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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】カッタ刃及びカッタ刃の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/28 20060101AFI20241119BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20241119BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B26D1/28 C
B29B9/06
B26D1/28 B
B26D1/28 L
B26D7/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020210135
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096887
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】植田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田屋 龍星
(72)【発明者】
【氏名】渡部 勇介
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194914(JP,A)
【文献】特開2002-292164(JP,A)
【文献】特表2020-530407(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009165(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/28
B29B 9/06
B26D 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部と、
前記刃先部が接着剤によって接着された台金部と、
を備えたカッタ刃であって、
前記刃先部は、前記プレート面を摺動する摺動面を有し、
前記台金部は、
前記プレート面に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部に接続される取付部と、
前記プレート面に前記刃先部を挟んで対向し、前記刃先部が嵌合するように接着された峰部と、
を有し、
前記台金部における前記取付部の底面は、前記摺動面と同一面上に位置し、
前記峰部と前記刃先部との接着面において、前記峰部の前記接着面は、凸状であり、前記刃先部の前記接着面は、凹状であり、
前記峰部と前記刃先部の掘込面において、前記峰部の前記掘込面は、前記刃先部の前記掘込面に滑らかにつながっている、
カッタ刃。
【請求項2】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部と、
前記刃先部が接着剤によって接着された台金部と、
を備えたカッタ刃であって、
前記刃先部は、
前記プレート面を摺動する摺動面と、
前記摺動面に対向する刃先部上面と、
前記刃先部上面に接続し、前記刃先部上面に対して傾斜した刃先部傾斜面と、
前記刃先部傾斜面に対向し、前記摺動面と接続した刃先部掘込面と、
を有し、
前記台金部は、
前記プレート面に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部に接続される取付部と、
前記プレート面に前記刃先部を挟んで対向し、前記刃先部が嵌合するように接着された峰部と、
を有し、
前記取付部及び前記峰部は、前記刃先部の刃先が延びる方向に隣り合って接続され、
前記台金部における前記取付部の底面は、前記摺動面と同一面上に位置し、
前記取付部は、上面及び前記上面の反対側の前記底面を含む四角柱状であり、
前記峰部は、
前記取付部の前記上面と同一面の峰部上面と、
前記峰部上面に対して傾斜した峰部傾斜面と、
前記峰部上面及び前記峰部傾斜面に対向し、かつ、湾曲した峰部掘込面と、
前記峰部傾斜面と前記峰部掘込面とに接続した接着面と、
前記峰部掘込面と前記峰部上面に接続した後面と、
を含み、
前記峰部と前記刃先部との前記接着面は、前記峰部傾斜面及び前記刃先部傾斜面に直交する平面であり、
前記峰部掘込面と前記刃先部掘込面が滑らかにつながっている、
カッタ刃。
【請求項3】
前記刃先部は、前記台金部に対して交換可能である、
請求項1または2に記載のカッタ刃。
【請求項4】
