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▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】スプリング巻き機
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/62 20060101AFI20241119BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
E06B9/62 B
E06B9/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020182193
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072638
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】浅利 啓太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 克広
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-266740(JP,A)
【文献】特表2011-503464(JP,A)
【文献】米国特許第04422493(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189080(US,A1)
【文献】米国特許第03979977(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06-9/18
E06B 9/24-9/388
E06B 9/40-9/50
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトには開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されており、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機であって、
表面板を形成する2枚のプレートと、
前記2枚のプレート間に回転自在に支持されており、前記シャフトの挿通部を備えた平歯車と、
前記平歯車の回転力を前記スプリングに伝動させる手段と、
前記平歯車と噛合するウォームと、
前記ウォームと一体で回転し、回動駆動源と接続可能な駆動軸と、
を備え、
前記2枚のプレートには前記ウォームに位置して開口が形成されており、
前記2枚のプレート間には、前記開口に隣接して軸受ベースが設けられ、前記軸受ベースの上端には前記ウォームの下側部位を受け入れる凹部が形成されており、前記凹部の両側に位置して左右の軸受支持部が形成されており、前記開口と前記凹部によって、前記ウォームを回転自在に受け入れる収納部が形成されており、
前記軸受支持部には、軸受部材が支持されており、
前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位が前記軸受部材に回転自在に支持されており、
前記軸受部材は、前記駆動軸よりも軟らかい材料で形成されており、前記駆動軸が前記軸受部材に対して回転する際に、前記軸受部材を摩耗させることで、前記駆動軸の回転時の動摩擦係数を低減させるようにしたことを特徴とする
スプリング巻き機。
【請求項2】
前記軸受部材は、円弧状の支持面を備えており、前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位を、ウォームと平歯車の噛合部位の反対側から支持している、
請求項1に記載のスプリング巻き機。
【請求項3】
前記軸受部材は、前記収納部の外側に位置しており、前記軸受部材と前記ウォームとの間には、前記収納部内に位置して、ワッシャが設けてある、
請求項2に記載のスプリング巻き機。
【請求項4】
前記軸受部材は、筒状部とフランジとから一体形成されており、前記駆動軸の挿通部を備えており、前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位の外周に、前記フランジを前記ウォームに当接ないし近接させた状態で設けられている、
請求項1に記載のスプリング巻き機。
【請求項5】
前記軸受部材の前記筒状部は前記収納部の外側に位置しており、前記フランジは前記収納部内に位置している、
請求項4に記載のスプリング巻き機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリング巻き機に係り、詳しくは、開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されているシャフトにおいて、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターの中には、扉体の重量をバランスさせるバランススプリングが搭載されたシャフトを備えるものがあり、このようなシャッターとしてオーバーヘッドドアを挙げることができる。オーバーヘッドドアのワイヤを巻き取るシャフトに搭載しているバランススプリングは、一端をブラケットに固定し、他端を当該バランススプリングに固定したワインディングプラグを介してシャフトに固定している。このバランススプリングはパネル開放時の持ち上げ力を蓄えるように予め所定量巻き締める必要があるが、この巻き締め作業としては、手動で行うもの(特許文献1の従来例)、電動で行うもの(特許文献2、3)が知られている。
【0003】
特許文献1には、バランススプリングには捩りコイルバネが使用され、該バランススプリングが所定量回転され初期トルクが付与された状態で一端がブラケット側に固定され、一端がシャフト側にプラグを介して固定され、前記シャフトに巻取方向の回転力を付勢する様になっており、シャッタカーテンにはワイヤを介して上昇力が付勢され、前記シャッタカーテンを開閉する際の動力が軽減されていること、バランススプリングは当初は一端がブラケットに固定され、他端には固定プラグが固定されており、固定プラグはシャフトに対して回転自在であり、該シャフトには固定されていない状態となっており、取付現場で、固定プラグに2本の棒(本願図2に参照番号18´で示している)を交互に差込みながら、固定プラグを所定量回転させて巻き締め作業を行った後に、ボルトにより固定プラグをシャフトに固定すること、が記載されている。
【0004】
特許文献2、3には、電動ドリルを用いて電動でバランススプリングの巻き締め作業を行う装置が開示されている。特許文献2には、シャフトと同軸に従動ギヤが固定されたシャッターの引上げ装置であって、シャフトに係合させるフックと、該フックを上記シャフトの回転方向に対して固定する固定部材と、上記シャフトにフックを固定した状態で、上記従動ギヤに対して歯合する駆動ギヤと、該駆動ギヤに一端が連結され、他端は電動ドリルに連結された駆動力伝達手段と、を具備していることを特徴とするシャッターの引上力調整治具が開示されている。
【0005】
特許文献3には、平歯車とウォームが、歯車機構により伝動連結されており、平歯車はシャフトを受け入れるようなスロットを備えており、ウォームには駆動軸が一体で設けてあり、駆動軸を電動ドリルで回転させることで、平歯車を回転させ、平歯車の回転力でコイルスプリングを捩じるような電動ツールが開示されている。
【0006】
特許文献3に類似した電動ドリルを用いたスプリング巻き機として、平歯車は、円周状の溝部を備えたフレームないしケーシング内に納まっており、平歯車をウォームに直接噛合させているものが実用化されている。このタイプのものでは、平歯車がトルクを受けた時に、ウォームを保持している駆動軸を押し込む力が作用し、駆動軸と溝状の軸受部の摩擦が大きくなり、ウォームを支える軸部分の回動が鈍くなって、電動ドリルのトルクを効率的に平歯車、コイルスプリングに伝達できないという不具合があった。また、駆動軸と軸受部との界面にはグリースが塗布されているが、駆動軸と軸受部の摩擦が大きくなって発熱量が大きくなり熱損失が生じる。
【文献】特開2005-226291
【文献】特許第2539533号
