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特許7590110大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置及び大型2ストローク・エンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置及び大型2ストローク・エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20241119BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F01N1/02 E
F02M21/02 L
F02M21/02 N
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019196372
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2020079588
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】18206015.2
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515111358
【氏名又は名称】ヴィンゲーデー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピエトロ シロッコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルテル ベルッチ
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-13121(JP,A)
【文献】特開昭63-138110(JP,A)
【文献】特開2013-193698(JP,A)
【文献】特開2008-2341(JP,A)
【文献】特表2019-534414(JP,A)
【文献】特開2009-287548(JP,A)
【文献】特開2016-75279(JP,A)
【文献】特開2008-31864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/02
F02M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダ(100)を有する大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置であって、前記排気レシーバ装置は、前記シリンダ(100)から排気ガスを集めるための管状の排気レシーバ(2)を有し、前記排気レシーバ(2)は、第1の端部(21)から第2の端部(22)へと軸方向(A)に延び、且つ前記シリンダ(100)に沿って延びるように設計されており、また前記排気レシーバ(2)は、前記シリンダ(100)の排気ダクト(50)を受け入れるための複数の入口開口(23)を有し、前記排気レシーバ(2)での圧力脈動を軽減するために減衰デバイス(3)が設けられ、前記減衰デバイス(3)は、少なくとも1つの共鳴吸収器(4、4’)を有する、排気レシーバ装置において、
各共鳴吸収器(4、4’)が、前記排気レシーバ(2)の共振周波数を減衰させるように構成され、それにより前記排気レシーバでの前記圧力脈動を軽減することによって、前記シリンダの掃気プロセスの不均衡が軽減されることを特徴とする、排気レシーバ装置。
【請求項2】
各共鳴吸収器(4、4’)が、高くて50ヘルツ、好ましくは、高くて30ヘルツの周波数を減衰させるように構成されている、請求項1に記載の排気レシーバ装置。
【請求項3】
前記共鳴吸収器(4、4’)が、共鳴器容積部(41)と、前記共鳴器容積部(41)に連結された共鳴器首部(42)とを有するヘルムホルツ共鳴器(4)として設計され、前記共鳴器首部(42)が、前記管状の排気レシーバ(2)と流体連通している、請求項1又は2に記載の排気レシーバ装置。
【請求項4】
前記ヘルムホルツ共鳴器(4)の前記共鳴器首部(42)が、前記排気レシーバ(2)の前記第1の端部(21)又は前記第2の端部(22)に連結されている、請求項3に記載の排気レシーバ装置。
【請求項5】
前記減衰デバイス(3)が、少なくとも2つの共鳴吸収器(4)を有し、前記共鳴吸収器(4)のそれぞれが、ヘルムホルツ共鳴器(4)として設計され、前記排気レシーバ(2)の前記第1の端部及び前記第2の端部(21、22)が、前記共鳴吸収器(4)のうちの一方の前記共鳴器首部(42)に連結されている、請求項3又は4に記載の排気レシーバ装置。
【請求項6】
各共鳴器首部(42)が、前記軸方向(A)に延び、又は前記軸方向(A)に対して垂直に延びている、請求項3から5までのいずれか一項に記載の排気レシーバ装置。
【請求項7】
各共鳴吸収器(4)が、前記排気レシーバ(2)の上、又は前記排気レシーバ(2)の下に配置される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の排気レシーバ装置。
【請求項8】
前記排気レシーバ(2)が、2つの管状要素(25、26)を有し、前記2つの管状要素(25、26)は一列に配置され、且つ前記2つの管状要素(25、26)の間に配置された移行要素(27)によって連結されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の排気レシーバ装置。
【請求項9】
前記共鳴吸収器(4)が前記移行要素(27)に連結されている、又は
前記移行要素(27)と前記管状要素(25、26)のうちの一方とが、ヘルムホルツ共鳴器(4)を形成するように構成されている、請求項8に記載の排気レシーバ装置。
