLドメインは、配列番号2及び配列番号8の配列を有する。
【0070】
ある実施形態では、当該抗体は、配列番号13の配列を有する長鎖及び配列番号14の配列を有する軽鎖を含む。
【0071】
ある実施形態では、当該抗体は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくは、IgG1,κである。
【0072】
ある実施形態では、当該抗体は特許文献1に記載されたRB4v1.2抗体である。
【0073】
ある態様では、抗体は、以下に記載される、修飾(又はさらなる修飾)された本明細書に記載される抗体である。ある実施形態では、当該抗体は、本明細書に開示された抗体の、ヒト化、脱免疫又は再表面化抗体である。
【0074】
本開示の当該態様との併用に好ましい抗CD19-ADCは、以下に記載する、ADCx19である。本開示の当該態様との併用に第2の好ましい抗CD19-ADCは、ADCT-301である。
【0075】
ADCx19
ADCx19は、切断可能なリンカーを介してピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭に結合したヒトCD19に対するヒト化抗体から構成される抗体薬物複合体である。ADCX19の作用機序はCD19の結合に依存する。CD19特異的抗体は、抗体薬物複合体(ADC)を、CD19を発現する細胞に標的化する。結合すると、ADCは内部に取り込まれ、リソソームに輸送され、そこでプロテアーゼ感受性リンカーが切断され、遊離PBD二量体が標的細胞内に放出される。放出されたPBD二量体は、RNAポリメラーゼの直接的な阻害又は関連する転写因子の相互作用の阻害のため、配列選択的に転写を阻害する。PBD二量体は、DNA二重らせんを歪めずに、ヌクレオチド除去修復因子が認識しない共有架橋を作り出し、それにより有効期間がより長くなりうる(Hartley 2011)。
【0076】
それには、以下の:
【0077】
【0078】
Abは、抗体RB4v1.2(完全ヒトヒトモノクローナルIgG1、各々配列番号2及び8であるVH及びVL配列を備えるK抗体)を表す。それは特許文献1(RB4v1.2-E)に記載されているように合成され、通常、DAR(薬物対抗体比)が2.0+/-0.3である。
【0079】
〔CD19の結合〕
本明細書で用いる「CD19に結合する」とは、抗体が、ウシ血清アルブミン等の非特異的パートナー(BSA、Genbank受託番号CAA76847版(version)番号CAA76847.1GI:3336842記録更新日2011年1月7日午後2:30)よりも高い親和性でCD19に結合することを意味する。ある実施形態では、抗体は、生理学的条件で測定した場合、BSAに対する抗体の会合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、104、105又は106倍高い会合定数(Ka)で、CD19と結合する。本発明の抗体は、高親和性でCD19に結合しうる。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14の1以下の、約10-6Mと等しいか又はそれ未満のKDでCD19と結合しうる。
【0080】
ある実施形態では、CD19ポリペプチドは、Genbank受託番号NP_001171569版番号NP_001171569.1 GI:296010921;記録更新日2012年9月10日午前12時43分に対応する。
一実施形態では、CD19ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受託番号NM_001178098版番号NM_001178098.1 Gi:296010920;記録更新日2012年9月10日午前12時43分に対応する。ある実施形態では、CD19ポリペプチドは、ユニプロット/Swiss-Prot 受託番号P15391.に対応する。
【0081】
〔抗BCL-2剤〕
適当な抗BCL-2剤としては、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)があげられる。好ましくは、当該抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0082】
BCL-2は、ミトコンドリアの外膜に局在し、細胞生存の促進及び、プロアポトーシス性タンパク質の作用阻害に重要な役割を果たす。Bax及びBakを含む、当該BCL-2ファミリーにおける当該プロアポトーシス性タンパク質は通常、ミトコンドリア膜上で作用して、アポトーシスカスケードにおける重要なシグナルである、シトクロムC及びROSの浸透化及び放出を促進する。当該プロアポトーシス性タンパク質は、順に、BH3-onlyタンパク質で活性化され、かつ、BCL-2及びそれに関するBCL-XIの機能により阻害される。プロ及び抗アポトーシスタンパク質の動的機能により、他のタンパク質の中でも、ヒト疾患におけるBCL-2発現の亢進の有意差が変化しうる。しかしながら、BCL-2の異常発現(血液学的及び非血液学的固形腫瘍の両方)に関連する多種多様ながん種は、アポトーシス調節因子としてのBCL-2の機能と一致する(Hanada M.ら、Blood.1993;82:1820-1828;Campos L.ら、Blood.1993;81:3091-3096;Lamers F.ら、Eur J Cancer.2012;48:3093-3103)。
本明細書で用いられる「抗BCL-2剤」は、特異的に、BCL-2と結合し、及び/又はBCL-2の生物学的活性を阻害するいかなる剤をも意味する。本明細書で用いる「BCL-2に結合する」とは、抗体が、ウシ血清アルブミン等の非特異的パートナー(BSA,Genbank受託番号CAA76847版番号CAA76847.1 GI:3336842;記録更新日2011年1月7日午後2時30分)よりも高い親和性でBCL-2に結合することを意味する。ある実施形態では、抗体は、生理学的条件で測定した場合、BSAに対する抗体の会合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、104、105又は106倍高い会合定数(Ka)で、BCL-2と結合する。当該剤は、高親和性でBCL-2に結合しうる。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14の1以下の、約10-6Mと等しいか又はそれ未満のKDでBCL-2と結合しうる。
【0083】
ある態様では、BCL-2ポリペプチドは、Genbank受託番号AAB72092,版番号AAB72092.1記録更新日:2016年7月24日午後2時22分に対応する。一実施形態では、BCL-2ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受託番号AF021792記録更新日:2016年7月24日午後2時22分に対応する。ある態様では、BCL-2ポリペプチドは、ユニプロット/Swiss-Prot受託番号.Q92934に対応する。
【0084】
抗CD19 ADCが抗BCL-2剤と相乗的に機能することを示すために、CD19(+)細胞系のパネルを抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤の濃度を各々変化させて共処理する。ネガティブ対照として、同じ細胞系パネルを抗BCL-2剤の濃度を変化させるか、又は抗CD19 ADCの濃度を変化させるか及びベヒクルで処理する。インキュベーション後、以下の2つのパラメータ:表面CD19(フローサイトメトリーで判定される)及びその組み合わせのインビトロ細胞毒性(MTSアッセイで判定される)を測定する。細胞毒性の判定のため、MTSを各ウェルに添加して37℃4時間インキュベートして、細胞の生存率を測定した。細胞生存率を未処理対照と比較して算出する。細胞毒性の相乗効果は細胞生存率のデータを影響する画分に移送し、CalcuSyn分分析プログラムを用いてその組み合わせ指標を算出することで算出する。
【0085】
本開示で用いるのに適する抗CBCL-2剤としては、以下があげられる:
a)ベネトクラクス
【0086】
【化17】
b)ナヴィトクラクス(ABT-263)
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【化21】
〔本開示の併用の有利な特性〕
抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤はともに、単独で単一薬剤として用いられる場合、たとえば、がん治療に、臨床的有用性が実証されている。しかしかしながら、本明細書に記載されるように、抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤の併用により、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤のいずれか単独での治療よりも、以下の:
1) より広い範囲がん治療に効果がある;
2)がん等の耐性又は難治性の症状、かつ、寛解期間を経て再発したがん等の症状に罹患した個体の効果的治療;
3)治療に対する奏効率の向上;及び/又は
4)治療の持続性の向上;
の、1又はそれ以上の利点がもたらされることが期待される。
【0091】
本明細書で用いられる、より広範囲のがんの効果的な治療を意味するのは、当該併用治療後、より広範囲の認識されているがん種で完全な奏効が観察されることを意味する。すなわち、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤単独では完全に奏効しないことが以前に報告されたがん種で完全な奏効が観察される。
【0092】
本明細書で用いられるような耐性、難治性、又は再発性の症状の効果的な治療とは、当該併用による治療の後、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤単独での治療に対して部分的又は完全に耐性又は難治性である個体(例えば、抗CD19 ADC若しくは抗BCL-2剤の単独治療後に奏効がないか、又は部分奏効しか示さない個体、又は症状が再発した個体)において完全奏効が観察されることを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効は、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤の単独治療に対して部分的又は完全に耐性又は難治性である個体の少なくとも10%で観察される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効は、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤の単独治療に対して部分的又は完全に耐性又は難治性である個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の個体で観察される。
【0093】
本明細書で用いられる治療に対する奏効率の向上とは、併用治療後は、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤の単独治療の後に観察されるよりも、より高い比率の個体で完全奏効が観察されることを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効は、治療された個体の少なくとも10%で観察される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効は、治療された個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%で観察される。
【0094】
本明細書で用いられるような治療の持続性の向上とは、併用治療された個体における完全奏効の平均持続期間が、抗CD19 ADC又は抗BCL-2剤の単独治療後に完全奏効を達成する個体よりも長いことを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効の平均持続期間は、少なくとも6ヶ月である。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用治療後の完全奏効の平均持続期間は、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、少なくとも10年、少なくとも15年、又は少なくとも20年である。
【0095】
本明細書における「完全奏効」とは、個体における疾患の臨床的エビデンスがないことを意味する。エビデンスは、当技術分野の適当な方法、例えばCT若しくはPETスキャン、又は適当な場合には生検を用いて評価することができる。完全奏効を達成するのに必要な投与回数は、1回、2回、3回、4回、5回、10回又はそれ以上であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、最初の投与量の投与後6ヶ月以内、3ヶ月以内、1ヶ月以内、2週間以内、又は1週間以内等、初期投与から投与後1年以内に完全奏効を達成する。
【0096】
〔治療される症状〕
本明細書に記載される併用療法としては、抗がん活性に有用性があるものがあげられる。特に、特定の態様では、治療としては、すなわちリンカーにより共有結合的に、PBD薬物部位、すなわち毒素、に結合した抗体があげられる。薬物が抗体に結合していない場合、当該PBD薬物には細胞毒性効果がある。PBD薬物部位の生物学的活性は、すなわち抗体への結合により調節される。本開示の抗体薬物複合体(ADC)は、細胞症状性薬剤の有効量を選択的に、より高い選択性、すなわち少ない投与有効量で、腫瘍組織に送達することを達成する。
【0097】
したがって、ある態様では、本開示は、治療に用いるCD19を結合する抗CD19 ADCの投与を含む、併用療法を提供し、ここで、当該方法は、標的タンパク質の発現に基づいて被験体を選択することを含む。
【0098】
したがって、ある態様では、本開示は、治療に用いるCD19を結合する抗CD19 ADCの投与を含む、併用療法を提供し、ここで、当該方法は、標的タンパク質の発現に基づいて被験体を選択することを含む。
【0099】
一態様では、本開示は、当該療法が、使用に適すると決定された被験体で当該使用に適することを特定するラベルを備える併用療法を提供する。当該ラベルは、当該治療が、CD19の過剰発現等のCD19が発現する被験体での使用に適すると特定しうる。当該ラベルは、被験体が特定がん種であると特定しうる。
【0100】
がんは、非ホジキンリンパ腫等のリンパ腫であってよい。当該ラベルは、当該被験体がCD19+リンパ腫であると特定しうる。
さらなる態様では、また、増殖性疾患の治療において用いる本明細書に記載されるような併用療法が提供される。本開示の他の態様では、増殖性疾患の治療のための医薬の製造における複合体の使用が提供される。
【0101】
当業者であれば、候補となる併用療法が、いかなる特定の細胞種の増殖性疾患を治療するか否かを容易に決定しうる。例えば、特定の化合物がもたらす活性の評価に便利に用いられうるアッセイを以下に記載する。
【0102】
本明細書に記載された併用療法は、増殖性疾患の治療に用いられうる。用語「増殖性疾患」は、インビトロ又はインビボにかかわらず、望ましくない又は制御されていない、過剰又は異常な細胞増殖、例えば、新形成性又は過形成性の増殖に関する。
