(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20241119BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/211
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2020122549
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
(72)【発明者】
【氏名】森田 光俊
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0093862(US,A1)
【文献】国際公開第2018/062226(WO,A1)
【文献】特表2020-518988(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/507
H01M 50/588
H01M 50/593
H01M 50/211
H01M 50/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子が並ぶ蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
前記複数の蓄電素子の電極と接続される複数のバスバーと、
前記複数のバスバーが保持されると共に、前記蓄電素子群が収容されるケースに取り付けられる絶縁性の絶縁プロテクタと、を備え、
前記絶縁プロテクタは、前記ケースに係止する位置決め部を有
しており、
前記複数のバスバーには、外部回路と電気的に接続される出力バスバーが含まれており、前記出力バスバーはボルトが挿通される挿通孔が形成された出力端子部を有し、
前記出力端子部は、前記ケースのうち前記絶縁プロテクタが取り付けられた側縁から外方に突出して配されており、
前記挿通孔に挿通された前記ボルトが回転されると、前記絶縁プロテクタの前記位置決め部が前記ケースに接触することにより、前記絶縁プロテクタが移動することが抑制されるようになっている配線モジュール。
【請求項2】
前記位置決め部は前記絶縁プロテクタから凸状又は凹状に設けられており、
前記位置決め部は、前記ケースのうち前記位置決め部に対応する位置に設けられた位置決め受け部と凹凸嵌合している請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記位置決め部として、前記絶縁プロテクタの側部には側部位置決め部が設けられており、前記位置決め受け部として、前記ケースの側壁には側部位置決め受け部が設けられている請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記位置決め部として、前記絶縁プロテクタの上部には上部位置決め部が設けられており、前記位置決め受け部として、前記ケースの上壁には上部位置決め受け部が設けられている請求項2または請求項3に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記ケースは、前方又は後方に開口する開口部を有する収容部と、前記収容部に取り付けられて前記開口部を塞ぐ蓋と、を有し、
前記蓋と前記収容部との間に前記絶縁プロテクタが挟持されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項6】
複数の蓄電素子が並ぶ蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
前記複数の蓄電素子の電極と接続される複数のバスバーと、
前記複数のバスバーが保持されると共に、前記蓄電素子群が収容されるケースに取り付けられる絶縁性の絶縁プロテクタと、を備え、
前記絶縁プロテクタは、前記ケースに係止する位置決め部を有
しており、
前記ケースは、前方又は後方に開口する開口部を有する収容部と、前記収容部に取り付けられて前記開口部を塞ぐ蓋と、を有し、
前記蓋と前記収容部との間に前記絶縁プロテクタが挟持されており、
前記複数のバスバーには、外部回路と電気的に接続される出力バスバーが含まれており、前記出力バスバーはボルトが挿通される挿通孔が形成された出力端子部を有し、
前記出力端子部は、前記ケースのうち前記絶縁プロテクタが取り付けられた側縁から外方に突出して配されており、
