(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】メタメリック対を形成する一致色媒体上に印刷された透かし
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20241119BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241119BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H04N1/32 144
G06T1/00 500B
B41J29/00 Z
(21)【出願番号】P 2020059588
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-28
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・エヌ・チャップマン
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-279293(JP,A)
【文献】特開2012-049976(JP,A)
【文献】特開2005-303829(JP,A)
【文献】特開2005-128163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
G06T 1/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プリンタ内のマーキング材料のマーキング色を識別することであって、前記マーキング材料が、マーキング分光反射率特性を有する、識別することと、
前記マーキング色に一致する媒体色を有し、かつ前記マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する、印刷媒体を識別することと、
前記プリンタを使用して前記印刷媒体に前記マーキング材料を塗布することによって、前記印刷媒体上に透かしを印刷することと、
前記印刷媒体の試験シート上に異なる着色剤と組み合わされた前記マーキング材料の異なる色の較正パッチを印刷することと、
一致する較正パッチとして、前記マーキング材料の印刷された色が前記媒体色と視覚的に最も近く一致する、前記試験シート上に印刷された前記較正パッチのうちの1つを識別することと、
前記一致する較正パッチを印刷するために使用される修正されたマーキング色を識別することと、を含み、
前記透かしの前記印刷が、前記修正されたマーキング色を使用して行われる、方法。
【請求項2】
方法であって、
プリンタ内のマーキング材料のマーキング色を識別することであって、前記マーキング材料が、マーキング分光反射率特性を有する、識別することと、
前記マーキング色に一致する媒体色を有し、かつ前記マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する、印刷媒体を識別することと、
前記プリンタを使用して前記印刷媒体に前記マーキング材料を塗布することによって、前記印刷媒体上に透かしを印刷することと、を含
み、
前記マーキング分光反射率特性と前記媒体分光反射率特性との間の差が、前記透かしを第1の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、前記第1の角度とは異なる第2の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能になることを防止する、方法。
【請求項3】
前記マーキング色及び前記媒体色が、幾何学的メタメリック対を含み、かつ異なる分光反射率特性を有する一致する色である、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マーキング分光反射率特性が、少なくとも2倍の分光反射率分、前記媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項5】
前記マーキング材料が、永久色を含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項6】
前記透かしの前記印刷が、前記マーキング材料の単一層を前記印刷媒体に塗布することによって行われる、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項7】
方法であって、
プリンタ内のマーキング材料のマーキング色を識別することであって、前記マーキング材料が、マーキング分光反射率特性を有する、識別することと、
前記マーキング色にほぼ一致する媒体色を有し、かつ前記マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する、印刷媒体を識別することと、
前記マーキング色を修正されたマーキング色に変更して、前記マーキング材料の印刷された色を前記媒体色に視覚的に一致させることと、
前記プリンタを使用して、前記修正されたマーキング色を使用して、前記印刷媒体上に透かしを印刷することと、を含
み、
前記マーキング色の前記変更が、
前記印刷媒体の試験シート上に異なる着色剤と組み合わされた前記マーキング材料の異なる色の較正パッチを印刷することと、
一致する較正パッチとして、前記マーキング材料の前記印刷された色が前記媒体色と視覚的に最も近く一致する前記試験シート上に印刷された前記較正パッチのうちの1つを識別することと、
前記一致する較正パッチを印刷するために使用される前記修正されたマーキング色を識別することと、を更に含む、方法。
【請求項8】
方法であって、
プリンタ内のマーキング材料のマーキング色を識別することであって、前記マーキング材料が、マーキング分光反射率特性を有する、識別することと、
前記マーキング色にほぼ一致する媒体色を有し、かつ前記マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する、印刷媒体を識別することと、
