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特許7590116外部記憶デバイスを介する印刷ジョブの転送のための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】外部記憶デバイスを介する印刷ジョブの転送のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241119BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241119BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241119BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241119BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
B41J29/38 201
B41J29/42 F
H04N1/00 912
G06F13/38 340Z
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020035405
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2020162115
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】16/365,762
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】サティーシュ・クマール・アンナーマライ・タンガラージ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン・ケサヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ムラリダラン・クリシュナサミー
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-307745(JP,A)
【文献】特開2008-052551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G06F 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するための方法であって、
前記外部記憶デバイスが前記多機能デバイスに接続されているときに、前記多機能デバイスによって前記外部記憶デバイスを検出することと、
前記多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定することと、
ユーザインターフェースを介して、前記ユーザの前記印刷ジョブの前記判定に基づいて、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのオプションを表示することと、
前記ユーザから入力を受信することであって、前記入力が、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するための前記オプションの選択を示す、受信することと、
前記入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成することと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから、前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに、前記ユーザの前記印刷ジョブを転送することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースを介して、前記多機能デバイスの前記印刷キュー内の2つ以上の印刷ジョブを判定する際に、前記多機能デバイスの前記ユーザの印刷ジョブのリストを表示することと、
前記外部記憶デバイスに転送するために、前記表示された印刷ジョブから少なくとも1つの印刷ジョブを選択するように前記ユーザに促すことと、
前記外部記憶デバイスに転送するために、前記少なくとも1つの印刷ジョブの選択を受信することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷ジョブに関連付けられたジョブ詳細を前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに転送することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザが、認可されたユーザである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記事前定義されたフォルダが、前記外部記憶デバイス内に事前に存在するかどうかを判定することと、
前記判定に基づいて、前記事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に自動的に作成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザが前記外部記憶デバイスを前記多機能デバイスに接続するときに、前記ユーザが、前記印刷キュー内にいずれかの保留中のジョブを有するかどうかを判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザが前記多機能デバイスの前記印刷キュー内にいずれかの保留中のジョブを有するときにのみ、前記ジョブを転送するための前記オプションを表示することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
別の多機能デバイスによって、前記印刷ジョブ及びジョブ詳細を記憶する前記外部記憶デバイスを受容することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスから、別の多機能デバイスの印刷キューに、前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細を自動的にロードすることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイス内に存在する前記事前定義されたフォルダを識別することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
別の多機能デバイスによって、前記ジョブ詳細に従って、前記印刷ジョブを印刷することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上の印刷ジョブを、多機能デバイスから、外部記憶デバイスを介して別の多機能デバイスに転送するための方法であって、
前記外部記憶デバイスが前記多機能デバイスに接続されているときに、前記多機能デバイスによって前記外部記憶デバイスを検出することと、
ーザが前記外部記憶デバイスを前記多機能デバイスに接続するときに、前記多機能デバイスの印刷キュー内で、前記ユーザに対応する1つ以上の保留中のジョブを識別することと、
ユーザインターフェースを介して、前記1つ以上の保留中のジョブの前記識別に基づいて、前記ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記ユーザの前記1つ以上の保留中のジョブのリストを表示することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記表示されたリストから、1つ以上の保留中のジョブの選択を受信することと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから、ジョブ詳細と共に、前記外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、前記選択された保留中のジョブを転送することと、
別の多機能デバイスによって、前記外部記憶デバイスを受容することであって、前記外部記憶デバイスが、前記転送された保留中のジョブ及び前記ジョブ詳細を有する前記事前定義されたフォルダを含む、受容することと、
別の多機能デバイスによって、前記転送された保留中のジョブ及び前記ジョブ詳細を含む前記事前定義されたフォルダを識別することと、
前記外部記憶デバイスから別の多機能デバイスの印刷キューに、前記ジョブ詳細と共に、前記保留中のジョブを転送することと、
前記ジョブ詳細に従って、別の多機能デバイスによって、前記ジョブを印刷することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記ユーザが、認可されたユーザである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記外部記憶デバイス内の前記事前定義されたフォルダに基づいて、前記ジョブ詳細と共に、前記保留中のジョブを、別の多機能デバイスの前記印刷キューに追加することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送システムであって、
前記外部記憶デバイスが前記多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスを検出するための検出モジュールと、
前記多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定するための判定モジュールと、
表示モジュールであって、
前記ユーザの前記印刷ジョブの前記判定に基づいて、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示することと、
前記ユーザから入力を受信することであって、前記入力が、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するための前記ジョブ転送オプションの選択を示す、受信することと、を行うための表示モジュールと、
前記入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成するための生成モジュールと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに、ジョブ詳細と共に、前記ユーザの前記印刷ジョブを転送するための転送モジュールと、を備える、ジョブ転送システム。
【請求項17】
前記生成モジュールが、更に、
前記事前定義されたフォルダが前記外部記憶デバイス内に事前に存在するかどうかを判定するため、及び
前記判定に基づいて、前記事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成するためのものである、請求項16に記載のジョブ転送システム。
【請求項18】
前記転送モジュールが、更に、前記多機能デバイスから前記外部記憶デバイスへの前記印刷ジョブの転送が成功したことを前記ユーザに通知するためのものである、請求項16に記載のジョブ転送システム。
【請求項19】
別の多機能デバイスに通信可能に結合され、別の多機能デバイスが、前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細を含む前記外部記憶デバイスを受容するためのものである、請求項16に記載のジョブ転送システム。
【請求項20】
別の多機能デバイスは、前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスから、別の多機能デバイスの印刷キューに、前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細をロードするためのものである、請求項19に記載のジョブ転送システム。
【請求項21】
別の多機能デバイスは、前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイス内に存在する前記事前定義されたフォルダを識別するためのものである、請求項19に記載のジョブ転送システム。
【請求項22】
多機能デバイスであって、
外部記憶デバイスを受容する周辺ポートと、
前記周辺ポートと通信するジョブ転送システムと、を備え、前記ジョブ転送システムが、
前記外部記憶デバイスが前記多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスを検出するための検出モジュールと、
前記多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定するための判定モジュールと、
表示モジュールであって、
前記ユーザの前記印刷ジョブの前記判定に基づいて、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示することと、