前記挿通孔に挿通された前記ボルトが回転されると、前記絶縁プロテクタの前記位置決め部が前記蓋に接触することにより、前記絶縁プロテクタが移動することが抑制されるようになっている配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備えた電気デバイス集合体として、特開2006-172882号公報に記載のものが知られている。蓄電素子はラミネートフィルム外装体を有する。各蓄電素子はセルケースに個別に収容されている。セルケースに蓄電素子が収容された電池セルは積層されている。複数の蓄電素子は、各蓄電素子に個別に取り付けられたセルケースによって位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術によれば、各蓄電素子が個別にセルケースに収容されているので、部品点数が増加するという問題が生じた。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数が削減された配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の蓄電素子が並ぶ蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記複数の蓄電素子の電極と接続される複数のバスバーと、前記複数のバスバーが保持されると共に、前記蓄電素子群が収容されるケースに取り付けられる絶縁性の絶縁プロテクタと、を備え、前記絶縁プロテクタは、前記ケースに係止する位置決め部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線モジュールの部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、前蓋と後蓋が省略された、蓄電モジュールを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、ケースに取り付けられた配線モジュールを示す一部拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、配線モジュールを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、外部バスバーが取り付けられた蓄電モジュールを示す一部拡大平面図である。
【
図7】
図7は、配線モジュールを示す平面図である。
【
図8】
図8は、前蓋が省略された蓄電モジュールを示す一部拡大側面図である。
【
図10】
図10は、配線モジュールを蓄電素子群に取り付ける工程を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、上壁を、左壁および右壁に取り付ける工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示は、複数の蓄電素子が並ぶ蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、前記複数の蓄電素子の電極と接続される複数のバスバーと、前記複数のバスバーが保持されると共に、前記蓄電素子群が収容されるケースに取り付けられる絶縁性の絶縁プロテクタと、を備え、前記絶縁プロテクタは、前記ケースに係止する位置決め部を有する。
【0011】
絶縁プロテクタの位置決め部をケースに係止させることにより、ケースに対して絶縁プロテクタを位置決めできる。これにより、絶縁プロテクタにバスバーを介して保持された複数の蓄電素子をケースに対して位置決めできる。このように本態様によれば、位置決めをするために複数の蓄電素子に個別に取り付けられた部材を用いることなく、複数の蓄電素子を位置決めできるので、部品点数を削減できる。
【0012】
(2)前記位置決め部は前記絶縁プロテクタから凸状又は凹状に設けられており、前記位置決め部は、前記ケースのうち前記位置決め部に対応する位置に設けられた位置決め受け部と凹凸嵌合していることが好ましい。
【0013】
位置決め部と位置決め受け部とを凹凸嵌合するという簡易な方法により、絶縁プロテクタをケースに位置決めできる。
【0014】
(3)前記位置決め部として、前記絶縁プロテクタの側部には側部位置決め部が設けられており、前記位置決め受け部として、前記ケースの側壁には側部位置決め受け部が設けられていることが好ましい。
【0015】
側部位置決め部と側部位置決め受け部とが凹凸嵌合することにより、側部位置決め部に対して、側部位置決め受け部の内壁が上方および下方から接触する。これにより、絶縁プロテクタを上下方向について位置決めできる。
【0016】