前記マーキング色を修正されたマーキング色に変更して、前記マーキング材料の印刷された色を前記媒体色に視覚的に一致させることと、
前記プリンタを使用して、前記修正されたマーキング色を使用して、前記印刷媒体上に透かしを印刷することと、を含
み、
前記マーキング分光反射率特性と前記媒体分光反射率特性との間の差が、前記透かしを第1の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、前記第1の角度とは異なる第2の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能になることを防止する、方法。
【請求項9】
前記マーキング色及び前記媒体色が、幾何学的メタメリック対を含み、かつ異なるスペクトル反射率特性を有する一致する色である、請求項
7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記マーキング分光反射率特性が、少なくとも2倍の分光反射率分、前記媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる、請求項
7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記マーキング材料が、永久色を含み、前記修正されたマーキング色が、複数の永久色の混合物を含む、請求項
7または8に記載の方法。
【請求項12】
前記透かしの前記印刷が、前記マーキング材料の単一層を前記印刷媒体に塗布することによって行われる、請求項
7または8に記載の方法。
【請求項13】
システムであって、
印刷デバイスであって、
マーキング色及びマーキング分光反射率特性を有するマーキング材料を維持するように具体的に構成された格納構成要素と、
前記マーキング色と一致する媒体色を有し、かつ前記マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する、印刷媒体を維持するように構成された媒体供給部であって、前記印刷デバイスが、前記印刷媒体の試験シート上に異なる着色剤と組み合わされた前記マーキング材料の異なる色の較正パッチを印刷するように適合されている、媒体供給部と、を含む、印刷デバイスと、
前記印刷デバイスと通信する光学スキャナであって、前記試験シート上の前記異なる色の較正パッチを走査するように構成されている、光学スキャナと、
前記光学スキャナ及び前記印刷デバイスと通信するプロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、前記光学スキャナによって行われる
スキャンから、前記媒体色と視覚的に最も近く一致する前記試験シート上に印刷された、前記較正パッチのうちの1つを、一致する較正パッチとして識別するように構成されており、
前記プロセッサが、前記一致する較正パッチを印刷するために使用される修正されたマーキング色を識別するように構成されており、
前記印刷デバイスが、前記修正されたマーキング色を使用して前記印刷媒体上に透かしを印刷するように構成されている、システム。
【請求項14】
前記マーキング色及び前記媒体色が、幾何学的メタメリック対を含み、かつ異なる分光反射率特性を有する一致する色である、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記マーキング分光反射率特性が、少なくとも2倍の分光反射率分、前記媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる、請求項
13に記載のシステム。
【請求項16】
前記マーキング材料が、永久色を含み、前記修正されたマーキング色が、複数の永久色の混合物を含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項17】
前記マーキング分光反射率特性と前記媒体分光反射率特性との間の差が、前記透かしを第1の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、前記第1の角度とは異なる第2の角度から前記印刷媒体上で視認可能に観測可能になることを防止する、請求項
13に記載のシステム。
【請求項18】
前記透かしが、前記マーキング材料の単一層を前記印刷媒体に塗布することによって印刷される、請求項
13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書のシステム及び方法は、概して、セキュリティ印刷及び透かしに関し、より具体的には、1つ以上の永久色を使用して印刷された透かしに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ印刷の領域において、文書は、複数の技術を使用して、複製、鍛造、及び偽造から保護される。セキュリティ印刷を必要とする文書の例としては、印刷されたセキュリティ機能が、薬剤師が処方シートが本物であるという良好なレベルの信頼を有することを可能にする処方シートが挙げられる。
【0003】
1つのタイプの透かしは、背景色からわずかに異なる色の透かしである。別のタイプの透かしは、(例えば、異なる高さのトナーパイルなどの)特殊な光沢インク若しくはトナー、又は特殊な印刷プロセスを使用して印刷される光沢透かしである。多くの透かしは、このような特殊な(比較的高価な)マーキング材料(インク、トナー)又は特殊なプリンタを必要とし、これは、望ましくなくコストを増大させる。
【発明の概要】
【0004】
以下により詳細に記載されるように、本明細書の様々な方法は、プリンタ内のマーキング材料(例えば、インク、トナーなど)のマーキング色を識別する。マーキング材料は、マーキング分光反射率特性を有する。これらの方法はまた、マーキング色にほぼ一致するが、マーキング材料の分光反射率特性とは異なる分光反射率特性を有する印刷媒体を識別する。
【0005】