前記ユーザから入力を受信することであって、前記入力が、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するための前記ジョブ転送オプションの選択を示す、受信することと、を行うための表示モジュールと、
前記入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成するための生成モジュールと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから、前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに、前記ユーザの前記印刷ジョブを転送するための転送モジュールと、を含む、多機能デバイス。
【請求項23】
前記表示モジュールが、更に、
前記多機能デバイスの前記印刷キュー内の2つ以上の印刷ジョブを判定する際に、前記ユーザの印刷ジョブのリストを表示するため、
前記外部記憶デバイスに転送するために、前記表示された印刷ジョブから少なくとも1つの印刷ジョブを選択するように前記ユーザに促すため、及び
前記外部記憶デバイスに転送するために、前記少なくとも1つの印刷ジョブの選択を受信するためのものである、請求項22に記載の多機能デバイス。
【請求項24】
前記転送モジュールが、更に、前記印刷ジョブに関連付けられたジョブ詳細を前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに転送するためのものである、請求項22に記載の多機能デバイス。
【請求項25】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、
外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、前記多機能デバイスによって前記外部記憶デバイスを検出することと、
前記多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定することと、
前記ユーザの前記印刷ジョブの前記判定に基づいて、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのオプションを表示することと、
前記ユーザから入力を受信することであって、前記入力が、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するための前記オプションの選択を示す、受信することと、
前記入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に自動的に作成することと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに、前記ユーザの前記印刷ジョブを転送することと、を行うように、処理リソースによって実行可能な命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記事前定義されたフォルダが前記外部記憶デバイス内に事前に存在するかどうかを判定することと、
前記事前定義されたフォルダが事前に存在しない場合には、前記事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に自動的に作成することと、を行うように、前記処理リソースによって実行可能な命令を含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記印刷ジョブに関連付けられたジョブ詳細を前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに転送するように、前記処理リソースによって実行可能な命令を含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
別の多機能デバイスによって、前記印刷ジョブ及びジョブ詳細を記憶する前記外部記憶デバイスを受容するように、前記処理リソースによって実行可能な命令を含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記印刷ジョブ及びョブ詳細を前記外部記憶デバイスから、別の多機能デバイスの印刷キューに自動的にロードするように、前記処理リソースによって実行可能な命令を含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイス内に存在する前記事前定義されたフォルダを識別するように、前記処理リソースによって実行可能な命令を含む、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
システムであって、
多機能デバイスであって、
外部記憶デバイスが前記多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスを検出することと、
前記多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定することと、
前記ユーザの前記印刷ジョブの前記判定に基づいて、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示することと、
前記ユーザから入力を受信することであって、前記入力が、前記印刷ジョブを前記外部記憶デバイスに転送するための前記ジョブ転送オプションの選択を示す、受信することと、
前記入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを前記外部記憶デバイス内に作成することと、
前記多機能デバイスの前記印刷キューから前記外部記憶デバイスの前記事前定義されたフォルダに、ジョブ詳細と共に、前記ユーザの前記印刷ジョブを転送することと、を行うための多機能デバイスと、
別の多機能デバイスであって、
前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細を記憶する前記外部記憶デバイスを受容することと、
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイス内に存在する前記事前定義されたフォルダを識別することと、
前記外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、前記外部記憶デバイスから、別の多機能デバイスの印刷キューに、前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細を自動的にロードすることと、
前記ジョブ詳細に従って、前記印刷ジョブを印刷することと、を行うための別の多機能デバイスと、を備える、システム。
【請求項32】
別の多機能デバイスが、前記外部記憶デバイス内の前記事前定義されたフォルダに基づいて、別の多機能デバイスの前記印刷キューに、前記印刷ジョブ及び前記ジョブ詳細をロードするためのものである、請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、印刷の分野に関し、特に、外部記憶デバイスを介した印刷ジョブの転送のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ユーザはドキュメントを印刷するために、ホストシステムで実行されているアプリケーションプログラムから印刷コマンドを選択して、多機能デバイスで印刷サービスを開始する。印刷のために提出されたドキュメントは、印刷ジョブと称される。多機能デバイスは、印刷ジョブを受信し、印刷ジョブを他の印刷ジョブと共にその印刷キューに追加し、次いで、先着順で印刷を実施する。
【0003】
しかしながら、ある状況では、多機能デバイスが印刷ジョブの実行又は実行を終了できない場合がある。例えば、多機能デバイスは、印刷を再開する前に多機能デバイスを修理する必要がある、例えば、紙詰まり又は定着ユニットの問題を経験する可能性がある。別の例として、多機能デバイスは、印刷を実行する前に補充する必要がある、印刷を実施するために必要な紙、トナーなどの印刷リソースを使い果たす可能性がある。更に別の例として、多機能デバイスに印刷ジョブを提出したユーザは、ユーザが、多機能デバイスの印刷されたサンプルドキュメントの画質が悪いことに気付く場合、あるいはユーザが急いでいる、又はユーザの印刷ジョブに時間がかかる可能性があるため、他のユーザが自分の前に多機能デバイスを使用できるようにしたいと考えるときに、ユーザは後の時点で印刷ジョブを実行したい場合があるなど、様々な理由により、その時点で印刷ジョブの印刷を続行したくない場合がある。このような状況では、多機能デバイスは、印刷ジョブが実行されることを防止するか、進行中の印刷ジョブを途中で終了して印刷動作を中止してもよい。
【0004】
多機能デバイスが、ネットワークを通じて通信可能に結合された別の好適な多機能デバイスにユーザの印刷ジョブをリダイレクトする、様々な印刷ジョブリダイレクトの技術が過去に採用されてきた。多機能デバイスは、印刷ジョブが送信された多機能デバイスが何らかの理由で印刷ジョブを実行できないときに、印刷ジョブを別の多機能デバイスにリダイレクトして実行する。しかしながら、このような印刷ジョブリダイレクトの技術は自律的であり、印刷ジョブをリダイレクトしながらユーザの同意及び選好/理由を考慮しない。更に、ネットワーク障害の場合、印刷ジョブリダイレクトの技術は機能しない。更に、従来の印刷ジョブリダイレクトの技術は、上で考察される様々な理由により、ユーザがその時点で多機能デバイスによる印刷ジョブの印刷を継続したくない状況では機能しない場合がある。このことから、改善された方法及びシステムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に示される態様によれば、印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するための方法が説明される。この方法は、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、多機能デバイスによって外部記憶デバイスを検出することを含む。次いで、多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかが判定される。印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションは、ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて表示される。ユーザから入力を受信し、入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションの選択を示す。入力を受信することに基づいて、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス内に作成する。最後に、ユーザの印刷ジョブは、後で読み出し及び/又は印刷するために、多機能デバイスの印刷キューから外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに転送される。
【0006】
本明細書に示される更なる態様によれば、1つ以上の印刷ジョブを、外部記憶デバイスを介して、多機能デバイスから別の多機能デバイスに転送するための方法が開示される。この方法は、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、多機能デバイスによって外部記憶デバイスを検出することを含む。次いで、ユーザが外部記憶デバイスを多機能デバイスに接続するときに、多機能デバイスの印刷キュー内のユーザに対応する1つ以上の保留中のジョブは識別される。ユーザインターフェースを介して、1つ以上の保留中のジョブの識別に基づいて外部記憶デバイスにジョブを転送するためのジョブ転送オプションが表示される。ユーザの1つ以上の保留中のジョブのリストが、ユーザインターフェースを介して表示される。表示されたリストからの1つ以上の保留中のジョブの選択が、ユーザインターフェースを介して受信される。選択された保留中のジョブは、多機能デバイスの印刷キューから、ジョブ詳細と共に、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに転送される。外部記憶デバイスは、別の多機能デバイスによって受容され、外部記憶デバイスは、転送された保留中のジョブ及びジョブ詳細を有する事前定義されたフォルダを含む。保留中のジョブ及びジョブ詳細を有する事前定義されたフォルダは、別の多機能デバイスによって識別される。ジョブは、ジョブ詳細と共に外部記憶デバイスから別の多機能デバイスの印刷キューに転送される。最後に、印刷ジョブは、別の多機能デバイスによって、ジョブ詳細に従って、印刷される。
【0007】