【請求項10】
前記共鳴吸収器(4、4’)が、前記排気レシーバの内部に配置されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の排気レシーバ装置。
【請求項11】
前記共鳴吸収器(4’)が、前記排気レシーバ(2)と同軸に配置される多孔管を有している、請求項10に記載の排気レシーバ装置。
【請求項12】
前記共鳴器容積部(41)が、前記排気レシーバ(2)を同軸に取り囲んでいる、請求項3に記載の排気レシーバ装置。
【請求項13】
それぞれが燃料のための燃焼室(102)を有する複数のシリンダ(100)を有する大型2ストローク・エンジンであって、
請求項1から12までのいずれか一項に記載の排気レシーバ装置(1)をさらに有している、大型2ストローク・エンジン。
【請求項14】
長手方向掃気式の大型2ストローク・ディーゼル・エンジンとして設計され、且つガス燃料が前記燃焼室(102)に供給されるガス・モードで運転可能であり、且つ液体燃料が前記燃焼室(102)に供給される液体モードで運転可能であるデュアル・フューエル大型ディーゼル・エンジンとして設計される、請求項13に記載の大型2ストローク・エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部分に記載の大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置(exhaust receiver arrangement)に関する。本発明は、さらに、大型2ストローク・エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば長手方向掃気式(longitudinal scavenging)の大型2ストローク・ディーゼル・エンジンとして設計され得る大型の2ストローク・エンジンが、しばしば船の主推進ユニットとして使用され、或いは据付運転でも、例えば電力生産用の大型発電機を駆動するために使用される。ここではエンジンは、一般的にかなりの時間にわたって絶え間なく運転状態にあり、このことにより、運転の信頼性及び可用性に対する強い要求が生じる。このため、保守間隔が長く予測可能であること、摩耗の程度が低いこと、並びに燃料及び運転材料の使用量が経済的であることが、運転者にとって、エンジンの運転における最も重要な条件である。大型エンジン、具体的には大型2ストローク・エンジンは、通常、少なくとも200mmの内径(ボア)をもつシリンダを有する。現在では、複数のシリンダを有し、そのそれぞれが最大960mm、又はさらにそれ以上のボアを有する大型エンジンが運転されている。
【0003】
特に環境保護に関する要件の高まりに鑑みて、大型ディーゼル・エンジンなどの大型2ストローク・エンジンの運転は、ますます要求が厳しくなっている。大型ディーゼル・エンジンは、たいていは重油で運転され、重油は、燃焼から生じる排気ガスに関して特定の処置を必要とする。排気ガスの制限に関する法規条項が強まっていることに鑑みて、ここ数年にわたり、少なくとも2つの異なる燃料で運転することができる大型エンジンの必要性が存在している。これらの異なる燃料は、例えば2つの異なる液体燃料でもよく、液体燃料及びガス燃料であってもよい。こうしたエンジンは、通常はマルチ・フューエル・エンジンと呼ばれ、これらは、動作中に、ある燃料の燃焼から第2の異なる燃料の燃焼に、また逆も同様に切り換えることができる。マルチ・フューエルの大型ディーゼル・エンジンにおいて代わりに燃焼させることができる液体燃料又はガス燃料は、重油以外に、船舶用ディーゼル油若しくはディーゼル油、具体的にはメタノール若しくはエタノールなどのアルコール、LNG(液化天然ガス)などの天然ガス、MSAR(multiphase superfine atomised residue:多相超微細アトマイズ化残留物)などのエマルジョン、又は水に微粉炭を懸濁させたものなどの懸濁液を含む。
【0004】
特定のタイプのマルチ・フューエル・エンジンは、通常「デュアル・フューエル・エンジン」又は「デュアル・フューエル・モータ」と呼ばれるエンジンである。これらは、2つの異なる燃料で運転することができるエンジンである。ガス・モードでは、ガス、例えばLNG(液化天然ガス)のような天然ガス、又は内燃機関を運転するのに適した別のガスが、シリンダでの燃焼に使用される。液体モードでは、ガソリン、ディーゼル油、船舶用ディーゼル油、又は重油などの適した液体燃料が、同じエンジンのシリンダでの燃焼に使用される。
【0005】
したがって大型2ストローク・エンジンは、単一の燃料のみ、例えばLNGなどのガス燃料、又は重油若しくはディーゼル油などの液体燃料を燃焼させるためのエンジンとして設計されてもよく、或いは、エンジンは、マルチ・フューエル・エンジンとして、デュアル・フューエル・エンジンとして、また燃料の自己着火を特徴とするディーゼル運転以外に外部からの点火を特徴とするオットー運転でも運転することができ、又はこれら2つの運転を組み合わせた形で運転することができるような大型エンジンとして特に設計されてもよい。
【0006】
本出願の範囲内では、「大型ディーゼル・エンジン」などの用語には、マルチ・フューエル・エンジン、デュアル・フューエル・エンジン、及びディーゼル運転以外に外部からの点火を特徴とするオットー運転でも運転することができ、又はこれら2つの運転を組み合わせた形で運転することができるような大型のエンジンも包含される。より一般に、「大型ディーゼル・エンジン」という用語には、少なくとも2つの異なる燃料で交互に運転することができる大型エンジンも包含され、これら燃料のうちの少なくとも1つは、ディーゼル運転方式に従ってエンジンを運転するのに適している。
