(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】バンド巻取り装置
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20241119BHJP
B21C 47/24 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B65B69/00 102
B21C47/24 Z
(21)【出願番号】P 2020009032
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592047250
【氏名又は名称】シグノード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 勝也
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-002080(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298190(US,A1)
【文献】特開2011-079035(JP,A)
【文献】実開昭50-070136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
B21C 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のバンドを巻き取るバンド巻取り装置であって、
回転可能であり且つ回転することで前記バンドを回転方向に沿う外周に巻き取る巻取り体と、
前記巻取り体を回転駆動する回転アクチュエータと、
前記巻取り体の回転の径方向の外側で前記巻取り体に隣り合って配置され且つ巻取り位置と離脱位置との間で前記巻取り体の回転軸方向に移動可能である離脱部材と、
前記離脱部材を前記回転軸方向に移動させる直動アクチュエータとを備え、
前記巻取り体は、前記巻取り体の前記外周に、前記バンドの端部の挿入が可能である少なくとも1つの凹部を有し、
前記少なくとも1つの凹部は、前記径方向に対して傾斜する方向に窪み、
前記離脱部材は、前記巻取り位置では、前記巻取り体の前記外周への前記バンドの巻き付けを可能にし、前記巻取り位置から前記離脱位置に移動することで、前記巻取り体に巻き付けられた前記バンドを前記回転軸方向に押圧し前記巻取り体から離脱させるように構成される
バンド巻取り装置。
【請求項2】
前記巻取り体は、前記巻取り体の回転方向に配列された複数の前記凹部を有し、
前記複数の凹部が窪む方向は、前記径方向に対して同じ向きに傾斜する
請求項1に記載のバンド巻取り装置。
【請求項3】
前記巻取り体は、前記巻取り体の回転方向に配列された複数の前記凹部を有し、
前記
複数の凹部は、前記径方向の外側から内側に向かって、前記径方向に対して前記回転方向と反対方向に傾斜する方向に窪む
請求項1又は2に記載のバンド巻取り装置。
【請求項4】
前記凹部は、
前記バンドの端部の挿入が可能であり且つ前記径方向に対して傾斜する方向に窪む第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記巻取り体の回転方向に配列され、前記径方向の内側で互いに連通する
請求項
1に記載のバンド巻取り装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの凹部は、前記回転方向と交差する方向に延び且つ前記回転方向で対向する第1内面及び第2内面を有し、
前記第1内面は、前記第2内面よりも前記回転方向に位置し、
前記第1内面及び前記第2内面の少なくとも一方が、前記径方向に対して傾斜する方向に延びる
請求項1~4のいずれか一項に記載のバンド巻取り装置。
【請求項6】
前記第1内面及び前記第2内面は、前記径方向に対して傾斜する方向に延び、
前記第1内面及び前記第2内面の前記径方向に対する傾斜角は同等である
請求項5に記載のバンド巻取り装置。
【請求項7】
前記第1内面及び前記第2内面は、前記径方向に対して傾斜する方向に延び、
前記第1内面の前記径方向に対する傾斜角は、前記第2内面の前記径方向に対する傾斜角よりも大きい
請求項5に記載のバンド巻取り装置。
【請求項8】
前記回転軸方向で前記離脱部材と対向する対向部材と、前記離脱部材とを含む収容体をさらに備え、
前記収容体は、前記離脱部材が前記巻取り位置に位置しているときに、前記巻取り体に巻き付けられる前記バンドを内部に含むように構成され、
前記収容体は、前記離脱部材が前記離脱位置に位置しているときに、前記巻取り体から離脱した前記バンドの外部への排出を可能にする排出口を有する
請求項1~7のいずれか一項に記載のバンド巻取り装置。
【請求項9】
前記回転アクチュエータ及び前記直動アクチュエータの動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記バンドの先端が前記凹部に挿入された前記巻取り体を前記回転アクチュエータにより回転させた後に、前記直動アクチュエータにより前記離脱部材を前記巻取り位置から前記離脱位置に移動させる
請求項1~8のいずれか一項に記載のバンド巻取り装置。
【請求項10】
前記巻取り体への前記バンドの移動を案内するバンド案内部をさらに備え、
前記バンド案内部は、前記巻取り体の上方に延び、上下方向に揺動可能であり且つ下方の前記バンドの前記巻取り体への移動を案内する揺動部材を有する
請求項1~9のいずれか一項に記載のバンド巻取り装置。
【請求項11】
前記バンド案内部は、前記揺動部材を前記巻取り体に向かって揺動させるように付勢する付勢部材をさらに有する
請求項10に記載のバンド巻取り装置。
【請求項12】
前記バンド案内部は、外部から前記バンドを受け入れる受け入れ部分に少なくとも1つのローラを有し、
前記少なくとも1つのローラのうちの1つが、前記揺動部材に配置され、
前記揺動部材は、前記揺動部材に配置された前記ローラを上下方向に移動させるように揺動可能である
請求項10又は11に記載のバンド巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のバンドを巻き取るバンド巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板コイルのような大型の製品を輸送する際、梱包材を結束するために、金属製のバンドが梱包材の表面上に輪状に巻き付けられることがある。バンドは、開梱時に切断され、長尺の廃棄物となる。廃棄物の取扱い性への配慮から、バンドは、細断され又は渦巻き状に巻き取られる等して、コンパクトにされる。
【0003】
例えば、特許文献1は、コイル状の圧延鋼帯に用いられる結束バンドを処理する装置を開示する。特許文献1の装置は、3つのロールを備える。ロールの軸心は軸方向に見て逆三角形状に配置されている。上下の第1及び第2ロールがバンドを圧接し、残った第3ロールが、第1及び第2ロール間から導出されたバンドを下向きに案内する。これにより、バンドは3つのロールの下方の空間内で渦巻き状に巻かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記装置は、バンドを変形させるために3つのロールを要する。また、バンドがロールから下方(径方向)に離れた空間に案内される。よって、装置が大型化する。
【0006】
そこで本発明は、金属製のバンドを巻き取る装置の小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、金属製のバンドを巻き取るバンド巻取り装置であって、回転可能であり且つ回転することで前記バンドを回転方向に沿う外周に巻き取る巻取り体と、前記巻取り体を回転駆動する回転アクチュエータとを備え、前記巻取り体は、前記巻取り体の前記外周に、前記バンドの端部の挿入が可能である少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの凹部は、前記巻取り体の回転の径方向に対して傾斜する方向に窪む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属製のバンドを巻き取る装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るバンド巻取り装置の構成の一例を示す正面図