本明細書に示される更なる態様によれば、ジョブ転送システムが説明される。このジョブ転送システムは、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスを検出するための検出モジュールを含む。更に、ジョブ転送システムは、多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定するための判定モジュールを含む。ジョブ転送システムは、ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示するための表示モジュールを更に含む。表示モジュールは、ユーザから入力を更に受信し、入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションの選択を示す。ジョブ転送システムは、入力の受信に基づいて、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス内に自動的に作成するための生成モジュールと、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、ジョブ詳細と共に、ユーザの印刷ジョブを転送するための転送モジュールと、を更に含む。
【0008】
本明細書に示される態様によれば、多機能デバイスが説明される。多機能デバイスは、外部記憶デバイスを受容するための周辺ポートを含む。多機能デバイスは、周辺ポートと通信するジョブ転送システムを更に含む。このジョブ転送システムは、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスを検出するための検出モジュールを含む。更に、ジョブ転送システムは、多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定するための判定モジュールを含む。ジョブ転送システムは、ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示するための表示モジュールを含む。表示モジュールは、ユーザから入力を受信し、入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションの選択を示す。ジョブ転送システムは、入力の受信に基づいて事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス内に自動的に作成するための生成モジュールと、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、ユーザの印刷ジョブを転送するための転送モジュールと、を更に含む。
【0009】
本明細書に示される更なる態様によれば、処理リソースによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が説明される。処理リソースは、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、多機能デバイスによって外部記憶デバイスを検出することである。処理リソースは、更に、多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブが存在するかどうかを判定するためのものである。更に、処理リソースは、ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションを表示するためのものである。処理リソースは、更に、ユーザから入力を受信するためのものであり、入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションの選択を示す。また、処理リソースは、入力の受信に基づいて、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス内に自動的に作成することと、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、ユーザの印刷ジョブを転送することと、を行うためのものである。
【0010】
本明細書に示される態様によれば、システムが開示される。システムは、多機能デバイス及び別の多機能デバイスを含む。多機能デバイスは、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスを検出することと、多機能デバイスの印刷キュー内にユーザの印刷ジョブがあるかどうかを判定することと、ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションを表示することと、ユーザから入力を受信することであって、入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションの選択を示す、受信することと、入力の受信に基づいて、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイスに作成することと、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、ジョブ詳細と共に、ユーザの印刷ジョブを転送することと、を行うためのものである。別の多機能デバイスは、印刷ジョブ及びジョブ詳細を記憶する外部記憶デバイスを受容することと、外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイス内に存在する事前定義されたフォルダを識別することと、外部記憶デバイスが別の多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスから、別の多機能デバイスの印刷キューに、印刷ジョブ及びジョブ詳細を自動的にロードすることと、ジョブ詳細に従って、印刷ジョブを印刷することと、を行うためのものである。
【0011】
本開示の他の及び更なる態様及び特徴は、本開示を限定するのではなく、例示することを意図した実施形態の以下の詳細な説明を読むことから明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】例示的な物理的な多機能デバイスを示す。
図1B】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを転送するための例示的な環境を示す。
図1C】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを転送するための例示的な環境を示す。
図2】本開示の例示的な一実施形態による、ジョブ転送システムのブロック図を示す。
図3A】本開示の例示的な一実施形態による、多機能デバイスのユーザインターフェースの例示的なスナップショットを示す。
図3B】本開示の例示的な一実施形態による、多機能デバイスのユーザインターフェースの例示的なスナップショットを示す。
図4A】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するための例示的なプロセスを示す。
図4B】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するための例示的なプロセスを示す。
図5】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを外部記憶デバイスから別の多機能デバイスに転送するための例示的なプロセスを示す。
図6】本開示の例示的な一実施形態による、多機能デバイスの実装のためのハードウェアプラットフォームを示す。
図7A】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを1つのデバイスから別のデバイスに転送するための詳細な方法を示す。
図7B】本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを1つのデバイスから別のデバイスに転送するための詳細な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される実施形態のいくつかの発明の態様を、様々な図を参照して以下で詳細に説明する。実施形態は、特許請求の範囲によって定義される、その範囲を限定するものではない、開示された主題を例示するために説明される。当業者であれば、以下の説明で提供される様々な特徴のいくつかの等価な変形例を認識するであろう。
【0014】
非限定的な定義
本開示で使用される1つ以上の用語の定義は、限定することなく以下に記載される。当業者であれば、定義は明確にするためにのみ提供され、以下に提供されるものよりも多くの例を含むことが意図されていることが理解される。
【0015】
「多機能デバイス」という用語は、印刷、スキャン、コピー、撮像、ファックスなどの複数の別個の機能性を実行する単一のデバイスを指す。多機能デバイスは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを含む。多機能デバイスは、ネットワークに参加し、他の多機能デバイス、コンピューティングデバイス、ユーザ、又はこれらの任意の組み合わせなどの様々なデバイスと通信してもよい。本開示の文脈では、多機能デバイスは、その印刷キューから外部記憶デバイスに、対応するジョブ詳細と共に、1つ以上の印刷ジョブを転送することができる。更に、多機能デバイスは、印刷ジョブを外部記憶デバイスからその印刷キューに追加/転送することができる。
【0016】
「別の多機能デバイス」は、上述の多機能デバイスとは異なる多機能デバイスであり、上述の多機能デバイスと同じジョブ転送能力を有する。
【0017】
「ジョブ転送システム」という用語は、ジョブを1つの多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するものである。更に、ジョブ転送システムは、ジョブを外部記憶デバイスから別の多機能デバイス及び/又は同じ多機能デバイスに転送する。
【0018】
「外部記憶デバイス」という用語は、多機能デバイスに接続することができる任意の記憶デバイスを指す。外部記憶デバイスは、ドキュメント、ファイル、フォルダ、又は任意の形式の任意の他のタイプのデータなどのデータを記憶する。外部記憶デバイスのいくつかの非限定的な例としては、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)デバイス、ハードディスク、メモリカード、SDカード、CD、又は他の形態の外部記憶デバイスが挙げられる。外部記憶デバイスは、「記憶デバイス」又は「外部デバイス」又は「ポータブルデバイス」という用語と互換的に使用されてもよい。本開示の文脈では、外部記憶デバイスは、対応するジョブ詳細と共に、保留中の1つ以上の印刷ジョブを記憶する。
【0019】
「印刷ジョブ」という用語は、ポストスクリプト(PostScript、PS)、ポータブルドキュメントフォーマット(Portable Document Format、PDF)及び拡張マークアップ言語(Extensible Markup Language、XML)の紙仕様(XPS)などのページ記述言語(page description language、PDL)ドキュメントの形態でユーザによって提出されたジョブである。印刷ジョブは、複数のページを有するドキュメントを含む。各ページはページ番号に関連付けられているか、又は任意の他のページ識別子を有してもよい。印刷ジョブは、1つ以上のジョブ属性を有する。
【0020】
「事前定義されたフォルダ」という用語は、ユーザによって作成されたフォルダ、又は多機能デバイス/ジョブ転送システムによって自動的に作成されるフォルダを指す。事前定義されたフォルダは、1つ以上の印刷ジョブをジョブ詳細と共に格納して、多機能デバイス/別の多機能デバイスによって印刷される。印刷ジョブは、外部記憶デバイス内のジョブ定義フォーマット(Job Definition Format、JDF)又はページ記述言語(Page Description Language、PDL)形式で記憶される。事前定義されたフォルダはまた、読み出し、移動、及び操作され得るアプリケーション、ドキュメント、ファイル、データ、他のサブフォルダなどのための記憶空間であってもよい。
【0021】
「認可されたユーザ」という用語は、サービスを使用するために多機能デバイス/別の多機能デバイスに登録されているユーザを指す。「特権ユーザ」という用語は、自身の印刷ジョブ及び追加の権利を優先するための権利を有するユーザを指す。本開示の文脈では、特権ユーザは、外部記憶デバイス内に事前定義されたフォルダを作成することができるか、又は、事前定義されたフォルダの名称を変更して、自身の印刷ジョブを優先することができる。全ての特権ユーザが認可されたユーザであることが理解される。
【0022】
例示的な実施形態