【0103】
増殖状態の例としては、良性、前悪性、及び悪性の細胞増殖があげられるが、これらに限定されず、
これらには、新生物及び腫瘍(例えば、組織細胞腫、神経膠腫、星細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺がん、小細胞肺がん、消化管がん、大腸がん、結腸がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳がん、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、メラノーマ)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性症状(例えば、結合組織)、及びアテローム性動脈硬化症があげられるが、これらに限定されない。関連するがんとしては、白血病及び卵巣がんがあげられるが、これらに限定されない。
いかなる細胞種も治療しうるが、これには、肺、消化管(例えば、大腸、結腸があげられる)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳及び皮膚があげられるが、これらに限定されない。
【0104】
具体的に関連がある増殖性疾患としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病があげられる[Fielding A.,Haematologica.2010Jan;95(1):8-12]。
【0105】
本開示の併用療法は、例えば、腫瘍抗原の過剰発現により特徴づけられる、様々な疾患又は症状の治療に用いられうることが意図される。
例示的な症状又は高増殖性疾患には、良性又は悪性の腫瘍;白血病、血液学的悪性腫瘍、及びリンパ系悪性腫瘍があげられる。その他としては、自己免疫疾患及び移植片対宿主病(GVHD)を含む、神経細胞性、グリア性、星細胞性、視床下部、腺性、マクロファガル性、上皮性、間質性、胚盤胞性、炎症性、血管新生性及び免疫性の疾患があげられる。
【0106】
一般に、治療される疾患又は症状は、がん等の高増殖性疾患である。
本明細書で治療されるがんの例としては、上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、芽球腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。当該がんのより具体的な例としては、扁平上皮がん(例えば、上皮性扁平上皮がん)、小細胞肺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がんを含む消化管又は胃のがん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝がん、肝腫、乳がん、結腸がん、直腸がん、大腸がん、子宮内膜がん、子宮体がん、唾液腺がん、腎臓がん、腎性がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝がん、肛門がん、陰茎がん、及び頭頸部がんがあげられる。
【0107】
併用療法が治療に用いられうる自己免疫疾患としては、リウマチ性疾患(関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLEやループス腎炎等のループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬性関節炎等)、変形性関節症、自己免疫性の消化管及び肝臓の疾患(炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病等)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、及びセリアック病)血管炎(チュルグ=ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、ポリアータ炎等のANCA関連血管炎)、自己免疫性神経症状(多発性硬化症、ミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発神経症状等)、腎症状(糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルガー病等)、自己免疫性皮膚疾患(例えば、乾癬、じんま疹(urticaria)、じんましん(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデス等)、血液症状(血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫性溶血性貧血等)、動脈硬化症、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び難聴等)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植、移植片対宿主病(GVHD)、並びに自己免疫性内分泌疾患(インシュリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、自己免疫性甲状腺疾患(例えば、バセドウ病及び甲状腺炎)等の糖尿病関連自己免疫疾患)があげられる。より好ましい当該疾患としては、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、バセドウ病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎があげられる。
【0108】
ある態様では、当該被験体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病から選択される増殖性疾患である[Fielding A.,Haematologica.2010Jan;95(1):8-12]。
ある態様では、当該被験体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0109】
〔患者の選択〕
ある態様では、治療投与前に、当該併用治療による治療に適すると考えられる個体が選択される。
本明細書で用いられる、治療に適すると考えられる個体とは、当該治療から利益を得ること、又は治療に奏効すること、が期待される個体である。個体は、がんであるか、又はその疑いがあるか、又はそのリスクがある。個体は、がん診断を受けていてよい。特に、個体がリンパ腫に罹患している、又はその疑いがある、又はそのリスクがあってよい。いくつかの場合、個体は、CD19を発現する腫瘍関連非腫瘍細胞、例えばCD19を発現する浸潤性細胞がある固形がんであるか、又はあることが疑われているか、又はであるリスクがあってよい。
【0110】
いくつかの態様では、個体は、CD19の発現量又は発現パターンに基づいて選択される。ある態様では、当該選択は、細胞表面におけるCD19の発現に基づいて行われる。
ある態様では、当該標的はBCL-2である。ある態様では、当該選択は、BCL-2の発現に基づく。
いくつかの態様では、当該選択は、細胞表面におけるCD19及びBCL-2の両方のレベルに基づく。
【0111】
いくつかの場合、関心ある具体的な組織における当該評定の発現が測定される。例えば、リンパ組織又は腫瘍組織の試料中である。いくつかの場合、当該標的の全身的発現が判断される。例えば、血液、血漿、血清又はリンパ等の循環流体の試料中である。
【0112】
いくつかの態様では、当該個体は、試料中の標的発現の存在に起因して、治療に適した個体として選択される。それらの場合、標的発現のない個体は、治療に適さないと考えられる。
他の態様では、標的発現のレベルは、治療に適する個体の選択に用いられる。当該標的の発現レベルが閾値レベルを超える場合、個体は治療に適すると判断される。
いくつかの態様では、試料中のCD19及び/又は細胞中のCD19の存在は、当該個体が、抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤を含む併用治療に適することを示す。他の態様では、CD19及び/又は発現の量は、当該個体が治療に適することを示すには、閾値レベルを超えていなければならない。いくつかの態様では、対照と比較してCD19及び/又は局在が試料中で変化するという観察は、当該個体は治療に適することが示される。
いくつかの態様では、リンパ節又は結節外部位から得られた細胞が、CD19に対する抗体と反応する場合、及び/又はIHCにより判断される場合、当該個体は治療に適することが示される。
【0113】
いくつかの態様では、患者は、試料中の全細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上がCD19を発現する場合、治療に適すると判断される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、試料中の細胞の少なくとも10%がCD19を発現する場合、患者は治療に適すると判断される。
いくつかの態様では、患者は、試料中の全細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%以上の細胞がCD19を発現する場合、治療に適すると決定される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、患者は、試料中の細胞の少なくとも10%が発現する場合、治療に適すると判断される。
【0114】
いくつかの態様では、当該個体は、現在又は以前の治療レジームに基づき、治療に適すると選択される。いくつかの実施形態では、当該個体が抗BCL-2剤で治療されたことがある場合、当該個体は、抗CD19 ADCでの治療に適すると選択される。いくつかの実施形態では、当該個体が、抗BCL-2剤で治療されている場合、当該個体は抗CD19 ADCでの治療に選択される。いくつかの場合、個体が抗BCL-2剤による治療(又はさらなる治療)に耐性である場合、当該個体は治療に選択される。いくつかの場合、当該抗BCL-2剤は、ベネトクラクスであってよい。当該個体が、抗BCL-2剤による治療を受けている、又は受けたことがある実施形態では、抗CD19 ADCは、抗BCL-2剤と併用して、又は抗BCL-2剤を継続的に投与せずに、投与されてよい。
いくつかの実施形態では、当該抗CD19 ADCは、抗BCL-2剤と併用して、選択された個体に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADCは、抗BCL-2剤を継続的に投与せずに、選択された個体に投与されてよい。当該抗BCL-2剤は、好ましくは、ベネトクラクスであってよい。
【0115】
本明細書で用いられる用語「抗BCL-2剤による治療(又はさらなる治療)に難治性」とは、抗BCL-2剤を単独投与した場合、症状(例えば、がん)が奏効しないか、又は奏効しなくなったことを意味する。いくつかの実施形態では、難治性NHLである個体は、Cheson at al.2014(South Asian J Cancer.2014Jan-Mar;3(1):66-70)に開示された奏効基準を用いて同定される。当該文献では、非奏効者は、(i)いかなる以前に同定された異常結節の直径の総和積が直下から50%を超える増加、又は(ii)治療中又は治療終了時に、いかなる新たな病変の出現;のいずれかが存在する個体として定義される。
いくつかの実施形態では、難治性白血病である個体は、1回の完全な治療サイクルを完了した安定な疾患又は進行性疾患である個体、又は2又はそれ以上の完全な治療サイクルの後に部分奏効を達成した個体として同定される。
【0116】
本明細書で用いられる用語「治療を受けている」は、個体が過去3週間以内に当該薬剤を服用していたか、又は今後3週間以内に当該薬剤を服用する予定であることのいずれかを意味する。
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる用語「で治療される」は、当該個体が同じ治療サイクルで所定の薬剤を服用していることを意味する。
本明細書で用いられる用語「と治療されていた(された)」は、個体がいずれかの過去の時点で本剤を服用していたことを意味する。
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる用語「と治療されていた(された)」は、当該個体が、過去12ヶ月以内、例えば、過去3ヶ月以内に、所定の薬剤を服用していたことを意味する。
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる用語「治療されていた(された)」は、当該個体が、直前の前治療サイクルにおいて本発明の薬剤を服用していたことを意味する。
【0117】
試料
試料は、以下の:血液の量;フィブリン血栓及び血球を除去した後に得られた血液の流体部分を含む個体の血液に由来する血清の量;膵液の量;組織試料又は生検;又は、前記個体から分離された細胞;を含むか、又はそれに由来してよい。試料は、いかなる組織又は体液から採取されてよい。
ある態様では、当該試料は、組織試料、生検、切除、又は前記個体から単離された細胞であるか、又はそれに由来してよい。
ある態様では、当該試料は、組織試料である。当該試料は、がん性腫瘍組織等の腫瘍組織の試料であってよい。当該試料は、腫瘍生検により得られたものであってよい。ある態様では、当該試料は、リンパ病変試料又はリンパ節生検等のリンパ組織試料である。いくつかの態様では、当該試料は皮膚生検である。
【0118】
いくつかの態様では、当該試料は体液、より好ましくは体内循環する体液から採取される。
すなわち、当該試料は、血液試料又はリンパ液試料であってよい。いくつかの態様では、当該試料は、尿試料又は唾液試料である。
いくつかの実施形態では、当該試料は、血液試料又は血液由来試料である。当該血液由来試料は、個体の血液の選択された画分、例えば、選択された細胞含有画分又は血漿画分又は血清画分であってよい。
選択された細胞含有画分は、白血球(WBC)、特に末梢血単核球(PBC)及び/又は顆粒球、及び/又は赤血球(RBC)を含む、関連する細胞種を含んでよい。
すなわち、本開示による方法は、白血球、末梢血単核細胞、顆粒球及び/又は赤血球において、血液中の第1標的ポリペプチド又は核酸を検出する工程を含んでよい。
試料は、新鮮であってよく、又は保存されてよい。例えば、保存組織は、個体の初期診断時、又は再発時の生検であってよい。特定の態様では、当該試料は新鮮な生検である。
当該第1標的ポリペプチドは、CD19であってよい。
【0119】
個体ステイタス
個体は、動物、哺乳類、胎生哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、一頭類(例えば、アヒル科カモノハシ)、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、ラゴモルフ(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、鳥類)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、ネコ)、ウマ科(例えば、ウマ)、ブタ科(例えば、ブタ)、ヒツジ科(例えば、ヒツジ)、ウシ科(例えば、ウシ)、霊長類、類人猿(例えば、サルや類人猿)、サル科(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ジボン)、又はヒトのいずれであってよい。