【
図2】実施の形態に係るバンド巻取り装置の構成の一例を示す側面図
【
図3】
図1のバンド巻取り装置のフレームの内部を拡大して示す正面図
【
図4】フレームが巻取り位置にある状態の
図1のバンド巻取り装置のフレーム及び装置支持部の内部を拡大して示す側面図
【
図5】フレームが離脱位置にある状態のバンド巻取り装置を
図4と同様に示す側面図
【
図6】実施の形態に係る巻取り体の構成の一例を示す側面図
【
図7】実施の形態に係る巻取り体の構成の一例を示す正面図であり、
図6において方向VIIで巻取り体を見た図
【
図8】実施の形態に係るバンド巻取り装置の制御系の一例を示すブロック図
【
図9】実施の形態に係るバンド巻取り装置の動作の一例を示すフローチャート
【
図10】変形例1に係る巻取り体の構成の一例を示す側面図
【
図11】変形例1に係る巻取り体の構成の一例を示す正面図であり、
図10において方向XIで巻取り体を見た図
【
図12】変形例1に係る巻取り体の変形例を
図11と同様に示す正面図
【
図13】変形例2に係るバンド案内部の構成の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明の態様例を説明する。本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、金属製のバンドを巻き取るバンド巻取り装置であって、回転可能であり且つ回転することで前記バンドを回転方向に沿う外周に巻き取る巻取り体と、前記巻取り体を回転駆動する回転アクチュエータとを備え、前記巻取り体は、前記巻取り体の前記外周に、前記バンドの端部の挿入が可能である少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの凹部は、前記巻取り体の回転の径方向に対して傾斜する方向に窪む。
【0011】
上記態様によれば、バンド巻取り装置は、金属製のバンドの端部が巻取り体の凹部に挿入されてから巻取り体を回転させることにより、バンドを巻取り体の外周に巻き付けることができる。少なくとも1つの凹部は、径方向に対して傾斜する方向に窪む。この場合、凹部の深さが凹部が径方向に窪む場合と同等であっても、凹部が径方向に占める長さが短くなる。これにより、巻取り体を径方向に小さくすることが可能である。よって、巻取り体に巻き付けられたバンドの内径が小さくなり、バンドがコンパクトに巻き付けられる。このように、バンド巻取り装置は、1つの巻取り体によってバンドをコンパクトに巻き取ることが可能である。従って、バンド巻取り装置は、その小型化を可能にする。
【0012】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記巻取り体は、前記巻取り体の回転方向に配列された複数の前記凹部を有し、前記複数の凹部が窪む方向は、前記径方向に対して同じ向きに傾斜してもよい。上記態様によれば、巻取り体の回転位置に関係なく、バンドの端部を複数の凹部のいずれかに挿入することが可能になる。さらに、複数の凹部が窪む方向が傾斜する向きが同じであるため、複数の凹部の間において、凹部へのバンドの端部の挿入のしやすさの差異が、低減される。
【0013】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記少なくとも1つの凹部は、前記径方向の外側から内側に向かって、前記径方向に対して前記回転方向と反対方向に傾斜する方向に窪んでもよい。上記態様によれば、バンドの端部が凹部に挿入された状態で巻取り体が回転したとき、当該凹部は、バンドの表面と噛み合い、バンドの表面と交差する方向の曲げ力をバンドに付与することができる。よって、巻取り体は、バンドをその外周に巻き付けることが容易になる。一方、例えば、凹部が、径方向の外側から内側に向かって、径方向に対して前記回転方向と同方向に傾斜する方向に窪む場合、巻取り体が回転すると、バンド端部が凹部から滑り出る可能性がある。
【0014】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記凹部は、前記凹部が傾斜する方向で隣り合う前記凹部と連通してもよい。上記態様によれば、バンドの端部は、当該端部が最初に挿入される凹部だけでなく、隣の凹部に至るように挿入され得る。これにより、巻取り体へのバンドの深い挿入が可能になる。よって、巻取り体が回転したときにバンドが凹部から抜け出ないような、凹部へのバンドの確実な挿入が可能になる。さらに、隣の凹部が巻取り体の回転方向と反対方向に傾斜する方向に窪んでいれば、隣の凹部に至ったバンドの端部は、隣の凹部等を通って巻取り体の外部に突出することが抑制される。よって、巻取り体に巻き付けられるバンドの小径化が可能になる。
【0015】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記少なくとも1つの凹部は、前記回転方向と交差する方向に延び且つ前記回転方向で対向する第1内面及び第2内面を有し、前記第1内面は、前記第2内面よりも前記回転方向に位置し、前記第1内面及び前記第2内面の少なくとも一方が、前記径方向に対して傾斜する方向に延びてもよい。上記態様によれば、例えば、第1内面が上記の傾斜する方向に延びる場合、バンドの端部が径方向に対して交差する方向から凹部に挿入されても、凹部へのバンドの端部の挿入が容易になり得る。例えば、第2内面が上記の傾斜する方向に延びる場合、巻取り体が回転したとき、第2内面は、凹部に挿入されたバンドと噛み合いやすくなり得る。
【0016】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記第1内面及び前記第2内面は、前記径方向に対して傾斜する方向に延び、前記第1内面及び前記第2内面の前記径方向に対する傾斜角は同等であってもよい。上記態様によれば、巻取り体に凹部を形成する加工等の処理が簡易になる。
【0017】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記第1内面及び前記第2内面は、前記径方向に対して傾斜する方向に延び、前記第1内面の前記径方向に対する傾斜角は、前記第2内面の前記径方向に対する傾斜角よりも大きくてもよい。上記態様によれば、第1内面が、径方向に対して第2内面よりも大きい傾斜角で傾斜するため、凹部は径方向外側に向かって拡がる形状を有する。よって、凹部へのバンドの端部の挿入が容易になる。
【0018】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、前記径方向の外側で前記巻取り体に隣り合って配置され且つ巻取り位置と離脱位置との間で前記巻取り体の回転軸方向に移動可能である離脱部材と、前記離脱部材を前記回転軸方向に移動させる直動アクチュエータとをさらに備え、前記離脱部材は、前記巻取り位置では、前記巻取り体の前記外周への前記バンドの巻き付けを可能にし、前記巻取り位置から前記離脱位置に移動することで、前記巻取り体に巻き付けられた前記バンドを前記回転軸方向に押圧し前記巻取り体から離脱させるように構成されてもよい。上記態様によれば、離脱部材は、巻取り体にバンドを巻き付けることと、巻取り体に巻き付けられたバンドを巻取り体から離脱させることとを可能にする。
【0019】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、前記回転軸方向で前記離脱部材と対向する対向部材と、前記離脱部材とを含む収容体をさらに備え、前記収容体は、前記離脱部材が前記巻取り位置に位置しているときに、前記巻取り体に巻き付けられる前記バンドを内部に含むように構成され、前記収容体は、前記離脱部材が前記離脱位置に位置しているときに、前記巻取り体から離脱した前記バンドの外部への排出を可能にする排出口を有してもよい。上記態様によれば、収容体が巻取り位置にあるとき、巻取り体は、収容体内においてバンドを巻き付ける。収容体は、巻き付けられるバンドが回転軸方向及び/又は径方向に広がることを抑え、コンパクトなバントの巻き付けと周囲に対するバンドからの保護とを可能にする。さらに、収容体が離脱位置にあるとき、収容体は、巻取り体から離脱したバンドをその内部で自重落下させて排出口からバンドを排出することができる。バンドの排出が容易になる。