マーキング色及び媒体色は、幾何学的メタメリック対を形成し、したがって、色を異なる分光反射率特性と一致させる。したがって、ほとんど又は全ての可視照明条件下(例えば、人間の可視スペクトル、例えば、380~740nm内の照明条件の全範囲)で見る場合、観察者が見るときに、媒体色とマーキング色とが視覚的に一致する。いくつかの実施例では、マーキング分光反射率特性は、少なくとも2倍の分光反射率分、媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる。
【0006】
このような方法は、マーキング色を修正されたマーキング色に変更して、マーキング材料の印刷された色を、媒体色に視覚的により近く一致させる。一実施例では、マーキング材料は、永久色であり、修正されたマーキング色は、複数の永久色の混合物である。マーキング色を変更するとき、これらの方法は、異なる着色剤と組み合わされた異なる色のマーキング材料の較正パッチを、印刷媒体の試験シート上に印刷することができる。次いで、これらの方法は、マーキング材料の印刷された色が媒体色と視覚的に最も近く一致する、試験シート上に印刷された較正パッチのうちの1つを、一致する較正パッチとして識別する。これにより、本明細書の方法は、修正されたマーキング色を、一致する較正パッチを印刷するために使用された色として識別することを可能にする。
【0007】
これらの方法は、修正されたマーキング色を使用してプリンタで印刷媒体上に透かしを印刷する。透かしの印刷は、マーキング材料の単一層ほどわずかな層を印刷媒体に塗布することによって行われる。マーキング分光反射率特性と媒体分光反射率特性との間の差は、透かしを第1の角度から印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、第1の角度とは異なる第2の角度から印刷媒体上で透かしが視認可能に観測可能になることを防止する。
【0008】
本明細書の様々なシステムは、他の構成要素の中でもとりわけ、特定のマーキング色及びマーキング分光反射率特性を有するマーキング材料を維持するように具体的に構成することができる、マーキング材料(例えば、トナー/インク)格納構成要素を有する印刷デバイスを含む。このようなシステムはまた、マーキング色と一致する媒体色を有するが、マーキング材料の分光反射率特性とは異なる分光反射率特性を有する、印刷媒体を維持するように構成されている媒体供給部も含む。マーキング色及び媒体色は、幾何学的メタメリック対を形成し、したがって、異なる分光反射率特性を有する一致する色である。例えば、マーキング分光反射率特性は、少なくとも2倍の分光反射率分、媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる。
【0009】
印刷デバイスは、異なる着色剤と組み合わされた、マーキング材料の異なる色の較正パッチを印刷媒体の試験シート上に印刷するように適合される。光学スキャナは、これらのシステムに含められ、かつ印刷デバイスと通信している。光学スキャナは、試験シート上の異なる色の較正パッチを走査するように構成されている。
【0010】
また、これらのシステムは、光学スキャナ及び印刷デバイスと通信するプロセッサも含む。プロセッサは、光学スキャナによって行われるスキャンから、マーキング材料の印刷された色が媒体色と視覚的に最も近く一致する、試験シート上に印刷された較正パッチのうちの1つを一致する較正パッチとして識別するように構成されている。
【0011】
プロセッサはまた、一致する較正パッチを印刷するために使用される修正されたマーキング色を識別するように構成されている。例えば、マーキング材料は、永久色であってもよく、修正されたマーキング色は、複数の永久色の混合物であってもよい。プリンタは、修正されたマーキング色を使用して印刷媒体上に透かしを印刷するように構成される。透かしは、マーキング材料の単一層ほどわずかな層を印刷媒体に塗布することによって印刷される。
【0012】
マーキング分光反射率特性と媒体分光反射率特性との間の差は、透かしを第1の角度から印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、第1の角度とは異なる第2の角度から印刷媒体上で透かしが視認可能に観測可能になることを防止する。
【0013】
これらの特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明に記載されるか、又はそれから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面を参照して、様々な例示的なシステム及び方法を以下で詳細に説明する。
【0015】
【
図2】本明細書で作製された試験シートを示す概略図である。
【
図4A】異なる角度から見た、本明細書の作製された透かしを有する印刷シートを示す概略図である。
【
図4B】異なる角度から見た、本明細書の作製された透かしを有する印刷シートを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述したように、1つのタイプの透かしは、背景からわずかに異なる色の透かしである。別のタイプの透かしは、特殊な光沢インク若しくはトナー、又は特別な印刷機器を使用して印刷される光沢透かしである。透かしが主に1つの角度で現れ、別の角度で消える場合は、光沢効果が許容可能であると考えられる。
【0017】
光沢透かしを印刷するために使用される特殊なインク、トナー、及び特殊プリンタの高コストに対抗するために、本明細書の方法及びシステムは、標準インク及びトナーの単一層ほどわずかな層を使用する光沢透かし(永久色のみ又は他の永久色と混合されたもの)を、全ての標準的な非特殊印刷ジョブ(標準的なトナー高さよりも高くないなど)に使用される永久マーキング材料の単一のトナー層で印刷する標準的な印刷処理を使用して提供する。本明細書の方法及びシステムは、(印刷されたとき)媒体の色と一致するが、光沢効果を生み出す媒体と異なる分光反射率特性を有する、単一色の透かしを提供する。更に、印刷と印刷媒体の色が一致するため、シートが複製されるとき、スキャナは、透かしとシートとの間のいかなる相違も検出せず、いかなる複製物にも透かしが現れるのを防止する。