【0007】
通常、大型2ストローク・エンジンは、往復動ピストン及び燃料を燃焼させるための燃焼室をそれぞれが有する複数のシリンダを有する。燃焼室からガスを放出するために、各シリンダは、シリンダの各燃焼室と排気ダクトの間の流体連結部を開くための排気弁を有する。最新の大型2ストローク・エンジンでは、排気弁の開閉は電子制御される。
【0008】
各排気ダクトは排気レシーバへと開口し、この排気レシーバにすべてのシリンダの排気ガスが集められる。排気ガスは、少なくとも部分的に排気レシーバからターボ過給機ユニットへと供給されて、ターボ過給機のタービンを駆動する。
【0009】
ターボ過給機は吸気レシーバに掃気を供給し、掃気は給気とも呼ばれる。吸気レシーバは、すべてのシリンダの掃気開口と流体連通しており、したがって、各シリンダの各掃気開口が開かれると、各シリンダに空気を提供することができる。通常、各掃気開口の開閉は、各シリンダ内のピストンの運動によって制御される。
【0010】
シリンダの動作サイクルにより、排気レシーバでは圧力の変動が生じる。排気レシーバはすべてのシリンダの燃焼室と流体連通しており、ガスが各シリンダからそれに対して放出される排気レシーバ内圧力が、互いに異なるシリンダでは変動し得るので、こうした圧力脈動により、シリンダの不均衡が生じる。これは、例えば特定のシリンダの掃気の質が、排気レシーバにおける瞬間的な圧力に依存するということを意味する。この瞬間的な圧力が非常に高い場合、シリンダの排気弁が開いたとき、排気レシーバでの圧力がより低いかのように、掃気が悪化する場合がある。
【0011】
加えて、排気レシーバでの圧力脈動により、吸気レシーバでの圧力脈動も生じる場合がある。2ストローク・エンジンの動作サイクルの間には、例えばシリンダの掃気段階の間に、通常、同じシリンダの排気弁と掃気開口の両方が開いている時間が存在する。同じシリンダの排気弁と掃気開口の両方が開いているので、排気レシーバでの圧力脈動により、吸気レシーバでの圧力脈動又は圧力変動も生じる恐れがある。
【0012】
例えば排気弁の開閉のタイミングがすべてのシリンダにおいて同じである場合でも、これらの圧力変動又は圧力脈動により、異なるシリンダにおける掃気の不均衡が生じるので、これらの圧力変動又は圧力脈動は、大型2ストローク・エンジンの運転において好ましくない。
【0013】
燃焼室の空気燃料比の影響を特に受けやすいモードで大型エンジンを運転する場合、例えばガス・モード又はオットー運転で大型エンジンを運転する場合、この不均衡は特に好ましくない。例えば、デュアル・フューエル・モータを低圧ガス・モードで運転する場合、ガス燃料は、ピストンの圧縮行程の間にシリンダに入れられる。燃焼プロセスを可能な限り効率的且つ低排出にするには、燃焼室において、ガス(燃料)と空気の適正な比が実現されなければならない。燃料空気比は、通常、ラムダ値によって評価される。排気レシーバ及び/又は吸気レシーバでの圧力脈動により、ラムダ値の好ましくない変化が生じ、したがってエンジンの効率が低下するとともに、汚染物質の生成が増える恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって本発明の一目的は、当技術分野のこの状態から、排気レシーバ内の圧力変動又は振動を著しく軽減することを確実とする、大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置を提案することである。さらに、本発明の一目的は、こうした排気レシーバ装置を有する大型2ストローク・エンジンを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的を満足させる本発明の主題は、独立請求項に記載の特徴部分によって特徴付けられる。
【0016】
したがって本発明によれば、複数のシリンダを有する大型2ストローク・エンジン用の排気レシーバ装置が提案され、排気レシーバ装置は、シリンダから排気ガスを集めるための管状の排気レシーバを有し、排気レシーバは、軸方向において第1の端部から第2の端部へと延在し、シリンダに沿って延在するように設計され、排気レシーバは、シリンダの排気ダクトを受けるための複数の入口開口を有し、減衰デバイスが、排気レシーバでの圧力脈動を軽減するために設けられ、減衰デバイスは、少なくとも1つの共鳴吸収器(resonance absorber)を有する。
【0017】
排気レシーバに連結される共鳴吸収器を設けることにより、排気レシーバでの圧力脈動又は圧力振動は、共鳴吸収器がこうした圧力変動を減衰させるので、著しく軽減される。
【0018】
好ましくは、各共鳴吸収器は、排気レシーバの共振周波数を減衰させるように構成される。
【0019】
したがって、共鳴吸収器は排気レシーバの共振周波数と適合され、それにより、共振周波数での圧力振動はかなり減衰されるか、又はさらには完全に抑えられる。排気レシーバ又は排気マニホールドの共振周波数、又は複数の共振周波数は、測定、及び/又は計算、及び/又はシミュレーションによって実行することができるシステムの音響分析によって決定することができる。排気レシーバの共振周波数が知られると、共振周波数での圧力脈動を減衰させるような方式で、共鳴吸収器を設計及び構成することができる。
【0020】
当然、減衰デバイスが、圧力脈動のうちの異なる周波数を減衰させるために、複数の共鳴吸収器を有することも考えられる。
【0021】
排気レシーバでの圧力脈動を著しく軽減することにより、特に、異なるシリンダにおける掃気プロセスの不均衡がかなり軽減される。これは、大型エンジンが空気燃料比(ラムダ)の影響を非常に受けやすいモード、例えばガス・モードで運転されるときに特に有利である。
