(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/12 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
F23N5/12 Z
(21)【出願番号】P 2020177095
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘逸
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242063(JP,A)
【文献】特開2012-137220(JP,A)
【文献】特開2016-133276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/12
F23N 5/24
F23D 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に、前後方向に長手で、上端に、主炎口と、主炎口の横方向両側に位置する袖火炎口とを備えるバーナが横方向に並べて複数本並設され、これらバーナを複数のバーナ組に組み分けして、燃焼するバーナ組の組み合わせを変更して燃焼能力を複数段に切換えるようにした燃焼装置であって、
これらバーナのうち横方向に隣接する2本のバーナであって、互いに異なるバーナ組に属し、何れの燃焼能力でも少なくとも一方が燃焼するものを特定バーナとして選択して、両特定バーナの上方に臨むようにフレームロッドを配置するものにおいて、
両特定バーナの一方を第1特定バーナ、他方を第2特定バーナ、第1特定バーナから第2特定バーナに向かう方向を横方向一方、第2特定バーナから第1特定バーナに向かう方向を横方向他方として、
フレームロッドは、燃焼室の前後一方の室壁を貫通する碍子から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第1のロッド部と、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に位置する、第1のロッド部の先端からのびる第2のロッド部と、第2のロッド部の先端から第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第3のロッド部と、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に位置する、第3のロッド部の先端からのびる第4のロッド部と
、第4のロッド部の先端から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第5のロッド部と、第5のロッド部の先端から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部を越えて第2のロッド部の横方向位置よりも横方向他方に位置する部分までのびる第6のロッド部とを有することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
燃焼室内に、前後方向に長手で、上端に、主炎口と、主炎口の横方向両側に位置する袖火炎口とを備えるバーナが横方向に並べて複数本並設され、これらバーナを複数のバーナ組に組み分けして、燃焼するバーナ組の組み合わせを変更して燃焼能力を複数段に切換えるようにした燃焼装置であって、
これらバーナのうち横方向に隣接する2本のバーナであって、互いに異なるバーナ組に属し、何れの燃焼能力でも少なくとも一方が燃焼するものを特定バーナとして選択して、両特定バーナの上方に臨むようにフレームロッドを配置するものにおいて、
両特定バーナの一方を第1特定バーナ、他方を第2特定バーナ、第1特定バーナから第2特定バーナに向かう方向を横方向一方、第2特定バーナから第1特定バーナに向かう方向を横方向他方として、
フレームロッドは、燃焼室の前後一方の室壁を貫通する碍子から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第1のロッド部と、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に位置する、第1のロッド部の先端からのびる第2のロッド部と、第2のロッド部の先端から第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第3のロッド部と、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に位置する、第3のロッド部の先端からのびる第4のロッド部とを有し、