ユーザは、印刷ジョブなどのジョブを多機能デバイスに提出するが、ジョブが印刷キューの最上部に到達する前に、1つ以上の理由により、キューからそれを削除したい状況がある。例えば、ユーザは画像品質が悪いことに気付き、多機能デバイスは、紙詰まり、定着ユニットの問題などによって不良な状態にあり、多機能デバイスは媒体、トナーなどリソースが少なく、ユーザは急いでおり、後の時点で自身のジョブを実行することを望むか、又はユーザは、自身のジョブにより多くの時間がかかる可能性があるので、彼の後ろの他のユーザが多機能デバイスを使用できることを望む。市場では、ユーザが自身のジョブを印刷するための別の多機能デバイス又はプリンタを見つけ出すことに役立ついくつかの解決策が利用可能であるが、既存の解決策は、上で考察される全ての状況でユーザに対して機能しないか、ネットワークを必要とするか、又はユーザの同意/選好を考慮しない場合がある。
【0023】
上記の問題を克服するために、本開示は、ユーザが多機能デバイスによって実行されたくないか、又は後で印刷ジョブを実行することを望む、印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送するための方法及びシステムを開示する。次いで、ユーザがジョブを印刷したいとき、転送された印刷ジョブは、別の多機能デバイス又は同じ多機能デバイスに追加することができる。このようにして、この方法及びシステムは、ユーザが、印刷ジョブを最初から再構成することなく、又はネットワーク接続性を必要とせずに、より便利な時間にユーザが印刷ジョブを実行するのを支援する。
【0024】
これを可能にするために、本開示は、ジョブ転送システム及びその実装方法を提供する。ジョブ転送システムは、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスに、ジョブ詳細と共に、ユーザの印刷ジョブを転送する。ジョブ及びジョブ詳細は、JDF又はPDLなどの事前定義された形式で事前定義されたフォルダ内に格納される。ジョブ及びジョブ詳細は、格納されたジョブ及びジョブ詳細が別の多機能デバイスによって可読であるように、事前定義されたフォルダ内に格納される。ユーザが外部記憶デバイスを別の多機能デバイスに差し込むとき、別の多機能は、事前定義されたフォルダ及び事前定義されたフォルダ内に格納されたいずれかのジョブを識別する。識別時に、別の多機能デバイスは、印刷のために、事前定義されたフォルダに基づいて、ジョブ及びジョブ詳細をそのジョブキューに追加する。このように、ジョブ転送システムは、ユーザが多機能デバイスのジョブキューをクリーンアップし、自身のジョブを即座に転送可能なジョブに変換する方法を提供する(それらを再構成する必要はない)。更に、ジョブ転送システムは、(例えば)元のターゲットの多機能デバイスが故障しているか、又は他のジョブの印刷で現在使用中である場合に、ユーザが、自身のジョブを異なる多機能デバイスに迅速に移動させることを可能にする。
【0025】
ジョブ転送システムは、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせの形態であり得る。ジョブ転送システムは、多機能デバイスの一部であるが、他の可能な方法で実装することができる。
【0026】
図1Aは、本開示を実施するための多機能デバイスA(MFD-A)102及び多機能デバイスB(MFD-B)112などの例示的な物理的な多機能デバイスを示す。MFD-A102及びMFD-B112は、構造及び機能性において類似している。代替的に、MFD-A102及びMFD-B112は、本開示の範囲を限定することなく、それらの構造及び機能性が異なってもよい。MFD-A102及びMFD-B112は、様々なユーザから受信したドキュメントの印刷を実施する。印刷に加えて、MFD-A102及びMFD-B112は、スキャン、ファックス、コピー、撮像などの追加の機能性を含んでもよい。図示のように、MFD-A102及びMFD-B112は独立型デバイスであるが、MFD-A102及びMFD-B112は、互いに及び他のデバイスに通信可能に結合されたネットワークの一部であってもよい。
【0027】
MFD-A102は、ユーザが印刷のための印刷ジョブを最初に提出する多機能デバイスである。上で考察される様々な理由又はシナリオにより、ユーザは、MFD-A102で印刷ジョブを印刷し続けることを望むことはなく、したがって、ユーザは、MFD-A102から外部記憶デバイスに印刷ジョブを転送する。MFD-B112は、ユーザが印刷ジョブを外部記憶デバイスからMFD-B112に転送する多機能デバイスである。MFD-B112は、別の多機能デバイスと称される。MFD-A102及びMFD-B112は、システムを形成し、MFD-B112は、別の多機能デバイスを表す。
【0028】
典型的には、MFD-A102は、1つ以上の方法を通じてユーザから印刷ジョブを受信する。受信すると、MFD-A102は、受信した印刷ジョブをその印刷キューに追加する。1つ以上の理由により、ユーザは、自身の印刷ジョブをMFD-A102から転送することを望み、更に自身のジョブをMFD-B112で印刷することを望む。本開示の文脈では、MFD-A102は、その印刷キューから、外部記憶デバイスを介してMFD-B112に、ユーザの印刷ジョブを転送する。MFD-A102は、まず、外部記憶デバイスに、ジョブ詳細と共に、受信した印刷ジョブを記憶する。次いで、ユーザは、外部記憶デバイスをMFD-B112に接続する。次に、MFD-B112は、外部記憶デバイスに記憶されたジョブを読み出し、その印刷キューに、ジョブ詳細と共に、記憶されたジョブを追加する。最後に、MFD-B112は、転送されたジョブを印刷する。より詳細は、後続の図と併せて考察される。
【0029】
印刷ジョブは、通常のジョブ、安全なジョブ、遅延ジョブなどであってもよい。遅延ジョブは、具体的な時間、午前11:00などで印刷するためにスケジュールされるものである。印刷ジョブは、MFD-A102の印刷キュー内で保留中のジョブである。
【0030】
図1B及び1Cは、本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブの転送のための例示的な環境100、110を示す。図1Aは、多機能デバイスから外部記憶デバイスへの印刷ジョブの転送のための環境100を示す。例示的な一実施形態では、環境100は、多機能デバイスA(MFD-A)102及び外部記憶デバイス104を含む。MFD-A102は、他の動作の中でも、印刷、スキャン、コピー、及び/又はファックスを行うことができる。MFD-A102の様々な例は、多機能周辺デバイス、プリンタ、多機能プリンタなどであってもよい。外部記憶デバイス104は、既知の又は後に開発されたフォーマットで、データ、ドキュメント、ファイルなどを記憶する。外部記憶デバイス104の様々な例としては、ユニバーサルシリアルバス(USB)デバイス、ハードディスク、メモリカード、CD、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
図示の環境100では、MFD-A102は、周辺ポート106及びジョブ転送システム108を含む。当該例示的な実施形態では、周辺ポート106及びジョブ転送システム108は、互いに通信して、MFD-A102の機能性を実施する。外部記憶デバイス104は、MFD-A102の周辺ポート106を介してMFD-A102に通信可能に結合される。一実施例では、周辺ポート106はユニバーサルシリアルバス(USB)ポートであってもよい。別の実施例では、周辺ポート106は、外部記憶デバイス104とMFD-A102との間の通信を容易にする任意の好適なポート又はコネクタであってもよい。
【0032】
MFD-A102は、本開示を実施するために必要とされる1つ以上の追加の構成要素を更に含んでもよい。例えば、MFD-A102は、ユーザインターフェース101を含む。ユーザインターフェース101は、ユーザからの入力を受信し、ユーザに出力を提供するように、外部記憶デバイス104のユーザとのMFD-A102の相互作用を促進する。例えば、ユーザインターフェース101は、ジョブ転送オプション又は他のデフォルトオプションなどの様々なオプションをユーザに表示する。ユーザインターフェース101は、ジョブ成功メッセージなどのメッセージをユーザに更に表示する。一実施例では、ユーザインターフェース101は、キーパッド、ボタン、タッチパッド、ジョイスティック、追加のディスプレイ、タッチスクリーンなどの構成要素、又はユーザとMFD-A102との間の相互作用を促進する任意の他の構成要素を含んでもよい。
【0033】
例示的な一実施形態では、ユーザは、1つ以上の方法を介して、印刷ジョブなどのジョブをMFD-A102に提出する。例えば、ユーザは、その自身のコンピューティングデバイスを介して印刷ジョブを提出する。別の実施例では、ユーザは、ゲートウェイを通じて印刷ジョブを提出する。これらは2つの例であり、ユーザは、他の方法を通じて印刷ジョブを提出することができる。印刷ジョブを提出している間に、1つ以上のジョブ属性が提出される。ジョブ属性の様々な例としては、カラー印刷、白黒印刷、複数のコピー、単純又は両面印刷などが挙げられる。ジョブ及びジョブ属性は、MFD-A102によって受信される。印刷ジョブは、MFD-A102の印刷キューに追加される。上で考察される1つ以上の理由により、ユーザはMFD-A102で自身のジョブの印刷を続行することを望まず、自身の印刷ジョブをMFD-A102から削除することを決定し、別の多機能デバイス、例えばMFD-B112で自身のジョブを印刷することを望むと考えられる。
【0034】
このような例示的実施形態によれば、ユーザは最初に自身の印刷ジョブをMFD-A102から外部記憶デバイス104に転送する。当該実施形態では、ユーザは、外部記憶デバイス104をMFD-A102の周辺ポート106に差し込むことで、外部記憶デバイス104をMFD-A102に接続する。したがって、MFD-A102の周辺ポート106は、ユーザの外部記憶デバイス104を受容する。一実施例では、ユーザは、認可されたユーザである。認可されたユーザは、ユーザ名及びパスワードなどの認証情報を使用してMFD-A102にアクセスすることができるユーザとして理解されてもよい。
【0035】
その後、ジョブ転送システム108は、外部記憶デバイス104がMFD-A102に接続されているときに外部記憶デバイス104を検出する。ジョブ転送システム108が外部記憶デバイス104を検出するとき、ジョブ転送システム108は、MFD-A102の印刷キュー内にユーザのいずれかの印刷ジョブが存在するかどうかを判定する。ユーザの印刷ジョブがMFD-A102の印刷キュー内に保留中である場合、次いで、ジョブ転送システム108のみが、オプション、すなわち、印刷ジョブを外部記憶デバイス104に転送するためのユーザへのジョブ転送オプションを表示する。一実施例では、ジョブ転送システム108は、MFD-A102のユーザインターフェース101上にオプション「USBにジョブを転送する」を表示してもよい。
【0036】
ユーザが印刷ジョブを外部記憶デバイス104に転送したい場合、ユーザは、印刷ジョブを転送するためのオプションを選択する。ジョブ転送システム108は、ユーザから入力を受信する。入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイス104に転送するためのオプションの選択を示す。一実施例では、入力はタッチ入力又はボタン入力であってもよい。更に、入力の受信に基づいて、ジョブ転送システム108は、外部記憶デバイス104内に事前定義されたフォルダを作成する。一実施例では、ジョブ転送システム108は、「job_transfer」フォルダと命名されたフォルダを作成してもよい。別の実施例では、ジョブ転送システム108は、「Insta-job print」と命名されたフォルダを作成してもよい。事前定義されたフォルダが作成されると、ジョブ転送システム108は、ユーザの印刷ジョブ及びそれぞれのジョブ詳細をMFD-A102の印刷キューから外部記憶デバイス104の事前定義されたフォルダに転送する。印刷ジョブのジョブ詳細の例としては、印刷ジョブの固有の識別番号、ジョブ名、印刷ジョブのパスコード、印刷時間、及び印刷ジョブの提出時にユーザによって提出されたジョブ属性などの他の印刷詳細が挙げられるが、これらに限定されない。このようにして、印刷ジョブは、MFD-A102からユーザの外部記憶デバイス104に転送される。ユーザは、自身の印刷ジョブを印刷するためのいずれかの多機能デバイスに外部記憶デバイス104を接続することができる。1つのこのような多機能デバイスは、MFD-B112である。
【0037】
図1Cは、外部記憶デバイスから別の多機能デバイスへの印刷ジョブの転送のための環境110を示す。例示的な一実施形態では、環境110は、多機能デバイスB(MFD-B)112及び外部記憶デバイス104を含む。
【0038】
例示的な一実施形態では、MFD-B112は、周辺ポート114及びジョブ転送システム108を含む。当該例示的な実施形態では、周辺ポート114及びジョブ転送システム108は、互いに通信して、MFD-B112の機能性を実施する。外部記憶デバイス104は、MFD-B112の周辺ポート114を介してMFD-B112に通信可能に結合される。一実施例では、周辺ポート114はUSBポートであってもよい。別の実施例では、周辺ポート114は、外部記憶デバイス104とMFD-B112との間の通信を容易にする任意の好適なポート又はコネクタであってもよい。