前記台金部と前記刃先部との前記接着面において、前記峰部の前記接着面及び前記刃先部の前記接着面のうち少なくともいずれかは、微視的な高さRzが5~30μmの範囲に含まれる表面粗さを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のカッタ刃。
【請求項5】
前記刃先部は、さらに、ネジまたはピンによって前記台金部に固定された、
請求項1~4のいずれか1項に記載のカッタ刃。
【請求項6】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部を準備する刃先部準備ステップと、
台金部を準備する台金部準備ステップと、
接着剤によって前記刃先部を前記台金部に接着する接着ステップと、
を備えたカッタ刃の製造方法であって、
前記刃先部準備ステップにおいて、
前記刃先部は、前記プレート面を摺動する摺動面を有するようにし、
前記台金部準備ステップにおいて、
前記台金部は、
前記プレート面に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部に接続される取付部と、
前記プレート面に前記刃先部を挟んで対向し、前記刃先部が嵌合するように接着される峰部と、
を有するようにし、
前記台金部準備ステップにおいて、
前記峰部における前記刃先部との接着面を凸状にし、
前記刃先部準備ステップにおいて、
前記刃先部における前記峰部との前記接着面を凹状にし、
前記接着ステップにおいて、
前記台金部における前記取付部の底面が前記摺動面の同一面上となるように位置させ、
前記峰部と前記刃先部の掘込面において、前記峰部の前記掘込面は、前記刃先部の前記掘込面に滑らかにつながるように接着する、
カッタ刃の製造方法。
【請求項7】
孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部を準備する刃先部準備ステップと、
台金部を準備する台金部準備ステップと、
接着剤によって前記刃先部を前記台金部に接着する接着ステップと、
を備えたカッタ刃の製造方法であって、
前記刃先部準備ステップにおいて、
前記刃先部は、
前記プレート面を摺動する摺動面と、
前記摺動面に対向する刃先部上面と、
前記刃先部上面に接続し、前記刃先部上面に対して傾斜した刃先部傾斜面と、
前記刃先部傾斜面に対向し、前記摺動面と接続した刃先部掘込面と、
を有するようにし、
前記台金部準備ステップにおいて、
前記台金部は、
前記プレート面に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部に接続される取付部と、
前記プレート面に前記刃先部を挟んで対向し、前記刃先部が嵌合するように接着される峰部と、
を有するようにし、
前記取付部及び前記峰部は、前記刃先部の刃先が延びる方向に隣り合って接続されるようにし、
前記取付部は、上面及び前記上面の反対側の底面を含む四角柱状であり、
前記峰部は、
前記取付部の前記上面と同一面の峰部上面と、
前記峰部上面に対して傾斜した峰部傾斜面と、
前記峰部上面及び前記峰部傾斜面に対向した湾曲した峰部掘込面と、
前記峰部傾斜面と前記峰部掘込面とに接続した接着面と、
前記峰部掘込面と前記峰部上面に接続した後面と、
を含むようにし、
前記刃先部準備ステップにおいて、
前記刃先部における前記峰部との前記接着面を前記刃先部傾斜面に直交する平面とし、
前記台金部準備ステップにおいて、
前記峰部における前記刃先部との前記接着面を前記峰部傾斜面に直交する平面とし、
前記接着ステップにおいて、
前記台金部における前記取付部の前記底面が前記摺動面と同一面上に位置するように配置し、
前記峰部と前記刃先部の掘込面において、前記峰部の前記掘込面は、前記刃先部の前記掘込面に滑らかにつながるように接着する、
カッタ刃の製造方法。
【請求項8】
前記接着ステップにおいて、
前記刃先部を前記台金部に対して交換可能となるように接着する、
請求項6または7に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項9】
前記刃先部準備ステップ及び前記台金部準備ステップの少なくともいずれかのステップにおいて、
前記台金部と前記刃先部との前記接着面において、前記峰部の前記接着面及び前記刃先部の前記接着面のうち少なくともいずれかは、微視的な高さRzが5~30μmの範囲に含まれる表面粗さを有するようにする、
請求項6~8のいずれか1項に記載のカッタ刃の製造方法。
【請求項10】
前記接着ステップにおいて、
前記刃先部を、さらに、ネジまたはピンによって前記台金部に固定する、