【文献】米国特許第3979977号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スプリング巻き機において、駆動源の回転トルクのスプリングへの伝達効率を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
シャフトには開閉体の重量をバランスさせるスプリングが搭載されており、前記スプリングを巻き締めて当該シャフトに回転力を付与するスプリング巻き機であって、
前記シャフトの挿通部を備えた平歯車と、
前記平歯車の回転力を前記スプリングに伝動させる手段と、
前記平歯車と噛合するウォームと、
前記ウォームと一体で回転し、回動駆動源と接続可能な駆動軸と、
を備え、
前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位が軸受部材に回転自在に支持されており、
前記軸受部材は、前記駆動軸よりも摩耗し易いように、前記駆動軸よりも軟らかい材料で形成されている、
スプリング巻き機、である。
1つの態様では、前記駆動軸は鋼製であり、前記軸受部材は銅製(真鍮ないし黄銅)である。
【0009】
1つの態様では、前記軸受部材は、円弧状の支持面を備えており、前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位を、ウォームと平歯車の噛合部位の反対側から支持している。
1つの態様では、前記ウォームは、収納部内に回転自在に納まっており、
前記軸受部材は、前記収納部の外側に位置しており、前記軸受部材と前記ウォームとの間には、前記収納部内に位置して、ワッシャが設けてある。
1つの態様では、前記ワッシャは、前記駆動軸よりも摩耗し易いように、前記駆動軸よりも軟らかい材料で形成されている。
【0010】
1つの態様では、前記軸受部材は、筒状部とフランジとから一体形成されており、前記駆動軸の挿通部を備えており、前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位の外周に、前記フランジを前記ウォームに当接ないし近接させた状態で設けられている。
1つの態様では、前記軸受部材は、前記前記駆動軸の前記ウォームの両端に位置する部位の外周に設けた筒状のスラスト軸受である。
1つの態様では、前記ウォームは、収納部内に回転自在に納まっており、
前記軸受部材の前記筒状部は前記収納部の外側に位置しており、前記フランジは前記収納部内に位置している。
【0011】
1つの態様では、前記平歯車は2枚のプレート間に回転自在に支持されており、
プレート間には、前記平歯車の周縁の歯に近接して、複数のガイドが設けてあり、前記ガイドは、前記平歯車の歯に接触可能な周面を備えている。
1つの態様では、前記複数のガイドは、ウォームとの噛合部位を除いて、平歯車の周方向に亘って設けてある。
1つの態様では、前記ガイドは回転自在なローラである。後述する第1実施形態では、前記ガイドはベアリングである。
【0012】
1つの態様では、前記平歯車は2枚のプレート間に回転自在に支持されており、
前記平歯車の面部の周縁部位には、平歯車よりも小径の円周面が形成されており、
プレート間には、前記円周面に近接して、複数のガイドが設けてあり、前記ガイドは、前記平歯車の歯には非接触で前記円周面に接触可能な周面を備えている。
1つの態様では、前記円周面は、前記平歯車の面部に固定された円板の周面である。
1つの態様では、前記円板は、前記平歯車の両方の面部に固定されている。
後述する第2実施形態では、平歯車と第1円板と第2円板とから平歯車アセンブリが形成されており、第1円板、第2円板のそれぞれの円周面に接触可能にガイドが設けてある。
1つの態様では、前記複数のガイドは、ウォームとの噛合部位を除いて、平歯車の周方向に亘って設けてある。
1つの態様では、前記ガイドは回転自在なローラである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、駆動軸のウォームの両端に位置する部位が軸受部材に回転自在に支持されており、前記軸受部材は、前記駆動軸よりも摩耗し易いように、前記駆動軸よりも軟らかい材料で形成されているので、軸受部材を積極的に消耗材として摩耗させることで、駆動軸の回転時の動摩擦係数を低減させ、駆動源(例えば電動ドリル)の回転トルクのスプリングへの伝達効率を向上させることができる。また、軸受部におけるグリースの焼けも少なくなるため、グリースの使用量を削減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの正面図である。
図2】(A)はワイヤ巻取機構の斜視図、(B)はオーバーヘッドドアのワイヤ巻取機構のワインディングプラグを示す図、(C)はバランススプリングとワインディングプラグとの連結を示す図である。
図3】第1実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図である。
図4】第1実施形態に係るスプリング巻き機を示す正面図及び側面図である。
図5図4に示すスプリング巻き機において、プラグ支持ボルトを外した状態を示す図である。
図6図4に示すスプリング巻き機において、一方のプレートを外した状態を示す図である。
図7】第1実施形態に係るスプリング巻き機の駆動軸の支持構造を説明する図である。
図8】(A)は第1実施形態に係る軸受部材を示す図、(B)は、第1実施形態に係るスプリング巻き機の駆動軸の支持構造を分解して示す図、(C)は、駆動軸の支持構造の部分拡大図である。
図9】第1実施形態に係るスプリング巻き機をプラグにセットした状態を示す図である。
図10】第1実施形態に係るスプリング巻き機をプラグにセットした状態を示す図である。
図11】第1実施形態に係る平歯車を示す図である。
図12】第1実施形態に係るプレートを示す図である。
図13】第1実施形態に係る軸受ベースを示す図である。
図14】第2実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図である。
図15】第2実施形態に係るスプリング巻き機を示す正面図及び側面図である。
図16図15に示すスプリング巻き機において、一方のプレートを外した状態を示す図である。
図17図15に示すスプリング巻き機において、プラグ支持ボルトを外した状態を示す図である。
図18図17の矢視方向から見た拡大断面図である。
図19】(A)、(B)は、第2実施形態に係るスプリング巻き機の駆動軸の支持構造を説明する図である。(C)は、第2実施形態に係る軸受を示す図である。
図20】(A)は、第2実施形態に係るスプリング巻き機の駆動軸の支持構造を分解して示す図、(B)は、駆動軸の支持構造の部分拡大図である。
図21】第2実施形態に係る平歯車アセンブリの本体に分割アセンブリを取り付ける工程を示す図である。
図22】第2実施形態に係るスプリング巻き機をプラグにセットした状態を示す図である。
図23】第2実施形態に係る平歯車を示す図である。
図24】第2実施形態に係る平歯車アセンブリの第1円板を示す図である。
図25】第2実施形態に係る平歯車アセンブリの第2円板を示す図である。
図26】第2実施形態に係る第1プレートを示す図である。
図27】第2実施形態に係る第2プレートを示す図である。
図28】(A)は、第2実施形態に係る第1軸受ベースを示す図であり、(B)は、第2実施形態に係る第2軸受ベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]オーバーヘッドドアの巻取機構
図1は、全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの正面図であり、オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のパネルPを上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されている。各パネルPの幅方向左右両端には、ローラブラケットが設けてあり、扉体は、各パネルPの左右両端のローラブラケットのガイドローラが開口部の幅方向左右に設けたガイドレールGに案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。ガイドレールGは、開口部の高さ方向に延びる第1部位と、第1部位の上方から室内側に向かって後方に延びる湾曲状の第2部位と、第2部位の後方から天井に沿って後方に延びる第3部位と、からなる。