【0020】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、前記回転アクチュエータ及び前記直動アクチュエータの動作を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記バンドの先端が前記凹部に挿入された前記巻取り体を前記回転アクチュエータにより回転させた後に、前記直動アクチュエータにより前記離脱部材を前記巻取り位置から前記離脱位置に移動させてもよい。上記態様によれば、バンド巻取り装置は、巻取り体の凹部に端部が挿入されたバンドを、巻取り体によって自動で巻き取り、巻き取り後のバンドを巻取り体から自動で離脱させることができる。よって、バンドの巻き取り及び離脱作業の自動化が可能になる。
【0021】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置は、前記巻取り体への前記バンドの移動を案内するバンド案内部をさらに備え、前記バンド案内部は、前記巻取り体の上方に延び、上下方向に揺動可能であり且つ下方の前記バンドの前記巻取り体への移動を案内する揺動部材を有してもよい。上記態様によれば、巻取り体の上方に延びる揺動部材は、巻取り体に巻き取られるバンドが上方に広がること及び跳ね返ること等を抑えることができる。さらに、揺動部材は、巻取り体に巻き取られることで拡大するバンドの径に対応して揺動しつつ、バンドの広がり及び跳ね返り等を抑えることができる。
【0022】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記バンド案内部は、前記揺動部材を前記巻取り体に向かって揺動させるように付勢する付勢部材をさらに有してもよい。上記態様によれば、付勢部材は、巻取り体に巻き取られたバンドの径が変化しても、揺動部材をバンドに押し付け、バンドに対する揺動部材による抑制を維持することができる。さらに、付勢部材は、揺動部材をバンドに押し付けることで、巻取り体に巻き取られるバンドの径を小さくすることができる。
【0023】
本発明の一態様に係るバンド巻取り装置において、前記バンド案内部は、外部から前記バンドを受け入れる受け入れ部分に少なくとも1つのローラを有し、前記少なくとも1つのローラのうちの1つが、前記揺動部材に配置され、前記揺動部材は、前記揺動部材に配置された前記ローラを上下方向に移動させるように揺動可能であってもよい。上記態様によれば、ローラは、バンドの移動を円滑にし、例えば、バンドに重なり部分、継手又はシール等が存在する場合であっても、バンドが受け入れ部分で引っかかることを抑えることができる。さらに、揺動部材のローラは、揺動部材が上下に揺動してもバンドが揺動部材に引っかかることを抑えることができる。
【0024】
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0025】
(バンド巻取り装置の構成)
実施の形態に係るバンド巻取り装置100の構成を説明する。
図1は、実施の形態に係るバンド巻取り装置100の構成の一例を示す正面図である。
図2は、実施の形態に係るバンド巻取り装置100の構成の一例を示す側面図である。
図3は、
図1のバンド巻取り装置100のフレーム5の内部を拡大して示す正面図である。
図4は、フレーム5が巻取り位置にある状態の
図1のバンド巻取り装置100のフレーム5及び装置支持部13の内部を拡大して示す側面図である。
図5は、フレーム5が離脱位置にある状態のバンド巻取り装置100を
図4と同様に示す側面図である。
【0026】
図1及び
図2に示すように、実施の形態に係るバンド巻取り装置100は、金属製の長尺のバンドBを巻き取る。バンドBは、金属板(例えば、圧延鋼板)コイルのような大型製品の梱包に用いられ、開梱時に切断されて廃棄物となる。切断されたバンドBの長さは、数メートルに及ぶ。バンドBは、例えば、鋼などの鉄系金属で成形されている。バンド巻取り装置100は、廃棄物となった長尺のバンドBを渦巻き状に塑性変形させる。
【0027】
バンド巻取り装置100は、基台1と、回転軸2と、巻取り体3と、回転アクチュエータ4と、フレーム5と、直動アクチュエータ6と、フレーム移動機構7と、バンド案内部8と、制御部9とを備える。基台1は床面等の支持面上で支持される。基台1が例えば水平な支持面に支持されると、直線状の回転軸2は水平方向に延びる。以下、回転軸2の軸方向基端から軸方向先端に向かう方向を前方向FDとし、回転軸2の軸方向先端から軸方向基端に向かう方向を後方向BDとして、方向を説明する場合がある。図面記載に基づく説明の便宜のため、左方向LD及び右方向RDが定義され、左方向LD及び右方向RDそれぞれは、
図1の正面図紙面における方向と対応し、前方向FDから後方向BDへ向いたときの左方向及び右方向を基準とする。なお、回転軸2の軸方向は、回転軸2の軸心方向でもあり、回転軸2の回転中心軸の方向でもある。
【0028】
基台1は、底板11と、底板11から上方へ延びる支柱12と、支柱12の上部に設けられた装置支持部13とを有する。本実施の形態では、基台1が台車として構成されている。底板11の下面にキャスタが取り付けられており、基台1には手押し用のバー15が設けられている。底板11上には筐体14が設けられ、制御部9及び電源装置10等が筐体14に内蔵されている。電源装置10は、回転アクチュエータ4、直動アクチュエータ6及び制御部9のような、バンド巻取り装置100の電気部品の電源である。電源装置10は、商用電源等の外部電源と接続され、外部電源から供給される電力を電源部品に供給するように構成されてもよい。又は、電源装置10は、電池を備え、電池の電力を電源部品に供給するように構成されてもよい。電池は、放電のみが可能である一次電池であってもよく、充放電が可能である二次電池であってもよい。二次電池を備える電源装置10は、外部電源と接続され、外部電源から供給される電力を二次電池に蓄電するように構成されてもよい。又は、電源装置10は、外部電源の電力及び電池の電力を電源部品に供給するように構成されてもよい。
【0029】
電池を備える電源装置10は、外部からの電力供給を常時要することはないので、バンド巻取り装置100は、台車を押して到達できる任意の場所で稼働することができる。切断後のバンドBの持ち運びは煩雑であるので、任意の場所で稼働できるバンド巻取り装置100は、特定の設置個所に定置され且つ当該設置個所に集められた切断後のバンドBを巻き取る作業を行う場合と比べ、作業効率を向上させることができる。
【0030】
回転軸2、回転アクチュエータ4及び直動アクチュエータ6は、装置支持部13に支持され、底板11から上方に離れて配置される。装置支持部13は、支柱12の上端に取り付けられた下支持部13aと、下支持部13aの上に積み重ねられた上支持部13bとを有する。下支持部13aは、矩形箱状に形成されている。
【0031】
図1~
図4に示すように、回転軸2は、下支持部13aに保持された軸受16によって回転可能に支持され、水平に向けられる。つまり、回転軸2の回転中心軸が水平方向に向けられる。回転軸2の先端部は、前方向FDへ延び、下支持部13aから前方向FDに突出している。巻取り体3は、回転軸2の先端部に設けられ、回転軸2の回転中心軸を中心に回転軸2と一体に回転する。回転アクチュエータ4は、回転軸2及び巻取り体3を回転駆動する。具体的には、回転アクチュエータ4は、下支持部13aの後方向BDで回転軸2の基端部と連結され、回転軸2を回転駆動する。巻取り体3の回転により、切断されたバンドBは、巻取り体3の回転方向に沿う外周に渦巻き状に巻き付けられる。巻取り体3の外周は、巻取り体3の回転の径方向、つまり、巻取り体3の回転中心軸と垂直な方向で外側の外周である。