さらに、当該個体は、そのいずれの発生形態であってよく、例えば、胎児であってよい。ある好ましい実施形態では、個体はヒトである。本明細書において、用語「被験体」、「患者」及び「個体」は、互換的に用いられる。
【0120】
本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、がんであるか、又はその疑いがあるか、又はがんのリスクがあると同定されている。本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、既にがんの診断を受けている。当該個体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病との診断を受けていてよい
[Fielding A.,Haematologica.2010Jan;95(1):8-12]。
いくつかの場合、当該個体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病との診断を受けていてよい
[Fielding A.,Haematologica.2010Jan;95(1):8-12]。
【0121】
いくつかの場合、当該個体は、CD19+を発現する浸潤性細胞を含む固形がんとの診断を受けている。
当該個体は、そのがんに対する治療的処置を受けているか、又は受けたことがある。当該被験体は、以前にADCX19を服用しても、又はしていなくてよい。いくつかの場合、当該がんは、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫である。
当該個体は、抗BCL-2剤による治療を受けている、又は受けたことがあってよい。いくつかの場合、当該個体は、抗BCL-2剤による治療(又はさらなる治療)に耐性であってよい。いくつかの場合、当該抗BCL-2剤は、ベネトクラクスであってよい。当該個体が、抗BCL-2剤による治療を受けている、又は受けたことがある実施形態では、抗CD19 ADCは、抗BCL-2剤と併用して、又は抗BCL-2剤を継続的に投与せずに、投与されてよい。
【0122】
対照
いくつかの態様では、個体における標的発現は、対照における標的発現と比較される。対照は、染色の妥当性の支持、及び実験的アーティファクトの同定に有用である。
いくつかの場合、対照は、参照試料又は参照データセットであってよい。当該参照は、適合性の程度が既知である個体から以前に得られた試料であってよい。当該参照は、参照試料を分析して得られたデータセットであってよい。
【0123】
対照は、標的分子が存在するか、若しくは高レベルで発現していることが知られている正の対照、又は標的分子が存在しないか、若しくは低レベルで発現していることが知られている負の対照であってよい。対照は、治療から利益を得ることが知られている個体から採取された組織の試料であってよい。
当該組織は、試験される試料と同種であってよい。例えば、個体からの腫瘍組織の試料は、以前に治療に奏効した個体など、治療に適していることが知られている個体からの腫瘍組織の対照試料と比較されてよい。
【0124】
いくつかの場合、対照は、試験試料と同じ個体から得られた試料であってよいが、健常が公知の組織から得られた試料であってよい。このように、個体からのがん組織の試料は、非がん組織試料と比較されてよい。
いくつかの場合、当該対照は、細胞培養試料である。
【0125】
いくつかの場合、抗体とのインキュベーションの前に検査試料を分析して、その試料に固有のバックグラウンド染色のレベルを決定する。
いくつかの場合、アイソタイプ対照が用いられる。アイソタイプ対照は、標的特異的抗体と同じクラスの抗体を用いるものの、試料に対する免疫反応性はない。当該対照は、標的特異的抗体の非特異的相互作用の識別に有用である。
【0126】
当該方法は、形態学及び免疫組織化学の血液病理学者による解釈を含んでよく、検査結果の正確な解釈が確実となる。当該方法は、発現パターンが予想されるパターンと相関することの確認工程を含んでよい。例えば、CD19及び/又はBCL-2の発現量を分析する場合、当該方法は、検査試料において、発現が細胞質成分を含む膜染色として観察されることの確認工程を含んでよい。当該方法は、ノイズに対する標的シグナルの比率が閾値レベルを超えていることの確認工程を含み、それにより、特異的なバックグラウンドシグナルと非特異的なバックグラウンドシグナルとが、明確に識別されうる。
【0127】
〔治療方法〕
本明細書において状態を治療するという文脈で用いられる用語「治療」は、一般に、ヒト又は動物(例えば、獣医学的適用において)のいずれの場合でも、何らかの所望の治療効果が達成される、例えば、状態の進行の抑制が達成される、治療及び治療に関連し、かつ、進行の速度の低下、進行速度の停止、状態の退行、状態の改善、及び状態の治癒があげられる。予防手段(すなわち、予防(prophylaxis)、予防(prevention))としての治療もまた、含まれる。
【0128】
本明細書で用いられる用語「治療的有効量」又は「有効量」は、所望の治療レジメンにより投与された場合に、合理的な利益/リスク比に見合った、いくつかの所望の治療効果をもたらすのに有効である活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、又は投与量の量を意味する。
同様に、本明細書で用いられる用語「予防的有効量」は、所望の治療レジメンにより投与された場合に、合理的な利益/リスク比に見合った、所望の予防的効果をもたらすのに有効な、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物又は投与量の量を意味する。
【0129】
本明細書は、治療方法を開示する。治療が必要な被験体に、治療的有効量の抗CD19 ADC及び抗BCL-2剤を投与する工程を含む治療方法も、また提供される。用語「治療的有効量」とは、被験体に利益を呈示するのに十分な量である。当該利益は、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であってよい。実際の投与量、及び投与速度及び時間的経過は、治療される個体の性質及び重症度に依存する。治療の処方、例えば投与量の決定は、開業医や他の医師の責任の範囲内にある。被験体は、本明細書に開示された方法により治療を受ける適格性の決定のために試験されてよい。当該治療方法は、本明細書に開示された方法により、被験体が治療を受ける適格性があるかを決定する工程を含んでよい。
【0130】
抗CD19 ADCは、抗CD19抗体を含む。当該抗CD19抗体は、RB4v1.2抗体であってよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでよい。当該ADCは、ADCx19であってよい。当該ADCは、特許文献1に開示されたADCであってよい。
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、当該抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0131】
当該治療としては、抗CD19 ADC/抗BCL-2剤の併用を単独で、又は他の治療剤とのさらなる併用で、治療されるべき状態に依存して、同時に又は順次投与することがあげられる。
治療の例示的な方法としては、以下の:
(1)ベネトクラクス等の抗BCL-2剤で、治療される、又は治療中の個体を特定する工程;
(2)当該個体に、ADCx19等の抗CD19 ADCを投与する工程;及び、場合によっては、
(3)当該個体に、抗CD19 ADCと併用するベネトクラクス等の抗BCL-2剤を(例えば、ADCと同時に、又はADCの後に)投与する工程;があげられる。
治療及び治療の例としては、化学療法(化学療法剤等の薬剤を含む活性剤の投与);手術;及び、放射線療法があげられるが、これらに限定されない。
「化学療法剤」とは、作用機序にかかわらず、がんの治療に有用な化学化合物である。化学療法剤のクラスとしては、アルキル化剤、抗代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤があげられるが、これらに限定されない。化学療法剤としては、「標的治療」に用いられる化合物や従来の化学療法に用いられる化合物があげられる。
【0132】
化学療法剤の例としては、以下の:レナリドミド(REVLIMID(登録商標)、セルジーン)、ボリノスタット(ZOLINZA(登録商標)、メルク)、パノビノスタット(FARYDAK(登録商標)、ノバルティス)、モセチノスタット(MGCD0103)、エベロリムス(ZORTRESS(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、ノバルティス)、ベンダムスチン(TREAKISYM(登録商標)、RIBOMUSTIN(登録商標)、LEVACT(登録商標)、TREANDA(登録商標)、ムンディファーマインターナショナル)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、ジェネンテック/OSIファーマ)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、サノフィ-アベンティス)、5-FU(フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、CAS No.51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、リリー)、PD-0325901(CAS No.391210-10-9,ファイザー)、シスプラチン(シス-ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No.15663-27-1)、カルボプラチン(CAS No.41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクッブオンコロジー、プリンストン)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド)CAS No.85622-93-1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、シェリングプラウ、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブタ-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標)、及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti-1/2、HPPD、及びラパマイシンがあげられる。
【0133】
化学療法剤のさらなる例としては、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、サノフィ)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、ミレニアム・ファーム)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、ファイザー)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、ノバルティス)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、ノバルティス)、XL-518(Mek阻害剤、エクセリクシ、国際公開第O2007/04515号)、ARRY-886(Mek阻害剤、AZD6244、アレイバイオファーマ、アストラゼネカ)、SF-1126(PI3K阻害剤、セマフォファーマシューティカル)、BEZ-235(PI3K阻害剤、ノバルティス)、XL-147(PI3K阻害剤、エクセリクシ)、PTK787/ZK 222584(ノバルティス)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、アストラゼネカ)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、ワイス)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、グラクソスミスクライン)、ロナファリニブ(SARASAR(登録商標)、SCH 66336、シェリングプラウ)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、バイエルラボ)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、アストラゼネカ)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT-11、ファイザー)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、ジョンソンエンドジョンソン)、ABRAXANE(商標)(クレモフォールフリー)、)、パクリタキセルのアルブミン設計ナノ粒子製剤(アメリカンファーマシューティカルパートナーズ、シャウボーグ,イリノイ州)、バンデタニブ(rINN,ZD6474,ZACTIMA(登録商標),アストラゼネカ)、クロラムブシル、AG1478,AG1571(SU 5271;スーゲン)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標),ワイス)、パゾパニブ(グラクソスミスクライン)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標),テリク)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標),NEOSAR(登録商標))、ブスルファン、インポスルファン、及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドパ、カルボクオン、メトレドパ及びウレドパ等のアジリン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体のトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(アドゼルシン、カルゼルシン及びビゼルシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコディチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸オキシド、メルファラン、ノベビキン、フェンエステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びランヌスチン等のニトロソウレア;エネジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンガンマ1I、カリケアマイシンオメガI1(Angew Chem.Intl.Engl.1994 33:183-186)等の抗体;ダイネミシン、ダイネミシンA;クロドロネート等のビスホスホネート;エスペラミン;同様に、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ユベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎剤;フロリン酸等のフロリン酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルチン;ヂアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプティニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダニン;メイタンシン、アンサミトシン等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカリド複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン、2,2’
