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特許7590103保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット
(51)【国際特許分類】
   A45B 3/00 20060101AFI20241119BHJP
   A45B 1/04 20060101ALI20241119BHJP
   A45C 15/00 20060101ALI20241119BHJP
   A61H 3/06 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A45B3/00 B
A45B1/04 Z
A45C15/00 C
A61H3/06 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024112480
(22)【出願日】2024-07-12
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503067546
【氏名又は名称】角住 由美
(72)【発明者】
【氏名】角住 由美
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6259965(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3234834(JP,U)
【文献】特開2019-170988(JP,A)
【文献】米国特許第4662552(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第0726040(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 3/00
A45B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杖の重心部表面に第一接続具を設け、ウエストポーチの本体につながる、前記ウエストポーチ正面横にある腰ベルトの側腹部分に、前記第一接続具と対になる前記第二接続具を設け、前記杖の使用者が前記ウエストポーチを装着し、前記杖の前記第一接続具を、前記ウエストポーチの前記第二接続具に接続させ、前記ウエストポーチ装着者の前記側腹部分に、接続した前記杖が地面より浮いた状態で保持する事ができ、前記第一接続具がマグネットホック凸であり、前記第二接続具がマグネットホック凹であり、前記マグネットホック凸と前記マグネットホック凹が嵌合した状態で前記第二接続具を中心にして、前記第一接続具が接続しながら回転可能である事を特徴とする、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杖とウエストポーチに接続具が付いた、杖保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、白杖は視覚障がい者が常時片手で操作するものであり、両手を使う時は白杖を腋下に挟むか、白杖に接続したストラップを手首に通して白杖をぶら下げたまま両手を動かすなど、腕を上げる動作に制限がかかっていた。腋下に白杖を挟んだまま手を使う行為は、杖が落下しないよう気をつけながら、触覚で物の形を感じ、同時に周りの状況を聴覚で把握しなければならず、何重もの緊張を強いられていた。白杖を床に置いたり、壁に立てかけたりすれば両手を自由に動かす事もできるが、視覚障がい者にとって白杖を身体から離す事は、事故や怪我を招く危険な行為となる。
【0003】
視覚障がい者が着席する際は、白杖は折り畳みのタイプを使用するか、直杖の場合は、机や椅子などに対して平行あるいは直角に寝かせて置くという事が、視覚障がい者の常識となっている。介助者がいる時は、邪魔にならない場所に置いてもらったり、傘立てに挿したりする事もあるが、1人の場合は状況の把握が出来ない為、適切な置き場所が分からず周囲に介助を求めることになる。過去には、愛知県議会に傍聴に訪れた視覚障がい者が、白杖が凶器及び危険物にあたると、係員に杖を預けることを強要され、不当な扱いを受けたという事例もあった。(平成 27 年 2月 20日中日新聞掲載記事)このことからもわかるように、白杖は視覚障がい者にとって身体の一部であり、着席している場合でも、すぐ手の届く範囲に携帯する事が望ましい。
【0004】