(4)前記位置決め部として、前記絶縁プロテクタの上部には上部位置決め部が設けられており、前記位置決め受け部として、前記ケースの上壁には上部位置決め受け部が設けられていることが好ましい。
【0017】
上部位置決め部と上部位置決め受け部とが凹凸嵌合することにより、上部位置決め部に対して、上部位置決め受け部の内壁が側方から接触する。これにより、絶縁プロテクタを左右方向について位置決めできる。
【0018】
(5)前記ケースは、前方又は後方に開口する開口部を有する収容部と、前記収容部に取り付けられて前記開口部を塞ぐ蓋と、を有し、前記蓋と前記収容部との間に前記絶縁プロテクタが挟持されていることが好ましい。
【0019】
収容部と蓋によって挟持されることにより、絶縁プロテクタが前後方向について位置決めされる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
本開示かる配線モジュール10を蓄電モジュール11に適用した実施形態1について、
図1から
図11を参照しつつ説明する。蓄電モジュール11は、電気自動車やハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて駆動源として用いられる。本実施形態にかかる蓄電モジュール11は、ケース13と、ケース13に収容される複数の蓄電素子12と、複数の蓄電素子12に取り付けられる配線モジュール10と、を備える。配線モジュール10は、複数の蓄電素子12のリード端子24(電極の一例)に接続される複数のバスバー26と、複数のバスバー26が保持されると共に、ケース13に取り付けられる前絶縁プロテクタ14(絶縁プロテクタの一例)と、を備える。以下の説明においては、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで示される方向を左方として説明する。複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。上下方向、左右方向、及び前後方向は互いに直交している。
【0022】
[全体構造]
図1に示されるように、蓄電モジュール11は、前後方向に細長く延びた略直方体形状をなしている。
図2に示されるように、蓄電モジュール11は、ケース13内に複数の蓄電素子12が前後方向に並ぶ蓄電素子群15が収容されてなる。ケース13は、金属製の収容部13Aと、収容部13Aの前端部に取り付けられる前蓋21(蓋の一例)と、収容部13Aの後端部に取り付けられる後蓋22(蓋の一例)と、を有する。収容部13Aは、全体として、前方および後方にそれぞれ開口した開口部20を有する角筒状をなしている。収容部13Aを構成する構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、任意の金属を適宜に選択できる。
【0023】
収容部13Aは、底壁16と、底壁16の左側縁から上方に延びる左壁17と、底壁16の右側縁から上方に延びる右壁18と、左壁17の上端縁と右壁18の上端縁とを連結する上壁19と、を有する。底壁16、左壁17、右壁18、および上壁19は前後方向に細長い長方形状をなしている。
【0024】
上壁19は、左壁17の上端縁、および右壁18の上端縁と、レーザー溶接、抵抗溶接、アーク溶接等の公知の方法により溶接されている。底壁16と、左壁17と、右壁18とは、溶接により接続されていてもよい。また、1枚の金属板材を折り曲げ加工することにより、底壁16、左壁17および右壁18を形成してもよい。また、押出形成することによって断面がU字形状をなす長尺の金属部材を形成し、所定の長さに切断してもよい。
【0025】
図1に示されるように、収容部13Aの前端部には前蓋21(蓋の一例)が取り付けられている。前蓋21により、収容部13Aの前側の開口部20が塞がれている。収容部13Aの後端部には後蓋22が取り付けられている。後蓋22により、収容部13Aの後側の開口部20が塞がれている。
【0026】
[蓄電素子12]
図2に示されるように、蓄電素子12は、ラミネートフィルム外装体23の内部に、発電要素(図示せず)が収容されてなる。ラミネートフィルム外装体23を構成するラミネートフィルムの縁部は熱溶着されている。ラミネートフィルム外装体23の前端部および後端部からは、それぞれ、リード端子24が前方および後方に突出している。前側のリード端子24と、後側のリード端子24の極性は異なっており、一方が正極端子であり、他方が負極端子である。
【0027】