【0032】
例えば、支柱12の高さは、バンドBが巻かれる様子を成人操作者が視認しやすいように設定され、装置支持部13はバー15よりも上方に位置づけられている。なお、支柱12は、上下に伸縮可能であるように構成されてもよく、さらに、伸縮範囲内の任意位置で高さを固定することが可能であるように構成されてもよい。操作者は、自身の身長に合わせて巻取り体3の位置を微調整することが可能になる。
【0033】
例えば、巻取り体3、フレーム5及びバンド案内部8は、支柱12よりも前方向FDへ配置され、筐体14は支柱12よりも後方向BDへ配置される。筐体14内の電源装置10は比較的に重量物である。電源装置10が支柱12を基準にして、巻取り体3等と前後方向で反対側に配置されるので、バンド巻取り装置100の重心が前後方向の中心に位置づけられやすい。さらに、電源装置10が低位置にあるので、バンド巻取り装置100の重心は低く位置づけられやすい。これらの結果として、バンド巻取り装置100の安定した走行が実現でき、さらに、走行停止中は、バンド巻取り装置100が支持面に安定的に支持され得る。
【0034】
図3~
図5に示すように、フレーム5は、主として、巻取り体3の外周に巻き付けられた渦巻き状のバンドBを巻取り体3から離脱させる機能と、巻取り体3から離脱したバンドBを回収のために案内する機能とを果たす。さらに、フレーム5は、バンドBを巻取り体3に巻き付ける際に外部を保護する機能と、巻取り体3上のバンドBの巻姿を安定させる機能とを果たす。
【0035】
フレーム5は、フレーム移動機構7を介して上支持部13bに、前方向FD及び後方向BDに移動可能に支持されている。フレーム5は、装置支持部13の前方向FDに配置されている。フレーム5は、箱形に形成されている。フレーム5は、後壁部材51と、前壁部材52と、接続部材とを含む。後壁部材51は、径方向の外側で巻取り体3に隣り合って配置される。後壁部材51は、回転軸2及び巻取り体3の回転中心軸方向に対して交差する方向、例えば、直交する方向に延びる。後壁部材51には、巻取り体3が通過可能な挿通穴51aが形成されている。
【0036】
前壁部材52は、後壁部材51から回転軸2の回転中心軸方向に、具体的には、前方向FDに離れて配置され、後壁部材51と対向する。前壁部材52は、接続部材によって後壁部材51と連結されている。接続部材は、後壁部材51と前壁部材52とを巻取り体3の側方、上方及び/又は下方で連結する。後壁部材51は離脱部材の一例であり、前壁部材52は対向部材の一例であり、フレーム5は収容体の一例である。
【0037】
図4及び
図5に示すように、フレーム5は、後壁部材51が巻取り体3に対して回転軸2の回転中心軸方向基端側に位置する巻取り位置と、後壁部材51が巻取り体3に対して回転中心軸方向先端側に位置する離脱位置との間で、回転軸2の回転中心軸方向に移動可能である。
【0038】
図4に示すように、巻取り位置は、フレーム5内において、巻取り体3の外周へのバンドBの巻き付けが可能である位置である。巻取り位置では、前壁部材52が巻取り体3に対して回転中心軸方向先端側(前方向FD)に位置し、巻取り体3を前方から覆う。巻取り体3は、前後の壁部材51及び52の間に位置し、フレーム5内に収容される。
【0039】
図5に示すように、離脱位置は、フレーム5内において、巻取り体3に巻き付けられたバンドBを後壁部材51が回転軸2の回転中心軸方向に押圧することでバンドBを巻取り体3から離脱させる位置である。離脱位置では、フレーム5の全体が巻取り体3に対して回転中心軸方向先端側(前方向FD)に位置する。巻取り体3は、フレーム5の外に出てフレーム5よりも回転中心軸方向基端側(後方向BD)に位置する。フレーム5の移動に際して、巻取り体3は挿通穴51aを通過する。
【0040】
図3~
図5に示すように、バンドBは、後壁部材51が巻取り位置に位置する状態で巻き取られる。フレーム5は、後壁部材51が巻取り位置に位置しているときに、巻取り体3の外周に巻き付けられたバンドBをその内部に含む。バンドBの巻取りが終わると、後壁部材51が巻取り位置から離脱位置に移動される。挿通穴51aの存在により、後壁部材51は巻取り体3と干渉せずに前方向FDへ進むことができるが、巻取り体3上の渦巻き状のバンドBは、挿通穴51aを通ることができず、後壁部材51の前面によって押されて巻取り体3に対して前方向FDへ移動させられる。後壁部材51が離脱位置に到達すると、バンドBはフレーム5内の空間で巻取り体3から離脱し、フレーム5内で自重落下する。フレーム5は、後壁部材51が巻取り位置から離脱位置に移動する過程で、巻取り体3に巻き付けられたバンドBを巻取り体3から除去する。
【0041】
フレーム5には、巻取り体3よりも下方で、落下したバンドBをフレーム5外に排出するための排出口5aが設けられている。排出口5aを設けるために、フレーム5は部分的に開放された箱形に形成される。排出口5aは、後壁部材51が離脱位置に位置しているときに、巻取り体3から離脱した巻回状態のバンドBを外部に排出する。
【0042】
単なる一例として、本実施の形態では、フレーム5が、接続部材として、上壁部材53と、一対の側壁部材54及び55と、底壁部材56とを含む。上壁部材53と、一対の側壁部材54及び55と、底壁部材56とは、前後の壁部材51及び52を上下及び両側方で連結する。以下では、前方向FDから後方向BDに向かって見たときの左方向LDの側壁部材54を左側壁部材と呼び、右方向RDの側壁部材55を右側壁部材と呼ぶ。
【0043】
底壁部材56は、水平方向に対して傾斜している。バンドBをフレーム5内に導入するための導入口5bと同じ左方向LD側の部分が相対的に上方に位置し、その反対の右方向RD側の部分が相対的に下方に位置するように、底壁部材56は傾斜している。排出口5aは、フレーム5の右方向RDの下部に形成されている。右側壁部材55の下縁は、底壁部材56から上方に離れている。排出口5aは、右側壁部材55の下縁と底壁部材56の右方向RDの端部との間に形成される。渦巻き状のバンドBは、巻取り体3から離脱すると、フレーム5内で自重落下し、傾斜した底壁部材56上を転がり落ち、排出口5aからフレーム5の外に放出される。
【0044】
前壁部材52には、回転軸2の回転中心軸方向で見たときに巻取り体3と重なる部分に、光透過部材52aが設けられている。光透過部材52aは光透過性を有する材料で形成された板状の部材であり、例えばアクリル板で構成される。これにより、フレーム5の外から内部の視認が可能である。
【0045】
直動アクチュエータ6は、後壁部材51ひいてはフレーム5を前方向FD及び後方向BD、つまり回転軸2の回転中心軸方向に移動させる。直動アクチュエータ6は、シリンダのように直線的な推力を発生するアクチュエータであってもよいが、これに限定されない。本実施の形態では、直動アクチュエータ6は電気モータである。フレーム移動機構7は、直動アクチュエータ6が発生する回転運動を直線運動に変換する。例えば、フレーム移動機構7は、
図4及び
図5に示すボールねじ機構でもよいし、ラック・ピニオン機構等の他の機構であってもよい。フレーム移動機構7の回転部材(例えば、ボールねじ)7aは、前後方向の回転中心軸周りに回転可能に上支持部13bに支持される。回転部材7aは、軸受17を介して上支持部13bに支持される。直動アクチュエータ6は、上支持部13bに対して後方向BDに配置されている。フレーム5は、後壁部材51から後方向BDに延びる延伸部5cを有する。フレーム移動機構7の直動部材(例えば、ボールねじと螺合するナット)7bは、延伸部5cに相対回転不能に取り付けられ、延伸部5cと一緒に前方向FD及び後方向BDにスライド移動するように構成される。直動アクチュエータ6の例としての電気モータは、稼働すると回転部材7aを回転させ、回転する回転部材7aは、直動部材7bを延伸部5c及び後壁部材51と共に、回転軸2の回転中心軸方向に移動させる。つまり、後壁部材51ひいてはフレーム5がフレーム移動機構7の作用により、回転軸2の回転中心軸方向に移動する。