【0039】
MFD-B112は、本開示を実施するために必要とされる1つ以上の追加の構成要素を更に含んでもよい。例示的な一実施形態では、MFD-B112は、ユーザインターフェース111を含む。ユーザインターフェース111は、ユーザからの入力を受信し、ユーザに出力を提供するように、外部記憶デバイス104のユーザとのMFD-B112の相互作用を促進してもよい。例えば、ユーザインターフェース111は、ジョブ転送オプション又は他のデフォルトオプションなどの様々なオプションをユーザに表示してもよい。ユーザインターフェース111は、ジョブが正常に印刷されたなどのメッセージを、又は他のメッセージをユーザに更に表示する。一実施例では、ユーザインターフェース111は、キーパッド、ボタン、タッチパッド、ジョイスティック、追加のディスプレイ、タッチスクリーンなどの構成要素、又はユーザとMFD-B112との間の相互作用を促進する任意の他の構成要素を含んでもよい。
【0040】
環境110では、外部記憶デバイス104は、図1Bで考察される例示的な実施形態による、印刷ジョブをジョブ詳細と共に含む。印刷ジョブは、MFD-A102の印刷キューから外部記憶デバイス104に転送されたジョブである。
【0041】
例示的な一実施形態によれば、ユーザが自身の印刷ジョブを外部記憶デバイス104からMFD-B112に転送したいとき、ユーザは、外部記憶デバイス104をMFD-B112に接続する。当該実施形態では、ユーザは、外部記憶デバイス104をMFD-B112の周辺ポート114に差し込むことで、外部記憶デバイス104をMFD-B112に接続する。したがって、MFD-B112の周辺ポート114は、ユーザの外部記憶デバイス104を受容する。外部記憶デバイス104は、転送された印刷及びジョブ詳細を記憶する。
【0042】
その後、ジョブ転送システム108は、MFD-B112に接続された外部記憶デバイス104を検出する。次いで、ジョブ転送システム108は、外部記憶デバイス104内に少なくとも1つの印刷ジョブを有する事前定義されたフォルダが存在するかどうかを識別する。事前定義されたフォルダはまた、少なくとも1つの印刷ジョブのジョブ詳細を含む。少なくとも1つの印刷ジョブを有する事前定義されたフォルダの識別に基づいて、ジョブ転送システム108は、少なくとも1つの印刷ジョブ及びジョブ詳細を外部記憶デバイス104から読み出し、MFD-B112の印刷キューに、読み出した印刷ジョブを印刷のために自動的に追加する。印刷ジョブは、事前定義されたフォルダの名称などの事前定義されたフォルダに基づいて印刷キューに追加される。しかし、印刷ジョブは、事前定義されたフォルダの他のパラメータに基づいて追加され得る。一実施例では、外部記憶デバイス104が「job_transfer」と命名されたフォルダを含む場合、次にジョブ転送システム108は、印刷ジョブを印刷キュー内の次の利用可能なスロットに移動させる。別の実施例では、外部記憶デバイス104が「Insta-job print」と命名されたフォルダを含む場合、次にジョブ転送システム108は、印刷ジョブが優先制で即座に印刷されるように印刷ジョブを印刷キューの最上部に移動させる。事前定義されたフォルダ内では、「Insta-job print」の「insta」という句は、ジョブの即座の印刷が必要であることを示す。事前定義されたフォルダが「Insta-job print」であるこのような場合、格納された印刷ジョブは、ユーザの介入を必要とせずに自動的に印刷される。最後に、最初にMFD-A102に提出されたユーザの印刷ジョブは、外部記憶デバイス104を介して印刷するためにMFD-B112に転送される。MFD-B112は、ジョブ詳細に従ってジョブを印刷する。
【0043】
例示的な一実施形態では、印刷ジョブが外部記憶デバイス104からMFD-B112の印刷キューに転送されると、ユーザは印刷ジョブのパスコードに入り、印刷ジョブが安全な印刷ジョブである場合に印刷ジョブを解放してもよい。したがって、安全性が保証された印刷ジョブは、MFD-B112によって正常に印刷される。このようにして、ユーザの印刷ジョブは、印刷ジョブを再構成する必要なく、即座に転送可能な印刷ジョブに変換される。
【0044】
理解を容易にするために、図1A図1B及び図1Cは、印刷ジョブを、1つの多機能デバイス、すなわち、MFD-A102から、異なる/別の多機能デバイス、すなわち、MFD-B112に、外部記憶デバイス、すなわち外部記憶デバイス104を介して転送することに関して考察される。そのような場合、印刷ジョブは最初にMFD-A102から外部記憶デバイス104に転送され、印刷ジョブは、外部記憶デバイス104からMFD-B112に更に転送される。このような場合のシナリオは、様々な理由により、MFD-A102が動作していないときに実施されてもよい。しかし、本開示はまた、多機能デバイス、すなわち、MFD-A102から、外部記憶デバイス104を介して同じ多機能デバイス、すなわち、MFD-A102に、印刷ジョブを転送することに関して実施することもできる。そのような場合、印刷ジョブは最初にMFD-A102から外部記憶デバイス104に転送され、印刷ジョブは、外部記憶デバイス104からMFD-A102に更に返送される。そのような場合のシナリオは、ユーザが後の時点でジョブを印刷したいときに実施されてもよい。
【0045】
MFD-A102は、印刷ジョブをその印刷キューから外部記憶デバイスに転送する機能性を含み、印刷ジョブ(同じ印刷ジョブ又は異なる印刷ジョブでもよい)を外部記憶デバイス(同じ外部記憶デバイス又は異なる外部記憶デバイスでもよい)からMFD-A102又はMFD-B112に転送する機能性を更に含む。同様に、MFD-B112は、印刷ジョブをその印刷キューから外部記憶デバイスに転送する機能性を含み、印刷ジョブ(同じ印刷ジョブ又は異なる印刷ジョブでもよい)を外部記憶デバイス(同じ外部記憶デバイス又は異なる外部記憶デバイスでもよい)からMFD-B112又はMFD-A102に転送する機能性を更に含む。
【0046】
当業者には理解されるように、MFD-A102及びMFD-B112は、図1A図1B、及び図1Cは例示的に示されており、本明細書におけるシステム及び方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、より少ない構成要素又はより多くの構成要素を含み得る他のタイプの印刷デバイスに等しく適用可能である。
【0047】
図2は、本開示の例示的な一実施形態による、ジョブ転送システム108のブロック図200を示す。ジョブ転送システム108は、図1A図1B、及び図1Cで上述されたMFD-A102及びMFD-B112などのデバイス内に実装することができる。考察を容易にするために、ジョブ転送システム108は、MFD-A102に関して考察される。図2を考察しながら、図1A図1Cなどの他の図を参照することができる。MFD-Aが参照されるとき、MFD-A102が参照されることが理解される。同様に、MFD-Bが参照されるとき、MFD-B112が参照されることが理解される。
【0048】
図示のように、ジョブ転送システム108は、検出モジュール202と、判定モジュール204と、表示モジュール206と、生成モジュール208と、転送モジュール210と、を含む。各モジュールは、本開示を実施するために互いに通信してもよい。例示的な一実施形態では、判定モジュール204は、検出モジュール202と通信してもよい。表示モジュール206は、判定モジュール204と通信してもよい。生成モジュール208は、表示モジュール206と通信してもよい。転送モジュール210は、生成モジュール208と通信してもよい。
【0049】
ジョブ転送システム108の検出モジュール202は、外部記憶デバイス104がMFD-A102に接続されているときに外部記憶デバイス104を検出する。一実施例では、外部記憶デバイス104のユーザは、外部記憶デバイス104をMFD-A102の周辺ポート106に差し込むことによって、外部記憶デバイス104をMFD-A102に接続してもよい。外部記憶デバイス104がMFD-A102に差し込まれたときに、検出モジュール202は外部記憶デバイス104を検出する。前述のように、外部記憶デバイス104はUSBであってもよい。
【0050】
外部記憶デバイス104の検出に続いて、ジョブ転送システム108の判定モジュール204は、MFD-A102の印刷キュー内に、保持されているユーザの1つ以上の印刷ジョブがあるかどうかを判定する。ユーザの印刷ジョブの判定に基づいて、ジョブ転送システム108の表示モジュール206は、印刷ジョブを外部記憶デバイス104に転送するためのオプションを表示する。表示モジュール206は、MFD-A102のユーザインターフェース上に印刷ジョブを転送するためのオプションを表示する。一実施例では、表示モジュール206は、MFD-A102のユーザインターフェース上にオプション「USBにジョブを転送する」を表示してもよい。表示モジュール206は、「USBにジョブを転送する」オプションと共に「USBから印刷する」オプション及び「USBにスキャンする」オプションなどの追加のデフォルトオプションを表示してもよい。
【0051】
表示モジュール206は、ユーザから入力を受信する。入力は、印刷ジョブを外部記憶デバイス104に転送するためのオプションの選択を示す。一実施例では、表示モジュール206によって受信される入力は、タッチ入力又はボタン入力であってもよい。ジョブ転送オプションを選択すると、表示モジュール206は、多機能デバイスの印刷キュー内の2つ以上の印刷ジョブを決定する際に、ユーザの印刷ジョブのリストをユーザインターフェース上に表示し、外部記憶デバイス104に転送するために、表示された印刷ジョブから少なくとも1つの印刷ジョブを選択するようにユーザに促す。印刷ジョブのリストは、ユーザによって提出された全ての印刷ジョブを含むが、実行のために保留中である。次いで、表示モジュール206は、ユーザから外部記憶デバイス104に転送するための少なくとも1つの印刷ジョブの選択を受信する。一実施例では、ユーザは、転送のために印刷ジョブの全て又は一部を選択してもよい。簡潔にするために、ユーザは、本開示の範囲を制限することなく、転送のための単一の印刷ジョブを選択すると考えることができる。
【0052】
ユーザから印刷ジョブの選択を受信すると、生成モジュール208は、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス104内に自動的に作成する。いくつかの実装形態では、ユーザから印刷ジョブの選択を受信すると、生成モジュール208は、事前定義されたフォルダが外部記憶デバイス104内に事前に存在するかどうかを最初に確認する。事前定義されたフォルダが事前に存在しない場合、次に生成モジュール208は、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス104内に作成する。そのような全ての場合では、事前定義されたフォルダは、「job_transfer」又は「Insta-job print」と命名されてもよい。事前定義されたフォルダが外部記憶デバイス104内に事前に存在する場合、次に転送モジュール210は、選択された印刷ジョブを外部記憶デバイス104の事前定義されたフォルダに直接転送する。
【0053】
事前定義されたフォルダが外部記憶デバイス104内に作成されると、ジョブ転送システム108の転送モジュール210は、MFD-A102の印刷キューから、外部記憶デバイス104の事前定義されたフォルダに、選択されたユーザの印刷ジョブを転送する。転送モジュール210は、印刷ジョブと共に、選択された印刷ジョブに関連付けられたジョブ詳細を転送する。ジョブ詳細は、印刷ジョブの固有の識別番号、印刷ジョブ名、印刷ジョブのパスコード、印刷時間、元々提出されたジョブ属性などを含んでもよい。
【0054】
選択された印刷ジョブを外部記憶デバイス104の事前定義されたフォルダに転送した後、転送モジュール210は、MFD-A102から外部記憶デバイス104への印刷ジョブの転送が成功したことをユーザに通知する。一実施例では、転送モジュール210は、ユーザインターフェース上のポップアップメッセージを介してユーザに通知する。転送モジュール210は、「USBへのジョブ転送は成功した」というメッセージをユーザインターフェース上にポップアップしてもよい。
【0055】