【0022】
好ましい一実施例によれば、各共鳴吸収器は、高くて50ヘルツ、好ましくは、高くて30ヘルツの周波数を減衰させるように構成される。特に大型2ストローク・エンジンでは、排気レシーバの共振周波数は、通常は高くて50ヘルツであり、30ヘルツ未満であることが多い。したがって、共鳴吸収器を高くて50ヘルツ、好ましくは、高くて30ヘルツであるこうした周波数に適合させると、排気レシーバでの圧力脈動を少なくとも著しく軽減することができる。
【0023】
好ましくは、共鳴吸収器は、共鳴器容積部と、共鳴器容積部に連結された共鳴器首部とを有するヘルムホルツ共鳴器(レゾネータ)として設計され、共鳴器首部は、管状の排気レシーバと流体連通される。ヘルムホルツ共鳴器は、マスばね系に従って機能し、マスは、共鳴器首部のガスに相当し、ばねは、共鳴器容積部のガスに相当する。したがって、ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数は、共鳴器首部の幾何形状、及び共鳴器容積部の容積に依存する。したがって、ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数を排気レシーバの共振周波数に適合させることは非常に容易である。
【0024】
好ましい一実施例によれば、ヘルムホルツ共鳴器の首部は、排気レシーバの第1の端部又は第2の端部に連結される。
【0025】
排気レシーバの第1の端部及び第2の端部には常に圧力振動の腹が存在するので、ヘルムホルツ共鳴器が排気レシーバの第1の端部又は第2の端部に配置されると、ヘルムホルツ共鳴器は、特に効率的に圧力脈動を減衰させる。
【0026】
別の好ましい実施例によれば、減衰デバイスは少なくとも2つの共鳴吸収器を有し、そのそれぞれは、ヘルムホルツ共鳴器として設計され、排気レシーバの第1の端部及び第2の端部は、共鳴吸収器のうちの1つの共鳴器首部に連結される。
【0027】
好ましい一設計によれば、各共鳴器首部は、軸方向に延在している。すなわち、各共鳴器首部は、排気レシーバと一直線に配置される。
【0028】
別の好ましい設計によれば、各共鳴器首部は、軸方向に対して鉛直に延在している。
【0029】
各共鳴吸収器が排気レシーバの上、又は排気レシーバの下に配置されているとき、これは好ましい構成である。用語「上」及び「下」は、排気レシーバの通常の動作位置を基準とする。通常、排気レシーバは、シリンダの上部に配置され、したがって、シリンダは、排気レシーバの下に位置付けられる。
【0030】
好ましい一設計によれば、排気レシーバは2つの管状要素を有し、これら2つの管状要素は、一直線に(一列に、又は直列に)配置され、これら2つの管状要素の間に配置された移行要素によって連結される。こうした構成では、シリンダのうちの最初の半分は管状要素のうちの一方に連結され、シリンダのうちの別の半分は他方の管状要素に連結される。例えば、大型エンジンが、一直線に配置された12個のシリンダを有する場合、最初の6個のシリンダは第1の管状要素に連結され、7から12までの残りのシリンダは、排気レシーバの第2の管状要素に連結される。
【0031】
こうした構成では、共鳴吸収器が移行要素に連結されているものが、別の好ましい設計である。
【0032】
別の好ましい設計によれば、移行要素と管状要素のうちの一方とが、ヘルムホルツ共鳴器を形成するように構成される。
【0033】
さらに別の好ましい実施例によれば、共鳴吸収器は、排気レシーバの内側に配置される。
【0034】
共鳴吸収器が排気レシーバの内側に配置されるとき、共鳴吸収器は、排気レシーバと同軸に配置された多孔管(perforated tube)を有することができる。
【0035】
共鳴吸収器がヘルムホルツ共鳴器を有するさらに別の好ましい実施例によれば、共鳴器容積部は、排気レシーバを同軸に取り囲む。
【0036】
加えて、本発明によれば、複数のシリンダであって、各シリンダが燃料のための燃焼室を有する複数のシリンダを有し、また本発明による排気レシーバ装置をさらに有する大型2ストローク・エンジン、特に長手方向掃気式の大型2ストローク・ディーゼル・エンジンが提案される。
【0037】
好ましい一実施例によれば、大型2ストローク・エンジンは、ガス燃料が燃焼室に供給されるガス・モードで運転可能であり、液体燃料が燃焼室に供給される液体モードで運転可能であるデュアル・フューエルの大型ディーゼル・エンジンとして設計される。
【0038】
特に、大型エンジンは、液体燃料、好ましくは重油の燃焼、及びガスの燃焼のためのデュアル・フューエル・エンジンとして設計することができ、ガスは、高くて50bar、好ましくは、高くて20barの低圧でシリンダに供給されることが好ましい。
【0039】
本発明の別の有利な手段及び好ましい実施例は、従属請求項からもたらされる。
【0040】
次に、概略図を利用して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による排気レシーバ装置の一実施例の概略図である。
図2】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図3】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図4】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図5】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図6】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図7】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図8】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図9】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