【0016】
最下位のパネルPの幅方向左右両端には、ワイヤWが連結されており、開口部の上方には、ワイヤWの巻取機構1が設けてある。開口部全閉状態から、ワイヤ巻取機構1によって、左右のワイヤWを同時に引き上げることで、各パネルPが第1部位に位置する垂直姿勢から第3部位に位置するほぼ水平姿勢まで引き上げられて、開口部全開状態となる。
【0017】
ワイヤ巻取機構1は、開口幅方向両端の上方に位置する左右の巻取ドラム1A、1Bと、左右の巻取ドラム1A、1Bを一体で同期して回転可能とする回転機構を備えている。図2(A)に示すように、本実施形態に係る回転機構は、開口幅方向に直列に接続された2本の第1シャフト2A、第2シャフト2Bを備え、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの一方の端部同士がジョイント20を介して一体で回転可能に連結されており、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの他方の端部が、それぞれ左右の巻取ドラム1A、1Bに一体で回転可能に連結されている。本実施形態では回転機構は2本のシャフトを備えているが、シャフトの本数は、開口幅寸法や扉体の重量等に応じて、1本でもよく、あるいは3本以上のシャフトを一体で回転するように連結したものであってもよい。
【0018】
第1シャフト2Aの長さ方向の一端側は、ブラケット3Aに回転自在に支持されており、他端側はブラケット4Aに回転自在に支持されている。第2シャフト2Bの長さ方向の一端側は、ブラケット3Bに回転自在に支持されており、他端側はブラケット4Bに回転自在に支持されている。ブラケット3A、3B、4A、4Bは、それぞれ開口幅方向に所定の間隔を存して躯体に対して持ち出し状に固定されており、ブラケット3A、4Aが第1シャフト2Aを、長さ方向の2箇所で回転自在(ベアリングによって)に支持しており、ブラケット3B、4Bが第2シャフト2Bを、長さ方向の2箇所で回転自在(ベアリングによって)に支持している。
【0019】
開口部上方の両端部位には、ブラケット5A、5Bがそれぞれ躯体に対して持ち出し状に固定されている。第1巻取ドラム1Aは、ブラケット4Aとブラケット5Aの間に回転自在(ベアリングによって)に支持されている。第2巻取ドラム1Bは、ブラケット4Bとブラケット5Bの間に回転自在(ベアリングによって)に支持されている。
【0020】
第1シャフト2Aには第1コイルスプリング6Aが外装されており、第1コイルスプリングの一端は、ブラケット3Aに固定された第1筒状体60の外面に巻き付けて接続されており、第1コイルスプリングの他端は第1シャフト2Aと一体で回転する第2筒状体ないしワインディングプラグ61の外面に巻き付けて接続されている。第2シャフト2Bには第2コイルスプリング6Bが外装されており、第2コイルスプリング6Bの一端は、ブラケット3Bに固定された第1筒状体60の外面に巻き付けて接続されており、第2コイルスプリング6Bの他端は第2シャフト2Bと一体で回転する第2筒状体ないしワインディングプラグ61の外面に巻き付けて接続されている。
【0021】
図2(B)、(C)に示すように、ワインディングプラグ61は、第1シャフト2A、第2シャフト2Bの挿通部612を備えた本体610と、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部を接続するスプリング固定部611と、から一体形成されており、本体610には、ワインディングプラグ61と第1シャフト2A、第2シャフト2Bを固定して一体化するためのボルト19用の孔613が径方向に形成されており、ボルト19を締めることによって、ワインディングプラグ61とシャフト2A、2Bを固定する。ワインディングプラグ61の本体610には、さらに、プラグ支持ボルト18(後述する)を挿入するための孔614が径方向に形成されている。従来の手動によるスプリング巻き締め作業は、棒18´(図2(A)参照)を孔614に差し込んで、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めていた。本実施形態では、電動で駆動するスプリング巻き機によって、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締める。
【0022】
第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bは、パネルPの開放時の持ち上げ力を蓄えるように、スプリング巻き機によって、予め所定量巻き締められている。扉体の下降時には、パネルPの自重がワイヤWに作用することで、第1巻取ドラム1A、第2巻取ドラム1Bの回転によって、ワイヤWが引き出されながら第1シャフト2A、第2シャフト2Bが第1の方向に回転して開口部を閉鎖し、開口部開放時には、巻き締められて蓄勢された第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bが解放され、スプリングの戻り力が、第1シャフト2A、第2シャフト2Bを第2の方向へ回転させてワイヤWを巻き上げるように作用し、パネルPの上昇動作をアシストするようになっている。
【0023】
[B]第1実施形態
図3に、第1実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図、図4に、同スプリング巻き機の正面図及び側面図を示す。図9図10に、本実施形態に係るスプリング巻き機をセットした状態を示す。本実施形態に係るスプリング巻き機は、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されているワインディングプラグ61に係脱可能であり、ワインディングプラグ61に係止して当該ワインディングプラグ61に回転力を与える平歯車7と、平歯車7と噛合するウォーム8と、ウォーム8と一体で回転し、回動駆動源(例えば電動ドリル)と接続可能な駆動軸9と、を備え、駆動軸9を電動で回転させることにより、ウォーム8を回転させ、ウォーム8の回転に連動して平歯車7を回転させ、平歯車7の回転力をワインディングプラグ61に伝達して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。
【0024】
図11に示すように、本実施形態に係る平歯車7は、第1部分70と、第2部分71と、に分割されており、第1部分70と第2部分71を組み合わせることで形成されている。平歯車7の周縁には連続状に歯72が形成されており、ウォーム8と噛合するようになっている。第2部分71は、一端に歯72を備え、他端に半円状の凹部710が形成されている略長方形状の要素であり、第1部分70は、平歯車7から第2部分71を取り除いた要素であり、第2部分71の外形に対応する略長方形状の切り欠き部700を備えており、切り欠き部700の底部には半円状の凹部701が形成されている。第1部分70の切り欠き部700に第2部分71を嵌め込んだ状態において、第1部分70の凹部701と第2部分71の凹部710から、平歯車7の中心に位置して、円形状の挿通部73が形成され、挿通部73に第1シャフト2A、第2シャフト2Bを挿通可能となっている。
【0025】
平歯車7は、ウォーム8に噛合した状態で、2枚のプレート10間に挟まれるような態様で回転自在に保持されており、プレート10は、スプリング巻き機のいわば表面板である。本実施形態では、2枚のプレート10は同一の形状を備えている。図12に示すように、プレート10は、切り欠きリング状ないしC形状の第1部分100と、第1部分100の基端側に一体形成された台形状の第2部分101と、からなる。プレート10の第1部分100は、左右の湾曲片1000、1001と、湾曲片1000、1001の先端側に形成された開口1002と、左右の湾曲片1000、1001の間に形成された略円形状の開口1003と、湾曲片1000、1001の基端側に開口1002と対向して位置する基端部位1004と、からなり、基端側部位1004には、第1部分100の開口1002から離れるように台形状の第2部分101が一体形成されている。第1部分100の基端部位1004には、横長方形状の開口102が形成されている。
