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特許7590100位置決め具及び位置決め具付きコンベックスルール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】位置決め具及び位置決め具付きコンベックスルール
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20241119BHJP
   G01B 3/1089 20200101ALI20241119BHJP
【FI】
E04G21/18 A
G01B3/1089
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023178528
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2023159311の分割
【原出願日】2023-09-24
【審査請求日】2024-10-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523364195
【氏名又は名称】佐々木 正見
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正見
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/87502(WO,A1)
【文献】実開昭58-144204(JP,U)
【文献】実開平1-174193(JP,U)
【文献】実開平5-73502(JP,U)
【文献】実開昭60-146801(JP,U)
【文献】実開昭60-176101(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/24234(US,A1)
【文献】米国特許第1988095(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/18
G01B 3/1089
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベックスルールの測定テープに取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、
その横断面が円弧状の板であり、取り付け時にその凹み面を前記測定テープの裏面に接触させてかつ前記測定テープの幅方向の両側からはみ出させて配置される湾曲板と、
前記湾曲板に繋げられ、取り付け時に前記測定テープの幅方向外側に前記測定テープからはみ出すはみ出し部であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠きが形成されているはみ出し部と、
前記湾曲板の凹み面に対向し、取り付け時に前記湾曲板とで前記測定テープを挟んで、前記湾曲板を前記測定テープに押し付ける押付部と、
を備え、
前記湾曲板、前記はみ出し部及び前記押付部は、一体的に形成された弾性体であり、
前記湾曲板の曲率半径は、前記測定テープの曲率半径に比べて小さい、
位置決め具。
【請求項2】
前記はみ出し部及び前記押付部は、透明性を有し、
前記はみ出し部及び前記押付部の一方又は両方には、前記少なくとも1つの切り欠きの位置の目印が付されている、
請求項に記載の位置決め具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置決め具と、
測定テープを有するコンベックスルールと、
を備え、
前記位置決め具は、前記測定テープに取り付けられる、
位置決め具付きコンベックスルール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め具及び位置決め具付きコンベックスルールに関する。
【背景技術】
【0002】
土建工事の初期段階では、作業者が、標高を測定するとともに、地面に打ち付けた杭の側面に測定結果に基づく標高位置の目印として釘を打つことで、その地面上での標高位置を明確することが行われる(非特許文献1参照)。
ここで、一般的に、杭の高さはせいぜい作業者の膝の高さ程度、すなわち、50cm程度であり、釘は地面から一例として5cm~15cmの高さの位置に打ち付けられる。そして、この工程は、例えば、(1)作業者が一方の手に持ったコンベックスルールの測定テープの爪を杭の上端面に引っ掛けつつ測定テープを杭の側面に沿わせ、(2)目標位置に目を近づけて他方の手で持った釘で目標位置に凹み(仮印)を付し、(3)一方の手に持ったコンベックスルールをハンマーに換えて、仮印に他方の手に持った釘の先端を当てたまま、釘を杭の目標位置に打つ(固定する)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ジョウ所長のblog 土木技術者のサポートっ 水準測量の入門編 5つのテーマをわかりやすく解説,[online],[令和5年8月20日検索],インターネット<URL:https://doboku-support.com/suijyunn_sokuryou/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のとおり、一般的に行われる目標位置に釘を打つ工程では、一例として、地面から5cm~15cmの高さの位置で測定テープの目盛りを見ながら仮印を付すことが必要となり得る。作業者は屈んだ姿勢で測定テープに目(顔)を近づけてこの作業を行う必要があるが、実際にこの作業を行うことは作業者に多くの労力を加担する。