図10】本発明による排気レシーバ装置の別の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1では、概略図において、その実体部分において参照符号1で示された、本発明による排気レシーバ装置の一実施例が示してある。排気レシーバ装置1は、複数のシリンダ100、例えば12個のシリンダ100を有する大型2ストローク・エンジンの一部である。図1には、大型2ストローク・エンジンのシリンダ100のうちの一部のみが示されている。
【0043】
以下の説明では、一実例として、大型2ストローク・エンジンが、長手方向掃気式の大型2ストローク・ディーゼル・エンジンとして設計されている実施例を参照する。これらの大型ディーゼル・エンジンは当技術分野でよく知られているので、詳細な説明の必要はない。さらに、大型ディーゼル・エンジンが船又は船舶の主推進ユニットである応用例を一実例として参照する。
【0044】
当然、本発明は、この特定のタイプの大型2ストローク・エンジンに限定されない。具体的には、大型2ストローク・エンジンが例えば船の主推進ユニットとして、又は例えば電力生産用の大型発電機を駆動するために据付運転にも使用されるとき、大型2ストローク・エンジンは、任意のタイプの大型ディーゼル・エンジンでもよい。特に、複数の異なる液体燃料及び/又はガス燃料を燃焼させるためのマルチ・フューエル・エンジンとして、又は液体燃料の燃焼、及びガス、例えば天然ガスの燃焼のためのデュアル・フューエル・エンジンとして、大型2ストローク・エンジンを設計することも可能である。大型エンジンは、3つ以上の異なる燃料で運転されるように設計される場合もある。
【0045】
大型2ストローク・エンジンは、最大12個、さらには最大14個のシリンダ100を有することができる。各シリンダ100には、ピストン101が、上死点と下死点の間で往復運動するように配置される。ピストンの上側及びシリンダ・カバー(詳細には図示せず)は、シリンダ100のシリンダ壁部又はシリンダ・ライナーとともに、燃焼のために燃料が注入される燃焼室102の境界を画定している。各シリンダ100は排気弁(詳細には図示せず)をさらに有し、排気ガスは、そこを通って燃焼室から排気ダクト50へと放出される。各排気ダクト50は、排気レシーバ装置1の排気レシーバ2の各入口開口23に連結される。すべてのシリンダ100の排気ガスは、排気レシーバ2に集められる。
【0046】
このような知られている一方式では、排気レシーバ2は、ターボ過給機システム(図示せず)、及び排気ガスを環境に放出するための排気パイプに連結される。排気ガスの少なくとも一部は、ターボ過給機のタービンに案内されて、前記タービンを回転させる。
【0047】
排気レシーバ装置1が、追加の特徴、例えば排気ガスを浄化するための触媒コンバータ・ユニット、又はターボ過給機に送達される排気ガスの量を制御するためのウェイスト・ゲートを有してもよいことは言うまでもない。
【0048】
ターボ過給機は、吸気レシーバ(図示せず)に掃気を供給し、掃気は給気とも呼ばれる。吸気レシーバは、シリンダ100の掃気ポート(図示せず)と流体連通している。通常、掃気ポートは、各シリンダ100の下端部、すなわち各シリンダ100の排気弁の反対側の端部に位置付けられる。
【0049】
各シリンダ100の各掃気ポートが開かれると、吸気レシーバ及び掃気ポートを用いて、各シリンダ100に空気を供給することができる。通常、各掃気ポートの開閉は、各シリンダ100のピストン101の運動によって制御される。
【0050】
大型2ストローク・エンジンの動作サイクルは、各ピストン101が上死点にあるときに開始する。燃焼室102はその最小容積を有し、燃料の燃焼が起きる。ピストン101はその下降運動(膨張行程)を開始する。膨張行程の間、排気弁は開かれることになり、したがって、排気ガスは排気ダクト50を通って排気レシーバ2へと放出される。ピストン101がさらに下降運動することにより、掃気がシリンダ100に入ることができるよう、シリンダ100の掃気ポートが開かれる。ピストンは下死点に到達し、その上昇運動(圧縮行程)を開始する。圧縮行程の間、ピストン101が掃気ポートを閉じ、排気弁は閉じられている。圧縮行程の間、排気弁と掃気ポートの両方が閉じられているとき、燃料が燃焼室102に注入される。当然、燃料注入のタイミングは、使用される実際の燃料、及び動作モード、例えばディーゼル運転又はオットー運転に依存する。ピストン101が上死点に近くなったとき、自己着火又は誘起点火によって燃焼が起き、新たな動作サイクルが開始する。
【0051】
当技術分野の現在の状況においては、大型2ストローク・エンジンは、完全に電子制御された方式で運転される。エンジン制御ユニット(図示せず)が、電気的又は電子的な信号及び命令により、大型2ストローク・エンジンのあらゆる機能、例えばガス交換のための排気弁の動作、シリンダ100の潤滑、及び燃料の注入プロセスを操作及び制御する。加えて、エンジン制御ユニットは、いくつかの検出器、センサ、又は測定デバイスから情報を受け取る。
【0052】
排気レシーバ装置1の排気レシーバ2は、軸方向Aにおいて第1の端部21から第2の端部22へと延在する、管状の排気レシーバ2として設計される。排気レシーバ2は、すべてのシリンダ100に沿って延在する。図1(及び図2図10のそれぞれ)に示した通常の動作位置では、排気レシーバ2はシリンダ100の上に配置されている。