請求項6~9のいずれか1項に記載のカッタ刃の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッタ刃及びカッタ刃の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダイプレートに形成された孔から押し出された樹脂材料を切断するカッタ刃が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-165316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなカッタ刃を用いる場合において、刃先の耐久性を向上させるために、硬化層をろう付けにより接合することが考えられる。しかしながら、ろう付けには、1000℃程度の温度での加熱を要するので、刃先が変形する。刃先の変形を修正するためには、追加の機械加工を必要とするので、製造コストが増加する。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態にかかるカッタ刃は、孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部と、前記刃先部と接触した台金部と、を備える。
【0007】
一実施の形態にかかるカッタ刃の製造方法は、孔が形成されたプレート面を有するダイプレートの前記プレート面に沿って摺動することにより、前記孔から前記プレート面上に押し出された材料を切断する刃先部を準備する刃先部準備ステップと、台金部を準備する台金部準備ステップと、前記刃先部を前記台金部に接触させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、製造コストを低減させることができるカッタ刃及びカッタ刃の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係るカッタ刃を用いる水中造粒装置を例示した構成図である。
図2】実施形態1に係るカッタ刃を用いる水中造粒装置において、ダイプレートを例示した斜視図である。
図3】実施形態1に係るカッタ刃を例示した斜視図である。
図4】実施形態1に係るカッタ刃を例示した側面図である。
図5】実施形態1に係る別のカッタ刃を例示した側面図である。
図6】実施形態1に係るカッタ刃の製造方法を例示したフローチャート図である。
図7】実施形態1の変形例1に係るカッタ刃を例示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係るカッタ刃及びカッタ刃の製造方法を説明する。まず、カッタ刃を用いる装置の例として、水中造粒装置を説明する。その後、カッタ刃及びカッタ刃の製造方法を説明する。
【0012】
<水中造粒装置>
図1は、実施形態1に係るカッタ刃を用いる水中造粒装置を例示した構成図である。図2は、実施形態1に係るカッタ刃を用いる水中造粒装置において、ダイプレートを例示した斜視図である。図1では、枠内に、水中造粒装置の一部の分解図を示している。
【0013】
図1及び図2に示すように、水中造粒装置200は、押出装置100の下流側に接続されている。押出装置100は、駆動部101、減速機102、シリンダ103、スクリュ104を備えている。モータ等の駆動部101は、減速機102によって調整された回転をスクリュ104に伝達させる。よって、スクリュ104は、シリンダ103の内部で、調整された駆動部101の動力源によって回転する。
【0014】
シリンダ103の所定の位置からシリンダ103の内部に投入された材料206は、回転するスクリュ104によって、水中造粒装置200側に押し出される。投入された材料206は、例えば、樹脂材料である。押出装置100は、例えば、樹脂材料を、シリンダ103内における加熱及びスクリュ104の回転により、可塑化及び混練させ、溶融樹脂として水中造粒装置200側に押し出す。
【0015】
水中造粒装置200は、ダイプレート201、カッタ刃保持部202、駆動部203を備えている。ダイプレート201、カッタ刃保持部202は、水中に配置されている。ダイプレート201は、プレート面204を有している。プレート面204には、複数の孔205が形成されている。回転するスクリュ104によって押し出された材料206は、プレート面204に形成された孔205からプレート面204上に押し出される。プレート面204上に押し出された材料206は、例えば、溶融樹脂である。図2では、図が煩雑にならないように、いくつかの孔205及び材料206のみに符号を付している。
【0016】