視覚障がい者が外出先でトイレを利用する場合は、小便器の利用、個室の利用どちらにおいても、白杖の置き場に困る事が多い。まず、便器の形を白杖で確認し、荷物置きやドアフックなどを手で探し、白杖をどこに置けばよいか探さなくてはならない。ドア横の角に立てかけたり、床に置いたり、置き場がない場合は、白杖を手に持ったまま用を足さなければならないなど、苦労が絶えない。介助者がいる場合でも、トイレの場合は同性の介助者でないと利用できず、我慢しなければならない事もあった。
【0005】
傘や杖等の長尺杖が倒れてしまうことを防止する保持具や、杖を固定するバッグが種々提案されている。(下記先行技術文献参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開6259965号公報
【文献】特開2019-170988号公報
【文献】実用新案登録第3234834号公報
【文献】特開2023-29150号公報
【文献】実用新案登録第3225534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された杖用補助具は、ズボン、スカート、ベルトなどの腰部に挿入して装着するものであり、ワンピースやコートを着用した場合は、使用不可となり、服装の制限が発生する。
【0008】
特許文献2に記載された杖用補助具は、立てかけて保持することを目的とした保持具である。身体に保持する場合、クリップにより、ズボン、パンツの腰位置やベルト、バックやリュックのポケットに取り付けるものであるが、服装によっては使用不可となり、服装の制限が発生する。引っ掛かりのない服装にクリップを留めた場合は、杖の重みでクリップが外れて杖が落下する場合も考えられ、本発明の身体に密着した状態で杖を浮かせて保持するという特徴が異なる。また、磁石は杖の取っ手に貫通して設置しているのに対し、本発明品は杖の重心表面部分に設置しているという点が異なる。
【0009】
特許文献3に記載された杖用補助具は、立てかけて保持することを目的とした保持具であり、本発明の身体に密着した状態で杖を浮かせて保持するという特徴が異なる。
【0010】
特許文献4と5に記載されたバッグは、穴に杖を通し歩行する物であり、本発明の、バッグと杖の両方に接続具を設け、接続する事で杖を保持するという特徴が異なる。
【0011】
従来、白杖の使用には次のような欠点があった。
(イ)外出先では白杖の置き場所がなく困る事があった。杖を壁に立てかけたり、床に置いたりすることもできるが、視覚障がい者にとって白杖は身体の一部であり、白杖を身体から離して置くことは危険な行為である。他の視覚障がい者が近くにいる場合は、白杖の取り違えや、床に置いた白杖につまずく可能性などもある為、介助者がいない場合は特に注意が必要であった。また、白杖にかかわらず、高齢者や障がい者が使用する杖についても同様である。
(ロ)白杖を使用中に両手を使う場合は、白杖は腋下に挟むか、ストラップを利用して腕で保持するが、腕の動きに制限がかかっていた。手にしている物や白杖が落下する危険もあり、落とさぬよう常に緊張を強いられていた。
(ハ)白杖の使用中、白杖が自転車や電車のドアなどと接触して引っ掛かった場合、白杖と共に体を持っていかれないように、ストラップは白杖から外れるような安全タイプが推奨とされている。白杖を固定してしまう保持具は、衝撃があった場合、白杖ごと引っぱられてしまい、大怪我を招く恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
杖の重心部表面に第一接続具を設け、ウエストポーチの本体につながる、ウエストポーチ正面横にある腰ベルトの側腹部分に、第一接続具と対になる第二接続具を設け、杖の使用者がウエストポーチを装着し、杖の第一接続具を、ウエストポーチの第二接続具に接続させ、ウエストポーチ装着者の側腹部に、接続した杖が地面より浮いた状態で保持できる事を特徴とする、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット。
【0013】
杖の重心部表面に第一接続具を設け、ウエストポーチの本体につながる、ウエストポーチ正面横にある腰ベルトの側腹部分に、第一接続具と対になる第二接続具を設け、杖の使用者がウエストポーチを装着し、杖の第一接続具を、ウエストポーチの第二接続具に接続させ、ウエストポーチ装着者の側腹部に、接続した杖が地面より浮いた状態で保持する事ができ、前記第二接続具を中心にして、前記第一接続具が接続しながら回転可能である事を特徴とする、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット。
【発明の効果】
【0014】