【0018】
透かしを媒体と同じ色を有するが、異なる分光反射率特性を有するように印刷することによって、本明細書の方法及びシステムは、メタメリック対を生成する。メタメリック対では、印刷及び紙は、1つの角度から見たときに視覚的に区別可能ではないが、(光源に対して)別の角度から見たときに、より高価なスポットインク、トナー、及び/又はプリンタなしで、光沢透かしを作り出す。
【0019】
図1は、本明細書の例示的なシステムのいくつかの構成要素を示しており、このようなシステムは、(他の構成要素の中でもとりわけ)マーキング材料(例えば、トナー、インクなど)をマーキングエンジン244に提供するマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)を有する印刷デバイス/エンジン240(
図7を参照して以下でより詳細に説明される)を含むことができる。媒体供給部230(例えば、ペーパートレイなど)は、印刷媒体の連続したフィード材料織物又はシートを格納し、かつ、マーキングエンジン244に供給し、このマーキングエンジン244は、マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)から供給されるマーキング材料を使用して、印刷媒体上にマーキングを載置して印刷品を作製し、この印刷品は、その後に出力部246に提供される。印刷品は、所望すれば、最終製品として出力される前に、又は追加の処理に送られる前に、光学スキャナ248でスキャンすることができる。全てのこのような要素は、コントローラ又はプロセッサ216に直接的又は間接的に接続され、かつ、コントローラ又はプロセッサ216によって制御される。
【0020】
例えば、印刷デバイスが、複数のマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)であって、それぞれが、1つのタイプ(色)のマーキング材料のみを維持するように特別に確保又は構成された複数のマーキング材料格納構成要素を有することは一般的である。マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)のそれぞれは、特定のマーキング分光反射率特性を有する異なるマーキング色を有する。例えば、一般に、レガシーシステムで「原色」又は「永久色」と称される色(例えば、RGB(赤色、緑色、青色)、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)など)は、印刷ジョブの大半に一般的に使用されており、それぞれはプリンタで個々の専用のマーキング材料格納構成要素(容器、貯蔵所など)が提供される。したがって、
図1に示す例では、マーキング材料格納構成要素(242C(シアン)、242M(マゼンタ)、242Y(イエロー)、及び242K((ブラック))が、非限定的な例としてCMYKを永久色として使用するプリンタについて示される。
【0021】
これらのマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)は全て同じであってもよく、又は標識(例えば、それぞれの異なるマーキング材料格納構成要素上の異なる色ラベル)によって、又は形状/位置によって制限及び区別されてもよい。形状/位置に関して、マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)は、特定のカートリッジ形状を物理的に省くことしかできない印刷デバイス240内に形状又は位置を有することができ、各異なるカートリッジ形状/位置が、特定の色のために確保される。したがって、各異なるマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)の異なる形状は、マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)のそれぞれが、1つの特定の色のマーケティング材料カートリッジ形状(それぞれが単一色に対応する)のみを受け入れ可能にすることができる。代替的に、マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)は、物理的又は標識的な制限なしに、特定のマーケティング材料の色のために確保されるものとして単に指定されてもよい。
【0022】
追加的に、いくつかのプリンタは、永久色のためのマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)に加えて、1つ以上の特殊な又はスポットのマーキング材料容器を含む。特殊マーキング材料容器は、永久色(例えば、透明、金、銀など)よりも少ない量及び/又は少ない頻度で使用され、かつ永久色マーキング材料よりも高価であるスポットマーキング材料のためのものであり、このような特殊マーキング材料容器242Sの例を
図1に示す。一般的な使用では、1つのスポットマーキング材料が特殊マーキング材料容器242Sに装填され、印刷ジョブが実行され、その後、場合によっては異なるスポットマーキング材料が、次の印刷ジョブのために特殊マーキング材料容器242S内に装填される。異なるマーキング材料の装填の間にクリーニングが必要な場合がある。したがって、それぞれが単一色(例えば、永久色)専用であるマーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)とは異なり、特殊マーキング材料容器242Sは、多くの異なる色に使用することができ、全ての印刷ジョブに使用されなくてもよい。
【0023】