【0005】
本発明は、コンベックスルールを用いて測定対象物(一例として杭)の目標位置を測定して軸体(一例として釘)を固定する際に、軸体の位置決めを容易にすることができる位置決め具の提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の位置決め具は、
コンベックスルールの測定テープに取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、
取り付け時に前記測定テープの裏面に接触する湾曲板と、
前記湾曲板に繋げられ、取り付け時に前記測定テープの幅方向外側に前記測定テープからはみ出すはみ出し部であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠きが形成されているはみ出し部と、
前記湾曲板を前記測定テープに押し付ける押付部と、
を備える。
【0007】
第2態様の位置決め具は、
コンベックスルールの測定テープに取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、
取り付け時に前記測定テープの裏面に接触する湾曲板と、
前記湾曲板に繋げられ、取り付け時に前記測定テープの幅方向外側に前記測定テープからはみ出すはみ出し部であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠きが形成されているはみ出し部と、
前記湾曲板を前記測定テープに押し付ける押付部と、
を備え、
前記湾曲板、前記はみ出し部及び前記押付部は、一体的に形成された樹脂製の弾性体であり、
前記押付部は、前記湾曲板の凹み面に対向し、取り付け時に前記湾曲板とで前記測定テープを挟む。
【0008】
第3態様の位置決め具は、
第2態様の位置決め具であって、
前記はみ出し部及び前記押付部は、透明性を有し、
前記はみ出し部及び前記押付部の一方又は両方には、前記少なくとも1つの切り欠きの位置の目印が付されている。
【0009】
第4態様の位置決め具は、
第3態様の位置決め具であって、
前記少なくとも1つの切り欠きは、複数の切り欠きであり、
前記はみ出し部は、(1)それぞれに前記複数の切り欠きの一部が形成され、前記測定テープの幅方向外側の両方に対を成してはみ出す、第1はみ出し部及び第2はみ出し部で構成され、(2)前記第1はみ出し部及び前記第2はみ出し部は、前記測定テープの長さ方向から見て、互いに開口側を向けるようにU字状に屈曲しており、
前記押付部は、その両端で前記第1はみ出し部又は前記第2はみ出し部に繋がっており、
前記目印は、前記押付部における前記第1はみ出し部側の部位から第2はみ出し部側の部位に亘って付されている。
【0010】
第5態様の位置決め具は、
コンベックスルールの測定テープに取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、
取り付け時に前記測定テープの裏面に接触する湾曲板と、
前記湾曲板に繋げられ、取り付け時に前記測定テープの幅方向外側に前記測定テープからはみ出すはみ出し部であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠きが形成されているはみ出し部と、
前記湾曲板を前記測定テープに押し付ける押付部と、
を備え、
前記湾曲板及び前記はみ出し部は、一体的に形成され、非磁性かつ樹脂製の弾性体であり、
前記押付部は、前記湾曲板の凸面に固定された永久磁石であって、取り付け時に前記測定テープとで前記湾曲板を挟む。
【0011】
第6態様の位置決め具は、
コンベックスルールの測定テープに取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、
取り付け時に前記測定テープの裏面に接触する湾曲板と、
前記湾曲板に繋げられ、取り付け時に前記測定テープの幅方向外側に前記測定テープからはみ出すはみ出し部であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠きが形成されているはみ出し部と、
前記湾曲板を前記測定テープに押し付ける押付部と、
を備え、
前記湾曲板及び前記押付部は、一体的に形成され、樹脂及び磁性体を含む弾性体であり、取り付け時に前記測定テープに磁力を作用させて吸着する。
【0012】
一態様の位置決め具付きコンベックスルールは、
第1態様~第6態様のいずれか一態様に記載の位置決め具と、
測定テープを有するコンベックスルールと、
を備え、
前記位置決め具は、前記測定テープに取り付けられる。
【発明の効果】
【0013】
第1態様~第6態様の位置決め具は、コンベックスルールを用いて測定対象物の目標位置を測定して軸体を固定する際に、軸体の位置決めを容易にすることができる。