,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等のプラチナ類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELOD(登録商標)、ロシュ);イバンドロン酸;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;及び上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸及び誘導体があげられる。CHP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド)又はCHOP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ビンクリスチン)等の薬物を併用しうる。
【0134】
また、「化学療法剤」の特定としては、また、以下の:(i)抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)等の腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン薬であって、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン)があげられる;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬であって、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロール酢酸塩)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、ファイザー、ホルメスタニー、ファメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;ノバルティス)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;アストラゼネカ);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロライド、ゴセレリン等の抗アンドロゲン剤、並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)MEK阻害剤等のプロテインキナーゼ阻害剤(国際公開第2007/04515号);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-α、Raf及びH-Ras、例えば、オブリメルセン(GENASENSENSE(登録商標)、ゲンタ株式会社);(vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤等のリボザイム;(viii)遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUCTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標)、ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ジェネンテック)、並びに医薬的に許容される上記いずれかの塩、酸及び誘導体;があげられる。
【0135】
また、「化学療法剤」の特定としては、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ジェネンテック)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、イムクローン)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、アムジェン)、ペルツズマブ(PERJETM、OMNITARG(商標)、2C4、ジェネンテック)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック)、MDX-060(Medarex)及び抗体薬物複合体であるゲムツズマブオゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)、ワイス)等の治療用抗体も含まれる。
【0136】
本開示の結合体と併用される化学療法剤としての治療可能性があるヒト化モノクローナル抗体としては、アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネウズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガミシン、イノツズマブオゾガミシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、ペセテリズマブ、ラリズマブ、レスリズマブ、レスシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テトリバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、セルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビツズマブ、ウルトキサズマブ、及びビジリツズマブがあげられる。
【0137】
本開示による組成物は好ましくは医薬組成物である。本開示による、および本開示に用いる医薬組成物は、活性成分、すなわち、複合体化合物、及び、医薬的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は当業者に公知の他の材料を含んでよい。当該物質は非毒性、かつ、有効成分の効能を阻害しないものでなければならない。担体又は他の材料の正確な性質は、経口、又は例えば皮膚、皮下、若しくは静脈内注射による投与経路によるであろう。
【0138】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤又は液体剤でありうる。錠剤は、固体担体又はアジュバントを含みうる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動植物油、鉱油又は合成油等の液体担体を含む。生理食塩水、デキストロース若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール等のグリコールが含まれうる。カプセルは、ゼラチン等の固体担体を含んでよい。
【0139】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射、又は罹患部位への注射の場合、当該活性成分は、発熱物質を含まず、pH、等張性及び安定性が適当である、非経口的に許容される水溶液の形態であろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液等の等張ビヒクルを用いて適当な溶液を調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0140】
〔投与量(用量)〕
抗CD19 ADC及び/又は抗BCL-2剤の適当な投与量(用量)、及びこれらの活性成分を含む組成物は、被験体ごとに異なることが当業者によって理解されるであろう。最適投与量の決定には、一般に、リスク又は有害な副作用に対する治療的利益のレベルを調整する必要がある。選択された投与量レベルは、これらに限定されるわけではないが、特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/又は物質、状態の重症度、並びに被験体の種、性、年齢、体重、状態、全身状態、及び既往歴を含む種々の因子に依存する。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師、獣医師又は臨床医の裁量によるが、一般に、実質的な有害な又は劇的な副作用を誘発せず、所望の効果を達成する作用部位で局所濃度を達成するように投与量を選択する。
【0141】
ある態様では、抗CD19 ADCの用量は、被験体から得られた試料中で観察されるCD19の発現によって決定される。すなわち、試料中のCD19の発現のレベル又は局在は、より高用量又はより低用量の抗CD19 ADCが必要であることの指標となりうる。例えば、CD19の発現レベルが高い場合、より高い用量の抗CD19 ADCが適当であることを示しうる。ある場合、CD19の発現レベルが高い場合、抗CD19 ADC及び他の薬剤の投与が必要であることを示しうる。例えば、抗CD19 ADCの化学療法剤との複合投与である。CD19の発現レベルが高い場合、より積極的な療法が示唆される。
【0142】
ある態様では、抗BCL-2剤の用量は、被験体から得られた試料中で観察される発現により決定される。すなわち、試料中の発現のレベル又は局在は、より高用量又はより低用量の抗BCL-2剤が必要であることの指標となりうる。例えば、BCL-2発現レベルが高い場合、より高用量の抗BCL-2剤が適当であることを示しうる。ある場合、BCL-2発現レベルが高い場合、抗BCL-2剤及び他の薬剤の投与が必要であることを示しうる。例えば、抗BCL-2剤と化学療法剤との複合投与である。BCL-2の発現レベルが高い場合は、より積極的な療法が示唆される。
【0143】
投与は、治療過程を通して一投与量を、連続的又は間欠的に(例えば、適当な間隔で分割された用量で)で行うことができる。投与の最も有効な手段及び用量を決定する方法は当業者に周知であり、治療に用いられる処方、治療目的、治療される標的細胞、及び治療される被験体により異なる。単回投与又は複数回投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医が選択する用量レベル及びパターンで行うことができる。
【0144】
一般に、各活性化合物の適当な投与量は、被験体の体重1kg/日当たり約100ng~約25mg (より典型的には約1μg~約10mg)の範囲である。
当該活性化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ等である場合、投与量は親化合物に基づいて計算されて、用いられる実際の量は比例して増加する。
一実施形態では、各活性化合物は、以下の:約100mg、1日3回投与計画により、ヒト被験体に投与される。
一実施形態では、各活性化合物は、約150mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
一実施形態では、各活性化合物は、約200mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
【0145】
しかしながら、一実施形態では、各複合体化合物は、以下の:約50mg又は約75mg、3回又は4回/日投与計画により、ヒト被験体に投与される。
一実施形態では、各複合体化合物は、約100mg又は約125mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
ADCを担持するPBDである抗CD19 ADCの、上記投与量は、複合体(PBD部分及び抗体に対するリンカーを含む)又は、例えばリンカーの切断後に放出される化合物の量、をもたらすPBD化合物の有効量に適用することができる。
【0146】
抗CD19 ADCは、抗CD19抗体を含む。当該抗CD19抗体は、RB4v1.2抗体であってよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでよい。当該抗CD19-ADCは、ADCx19であってよい。当該ADCは、特許文献1に開示されたADCであってよい。
前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)であってよい。好ましくは、当該抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)である。
【0147】
〔抗体〕
本明細書中の用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、無傷抗体(「全長」抗体とも記載される)及び抗体断片を、それらが所望の生物学的活性、例えば、CD19への結合能を示す限り、最も広い意味で用いられ、かつ、特異的に包含する。(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854-4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、であってよく、又は、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、馬若しくはラクダ等の他の種に由来しうる。
【0148】
抗体は、特異的抗原を認識し、それに結合しうる免疫系により生成されるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,NewYork)。
【0149】
標的抗原には、一般に、エピトープともいう、多数の結合部位があり、複数の抗体上の相補性決定領域(CDR)により認識される。異なるエピトープ特異的に結合する抗体の構造は異なる。すなわち、1つの抗原には、対応する抗体が1を超える。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、関連する標的の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位又はその部分を含む分子を含んでよく、当該標的としては、がん細胞又は自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する細胞があげられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子のいかなる系(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)若しくはサブクラス、又はアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[すなわち、G1m1以外のいかなるアロタイプ]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、及びKm3)でありえる。当該免疫グロブリンは、ヒト、マウス、又はウサギ由来を含む、いかなる種に由来しうる。
【0150】
「抗体断片」とは、全長抗体の部分、一般に、その抗原結合領域又は可変領域を包含する。
抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;ダイアボディ;線状抗体;Fab発現ライブラリー、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR (相補性決定領域)、及び、がん細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原、単鎖抗体分子に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片によって産生される断片;並びに抗体断片から形成される多重特異的抗体があげられる。
本明細書中で用いられる用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体をいい、つまり、集団を含む個々の抗体は、少量で存在しうる天然突然変異を除いて同一である。
【0151】
モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、1つの抗原性エピトープに指向する。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定因子に指向する。当該特異性、及び、モノクローナル抗体は、他の抗体により汚染されずに合成できる点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法による抗体の生産が必要であると解釈されることはない。例えば、本開示により用いられるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法か、又は、組換えDNA法(米国特許第4816567号参照)により作製しうる。当該モノクローナル抗体はまた、Clackson et al(1991)Nature,352:624-628;Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから、又は、完全ヒト免疫グロブリン系を担持するトランスジェニックマウス(Lonberg(2008)Curr.Opinion20(4):450-459)から、単離されてよい。
【0152】
本明細書中のモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の部分が、特定の種に由来する、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるか又はそれと相同である一方で、その鎖の残部は、それらが所望の生物学的活性を示す限り、他の種に由来する、又は他の抗体クラス若しくはサブクラスに属する他の抗体における対応する配列と同一であるか又はそれと相同である、「キメラ」抗体、並びに当該抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855)。キメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル又は類人猿)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0153】
本明細書における「完全抗体」とは、VLドメイン及びVHドメイン、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。完全抗体には、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性をいう、1又はそれ以上の「エフェクター機能」があってよい。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;及びB細胞受容体及びBCR等の細胞表面受容体の下方制御があげられる。
【0154】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、完全抗体は、異なる「クラス」に割り当てうる。
完全抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスがあり、かつ、これらのいくつかは、さらに、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等の「サブクラス」(アイソタイプ)に分けることができる。様々なクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、各々、α、δ、ε、γ、及びμという。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び3次元構造は、周知である。
【0155】
本開示の原理を例示する実施形態及び実験は、添付の図面を参照して、ここで議論される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【
図1】配列を示す。 本開示は、当該組み合わせが明らかに許容されない、又は明示的に回避される場合を除き、記載された態様及び好ましい特徴の組み合わせを含む。本明細書で用いられる項目見出しは、構成的な目的のためでしかなく、説明される主題を限定すると解釈すべきではない。本開示の態様及び実施形態は、添付の図面を参照して、例示的に示される。さらなる態様及び実施形態は、当業者に明らかであろう。このテキストで言及されている全ての文書は、参照により本明細書に援用される。文脈上他に要求されない限り、以下の特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通じて用語、「含む」及びその変形は、記載された整数、工程、又は整数若しくは工程の群を含むが、整数、工程、又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると理解される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数の基準を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書中では、ある特定の値から「約」として、及び/又は別の特定の値から「約」として表現することができる。当該範囲が表現される場合、別の実施形態は、ある特定の値及び/又は他の特定の値を含む。同様に、値が近似として表現される場合、先行する「約」を用いて、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0157】
〔いくつかの実施形態〕
以下の段落は、本開示のいくつかの特定の実施形態を示す。
1.ADC×19、又はADCT-402又はADCT-402での治療に適する個体を選択する方法であって、ここで、前記個体は、前記個体がベネトクラクスで治療されたことがある場合、ADC×19又はADCT-402での治療に選択される、方法。
2.ADC×19又はADCT-402での治療に適する個体を選択する方法であって、前記個体は、ベネトクラクスで治療中の場合、ADC×19又はADCT-402での治療に選択される、方法。
3.前記個体は、前記個体が、ベネトクラクスでの、治療、又はさらなる治療に不応性である場合、治療に選択される、上記段落のいずれか1つに記載の方法。
4.個体における症状の治療方法であって、以下の:
(i)上記段落1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量のADC×19又はADCT-402を前記個体に投与する工程;含む、方法。
5.さらに、ADCx19又はADCT-402とVenetoclaxを併用投与する工程を含む、段落4に記載の方法。
6.個体の症状を治療する方法であって、有効量のADCx19又はADCT-402及びベネトクラクスを個体に投与する工程を含む、方法。
7.個体が、段落1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、段落6に記載の方法。
8.前記治療は、ベネトクラクスの前、ベネトクラクスと同時に、又はベネトクラクスの後にADCx19又はADCT-402を投与することを含む、段落5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.前記治療は、さらに、化学療法剤を投与することを含む、前記いずれかの段落に記載の方法。
10.前記個体がヒトである、前記いずれかの段落に記載の方法。
11.前記個体が、症状を有するか、又は症状があると判定された、前記いずれかの段落に記載の方法。
12.前記個体が、CD19+又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤性細胞等)を発現するがんであるが、又はであると判定された、段落11に記載の方法。
13.前記個体がベネトクラクスによる治療中である、前記いずれかの段落に記載の方法。
14.前記個体がベネトクラクスによる治療を受けていた、前記いずれかの段落に記載の方法。
15.前記個体が、ベネトクラクスによる治療又はさらなる治療に耐性である、前記いずれかの段落に記載の方法。
16.前記治療は、ADCx19又はADCT-402又はベネトクラクスのいずれかによる単独治療と比較して、効能が高まった、前記いずれかの段落に記載の方法。
17.前記症状は、増殖性疾患である、前記いずれかの段落に記載の方法。
18.前記症状は、がんである、前記いずれかの段落に記載の方法。
19.前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、段落18に記載の方法。
20.段落4~19のいずれかの方法で用いられるADCx19又はADCT-402。
21.段落4~19のいずれか一項に記載の治療方法で用いる、ADCx19又はADCT-402を含む、組成物。
22.段落5~19のいずれか一項による治療方法に用いるベネトクラクス。
23.段落5~19のいずれか一項による治療方法に用いる、ベネトクラクスを含む、組成物。
24.個人の症状を治療する医薬の製造におけるADCx19又はADCT-402の使用であって、前記治療は、段落4~19項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
25.個人の症状を治療する医薬の製造におけるベネトクラクスの使用であって、前記治療が段落5~19項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
26.以下の:
ADCx19又はADCT-402を含む、第1医薬;
段落4~19のいずれか一項に「記載の方法により前記第1薬剤を投与する指示書を含む添付文書;
を含む、キット。
27.以下の:
ベネトクラクスを含む第2薬剤
をさらに含む、段落26に記載のキット。
〔発明の記載〕
1.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が抗BCL-2剤で治療されていた場合、当該個体は抗CD19 ADCによる治療に選択される、方法。
2.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が抗BCL-2剤で治療されている場合、抗CD19 ADCでの治療に選択される方法。
3.前記個体が、前記抗BCL-2剤による治療又はさらなる治療に耐性である場合、前記治療に選択される、前段落のいずれか一項に記載の方法。
4.個体における症状の治療方法であって、以下の:
(i)上記1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量の抗CD19 ADCを前記個体に投与する工程;を含む、方法。
5.前記治療方法は、さらに、抗CD19 ADCを抗BCL-2剤と併用投与する工程を含む、段落4に記載の方法。
6.個体における症状の治療方法であって、抗-CD19 ADC及び抗BCL-2剤の有効量を前記個体に投与する工程を含む、方法。
7.前記個体が、段落1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、段落6に記載の方法。
8.前記抗BCL-2剤の前に、前記抗BCL-2剤と同時に、又は前記抗BCL-2剤の後に、抗CD19-ADCを投与することを含む、前記段落5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.前記治療は、さらに、化学療法剤を投与することを含む、前記いずれかの段落に記載の方法。
10.前記個体がヒトである、前記いずれかの段落に記載の方法。
11.前記個体が、症状を有するか、又は症状があると判定された、前記いずれかの段落に記載の方法。
12.前記個体が、CD19+又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤性細胞等)を発現するがんであるが、又はであると判定された、段落11に記載の方法。
13.前記個体は、抗BCL-2剤による治療中である、前記いずれかの段落に記載の方法。
14.前記個体は、抗BCL-2剤による治療を受けていた、前記いずれかの段落に記載の方法。
15.前記個体は、抗BCL-2剤による治療又はさらなる治療に耐性である、前記いずれかの段落に記載の方法。
16.前記治療は、抗CD19-ADC又は抗BCL-2剤のいずれかによる単独治療と比較して、効能が高まった、前記いずれかの段落に記載の方法。
17.前記抗CD19-ADCは、ADCx19である、前記いずれかの段落に記載の方法。
17a.前記抗CD19-ADCは、ADCT-402である、前記いずれかの段落に記載の方法。
18.前記症状は、増殖性疾患である、前記いずれかの段落に記載の方法。
19.前記症状は、がんである、前記段落18に記載の方法。
20.前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、段落19に記載の方法。
21.前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクス(ABT-1999)、ナヴィトクラクス(ABT-263)、ABT-737、S55746/BCL201、及びオブリメルセン(G3139)からなる群から選択される、上記いずれかの段落に記載の方法。
22.前記抗BCL-2剤は、ベネトクラクスである、前記いずれかの段落に記載の方法。
23.段落4~22のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADC。
24.段落4~22のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADCを含む、組成物。
25.段落5~22のいずれか一項による治療方法に用いる、抗BCL-2剤。
26.段落4~22のいずれか一項による治療方法に用いる、抗BCL-2剤を含む、組成物。
27.個体の症状を治療する医薬の製造における抗CD19 ADCの使用であって、前記治療が、段落4~22項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
28.個体の症状を治療する医薬の製造における抗BCL-2剤の使用であって、前記治療が、段落5~22項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
29.以下の:
抗CD19 ADCを含む第1薬剤;
段落4~22のいずれか一項に「記載の方法により前記第1薬剤を投与する指示書を含む添付文書;を含む、キット。
30.