前記碍子は、前記フレームロッドが挿通される碍子中心部が前記第2特定バーナよりも横方向一方に位置するように配置され、前記第1のロッド部が第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切り、第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分の前後方向位置は、当該部分の平面視で前後一方の輪郭線が、第2特定バーナの主炎口の前後一方の端よりも前後一方に外れた位置に存し、前後他方の輪郭線が、第2特定バーナの主炎口の前後一方の端と前後方向同等位置に存するように設定されることを特徴とす
る燃焼装置。
【請求項3】
請求項
2記載の燃焼装置であって、前記碍子は、前記碍子中心部が前記第2特定バーナとその横方向一方に隣接する前記バーナとの間の隙間に合致する横方向位置になるように配置され、前記第1のロッド部は、碍子から真下にのびる縦棒部と、縦棒部の下端から第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切って前記第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる横棒部とを有することを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室内に、前後方向に長手で、上端に、主炎口と、主炎口の横方向両側に位置する袖火炎口とを備えるバーナが横方向に並べて複数本並設され、これらバーナを複数のバーナ組に組み分けして、燃焼するバーナ組の組み合わせを変更して燃焼能力を複数段に切換えるようにした燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、燃焼室内に並設される複数本のバーナのうち横方向に隣接する2本のバーナであって、互いに異なるバーナ組に属し、何れの燃焼能力でも少なくとも一方が燃焼するものを特定バーナとして選択して、両特定バーナの上方に臨むようにフレームロッドを配置し、このフレームロッドで火炎検知を行うようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このフレームロッドは、両特定バーナの上方を横切るように配置されている。そして、各特定バーナの主炎口から噴出する混合気の燃焼炎たる主炎と袖火炎口から噴出する混合気の燃焼炎たる袖火とがフレームロッドに触れて、火炎電流が流れるようにしている。
【0004】
ところで、フレームロッドに主炎がある程度以上の時間触れ続けると、フレームロッドが1000℃以上に加熱されてしまう。そして、フレームロッドがこのような高温に加熱されると、フレームロッドを形成する合金の成分であるアルミニウムの酸化により、フレームロッドの表面に導電性の低いアルミナが析出して、火炎電流が流れ難くなり、火炎検知精度が悪化してしまう。
【0005】
そこで、従来、フレームロッドの表面を、導電性及び耐熱性の高い材料から成る保護被膜で被覆したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。然し、このものでは、保護被膜を形成することでコストが大幅に高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-119703号公報
【文献】特開2019-19993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、フレームロッドの表面を保護被膜で被覆せずに、フレームロッドの火炎検知精度を長期に亘って確保できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼室内に、前後方向に長手で、上端に、主炎口と、主炎口の横方向両側に位置する袖火炎口とを備えるバーナが横方向に並べて複数本並設され、これらバーナを複数のバーナ組に組み分けして、燃焼するバーナ組の組み合わせを変更して燃焼能力を複数段に切換えるようにした燃焼装置であって、これらバーナのうち横方向に隣接する2本のバーナであって、互いに異なるバーナ組に属し、何れの燃焼能力でも少なくとも一方が燃焼するものを特定バーナとして選択して、両特定バーナの上方に臨むようにフレームロッドを配置するものにおいて、両特定バーナの一方を第1特定バーナ、他方を第2特定バーナ、第1特定バーナから第2特定バーナに向かう方向を横方向一方、第2特定バーナから第1特定バーナに向かう方向を横方向他方として、フレームロッドは、燃焼室の前後一方の室壁を貫通する碍子から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第1のロッド部と、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に位置する、第1のロッド部の先端からのびる第2のロッド部と、第2のロッド部の先端から第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第3のロッド部と、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部に位置する、第3のロッド部の先端からのびる第4のロッド部とを有することを前提とする。