ダイプレート201及びプレート面204は中心軸Cを有している。カッタ刃保持部202は、ダイプレート201に対向して設けられている。カッタ刃保持部202は、駆動部203の動力源によって、中心軸Cを回転軸にして回転する。カッタ刃保持部202は、複数のカッタ刃1を保持している。図1では、図が煩雑にならないように、いくつかのカッタ刃1のみに符号を付している。
【0017】
例えば、円形状のカッタ刃保持部202の周縁に等間隔でカッタ刃1は保持されている。そして、カッタ刃保持部202の回転に伴って、各カッタ刃1は、プレート204面上を摺動する。これにより、孔205からプレート204面上に押し出された材料206を切断する。例えば、孔205からプレート204面上に押し出された溶融樹脂は、カッタ刃1によって切断される。切断された溶融樹脂は、水中において固化し、樹脂ペレットとなる。
【0018】
<カッタ刃>
次に、カッタ刃1を説明する。図3は、実施形態1に係るカッタ刃1を例示した斜視図である。図4は、実施形態1に係るカッタ刃1を例示した側面図である。図3及び図4に示すように、カッタ刃1は、台金部10と、刃先部20と、を備えている。台金部10には、刃先部20が接着剤によって接着されている。
【0019】
ここで、カッタ刃1を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入する。カッタ刃1をプレート面204上に配置した場合に、プレート面204に直交する方向をZ軸方向とする。刃先が延びる方向をY方向とする。Y軸方向及びZ軸方向に直交する方向をX軸方向とする。
【0020】
<台金部>
台金部10は、取付部11と、峰部12と、を有している。取付部11及び峰部12は、Y軸方向に隣り合って接続されている。台金部10は、材料として、例えば、ステンレス鋼を含んでいる。なお、台金部10の材料は、ステンレス鋼を含む材料に限らず、他の金属を含む材料でもよいし、セラミックを含む材料、プラスティックを含む材料等でもよい。
【0021】
取付部11は、プレート面204に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部202に接続される。取付部11は、例えば、台金部10の+Y軸方向側の部分に形成されている。取付部11は、例えば、四角柱状であり、底面11a及び上面11bを有している。底面11aは、-Z軸方向側の面であり、上面11bは、+Z軸方向側の面である。
【0022】
取付部11には、カッタ刃保持部202に接続するための孔13が形成されている。孔13は、1個でもよいし、複数個でもよい。孔13は、上面11bから底面11aまで貫通している。例えば、取付部11の孔13と、カッタ刃保持部202の孔とにボルトを挿入することにより、カッタ刃1をカッタ刃保持部202に固定する。なお、取付部11には、カッタ刃保持部202に接続させるためのものならば、孔13以外の溝等が形成されてもよい。
【0023】
峰部12は、プレート面204に刃先部20を挟んで対向している。峰部12には、刃先部20が接着される。峰部12は、例えば、台金部10の-Y軸方向側の部分に形成されている。峰部12は、例えば、Y軸方向に延びている。峰部12は、上面12b、傾斜面12c、接着面12d、掘込面12e及び後面12fを有している。峰部12は、上面12b、傾斜面12c、接着面12d、掘込面12e及び後面12fを側面とするY軸方向に延びた柱状である。
【0024】
上面12bは、例えば、取付部11の上面11bに同一面である。傾斜面12cは、上面12bに対して傾斜している。上面12bと傾斜面12cとのなす角は、例えば、135[deg]である。よって、傾斜面12cと、上面12bの延長とに挟まれた角は、45[deg]である。
【0025】
接着面12dは、-Z軸方向に面している。接着面12dは、刃先部20を接着させる面である。峰部12の接着面12dは、刃先部20の接着面20dに嵌合する形状である。例えば、峰部12の接着面12dは、凸状である。具体的には、接着面12dのY軸方向に直交する断面は、凸状である。この場合には、刃先部20の接着面20dのY軸方向に直交する断面は、凹状である。
【0026】
なお、峰部12の接着面12dを凹状とし、刃先部20の接着面20dを凸状としてもよい。また、図5に示すように、峰部12の接着面12d及び刃先部20の接着面20dを平面としてもよい。峰部12の接着面12d及び刃先部20の接着面20dを平面とした場合には、接着面12d及び接着面20dを底面11aに対して平行としてもよいし、接着面12d及び接着面20dを底面11aに対して傾斜させてもよい。例えば、接着面12d及び接着面20dを傾斜面12cに直交としてもよい。