さらに、以下の:
抗BCL-2剤を含む第2薬剤;を含む、段落29に記載のキット。
【0158】
〔実施例〕
以下の実施例では:
-実施例での使用に適したCD19を発現する細胞株としては、Ramos、Daudi、Raji、WSU-DLCL及びNALM-6細胞があげられる。
【0159】
-疾患A-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/DLBCは、リンパ系のB細胞から発生する侵攻性の非ホジキンリンパ腫である。それは非ホジキンリンパ腫の最大のサブグループである。
【0160】
-疾患B-マントル細胞リンパ腫/MCLはまれなB細胞NHLであり、60歳以上の男性に最も多くみられる。この疾患は侵攻性(増殖が速い)であるが、ある患者ではより緩徐な(増殖が遅い)態様で進行する場合もある。MCLは全NHLの約5%を占める。
【0161】
-疾患C-濾胞性リンパ腫/FLはかなり緩徐進行性のNHLで、生存期間は長いが、治癒が達成されることはきわめて困難であり、より侵攻性のリンパ腫に転換する場合もある。
【実施例1】
【0162】
別個実験で、CD19を発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mL抗CD19 ADC(PBD二量体弾頭があるCD19を標的とするADC)、1μg/mL抗CD19(ADC中の抗体)及び1μg/mLのB12-SG3249(抗CD19 ADCと同じPBD弾頭がある非結合対照ADC)と共に0、6、24及び48時間インキュベートする。
インキュベーション後、細胞を洗浄し、さらに24時間ヒト樹状細胞(DC)に供給する。その後、DCの活性化を、DC集団上のCD86の表面発現の増加(フローサイトメトリーにより測定)により、及びIL-8及びMIP2のDC媒介放出を測定することにより、測定する。
【実施例2】
【0163】
本試験の目的は、本併用療法の安全性、忍容性、薬理学的及び臨床的活性の予備的評価である。
以下の種類のがんが研究のために選択されている:
疾患A、疾患B、及び疾患C
両剤とも単剤としての効能を示すエビデンスが存在する:
・抗CD19 ADC (例えば、特許文献1、国際公報第2016/166298号、国際公報第2014/057122号及び国際公報第2016/166307号を参照)
・抗BCL-2剤(KS Peggs et al.2009,Clinical and Experimental Immunology,157:9-19[doi:10.1111/j.1365-2249.2009.03912.x]を参照)
本試験ではまた、各併用療法により、腫瘍に、臨床的利益の可能性を示唆するような薬理学的変化を誘発するかを評価する。
さらに、抗CD19 ADC又は抗BCL-2薬を単剤で投与した場合の公表されたデータと比較して、併用により奏効率及び奏効の持続性が高まりうることを示す予備的なエビデンスも得られるであろう。
各疾患群としては、以前に抗BCL-2薬で治療された患者のサブセットがあげられ、併用療法が抗BCL-2薬療法に対する耐性を克服できるかの検討を行う。
各疾患について、特定の分子選択を適用する意図はないが、現在利用可能なデータにより、承認された分子診断検査に基づいて患者を除外することは一般的には支持されていないからである。
【0164】
抗CD19 ADC開始用量の設定根拠
ADCについてすでに確立されているのRDE(ug/kgを3週間ごとに投与)を、本試験の全患者に用いる。患者の安全性を確保するため、用いる開始用量はRDEを下回るが、当該開始用量は、試験ADC1で患者の利益が依然として実証されている用量であり、このことは、当該用量で登録された患者は参加により少なくとも何らかの利益が得られることを示唆する。
【0165】
抗BCL-2剤開始用量の設定根拠
抗BCL-2剤について既に確立されているRDE(ug/kgを3週間ごとに投与)は、本試験の全患者に用いる。患者の安全性を確保するため、用いる開始用量はRDEを下回るが。当該開始用量は、試験SA1で患者の利益が依然として示されている用量であり、このことは、当該用量で登録された患者は参加により少なくとも何らかの利益が得られることを示唆する。
目的と関連評価項目
【0166】
【表1】
研究設計
疾患A、疾患B、疾患Cの患者を対象に、抗BCL-2薬と併用したADCの安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び抗腫瘍活性を評価する第Ib相多施設共同非盲検試験である。
本研究は、用量漸増部分と、その後の用量拡大部分から構成される。
用量漸増は、ADC及び抗BCL-2薬のいずれも、患者の安全性を保証するため、(各々推奨される第II相用量又は認可された用量と比較して)開始用量を減らして開始する。開始用量は、各化合物のRDEの33%(又は50%)とする。その後、RDE又は認可された用量に達するまで、抗BCL-2剤の用量を最初に増量するか、忍容性の理由から必要に応じて低用量で投与する。その後、併用療法のRDEに達するまで、ADCの用量を増量する。これを下図に示す:
【0167】
【表2】
用量併用の安全性が判断された場合、さらなる患者を対象とした試験を実施し、その用量における安全性及び忍容性を確認しうる。各化合物の用量をさらに調整でき、及び/又はレジメンを変更しうる。
併用療法の用量漸増は、最初の(又は最初の2つの)治療サイクルで観察された用量制限毒性(DLT)に基づくベイズのロジスティック回帰モデル(BLRM)に基づいて行う。BLRMの使用は、がん患者における最大耐用量(MTD)/拡張推奨用量(RDE)の推定に確立された方法である。適応BLRMは、本試験に参加する将来の患者のDLTのリスクの制御のため、過量対照による漸増(EWOC)の原則に従う。小規模なデータセットに対するベイズ反応適応モデルの使用は、FDA及びEMEAにより認容され(「小規模な集団における臨床試験に関するガイドライン」、2007年2月1日)、多くの文献(Babb et al.1998,Neuenschwander et al.2008)で支持されている。
治験責任医師及び治験依頼者は、用量漸増安全コール(DESC)において、患者の忍容性及び安全性情報(該当する場合、DLTリスクのBLRM要約を含む)のレビュー、並びに決定時点で入手可能なPK、PD及び予備的活動情報に基づいて、新たな併用用量を決定する。
【0168】
併用療法のMTD/RDEが決定した場合、本試験の拡大部分を開始して、安全性、忍容性及び予備的効能をさらに評価しうる。
IOとの併用に関して、腫瘍における免疫浸潤の変化は、標的疾患の適応における併用治療後にも特徴づけられる。
本研究での当該薬剤に関するこれまでの臨床経験を考慮すると、多くの場合に、大規模用量又は投与スケジュールを試験せずに、併用用量を特定しうると考えられる。併用療法の薬力学的活性を評価するために、基線時及び約2サイクルの治療後に再度腫瘍生検を受けるよう患者に指示する。
IOコンボに関して:
リンパ球及びマクロファージを含む免疫細胞による腫瘍浸潤の変化の程度は、潜在的な利益に関する決定に寄与する。
【0169】
用量漸増部分
本研究の用量漸増期には、抗BCL-2薬のRDEに達するまで、一定用量のADCを静注投与し、抗BCL-2薬の用量を増量する。その後、抗BCL-2薬の用量を一定に保ちつつ、ADCの用量を(異なるコホートで)増量する。
疾患A、疾患B又は疾患Cの患者2~約3~4例を、MTD/RDEの測定が決定されるまで、各漸増コホートで治療する。
2例目の患者を用量レベル1に登録する前に、24時間観察を行う。各用量レベルでのDLT観察期間は、IO治療のための所轄官庁からの義務として、1サイクル(3週間)又は2サイクル(6週間)のいずれかとし、その後、次のコホートの次の用量レベルに漸増させるか、現行の用量レベルのままにするか、又は前の用量レベルに漸減するかを決定する。用量レベル1からの漸減はない。投与量の漸増は認められない。
いずれの用量レベルにおいても、最初のサイクルまでに2例以上の患者に完全なDLT情報が得られない限り、用量漸増は認められない。用量漸増は、目標DLT率30%、等価間隔20%~35%のmCRMを用い、用量漸増-過量対照(EWOC)を用い、用量スキップを行わない場合に決定する。
【0170】
積極的に登録しているコホートに患者を割り付ける。1サイクルの治療終了後に、各併用療法で用量漸増を実施する。有害事象及び臨床検査値を含む安全性評価は、DLTを同定するために、登録されたすべての患者について綿密にモニタリングする。単一のMTD/RDEが定義され、疾患特異的なMTD/RDEは確立されない。
mCRMは、用量漸増運営委員会(DESC)の監督下でDEに対して実施される。DESCは、入手可能なすべての安全性データを検討した上で、各漸増用量を確認する。また、その用量レベル及び以前の用量レベルの患者から得られたPKデータも、意思決定の参考となる。DESCは、新たに出現したPK、PD、毒性又は反応のデータに基づくMTD決定前に、用量漸増を中止してもよい。