蓄電素子12は、全体として、前後方向に細長く延びた板状に形成されている。複数(本実施形態では8つ)の蓄電素子12が、左右方向に並べられることにより、1つの蓄電素子群15が形成されている。蓄電素子群15においては、左右方向について隣り合うリード端子24の極性が異なるように、蓄電素子12が並べられている。
【0028】
[前絶縁プロテクタ14]
図3に示されるように、収容部13Aの前端部には、開口部20を前方から塞ぐ前絶縁プロテクタ14が取り付けられている。前絶縁プロテクタ14は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型されてなる。
図4に示されるように、前絶縁プロテクタ14は、全体として、前後方向から見て長方形状をなす板状に形成されている。
図5に示されるように、前絶縁プロテクタ14には、上下方向に延びる複数(本実施形態では8つ)のスリット25が、左右方向に間隔を空けて形成されている。スリット25には、蓄電素子12のリード端子24が後方から前方に挿通されている。
【0029】
図4に示されるように、前絶縁プロテクタ14には、スリット25の近傍の位置に、金属板材からなる複数のバスバー26が取り付けられている。バスバー26の上端部は前絶縁プロテクタ14に形成された溝状をなす挟持部27に挟持されている。バスバー26の下端部に後方に突出する突起部28が形成されている。この突起部28が前絶縁プロテクタ14の設けられた固定孔29内に前方から挿通されている。
【0030】
バスバー26のうち、左端部および右端部に位置するバスバー26は、外部回路と電気的に接続される出力バスバー26Aとされる。出力バスバー26Aの上端部には、外部回路を構成する外部バスバー33が接続される出力端子部30が形成されている。出力端子部30には、上下方向に貫通する貫通孔31が形成されている。この貫通孔31内にボルト32が挿通されて、このボルト32が図示しないナットと螺合することにより、出力バスバー26Aと外部バスバー33とが電気的に接続されるようになっている(
図6参照)。
【0031】
図4に示されるように、出力バスバー26Aは、上下方向に細長く延びる板状をなす接続部34を有する。
図5に示されるように、接続部34には、スリット25に後方から挿通されたリード端子24が、前絶縁プロテクタ14の前方の領域において、電気的に接続されている。接続部34とリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、接続部34とリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0032】
5つのバスバー26のうち、出力バスバー26Aと異なる3つのバスバー26は、接続バスバー26Bとされる。接続バスバー26Bは、上下方向に細長く延びる板状に形成されている。
図5に示されるように、接続バスバー26Bには、スリット25に後方から挿通されたリード端子24が、前絶縁プロテクタ14の前方の領域において、電気的に接続されている。接続バスバー26Bとリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、接続バスバー26Bとリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0033】
図7に示されるように、前絶縁プロテクタ14の左端部には、上端部寄りの位置に、左方及び前方に凸状に突出する左位置決め部35(位置決め部の一例、側部位置決め部の一例)が形成されている。左位置決め部35は、左方から見て前後方向に延びる長方形状をなしている。
【0034】
図3に示されるように、収容部13Aの左壁17の前端部には、左位置決め部35に対応する位置に、開口部20の開口縁から後方に凹状に陥没した左位置決め受け部36(位置決め受け部の一例、側部位置決め受け部の一例)が形成されている。左位置決め受け部36内には、左位置決め部35が前方から嵌合されるようになっている。換言すると、左位置決め受け部36の上下方向の差し渡し寸法は、左位置決め部35の上下方向の高さ寸法と同じか、やや大きく設定されている(
図8参照)。
【0035】
図7に示されるように、前絶縁プロテクタ14の右端部には、上端部寄りの位置に、右方及び前方に凸状に突出する右位置決め部37(位置決め部の一例、側部位置決め部の一例)が形成されている。右位置決め部37は、右方から見て前後方向に延びる長方形状をなしている。
【0036】