【0026】
図4図5に示すように、平歯車7の周縁部は、2枚のプレート10の第1部分100に挟まれるように位置しており、平歯車7に噛合しているウォーム8は第1部分100の基端部位1004に形成された開口102内に非接触状態で納まるようになっている。平歯車7の周縁部を除く面部は、第1部分100の開口1003に露出している。
【0027】
図4図6に示すように、2枚のプレート10の第1部分100の間には、平歯車7の周縁の歯72に近接して、複数のベアリング11が回転自在に設けてあり、ベアリング11は、平歯車7の歯に接触可能な周面を備えている。複数のベアリング11は、ウォーム8との噛合部位を除いて、平歯車7の周方向に亘って設けてある。より具体的には、一方の湾曲片1000には、先端から基端に向かって4個のベアリング11が設けてあり、先端側のベアリング11から基端側のベアリング11に向かって、各ベアリング11の間隔が大きくなっている。他方の湾曲片1001には、先端から基端に向かって4個のベアリング11が設けてあり、先端側のベアリング11から基端側のベアリング11に向かって、各ベアリング11の間隔が大きくなっている。
【0028】
本実施形態において、複数のベアリング11の間隔は等間隔ではなく、ウォーム8から遠い側に密に設けてある。複数のベアリング11の周面は、平歯車7の周縁の歯72に近接している。平歯車7の回転時に、平歯車7の回転中心が僅かに変位しようとすると、平歯車7の周縁の歯72が、複数のベアリング11のいずれかの1つあるいは複数のベアリングの周面に接触して、平歯車7の変位を規制するようになっている。また、ベアリング11は、平歯車7に比べてはるかに小径であり、従来のフレームの溝部に平歯車が接触する場合に比べて、ベアリング11と平歯車7の接触時の抵抗は低減されている。
【0029】
左右の湾曲片1000、1001の先端側には、それぞれ2個のベアリング11が配置されているので、プレート10の左右の湾曲片1000、1001が開く方向に僅かに変形して、平歯車7がウォーム8から離れる方向に僅かに移動しようとした時には、先端側のベアリング11の周面に平歯車7の歯72が速やかに接触することで、平歯車7の移動を規制し、平歯車7の歯72とウォーム8との適正な噛合状態を維持する。
【0030】
基端側に配置したベアリング11の周面は、一側が平歯車7の歯72に近接し、他側が駆動軸9の一側に近接している。駆動軸9の他側は、軸受部材13(後述する)によって支持されている。駆動軸9が軸受部材13から離れる方向(駆動軸9と一体で回転するウォーム8が平歯車72の歯72に近づく方向)の移動は、駆動軸9が基端側の左右のベアリング11の周面に接触することで規制される。
【0031】
本実施形態では、ウォーム8との噛合部位を除いて、平歯車7の周方向に亘って8個のベアリング11が設けてあるが、ベアリングの個数は8個に限定されない。ベアリング配置間隔についても、図示の態様に限定されない。例えば、左右の湾曲片1000、1001のそれぞれに5個以上のベアリングを等間隔で配置してもよい。
【0032】
本実施形態に係るベアリング11は、周面が平歯車7の周縁の歯72に接触して、回転中の平歯車7の変位を規制するガイドであり、ベアリング11はガイドの1つの好ましい実施態様である。本発明に係るガイドは、ベアリング11に限定されるものではなく、平歯車7の周縁の歯72に接触可能な周面を備えたベアリング以外の回転自在のローラであってもよい。あるいは、平歯車7の周縁の歯72に接触可能な周面を備えた非回転体からガイドを形成してもよい。あるいは、ベアリング、ローラ、非回転体の任意の組み合わせのセットから複数のガイドを構成してもよい。
【0033】
図3図4図7等に示すように、2枚のプレート10の第2部分101の間には、軸受ベース12が設けてある。本実施形態では、同形状の2枚の軸受ベース12が、重なった状態で2枚のプレート10の第2部分101の間に挟持され、プレート10に固定されている。図13に示すように、軸受ベース12は、台形状の第2部分101の外形に略対応する形状を備えており、図13に示す姿勢(向き)で説明すると、上端にはウォーム8の下側部位を受け入れる凹部120が形成されており、凹部120の両側に位置して、左右の軸受支持部121が形成されており、凹部120の下方には縦長方形状の切り欠き部122が下方に向かって形成されている。2枚の軸受ベース12の凹部120は、第1部分100の基端部位1004に形成された開口102の下側部位と一致しており、プレート10に形成された開口102と凹部120によって、ウォーム8を回転自在に受け入れる空間ないし収納部80(図7左図、図8(C)参照)が形成されている。この収納部80の端縁は、開口102の縦縁1020と軸受ベース12の凹部120の立ち上がり縁1201とから形成されており、収納部80の上縁は開口102の上縁1021から形成され、収納部80の下縁は、開口102の下縁1022と軸受ベース12の凹部120の底縁1200とから形成されている。
【0034】
図7に示すように、重なった状態の2枚の軸受ベース12の軸受支持部121によって、軸受部材13が支持されている。図8(A)に示すように、軸受部材13は、断面視において、湾曲状ないし円弧状面である上面130と、水平状の下面131と、垂直状の側面132と、長さ方向の端面133と、を備えたブロックである。軸受部材13の下面131は、2枚の軸受ベース12の軸受支持部121上に載置されており、軸受部材13の一方の側面132は一方のプレート10の内面に当接ないし近接し、他方の側面132は他方のプレート10の内面に当接ないし近接しており、円弧状の上面130に駆動軸9を回転自在に支持するようになっている。
【0035】
本実施形態では、駆動軸9には、ウォーム8の両端に位置して、駆動軸9の挿通孔1340を備えた薄肉の板状体すなわちワッシャ134が外嵌されている。ワッシャ134の内径は、駆動軸9の外形よりも僅かに大きく、ワッシャ134は、駆動軸9の軸方向及び周方向に移動可能な状態で遊嵌されている。本実施形態では、ウォーム8の一方の端部と一方の軸受部材13の端面133との間に一方のワッシャ134が位置しており、ウォーム8の他方の端部と他方の軸受部材13の端面133との間に他方のワッシャ134が位置しており、ウォーム8と軸受部材13の端面133とは直接当接していない。
【0036】
本実施形態では、軸受部材13は、ウォーム8の収納部80の外側に位置しており、ワッシャ134は、ウォーム8の収納部80の内側に位置している。一方のワッシャ134の第1面とウォーム8の一方の端部は当接ないし近接しており、第2面と収納部80の他方の端部は当接ないし近接している。他方のワッシャ134の第1面とウォーム8の他方の端部は当接ないし近接しており、第2面と収納部80の他方の端部は当接ないし近接している。ワッシャ134は、ウォーム8の端部とウォーム8の収納部80の端縁(開口102の縦縁1020と軸受ベース12の凹部120の立ち上がり縁1201)との間に位置しており、ウォーム8が収納部80の端縁に接触することが規制されている。
【0037】
本実施形態に係る軸受部材13及びワッシャ134は、駆動軸9よりも摩耗し易いように、駆動軸9(例えば、ステンレスやスチールから形成されている)よりも軟らかい材料(例えば、真鍮)で形成されており、軸受部材13及びワッシャ134を積極的に消耗材として摩耗させることで、駆動軸9の回転時の動摩擦係数を低減させている。駆動軸9の長さ方向両端部には、電気ドリルのチャックと嵌合可能な駆動ナット90が取り付けられている。
【0038】
図4図7等に示すように、2枚の軸受ベース2の切り欠き部122には、取手16の上端部位が受け入れられており、取手16は、2枚のプレート10の第2部分101の間に挟持され、プレート10に固定されている。
【0039】