マーキング材料格納構成要素(242C、242M、242Y、及び242K)に格納された主マーキング材料のうちの1つの「マーキング色」と一致する「媒体色」を有するが、マーキング材料の分光反射特性(本明細書では「マーキング分光反射率特性」と称される)とは異なる分光反射率特性(本明細書では「媒体分光反射率特性」と称される)を有する、特定の印刷媒体を識別することができ、このような印刷媒体は、本明細書では、省略のために「透かし色一致媒体」と称されることがある。対応するマーキング材料のマーキング色及び透かし色一致媒体の媒体色は、幾何学的メタメリック対を形成し、したがって、異なる分光反射率特性を有する視覚的に一致する色である。本明細書の方法は、マーキング材料を選択し、かつ/又は印刷媒体を選択して、幾何学的メタメリック対を形成することができる。したがって、本明細書の異なるプロセスは、マーキング材料の特定の色/分光反射率特性で開始し、対応する印刷媒体を選択して、幾何学的メタメリック対を形成することができるか、又は、本明細書のプロセスは、印刷媒体の特定の色/分光反射率特性で開始し、対応するマーキング材料を選択して、幾何学的メタメリック対を形成することができる。
【0024】
マーキング材料が、幾何学的メタメリック対を形成する対応する透かし色一致媒体上に印刷されるとき、透かしが形成される。より具体的には、マーキング分光反射率特性と媒体分光反射率特性との間の差は、透かしを(例えば、観察者に対して、例えば、380~740nmの波長内で)第1の角度から透かし色一致媒体上で視認可能に観測可能にし、第1の角度とは異なる第2の角度から印刷媒体上で透かしが(観察者に対して)視認可能に観測可能になることを防止する。
【0025】
媒体供給部230は、このような透かし色一致媒体を格納することができるだけであってもよく、又は特定の専用印刷デバイス(例えば、特殊なセキュリティ特徴印刷デバイス)については、媒体供給部230(又はその区画)は、標識(ラベル)、物理的な制約(ペーパートレイ上のロック)、又は、他の制約されたデバイス(例えば、透かし色一致媒体以外の媒体がロードされた場合は、エラーメッセージを生成する、ペーパートレイ内の光学スキャナなど)を含むことによって透かし色一致媒体の維持のみをするように具体的に構成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、マーキング材料の分光反射率特性は、分光反射率の任意の尺度を使用して、少なくとも2倍(例えば、2X、4X、10X、100Xなど)の分光反射率分、媒体の分光反射率特性とは分光反射率において異なる。例えば、分光反射率の1つの尺度は、任意の基準として使用され、1.0MgOの基準値を与えられる酸化マグネシウム(MgO)の尺度と関連する。したがって、これらの分光反射率特性のうちの1つは、0.1MgOであってもよく、他方は0.2MgO以上であってもよい。分光反射率の他の尺度は既知あり、これは1つの例に過ぎず、どの尺度が使用されたかにかかわらず、本明細書のシステムでは、マーキング材料の分光反射率特性は、少なくとも2倍の分光反射率分、媒体の分光反射率特性とは分光反射率において異なる。
【0027】
生じ得る1つの問題は、同じ色マーキング材料が、異なる色の印刷媒体上に印刷されたときに、視覚的に異なるように見える場合があることである。したがって、マーキング色及び対応する透かし色一致媒体は、マーキング材料が実際に透かし色一致媒体上に印刷されたときに、上記と同じ色を有するものとして記載されているが、マーキング材料は、特に非ホワイトの背景上に印刷されたときに、わずかに視覚的に異なる場合があり、その結果、透かし色一致媒体上のマーキング材料が視覚的に検出可能であるために、より望ましくない透かしをもたらす。これを考慮して、本明細書のシステムは、異なる色の試験パッチを自動的に又は手動で印刷し、マーキング色(透かし色一致媒体上に印刷されたときの)が媒体の色と視覚的に最も近く一致するまでマーキング色を修正し、それによって高度に有効な透かしを作製することができる。
【0028】
より具体的には、
図2に示されるように、印刷デバイス240は、異なる割合の他の着色剤とランダムに又は体系的に組み合わされたマーキング材料の異なる色の較正パッチ101~109を、印刷媒体の試験シート100上に自動的に印刷するように適合される。
図2に示すいくつかの例では、較正パッチ101~109は、組み合わせ又は永久色、又は永久色及び/若しくはスポット色の組み合わせであり得る。例えば、較正パッチ101は、永久色イエローのみであり、較正パッチ102は、5%のオレンジ(他の永久色の組み合わせから形成される)と組み合わされたイエローであり、較正パッチ103は、15%のオレンジと組み合わされたイエローであり、較正パッチ104は、5%のブラック(永久色である)とイエローであり、較正パッチ105は、10%のブラックとイエローであり、較正パッチ106は、5%のレッド(他の永久色の組み合わせから形成される)とイエローであり、較正パッチ107は、15%のレッドとイエローであり、較正パッチ108は、5%のタン(他の永久色及び/又はスポット色との組み合わせから形成され得る)であり、及び、較正パッチ109は、10%のタンと組み合わされたイエローである。これらは、イエロー印刷媒体試験シート100上に異なるバージョンのイエローマーキング材料を印刷するときの例に過ぎないので、他の色の組み合わせも利用することができる。この例ではイエローの媒体上のイエローのマーキング材料を使用するが、例えば、オレンジ上のオレンジ、レッド上のレッド、グリーン上のグリーン、ホワイト上のホワイト、ブラック上のブラックなどを含む、任意の一致色を使用することができる。
【0029】
光学スキャナ248は、試験シート100上の異なる色の較正パッチ101~109を自動的に走査するように構成されている。上述のように、プロセッサ216は、光学スキャナ248及び印刷デバイス240と通信している。プロセッサ216は、光学スキャナ248によって実行されるスキャンから、マーキング材料の印刷された色が媒体色と視覚的に最も近く一致する試験シート100上に印刷された較正パッチ101~109のうちの1つを、一致する較正パッチとして識別するように構成される。光学スキャナ248及びプロセッサ216は、複数の照明条件で観察可能な光波長(例えば、380~740nm)を自動的に検出して、印刷媒体上に印刷されたマーキング材料が両方にとって、人間が観察することができるほとんど又は全ての照明条件で観察者によって同じ色として見えるように構成される。