【0027】
接着面12dは、所定の微視的な高さ(Rz5~30μm)の範囲に含まれる表面粗さを有してもよい。これにより、接着剤の接着性を向上させることができる。
【0028】
掘込面12eは、上面12b及び傾斜面12cに対向した面である。掘込面12eは、例えば、凹状に湾曲している。掘込面12eは、掘込面20eに滑らかにつながっている。後面12fは、+X軸方向に面している。
【0029】
<刃先部>
刃先部20は、プレート面204上を摺動する部分である。刃先部20は、孔205が形成されたプレート面204を有するダイプレート201のプレート面204に沿ってスライドすることにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する。刃先部20は、材料として、例えば、TiCサーメット等の硬化層を含んでいる。なお、刃先部20の材料は、TiCサーメットを含むものに限らず、他の金属を含む材料でもよいし、セラミックを含む材料、プラスティックを含む材料等でもよい。
【0030】
刃先部20は、接着剤によって台金部10に接着されている。接着剤は、例えば、エポキシ接着剤である。接着剤は、所定の温度に加熱すると、容易に剥離できるものが好ましい。これにより、刃先部20は、台金部10に対して交換可能である。
【0031】
刃先部20は、例えば、Y軸方向に延びている。刃先部20は、摺動面20a、傾斜面20c、接着面20d及び掘込面20eを有している。刃先部20は、例えば、摺動面20a、傾斜面20c、接着面20d及び掘込面20eを側面とするY軸方向に延びた柱状である。
【0032】
摺動面20aは、プレート面204を摺動する。摺動面20aがプレート面204を摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206は刃先によって切断される。摺動面20aは、プレート面204を摺動することができるように、プレート面204に整合する形状となっている。プレート面204が平面である場合には、摺動面20aも平面である。プレート面204のX軸方向に直交する断面が湾曲している場合には、摺動面20aのX軸方向に直交する断面も、プレート面204の湾曲に対応して湾曲してもよい。
【0033】
摺動面20aが平面状である場合に、摺動面20aは、台金部10における取付部11の底面11aと同一面上に位置してもよい。よって、台金部10は、摺動面20aと同一面上に位置する底面11aを有する。これにより、刃先部20を台金部10に接着させる際に、位置合わせを容易に行うことができる。
【0034】
傾斜面20cは、摺動面20aに対して傾斜している。例えば、傾斜面20cは、摺動面20aに対して、45[deg]傾斜している。摺動面20a及び傾斜面20cにより刃先が形成されている。すなわち、摺動面20aと傾斜面20cとのなす角は、刃先を形成している。刃先は、Y軸方向に延びている。傾斜面20cは、傾斜面12cと同一面上に位置している。よって、刃先に切断された材料206は、傾斜面20c及び傾斜面12cをスムーズに移動する。よって、切断された材料206の損傷を抑制することができる。
【0035】
接着面20dは、摺動面20aに対向した面である。接着面20dは、台金部10に接着させる面である。接着面20dは、峰部12の接着面12dに接着される。刃先部20の接着面20dは、峰部12の接着面12dに嵌合する形状である。例えば、刃先部20の接着面20dは、凹状である。具体的には、刃先部20の接着面20dのY軸方向に直交する断面は、凹状である。この場合には、峰部12の接着面12dのY軸方向に直交する断面は、凸状である。
【0036】
なお、前述したように、峰部12の接着面12dを凹状とし、刃先部20の接着面20dを凸状としてもよいし、峰部12の接着面12d及び刃先部20の接着面20dを平面としてもよい。
【0037】
接着面20dは、所定の微視的な高さ(Rz5~30μm)の範囲に含まれる表面粗さを有してもよい。これにより、接着剤の接着性を向上させることができる。
【0038】
掘込面20eは、傾斜面20cに対向した面である。掘込面20eは、例えば、凹状に湾曲している。掘込面20eは、掘込面12eに滑らかにつながっている。
【0039】
<カッタ刃の製造方法>
次に、本実施形態に係るカッタ刃1の製造方法を説明する。図6は、実施形態1に係るカッタ刃1の製造方法を例示したフローチャート図である。
【0040】