本発明の、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセットは、白杖を使用中の立位時と着席時において、白杖の第一接続具とウエストポーチの第二接続具を接続させることで、ウエストポーチ装着者の側腹部に、白杖を密着させながら保持することができるものである。
立位時に白杖を保持したい時は、立ち止まった状態で、白杖の石突をやや自身の後方へ向けるようにして、杖の第一接続具とウエストポーチの第二接続具を接続させる。ウエストポーチの第二接続具の台座には、斜めのベルトが縫製されており、ベルトの形が手触りで確認できるようになっている。この斜めのベルトに合わせて白杖のシャフトを添うように固定すると、いつも同じ斜めの角度に保持する事ができる。斜めに固定することで、白杖のグリップが体の前面部分に出る為、腕が動かしやすくなり、脱着時の操作がしやすくなる。また、白杖のような長い杖は斜めにする事で1人分の空間部分に収まり、通行人との接触事故を防ぐ事もできる。この時、白杖は床より浮いている状態になり、床からの余計な力が加わらず、接続部が白杖の重心の表面にある為、安定したバランスで保持する事ができる。
着席した状態で白杖を保持する場合は、白杖を手に持ったまま椅子に着席し、石突を足元の方向に突き出し、白杖のシャフトが二の腕の下にくるような状態で、白杖の第一接続具をウエストポーチの第二接続具に接続させる。座る椅子の種類や白杖の長さによって状況は変わるが、おおよそ着席1人分の空間部分に、白杖が収まるようになる。白杖を身体に密着させながら保持する事で安心感も湧き、白杖の置き場を気にせずに着席する事ができる。
本発明を使用中に、外部との接触や衝突があった場合、白杖の第一接続具とウエストポーチの第二接続具の接続が衝撃で外れ、体から白杖が離れるため、巻き込み事故などを防ぐことができる。
ウエストポーチの着用は一般的なウエストポーチと同じで、ウエストのベルトはサイズの調節ができ、万人の利用が可能であり、服の上にウエストポーチを着用することから、服装の制限はなく自由にファッションを楽しむ事ができる。
本発明を使用すると、白杖を使用中に手を使いたい時でも、白杖を身体に密着させながら一時保持ができ、安心して手を使う事ができるようになる。着席時においては、杖の置き場所を探す必要がなくなり、椅子に座ったまま白杖を身体に密着させながら保持する事ができるようになる。トイレでは、小便器の利用、個室の利用どちらにおいても、身体に密着させながら用を足す事ができ、ほっと一息つくことができる。視覚障がい者の白杖に限らず、高齢者や障がい者の杖でも応用が可能である。また、トレッキングポールやウォーキングポールなど、スポーツで使用する長尺杖にも応用する事もでき、幅広い利用が望める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】立位時の使用図である。
図2】着席時の使用図である。
図3】第一接続具(マグネットホック凸5)を設けた白杖の正面図と拡大図である。
図4】第一接続具(マグネットホック凸5)を設けた白杖の側面図と拡大図である。
図5】第一接続具(マグネットホック凸5)を設けた白杖の背面図と拡大図である。
図6】第二接続具(マグネットホック凹10)を設けたウエストポーチの正面図である。
図7】第一接続具(マグネットホック凸5)と第二接続具(マグネットホック凹10)を俯瞰から見た吸着前の図である。
図8】第一接続具(マグネットホック凸5)と第二接続具(マグネットホック凹10)を側面から見た吸着図である。
図9】折り畳み白杖収納時の底正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図1によって説明する。図1は立位時の使用図である。
立った姿勢で白杖を保持する場合、白杖の第一接続具(マグネットホック凸5)と、ウエストポーチの第二接続具(マグネットホック凹10)を吸着させ、※以下第一接続具(マグネットホック凸5)はマグネットホック凸5、第二接続具(マグネットホック凹10)はマグネットホック凸10と記す。白杖の石突3をやや自身の後方へ向けるようにする。白杖は斜めに保持する事となり、白杖のグリップ1が体の前面部分に出る為、腕が動かしやすくなる。白杖のような長い杖は斜めにする事で1人分のスペースに収まり、通行人との接触事故を防ぐ事もできる。接続されたマグネットホック凸5とマグネットホック凹10は白杖の重心表面部分で吸着・嵌合され、ウエストポーチの腰ベルト側腹部9に固定される。この時、杖は床より浮いている状態になり、床からの余計な力が加わらず安定したバランスで保持ができる。軽い接触や、軽度に体を動かした場合は、マグネットホック凸5と凹10が嵌合した状態で回転する為、落下がしづらい。外部からの大きな接触があった場合はマグネットホック凸5とマグネットホック凹10の吸着が衝撃で外れ、体から白杖が離れるため、巻き込み事故などの防止ができる。