【0009】
上記前提によれば、フレームロッドの第2のロッド部に、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口上の袖火が触れ、第4のロッド部に、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口上の袖火が触れることになる。そして、第2と第4の各ロッド部には、第1と第2の各特定バーナの主炎口上の主炎が触れない。そのため、第2と第4の各ロッド部は、さほど高温には加熱されない。更に、第1と第2の両特定バーナ間の隙間に流れる二次空気によってフレームロッドの第3のロッド部分が冷却されることから、第2と第4の各ロッド部から第3のロッド部への熱引けにより、第2と第4の各ロッド部の温度上昇が抑えられる。その結果、フレームロッドの表面へのアルミナの析出が抑制される。従って、フレームロッドの表面を保護被膜で被覆しなくても、フレームロッドの火炎検知精度を長期に亘って確保できる。
【0010】
ところで、フレームロッドの加工誤差により、第2のロッド部の位置が横方向一方にずれてしまうことがある。そのため、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部から横方向一方に外れた部分に第2のロッド部が位置し、第1特定バーナの火炎を検知できなくなってしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記前提において、フレームロッドは、更に、第4のロッド部の先端から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる第5のロッド部と、第5のロッド部の先端から第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部を越えて第2のロッド部の横方向位置よりも横方向他方に位置する部分までのびる第6のロッド部とを有することを特徴とする。これによれば、第2のロッド部が、横方向一方への位置ずれで、第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部から横方向一方に外れた部分に位置しても、第6のロッド部の位置も横方向一方にずれることから、第2のロッド部の横方向位置よりも横方向他方に位置する第6のロッド部の部分が第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に位置することになる。そのため、第1特定バーナの火炎を検知することができる。
【0012】
また、第4のロッド部の位置が横方向他方にずれることもある。この場合は、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部から横方向他方に外れた部分に第4のロッド部が位置し、第2特定バーナの火炎を検知できなくなってしまう可能性がある。
【0013】
そこで、本発明は、上記前提において、碍子は、フレームロッドが挿通される碍子中心部が第2特定バーナよりも横方向一方に位置するように配置され、第1のロッド部が第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切り、第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分の前後方向位置は、当該部分の平面視で前後一方の輪郭線が、第2特定バーナの主炎口の前後一方の端よりも前後一方に外れた位置に存し、前後他方の輪郭線が、第2特定バーナの主炎口の前後一方の端と前後方向同等位置に存するように設定されることを特徴とする。これによれば、第4のロッド部が、横方向他方への位置ずれで、第2特定バーナの横方向他方の袖火炎口の直上部から横方向他方に外れた部分に位置しても、第2特定バーナの主炎口の前後一方の端よりも僅かながら前後一方に広がる主炎の端が第1のロッド部に触れ、第2特定バーナの火炎を検知することができる。また、第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分の前後一方の輪郭線が第2特定バーナの主炎口の前後一方の端よりも前後一方に外れた位置に存するため、第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分のうちの一部のみに主炎が触れることになる。そのため、第1のロッド部が高温に加熱されて、表面にアルミナが析出することを抑制できる。
【0014】