試験に参加した患者のうち少なくとも1例が部分奏効以上を達成した場合、又はRDEを決定するためにDESCがPK又はPDデータをさらに評価する必要があると判断した場合、安全性及び忍容性をさらに評価するために、用量を問わずさらなる患者を組み入れることができる。用量漸増は、3コホート(又は少なくとも6例の患者)が連続して同じ用量レベルに割り付けられた後に中止する。MTDに達しない場合は、増量の推奨用量(RDE)が決定される。MTD/RDEを決定する前に、最低6例の患者が併用療法で治療されていなければならない。
用量漸増中に患者から対で腫瘍生検を行うことを意図している。これらの生検を解析することにより、併用療法の用量と薬力学的活性との関係をより良く理解することができる。
【0171】
線量漸増運営委員会による安全監視
ADCセラピューティクスと治験責任医師で構成されるDESCは、DE中に継続的に患者の安全性をレビューし、mCRMが規定する用量漸増スケジュールに修正が必要かを判断する。安全性観察に加えて、薬物動態及び/又は薬力学データも意思決定に役立つ。中間用量は、ADCセラピューティクスと治験責任医師の合意の上で割り当てることができる。DESCは、第2部の期間中、引き続き監督を行うことができる。正式なデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)は使用しない。
【0172】
用量拡大部分
MTD/RDEが宣言されると、用量拡張部分が開始されてよい。拡大部分の主な目的は、MTD/RDEにおける治験薬の安全性及び忍容性をさらに評価し、単剤の効能の既存データと比較した併用療法の効能の予備的理解である。
重要な探索的目的の1つは、治療に反応した腫瘍内の免疫浸潤の変化の評価である。これは、MTD/RDEで治療された患者において、少なくとも10組の評価可能な生検(生検標本には分析に十分な腫瘍が含まれている必要がある)を組み合わせて、患者から採取した対の腫瘍生検で評価する。これが不可能な場合、当該生検組織の採取を中止してよい。少なくとも10~20例の患者を各治験群で治療することが計画される。
複数の異なる治験群が開設され、1疾患につき1つの治療群が開設される。用量拡大にあたっては、計9群の治験群を設けることができる。当該群のいずれかを組み入れることができない場合、10~20例の目標が達成される前に、当該群への組み入れを中止してよい。
各治療群において、過去の単回投与(すなわち、無併用)で抗BCL-2薬療法を受けて悪化した患者は最大約6例まで治療が許可される。この数は、併用により抗BCL-2薬の単回投与による前治療耐性を克服する見込みがある場合に増やしてよい。
【0173】
患者集団
本研究は、上記のとおり、疾患A、疾患B又は疾患Cが進行している成人患者を対象に実施する。治験責任医師又は被指名人は、以下のすべての選択基準を満たし、除外基準のいずれにも該当しない患者のみが本治験において治療を受けることを保証しなければならない。
【0174】
選択基準
本研究への組み入れに適格な患者は、以下のすべての基準を満たす必要がある:
1.手続きの前に、書面による同意を得なければならない
2.18歳。
【0175】
3.RECIST version 1.1で測定可能な病変を有する進行/転移がん患者、標準治療にもかかわらず進行した患者又は標準治療に不耐容の患者、又は標準治療が存在しない患者。
患者は以下のいずれかのグループに入る必要がある:
・疾患A
・疾患B
・疾患C
4.ECOG Performance Status0-1(又は2 TBC)
5.TBC:患者には、生検に適した病変部位があり、治療施設のガイドラインにより腫瘍生検の候補となる必要がある。基線時及び本研究の治療期間中に、患者は新たな腫瘍生検を希望する必要がある
6.抗BCL-2剤又は関連化合物(すなわち、同じMOA)による前治療は許容される。
【0176】
除外基準
本治験に適格な患者は、以下のいずれかの基準に該当してはならない:
除外基準
本治験に適格な患者は、以下のいずれかの基準に該当してはならない:
1.他のモノクローナル抗体に対する重度の過敏症反応の既往歴(ADCと同じ骨格モノクローナル抗体、又は該当する場合は同じIOモノクローナル抗体)
2.ADCと同様にモノクローナル抗体のバックボーンに対する血清ADA陽性の既知の病歴
3.中枢神経系(CNS)疾患のみ(該当する場合)
4.症候性のCNS転移又は軟髄膜疾患のエビデンス(脳MRI又は以前に確認された脳脊髄液(CSF)細胞診)
以前に治療を受けた無症候性のCNS転移は、最終治療(全身性抗がん療法及び局所放射線療法)が投与開始日の8週間以上前に完了していれば、許容される。ただし、低用量ステロイドの漸減は許容される
孤立性硬膜転移のある患者が適格である
5.臨床検査値が以下の範囲外である患者:
・血清クレアチニン≦1.5×ULN.血清クレアチニン>1.5の場合、患者が適格であるためには、クレアチニンクリアランス(Cockcroft-Gault式を用いて算出又は測定)>60mL/分/1.73m2でなければならない
・総ビリルビン>基準値上限の1.5倍。ただし、総ビリルビン>基準値上限の3.0倍又は直接ビリルビン>基準値上限の1.5倍の場合は除外
・アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)が基準値上限の3倍を超える患者。ただし、肝臓に腫瘍浸潤が認められ、ALTが基準値上限の5倍を超える患者は除外
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が基準値上限の3倍を超える患者。ただし、肝臓に腫瘍浸潤を認める患者は除く。ASTが基準値上限の5倍を超える患者は除外
・好中球絶対数<1.0×10e9/L
・血小板数<75×10e9/L
・ヘモグロビン(Hgb)<8g/dL
・適当な補充療法にもかかわらず、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はリン酸塩の異常>CTCAEグレード1
6.心機能障害又は臨床的に重大な心疾患。以下のいずれかを含む:
・治療を要するうっ血性心不全(NYHAグレードIII又はIV)又は収縮期血圧(SBP)160mmHg及び/又は拡張期血圧(DBP)100mmHgで定義される制御不良の高血圧等の臨床的に重大な及び/又は制御不良の心疾患。降圧薬を併用する又は併用しない
・QTcF>470msec(女性)、又はFridericia補正を用いたスクリーニング心電図上の男性>450msec(先天性QT延長症候群)
・3ヵ月未満の急性心筋梗塞又は不安定狭心症(治験登録の数ヵ月前)
・臨床的に重大な心機能障害を伴う弁膜症
・症候性心膜炎
・心筋症の既往又は進行中
・左室駆出率(LVEF)<40%は心エコー図(ECHO)又は多重ゲート収集(MUGA)スキャンにより測定
・心室性、上室性、結節性不整脈、伝導異常等、臨床的に重大な心不整脈の既往又は存在(TBC修飾語:ペースメーカーが必要な、又は薬物療法で制御されない)
・不安定な心房細動の存在(心室応答速度>100bpm)
注:心房細動が安定している患者は、他の心臓除外基準を満たさない限り登録しうる
・完全左脚ブロック(LBBB)、二束ブロック
・臨床的に重要なすべてのST部分及び/又はT波異常
7.以前のIO療法に起因する毒性のため、治療を中止した。当該毒性が前治療の中止に至らなかったことを条件に、薬剤関連の皮膚発疹又は内分泌障害の補充療法で適当に治療された患者は除外しない
8.活動性、既知又は疑いのある自己免疫疾患のある患者白斑、I型糖尿病、ホルモン補充のみが必要な自己免疫疾患による残存性甲状腺機能低下症、全身治療を必要としない乾癬、又は外的誘因がなければ再発しないと予想される疾患を有する被験体は、誘因が回避できる場合に限り、登録を許可される
9.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、活動性B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)感染
検査は、適格であることが必須ではない。患者が未診断のHCV(例えば、注射薬の使用歴)であるリスクがある場合には、HCV検査を考慮すべきである
10.本研究で治療されたもの以外の悪性疾患。この除外の例外としては、治癒的に治療され、試験治療前2年以内に再発しなかった悪性腫瘍、基底細胞がん及び扁平上皮皮膚がんを完全に切除されたもの、無痛性と考えられ、治療を必要としなかった悪性腫瘍、上皮内がんを完全に切除されたもの等がある
11.治験薬の初回投与から2週間以内の全身抗がん療法。マイトマイシンCやニトロソウレア等、重大な遅発性毒性を有する細胞毒性薬については、4週間をウォッシュアウト期間とする。CTLA-4拮抗薬等の抗がん免疫療法を受けている患者には、休薬期間として6週間が適応とされる
12.活動性下痢CTCAEグレード2又は慢性下痢を伴う疾患(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患等)
13.CTCAEグレード2の毒性(脱毛症、末梢神経障害及び耳毒性を除く、CTCAEグレード3以上の場合は除外)の存在
14.全身性抗生物質療法が必要な活動性感染症
15.上部消化管の活動性潰瘍又は消化管出血
16.活動性出血性素因又は経口抗ビタミンK薬(低用量ワルファリン及びアスピリン又は同等薬を除く、INRが2.0以下の場合)
17.活動性自己免疫疾患、自己免疫に起因すると考えられる運動神経障害、及び他の中枢神経系自己免疫疾患