【0046】
図6は、実施の形態に係る巻取り体3の構成の一例を示す側面図である。
図7は、実施の形態に係る巻取り体3の構成の一例を示す正面図であり、
図6において方向VIIで巻取り体3を見た図である。
図4、
図6及び
図7に示すように、巻取り体3は、回転軸2の前方向FDの先端に取り付けられる。巻取り体3は、回転軸2の先端面に締結される円板31と、円板31の表面に配置された複数のブレード32とを有する。例えば、円板31の表面は、回転軸2の回転中心軸方向と垂直であってもよい。本実施の形態では、円板31の中心は、回転軸2の軸心と同軸上に配置されるが、これに限定されず、ずれていてもよい。さらに、複数本の頭付きボルト33が、円板31の中心部に貫通形成されたボルト挿通穴に挿通されて回転軸2に螺合しており、円板31を回転軸2に固定する。ボルト33の頭部は、円板31の表面上に配置される。
【0047】
複数のブレード32は、矩形状の平板であり、その長手方向に沿う側面が円板31の表面に固定されている。各ブレード32の基端部は、円板31の径方向の中心から所定距離r1だけ離れた位置にある。各ブレード32の基端部は、円板31の中心に近い端部である。なお、ボルト33の頭部は、この所定距離r1を半径とする円(
図7での一点鎖線の円)内に配置され、複数のブレード32よりも径方向内周側に位置づけられている。
【0048】
複数のブレード32は、円板31上に立てて配置され、つまり立設され、円板31と一体となって巻取り体3を構成する。複数のブレード32は、円板31上で直立する。複数のブレード32は、円板31の周方向、つまり巻取り体3の回転方向に沿って配列されている。複数のブレード32は、円板31の周方向に間隔をあけて、例えば、等間隔で配列されている。本実施の形態では、複数のブレード32は、回転軸2の回転中心軸方向に見て放射状に配列されておらず、「螺旋状」言い換えれば「渦巻き状」に配列される。
【0049】
図7に示すように、各ブレード32は、その先端部の取付位置での径方向(
図7での一点鎖線直線に沿う方向)に対し、その基端部が巻取り体3の回転方向R1及びR2のうち一方向(
図7では時計回り方向R2)に向かうように傾斜して、当該取付位置から延びている。本実施の形態では、複数のブレード32の径方向に対する傾斜角は、互いに同等であるが、異なっていてもよい。上記傾斜角は45度以上90度以下であることが好ましい。本実施の形態では、上記傾斜角は70度前後に設定されている。このように、各ブレード32は、その先端部での径方向に対して径方向内側に向かって回転方向R1又はR2へ傾斜する方向に延在している。本実施の形態では、ブレード32の延在方向は、径方向に対し、径方向外側から径方向内側に向かって、バンドBを巻き取る際の巻取り体3の回転方向(
図7では反時計回り方向R1)と反対方向に傾斜する方向である。例えば、ブレード32の枚数は5~8枚が好ましいが、本実施の形態では、一例として6枚である。
【0050】
ブレード32の枚数が5枚以上であればブレード長を短くしても、巻取り体3によってバンドBの巻取りを開始したときに、ブレード32間の隙間に挿入されたバンドBの端部にブレード32の間に噛み込ませて曲げ力を付与しやすく、巻取りの確実性が向上する。また、巻き取られたバンドBの外形が円形になりやすく、バンドBがコンパクトに巻き取られる。8枚以下であれば、バンドBの一端部をブレード32間の隙間に挿入する作業が容易になる。
【0051】
複数のブレード32において、巻取り体3の回転方向R1で隣り合うブレード32間の隙間は、凹部Sを形成する。各凹部Sは、バンドBの端部の挿入が可能である広さを有する。各凹部Sは、巻取り体3の回転方向R1に沿う外周に位置し、且つ巻取り体3の回転の径方向に対して傾斜する方向に窪む。複数の凹部Sは、巻取り体3の回転方向R1に配列される。複数の凹部Sの少なくとも1つ、本実施の形態では、複数の凹部Sの全ては、巻取り体3の径方向の外側から内側に向かって、当該径方向に対して巻取り体3の回転方向R1と反対方向に傾斜する方向に窪む。本実施の形態では、複数の凹部Sが窪む方向は、巻取り体3の径方向に対して、巻取り体3の回転方向に関して同じ向きに傾斜している。つまり、複数の凹部Sが窪む方向は、同じ回転方向に傾斜している。各凹部Sは、径方向の外側に向かって開放し、且つ、回転軸2の回転中心軸方向先端に向かって、つまり、巻取り位置から離脱位置に向かう方向に開放している。本実施の形態では、各凹部Sは、回転方向R1で隣り合う凹部Sと連通し、回転方向R1と反対の回転方向R2で隣り合う凹部Sと連通するが、少なくとも一方と連通しなくてもよい。
【0052】
また、凹部Sを形成する2つのブレード32のうち、回転方向R1に位置するブレード32aの第1内面32aaと、回転方向R2に位置するブレード32bの第2内面32baとは、回転方向R1及びR2の凹部Sの内面を構成する。第1内面32aa及び第2内面32baは、回転方向R1と交差する方向に延び且つ回転方向R1で対向する。本実施の形態では、第1内面32aa及び第2内面32baは、巻取り体3の径方向に対して傾斜する方向に延びる。なお、第1内面32aa及び第2内面32baの一方が、巻取り体3の径方向に延びてもよい。さらに、第1内面32aaの上記径方向に対する傾斜角は、第2内面32baの上記径方向に対する傾斜角よりも大きい。なお、2つの傾斜角は同等であってもよく、2つの傾斜角の大小関係が上記と逆であってもよい。
【0053】
図3及び
図7に示すように、バンドBは、巻取り体3に左方向LD及び右方向RDの一方から導入される。本実施の形態では、左方向LDから右方向RDへバンドBが導入される。本実施の形態では、巻取り体3の回転中心軸(
図2で一点鎖線表示)よりも上方からバンドBが巻取り体3に導入される。
図7に示すように、例えば、バンドBの先端部は、正面視で巻取り体3の回転中心軸を中心として、つまり円板31の中心を中心として10時~11時の範囲に位置する状態で、巻取り体3の凹部Sの1つに挿入され得る。巻取り体3の外周に複数の凹部Sが配置されているため、巻取り体3の回転位置がいかなる位置にあっても、バンドBの先端部はいずれかの凹部Sに挿入され得る。なお、バンドBの先端部が上記以外の位置ある場合でも、バンドBの先端部の凹部Sへの挿入が可能である。
【0054】
上記状態では、バンドBは、概略斜め上方に延びつつ、自由端となっている先端部(右端部)が重力で下方に若干垂れ下がるように湾曲した姿勢をとる。バンドBの挿入方向は、導入口5bでのバンドBの搬送方向と考えてもよいし、凹部Sに到達した先端部の姿勢と考えてもよい。
【0055】
上記のように、ブレード32の枚数及びブレード32の取付角度を設定することで、バンドBの先端部が10時~11時の位置にあるとき、当該2つのブレード32の少なくとも一方は、挿入されたバンドBとほぼ同じ方向に延びる。このように、バンドBは挿入方向に沿って延びるブレード32によって形成される凹部Sに挿入され、さらに、巻取り体3が回転方向R1へ回転することで、回転方向R2側のブレード32は、概略法線方向の衝撃をバンドBの表面に付与する。当該ブレード32は、バンドBの表面に概略法線方向の曲げ力を付与し、それにより、ブレード32上でのバンドBの巻き取りが容易になる。
【0056】
バンドBの先端部は、バンド案内部8を通って、複数の凹部Sのうちの1つに導入される。バンドBの先端部が凹部Sに導入された状態で、回転アクチュエータ4が作動される。これにより、回転軸2及び巻取り体3が回転し、巻取り体3は、複数のブレード32の先端部が形成する外周縁上にバンドBを渦巻き状に巻き付ける。本実施の形態では、複数のブレード32の先端部の外周縁は、円を形成する。これにより、巻取り体3に巻き取られたバンドBの内周部が円形になりやすく、コンパクトなバンドBの巻き取りが可能になる。
【0057】