【0053】
本出願の文脈では、「上」又は「下」などの相対的な用語は、図1に示した通常の動作位置を常に基準とする。
【0054】
シリンダ100の排気ダクト50を受けるための入口開口23は、すべて、軸方向Aに延在する列になって配置される。入口開口23は、排気レシーバ2の下側、すなわちシリンダ100と向き合う側に位置付けられる。
【0055】
図1に示した実施例では、排気レシーバ2は、2つの管状要素、すなわち第1の管状要素25及び第2の管状要素26を有し、これらは、軸方向Aに対して一直線に、且つ互いに隣接して配置される。第1の管状要素25と第2の管状要素26は、第1の管状要素25と第2の管状要素26の間に配置される移行要素27によって連結される。
【0056】
シリンダ100のうちの最初の半分は第1の管状要素25に連結され、シリンダ100のうちの別の半分は第2の管状要素26に連結される。
【0057】
本発明によれば、排気レシーバ装置1は、排気レシーバ2での圧力脈動を軽減するための減衰デバイス3をさらに有し、減衰デバイス3は、少なくとも1つの共鳴吸収器4を有する。
【0058】
図1に示した実施例では、2つの共鳴吸収器4が提供されており、1つの共鳴吸収器4は排気レシーバ2の第1の端部21に連結され、1つの共鳴吸収器4は排気レシーバ2の第2の端部22に連結されている。各共鳴吸収器4は、共鳴器容積部41と、共鳴器容積部41に連結された共鳴器首部42とを有するヘルムホルツ共鳴器4として設計されることが好ましい。
【0059】
このようなヘルムホルツ共鳴器4の基本原理は、当技術分野でよく知られている。ヘルムホルツ共鳴器は、例えば、雑音防止又は雑音軽減のためのサイレンサとして使用される。ヘルムホルツ共鳴器4は、マスばね系の原理による振動吸収器として機能する。この系のマスは共鳴器首部42のガスに相当し、ばねは共鳴器容積部41のガスに相当する。したがって、共鳴器容積部41の容積、及び(又は共鳴器首部42の幾何形状を調節することにより、ヘルムホルツ共鳴器4の固有振動数を既定の値又は所望の値に同調させることができる。
【0060】
ヘルムホルツ共鳴器4の固有振動数は、排気レシーバ2における圧力脈動の周波数に対応するように調節される。通常、圧力脈動の主な周波数は、排気レシーバ2の共振周波数のうちの1つに対応する。排気レシーバ2の最低共振周波数は、例えば10ヘルツの範囲内である。通常、大型2ストローク・エンジンの排気レシーバ2の最低共振周波数は、せいぜい50ヘルツであり、多くの場合は30ヘルツまでの範囲である。次いで、ヘルムホルツ共鳴器4が、この共振周波数に対応する固有振動数をもつように構成される。その結果、ヘルムホルツ共鳴器4のこの固有振動数での圧力脈動が、著しく減衰される。
【0061】
排気レシーバ2又は排気レシーバ装置1の共振周波数は、それぞれ音響分析によって決定することができ、したがって、この共振周波数、又はこれらの共振周波数は既知である。
【0062】
当然、排気レシーバ装置1に複数のヘルムホルツ共鳴器4、例えば2つのヘルムホルツ共鳴器4を設けることも可能であり、排気レシーバ装置1の互いに異なる共振周波数が互いに異なるヘルムホルツ共鳴器4によって減衰されるように、互いに異なるヘルムホルツ共鳴器4は、互いに異なる固有振動数を有する。
【0063】
図1に示した排気レシーバ装置1の実施例は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、排気レシーバ2の第1の端部21に連結され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。より具体的には、各ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42が、それぞれ排気レシーバ2の第1の端部21、又は排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。両方のヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。各ヘルムホルツ共鳴器4は、各共鳴器首部42が軸方向Aに、すなわち排気レシーバ2が延在するのと同じ方向に延在するような方式で配置される。
【0064】
排気レシーバ2の第1の端部21及び第2の端部22の外側に2つのヘルムホルツ共鳴器4をそれぞれ配置することは、既存の排気レシーバ装置1に後付けするのにも非常に容易に用いることができる、非常に単純な設計である。
【0065】
図1に示すように、2つのヘルムホルツ共鳴器4は、それぞれまったく同様に、又は同じ固有振動数をもつように設計されてもよい。当然、2つのヘルムホルツ共鳴器が互いに異なる固有振動数をもつように、2つのヘルムホルツ共鳴器を異なるように構成することも可能である。
【0066】
さらに、排気レシーバ1の第1の端部21又は第2の端部22に配置される、単一のヘルムホルツ共鳴器4のみを提供することも可能である。
【0067】
次に、図2図10を参照して、本発明による排気レシーバ装置1の追加の実施例を説明する。別の実施例のこの説明では、図1に示した第1の実施例との違いだけをより詳細に説明する。第1の実施例(図1)及びその変形形態に関する説明は、その他の実施例においても同じように、又はほぼ同じように有効である。同じ参照符号は、図1を参照して説明してきた同じ特徴、又は機能的に等価な特徴を指す。
【0068】
本発明による排気レシーバ装置1の追加の実施例を実現するために、図1図10に示される異なる手段及び設計が組み合わせられてもよいことは言うまでもない。
【0069】