一態様の位置決め具付きコンベックスルールは、測定対象物の目標位置を測定して軸体を固定する際に軸体の位置決めを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の位置決め具付きコンベックスルールを用いて杭の目標位置を測定して当該目標位置に釘を打つ方法を説明する模式図である。
図2A】第1実施形態の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図2B図2Aの2B-2B断面図である。
図3A】第2実施形態の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図3B図3Aの3B-3B断面図である。
図4A】第3実施形態の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図4B図4Aの4B-4B断面図である。
図4C】第3実施形態の位置決め具付きコンベックスルールの図であって、位置決め具が位置決め位置にセットされた場合の断面図である。
図5A】第4実施形態の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図5B図5Aの5B-5B断面図である。
図6A】第1変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6B】第2変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6C】第3変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6D】第4変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6E】第5変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6F】第6変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6G】第7変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
図6H】第8変形例の位置決め具付きコンベックスルールの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪概要≫
以下、複数の実施形態及び複数の変形例について説明する。2つ目以降の実施形態及び複数の変形例の説明においては、先の実施形態等で説明された構成要素と同一又は類似の機能を有する構成要素について説明する場合、先の実施形態等で説明された構成要素と同様の符号を付し適宜説明を省略する点に留意されたい。
【0016】
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態の位置決め具付きコンベックスルール20(図1参照)の機能及び構成、使用方法並びに効果について説明する。以下の説明では、コンベックスルールをCRと表記する。また、位置決め具付きコンベックスルールをACRと表記する。そのため、位置決め具付きコンベックスルール20は、ACR20と表記する。
【0017】
<第1実施形態のACRの機能及び構成>
図1は、ACR20を用いて杭の目標位置を測定して当該目標位置に釘を打つ方法を説明する模式図である。図2Aは、ACR20の部分拡大図である。図2Bは、図2Aの2B-2B断面図である。
ACR10は、図1に示されるように、CR10と、位置決め具100とを備えている。
【0018】
〔CR〕
CR10は、図1に示されるように、本体12と、測定テープ14と、爪16とを備えている。本体12は、箱状で、その内部に巻かれた測定テープ14を収容する。測定テープ14は、磁性を有する金属製のテープであり、その横断面は円弧状に形成されている(図2B参照)。また、測定テープ14は、その表面に目盛りが付されており(図1及び図2A参照)、その表面は凹み面(その裏面は凸面)となっている。爪16は、測定テープ14の先端部に固定されており、測定対象物(図1の例の場合は杭)の基準位置(端面)に引っ掛けられるように測定テープに対して直角面を形成している。
【0019】
〔位置決め具〕
位置決め具100は、図1図2A及び図2Bに示されるように、測定テープ14に取り付けられて、杭の目標位置に釘(図示省略、軸体の一例)を固定する際に用いられる。ここで、図1の例における目標位置とは、測定テープ14の目盛りが13.6(cm)の位置である。
位置決め具100は、図2A及び図2Bに示されるように、湾曲板110と、はみ出し部120と、押付部130とを備えている。
湾曲板110、はみ出し部120及び押付部130は、一例として、一体的に形成された樹脂製の弾性体である。また、湾曲板110、はみ出し部120及び押付部130を構成する樹脂は、一例として、透明性を有する。ここでいう、透明性を有するとは、測定テープ14の表面に重ねて配置された場合に、ユーザーにその目盛りを視認させるほどの光透過性を有することを意味する。