図6に示すように、カッタ刃1の製造方法は、刃先部準備ステップ(ステップS11)、台金部準備ステップ(ステップS12)及び接着ステップ(ステップS13)を備えている。なお、刃先部準備ステップと、台金部準備ステップとの順序を逆にしてもよい。すなわち、ステップS11で台金部準備ステップを行い、ステップS12で刃先部準備ステップを行ってもよい。
【0041】
まず、ステップS11に示すように、刃先部準備ステップでは、刃先部20を準備する。刃先部20は、孔205が形成されたプレート面204を有するダイプレート201のプレート面204に沿って摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する。刃先部準備ステップにおいて、刃先部20は、プレート面204を摺動する摺動面20aを有するようにしてもよい。
【0042】
刃先部準備ステップにおいて、刃先部20の接着面20dは、所定の微視的な高さ(Rz5~30μm)の範囲に含まれる表面粗さを有するようにしてもよい。また、刃先部準備ステップにおいて、刃先部20における峰部12との接着面20dを凹状にしてもよい。
【0043】
次に、ステップS12に示すように、台金部準備ステップでは、台金部10を準備する。台金部準備ステップにおいて、台金部10は、底面11aを有するようにしてもよい。また、台金部準備ステップにおいて、台金部10は、取付部11と、峰部12と、を有するようにしてもよい。取付部11は、刃先部20がプレート面204に沿って摺動するための動力を伝達するカッタ刃保持部202に接続される。峰部12は、プレート面204に刃先部20を挟んで対向する。峰部12には、刃先部20が接着される
【0044】
台金部準備ステップにおいて、峰部12の接着面12dは、所定の微視的な高さ(Rz5~30μm)の範囲に含まれる表面粗さを有するようにしてもよい。また、台金部準備ステップにおいて、峰部12における刃先部20との接着面12dを凸状にしてもよい。
【0045】
次に、ステップS13に示すように、接着ステップでは、接着剤によって刃先部20を台金部10に接着する。例えば、常温において、接着剤によって刃先部20を接着する。接着ステップにおいて、刃先部20を台金部10に対して交換可能となるように接着してもよい。また、接着ステップにおいて、台金部10の底面11aに摺動面20aを同一面上に位置するように接着してもよい。具体的には、接着ステップにおいて、取付部11の底面11aに摺動面20aを同一面上に位置するように接着してもよい。このようにして、カッタ刃1を製造することができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果を説明する前に、比較例を説明する。その後、比較例と対比させながら、本実施形態の効果を説明する。
【0047】
(比較例)
例えば、比較例として、特許文献1のようなカッタ刃は、刃先の耐久性を向上させるために、硬化層をろう付けにより接合することが考えられる。しかしながら、ろう付けには、1000℃程度の温度での加熱を要するので、刃先が変形する。刃先の変形を修正するためには、追加の機械加工を必要とするので、製造コストが増加する。
【0048】
また、ろう付けは、炉の中で行わなければならず、一連の処理を作業者が見ることができない。よって、ろう付けされた部分の出来栄えの良否に対して直接的な作業を行うことができず、ろう付けの歩留まりに対する管理をすることが困難である。
【0049】
さらに、ろう付け接合された硬化層は、高温に加熱しても剥離せず、したがって摩耗により擦り減った硬化層を、交換することはできないので、一定期間使用したカッタ刃は、廃棄しなければならない。よって、製造コストが増加する
【0050】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態のカッタ刃1は、刃先部20を台金部10に接着剤を用いて接着する。よって、ろう付けのように加熱する必要がないので、刃先部20及び台金部10の変形を抑制することができる。これにより、刃先部20及び台金部10の変形を修正するための追加の機械加工を必要としないので、製造コストを大幅に低減させることができる。
【0051】
接着作業を行う作業者は、刃先部20と台金部10との接着作業を直接見ながら行うことができるので、品質管理を行うことができ、歩留まりを向上させることができる。
【0052】
接着剤によって接着された刃先部20は、例えば、所定の温度に加熱すると、容易に台金部10から剥離させることができる。よって、摩耗等で擦り減った刃先部20を、簡単に、かつ、低コストで交換し、台金部10をリユースすることができる。