平歯車7の面部(一方の側面)には、平歯車7の回転力を第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されたワインディングプラグ61に伝動させる手段を備えている。図3図5に示すように、平歯車7の第1部分70の面部には、第1取付ベース15Aが固定されており、平歯車7の第2部分71の面部には、第2取付ベース15Bが固定されている。第1取付ベース15A、第2取付ベース15Bには、ボルト取付ベース17がそれぞれ固定され、ボルト取付ベース17には、プラグ支持ボルト18が取り付けられる。
【0040】
図3図4図9図10等に示すように、一対のプラグ支持ボルト18の軸部180は対向状に延びており、プラグ支持ボルト18の軸部180を、ワインディングプラグ61の本体610の孔614に径方向から差し込むことで、プラグ支持ボルト18の軸部180とワインディングプラグ61の本体610の孔614とを係止させ、平歯車7の回転によって、プラグ支持ボルト18を介して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。
【0041】
図5に示すように、第1取付ベース15Aは、ボルト取付ベース17が固定される被固定部150Aと、被固定部150Aから一体的に延出形成された対向状の左右の側片151Aと、左右の側片151A間に形成された開口152Aと、からなり、開口152Aの底部には半円状の凹部153Aが形成されている。第1取付ベース15Aは、平歯車7の第1部分70の切り欠き部700に開口152Aを位置させ、凹部153Aを凹部701に一致させて、第1部分70の面部(プレート10間に位置しない露出領域)に固定されている。
【0042】
図5に示すように、第2取付ベース15Bは、半円状の凹部150Bを備えており、凹部150Bを、平歯車7の第2部分71の凹部710に一致させて、第2部分71の面部に固定されている。第2取付ベース15Bの外形は、第1取付ベース15Aの開口152Aと略一致しており、第2取付ベース15Bが固定された平歯車7の第2部分71を、第1取付ベース15Aが固定された平歯車7の第1部分70に嵌め込んだ時に、第2取付ベース15Bが第1取付ベース15Aの開口152Aに嵌り込むようになっている。凹部153Aと凹部701から円形状の挿通部73の一方の半部が形成され、凹部150Bと凹部710から挿通部73の他方の半部が形成される。
【0043】
図3に示すように、ボルト取付ベース17は、第1取付ベース15A、第2取付ベース15Bに固定される第1部分170と、第1部分170から垂直状に立ち上がる第2部分171と、から側面視L形状に形成されており、第2部分171の内面にはナット172が固定されている。ボルト取付ベース17の第2部分171には第2部分171に対して垂直方向にプラグ支持ボルト18が取り付けられている。
【0044】
図5に示すように、平歯車7の第2部分71、第2部分71に固定された第2取付ベース15B、第2取付ベース15Bに固定されたボルト取付ベース17、ボルト取付ベース17に取り付けられたプラグ支持ボルト18から分割アセンブリ71´が形成されている。分割アセンブリ71´を構成する平歯車7の第2部分71の背面には、ロック金具21が回転可能に設けてあり、ロック金具21を平歯車7の第2部分71の長さ方向に対して直交する姿勢として、ロック金具21の左右端部を、平歯車7の第1部分70の背面に接触ないし近接させて、螺子で固定することで、分割アセンブリ71´が外れることを防止している(図4参照)。
【0045】
このように構成されたスプリング巻き機を用いて、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締める際には、先ず、平歯車7から分割アセンブリ71´を分離し、プレート10の第1部分100の開口100C及び平歯車7の第1部分70の切り欠き部700に第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを受け入れる。
次いで、分割アセンブリ71´を平歯車7の第1部分70に取り付ける。第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bは、平歯車アセンブリ7の挿通部73を挿通した状態にある。
【0046】
次いで、一方のプラグ支持ボルト18の軸部180をワインディングプラグ61の本体610の孔部614に差し込み、他方のプラグ支持ボルト18の軸部180をワインディングプラグ61の本体610の反対側の孔部614に反対側から差し込み、スプリング巻き機をワインディングプラグ61にセットする(図9図10参照)。
【0047】
そして、スプリング巻き機の駆動軸9の一方の端部の駆動ナット90に電気ドリルのチャックを嵌合し、電気ドリルによって、駆動軸9を電動回転させて、駆動軸9と一体で回転するウォーム8の回転によって、ウォーム8に噛合している平歯車7が回転し、平歯車7の回転が一対のプラグ支持ボルト18によってワインディングプラグ61に伝達され、ワインディングプラグ61の回転に伴って第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bが巻き締められる。第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bを予め決定された所定量巻き締めた後に、ワインディングプラグ61の本体610の孔613からボルト19を締め込むことで、ワインディングプラグ61と第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを固定して一体化する。
【0048】
スプリング巻き機を用いた第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き締め作業について説明したが、第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き戻し作業において、スプリング巻き機を用い得ることに留意されたい。例えば、メンテナンス作業等において、バランススプリングである第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bのスプリング力を調整したい場合に、スプリング巻き機をワインディングプラグ61にセットした状態で行うことができ、この時に、スプリング力を弱めたい場合には巻き戻し作業が行われる。
【0049】
[B]第2実施形態
図14に、第2実施形態に係るスプリング巻き機の斜視図、図15に、同スプリング巻き機の正面図及び側面図を示す。図22に、本実施形態に係るスプリング巻き機をセットした状態を示す。本実施形態に係るスプリング巻き機は、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されているワインディングプラグ61に係脱可能であり、ワインディングプラグ61に係止して当該ワインディングプラグ61に回転力を与える平歯車7と、平歯車7と噛合するウォーム8と、ウォーム8と一体で回転し、回動駆動源(例えば電動ドリル)と接続可能な駆動軸9と、を備え、駆動軸9を電動で回転させることにより、ウォーム8を回転させ、ウォーム8の回転に連動して平歯車7を回転させ、平歯車7の回転力をワインディングプラグ61に伝達して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。本実施形態に係るスプリング巻き機は、比較的小型のスプリング巻き機である。
【0050】
図23に示すように、本実施形態に係る平歯車7は、第1部分(本体)70と、第2部分(分割部)71と、に分割されており、第1部分70と第2部分71を組み合わせることで形成されている。平歯車7の周縁には連続状に歯72が形成されており、ウォーム8と噛合するようになっている。第2部分71は、一端に歯72を備え、他端に半円状の凹部710が形成されている略長方形状(やや扇状に近い形状)の要素であり、第1部分70は、平歯車7から第2部分71を取り除いた要素であり、第2部分71の外形に対応する略長方形状の切り欠き部700を備えており、切り欠き部700の底部には半円状の凹部701が形成されている。第1部分70の切り欠き部700に第2部分71を嵌め込んだ状態において、第1部分70の凹部701と第2部分71の凹部710から、平歯車7の中心に位置して、円形状の開口が形成されている。次に述べるように、本実施形態に係る平歯車7は、第1円板7Aと第2円板7Bと一体化されて平歯車アセンブリ7´(図18参照)を形成しており、平歯車7の円形状の開口は、第1円板7A及び第2円板7Bの開口と共に円形状の挿通部73(図15図17参照)を構成しており、挿通部73に第1シャフト2A、第2シャフト2Bを挿通可能となっている。