図2図10のそれぞれでは、ピストン101を有するシリンダ100の描写、及び排気ダクト50の描写は省略されており、すなわち、排気レシーバ2及び共鳴吸収器を有する排気レシーバ装置1のみが示されている。当然、図2図10の実施例でも、入口開口23は、図1に示したのと同じ方式又は類似した方式で排気ダクト50に連結される。
【0070】
図2に示した実施例では、1つだけのヘルムホルツ共鳴器4が提供される。ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42は、排気レシーバ2の第1の管状要素25と第2の管状要素26の間に配置された移行要素27に連結され、したがって、ヘルムホルツ共鳴器4は、移行要素27と流体連通している。ヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41は、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。共鳴器首部42は、軸方向Aに対して鉛直に、すなわち垂直方向に延在するように構成される。ヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の下に配置される。この実施例は非常に小型であり、ヘルムホルツ共鳴器4のための追加の空間を必要としない。
【0071】
図3に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、排気レシーバ2の第1の端部21に連結され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。より具体的には、各ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42が、それぞれ排気レシーバ2の第1の端部21、又は排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。両方のヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。各ヘルムホルツ共鳴器4は、各共鳴器首部42が垂直方向に、すなわち軸方向Aに対して鉛直に延在するような方式で配置される。各ヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の下に配置される。
【0072】
図4に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、排気レシーバ2の第1の端部21に連結され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。より具体的には、各ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42が、それぞれ排気レシーバ2の第1の端部21、又は排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。両方のヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。
【0073】
両方の共鳴器容積部41は排気レシーバ2の上に配置され、いずれの場合にも、管状の排気レシーバ2に対して平行に延在する。各共鳴器首部42は、U字形の設計をもつ曲がった共鳴器首部42として構成される。曲がった共鳴器首部42は、排気レシーバ2の第1の端部21及び第2の端部22において各端面に連結され、そこから、湾曲した形で、排気レシーバ2の上に配置される各共鳴器容積部41へと延在する。
【0074】
図5に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、排気レシーバ2の第1の端部21に連結され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の第2の端部22に連結される。より具体的には、各ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42が、それぞれ排気レシーバ2の第1の端部21の端面、又は排気レシーバ2の第2の端部22の端面に連結される。両方のヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。
【0075】
各共鳴器容積部41は、排気レシーバ2を同軸に取り囲むように配置される。共鳴器容積部41のうちの一方は、第1の管状要素25を取り囲み、他方の共鳴器容積部41は、排気レシーバ2の第2の管状要素26を取り囲む。
【0076】
図4に示した実施例の場合と同様に、各共鳴器首部42は、U字形の設計をもつ曲がった共鳴器首部42として構成される。曲がった共鳴器首部42は、排気レシーバ2の第1の端部21及び第2の端部22で各端面に連結され、そこから、湾曲した形で、レシーバ2を取り囲むように設計された各共鳴器容積部41へと延在する。
【0077】
図6に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、そのそれぞれは、排気レシーバ1の上に配置される。ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、第1の管状要素25の上に配置され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、第2の管状要素26の上に配置される。
【0078】
両方のヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。
【0079】