【0053】
刃先部20の摺動面20aと、台金部10の底面11aとは同一面上に位置する。よって、刃先部20を峰部12に接着させる際に、位置合わせを容易に行うことができる。例えば、平らな面上に台金部10及び刃先部20を配置させて接着することができる。
【0054】
峰部12の接着面12d及び刃先部20の接着面20dのうち少なくともいずれかは、所定の微視的な高さ(Rz5~30μm)の範囲に含まれる表面粗さを有する。よって、接着剤の接着面12d及び接着面20dへの付着を向上させることができる。また、接触面積を大きくすることができ、接着面12dと接着面20dとの接着強度を向上させることができる。
【0055】
刃先部20の接着面20d及び峰部12の接着面12dのうち、一方を凸状とし、他方を凹状とすることにより、接触面の面積を大きくすることができ、接着強度を向上させることができる。また、凹状の接着面と凸状の接着面との嵌合により、接着面の接着強度を向上させることができる。
【0056】
刃先部20の接着面20dを凹状とし、峰部12の接着面12dを凸状とすることにより、接着時に接着面20dに付与した接着剤の保持を容易にすることができる。例えば、刃先部20を峰部12に接着させる際に、接着面20dに付与した凹部から接着剤がこぼれないようにすることができる。
【0057】
(変形例1)
次に、実施形態1の変形例1を説明する。上記実施形態では、刃先部20を台金部10に接着剤によって接着させたが、接着剤の代わりに、ネジ止め等により固定してもよい。図7は、実施形態1の変形例1に係るカッタ刃1aを例示した側面図である。
【0058】
図7に示すように、カッタ刃1aは、台金部10と刃先部20とを有しており、刃先部20は、台金部10の峰部12にネジ21によって固定されている。例えば、掘込面20eから峰部12まで達するネジにより固定させる。なお、ネジによる固定は、刃先部20と峰部12とを固定させることができれば、掘込面20eから峰部12まで達するネジに限らず、掘込面12eから刃先部20に達するネジでもよいし、上面12bから刃先部20に達するネジでもよい。また、ネジ21の代わりにピンでもよい。
【0059】
したがって、本変形例のカッタ刃1aは、孔205が形成されたプレート面204を有するダイプレート201のプレート面204に沿って摺動することにより、孔205からプレート面204上に押し出された材料206を切断する刃先部20と、刃先部20がネジまたはピンによって固定された台金部と、を備える。この場合は、刃先部20の接着面20d及び峰部12の接着面12dを、接触面と呼んでもよい。
【0060】
本変形例に係るカッタ刃1aでも、刃先部20は、台金部10に対して交換可能とすることができる。また、前述の実施形態において、刃先部20の交換に必要な接着剤の剥離のための熱処理も不要とすることができる。これ以外の構成及び効果は実施形態1の記載に含まれている。
【0061】
(変形例2)
次に、実施形態1の変形例2を説明する。上記変形例では、刃先部20を台金部10にネジ等によって固定させたが、本変形例では、接着剤及びネジ等を併用する。具体的には、本変形例のカッタ刃は、台金部10と刃先部20とを有しており、刃先部20は、台金部10の峰部12に接着剤及びネジ21等によって固定されている。なお、ネジ21の代わりにピンでもよい。

【0062】
例えば、刃先部20の接着面20dと、峰部12の接着面12dとは接着剤で接着されている。これに加えて、刃先部20は、さらに、ネジ又はピンによって台金部10に固定されている。本変形例でも、刃先部20は、台金部10に対して交換可能とすることができる。また、接着剤及びネジ等を併用するので、刃先部20を台金部10に対して強固に固定することができる。これ以外の構成及び効果は実施形態1及び変形例1の記載に含まれている。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1、1a カッタ刃
10 台金部
11 取付部
11a 底面
11b 上面
12 峰部
12b 上面
12c 傾斜面
12d 接着面
12e 掘込面
12f 後面
13 孔
20 刃先部
20a 摺動面
20c 傾斜面
20d 接着面
20e 掘込面
21 ネジ
100 押出装置
101 駆動部
102 減速機
103 シリンダ
104 スクリュ
200 水中造粒装置
201 ダイプレート
202 カッタ刃保持部
203 駆動部
204 プレート面
205 孔
206 材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7