図3に示すように、バンド案内部8は、対向するガイドローラ81及び82と、揺動部材83と、付勢部材84と、固定部材85とを有する。ガイドローラ81及び82は、フレーム5の左側壁部材54に設けられた導入口5b付近に配置されている。ガイドローラ81及び82は、バンドBに重なり部分、継手又はシール等が存在する場合であっても、長尺のバンドBが導入口5bの周囲と引っかかり等の干渉をせずに、ガイドローラ81及び82の間を通ってフレーム5内に導入されるように、バンドBの円滑な移動を案内する。ガイドローラ81はフレーム5に取り付けられ、ガイドローラ82は揺動部材83に取り付けられる。
【0058】
ガイドローラ81は位置固定ローラであり、フレーム5に対する相対位置を変えない。ガイドローラ81は、導入口5bの下方でフレーム5の左側壁部材54にフランジ等の取付部材を介して取り付けられ、フレーム5に対して左方向LDに位置づけられる。
【0059】
ガイドローラ82は位置可変ローラであり、フレーム5に対する相対位置を変えることができる。ガイドローラ82は、揺動部材83を介してフレーム5に支持され、揺動部材83の揺動に従って位置を変える。
【0060】
揺動部材83はフレーム5に上下方向に揺動可能に取り付けられ、フレーム5内で巻取り体3の上方に延び、下方のバンドBの巻取り体3への移動を案内する。揺動部材83は、本体部83aと、枢軸83bと、梃子部83cとを含む。本体部83aは、長尺な板状の部材で形成される。本体部83aの基端部は、フレーム5内の右上端部、例えば、右側壁部材55の上端部付近に枢軸83bを介して揺動可能に取り付けられる。本体部83aは、枢軸83bを中心に枢軸回転することで揺動する。本体部83aは、枢軸83bからフレーム5内を横切って延在して導入口5bを通過し、本体部83aの先端部はフレーム5の外に位置づけられる。ガイドローラ82は本体部83aの先端部に設けられる。本体部83aは、フレーム5内で巻取り体3よりも上方に配置され、巻取り体3の上方を通り巻取り体3の回転中心軸と交差する方向、例えば、直交する方向に延びる。
図3において実線及び二点鎖線で示されるように、本体部83aは、導入口5b内において、枢軸83bを中心に本体部83aの先端部を上下方向に揺動させることができ、それにより、ガイドローラ82は、本体部83aの揺動に応じて上下方向に移動する。
【0061】
梃子部83cは、枢軸83bから、本体部83aが延びる方向と交差する方向に延びる。本実施の形態では、梃子部83cは、本体部83aが延びる方向と直交し且つ上方に向かう方向に延びる。
【0062】
付勢部材84は、梃子部83cの先端部と固定部材85とを連結する。本実施の形態では、付勢部材84は、梃子部83cの先端部を固定部材85に向かって引っ張る弾性力を、付勢力として梃子部83cに与える。付勢部材84の例は、コイルバネであるが、これに限定されず、例えば、シリンダ等の梃子部83cの先端部に付勢力を与えることができる構成を有すればよい。固定部材85は、付勢力に抗して付勢部材84を支持する部材であり、延伸部5cに固定して配置される。固定部材85は、フレーム5の箱状部分に固定されてもよい。固定部材85は、枢軸83b及び梃子部83cよりも左方向LDに配置される。
【0063】
付勢部材84の付勢力は、枢軸83bを中心に梃子部83c及び本体部83aを反時計回りの回転方向R1へ回動させるように付勢する。付勢部材84は、本体部83aを巻取り体3に向かって揺動させるように付勢する。そして、
図3に示すように、揺動部材83が揺動範囲の下限に位置するとき、ガイドローラ82はガイドローラ81よりも上方の下限位置に位置づけられる。例えば、上記状態で、バンドBの先端部が、ガイドローラ81及び82の間を通って巻取り体3に導入される。本体部83aの下面の形状は、巻取り体3の近傍で段差形状になっている。本体部83aの下面における巻取り体3からガイドローラ82に向かう部分は、巻取り体3から枢軸83bに向かう部分に対して下方への段差を形成する。このため、バンドBの先端部が巻取り体3の凹部Sに挿入されやすい。
【0064】
また、例えば、巻取り体3によるバンドBの巻取り中、バンドBの重なり部分、継手又はシール等がガイドローラ81及び82の間を通ると、揺動部材83の本体部83aが上方へ跳ね上げられ得る。しかしながら、付勢部材84は、本体部83aをバンドBに押し付けることで、バンドB及び本体部83aの過度な跳ね上がりを抑え、巻き付けられるバンドBの小径化を可能にする。
【0065】
図8は、実施の形態に係るバンド巻取り装置100の制御系の一例を示すブロック図である。制御部9は、回転アクチュエータ4及び直動アクチュエータ6と接続されている。さらに、本実施の形態では、制御部9は、操作者により入力操作される始動スイッチ91と接続されている。始動スイッチ91は第1スイッチ91aと第2スイッチ91bとの2つのスイッチで構成される。
【0066】
例えば、制御部9は、演算部及び記憶部を含んでもよい。そして、始動スイッチ91が操作されると、制御部9の演算部が、制御部9の記憶部に予め記憶されているプログラムを実行し、それにより種々の処理を実行してもよい。制御部9の機能の一部及び全部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。このような機能は、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。又は、制御部9の機能の一部又は全部は、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0067】
(バンド巻取り装置の動作)
実施の形態に係るバンド巻取り装置100の動作を説明する。
図9は、実施の形態に係るバンド巻取り装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップS1において、始動スイッチ91の操作に先立ち、廃棄物となった長尺のバンドBが操作者によってバンド案内部8にセットされる。具体的には、操作者は、バンドBの先端部をバンド案内部8のガイドローラ81及び82の間からフレーム5内に挿入し、さらに巻取り体3の凹部Sに挿入する。
【0068】
次いで、ステップS2において、操作者は、始動スイッチ91の第1スイッチ91aを押圧することで入力する。制御部9は、回転アクチュエータ4を低速で駆動し、回転軸2及び巻取り体3を低速な第1速度で回転させる。制御部9は、第1スイッチ91aが押されている間、回転アクチュエータ4を駆動する。制御部9は、操作者の手動操縦で巻取り体3を回転させる。操作者は、光透過部材52aを介して巻取り体3の状態を確認し、バンドBが巻取り体3にある程度巻き付けられると、第1スイッチ91aを離すことで巻取り体3の回転を停止させる。
【0069】
上記のとおり、バンドBの挿入方向が、凹部Sを形成する2つのブレード32の少なくとも一方の延在方向に沿うため、上記回転が開始すると、ブレード32は、バンドBの表面と概略垂直な方向の衝撃をバンドBに与える。それにより、バンドBの先端部は、ブレード32の径方向外側の先端と衝突し、衝突部分において屈曲(塑性変形)する。円板31の真ん中のボルト33の頭部が突出しているで、バンドBの先端部が円板31の中心付近にとどまりやすい。このため、ブレード32の外周縁へのバンドBの巻き取られやすさが向上する。
【0070】
次いで、ステップS3において、操作者は、第1スイッチ91aと第2スイッチ91bとを同時に押圧する操作をする。制御部9は、ステップS2よりも高速で回転アクチュエータ4を駆動し、巻取り体3を第1速度よりも高速である第2速度で回転させ、当該回転を継続する。制御部9は、自動操縦で巻取り体3を回転させる。これにより、バンドBは、ガイドローラ81及び82から巻取り体3に引き込まれていき、巻取り体3の外周上に渦巻き状に巻き付けられていく。回転アクチュエータ4は、バンドBを巻取り体3上で渦巻き状に塑性変形させるために十分に大きなトルクを発生する。
【0071】