【0020】
(湾曲板)
湾曲板110は、平面視にて(その厚み方向から見て)矩形状で(図2A参照)、その横断面が円弧状の板である(図2B参照)。湾曲板110は、図2Bに示されるように、位置決め具100が測定テープ14に取り付けられた状態において(取り付け時に)、測定テープ14の裏面に接触するような形状を有する。より具体的には、湾曲板110は、その凹み面側を測定テープ14の裏面に接触させてかつ測定テープ14の幅方向の両端からはみ出して配置される(図2A及び図2B参照)。湾曲板110の曲率半径は、測定テープ14の曲率半径に比べて小さく設定されている(図2B参照)。
【0021】
(はみ出し部)
はみ出し部120は、押付部130を介して湾曲板110に繋げられており、取り付け時に測定テープ14の幅方向外側に測定テープ14からはみ出した平板の部分であって(図2A及び図2B参照)、釘(図示省略)が嵌る少なくとも1つの切り欠き122が形成されている部分である。本実施形態では、少なくとも1つの切り欠き122の数量は一例として1つであり、切り欠き122は測定テープ14の幅方向の外側から内側に亘って徐々に幅が狭くなるように形成されている。具体的には、切り欠き122の形状は、V字状になっている。別の見方をすると、はみ出し部120は、平面視にて湾曲板110よりも幅が狭い矩形状の平板の長さ方向の中央に、V字状の切り欠き122が形成された平板であるといえる。
【0022】
(押付部)
押付部130は、平面視にて(その厚み方向から見て)矩形状の平板である(図2A及び図2B参照)。押付部130は、測定テープ14の表面に対向して配置される。押付部130は、測定テープ14の幅方向の一端で湾曲板110と繋げられており、他端ではみ出し部120に繋げられている(図2B参照)。
押付部130と湾曲板110との境界及びその付近部分は、曲げ加工が施されており、押付部130は、湾曲板110とで測定テープ14を挟んでいる。また、位置決め具100は単独の状態(測定テープ14を挟んでいない状態)では、押付部130は、湾曲板110の凹み面に対向している。これに対して、押付部130とはみ出し部120とは、一方が他方の延長された平面を構成している。
押付部130と湾曲板110との境界及びその付近部分における曲げ加工が施された部分BP(図2B参照)は、押付部130及び湾曲板110の一方を他方に押し付けるための板ばねを構成している。そのため、押付部130は、その裏面で測定テープ14の幅方向両端に接触しつつ当該板ばねを利用することで、湾曲板110を測定テープ14に押し付ける機能を有する。
【0023】
以上が、第1実施形態のACR20の機能及び構成についての説明である。
【0024】
<第1実施形態のACRの使用方法>
次に、第1実施形態のACR20の使用方法、具体的には、ACR20を用いて杭(図1参照)の目標位置を測定して当該目標位置に釘を打つ方法について、図1を参照しながら説明する。
【0025】
まず、作業者は、地面に杭を立てる。
次いで、作業者は、測量器具(図示省略)を用いて水平測量を行う。これに伴い、杭に釘を打つ目標位置が明確になる。
次いで、作業者は、本体12から測定テープ14を引き出す。そして、位置決め具100の切り欠き122の先端PEを目標位置に合わせる(位置決め具100を目標位置以外の位置から目標位置に移動させる)。
次いで、作業者は、一方の手にACR20を保持しながら、杭の上端(上面)にACR20の爪16を引っ掛けて、測定テープ14を杭の側面に沿わせる。そして、作業者は、もう一方の手に保持した釘を切り欠き122に嵌め込ませて、釘の先端で杭に接触跡を付ける。
最後に、作業者は、一方の手に保持するACR20をハンマー(図示省略)に持ち替え、もう一方の手で保持した釘を再度接触跡に合わせて、ハンマーで釘を杭に打ち付けて、目標位置に釘を打つ方法が終了する。
【0026】
以上が、第1実施形態のACR20の使用方法についての説明である。
【0027】
<第1実施形態の効果>
次に、第1実施形態の効果について説明する。
【0028】
〔第1の効果〕
第1実施形態の位置決め具100は、図1図2A及び図2Bに示されるように、湾曲板110と、はみ出し部120と、押付部130とを備えている。
湾曲板110は、その横断面が円弧状の板であり、取り付け時に、測定テープ14の裏面にその凹み面を接触させる。押付部130は、その裏面で測定テープ14の幅方向両端に接触しつつ板ばねを利用することで、湾曲板110を測定テープ14に押し付ける。以上の構成により、湾曲板110は、測定テープ14に動かないように取り付けられる。
また、はみ出し部120は、取り付け時に測定テープ14の幅方向外側に測定テープ14からはみ出し(図2A及び図2B参照)、釘(図示省略)が嵌るV字状の切り欠き122が形成されている。以上の構成により、V字状の切り欠き122の先端PEが切り欠き122の位置の目印となる。
したがって、第1実施形態の位置決め具100は、CR10を用いて杭の目標位置を測定して釘を固定する際に、釘の位置決めを容易にすることができる。これに伴い、第1実施形態のACR20は、杭の目標位置を測定して釘を固定する際に釘の位置決めを容易にすることができる。