両方の共鳴器容積部41は排気レシーバ2の上に配置され、いずれの場合にも、管状の排気レシーバ2に対して平行に延在する。各共鳴器容積部41は、複数の共鳴器首部42、ここでは5つの共鳴器首部42によって排気レシーバに連結される。すべての共鳴器首部42は、軸方向Aに対して鉛直に、すなわち垂直方向に延在するように配置される。加えて、すべての共鳴器首部42は、平行に延在する。共鳴器首部42の5つという数は、単に例示的なものである。各ヘルムホルツ共鳴器4が、5つよりも多いか又は少ない共鳴器首部42、例えば1つだけの共鳴器首部42を有することも可能である。
【0080】
図7に示した実施例では、排気レシーバ装置1は、複数のヘルムホルツ共鳴器4、例えば10個のヘルムホルツ共鳴器4を有し、そのそれぞれが、排気レシーバ1の上に配置される。したがって、すべてのヘルムホルツ共鳴器4は排気レシーバ2の外側に配置されており、したがって、共鳴器容積部41のそれぞれは、外容積部、すなわち排気レシーバ2の一部ではない容積部を構成する。
【0081】
複数のヘルムホルツ共鳴器4は、排気レシーバ2の全長に沿って配置される。各ヘルムホルツ共鳴器4は、個別の共鳴器容積部41及び個別の共鳴器首部42を有する。
【0082】
ヘルムホルツ共鳴器4のうちの半分は第1の管状要素25の上に配置され、ヘルムホルツ共鳴器4のうちの別の半分は、第2の管状要素26の上に配置される。
【0083】
各共鳴器容積部41は、きっかり1つの共鳴器首部42によって排気レシーバ2に連結される。すべての共鳴器首部42は、軸方向Aに対して鉛直に、すなわち垂直方向に延在するように配置される。加えて、すべての共鳴器首部42は、平行に延在する。ヘルムホルツ共鳴器4の10個という数は、単に例示的なものである。排気レシーバ装置1が10個より多いか又は少ないヘルムホルツ共鳴器4を有することも可能である。
【0084】
この実施例は、いくつかの応用例では、より大型の1つ又は2つの共鳴器容積部ではなく、より小さい複数の共鳴器容積部41のための空間を見つける方が容易であるという利点をもつ。
【0085】
図8に示した実施例では、排気レシーバ2の管状要素25又は26のうちの一方、及び移行要素27が、ヘルムホルツ共鳴器4を形成するように構成される。移行要素27は、ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42として設計され、排気レシーバ2の第1の管状要素25及び/又は第2の管状要素26は、共鳴器容積部41として設計される。
【0086】
管状要素25、26のそれぞれが共鳴器容積部41を形成すること、又は管状要素25、26のうちの一方のみが共鳴器容積部4を形成することが可能である。これは、共鳴器首部42としての移行要素27が、共鳴器容積部41としての第1の管状要素25とともに、若しくは共鳴器容積部41としての第2の管状要素26とともにヘルムホルツ共鳴器4を形成してもよく、又は共鳴器首部42としての移行要素27が、共鳴器容積部41としての第1の管状要素25とともに第1のヘルムホルツ共鳴器4を形成し、且つ共鳴器容積部41としての第2の管状要素26とともに第2のヘルムホルツ共鳴器4を形成してもよいということを意味する。
【0087】
図8による実施例では、各共鳴器容積部41は、排気レシーバ2の内容積部、すなわち排気レシーバ2の一部である容積部を構成する。
【0088】
移行要素27及び管状要素25、26のうちの一方によって形成されるヘルムホルツ共鳴器4の固有振動数は、ヘルムホルツ共鳴器4の共鳴器首部42を構成する移行要素27の幾何形状により、所望の値に同調させることができる。移行要素27の長さ及び直径を適当に寸法決定することにより、排気レシーバ2での圧力脈動を減衰させるための所望の固有振動数を有するよう、各ヘルムホルツ共鳴器を同調させることができる。
【0089】
図8による実施例は、空間要件が特に少ない、非常に一体的な設計であるという利点がある。
【0090】
図9に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つのヘルムホルツ共鳴器4を有し、そのそれぞれは、排気レシーバ2の内側に配置される。ヘルムホルツ共鳴器4のうちの一方は、第1の管状要素25の内部に配置され、他方のヘルムホルツ共鳴器4は、第2の管状要素26の内部に配置される。したがって、各共鳴器容積部41は、排気レシーバ2の内容積部、すなわち排気レシーバ2の一部である容積部を構成する。
【0091】
各共鳴器首部42は、それぞれ排気レシーバ2の第1の端部21及び第2の端部22に隣接して配置され、したがって、各共鳴器首部42は、圧力振動の腹のすぐ隣に位置付けられる。これにより、各ヘルムホルツ共鳴器4による圧力脈動の減衰が非常に効率的になる。
【0092】
図10に示した実施例では、排気レシーバ装置1は2つの共鳴吸収器4’を有し、そのそれぞれは、排気レシーバ2の内側に配置される。共鳴吸収器4’のうちの一方は、第1の管状要素25の内部に配置され、他方の共鳴吸収器4’は、第2の管状要素26の内部に配置される。
【0093】
各共鳴吸収器4’はマフラーに相当するように設計され、軸方向Aにおいて、第1の管状要素25又は第2の管状要素26を全体的に通って延在している。
【0094】
各共鳴吸収器4’は、穿孔された壁部を有する管又はパイプとして設計される。各共鳴吸収器4’は、第1の管状要素25又は第2の管状要素26と同軸に配置される。
【0095】
本発明による排気レシーバ装置1の共鳴吸収器の構成は、ヘルムホルツ共鳴器に限定されない。基本的には、各タイプの共鳴吸収器が本発明に適合する。共鳴吸収器は、例えば1/4波長共鳴器として設計されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10