【0051】
平歯車7の面部には、平歯車7を両側から挟み込むように、平歯車7よりも小径の第1円板7A、第2円板7Bが固定されている(図18参照)。平歯車7と、第1円板7Aと、第2円板7Bと、から平歯車アセンブリ7´が形成されており、平歯車アセンブリ7´は、駆動軸9及びウォーム8の回転に連動して一体で回転するようになっている。
【0052】
図24に示すように、本実施形態に係る第1円板7Aは、第1部分(本体部)70Aと、第2部分(分割部)71Aと、に分割されており、第1部分70Aと第2部分71Aを組み合わせることで第1円板7Aが形成されるようになっており、第1円板7Aは連続状の円周面(72A、72A´)を備えている。第1部分70Aの切り欠き部に第2部分71Aを嵌め込んだ状態において、第1円板7Aの中心に位置して開口が形成され、この開口は平歯車7の円形状の開口を含む領域に形成されており、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を形成している。
【0053】
図25に示すように、本実施形態に係る第2円板7Bは、第1部分(本体部)70Bと、第2部分(分割部)71Bと、に分割されており、第1部分70Bと第2部分71Bを組み合わせることで第2円板7Bが形成されるようになっており、第2円板7Bは連続状の円周面(72B、72B´)を備えている。第1部分70Bの切り欠き部に第2部分71Bを嵌め込んだ状態において、第2円板7Bの中心に位置して開口が形成され、この開口は平歯車7の円形状の開口を含む領域に形成されており、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を形成している。
【0054】
図14図15図17図18等に示すように、平歯車アセンブリ7´は、平歯車7がウォーム8に噛合した状態で、2枚の第1プレート10A、第2プレート10B間に挟まれるような態様で回転自在に保持されており、第1プレート10A、第2プレート10Bは、スプリング巻き機のいわば表面板である。
【0055】
図26に示すように、第1プレート10Aは、切り欠きリング状ないしC形状の第1部分100Aと、第1部分100Aの基端側(図26に示す姿勢では下方部位)に一体形成された台形状の第2部分101Aと、からなる。第1部分100Aの内側の周縁1000Aに囲まれた領域に円形状の開口103Aが形成されており、開口103Aの側方には切り欠き開口104Aが連続状に一体形成されている。第1プレート10Aには、第1部分100Aの下方部位から第2部分101Aに跨るように、横長方形状の開口102Aが形成されている。
【0056】
図27に示すように、第2プレート10Bは、第1プレート10Aと略同一の外形を備えており、図27に示す姿勢において、横向き扇状の開口100Bが形成されている。開口100Bは、第1プレート10Aと第2プレート10Bを対向させた時に、第1プレート10Aの円形状の開口103Aの中心から切り欠き開口104Aに亘る領域に対応するように形成されており、開口100Bの底部には凹部101Bが形成されている。第1プレート10Aの切り欠き開口104Aと、第2プレート10Bの開口100Bの開口縁(底部の凹部101Bと反対側)は一致するようになっている。第2プレート10Bの下側の台形状部分には、横長方形状の開口102Bが形成されており、第1プレート10Aと第2プレート10Bを対向させた時に、第1プレート10Aの開口102Aと一致するようになっている。
【0057】
図14図15図17図18等に示すように、平歯車アセンブリ7´の周縁部は、第1プレート10Aの第1部分100Aと、第2プレート10Bの周縁部と、の間に挟まれるように位置しており、平歯車7に噛合しているウォーム8は第1プレート10Aの開口102A、第2プレート10Bの開口102B内に非接触状態で納まるようになっている。平歯車アセンブリ7´の周縁部を除く面部(第1円板7Aの面部)は、第1プレート10Aの開口103Aに露出している。
【0058】
図14図18に示すように、第1プレート10Aの第1部分100Aと第2プレート10Bの周縁部の間には、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に近接して、複数のローラ14が回転自在に設けてあり、ローラ14は、第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板の円周面(72B、72B´)に接触可能な周面を備えている。
【0059】
本実施形態では、図18に示すように、一対のローラ14が第1プレート10Aと第2プレート10B間に亘って延びる軸140に対して回転自在に設けてあり、一方のローラ14の周面が第1円板7Aの円周面(72A、72A´)に接触可能となっており、他方のローラ14の周面が第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に接触可能となっている。軸140の一対のローラ14間に位置する部位はローラ14の支持部に比べて大径の中間部141となっている。中間部141は一対のローラ14に対して小径となっており、平歯車7の周縁の歯72に非接触状態で対向するようになっており、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転時に、平歯車7の歯72に負荷がかからないようになっている。
【0060】
本実施形態におけるローラ14の配置態様について、図16に基づいて詳細に説明する。略C形状の第1プレート10Aの第1部分100Aと、第2プレート10B(第1部分100Aに対向する部位)の間には、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板7Bの円周面(72B、72B´)の周方向に間隔を存して複数のローラ14a~14eが配置されている。対向する第1プレート10Aと第2プレート10Bにおいて、第1プレート10Aの開口103A及び切り欠き開口104Aに対向する領域に第2プレート10Bの開口100Bが位置している。平歯車アセンブリ7´の周縁を挟み込む部位(第1プレート10Aの第1部分100A、第2プレート10Bの周縁部)は、図示の姿勢において、開口の上側領域と、下側領域とからなり、上側領域には、ローラ14a、14b、14cが等間隔で配置されており、下側領域には、ローラ14bに対向する位置にウォーム8が噛合しており、ウォーム8を挟んで、ローラ14d、14eが配置されている。
【0061】
ローラ14a~14eは一対のローラからなるローラセットであり、一方のローラは、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)に近接しており、他方のローラは、平歯車アセンブリ7´の第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に近接している。平歯車アセンブリ7´の回転時に、平歯車アセンブリ7´の回転中心が僅かに変位しようとすると、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)及び第2円板7Bの円周面(72B、72B´)が、ローラ14a~14eのいずれかの1つあるいは複数のローラの周面に接触して、平歯車アセンブリ7´の変位を規制するようになっている。また、ローラ14a~14eは、第1円板7A及び第2円板7Bに比べてはるかに小径であり、従来のフレームの溝部に平歯車が接触する場合に比べて、ローラ14a~14eと第1円板7A及び第2円板7Bとの接触時の抵抗は低減されている。
【0062】
また、本実施形態に係る平歯車アセンブリ7´において、平歯車7´の径は、第1円板7A及び第2円板7Bの径よりも大きいものの、平歯車7の周縁の歯72は、ローラ14の軸部140に一対のローラ14間に位置して設けた中間部141から離間しているので、平歯車アセンブリ7´の回転時に、平歯車7の歯72に負荷がかかることがない。