図3に示されるように、収容部13Aの右壁18の前端部には、右位置決め部37に対応する位置に、開口部20の開口縁から後方に凹状に陥没した右位置決め受け部38(位置決め受け部の一例、側部位置決め受け部の一例)が形成されている。右位置決め受け部38内には、右位置決め部37が前方から嵌合されるようになっている。詳細には図示しないが、右位置決め受け部38の上下方向の差し渡し寸法は、右位置決め部37の上下方向の高さ寸法と同じか、やや大きく設定されている。
【0037】
前絶縁プロテクタ14が収容部13Aに組み付けられた状態において、左位置決め部35の後端部は、左位置決め受け部36の後壁に前方から接触している(
図8および
図9参照)。また、右位置決め部37の後端部は、右位置決め受け部38の後壁に前方から接触している(
図9参照)。これにより、前絶縁プロテクタ14が、ケース13に対して、後方について位置合わせされた状態で保持されるようになっている。
【0038】
図6に示されるように、収容部13Aの前端部に前蓋21が取り付けられた状態で、前蓋21は、前絶縁プロテクタ14の左位置決め部35及び右位置決め部37に、前方から接触している。これにより、前絶縁プロテクタ14は、収容部13Aと、前蓋21との間に挟持されている。この結果、前絶縁プロテクタ14が、ケース13に対して、前方について位置合わせされた状態で保持されるようになっている。
【0039】
図4に示されるように、前絶縁プロテクタ14の上端部には、左端部寄りの位置に、上方に凸状に突出する上部位置決め部39(位置決め部の一例)が形成されている。上部位置決め部39は、前方から見て、上下方向に延びる長方形状に形成されている。
【0040】
図3に示されるように、収容部13Aの上壁19の前端部には、上部位置決め部39に対応する位置に、開口部20の開口縁から後方に凹状に陥没した上部位置決め受け部40(位置決め受け部の一例)が形成されている。上部位置決め受け部40内には、上部位置決め部39が前方から嵌合されるようになっている。換言すると、上部位置決め受け部40の左右方向の差し渡し寸法は、上部位置決め部39の左右方向の幅寸法と同じか、やや大きく設定されている(
図6参照)。
【0041】
[後絶縁プロテクタ41]
図2に示されるように、収容部13Aの後端部には、開口部20を後方から塞ぐ後絶縁プロテクタ41が取り付けられている。後絶縁プロテクタ41は、絶縁性の合成樹脂材が射出成型されてなる。後絶縁プロテクタ41は、全体として、前後方向から見て長方形状をなす板状に形成されている。後絶縁プロテクタ41には、上下方向に延びる複数(本実施形態では8つ)のスリット25が、左右方向に間隔を空けて形成されている。スリット25には、蓄電素子12のリード端子24が前方から後方に挿通されている。
【0042】
後絶縁プロテクタ41には、スリット25の近傍の位置に、金属板材からなる複数の接続バスバー26Bが取り付けられている。接続バスバー26Bには、スリット25に前方から挿通されたリード端子24が、後絶縁プロテクタ41の後方の領域において、電気的に接続されている。接続バスバー26Bとリード端子24とは、溶接、半田付け、ろう付け等の公知の手法により接続される。本実施形態においては、接続バスバー26Bとリード端子24とは、レーザー溶接により接続されている。
【0043】
[本実施形態の製造方法]
続いて、本実施形態にかかる蓄電モジュール11の製造方法の一例について説明する。蓄電モジュール11の製造方法は、以下の記載に限定されない。
【0044】
合成樹脂材が射出成型されることにより、前絶縁プロテクタ14と、後絶縁プロテクタ41とが形成される。前絶縁プロテクタ14に、出力バスバー26Aと、接続バスバー26Bとが組み付けられる。後絶縁プロテクタ41に接続バスバー26Bが組み付けられる(
図4参照)。
【0045】
所定の形状に切断された底壁16と、左壁17と、右壁18とがレーザー溶接される。これにより、底壁16、左壁17、および右壁18を有するとともに、上方に開口した溝状をなす金属部材が形成される(
図10参照)。
【0046】
図10に示されるように、8つの蓄電素子12が左右方向に並べられた蓄電素子群15が、溝状をなす金属部材に上方から収容される。
【0047】
図10に示されるように、前絶縁プロテクタ14が、溝状をなす金属部材に前方から組み付けられる。このとき、リード端子24が、前絶縁プロテクタ14のスリット25に後方から挿通される。前絶縁プロテクタ14の左位置決め部35がケース13の左位置決め受け部36内に凹凸嵌合するとともに、前絶縁プロテクタ14の右位置決め部37がケース13の右位置決め受け部38内に凹凸嵌合する。これにより、左側壁および右側壁に対して、前絶縁プロテクタ14が、上下方向について位置決めされる。