バンドBは揺動部材83の本体部83aの下面に沿って送られ、そのためバンドBが上下に振れまわることが抑えられ得る。バンドBを安定して巻取り体3に給送することが可能である。巻取り体3に巻き付けられることでバンドBの巻き半径が大きくなるに従い、本体部83aは上方へ揺動する。巻き半径が変わっても、本体部83aは、バンドBを上から押さえ続けることができる。なお、ステップS2及びS3において回転アクチュエータ4を駆動させるための入力操作は、上記に限定されず、いかなる操作でもよい。
【0072】
次に、ステップS4において、バンドBが巻き取られ尽くすと、制御部9は、第2速度での回転アクチュエータ4の駆動を停止し、巻取り体3の回転を停止させる。本実施の形態では、制御部9は、予め設定された所定の継続時間にわたる第2速度での回転アクチュエータ4の駆動後、回転アクチュエータ4の駆動を停止するように構成される。制御部9が回転アクチュエータ4の駆動を停止する構成は、上記に限定されず、いかなる構成であってもよい。例えば、制御部9は、導入口5b等に配置され且つバンドBを検出するセンサの検知信号を受け取り、検知信号がバンドBの不検知を示すと、回転アクチュエータ4の駆動を停止してもよい。又は、制御部9は、始動スイッチ91の操作による指令に従って回転アクチュエータ4の駆動を停止してもよい。
【0073】
次いで、ステップS5において、巻取り体3の回転停止後、制御部9は、直動アクチュエータ6を駆動し、後壁部材51及びフレーム5を巻取り位置から離脱位置へ移動させる。制御部9は、自動操縦でフレーム5を巻取り位置から離脱位置へ移動させる。後壁部材51の移動時、巻取り体3は挿通穴51aを通過できるが、巻取り体3上に巻き付けられたバンドBは、挿通穴51aを通過できずに後壁部材51の前面に当接する。そのため、後壁部材51はバンドBを前方向FDへ押しながら移動することとなり、バンドBは、フレーム5内に収められた状態を維持しつつ、後壁部材51と共に巻取り体3に対して前方向FDへ移動する。
【0074】
次いで、ステップS6において、制御部9は、後壁部材51が離脱位置まで移動すると、直動アクチュエータ6の駆動を停止し、後壁部材51及びフレーム5の移動を停止させる。このとき、バンドBは、巻取り体3から前方向FDへ離脱しており、フレーム5内で自重落下する。フレーム5は下方の排出口5aで開放されているので、バンドBはフレーム5から下に抜け落ちる。フレーム5の下に上面が開放された回収箱を置いておけば、渦巻き状のバンドBが当該回収箱に回収される。
【0075】
次いで、ステップS7において、制御部9は、直動アクチュエータ6を駆動し、後壁部材51及びフレーム5を離脱位置から巻取り位置へ移動させる。制御部9は、自動操縦でフレーム5を巻取り位置へ移動させる。本実施の形態では、制御部9は、離脱位置において、予め設定された所定の継続時間にわたる直動アクチュエータ6の停止後、直動アクチュエータ6の駆動を開始するように構成される。制御部9が直動アクチュエータ6の駆動を開始する構成は、上記に限定されず、いかなる構成であってもよい。例えば、制御部9は、回転軸2又は巻取り体3等に配置され且つこれらに作用する荷重等の負荷を検出するセンサの検知信号を受け取り、検知信号が巻き付けられたバンドBの荷重の不検知を示すと、直動アクチュエータ6の駆動を開始してもよい。又は、制御部9は、始動スイッチ91の操作による指令に従って直動アクチュエータ6の駆動を開始してもよい。制御部9は、後壁部材51が巻取り位置まで移動すると、直動アクチュエータ6の駆動を停止する。これにより、さらなるバンドBが巻取り体3によって巻き取られることが可能になる。
【0076】
本実施の形態によれば、回転軸2と一体に回転する巻取り体3上にバンドBが巻き取られるので、複数のローラを要する装置と比べ、回転軸2の回転中心軸方向と直交する方向での装置全体の小型化が可能である。
【0077】
巻取り体3において、ブレード32が「螺旋状」に配列されるので、バンドBの先端が、隣り合う2つのブレード32間の凹部Sに挿入されやすい。さらに、巻取り体3の回転時に、バンドBにブレード32の間に噛み込ませることが容易である。そのため、バンドBを巻取り体3上で確実に巻き取ることが可能になる。
【0078】
ブレード32が円板31上で立設しており、円板31上において、ブレード32の基端部よりも径方向中心側に空間が形成される。ブレード32が回転軸2等の柱状物の外周面に設けられる場合と比べ、バンドBはブレード32の間の凹部Sに深く挿入されやすい。このため、巻取り体3の回転開始時に、バンドBにブレード32の間に噛み込ませることが容易であり、バンドBを巻取り体3上で確実に巻き取ることが可能である。バンドBは上記空間内において、円板31の中心、つまり巻取り体3の回転中心軸近くまで挿入され得るので、例えば、ブレード32の径方向の長さが短い場合でも、バンドBの挿入量を稼ぐことができる。そのため、巻回されたバンドBが形成する渦巻きの内径を小さくすることができ、廃棄物としてバンドBをコンパクトにまとめることができる。
【0079】
(変形例1)
実施の形態の変形例1に係るバンド巻取り装置を説明する。本変形例に係るバンド巻取り装置は、巻取り体の構成の点で実施の形態と異なる。以下、本変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を適宜省略する。
【0080】
図10は、変形例1に係る巻取り体3Aの構成の一例を示す側面図である。
図11は、変形例1に係る巻取り体3Aの構成の一例を示す正面図であり、
図10において方向XIで巻取り体3Aを見た図である。
【0081】
図10及び
図11に示すように、本変形例に係る巻取り体3Aは、実施の形態に係る巻取り体3において円板31と複数のブレード32とを一体化して含むように構成される。巻取り体3Aは、円板31に対応する基部31Aと、複数のブレード32に対応する複数の壁部32Aとを一体的に含む。複数の壁部32Aは、隣り合う壁部32Aの間に凹部SAを形成する。例えば、基部31A及び複数の壁部32Aは、連続する同じ材料で形成され単一の部材を構成する。例えば、基部31A及び複数の壁部32Aは、一体的に鋳造又は鍛造等されることで形成されてもよい。又は、基部31A及び複数の壁部32Aは、無垢の部材を切削することで形成されてもよい。基部31A及び複数の壁部32Aが一体化されることで、壁部32Aの強度が向上し、壁部32Aの変形等が抑制される。巻取り体3Aは、ボルト33によって回転軸2に固定される。
【0082】
複数の壁部32Aは、巻取り体3Aの回転中心軸方向に基部31Aから立設するように配置され、巻取り体3Aの回転方向に沿って配列されている。各凹部SAは、巻取り体3Aの回転方向R1に沿う外周に位置し且つ巻取り体3Aの回転の径方向に対して傾斜する方向に窪む。複数の凹部SAの少なくとも1つ、本変形例では、複数の凹部SAの全ては、巻取り体3Aの径方向の外側から内側に向かって、当該径方向に対して巻取り体3Aの回転方向R1と反対方向に傾斜する方向に窪む。本変形例では、複数の凹部SAが窪む方向は、巻取り体3Aの径方向に対して、巻取り体3の回転方向に関して同じ向きに傾斜している。各凹部SAは、径方向の外側に向かって開放し、且つ、回転中心軸方向で巻取り位置から離脱位置に向かう方向に開放している。
【0083】
また、凹部SAは、回転方向R1に位置する第1内面SAaと、回転方向R2に位置する第2内面SAbとを含む。第1内面SAa及び第2内面SAbは、回転方向R1と交差する方向に延び且つ回転方向R1で対向する。本変形例では、第1内面SAa及び第2内面SAbは、巻取り体3Aの径方向に対して傾斜する方向に延びる。さらに、第1内面SAaの上記径方向に対する傾斜角は、第2内面SAbの上記径方向に対する傾斜角と同等である。なお、第1内面SAa及び第2内面SAbの傾斜角は、互いに異なっていてもよい。例えば、第1内面SAa及び第2内面SAbの一方が、巻取り体3Aの径方向に延びてもよい。例えば、第1内面SAaの傾斜角は、実施の形態のように第2内面SAbの傾斜角よりも大きくてもよく、小さくてもよい。巻取り体3Aの外周に複数の凹部SAが傾斜して配置されているため、巻取り体3Aの回転位置がいかなる位置にあっても、バンドBの先端部を凹部SAのいずれかに挿入することが容易である。
【0084】