【0063】
本実施形態では、ウォーム8に対向する部位において、ローラ14a、14b、14cが配置されているので、平歯車7がウォーム8から離れる方向に僅かに移動しようとした時には、ローラ14a、14b、14cの周面に平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)及び第2円板7Bの円周面(72B、72B´)が速やかに接触することで、平歯車アセンブリ7´の移動を規制し、平歯車7の歯72とウォーム8との適正な噛合状態を維持する。
【0064】
本実施形態に係るスプリング巻き機は比較的小型であるため、平歯車アセンブリ7´、ウォーム8、ローラ14等の構成要素の寸法と有効スペースとの関係から、ローラ14を配置する部位が限定的となっているが、ローラ14の個数は10個(5セット×2)に限定されない。本実施形態では、平歯車アセンブリ7´は、2枚の第1円板7A及び第2円板7Bを備え、一対のローラ14の一方が第1円板7Aの円周面(72A、72A´)に、他方が第2円板7Bの円周面(72B、72B´)にそれぞれ接触可能となっているが、平歯車アセンブリが1枚の円板のみを備え、1枚の円板の円周面に接触可能にローラ14を配置してもよい。また、円板に代えて、円周面を備えたリングを平歯車7の面部に固定するようにしてもよい。
【0065】
本実施形態に係るローラ14(14a~14e)は、周面が平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に接触して、回転中の平歯車アセンブリ7´の変位を規制するガイドであり、ローラ14はガイドの1つの好ましい実施態様である。本発明に係るガイドは、ローラ14に限定されるものではなく、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に接触可能な周面を備えたベアリングであってもよい。あるいは、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの円周面(72A、72A´)、第2円板7Bの円周面(72B、72B´)に接触可能な周面を備えた非回転体からガイドを形成してもよい。あるいは、ベアリング、ローラ、非回転体の任意の組み合わせのセットから複数のガイドを構成してもよい。
【0066】
図15図19等に示すように、第1プレート10Aの第2部分101Aと第2プレート10Bの下方の台形状部位の間には、2枚の第1軸受ベース12Aと、2枚の第2軸受ベース12Bと、からなる4枚の軸受ベースが設けてあり、これらが重なった状態で第1プレート10Aの第2部分101Aと第2プレート10Bの台形状部位との間に挟持され、第1プレート10A、第2プレート10Bに固定されている。より具体的には、2枚の第2軸受ベース12Bが重なった状態で厚さ方向の中央に位置しており、両側から第1軸受ベース12Aで挟み込むようになっており、一方の第1軸受ベース12Aが第1プレート10Aに当接し、他方の第2軸受ベース12Aが第2プレート10Bに当接するように納まっている。
【0067】
図28(A)に示すように、第1軸受ベース12Aは、第1プレート10Aの台形状の第2部分101Aの外形に略対応する形状を備えており、図28(A)に示す姿勢(向き)で説明すると、上端にはウォーム8の下側部位を受け入れる凹部120Aが形成されており、凹部120Aの両側に位置して、左右の軸受支持部121Aが形成されており、第1軸受ベース12Aの凹部120Aは、第1プレート10Aの開口102A及び第2プレート10Bの開口102Bの下側部位と一致しており、これら開口102A、102Bと凹部120Aによって、ウォーム8を回転自在に受け入れる空間ないし収納部80(図19(A)、図20(B)参照)が形成されている。
【0068】
また、第1軸受ベース12Aの一方の軸受支持部121Aの端部には切り欠き122Aが形成されており、切り欠き122Aは、本実施形態に係るスプリング巻き機を長く使用する中で過荷重にて駆動軸9が歪んだ際に、第1軸受ベース12Aと駆動軸9の接触を可及的に防止するための“逃し”として機能するようになっている。図示の態様では、一方の軸受支持部121Aに切り欠き122Aを設けたが、両方の軸受支持部121Aに切り欠きを設けてもよい。
【0069】
図28(B)に示すように、第2軸受ベース12Bは、第1プレート10Aの台形状の第2部分101Aの外形に略対応する形状を備えており、図28(B)に示す姿勢(向き)で説明すると、上端にはウォーム8の下側部位を受け入れる凹部120Bが形成されており、凹部120Bの両側に位置して、左右の軸受支持部121Bが形成されており、第2軸受ベース12Bの凹部120Bは、第1プレート10Aの開口102A及び第2プレート10Bの開口102Bの下側部位と一致しており、これら開口102A、102Bと凹部120Aによって、ウォーム8を回転自在に受け入れる空間が形成されている。
【0070】
第2軸受ベース12Bの凹部120Bの下方には縦長方形状の切り欠き部122Bが下方に向かって形成されており、2枚の第2軸受ベース12Bの切り欠き部122Bには、取手16の上端部位が受け入れられており、取手16の上端部位は、2枚の第1軸受ベース12Aの間に挟持され、第1プレート10Aの第2部分101Aと第2プレート10Bの台形状部分に固定されている。
【0071】
ウォーム8の収納部80の端縁は、開口102Aの縦縁1020Aと、開口102Bの縦縁1020Bと、第1軸受ベース12Aの凹部120Aの立ち上がり縁1201Aと、第2軸受ベース12Bの凹部120Bの立ち上がり縁1201Bと、から形成されており、収納部80の上縁は、開口102Aの上縁1021Aと、開口102Bの上縁1021Bから形成され、収納部80の下縁は、開口102Aの下縁1022Aと、開口102Bの下縁1022Bと、第1軸受ベース12Aの凹部120Aの底縁1200Aと、第2軸受ベース12Bの凹部120Bの底縁1200Bと、から形成されている。
【0072】
図19(A)、(B)に示すように、重なった状態の4枚の軸受ベース12A、12Bの軸受支持部121A、121Bによって、軸受部材13´が支持されている。本実施形態において、厚さ方向の両側の第1軸受ベース12Aの軸受支持部121Aの高さ位置は、厚さ方向中央の第2軸受ベース12Bの軸受支持部121Bの高さ位置よりも僅かに高くなっており、全体として凹状の支持面が形成されている。本実施形態では、4枚の軸受ベース12A、12Bを用いたが、例えば、肉厚の2枚の軸受ベースを用いてもよく、また、肉厚の2枚の軸受ベースの上面を湾曲面から形成して、全体で凹状の支持面を形成するようにしてもよい。
【0073】
図19(C)に示すように、軸受部材13´は、筒状部130´と円板状のフランジ131´とから一体形成されており、駆動軸9を挿通させる挿通孔132´を備えた、スラスト軸受である。軸受部材13´の挿通孔132´の内径は、駆動軸9の外形よりも僅かに大きく、駆動軸9の軸方向及び周方向に移動可能な状態で駆動軸9に遊嵌されている。軸受部材13´は、挿通孔132´に駆動軸9を回転自在に受け入れて、フランジ131´をウォーム8の端部に接触ないし近接させた状態で設けてある。軸受部材13´の筒状部130´の下面(周面)は、両側の2枚の第1軸受ベース12Aの軸受支持部121A、中央の2枚の第2軸受ベース12Bの軸受支持部121B上に載置されている。
【0074】
本実施形態では、軸受部材13´の筒状部130´は、ウォーム8の収納部80の外側に位置しており、フランジ131´は、ウォーム8の収納部80の内側に位置している。軸受部材13´のフランジ131´は、ウォーム8の端部とウォーム8の収納部80の端縁(開口102Aの縦縁1020Aと、開口102Bの縦縁1020Bと、第1軸受ベース12Aの凹部120Aの立ち上がり縁1201Aと、第2軸受ベース12Bの凹部120Bの立ち上がり縁1201B)との間に位置しており、ウォーム8が収納部80の端縁に接触することが規制されている。
【0075】
本実施形態に係る軸受部材13´は、駆動軸9よりも摩耗し易いように、駆動軸9(例えば、ステンレスやスチールから形成されている)よりも軟らかい材料(例えば、真鍮)で形成されており、軸受部材13´を積極的に消耗材として摩耗させることで、