尚、第1のロッド部の部分の加熱をより効果的に抑制するには、碍子を、碍子中心部が第2特定バーナとその横方向一方に隣接するバーナとの間の隙間に合致する横方向位置になるように配置し、第1のロッド部を、碍子から真下にのびる縦棒部と、縦棒部の下端から第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切って第1特定バーナの横方向一方の袖火炎口の直上部に向けてのびる横棒部とを有するものとすることが望ましい。これによれば、縦棒部には、何れのバーナの火炎も触れず、また、横棒部には、主炎の下部の比較的温度の低い部分が触れることになり、第1のロッド部の加熱をより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図1のIII-III線で切断した要部の断面図。
【
図4】本発明の第2実施形態の燃焼装置の要部の拡大平面図。
【
図6】本発明の第3実施形態の燃焼装置の要部の拡大平面図。
【
図7】
図6のVII-VII線で切断した要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2を参照して、1は燃焼筐を示している。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に図示省略した熱交換器等の被加熱物が設置される。燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室2とその下側の給気室3とに仕切る仕切り板4が設けられている。給気室3の底面には図外の燃焼ファンがダクト5を介して接続されており、燃焼ファンから給気室3に空気が供給される。仕切り板4には、後述するバーナ6の配置ピッチ部分に位置させて多数の分布孔4aが形成されている。そして、給気室3に供給された空気がこれら分布孔4aを介して燃焼室2に二次空気として供給されるようにしている。
【0017】
燃焼室2内には、前後方向に長手のバーナ6が横方向に並べて複数本並設されている。各バーナ6は、上端に、
図3に示す如く、主炎口61と、主炎口61の横方向両側に位置する袖火炎口62,62とを有する。尚、本実施形態では、バーナ6を、主炎口61から理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出し、各袖火炎口62から淡混合気に比し燃料濃度の濃い濃混合気を噴出する濃淡バーナで構成している。
【0018】
主炎口61内には、主炎口61を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板63aを有する整流部材63が装着されている。整流部材63の前後複数箇所には、複数の整流板63aを横方向に密着させて主炎口1を前後複数のブロックに区画する絞り部63bが設けられている。また、主炎口61の両側部には、各袖火炎口62との間に位置させて、混合気が噴出しない還流域61aが設けられている。各バーナ6は、更に、横方向両側の袖火炎口62,62の横方向外側に位置する一対の外側板64,64の上縁間に跨る、整流部材63の絞り部63bと同一の前後方向箇所に位置するブリッジ部64aを有している。
【0019】
図2を参照して、各バーナ6の下部前端には、主炎用の流入口65と、その上側に位置する袖火用の流入口66とが設けられている。また、仕切り板4の前縁に立上り部41を曲成すると共に、立上り部41の前側に燃焼筐1の下部前面を塞ぐようにしてマニホールド7を装着している。立上り部41には、各バーナ6の流入口65,66に臨む開口が形成され、更に、立上り部41の前面には、各バーナ6の流入口65,66に対応する開口を形成したダンパ板42が取付けられている。マニホールド7には、各バーナ6の流入口65,66に対向する主炎用と袖火用のガスノズル71,72が設けられている。バーナ6の各流入口65,66には、マニホールド7の各ガスノズル71,72から燃料ガスが供給されると共に、給気室3から立上り部41とマニホールド7との間に画成される空隙を介して一次空気が供給される。そして、主炎用の流入口65に連なるバーナ6内の流路で生成された淡混合気が主炎口61から噴出し、袖火用の流入口66に連なるバーナ6内の流路で生成された濃混合気が袖火炎口62,62から噴出するようにしている。
【0020】
図1を参照して、燃焼室2内に並設した複数のバーナ6は、
図1で右側の4本のバーナ6から成る第1のバーナ組G1と、左側の8本のバーナ6から成る第2のバーナ組G2とに組み分けされている。そして、燃焼させるバーナ組の組み合わせを変更して燃焼能力を複数段に切換えるようにしている。具体的には、燃焼能力を、第1のバーナ組G1のみを燃焼させる第1段の能力(バーナ4本分の能力)と、第2のバーナ組G2のみを燃焼させる第2段の能力(バーナ8本分の能力)と、第1と第2の両バーナ組G1,G2を燃焼させる第3段の能力(バーナ12本分の能力)とに切換自在としている。
【0021】