また、本変形例に係る巻取り体3Aにおいて、各凹部SAは、壁部32Aによって隣の凹部SAと隔てられていたが、これに限定されず、例えば、
図12に示すように、各凹部は隣の凹部と連通していてもよい。
図12は、変形例1に係る巻取り体3Aの変形例を
図11と同様に示す正面図である。
図12に示す巻取り体3Bにおいて、各凹部SBは、巻取り体3Aの凹部SAよりも巻取り体3Bの径方向内側に向かって延び、径方向内側の先端において、回転方向R2で隣り合う凹部SB、つまり、当該凹部SBが傾斜する方向で隣り合う凹部SBと連通する。巻取り体3Bは、基部31Bと、隣り合う凹部SB間を仕切る複数の第1壁部32B1と、複数の第1壁部32B1の中心に位置する第2壁部32B2とを一体的に含む。複数の第1壁部32B1は、第2壁部32B2から径方向外側に間隔をあけて配置され、各第1壁部32B1は、他の第1壁部32B1と接続されていない。上記のような巻取り体3Bも、一体的に鋳造又は鍛造等されることで形成されることができ、無垢の部材を切削することで形成されることができる。
【0085】
凹部SBへの挿入時、バンドBの先端部は、挿入された凹部SB内だけでなく、当該凹部SBに隣り合う凹部SB内に至るまで深く挿入され得る。さらに、各凹部SBは、径方向の外側から内側に向かって回転方向R1と反対方向に傾斜する方向に窪むため、バンドBの先端部は、第2壁部32B2の径方向の外周に回転方向R2で沿うように挿入され、巻取り体3Bの外部に突出しない。これにより、巻取り体3Bに巻き付けられるバンドBの小径化が可能になる。
【0086】
さらに、巻取りのために巻取り体3Bが回転方向R1に回転されると、バンドBは、入り口側の凹部SBの内面だけでなく、当該凹部SBと隣の凹部SBとの連通部分の内面、及び/又は、隣の凹部SBの内面等に接触し得る。これにより、バンドBと巻取り体3Bとの接触位置が多くなり、凹部SBからのバンドBの抜け出しが抑制される。よって、バンドBの凹部SBへの確実な挿入と、挿入されたバンドBの巻取り体3Bへの確実な巻き付けとが可能になる。
【0087】
(変形例2)
実施の形態の変形例2に係るバンド巻取り装置を説明する。本変形例に係るバンド巻取り装置は、バンド案内部の構成の点で実施の形態及び変形例1と異なる。以下、本変形例について、実施の形態及び変形例1と異なる点を中心に説明し、実施の形態及び変形例1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0088】
図13は、変形例2に係るバンド案内部8Cの構成の一例を示す側面図を、
図3と同様に示す図である。
図13に示すように、本変形例に係るバンド案内部8Cは、実施の形態に係るバンド案内部8と比較して、第2付勢部材86と第2固定部材87とをさらに有する。具体的には、バンド案内部8は、ガイドローラ81及び82と、揺動部材83と、第1付勢部材としての付勢部材84と、第1固定部材としての固定部材85と、第2付勢部材86と、第2固定部材87とを有する。
【0089】
第2付勢部材86は、揺動部材83の本体部83aと第2固定部材87とを連結する。本変形例では、第2付勢部材86は、第2固定部材87から離れる方向に本体部83aを押圧する弾性力を、付勢力として本体部83aに与える。第2付勢部材86は、本体部83aを巻取り体3に向かって揺動させるように付勢する。第2付勢部材86の例は、コイルバネであるが、これに限定されず、例えば、シリンダ等の付勢力を与えることができる構成を有すればよい。
【0090】
第2付勢部材86は、枢軸83bとガイドローラ82との間で本体部83aと接続される。本変形例では、第2付勢部材86は、本体部83aにおける揺動時に巻取り体3と接触し得る部分とガイドローラ82との間で本体部83aと接続される。より詳細には、第2付勢部材86は、本体部83aの段差部分とガイドローラ82との間で本体部83aと接続される。本変形例では、第2付勢部材86及び本体部83aの接続部分と枢軸83bとの距離は、第1付勢部材84及び梃子部83cの接続部分と枢軸83bとの距離よりも大きい。よって、第2付勢部材86は、第1付勢部材84よりも大きい付勢力によるモーメントを本体部83aに与えることができる。
【0091】
第2固定部材87は、付勢力に抗して第2付勢部材86を支持する部材であり、フレーム5に固定して配置される。具体的には、第2固定部材87は、導入口5bの周囲に配置され、導入口5bの上方の側壁部材54に固定されるが、第2付勢部材86が上記のような付勢力を本体部83aに与えることができれば、フレーム5のいかなる部分に固定されてもよい。
【0092】
揺動部材83は、付勢部材84及び86による実施の形態よりも大きい付勢力によって、本体部83aを巻取り体3に押し付ける。これにより、バンドBの先端部の巻取り体3の凹部Sへの挿入時、当該先端部が、本体部83aと巻取り体3との間を通過して凹部Sに挿入されないことが抑制される。さらに、巻取り体3へのバンドBの巻き付け時、バンドBの小径化が可能になる。
【0093】
なお、本変形例において、バンド案内部8Cは、第2付勢部材86を有するが、第1付勢部材84を有さないように構成されてもよい。また、本変形例に係るバンド案内部8Cの構成は、変形例1に用いられてもよい。
【0094】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0095】
例えば、実施の形態及び変形例において、バンドBを巻取り体の凹部に挿入する操作は、操作者の手動操作によって実行されるとしたが、自動的に実行されてもよい。例えば、ガイドローラを回転駆動する駆動装置が配置され、回転駆動されるガイドローラがバンドBを巻取り体に向かって給送するように構成されてもよい。また、バンドBの巻取り後の巻取り体の回転停止及びフレーム5の移動は、制御部9によって自動的に実行されるとしたが、これらは手動操縦で行われてもよい。
【0096】
また、実施の形態及び変形例において、バンドBの先端が左方向LD且つ上方から巻取り体に挿入される構成、径方向外側から径方向内側に向かう凹部の傾斜方向が巻取り体の回転方向R1と反対である構成、及び、凹部の傾斜角は、上記のように凹部の内面によってバンドBに衝撃を付与するための構成である。このため、上記構成のいずれも適宜変更可能である。例えば、凹部の傾斜方向及び傾斜角を上記構成と同じとした場合において、バンドBがフレーム5内に概略下向きに導入され、巻取り体の回転中心軸を中心として11時~1時の範囲に位置する凹部に挿入されてもよい。この場合も、凹部が11時~1時の範囲を通過するとき、当該範囲の凹部の姿勢は回転中心軸から概略上向きの姿勢となるので、凹部の内面からバンドBの表面にバンドBの挿入方向に対する概略法線方向の衝撃が付与され得る。
【0097】
また、実施の形態及び変形例において、回転アクチュエータ4は、回転軸2を回転駆動し回転軸2を介して巻取り体を回転させるように構成されるが、巻取り体を回転させる構成はこれに限定されない。例えば、回転アクチュエータ4は、巻取り体を回転させるように構成されればよい。例えば、回転アクチュエータ4は、巻取り体の円板又は基部を回転させるように構成されてもよい。この場合、回転アクチュエータ4は、円板又は基部とその中心で間接的又は直接的に接続されてもよく、円板又は基部の外周縁と間接的又は直接的に接続されてもよい。
【0098】
また、実施の形態及び変形例において、巻取り体の凹部の第1内面及び第2内面は、平坦な面であったが、これに限定されない。例えば、第1内面及び第2内面は、屈曲面又は曲面であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 バンド巻取り装置
3,3A,3B 巻取り体
4 回転アクチュエータ
5 フレーム(収容体)
5a 排出口
6 直動アクチュエータ
8,8C バンド案内部
9 制御部
32aa,SAa 第1内面
32ba,SAB 第2内面
51 後壁部材(離脱部材)
52 前壁部材(対向部材)
81,82 ガイドローラ
83 揺動部材
84,86 付勢部材
S,SA,SB 凹部
B バンド