後でユーザが外部記憶デバイス104内に記憶されたジョブを印刷したいとき、ユーザは外部記憶デバイス104をMFD-B112などの別の多機能デバイスに差し込む。MFD-B112はまた、108などのジョブ転送システムを実装する。MFD-B112は、ジョブ転送システム108と同じ構成要素及びジョブを転送する機能性を有する異なるジョブ転送システムを有してもよい。しかし、考察を容易にするために、ジョブ転送システム108を参照する。ジョブ転送システム108は、別の多機能デバイスMFD-B112に通信可能に結合される。ジョブ転送システム108は、検出モジュール202と、判定モジュール204と、表示モジュール206と、生成モジュール208と、転送モジュール210と、を含む。
【0056】
外部記憶デバイス104がMFD-B112に差し込まれたときに、検出モジュール202は外部記憶デバイス104を検出する。外部記憶デバイス104の検出時に、判定モジュール204は、外部記憶デバイス104内に少なくとも1つの印刷ジョブ(すなわち、MFD-A102から転送された印刷ジョブ)を含むいずれかの事前定義されたフォルダが存在するかどうかを判定/識別する。少なくとも1つの印刷ジョブを含む事前定義されたフォルダが外部記憶デバイス104内で識別された場合、転送モジュール210は、少なくとも1つの印刷ジョブを、ジョブ詳細と共に外部記憶デバイス104からMFD-B112の印刷キューに転送する。このようにして、転送モジュール210は、印刷のために、MFD-B112の印刷キューに少なくとも1つの印刷ジョブ及びジョブ詳細を自動的に追加する。
【0057】
事前定義されたフォルダの名称に基づいて、事前定義されたフォルダ内の少なくとも1つの印刷ジョブはMFD-B112の印刷キューに追加される。事前定義されたフォルダが「job_transfer」フォルダと命名された場合、次に「job_transfer」フォルダ内に格納された少なくとも1つの印刷ジョブは、MFD-B112の印刷キューの次の利用可能なスロットに転送される。事前定義されたフォルダが「Insta-job print」フォルダと命名された場合、次に「Insta-job print」フォルダ内に格納された少なくとも1つの印刷ジョブは、MFD-B112の印刷キューの最上部に転送され、その結果、少なくとも1つの印刷ジョブは優先制で即座に印刷される。
【0058】
少なくとも1つの印刷ジョブをMFD-B112の印刷キューに転送した後、転送モジュール210は、外部記憶デバイス104からMFD-B112に少なくとも1つの印刷ジョブの転送が成功したことをユーザに通知する。一実施例では、転送モジュール210は、「多機能デバイスへのジョブ転送は成功した」ことを、ポップアップメッセージを介してユーザに通知する。
【0059】
少なくとも1つの印刷ジョブが外部記憶デバイス104からMFD-B112の印刷キューに転送されると、少なくとも1つの印刷ジョブはMFD-B112によって正常に印刷される。印刷ジョブが安全な印刷ジョブである場合、ユーザは、印刷ジョブにパスコードを入力してもよい。一実施例では、第1のジョブの「印刷時間」が午後5時であり、第2のジョブの「印刷時間」が午後5時15分であるように2つの印刷ジョブがMFD-B112に転送される場合、MFD-B112はこれらの2つの印刷ジョブをスケジュールのとおり印刷する。
【0060】
ジョブ転送システム108は、デバイス、MFD-A102、及びMFD-B112に通信可能に結合されてもよい。
【0061】
上で考察されるように、ジョブ転送システム108は、ジョブ転送に関連する機能性を実装する。しかし、いくつかの実装形態では、ジョブ転送システム108の機能性は、MFD-A102及びMFD-B112に直接組み込まれ得る。このような実装形態では、MFD-A102及びMFD-B112は、上記で詳述され、以下で考察されるように、ジョブ転送機能を実施する。
【0062】
図3A及び図3Bは、本開示の例示的な一実施形態による、MFD-A102などの多機能デバイスのユーザインターフェースの例示的なスナップショット300、320を示す。
【0063】
スナップショット300に見られるように、MFD-A102は、301として印を付けた「ジョブをUSBに転送する」オプションを「USBから印刷する」302及び「USBにスキャンする」304のオプションと共にそのユーザインターフェース上に表示する。例示的な一実施形態では、ユーザがUSBをMFD-A102に挿入するときに、MFD-A102は、その印刷キューを確認し、ユーザの印刷ジョブが印刷キュー内に存在するか又は保留中であることを見つけ出す。ユーザに対応するいずれかの保留中のジョブがMFD-A102の印刷キュー内に見つけ出したときにのみ、ユーザインターフェースを介してユーザにジョブ転送オプションが表示される。
【0064】
図3Bのスナップショット320では、ユーザインターフェースを介して、印刷ジョブのリストがユーザに表示される。リスト311は、MFD-A102の印刷キュー内に存在している/保留中の313、315、317及び319などのジョブを示す。スナップショット320は、転送のために(チェックボックスを使用して)ユーザによって選択された313、315及び319などの1つ以上のジョブを更に示す。ジョブ313、315及び319がユーザによって選択された後、ユーザは、スナップショット320に示されるように、転送のために「ジョブをUSBに転送する」オプション321を選択する。
【0065】
図4A図4Bは、本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブをMFD-A102から外部記憶デバイス104に転送するための例示的なプロセス400を示す。プロセス400は、ユーザが印刷ジョブをMFD-A102から外部記憶デバイス104に転送したいときに実施される。図4A図4Bを考察しながら、図1A図1Cなどの他の図を参照することができる。
【0066】
図4A及び図4Bに見られるように、プロセス400は、ブロック402で開始する。ブロック404を実施する前に、ユーザは、MFD-A102にログインする。ユーザは、自身のユーザ名及び/又はパスワードをMFD-A102に提供する。MFD-A102は、ユーザのログイン認証情報が正しいかどうかを確認し、確認に基づいて、MFD-A102は、ユーザが更に続行することを可能にする。ログイン認証情報が正しい場合、ユーザは、認可されたユーザとしてログインされる。
【0067】
ブロック404において、認可されたユーザは、ユニバーサルシリアルバス(USB)デバイスなどの外部記憶デバイス104をMFD-A102に挿入する。ブロック406において、MFD-A102は、その印刷キュー内のユーザの1つ以上の印刷ジョブの存在を確認する。ユーザの1つ以上の印刷ジョブがMFD-A102の印刷キュー内に存在する場合、次にブロック408において、MFD-A102は、他のデフォルトオプションと共に、オプション「ジョブをUSBに転送する」をユーザインターフェース上に表示する。ブロック410において、ユーザは、「ジョブをUSBに転送する」オプションを選択する。次いで、ブロック412において、MFD-A102は、選択のためにキューに入れられたユーザの全ての印刷ジョブをユーザインターフェース上にリスト化する。その後、ブロック414において、ユーザは、MFD-A102からUSBに転送するために、表示された印刷ジョブから印刷ジョブを選択する。ユーザ選択を受信すると、ブロック416において、MFD-A102は、例えば、USB内の「Insta-job transfer」フォルダと命名された事前定義されたフォルダの存在を確認する。「Insta-job transfer」と命名されたフォルダがUSB内に存在しない場合、次にブロック418において、MFD-A102は、最初に、USB内に事前定義されたフォルダ、「Insta-job transfer」フォルダを自動的に作成する。更に、ブロック420において、MFD-A102は、事前定義されたフォルダ、「Insta-job transfer」フォルダに、ユーザによって選択された全ての印刷ジョブを転送する。ブロック422において、MFD-A102は、「USBへのジョブ転送は成功した」というメッセージを有するポップアップを介してユーザへのジョブ転送を確認する。更に、ブロック424において、ユーザは、USBをMFD-A102から取り外す。
【0068】
ユーザの印刷ジョブがMFD-A102の印刷キュー内に存在しない場合、406の状態にループバックし、次いでプロセス400は、すぐにブロック426に移動する。ブロック426において、MFD-A102は、デフォルトオプションのみをそのユーザインターフェース上でユーザに表示する。デフォルトオプションは、例えば、「USBから印刷する」オプション及び「USBにスキャンするオプション」を含んでもよい。次いで、ブロック428において、ユーザはデフォルトオプションに進む。例えば、ユーザは、「USBにスキャンするオプション」に進んでもよい。次いで、プロセス400は、ブロック430で停止する。
【0069】
図5は、本開示の例示的な一実施形態による、印刷ジョブを外部記憶デバイス104からMFD-B112へ転送するための例示的なプロセス500を示す。プロセス500は、ユーザが、自身の印刷ジョブをMFD-B112で印刷するために外部記憶デバイス104からMFD-B112に転送することを望むときに実施される。図5を考察しながら、図1A図1Cなどの他の図を参照することができる。
【0070】
図5に見られるように、プロセス500は、ブロック502で開始する。ブロック504を実施する前に、ユーザはMFD-B112にログインする。ユーザは、自身のユーザ名及び/又はパスワードをMFD-B112に提供する。MFD-B112は、ユーザのログイン認証情報が正しいかどうかを確認し、確認に基づいて、MFD-B112は、ユーザが更に続行することを可能にする。ログイン認証情報が正しい場合、ユーザは認可されたユーザとしてログインされる。
【0071】
ブロック504において、認可されたユーザは、USBデバイスなどの外部記憶デバイス104をMFD-B112に挿入する。更に、ブロック506において、MFD-B112は、USBの内部の「Insta-job transfer」フォルダ」などと命名された事前定義されたフォルダの存在を確認する。「Insta-job transfer」と命名されたフォルダがUSB内に存在する場合、次にブロック508において、MFD-B112は、USB内の「Insta-job transfer」フォルダ内に格納された全ての印刷ジョブをその印刷キューに転送する。ブロック510において、MFD-B112は、「多機能デバイスへのジョブ転送は成功した」というメッセージを有するポップアップを介してユーザへのジョブ転送を確認する。
【0072】
USB内に事前定義されたフォルダが存在しない場合、506の状態にループバックし、MFD-B112はブロック512に移動する。ブロック512において、MFD-B112は、デフォルトオプションをユーザインターフェース上のユーザに表示し、次いで、ユーザがデフォルトオプションに進むブロック514に移動する。プロセス500は、最後にブロック516で停止する。
【0073】
図6は、本開示の一実施例による、多機能デバイスの実装のためのハードウェアプラットフォーム600を示す。例示的な一実施形態では、ハードウェアプラットフォーム600は、本明細書に記載される実施例と共に使用され得るコンピュータシステム600であってもよい。コンピュータシステム600は、サーバ又は別のコンピュータシステム内にあり得る構成要素を含む計算プラットフォームを表してもよい。コンピュータシステム600は、プロセッサ(例えば、単一若しくは複数のプロセッサ)、又は他のハードウェア処理回路によって、本明細書に記載される方法、機能、及び他のプロセスを実行してもよい。これらの方法、機能、及び他のプロセスは、ハードウェア記憶デバイス(例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能、プログラマブルROM)、EEPROM(電気的消去可能、プログラマブルROM)、ハードドライブ、及びフラッシュメモリ)などの非一時的であってもよいコンピュータ可読媒体上に記憶された機械可読命令として具現化されてもよい。コンピュータシステム600は、本開示の方法を実施するために、非一時的コンピュータ可読記憶媒体604上に記憶されたソフトウェア命令又はコードを実行するプロセッサ602を含んでもよい。ソフトウェアコードは、例えば、外部記憶デバイスから多機能デバイスに、及び別の多機能デバイスから外部記憶デバイスに印刷ジョブを転送する命令を含む。一実施形態では、ジョブ転送システム108は、ソフトウェアコード又は上記ブロックを実装する構成要素である。
【0074】
コンピュータ可読記憶媒体604上の命令は、ストレージ606又はランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)608内で命令を読み取られ、記憶される。ストレージ606は、後で実行するために少なくともいくつかの命令を記憶できる静的データを保持するための大きな空間を提供する。記憶された命令は、命令の他の表現を生成するために更にコンパイルされ、RAM608内に動的に記憶されてもよい。プロセッサ602は、RAM608から命令を読み取り、指示されたアクションを実施する。