【0029】
〔第2の効果〕
また、第1実施形態の場合、湾曲板110、はみ出し部120及び押付部130は、一体的に形成された樹脂製の弾性体である。また、押付部130は、湾曲板110の凹み面に対向し、取り付け時に湾曲板110とで測定テープ14を挟む(図2B参照)。
したがって、第1実施形態の位置決め具100は、CR10を用いて杭の目標位置を測定して釘を固定する際に、弾性変形して、測定テープ14の長手方向に沿った状態で測定テープ14に動かないように取り付けられる。
【0030】
以上が第1実施形態の効果についての説明である。また、以上が第1実施形態についての説明である。
【0031】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態のACR20A(図3A及び図3B参照)の機能及び構成、使用方法並びに効果について説明する。ここでは、第2実施形態における第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0032】
<第2実施形態のACRの機能及び構成並びに使用方法>
図3Aは、ACR20Aの部分拡大図である。図3Bは、図3Aの3B-3B断面図である。ACR20Aは、図3A及び図3Bに示されるように、CR10と、位置決め具100Aとを備えている。
第2実施形態の位置決め具100Aは、第1実施形態の押圧部130(図2A及び図2B参照)に換えて、押圧部130Aを備えている。
押圧部130Aは、第1実施形態の押圧部130のように、測定テープ14の表面の全面を覆うのではなく、測定テープ14の幅方向の一端側の端部のみを覆う。そして、位置決め具100Aは、曲げ加工が施された部分BPで測定テープ14の幅方向の一端側の端部を押圧しながら挟んで測定テープ14に取り付けられる。
【0033】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果は、基本的に第1実施形態の場合と同様である。
【0034】
以上が、第2実施形態についての説明である。
【0035】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態のACR20B(図4A図4B及び図4C参照)の機能及び構成、使用方法並びに効果について説明する。ここでは、第3実施形態における第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
<第3実施形態のACRの機能及び構成>
図4Aは、ACR20Bの部分拡大図である。図4Bは、図4Aの4B-4B断面図である。図4Cは、ACR20Bの図であって、位置決め具100Bが位置決め位置にセットされた場合の断面図である。
第3実施形態の位置決め具100Bは、図4A及び図4Bに示されるように、押圧部130の幅方向外側の両方に、対を成すはみ出し部120を備えている。ここで、一方のはみ出し部120を第1はみ出し部120B1、他方のはみ出し部120を第2はみ出し部120B2とする。第1はみ出し部120B1及び第2はみ出し部120B2は、それぞれ、押圧部130の幅方向の両側において左右対称の形状を有している。なお、第1はみ出し部120B1の構成は、基本的に第1実施形態のはみ出し部120と同等の構成である。
また、位置決め具100B(図4A及び図4B参照)は、第1実施形態の湾曲板110に替えて、湾曲板110Bを備えている。湾曲板110Bは、第1はみ出し部120B1における切り欠き122の開口側端部から第2はみ出し部120B2における切り欠き122の開口側端部に亘る幅を有する。
湾曲板110Bの一端は、第2はみ出し部120B1の一端に繋がっており、両者の境界は曲げ加工が施された部分BPを形成している。これに対して、湾曲板110Bの他端は、第1はみ出し部120B1における切り欠き122の開口側端部と直線状に接触している。そして、この接触部分は、例えばテープ(図示省略)等により開口しないようにされている。
【0037】
<第3実施形態のACRの使用方法>
第3実施形態の位置決め具100Bは、図4Cに示されるように、測定テープ14の幅方向にスライドさせて位置決め具100Bの幅方向端部に測定テープ14を接触させて幅方向の位置が定められる。ここで、図4Cは、位置決め具100Bを幅方向の一方側の端部に測定テープ14を接触させた例であるが、その逆側である他方側の端部に測定テープ14を接触させることも可能である(図示省略)。
【0038】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の位置決め具100Bは、測定テープ14の幅方向の一方側及び他方側に位置を定めて利用可能である。そのため、位置決め具100Bは、杭における釘を打つ場所により作業者が使い易い位置にセットすることができる。
第3実施形態の他の効果は、基本的に第1実施形態の場合と同様である。
【0039】
以上が、第3実施形態についての説明である。