【0017】
本発明の実施形態を図2によって説明する。図2は着席時の使用図である。
着席した状態で白杖を保持する場合、白杖を持ったまま椅子21に着席して、二の腕の下に白杖がくるように持ち、石突3を足元に突き出し、白杖のマグネットホック凸5とウエストポーチのマグネットホック凹10を吸着させ、白杖をウエストポーチの腰ベルト側腹部9に固定する。座る椅子の種類や杖の長さによって状況は変わるが、杖のシャフト2を座面に乗せたり、座面外側に出したりすると、おおよそ着席1人分の空間部分に白杖が収まるようになる。嵌合しているマグネットホック凸5とマグネットホック凹10は吸着しながら回転が可能で、椅子に座ったまま白杖の角度調整ができ、角度が変えられる事で多様な椅子の形に対応する事ができる。白杖を身体に密着させながら保持する事で安心感も湧き、白杖の置き場を気にせずに着席する事ができる。
【0018】
本発明の実施形態を図3によって説明する。
図3は、白杖の重心表面部分にマグネットホック凸5とそれを設置するマグネットホック凸台座6を設けた、白杖の正面図と拡大図である。白杖は、グリップ1、シャフト2、石突3、ストラップ4がついた一般的な直杖のものである。白杖の長さは身長-45センチ前後で、石突を地面についた時、グリップ1上部が使用者のみぞおち上にくる長さが推奨されており、白杖の重心はおよそ上部三分の一付近にあたる。重心が変わると杖の保持が不安定になる事から、マグネットマグネットホック凸台座6の場所は直杖に固定して使用する。成長などにより白杖の長さを変化させて使用する場合や、折り畳み式の白杖で、伸縮機能により重心が変わる場合は、マグネットホック凸台座6を付属物によって長さ方向に移動させ、新たな重心に配置して使用する。
【0019】
本発明の実施形態を図4図5によって説明する。
図4は、図3の白杖の側面図と拡大図であり、図5図3の白杖の背面図と拡大図である。視覚障がい者が触覚でわかるよう、マグネットホック凸5の真裏に、目印の突起物7を設け、設置の目標をわかりやすくした。
【0020】
本発明の実施形態を図6によって説明する。図6はマグネットホック凹10を設けたウエストポーチの正面図である。正面にオープン型のポケット、上部に取っ手がついたウエストポーチ本体8に、視覚障がい者が使用しやすいように様々な工夫を設けた。ウエストポーチの腰ベルト側腹部は、左右対称に飛行機の翼(クリップドデルタ翼)の形をしたもので、長辺はウエストポーチ本体の側面をしっかり支え、短辺はベルの幅になっており、裏には熱がこもらない様メッシュ生地を設けている。ウエストポーチの腰ベルト側腹部9中央には、マグネットホック凹台座ベルト11が斜めに縫製されており、上部には、マグネットホック凹台座ベルト上部持ち手12があり、触覚でベルトの位置がわかるようになっている。マグネットホック凹台座ベルト11の中央にマグネットホック凹10が設けられ、白杖のマグネットホック凸5を接続した時に、斜めのラインが設置のガイドとなる。一般的なウエストポーチの様に、ウエストポーチの腰ベルト13に、腰部ベルト留め具15とベルト調節カン14を設け、ウエストのサイズを調節することができる。服の上から着用することで、着ている服の制限がなくオシャレを楽しむ事ができ、万人の着用が可能である。腰部ベルト留め具15は、視覚障がい者が利用しやすい様、近づけるだけで接続されるマグネットバックルを設けた。夜間歩行する際、周りから注意を引くことができるよう、蓄光ファスナー16、ファスナータブには反射タブ17を設け、前面ポケット上部に反射材の持ち手18を設けた。反射材は白くはっきり見える為、弱視の人にとっても見えやすくなり、自宅でウエストポーチを保管する際も目につきやすく探しやすい。吊り下げフック19は、コンビニ袋など、軽い商品をぶら下げたり、前面オープンポケットに出し入れするスマホや定期券のストラップを掛けたりすることができる。上部にフックをつけたメッシュポケット20は、キーホルダーを掛ける事ができ、鍵をポケットに入れたり、ちょっとしたゴミなどを入れたりするのに便利である。ウエストポーチ本体8の背面はメッシュ生地になっており、長時間使用していても熱がこもりにくい設計になっている。
【0021】