燃焼室2の前後一方の室壁、例えば、前方の室壁21には、第2のバーナ組G2に属する所定のバーナ6の前方の端部近傍の上方に臨む点火プラグ8が装着され、更に、第2のバーナ組G2の右端のバーナから成る第1特定バーナ61と、第1特定バーナ61の右方に隣接する、第1のバーナ組G1の左端のバーナから成る第2特定バーナ62との上方に臨むフレームロッド9が装着されている。尚、燃焼能力を上記第1乃至第3の何れの能力にしたときでも、第1と第2の両特定バーナ61,62の少なくとも一方は燃焼する。従って、第1乃至第3の何れの能力でも、フレームロッド9により火炎検知を行うことができる。
【0022】
次に、フレームロッド9について詳述する。尚、以下の説明では、第1特定バーナ6
1から第2特定バーナ6
2に向かう方向を横方向一方、第2特定バーナ6
2から第1特定バーナ6
1に向かう方向を横方向他方とする。
図1、
図3を参照して、フレームロッド9は、燃焼室2の前方
の室壁21に貫通する碍子90から第1特定バーナ6
1の横方向一方(
図1で右方、
図3で左方)の袖火炎口62の直上部に向けて斜め下方にのびる第1のロッド部91と、第1特定バーナ6
1の横方向一方の袖火炎口62の直上部に位置する、第1のロッド部91の先端からのびる第2のロッド部92と、第2のロッド部92の先端から第2特定バーナ6
2の横方向他方(
図1で左方、
図3で右方)の袖火炎口62の直上部に向けてのびる第3のロッド部93と、第2特定バーナ6
2の横方向他方の袖火炎口62の直上部に位置する、第3のロッド部93の先端からのびる第4のロッド部94とを有している。
【0023】
碍子90は、フレームロッド9が挿通される碍子中心部が第2特定バーナ62よりも横方向一方に位置するように配置されている。具体的には、碍子中心部が第2特定バーナ62とその横方向一方に隣接するバーナ6との間の隙間に合致する横方向位置になるように碍子90を配置している。そして、第1のロッド部91が第2特定バーナ62の前方の端部の上方を横切るようにしている。更に、第2特定バーナ62の前方の端部の上方を横切る第1のロッド部91の部分の前後方向位置は、当該部分の平面視で前方の輪郭線91aが、第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも前方に外れた位置に存し、後方の輪郭線91bが、この主炎口61の前方の端と前後方向同等位置とに存するように設定されている。尚、「主炎口61の前方の端と前後方向同等位置」とは、主炎口61の前方の端から僅かに前方や後方に位置する場合も含む用語である。
【0024】
本実施形態によれば、フレームロッド9の第2のロッド部92に、第1特定バーナ61の横方向一方の袖火炎口62上の袖火が触れ、第4のロッド部94に、第2特定バーナ62の横方向他方の袖火炎口62上の袖火が触れることになる。そして、第2と第4の各ロッド部92,94には、第1と第2の各特定バーナ61,62の主炎口61上の主炎が触れない。そのため、第2と第4の各ロッド部92,94は、1000℃以上といった高温には加熱されない。更に、第1と第2の両特定バーナ61,62間の隙間に流れる二次空気によってフレームロッド9の第3のロッド部93が冷却される。そのため、第2と第4の各ロッド部92,94から第3のロッド部93への熱引けにより、第2と第4の各ロッド部92,94の温度上昇が効果的に抑えられる。その結果、フレームロッド9の表面へのアルミナの析出が抑制される。従って、フレームロッド9の表面を保護被膜で被覆しなくても、フレームロッド9の火炎検知精度を長期に亘って確保でき、フレームロッド9の表面を保護被膜で被覆するものに比し大幅なコストダウンを図ることができる。
【0025】
ところで、フレームロッド9の加工誤差により、第4のロッド部94の位置が横方向他方にずれて、第2特定バーナ62の横方向他方の袖火炎口62の直上部から横方向他方に外れた部分に第4のロッド部94が位置してしまうことがある。この場合でも、本実施形態では、第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも僅かながら前方に広がる主炎の端が第1のロッド部91に触れ、第2特定バーナ62の火炎を検知することができる。
【0026】
また、第2特定バーナ62の前方の端部の上方を横切る第1のロッド部91の部分の前方の輪郭線91aが第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも前方に外れた位置に存するため、第2特定バーナ62の前方の端部の上方を横切る第1のロッド部91の部分のうちの一部のみに主炎が触れることになる。そのため、第1のロッド部91が高温に加熱されて、表面にアルミナが析出することを抑制できる。
【0027】
次に、
図4、
図5に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態の基本的な構造は上記第1実施形態と特に異ならず、第1実施形態のものと同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の第1実施形態との相違点は、フレームロッド9が、第4のロッド部94の先端から第1特定バーナ6