【0030】
プロセッサ216はまた、その後、一致する較正パッチを印刷するために使用された修正されたマーキング色を自動的に識別し、(かつ、マーキングエンジン244に出力する)ようにも構成される。ここでも、マーキング材料は永久色であってもよく、修正されたマーキング色は、複数の永久色又はスポット色の混合物であってもよい。したがって、印刷デバイス240は、修正されたマーキング色を使用して透かしを印刷媒体上に自動的に印刷するように構成される。この透かしは、永久マーキング材料の単一層ほどわずかな層を印刷媒体に塗布することによって印刷され、特殊な印刷デバイス又は特殊な印刷プロセス(例えば、異なる高さのトナーの積み重ねを製造するか、又はマイクロ印刷を実行するなど)の必要性を排除することができる。更に、標準的な非特殊インク/トナー印刷ジョブのために印刷デバイス240に常に存在する標準的な永久マーキング材料を使用することによって、透かしを製造するコスト及び利便性は、スポットのマーキング材料を使用しない印刷ジョブを印刷することとは異ならない。
【0031】
上記のシステム及び処理により、印刷及び印刷媒体の色が一致する。したがって、シートが複製されるとき、複写機のスキャナは、透かしとシートとの間のどんな相違も検出せず、透かしがシートのどんな複製物又は正式に許可されていない印刷物にも現れるのが防止されるはずである。これにより、本明細書で記載される透かしを含む本物のオリジナルシートをオリジナルとして検証することができ、本物のオリジナルのシートの複製物又は正式に許可されていない印刷物と区別することができる。
【0032】
図3は、本明細書の例示的な方法を示すフローチャートである。項目120で、これらの方法は、プリンタ内のマーキング材料(例えば、インク、トナーなど)のマーキング色を潜在的に自動的に識別する。マーキング材料は、マーキング分光反射率特性を有する。項目122で、これらの方法はまた、マーキング色にほぼ一致する媒体色を有するが、マーキング分光反射率特性とは異なる媒体分光反射率特性を有する印刷媒体を潜在的に自動的に識別もする。
【0033】
マーキング色(120での)及び媒体色(122での)は幾何学的メタメリック対を形成し、したがって、異なる分光反射率特性を有する視覚的に一致する色であり、光沢効果を生み出す。したがって、ほとんど又は全ての可視照明条件下(例えば、人間の可視スペクトル内の照明条件のほぼ全範囲)で見られるとき、媒体色とマーキング色は視覚的に一致する。上述したように、いくつかの実施例では、マーキング分光反射率特性は、(任意の定数に対して)少なくとも2倍の分光反射率分、媒体分光反射率特性とは分光反射率において異なる。
【0034】
このような方法は、マーキング色を修正されたマーキング色に潜在的に自動的に変更して、マーキング材料の印刷された色を媒体色に視覚的に一致させる。一実施例では、マーキング材料は永久色であり、修正されたマーキング色は、複数の原色及び他の色の混合物である。マーキング色を変更するとき、項目124で、これらの方法は、異なる着色剤と組み合わされたマーキング材料の異なる色の較正パッチを、印刷媒体の試験シート上に潜在的に自動的に印刷することができる。次いで、項目126で、これらの方法は、マーキング材料の印刷された色が媒体色と視覚的に最も近く一致する、試験シート上に印刷された較正パッチのうちの1つを、一致する較正パッチとして潜在的に自動的に識別する。これにより、項目128で、本明細書の方法は、一致する較正パッチを印刷するために使用された色として、修正されたマーキング色を潜在的に自動的に識別することができる。
【0035】
項目130で、これらの方法は、修正されたマーキング色をプリンタで使用して、透かしを印刷媒体上に潜在的に自動的に印刷する。透かしの印刷は、マーキング材料の単一層ほどわずかな層を印刷媒体に塗布することによって行われる。マーキング分光反射率特性と媒体分光反射率特性との間の差は、透かしを第1の角度から印刷媒体上で視認可能に観測可能にし、第1の(例えば、非垂直な)角度とは異なる第2の(例えば、垂直な)角度から印刷媒体上で透かしが視認可能に観測可能になることを防止する(かつ、この差は、光沢効果をもたらす)。したがって、項目132で、本明細書の方法は、観察者が異なる角度から透かしを見るためにシートを観察位置に対して移動させ、それによって、視野角が垂直から非垂直に変化するにつれて視認可能になりかつ視認不能になる透かしを見ることによって透かしのあるシートがオリジナルで本物であることを潜在的に自動的に検証することができる。
【0036】
図4A、
図4Bは、常に視認可能である(例えば、全ての視角から視認可能である)標準的な印刷ジョブ印刷142(例えば、印刷ジョブデータ、テキスト、グラフィックなど)をその上に有する媒体シート140、及びいくつかの角度からのみ視認可能である「オリジナル」という語の透かし144を示す(
図4Bは、
図4Aとは異なる角度から見た同じシート140を示す)。上述したように、マーキング分光反射率特性と媒体分光反射率特性との間の差は、透かし144を、透かし基準色一致媒体140上で第1の角度(
図4B)から視認可能に観測可能にするが、第1の角度とは異なる第2の角度(
図4A)から、印刷媒体140上で視認可能に観測可能になることを防止する(光沢効果)。(
図4A、
図4Bの異なるシート角度によって表されるように)透かしが観察可能にならないこの「第2の」角度は、例えば、シートの平坦面に対してほぼ垂直(例えば、90度の20%以内)になることができ、対照的に、透かしが観察可能になる第1の角度は、シートの平坦面に対して垂直以外(非垂直)(例えば、垂直の20%以外)になることができる。
【0037】