【0075】
コンピュータシステム600は、ユーザへの視覚情報を含むがこれらに限定されない出力として、実行の結果の少なくとも一部を提供するための出力デバイス610を更に含む。出力デバイス610は、コンピューティングデバイス上のディスプレイを含むことができる。例えば、ディスプレイは、携帯電話画面又はラップトップ画面であり得る。GUI及び/又はテキストは、表示画面上の出力として提示される。コンピュータシステム600は、データを入力する及び/又は他の方法でコンピュータシステム600と相互作用するための機構を有するユーザ又は別のデバイスを提供するための入力デバイス612を更に含む。入力デバイスは、例えば、キーボード、キーパッド、マウス、又はタッチスクリーンを含んでもよい。一実施形態では、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するオプション、及び印刷ジョブの転送が成功した通知が出力デバイス610上に表示される。これらの出力デバイス610及び入力デバイス612の各々は、1つ以上の追加の周辺装置によって接合され得る。
【0076】
ネットワーク通信装置614は、コンピュータシステム600をネットワークに接続し、次いで、例えば、他のクライアント、サーバ、データストア、及びインターフェースを含む、ネットワークに接続された他のデバイスに接続するために提供されてもよい。ネットワーク通信装置614は、例えば、LANアダプタ又は無線アダプタなどのネットワークアダプタを含んでもよい。コンピュータシステム614は、データソース618にアクセスするためのデータソースインターフェース616を含む。データソースは、情報リソースである。一実施例として、例外とルールのデータベースがデータソースになる場合がある。更に、知識リポジトリ及び精選されたデータは、データソースの他の実施例であってもよい。
【0077】
図7A図7Bは、本開示の例示的な一実施形態による、1つの多機能デバイスから別の多機能デバイスに印刷ジョブを転送するための完全な方法700を示す。印刷ジョブは、ユーザが自身の入力を提供するときにのみ、例えば、転送される1つ以上の印刷ジョブのオプション及び/又は1つ以上の印刷ジョブの選択が転送される。この方法は、ユーザが自身の印刷ジョブを多機能デバイス(MFD-A102など)から外部記憶デバイス(104)に転送し、次いで、印刷のために外部記憶デバイス(104)から別の多機能デバイス(MFD-B112)に記憶された印刷ジョブを転送するときを概説する。図7A及び図7Bを考察しながら、図1A図1Cなどの他の図を参照することができる。MFD-Aが参照されるとき、MFD-A102が参照されることが理解される。同様に、MFD-Bが参照されるとき、MFD-B112が参照されることが理解される。
【0078】
初めに、ユーザは、ユーザ名及び/又はパスワードを使用して多機能デバイスにログインする。多機能デバイスは、ユーザ名及び/又はパスワードに基づいてユーザを認証し、その後、ユーザが認可されたユーザとしてログインすることを可能にする。認証されている間に、多機能デバイスは、ユーザが特権ユーザであるかどうかを確認する。これを確認するために、多機能デバイスは、特権ユーザの事前定義されたリストでユーザ認証情報を確認する。ユーザ認証情報をリストに見つけ出した場合、ユーザは特権ユーザと見なされる。それ以外の場合、ユーザは認可されたユーザとしてログインされる。
【0079】
ログインが成功すると、ユーザは、外部記憶デバイスを多機能デバイスに接続する。外部記憶デバイスは、USBポートなどの周辺ポートを介して多機能デバイスに接続される。外部記憶デバイスは、多機能デバイスによって受容される。一実施例では、認可されたユーザは、多機能デバイスに登録され、多機能デバイスへのアクセスを有するユーザとして理解されてもよい。外部記憶デバイスを多機能デバイスに接続する前に、ユーザは、ユーザ名及びパスワードなどの自身の認証情報を使用して多機能デバイスにログインする必要がある。いくつかの実装形態では、ユーザは、外部記憶デバイスを多機能デバイスに接続した後に、多機能デバイスにログインする必要がある。
【0080】
図7A及び図7Bを参照すると、ブロック702において、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスは多機能デバイスによって検出される。一実施例では、ジョブ転送システム108の検出モジュール202は、外部記憶デバイスが多機能デバイスに接続されているときに、外部記憶デバイスを検出してもよい。
【0081】
ブロック704において、ユーザが外部記憶デバイスを多機能デバイスに接続するときに、多機能デバイスの印刷キュー内のユーザに対応する1つ以上の保留中のジョブが識別される。一実施例では、ジョブ転送システム108の判定モジュール204は、ユーザがその印刷キュー内にいずれかの保留中の印刷ジョブを有するかどうかを識別してもよい。
【0082】
ブロック706において、1つ以上の保留中のジョブの識別に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのジョブ転送オプションなどのオプションが表示される。ジョブ転送オプションは、ユーザが多機能デバイスの印刷キュー内にいずれかの保留中のジョブを有するときにのみ表示される。印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションは、多機能デバイスのユーザインターフェース上に表示される。一実施例では、ジョブ転送システム108の表示モジュール206は、1つ以上の保留中のジョブの識別に基づいて、印刷ジョブを外部記憶デバイスに転送するためのオプションを表示してもよい。ユーザが印刷キュー内に保留中のジョブを有さない場合には、この方法は停止する。
【0083】
ブロック708において、ユーザの1つ以上の保留中のジョブのリストが、ユーザインターフェースを介して表示される。一実施例では、ジョブ転送システム108の表示モジュール206はリストを表示してもよい。ブロック710において、表示されたリストから1つ以上の保留中のジョブの選択が受信される。ユーザが多機能デバイスからの転送を望む印刷ジョブは、ユーザインターフェースを介して選択又は入力される。一実施例では、選択は、ユーザインターフェース上で受信され、ユーザから受信した入力は、タッチ入力又はボタン入力であってもよい。一実施例では、ジョブ転送システム108の表示モジュール206は、1つ以上の保留中のジョブの選択を受信してもよい。
【0084】
保留中のジョブを選択すると、ブロック712において、選択された保留中のジョブは、多機能デバイスの印刷キューから、外部記憶デバイスの事前定義されたフォルダに、ジョブ詳細と共に転送される。一実施例では、転送モジュール210は、選択されたジョブを外部記憶デバイスに転送してもよい。選択された印刷ジョブを転送する前に、事前定義されたフォルダを外部記憶デバイス内に作成する。一実施例では、ジョブ転送システム108の生成モジュール208は、外部記憶デバイス内に事前定義されたフォルダを自動的に作成してもよい。事前定義されたフォルダは、ユーザのタイプに基づいて作成されてもよい。ユーザが認可されたユーザである場合、事前定義されたフォルダは、「job_transfer」などの名称で作成される。ユーザが特権ユーザである場合、事前定義されたフォルダは、「Inst-print job」などの名称で作成される。フォルダ名は、事前定義されたフォルダの内部のジョブが特権ユーザに属する、したがって優先される必要があることを示す。「inst」という句は、即時印刷が必要であることを示し、特権ユーザの場合にのみ可能である。ユーザが特権ユーザとして認識された場合、ユーザは、必要に応じて事前定義されたフォルダを作成してもよい。更に、特権ユーザは、生成モジュール208によって作成された場合に、事前定義されたフォルダの名称を変更してもよい。事前定義されたフォルダを作成する前に、外部記憶デバイス内にいずれかの事前定義されたフォルダが存在するかどうかが確認される。外部記憶デバイスが事前定義されたフォルダを有する場合、方法は、選択された印刷ジョブを外部記憶デバイス内の事前定義されたフォルダに直接転送する。このようにして、選択された印刷ジョブは、多機能デバイスの印刷キューから、ジョブ詳細と共に外部記憶デバイスに転送される。
【0085】
ジョブ詳細は、印刷ジョブの固有の識別番号、印刷ジョブ名、印刷ジョブのパスコード、印刷時間、ジョブ属性などを含んでもよい。ジョブ及びジョブ詳細は、JDFなどの事前定義された形式で格納される。一実施例では、ジョブ及びジョブ詳細は、ジョブ及びジョブ詳細が多機能デバイスによって読み取り可能であるように格納される。別の実施例では、ジョブ及びジョブ詳細は、ジョブ及びジョブ詳細がユーザによって読み取り可能であるように格納される。
【0086】
印刷ジョブを多機能デバイスから外部記憶デバイスに転送した後、この方法は、選択された印刷ジョブが外部記憶デバイスから別の多機能デバイスに転送されたときに更に進む。ユーザは、外部記憶デバイスを別の多機能デバイスに差し込む。差し込むと、ユーザは、認可されたユーザとして別の多機能デバイスにログインする。ログイン手順及びユーザ判定手順は、上記と同じである。
【0087】
ログイン後、ブロック714において、別の多機能デバイスは、ユーザが差し込んだ外部記憶デバイスを受容し、検出する。外部記憶デバイスは、転送された保留中のジョブ及びジョブ詳細を有する事前定義されたフォルダを含む。ブロック716において、転送された保留中のジョブ及びジョブ詳細を含む事前定義されたフォルダは、別の多機能デバイスによって識別される。ブロック718において、保留中のジョブ及びジョブ詳細は、外部記憶デバイスから別の多機能デバイスの印刷キューに転送/ロードされる。
【0088】
保留中の印刷ジョブは、事前定義されたフォルダに基づいて転送される。例えば、印刷ジョブは、事前定義されたフォルダの名称に基づいて転送される。印刷ジョブの名称が「job_transfer」である場合、印刷ジョブは、別の多機能デバイスの印刷キュー内で利用可能な次のスロットに追加される。印刷ジョブの名称が「inst-print」である場合、印刷ジョブは、別の多機能デバイスの印刷キューの最上部に追加される。
【0089】
印刷ジョブは、最終的に、外部記憶デバイスから別の多機能デバイスの印刷キューに転送される。追加されると、印刷ジョブは、ブロック720のジョブ詳細に従って印刷される。このようにして、ユーザは、1つの多機能デバイスから、外部記憶デバイスを介して別の多機能デバイスに、印刷ジョブを容易に転送することができる。
【0090】
方法400、500及び700は、処理リソースによって実行可能な命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体の形態で実装され得る。例えば、MFD-A102から外部記憶デバイス104に印刷ジョブを転送する方法は、非一時的コンピュータ可読媒体の形態で実施することができる。同様に、外部記憶デバイス104からMFD-B112に印刷ジョブを転送する方法は、非一時的コンピュータ可読媒体の形態で実施することができる。
【0091】
例示的な場合のシナリオ
本開示のより良好な理解のために、例示的な場合のシナリオが考察される。一実施例では、ユーザは、自身のコンピューティングデバイスから、多機能デバイス、すなわちMFD-Aに、3つの安全なジョブ(ジョブA、ジョブB及びジョブC)を提出すると考えられる。次いで、ユーザは、近くのMFD-Aに到達し、許可されたユーザとしてMFD-Aにログインする。次に、ユーザは、テスト目的でサンプルドキュメントを印刷し、印刷されたサンプルドキュメント上では画像品質が良好ではないことに気付く。その結果、ユーザは、別の多機能デバイス、すなわち、MFD-Bでジョブを印刷することを決定する。次いで、ユーザは、ペンドライブなどの外部記憶デバイスをMFD-Aに差し込む。次に、MFD-Aは、そのジョブキューを確認し、ユーザのジョブがジョブキュー内に存在することを見つけ出す。次に、MFD-Aは、ユーザに、「USBから印刷する」オプション及び「USBにスキャンする」オプションなどの他のオプションと共に、オプション「USBに転送する」を促す。次いで、ユーザは、「USBに転送する」オプションを選択する。MFD-Aは、ユーザインターフェース上のユーザの3つの安全なジョブの全てをリスト化する。ユーザは、ジョブB及びジョブCを選択し、ユーザインターフェースを介して自身の確認を提供する。確認を受信した後、MFD-Aは、USBの内部にInsta_job_transferなどのフォルダを自動的に作成し、USBに、ジョブ詳細と共に、選択されたジョブB及びジョブCを転送する。転送後、MFD-Aは、「USBへのジョブ転送は成功しました、USBを取り外してください」というメッセージを表示する。次いで、ユーザは、MFD-AからUSBを取り外す。ユーザは、許可されたユーザとしてMFD-Bにログインし、USBをMFD-Bに差し込む。MFD-Bは、USB内に格納されたInsta_job_transferを確認し、見つけ出す。MFD-Bがフォルダを見つけ出すと、MFD-Bは、USBからその印刷キューに、それぞれのジョブ詳細と共に、フォルダ内に存在する全ての印刷ジョブを転送する。ジョブがMFD-Bのジョブキューに移動すると、ユーザは、それぞれのパスコードを入力し、安全なジョブを解放する。最後に、安全なジョブB及びジョブCは、MFD-Bで正常に印刷される。