駆動軸9の回転時の動摩擦係数を低減させている。駆動軸9の長さ方向両端部には、電気ドリルのチャックと嵌合可能な駆動ナット90が取り付けられている。なお、駆動軸9(駆動軸9と一体で回転するウォーム8)が平歯車7の歯72に近づく方向の移動は、駆動軸9が、第1プレート10Aと第2プレート10Bを連結する軸部(円柱状)24(図19(A)参照)の周面に接触することで規制される。
【0076】
平歯車アセンブリ7´の面部(第1円板7Aの面部)には、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転力を第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bの端部が固定されたワインディングプラグ61に伝動させる手段が設けてある。図14図15に示すように、平歯車アセンブリ7´の第1円板7Aの第1部分70Aの面部には、第1円板7Aの中心を挟んで一対の取付ベース15´が固定されている。各取付ベース15´には、ボルト取付ベース17がそれぞれ固定され、各ボルト取付ベース17には、プラグ支持ボルト18が取り付けられる。
【0077】
図14図15図22に示すように、一対のプラグ支持ボルト18の軸部180は対向状に延びており、プラグ支持ボルト18の軸部180を、ワインディングプラグ61の本体610の孔614に径方向から差し込むことで、プラグ支持ボルト18の軸部180とワインディングプラグ61の本体610の孔614とを係止させ、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転によって、プラグ支持ボルト18を介して、ワインディングプラグ61を回転させることで、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締めるようになっている。
【0078】
図14に示すように、ボルト取付ベース17は、取付ベース15´に固定される第1部分170と、第1部分170から垂直状に立ち上がる第2部分171と、から側面視L形状に形成されており、第2部分171の外面にはナット172が固定されている。ボルト取付ベース17の第2部分171には第2部分171に対して垂直方向にプラグ支持ボルト18が取り付けられている。
【0079】
取付ベース15´は、第1プレート10Aの第1部分100Aの内側の周縁1000Aに略一致する円弧状の縁部を備えており、縁部を第1プレート10Aの第1部分100Aの内側の周縁1000Aに近接させて、第1円板7Aの第1部分70Aの面部に固定されている。取付ベース15´は所定の厚さを備えており、スペーサとしても機能する。すなわち、取付ベース15´にボルト取付ベース17を固定した状態において、第1部分170の先端側の半部は、第1プレート10Aの面部から浮いた状態にあり、平歯車アセンブリ7´の回転時に、ボルト取付ベース17と第1プレート10Aが干渉することがないようになっている。
【0080】
平歯車7の第2部分71、第1円板7Aの第2部分71A、第2円板7Bの第2部分71Bから、平歯車アセンブリ7´の分割アセンブリ71´が形成されている(図21参照)。平歯車アセンブリ7´の本体70´(平歯車7の第1部分70、第1円板7Aの第1部分70A、第2円板7Bの第1部分70Bから形成されている)に対して、分割アセンブリ71´が径方向から脱着可能となっている。本実施形態では、分割アセンブリ71´は、抜け止めプレート22を取り付けることによって、平歯車アセンブリ7´の本体70´から外れることが防止されている。
【0081】
図21に示すように、抜け止めプレート22は、第1プレート10Aの第1部分100Aの内側の周縁1000Aに略一致する円弧状の縁部220を備えており、基端側の縁部221は一対の取付ベース15´を避けるように平面視凸状に形成されており、縁部220には円形状の溝部222が形成され、凸部に位置して円形の孔223が形成されており、中央部位には、溝部222と孔223の間に位置して平面視方形状の磁石23が固定されている。分割アセンブリ71´を平歯車アセンブリ7´の本体70´に取り付けた状態で、抜け止めプレート22をセットする。この時、分割アセンブリ71´(平歯車7の第2部分71、第1円板7Aの第2部分71A、第2円板7Bの第2部分71B)を一体化させる2本のボルトの軸部26の一方を溝部222に挿通させ、他方を孔223に挿通させて、磁石23の磁力で抜け止めプレート22を分割アセンブリ71´(第1円板7Aの第2部分71A)に取り付ける。分割アセンブリ71´の平歯車アセンブリ7の径方向に抜ける方向の移動は、抜け止めプレート22によって規制される。
【0082】
このように構成されたスプリング巻き機を用いて、第1コイルスプリング6A、第2コイルスプリング6Bを巻き締める際には、先ず、平歯車アセンブリ7´から分割アセンブリ71´を分離し、第1プレート10Aの第1部分100Aの開口103A及び切り欠き開口104A、第2プレート10Bの開口100B、平歯車アセンブリ7´の本体70´の切り欠き部(平歯車アセンブリ7の第1部分70の切り欠き部700、第1円板7Aの第1部分70Aの切り欠き部、第2円板7Bの第1部分70Bの切り欠き部)に第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを受け入れ、分割アセンブリ71´を平歯車アセンブリ7´の本体70´に取り付ける。第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bは、平歯車アセンブリ7´の挿通部73を挿通した状態にある。
【0083】
次いで、一方のプラグ支持ボルト18の軸部180をワインディングプラグ61の本体610の孔部614に差し込み、他方のプラグ支持ボルト18の軸部180をワインディングプラグ61の本体610の反対側の孔部614に反対側から差し込み、スプリング巻き機をワインディングプラグ61にセットする(図22参照)。第2実施形態に係るスプリング巻き機ワインディングプラグ61にセットした全体図ついては、第1実施形態に係る図9を参照することができる。
【0084】
そして、スプリング巻き機の駆動軸9の一方の端部の駆動ナット90に電気ドリルのチャックを嵌合し、電気ドリルによって、駆動軸9を電動回転させて、駆動軸9と一体で回転するウォーム8の回転によって、ウォーム8に噛合している平歯車7が回転し、平歯車7(平歯車アセンブリ7´)の回転が一対のプラグ支持ボルト18によってワインディングプラグ61に伝達され、ワインディングプラグ61の回転に伴って第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bが巻き締められる。第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bを予め決定された所定量巻き締めた後に、ワインディングプラグ61の本体610の孔613からボルト19を締め込むことで、ワインディングプラグ61と第1シャフト2Aないし第2シャフト2Bを固定して一体化する。
【0085】
第2実施形態に係るスプリング巻き機を用いた第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き締め作業について説明したが、第1実施形態に係るスプリング巻き機と同様に、第1コイルスプリング6Aないし第2コイルスプリング6Bの巻き戻し作業において、スプリング巻き機を用い得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0086】
2A 第1シャフト
2B 第2シャフト
6A 第1コイルスプリング
6B 第2コイルスプリング
7 平歯車
7A 第1円板
7B 第2円板
8 ウォーム
80 収納部
9 駆動軸
10 プレート
10A 第1プレート
10B 第2プレート
11 ベアリング
12 軸受ベース
12A 第1軸受ベース
12B 第2軸受ベース
13 軸受部材
13´ 軸受部材
14 ローラ
図1
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