本発明の実施形態を図7によって説明する。図7は、マグネットホック凸5とマグネットホック凹10を俯瞰から見た吸着前の図である。マグネットホックとは、表面に凸部が形成されたリング状の雄ホックと、内部にマグネットを有し、表面に雄ホックの凸部が嵌入される凹部が形成されたリング状の雌ホックとからなり、雄ホックと雌ホックとを磁力によって着脱自在としたもので、鞄などの開閉に使用されている留具として公知されているものである。一般的な片面磁石のマグネットホックでも可能ではあるが、本発明は、視覚障がい者が利用する事を考慮し、凹凸にS極とN極の磁石を設けたマグネットホックを使用。凹凸を近づけると磁石が互いに引き合い、自動的に吸着することができ、強い力で嵌合ができる。吸着はマグネットホック以外に、凹凸のある留め具、スナップボタン、面テープ、平面磁石などの脱着しやすい留め具でも代用が可能である。
【0022】
本発明の実施形態を図8によって説明する。図8は、マグネットホック凸5とマグネットホック凹10を側面から見た吸着図である。マグネットホック凸5とマグネットホック凹10は互いに強力な磁石で吸着し合い、リング状の凹凸で嵌合されている為、吸着しながら回転する事ができる。これにより、シャフト2に少量の力が加わった場合、凹凸を中心に回転し、白杖は外れず落下しにくくなっている。そのため引き離す時にやや力が必要になるが、力が弱い方はマグネットホック凹台座ベルト上部持ち手12を、体側に引いて押さえ、マグネットホック凸台座6を手で包み引き離せば容易に引き離す事ができる。
【0023】
本発明の実施形態を図9によって説明する。図9は折り畳み白杖収納時の底正面図である。ウエストポーチ底面22に、スライダーバックル23とウエストポーチ底ベルト24を設け、折り畳み白杖25を、ウエストポーチ底ベルト24の輪の中に入れてベルトを引けば、折り畳み白杖が固定され収納ができる。取り外す場合は、スライダーバックル23を持ち上げ、ウエストポーチ底ベルト24を緩めれば、ウエストポーチ底ベルト24の輪が広がり簡単に取り出せる。着席時に腰横で保持できない時や、予備の白杖として持参の他、折り畳み傘も収納が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明を使用すると、視覚障がい者が外出しやすくなり、自立した社会生活が送れるようになる。特にトイレにおいては、見えない中、白杖の置き場を不衛生ながらも触覚で確認するしかなく、大変な不自由を強いられていた。トイレの介助者は同性に限るという問題もあり、視覚障がい者が外出しづらい状況にあった。本発明は、立位時、着席時、共に白杖を身体に密着させて一時保持ができる為、これらの問題を解決し、視覚障がい者の生活をサポートする発明である。視覚障がい者の白杖に限らず、高齢者や障がい者の杖でも応用が可能であり、また、トレッキングポールやウォーキングポールなど、スポーツで使用する長尺杖にも応用する事もでき、幅広い利用が望める。

【符号の説明】
【0025】
1 グリップ
2 シャフト
3 石突
4 ストラップ
5 第一接続具(マグネットホック凸)
6 マグネットホック凸台座
7 目印の突起物
8 ウエストポーチ本体
9 ウエストポーチの腰ベルト側腹部
10 第二接続具(マグネットホック凹)
11 マグネットホック凹台座ベルト
12 マグネットホック凹台座ベルト上部持ち手
13 ウエストポーチの腰ベルト
14 ベルト調節カン
15 腰部ベルト留め具
16 蓄光ファスナー
17 反射タブ
18 反射材の持ち手
19 吊り下げフック
20 上部にフックをつけたメッシュポケット
21 椅子
22 ウエストポーチ底面
23 スライダーバックル
24 ウエストポーチ底ベルト
25 折り畳み白杖

【要約】      (修正有)
【課題】白杖の使用において、立位時、着席時、共にウエストポーチの腰ベルト側腹部分に、白杖が浮いた状態で一時保持ができるようになる、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセットを提供する。
【解決手段】杖の重心部表面に第一接続具を設け、ウエストポーチの本体につながる、ウエストポーチ正面横にある腰ベルトの側腹部分に、第一接続具と対になる第二接続具を設け、杖の使用者がウエストポーチを装着し、杖の第一接続具を、ウエストポーチの第二接続具に接続させ、ウエストポーチ装着者の側腹部に、接続した杖が地面より浮いた状態で保持できる事を特徴とする、保持機能を備えた杖とウエストポーチのセット。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9