【0092】
別の実施例では、ユーザは、2つの遅延ジョブをMFD-Aに提出する(すなわち、ジョブ提出時間は午前11:00であり、第1のジョブの「印刷時間」は午後1:00であり、第2のジョブは午後1:15である)。ユーザは近くのMFD-Aに午後12:00までに近づき、MFD-Aが定着ユニットの故障状態にあり、修理サービスの依頼電話を必要とすることに気付く。その結果、ユーザは、別の多機能デバイス、すなわち、MFD-Bでジョブを印刷することを決定する。次いで、ユーザは、ペンドライブなどの外部記憶デバイスをMFD-Aに差し込む。次に、MFD-Aは、そのジョブキューを確認し、ユーザのジョブがジョブキュー内に存在することを見つけ出す。次に、MFD-Aは、ユーザに、「USBから印刷する」オプション及び「USBにスキャンする」オプションなどの他のオプションと共に、オプション「USBに転送する」を促す。次いで、ユーザは、「USBに転送する」オプションを選択する。MFD-Aは、ユーザの全てのジョブをリスト化する。ユーザは全てのジョブを選択し、ユーザインターフェースを通じて確認を提供する。確認を受信した後、MFD-Aは、USBの内部にInsta_job_transferなどのフォルダを自動的に作成し、USBに、ジョブ詳細と共に、選択されたジョブB及びジョブCを転送する。転送後、MFD-Aは、「USBへのジョブ転送は成功しました、USBを取り外してください」というメッセージを表示する。次いで、ユーザはUSBを取り外す。ユーザは、認可されたユーザとしてMFD-Bにログインし、USBを差し込む。MFD-Bは、USBに格納されたInsta_job_transferを確認し、見つけ出す。MFD-Bがフォルダを見つけ出すと、MFD-Bは印刷ジョブを読み出し、USBからその印刷キューに、それぞれのジョブ詳細と共に、フォルダ内に存在する全ての印刷ジョブを転送する。MFD-Bでは、第1のジョブは午後1:00までに正常に印刷され、第2のジョブは午後1:15までに正常に印刷される(初期スケジュールのとおりに)。
【0093】
本開示は、(ネットワークとは対照的に)外部記憶デバイスを介して、1つの多機能デバイスから別の多機能デバイスに、印刷ジョブを転送するための方法及びシステムを開示する。これにより、多機能デバイス間のネットワーク接続の必要性が軽減される。印刷ジョブ及び対応するジョブ詳細は、容易な読み出しのために単一のパッケージとして転送される。この方法及びシステムは、認可されたユーザのみが、自身の印刷ジョブを多機能デバイスの印刷キューから転送/移動させることを可能にする。システム及び方法は、認可されたユーザが、例えば、元のターゲットの多機能デバイスが誤動作しているか、又は他の印刷ジョブの印刷で現在使用中である場合に、印刷ジョブを再構成する必要なく、印刷ジョブを異なる多機能デバイスに即座に転送することを更に可能にする。この方法及びシステムは、元のジョブの属性、セキュリティ、印刷スケジュールなどを保存する。印刷ジョブは、ユーザの選好/入力に基づいてのみ転送される。この方法及びシステムは、ユーザからの最小限の入力で印刷ジョブを転送することにより、ユーザによって必要とされる時間及び労力が低減される。加えて、本開示の実装形態は、既存のデバイス及び/又はシステムに対するハードウェアの変更を一切必要としない。
【0094】
本開示は、ユーザが印刷ジョブを提出するが、印刷ジョブの実行は開始されず、最終的にユーザが様々な理由により多機能デバイスの印刷キューから印刷ジョブを除去したい場合のシナリオのために実施される。したがって、本開示は、ユーザが現在のデバイス内の自身のキューをクリーンアップし、自身のジョブを即座に転送可能なジョブに変換するための方法を提供する(それらを再構成する必要はない)。
【0095】
当業者であれば、「is」、「are」、「may」、「can」、「could」、「will」、「should」などという句(単数又は複数)使用は、本開示の様々な実施形態を理解するためのものであり、この句は、本開示又はその実施をいかなる方法でも限定するものではないことが理解される。
【0096】
本方法が記載される順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、記載される方法ブロックの任意の数を、本方法又は代替の方法を実装するために任意の順序で組み合わせることができる。追加的に、本明細書に記載される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、個々のブロックを本方法から削除することができる。更に、本方法は、任意の好適なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで実装され得る。しかしながら、説明を容易にするために、以下に記載される実施形態では、本方法は、上に記載されるシステム及び/若しくはデバイス並びに/又は任意の電子デバイス(図示せず)に実装されると考慮され得る。
【0097】
上記の説明は、様々な構成要素の製造又は設計の具体的な詳細を提供しない。当業者は、かかる詳細に精通しており、提示されるこれらの技法から逸脱しない限り、技法、既知の関連技術、又は今後開発される設計及び材料が用いられるべきである。当業者は、好適な製造及び設計の詳細を選ぶことができる。
【0098】
以下の考察全体を通して、サーバ、サービス、エンジン、モジュール、インターフェース、ポータル、プラットフォーム、又はコンピューティングデバイスから形成される他のシステムに関して多数の参照がなされ得ることに留意されたい。かかる用語の使用は、プロセッサ可読媒体とも称される、コンピュータ可読有形非一時的媒体に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成又はプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを有する1つ以上のコンピューティングデバイスを表すものと見なされることを理解されたい。例えば、サーバは、記載される役割、責任、又は機能を果たす様式で、ウェブサーバ、データベースサーバ、又は他のタイプのコンピュータサーバとして動作する1つ以上のコンピュータを含み得る。本文書の文脈内で、開示されるデバイス又はシステムはまた、プロセッサと、デバイスに、デバイス又はシステムの特徴を制御、管理、又は別様に操作させる、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する、非一時的メモリと、を有する、コンピューティングデバイスを備えると見なされる。
【0099】
本明細書の発明を実施するための形態のいくつかの部分は、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、CPU用メモリ記憶デバイス、及び接続された表示デバイスを含む、従来のコンピュータ構成要素によって実施されるデータビット上の動作のアルゴリズム及び記号表現に関して提示されている。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、当業者の作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝達するために、データ処理分野の当業者によって使用される手段である。アルゴリズムは、一般に、所望の結果をもたらす、自己整合性のある工程の順序として理解される。工程は、物理的量の物理的操作を必要とするものである。概して、必ずしもそうではないが、これらの量は、記憶、転送、組み合わせ、比較、及び別様に操作することができる電気信号又は磁気信号の形態をとる。主に一般的な使用の理由から、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などと称することが時として好都合であることが証明されている。
【0100】
しかしながら、これら及び同様の用語の全ては、適切な物理的量に関連付けられるものであり、これらの量に適用される好都合なラベルに過ぎないことを理解されたい。別様に具体的に明記されていない限り、本明細書の考察から明らかなように、説明全体を通して、「検出する」、若しくは「判定する」、若しくは「表示する」、若しくは「受信する」、若しくは「生成する」、若しくは「送信する」などのような用語を利用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ内の物理的量として同様に表される他のデータに操作及び変換するコンピュータシステム若しくは同様の電子コンピューティングデバイス、又は他のかかる情報の記憶デバイス、送信デバイス、若しくは表示デバイスの働き及び処理を指すことが理解される。
【0101】
例示的な実施形態はまた、本明細書で考察される動作を実施するための装置に関する。この装置は、必要な目的のために特別に構築され得るか、又はコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動若しくは再構成される汎用コンピュータを備え得る。かかるコンピュータプログラムは、限定はされないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び磁気光ディスクを含む任意のタイプのディスク、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光カード、又は電子命令を記憶するために好適な任意のタイプの媒体などの、各々がコンピュータシステムバスに連結されたコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0102】
本明細書に提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、いかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも本質的に関連しない。様々な汎用システムは、本明細書の教示に従ってプログラムで使用され得るか、又は本明細書に記載される方法を実施するために、より特殊な装置を構築することが便利であることを証明し得る。様々なこれらのシステムの構造は、上記の説明から明らかである。加えて、例示的な実施形態は、任意の特定のプログラミング言語を参照して記載されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に記載される例示的な実施形態の教示を実装することができることが理解されよう。
【0103】
本明細書全体を通して例示される方法は、コンピュータ上で実行され得るコンピュータプログラム製品内に実装され得る。コンピュータプログラム製品は、ディスク、ハードドライブなどのような制御プログラムが記録された非一時的コンピュータ可読記録媒体を含み得る。非一時的コンピュータ可読媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、若しくは任意の他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD、若しくは任意の他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は内部からコンピュータが読み出すことができ、かつ使用することができる任意の他の有形媒体が挙げられる。
【0104】
代替的に、本方法は、制御プログラムが、電波及び赤外線データ通信などの間に生成されるものなどの音波又は光波などの伝送媒体を使用するデータ信号として具現化される伝送可能な搬送波などの一時的媒体で実装され得る。
【0105】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。上に開示される及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物のうちのいくつかは、他のシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されよう。以下の特許請求の範囲に包含されるように、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって、本明細書の様々な現在不測の若しくは予期されない代替例、修正例、変形例、又は改善例がその後に行われてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B