【0040】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態のACR20C(図5A及び図5B参照)の機能及び構成、使用方法並びに効果について説明する。ここでは、第4実施形態における第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
<第4実施形態のACRの機能及び構成並びに使用方法>
図5Aは、ACR20Cの部分拡大図である。図5Bは、図5Aの5B-5B断面図である。
第5実施形態の位置決め具100C(図5A及び図5B参照)は、第1実施形態の押圧部130(図2A及び図2B参照)に替えて、押圧部130Cを備えている。押圧部130Cは、湾曲板110と同様の湾曲形状を有し、湾曲板110の凸面に固定された永久磁石であって、取り付け時に測定テープ14とで湾曲板110を挟む(図5B参照)。なお、湾曲板110及びはみ出し部120は、一体的に形成され、非磁性かつ樹脂製の弾性体である。
【0042】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の位置決め具100Cは、測定テープ14とで湾曲板110を挟む押圧部130Cの磁力により湾曲板110を測定テープ14に位置決めする。そのため、第1~第3実施形態の場合とは異なり、機械的な力(具体的にはばね力)を利用して測定テープ14に取り付けられない。そのため、第4実施形態の位置決め具100Cは、第1~第3実施形態の場合に比べて機械的に高耐久性を有する。
第3実施形態の他の効果は、基本的に第1実施形態の場合と同様である。
【0043】
以上が、第4実施形態についての説明である。
【0044】
≪複数の変形例≫
以上のとおり、前述の第1~第4実施形態を参照しながら本発明について説明したが、本発明の技術的範囲に含まれる形態はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、以下の複数の変形例も本発明の技術的範囲に含まれる。また、本発明の技術的範囲に含まれる形態には、前述の第1~第4実施形態及び後述する複数の変形例の一部を他の形態の一部に変更したものであってもよい。
【0045】
<第1変形例>
図6Aは、第1変形例のACR20Dの部分拡大図である。第1変形例のACR20Dを構成する位置決め具100Dは、第1実施形態の位置決め具100(図2A参照)の構成をそっくりそのまま備えたうえで、切り欠き122の先端PEの位置に直線状の目印LNがはみ出し部120の一部から押圧部130の幅方向の全域に印刷されている。
したがって、目印LNを測定テープ14の目盛り線に重ねることで位置決めがし易い。第1変形例のその他の効果は、第1実施形態等の場合と同様である。
【0046】
<第2変形例>
図6Bは、第2変形例のACR20Eの部分拡大図である。第2変形例のACR20Eを構成する位置決め具100Eは、第1変形例の位置決め具100D(図6A参照)の切り欠き122及び目印LNがそれぞれ切り欠き122E及び目印LNEに変更されている。具体的には、切り欠き122EはV字状からU字状に変更されており、目印LNEははみ出し部120の一部から押圧部130の幅方向の中央付近までに印刷されている。
第2変形例の効果は、第1変形例の場合と同様である。
【0047】
<第3変形例>
図6Cは、第3変形例のACR20Fの部分拡大図である。第3変形例のACR20Fを構成する位置決め具100Fは、第2変形例の位置決め具100E(図6B参照)の構成をそっくりそのまま備えたうえで、測定テープ14の長さ方向における、切り欠き122E及び目印LNEの一方側及び他方側に、それぞれ切り欠き122F1及び目印LNF1並びに切り欠き122F2及び目印LNF2が形成されている。切り欠き122F1は一例として切り欠き122Eよりも幅広のU字状の切り欠きで、切り欠き122F2は一例として切り欠き122Eよりも幅狭のU字状の切り欠きである。
第3実施形態の位置決め具100F、幅の異なる3種類の切り欠き122E、122F1、122F2が形成されている。そのため、第2実施形態の場合に比べて、幅の異なる釘に対応できる。第3変形例の他の効果は、第2変形例の場合と同様である。
【0048】
<第4変形例>
図6Dは、第4変形例のACR20Gの部分拡大図である。第4変形例のACR20Gを構成する位置決め具100Gは、第3変形例の位置決め具100F(図6C参照)の3つの切り欠き122E、122F1、122F2に換えて、測定テープ14の長さ方向に沿って切り欠かれた1つの切り欠き122Gとなっている。
ACR20Gは、太さの異なる釘を針に打つ場合に、釘が挟まる位置に応じて目印LNE、LNF1、LNF2が付されている。
第4変形例の効果は、第3変形例の場合と同様である。
【0049】
<第5変形例>
図6Eは、第5変形例のACR20Hの部分拡大図である。第5変形例のACR20Hを構成する位置決め具100Hは、第4実施形態のACR20C(図5A及び図5B参照)及び第3実施形態のACR20B(図4A及び図4B参照)の変形である。具体的には、第4実施形態のACR20Cのはみ出し部120が第3実施形態のACR20B(図4A及び図4B参照)のACR20Bのように、一対のはみ出し部120B1、120B2となっている。