【0048】
図示しない治具を用いて、前絶縁プロテクタ14において、リード端子24と出力バスバー26Aとを接触させるとともに、リード端子24と接続バスバー26Bとを接触させる。この状態で、リード端子24と出力バスバー26Aとがレーザー溶接されるとともに、リード端子24と接続バスバー26Bとがレーザー溶接される。
【0049】
図10に示されるように、後絶縁プロテクタ41が、溝状をなす金属部材に後方から組み付けられる。このとき、リード端子24が、後絶縁プロテクタ41のスリット25に前方から挿通される。
【0050】
図示しない治具を用いて、後絶縁プロテクタ41において、リード端子24と接続バスバー26Bとを接触させる。この状態で、リード端子24と接続バスバー26Bとがレーザー溶接される。
【0051】
図11に示されるように、左壁17の上端縁、および右壁18の上端縁に、上方から上壁19が載置される。このとき、前絶縁プロテクタ14の上部位置決め部39が、上壁19の上部位置決め受け部40内に凹凸嵌合する。これにより、上壁19と、前絶縁プロテクタ14とが、左右方向について位置決めされる。
【0052】
上壁19と、左壁17の上端縁とがレーザー溶接されるとともに、上壁19と、右壁18の上端縁とがレーザー溶接される。これにより収容部13Aが形成される。
【0053】
収容部13Aの前端部に前蓋21が組み付けられる。また、収容部13Aの後端部に後蓋22が組み付けられる。
【0054】
前蓋21と、底壁16の前端部、左壁17の前端部、右壁18の前端部、上壁19の前端部とがレーザー溶接される。これにより、前絶縁プロテクタ14が、ケース13に対して前後方向に位置決め保持される。後蓋22と、底壁16の後端部、左壁17の後端部、右壁18の後端部、上壁19の後端部とがレーザー溶接される。これにより、蓄電モジュール11が完成する。
【0055】
なお、
図6に示されるように、出力バスバー26Aに、外部バスバー33を接続する場合には下記のように行う。出力バスバー26Aの出力端子部30の上に外部バスバー33の端部を重ねる。上方から、ボルト32を貫通孔31内に挿通し、ナットと螺合させる。
【0056】
このとき、前絶縁プロテクタ14の左端部の出力バスバー26Aにおいて、矢線Aで示される方向(時計回り方向)にボルト32が回転されると、前絶縁プロテクタ14の左位置決め部35が左位置決め受け部36から前方に引き抜かれる方向の力を受ける。左位置決め部35には、前蓋21が前方から接触するので、前絶縁プロテクタ14が前方に移動することが抑制されるようになっている。
【0057】
また、前絶縁プロテクタ14の右端部の出力バスバー26Aにおいて、矢線Bで示される方向(時計回り方向)にボルト32が回転されると、前絶縁プロテクタ14の右位置決め部37が右位置決め受け部38内に押し込まれる方向の力を受ける。右位置決め部37は、右位置決め受け部38の後壁に前方から接触することにより、前絶縁プロテクタ14が後方に移動することが抑制されるようになっている。
【0058】
[実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態にかかる配線モジュール10は、複数の蓄電素子12が並ぶ蓄電素子群15に取り付けられる配線モジュール10であって、複数の蓄電素子12のリード端子24と接続される複数のバスバー26と、複数のバスバー26が保持されると共に、蓄電素子群15が収容されるケース13に取り付けられる絶縁性の前絶縁プロテクタ14を備え、前絶縁プロテクタ14は、ケース13に係止する、左位置決め部35、右位置決め部37、および上部位置決め部39を有する。
【0059】
絶縁プロテクタに設けられた左位置決め部35、右位置決め部37、および上部位置決め部39を、ケース13に係止させることにより、ケース13に対して前絶縁プロテクタ14を位置決めできる。これにより、前絶縁プロテクタ14に保持された複数の蓄電素子12をケース13に対して位置決めできる。このように本実施形態によれば、位置決めをするために複数の蓄電素子12に個別に取り付けられた部材を用いることなく、複数の蓄電素子12を位置決めできるので、部品点数を削減できる。
【0060】
左位置決め部35、右位置決め部37、および上部位置決め部39は絶縁プロテクタから凸状に設けられており、ケース13のうち左位置決め部35、右位置決め部37、および上部位置決め部39に対応する位置には、それぞれ、左位置決め受け部36、右位置決め部37、および上部位置決め受け部40が凹状に設けられており、左位置決め部35は左位置決め受け部36に凹凸嵌合しており、右位置決め部37は右位置決め受け部38に凹凸嵌合しており、上部位置決め部39は上部位置決め受け部40に凹凸嵌合している。