したがって、このような透かしを含むシートが複製されるとき、複写機のスキャナ(シートの平坦面にほぼ垂直な角度からスキャンするように位置決めされる)は、透かしとシートとの間でどんな相違も検出せず、透かしが、シートのスキャン画像又はどんな複製物にも現れるのを防止する。更に、スキャナがシート上の透かしの色又は他の差異を検出できた場合は、複製物内の幾何学的メタメリック対がないので、透かしは、全ての角度から複製物上に現れる(例えば、このような状況では、「オリジナル」という語は、
図4A及び4Bの両方に現れる)。付加的に、このような透かしを生成するために使用される特定のシートの色/分光反射率及びマーキング材料の色/分光反射率は、そうでなければ、複写機又はプリンタに存在せず、加えて、複写機又は任意の他のプリンタが透かしを複製するのを防止する。
【0038】
これにより、本明細書に記載される透かしを含んだ本物のオリジナルシートが、観察者がシートが異なる角度から見られるように移動されるときの透かしの出現及び消失を肉眼で見るだけで、オリジナルとして容易に認証されることが可能になる。したがって、この透かしは、オリジナルを、本物のオリジナルシートの複製物(又は他の正式に許可されていない印刷物)と、特別な機器なしで(例えば、シートが異なる角度から見られるときに、観察者が透かしの出現及び消失を見ることによって)、区別可能にする。
【0039】
図5に示すように、本明細書の例示的なシステム及び方法は、異なる物理的な場所206に位置する様々なコンピュータ化されたデバイス200、204を含む。コンピュータ化されたデバイス200、204は、印刷サーバ、印刷デバイス、パーソナルコンピュータなどを含むことができ、ローカル又はワイドエリア(有線又は無線)ネットワーク202を介して通信し(互いに動作可能に接続されている)、このようなデバイスが、上で記載した方法及び処理を実行する。
【0040】
図6は、上で記載した処理を実行するために本明細書のシステム及び方法と共に使用することができ、かつ、例えば、印刷サーバ、パーソナルコンピュータ、ポータブル計算デバイスなどを含むことができるコンピュータ化されたデバイス200を示す。コンピュータ化されたデバイス200は、コントローラ/有形プロセッサ216と、有形プロセッサ216に動作可能に接続された通信ポート(入力/出力部)214と、コンピュータ化されたデバイス200の外部のコンピュータ化ネットワーク202とを含む。また、コンピュータ化されたデバイス200は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)アセンブリ212などの少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素を含むことができる。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212からメッセージ、命令、及びメニューオプションを受信し、グラフィカルユーザインターフェース又は制御パネル212を介して命令を入力し得る。
【0041】
入力/出力デバイス214は、コンピュータ化されたデバイス200への、及びそれからの通信のために使用され、(現在知られているか又は将来開発されるかにかかわらず、任意の形態の)有線デバイス又は無線デバイスを含む。有形プロセッサ216は、コンピュータ化されたデバイスの様々なアクションを制御する。非一時的な有形のコンピュータ記憶媒体デバイス210(光学、磁気、コンデンサベースなどであり得、一時的な信号とは異なる)は、有形プロセッサ216によって読み取り可能であり、有形プロセッサ216が実行して、コンピュータ化されたデバイスが、本明細書に記載される機能など、その様々な機能を実行することを可能にする命令を記憶する。したがって、
図6に示すように、本体ハウジングは、交流電流(alternating current、AC)源220から電力供給部218によって供給された電力で動作する1つ以上の機能構成要素を有する。電力供給部218は、共通電力変換ユニット、電力貯蔵素子(例えば、電池など)などを含むことができる。
【0042】
図7は、本明細書のシステム及び方法と共に使用することができるプリンタ204であるコンピュータ化されたデバイスであって、例えば、プリンタ、複写機、多機能マシン、多機能デバイス(MFD)などを含むことができるデバイスを示す。プリンタ204は、上述の構成要素の多くと、上に記載され、専用の画像プロセッサ216(画像データを処理するために特殊化されているため、汎用コンピュータとは異なり得る)に動作可能に接続された少なくとも1つのマーキング装置(印刷エンジン)240と、連続した媒体又は媒体のシートをシート供給部230からマーキングデバイス240に供給するために位置決めされた媒体経路236となどを含む。印刷エンジン240から様々なマーキングを受け取った後、媒体のシートは、任意選択で、折り畳み、ホッチキス止め、振り分けなどを行うことができるフィニッシャ234に、移動することができる。また、プリンタ204は、やはり外部電力源220から(電力供給部218を介して)供給された電力で動作する、少なくとも1つのアクセサリ機能構成要素(スキャナ/文書ハンドラ232(自動文書送込み装置(automatic document feeder、ADF))など)を含むことができる。
【0043】
1つ以上の印刷エンジン240は、現在知られているか又は将来開発されるかにかかわらず、マーキング材料(トナー、インクなど)を連続媒体又は媒体のシートに塗布する任意のマーキングデバイスを例示することを意図しており、例えば、感光体ベルト若しくは中間転写ベルトを使用するデバイス又は印刷媒体に直接印刷するデバイス(例えば、インクジェットプリンタ、リボン系接触式プリンタなど)を含むことができる。
【0044】
当業者には理解されるように、
図7に示されるプリンタ204は一実施例に過ぎず、本明細書のシステム及び方法は、より少ない構成要素又はより多くの構成要素を含み得る他のタイプの印刷デバイスにも等しく適用可能である。例えば、限定された数の印刷エンジン及びペーパー経路が