第5変形例の効果は、第3実施形態及び第4実施形態の場合と同様である。
【0050】
<第6変形例>
図6Fは、第6変形例のACR20Iの部分拡大図である。第6変形例のACR20Iを構成する位置決め具100Iは、第2実施形態のACR20A(図3A及び図3B参照)の変形である。具体的には、第2実施形態のACR20Aの押付部130Aが対を成して測定テープ14の両側に挟められる。また、湾曲板110は、一対の押付部130Aを繋ぐ湾曲状の板ととともに2枚重ねとなっている。
第6変形例の効果は、第2実施形態の位置決め具100Aよりも測定テープ14から外れにくい。第6変形例の他の効果は、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様である。
【0051】
<第7変形例>
図6Gは、第7変形例のACR20Jの部分拡大図である。第7変形例のACR20Jを構成する位置決め具100Jは、第6実施形態のACR20I(図6F参照)の変形である。具体的には、第6実施形態のACR20Iのはみ出し部120が対を成して測定テープ14の両側に配置されている。
第7変形例の効果は第5変形例の場合と同様である。また、第7変形例の他の効果は第6変形例の場合と同様である。
【0052】
<第8変形例>
図6Hは、第8変形例のACR20Kの部分拡大図である。第8変形例のACR20Kを構成する位置決め具100Kは、第7実施形態のACR20J(図6G参照)の変形である。具体的には、第7実施形態のACR20Jの一対のはみ出し部120がそれぞれ厚み方向に2重に重ねられ、それぞれ幅方向の外側で屈曲されて両端がそれぞれ測定テープ14の幅方向の両端を超えて一対の押付部130Aと繋がっている。
第8変形例の効果は、第7変形例の場合と異なり、1枚のシートを折り曲げ加工することで製造できる。そのため、第8変形例の位置決め具100Kは、第7変形例の位置決め具100Jよりも安く製造できる。第8変形例の他の効果は、第7変形例の場合と同様である。
【符号の説明】
【0053】
10 コンベックスルール(CR)
12 本体
14 測定テープ
16 爪
20 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20A 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20B 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20C 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20D 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20E 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20F 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20G 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20H 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20I 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20J 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
20K 位置決め具付きコンベックスルール(ACR)
100 位置決め具
100A 位置決め具
100B 位置決め具
100C 位置決め具
100D 位置決め具
100E 位置決め具
100F 位置決め具
100G 位置決め具
100H 位置決め具
100I 位置決め具
100J 位置決め具
100K 位置決め具
110 湾曲板
110B 湾曲板
120 はみ出し部
120B1 第1はみ出し部
120B2 第2はみ出し部
130 押付部
130A 押付部
130C 押圧部
BP 曲げ加工が施された部分部分
LN 目印
LNE 目印
LNF1 目印
LNF2 目印
PE 先端

【要約】
【課題】本発明は、コンベックスルールを用いて測定対象物の目標位置を測定して軸体を固定する際に、軸体の位置決めを容易にすることができる位置決め具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の位置決め具100は、コンベックスルールCRの測定テープ14に取り付けられ、測定対象物の目標位置に軸体を固定する際に用いられる位置決め具において、取り付け時に測定テープ14の裏面に接触する湾曲板110と、湾曲板110に繋げられ、取り付け時に測定テープ14の幅方向外側に測定テープ14からはみ出すはみ出し部120であって、軸体が嵌る少なくとも1つの切り欠き122が形成されているはみ出し部120と、湾曲板110を測定テープ14に押し付ける押付部130と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H