【0061】
左位置決め部35を左位置決め受け部36に凹凸嵌合させ、右位置決め部37を右位置決め受け部38に凹凸嵌合させ、上部位置決め部39を上部位置決め受け部40に凹凸嵌合させるという簡易な方法により、絶縁プロテクタをケース13に位置決めできる。
【0062】
絶縁プロテクタの左端部には左位置決め部35が設けられており、ケース13の左壁17には左位置決め部35が設けられており、絶縁プロテクタの右端部には右位置決め部37が設けられており、ケース13の右壁18には右位置決め受け部38が設けられている。
【0063】
左位置決め部35が左位置決め受け部36に凹凸嵌合されるともに、右位置決め部37が右位置決め受け部38に凹凸嵌合されることにより、左位置決め部35および右位置決め部37に対して、左位置決め受け部36および右位置決め受け部38の内壁が上方および下方から接触する。これにより、絶縁プロテクタを上下方向について位置決めできる。
【0064】
絶縁プロテクタの上部には上部位置決め部39が設けられており、ケース13の上壁19には上部位置決め受け部40が設けられている。
【0065】
上部位置決め部39が上部位置決め凹部に凹凸嵌合されることにより、上部位置決め部39に対して、上部位置決め凹部の内壁が側方から接触する。これにより、絶縁プロテクタを、上下方向について位置決めできる。
【0066】
ケース13は、前方及び後方に開口する開口部20を有する収容部13Aと、収容部13Aの前端部に取り付けられて開口部20を塞ぐ前蓋21と、を有し、前蓋21と収容部13Aとの間に前絶縁プロテクタ14が挟持されている。
【0067】
収容部13Aと前蓋21によって挟持されることにより、前絶縁プロテクタ14が前後方向について位置決めされる。
【0068】
<他の実施形態>
(1)実施形態1においては、位置決め部を有する絶縁プロテクタとしては、収容部13Aの前端部に取り付けられる前絶縁プロテクタ14としてが、収容部13Aの後端部に取り付けられる後絶縁プロテクタ41が位置決め部を有する構成としてもよい。この場合、後蓋22が収容部13Aとの間で後絶縁プロテクタ41を挟持してもよい。
【0069】
(2)実施形態1においては、前絶縁プロテクタ14の左端部に左位置決め部35が設けられ、右端部に右位置決め部37が設けられる構成としたが、これに限られず、前絶縁プロテクタ14には、左位置決め部35のみが設けられる構成としてもよいし、また、右位置決め部37のみが設けられる構成としてもよい。
【0070】
(3)実施形態1においては、位置決め部が凸状に形成され、位置決め受け部が凹状に形成される構成としたが、これに限られず、位置決め部が凹状に形成され、位置決め受け部が凸状に形成される構成としてもよい。
【0071】
(4)実施形態1では前蓋21が収容部13Aの前端部に組み付けられる構成としたが、これに限られず、前蓋21は省略してもよい。
【0072】
(5)実施形態1では、蓄電素子群15を構成する蓄電素子12は8つであったが、これに限られず、2つから7つ、または9つ以上であってもよい。
【0073】
(6)前蓋21が収容部13Aの前端部に取り付けられた状態で、前蓋21が、上部位置決め部39に前方から接触する構成としてもよい。
【0074】
(7)実施形態1に係る蓄電素子12はラミネートフィルム外装体23を有する構成としたが、これに限られず、円筒形、角筒形等、任意の形状の外装体を有する構成としてもよい。外装体を構成する材料は、金属、合成樹脂等、任意の材料を選択できる。
【符号の説明】
【0075】
10: 配線モジュール
11: 蓄電モジュール
12: 蓄電素子
13: ケース
13A: 収容部
14: 前絶縁プロテクタ
15: 蓄電素子群
16: 底壁
17: 左壁
18: 右壁
19: 上壁
20: 開口部
21: 前蓋
22: 後蓋
23: ラミネートフィルム外装体
24: リード端子
25: スリット
26: バスバー
26A: 出力バスバー
26B: 接続バスバー
27: 挟持部
28: 突起部
29: 固定孔
30: 出力端子部
31: 貫通孔
32: ボルト
33: 外部バスバー
34: 接続部
35: 左位置決め部
36: 左位置決め受け部
37: 右位置決め部
38: 右位置決め受け部
39: 上部位置決め部
40: 上部位置決め受け部
41: 後絶縁プロテクタ