図7に示されているが、当業者は、より多くのペーパー経路及び追加の印刷エンジンの多数が、本明細書のシステム及び方法と共に使用される任意の印刷デバイス内に含まれ得ることを理解するであろう。
【0045】
いくつかの例示的な構造が添付の図面に示されているが、当業者であれば、図面は簡略化された概略図であり、以下に提示される特許請求の範囲は、図示されていないが、そのようなデバイス及びシステムと共に一般的に利用される、より多くの(潜在的には、さほど多くない)特徴を包含することを理解するであろう。したがって、出願人は、以下に提示される特許請求の範囲が添付の図面によって限定されることを意図するものではなく、その代わりに添付の図面は、単に、特許請求される特徴を実装することができるいくつかの方法を例示するために提供されるに過ぎない。
【0046】
多くのコンピュータ化されたデバイスが上述されている。チップベースの中央処理装置(chip-based central processing unit、CPU)、入力/出力デバイス(グラフィックユーザインターフェース(graphic user interface、GUI)、メモリ、コンパレータ、有形プロセッサなどを含む)を含むコンピュータ化されたデバイスは、デルコンピュータ(Dell Computers)、ラウンドロックテキサス、米国(Round Rock TX, USA)、及びアップルコンピュータ(株)(Apple Computer Co.)、クパチーノカリフォルニア、米国(Cupertino CA, USA)などの製造業者によって製造された周知かつ容易に入手可能なデバイスである。そのようなコンピュータ化されたデバイスは、一般に、入力/出力デバイス、電力供給部、有形プロセッサ、電子記憶メモリ、配線などを含んでおり、これらの詳細は、読者が本明細書に記載されるシステム及び方法の顕著な態様に集中することを可能にするために、本明細書では省略されている。同様に、プリンタ、複写機、スキャナ、及び他の同様の周辺機器は、ゼロックス株式会社(Xerox Corporation)、ノーウォーク、コネチカット、米国(Norwalk, CT, USA)から入手可能であり、そのような装置の詳細は、簡潔さ及び読者の焦点のために本明細書では論じられていない。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「プリンタ」又は「印刷デバイス」は、任意の目的のために印刷出力機能を実行する、デジタル複写機、製本機、ファクシミリマシン、多機能マシンなどの任意の装置を包含する。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は周知であり、本開示を提示される顕著な特徴に集中させ続けるために、本明細書に詳細には記載されていない。本明細書のシステム及び方法は、カラー、モノクロで印刷する、又はカラー若しくはモノクロの画像データを扱う、システム及び方法を包含することができる。前述のシステム及び方法は全て、静電複写法及び/又は乾式複写法のマシン及び/又はプロセスに特に適用可能である。
【0048】
スキャナは、画像、印刷媒体などを光学的に走査し、走査された画像をデジタル化されたフォーマットに変換する1つの画像撮像デバイスである。一般的な走査デバイスは、当該技術分野において一般的に知られているフラットベッドスキャナの変形を含み、そこでは、特殊な画像受容体がプラテンの下を移動し、プラテン上に載置された媒体を走査する。最新のデジタルスキャナは、典型的には、画像感知受容体として電荷結合デバイス(charge-coupled device、CCD)又は接触画像センサ(contact image sensor、CIS)を組み込んでいる。走査デバイスは、走査された画像データの信号を生成する。このようなデジタル信号は、走査画像内の色値、強度、及びそれらの位置などの画素に関する情報を含む。
【0049】
加えて、本明細書で使用される「右」、「左」、「縦の」、「水平の」、「頂部」、「底部」、「上側の」、「下側の」、「~の下に」、「~より下に」、「下にある」、「~の上方に」、「上にある」、「平行の」、「垂直の」などの用語は、(特に記載のない限り)それらが図面内で方向付けられ、示されているときの相対的な位置であると理解される。「触れている」、「~上に」、「直接接触して」、「当接している」、「直接隣接した」などの用語は、少なくとも1つの要素が別の要素に物理的に接触することを意味する(他の要素が記載の要素を分離させていない)。更に、「自動化された」又は「自動的に」という用語は、プロセスが(マシン又はユーザによって)開始されると、1つ以上のマシンが、任意のユーザからの更なる入力なしにプロセスを実行することを意味する。加えて、「~するように構成された」又は「~するように適合された」などの用語は、デバイスが、本明細書に記載される処理において特定の点で特定の動作又は機能を自動的に実行する特殊な内部又は外部構成要素を有するように具体的に設計されていることを意味し、このような特殊な構成要素は、本明細書に示される処理点で指定された動作/機能を(潜在的に、操作者のいかなる入力もアクションも伴わずに)実行するように物理的に成形され、位置決めされている。本明細書の図面中、同じ識別番号は、同じ又は類似の項目を識別する。
【0050】
上記で開示された特徴及び機能及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されない、又は先行例のない本明細書の代替、修正、変形、又は改善が、その後、当業者によって行われてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。特定の請求項自体に具体的に定義されない限り、本明細書におけるシステム及び方法のステップ又は構成要素は、任意の特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に限定されるように、上記の実施例のいずれかからも暗示され又は持ち込まれることができない。