18.免疫抑制剤の併用又は副腎皮質ホルモン剤の長期投与が必要な患者:
副腎機能低下症の状況における補充用量ステロイド
ステロイド外用剤、吸入剤、点眼剤、点眼剤
19.治験薬投与開始後4週間以内に感染症(インフルエンザ、水痘、肺炎球菌等)に対する生ワクチンの使用(生ワクチンの使用は、治験期間を通して認められない)
20.造血コロニー刺激因子(G-CSF、GMCSF、M-CSF等)の使用(治験薬投与開始前2週間未満)。赤血球系刺激剤は、治験薬の初回投与の少なくとも2週間前に開始されていれば使用可能とする
21.治験薬の初回投与から2週間以内の大手術(NB縦隔鏡検査、中心静脈アクセス装置の挿入、又は栄養チューブの挿入は大手術とはみなされない)
22.治験薬の初回投与から2週間以内の放射線療法。ただし、骨痛又は局所疼痛を伴うtun1又は腫瘤の治療等、限られた照射野に対する緩和的放射線療法は除く。治療に対する反応の評価をするため、患者は放射線照射を受けていない測定可能な病変を残していなければならない
23.治験薬の初回投与から2週間以内に介入的な治験への参加
24.安全性の懸念、臨床試験手順の遵守又は試験結果の解釈により、治験責任医師の判断で患者の臨床試験への参加を妨げる可能性のある医学的状態
25.性的に活発な男性で、性交時及び治験薬投与中止後90日間はコンドームを使用しない限り、この期間は子供の父親になることはない。精液介在薬物送達を防ぐために、精管切除を受けた男性でもコンドームを用いる必要がある。
【0177】
26.妊婦又は授乳中の女性で、妊娠後から妊娠終了までの女性の状態を妊娠と定義し、hCG検査で陽性であることが確認されたもの。内分泌腫瘍のまれな症例では、hCG値が正常範囲を超えていることがあるが、患者に妊娠はみられない。当該症例では、妊娠を除外するために、血清hCG検査(上昇を伴わない結果)及び膣/骨盤の超音波検査を再度実施すべきである。結果を確認し、Medical Referenceと協議した上で、これらの患者を本治験に組み入れてよい
27.妊娠する可能性のある女性。ただし、治験薬投与期間中及び治験薬の最終投与後90日間、極めて有効な避妊法を用いていない場合は、生理的に妊娠可能なすべての女性と定義する。効果の高い避妊方法としては以下があげられる:
完全な禁煙(これが患者の望ましい通常の生活様式と一致している場合。定期的な禁煙(例えば、カレンダー、排卵、症状体温、排卵後の方法)及び禁断は、避妊方法として受け入れられない
女性の不妊手術(子宮摘出を伴う又は伴わない外科的両側卵巣摘出術を受けたことがある)、子宮全摘出術又は卵管結紮術を、試験治療を受ける6週間以上前に受けたことがある。卵巣摘出術単独の場合、フォローアップホルモンレベルの評価により女性の生殖状態が確認された場合のみ
男性の不妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヵ月前)。女性患者の場合、精管結紮した男性パートナーがその患者の唯一のパートナーである必要がある
経口(エストロゲン及びプロゲステロン)の使用、子宮内避妊器具(IUD)又は子宮内避妊器具(IUS)の注射又は移植された併用ホルモン療法、又は同等の効果(失敗率<1%)を有する他のホルモン避妊法(例えば、ホルモン膣輪又は経皮的ホルモン避妊法)
経口避妊薬を用いる場合、女性は治験薬投与前に最低3ヵ月間、同じ錠剤を服用していたはずである
12ヵ月間の自然(自然)無月経で、適当な臨床プロファイル(例えば、適当な年齢、血管運動症状の既往歴)が認められた女性、又は少なくとも6週間前に両側卵巣摘出術(子宮摘出術を伴う又は伴わない)又は卵管結紮術を受けた女性は、妊娠の可能性がないとみなされる。卵巣摘出術単独の場合、フォローアップホルモンレベルの評価により女性の生殖状態が確認された場合にのみ、出産の可能性はないと考えられる。
【0178】
用量制限毒性及び用量変更ガイドライン
用量制限毒性(DLT)とは、21日間のDLT評価期間中に、治験責任医師の判断により、少なくともADCと関連する可能性があると考えられる以下の事象のいずれかと定義される。原疾患又は他の病因に明らかに直接関連する毒性は、この定義から除外される。
【0179】
DLTの定義
血液学的DLTは以下のように定義される:
・グレード3又は4の発熱性好中球減少症又は好中球減少症感染症
・7日を超えて持続するグレード4の好中球減少
・グレード4の血小板減少症
・臨床的に重大な出血を伴うグレード3の血小板減少症、又は血小板輸血を要するグレード3の血小板減少症
・輸血が必要なグレード3の貧血
・グレード4の貧血
非血液学的DLTは、以下のように定義される:
・グレード4の非血液学的毒性
・最適な支持療法又は医学的介入にもかかわらず、グレード3の非血液学的毒性が3日を超えて持続
・Hyの法則(AST及び/又はALTが基準値上限の3倍を超え、ビリルビンが基準値上限の2倍を超え、胆汁うっ滞(血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性<基準値上限の2倍)の初期所見がなく、トランスアミナーゼ及び血清総ビリルビンの上昇(ウイルス性A型、B型、C型肝炎、既存又は急性肝疾患、観察された損傷を引き起こす可能性のある他の薬物等)の併用を説明できるような他の理由がない場合)
・グレード3以上の過敏症/注入に伴う反応(前投薬にかかわらず)。グレード3の過敏症/注入に関連した反応が発現後8時間以内に適当な臨床管理により消失した場合は、DLTとはみなされない
・駆出率が基線から40%未満又は20%を超える低下
・グレード4の腫瘍崩壊症候群(グレード3のTLSは、不可逆的な末端臓器損傷につながらない限りDLTを構成しない)
以下の病態は非血液学的DLTとはみなされない:
・7日以内のグレード3の疲労
・グレード3の下痢、悪心又は嘔吐で、治療に反応し、グレード3の有害事象では3日以内に1グレード以上改善し、グレード1以下の有害事象では7日以内に改善する前投薬がない場合
・AST又はALTの上昇が基準値上限の5倍以上であるが、基準値上限の8倍以下で、ビリルビンの上昇を伴わず、発症後5日以内にグレード2以下に低下するもの
・膵炎の臨床徴候又は症状が認められない場合、グレード3の血清リパーゼ又は血清アミラーゼを7日間以下。
【0180】
適当な医学的管理により回復又は安定するDLTを経験した患者は、治験依頼者と協議の上、治験責任医師の判断により治療を継続してよい。
【0181】
用量変更
特定の毒性の管理のためのガイドラインを以下の表に詳述する。表に規定されていない事象の管理については、以下を治験責任医師へのガイダンスとすることができる:
【0182】
【実施例3】
【0183】
方法
増加したADCx19濃度に曝露(96時間)した細胞株のMTT増殖アッセイ及びIC50の算出。ピアソン相関(r):IC50と細胞表面CD19発現レベル(量子単純細胞ミクロスフェアによる絶対蛍光定量;PMID 29298756からのデータ)及びRNAレベル(PMID 29066507からのIllumina HT-12アレイ及びHTG EdgeSeq Oncology Biomarker Panelデータ)について計算した。96時間でのシナジーは、2つの活性化B細胞様(ABC)DLBCL(OCI‐LY‐3,TMD8)と2つの胚中心(GCB)DLBCL(VAL,WSU‐DLCL2)に対するChou‐Talalalay組み合わせ指数(CI)(相乗作用CI<0.9,相加作用CI=0.9~1.1,拮抗作用/無効CI>1.1)により評価した。
【0184】
結果
ADCx19 IC50中央値は、48のB細胞リンパ腫株で4pM(95%C.I、2-10pM)であり、CD19発現パターンに基づいて予測されるように、9つのT細胞リンパ腫株(3.5nM;95%C.I、0.8-11nM)で800倍以上高かった。B細胞リンパ腫に焦点を当てると、インビトロ活性は、細胞表面タンパク質レベル[(絶対定量、n=40、r-0.37 P0.02;非絶対定量、n=42、-0.48、P0.001)及びRNAレベル[(アレイ、n=39、-0.69 P<0.001;HTG、n=31、-0.73 P0.001)]で測定した標的発現と相関した。DLBCLでは、BCL2及びMYC転座又はTP53不活化の存在はADCx19に対する感受性に影響を及ぼさなかった。
次いで、ADCx19をGCB及びABCDLBCL細胞株中でBCL2阻害剤ベネトクラクスと組み合わせた。
ADCx19とベネトクラクスを併用したところ、すべての細胞株で相乗作用が得られた。
【0185】
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子:CVCL_8800
【0186】
【表4】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子:CVCL_A442
【0187】
【表5】
細胞株: VAL
RRID細胞受入識別子:CVCL_1819
【0188】
【表6】
細胞株: WSU-DLCL2
RRID細胞受入識別子:CVCL_1902
【0189】
【表7】
結論
ADCx19のインビトロ抗リンパ腫活性における強力な単剤は、その標的発現と相関し、現在進行中の再発・難治性DLBCLを対象とした臨床試験を支持する。新規ベネトクラクスの併用データは、臨床的な相乗効果を示す。
【配列表】