1の横方向一方(
図4の右方、
図5の左方)の袖火炎口62の直上部に向けてのびる第5のロッド部95と、第5のロッド部95の先端から第1特定バーナ6
1の横方向一方の袖火炎口62の直上部を越えて第2のロッド部92の横方向位置よりも横方向他方(
図4の左方、
図5の右方)に位置する部分、具体的には、第1特定バーナ6
1の横方向一方の袖火炎口62に隣接する還流域61aの直上部までのびる第6のロッド部96とを有することである。
【0028】
これによれば、第2のロッド部92が、加工誤差による横方向一方への位置ずれで、第1特定バーナ61の横方向一方の袖火炎口62の直上位置から横方向一方に外れた部分に位置しても、第6のロッド部96の位置も横方向一方にずれることから、第2のロッド部92の横方向位置よりも横方向他方に位置する第6のロッド部96の部分が第1特定バーナ61の横方向一方の袖火炎口62の直上部に位置することになる。そのため、第1特定バーナ61の火炎を検知することができる。また、第4のロッド部94が、横方向他方への位置ずれで、第2特定バーナ62の横方向他方の袖火炎口62の直上部から横方向他方に外れた部分に位置しても、上記第1実施形態と同様に、第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも僅かながら前方に広がる主炎の端が第1のロッド部91に触れ、第2特定バーナ62の火炎を検知することができる。
【0029】
次に、フレームロッド9の第1のロッド部91の形状を上記第1、第2実施形態のものと異ならせた
図6、
図7に示す第3実施形態について説明する。第3実施形態では、碍子90を、第1、第2実施形態のものと同様に、碍子中心部が第2特定バーナ6
2とその横方向一方(
図6の右方、
図7の左方)に隣接するバーナ6との間の隙間に合致する横方向位置になるように配置している。第1のロッド部91は、碍子90から真下にのびる縦棒部911と、縦棒部911の下端から第2特定バーナ6
2の前方の端部の上方を横切って第1特定バーナ6
1の横方向一方(
図6の右方、
図7の左方)の袖火炎口62の直上部に向けてのびる横棒部912とを有している。
【0030】
尚、第2特定バーナ62の前方の端部の上方を横切る第1のロッド部91の部分である横棒部912の前後方向位置は、第1、第2実施形態のものと同様に、平面視で前方の輪郭線91aが、第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも前方に外れた位置に存し、後方の輪郭線91bが、この主炎口61の前方の端と前後方向同等位置とに存するように設定されている。また、フレームロッド9は、第2実施形態のものと同様に、第2~第6のロッド部92~96を有しているが、第5と第6のロッド部95,96を省略することも可能である。
【0031】
第3実施形態によれば、第1のロッド部91の縦棒部911には、何れのバーナ6の火炎も触れず、また、横棒部912には、第2特定バーナ62の主炎口61の前方の端よりも僅かながら前方に広がる主炎の下部の比較的温度の低い部分が触れることになる。従って、第1のロッド部91の加熱をより効果的に抑制することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、碍子90を燃焼室2の後方の室壁に貫通させることも可能である。この場合は、第1のロッド部91が第2特定バーナ62の後方の端部の上方を横切るようにする。そして、第2特定バーナ62の後方の端部の上方を横切る第1のロッド部91の部分の前後方向位置は、当該部分の平面視で後方の輪郭線が、第2特定バーナ62の主炎口91の後方の端よりも後方に外れた位置に存し、前方の輪郭線が、この主炎口91の後方の端と前後方向同等位置とに存するように設定する。
【0033】
また、上記第1、第2実施形態のものにおいて、碍子90を、碍子中心部が第2特定バーナ62の横方向一方に隣接するバーナ6よりも横方向一方に位置するように配置し、或いは、碍子中心部が第1特定バーナ61と第2特定バーナ62との間に位置するように配置することも可能である。また、バーナ6は、濃淡バーナ以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
2…燃焼室、6…バーナ、61…第1特定バーナ、62…第2特定バーナ、61…主炎口、62…袖火炎口、9…フレームロッド、91…第1のロッド部、91a…第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分の平面視で前後一方の輪郭線、91b…第2特定バーナの前後一方の端部の上方を横切る第1のロッド部の部分の平面視で前後他方の輪郭線、911…縦棒部、912…横棒部、92…第2のロッド部、93…第3のロッド部、94…第4のロッド部、95…第5のロッド部、96…第6のロッド部。