(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/13 20060101AFI20241119BHJP
B60C 5/00 20060101ALI20241119BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20241119BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B60C11/13 B
B60C5/00 H
B60C11/03 B
B60C11/03 300D
B60C11/03 300A
B60C11/12 C
(21)【出願番号】P 2020211098
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 公大
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】米国意匠特許発明第00884582(US,S)
【文献】特開平11-321240(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027889(WO,A1)
【文献】特開2018-090097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド面を有するトレッドを備え、
前記トレッドは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、前記トレッド面における端縁のそれぞれが前記タイヤ周方向に対し
て平行である少なくとも一つのストレート主溝と、前記トレッド面における端縁のそれぞ
れが前記タイヤ周方向に対して傾斜する少なくとも一つのジグザグ主溝と、を含み、
前記少なくとも一つのジグザグ主溝の前記トレッド面における端縁は、タイヤ幅方向の
内側に配置される内側端縁と、前記タイヤ幅方向の外側に配置される外側端縁と、を含み
、
前記内側端縁の前記タイヤ幅方向の最外側位置は、前記外側端縁の前記タイヤ幅方向の
最内側位置よりも、前記タイヤ幅方向の内側に配置される、空気入りタイヤ
であって、
前記少なくとも一つのジグザグ主溝の前記トレッド面における端縁は、前記タイヤ周方
向に沿って延びる複数の周方向成分を含み、
前記少なくとも一つのジグザグ主溝は、複数備えられ、複数の前記ジグザグ主溝は、第
1ジグザグ主溝と、前記第1ジグザグ主溝よりも前記タイヤ幅方向の外側に配置される第
2ジグザグ主溝と、を含み、
前記複数の主溝は、前記タイヤ幅方向の最外側に配置される一対のショルダー主溝と、
前記一対のショルダー主溝間に配置される少なくとも一つのセンター主溝と、を含み、
前記少なくとも一つのセンター主溝は、前記第1ジグザグ主溝を含み、
前記一対のショルダー主溝は、前記第2ジグザグ主溝を含み、
前記第1ジグザグ主溝の前記周方向成分の長さは、前記第2ジグザグ主溝の前記周方向
成分の長さよりも、長く、
前記第1ジグザグ主溝の深さは、前記第2ジグザグ主溝の深さよりも、深い、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記少なくとも一つのジグザグ主溝は、タイヤ径方向の外側端を含む溝外側部と、底面
を含む溝底部と、前記タイヤ径方向において前記溝外側部と前記溝底部との間に配置され
る溝内側部と、を備え、
前記溝内側部は、前記タイヤ幅方向で離れる一対の内側壁面を備え、
前記一対の内側壁面のそれぞれは、前記タイヤ周方向に対して平行である、請求項
1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記少なくとも一つのジグザグ主溝は、前記トレッド面における幅が第1幅である幅狭
部と、前記トレッド面における幅が前記第1幅よりも広い第2幅である幅広部と、を備え
る、請求項1
又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記少なくとも一つのジグザグ主溝の前記トレッド面における端縁は、前記タイヤ周方
向に沿って延びる複数の周方向成分を含み、
前記複数の周方向成分の全ては、前記タイヤ周方向に対して同じ側に傾斜する、請求項
1~
3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのストレート主溝は、車両装着時にタイヤ赤道面よりも外側に配置
され、
前記少なくとも一つのジグザグ主溝は、車両装着時に前記タイヤ赤道面よりも内側に配
置される、請求項1~
4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝を備えている。複数の主溝は、トレッド面における端縁のそれぞれが直線状であるストレート主溝と、トレッド面における端縁のそれぞれがタイヤ幅方向へ凹凸する凹凸主溝とを含んでいる(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、凹凸主溝のトレッド面における端縁は、タイヤ周方向に沿って延びる周方向成分と、タイヤ幅方向に沿って延びる幅方向成分とを含んでいる。しかしながら、周方向成分がタイヤ周方向に対して平行であるため、車両がスノー路面を直進するときに、周方向成分によるトラクションが作用しないため、スノー路面性能(例えば、スノー路面に対するトラクション性能)を十分に向上させることができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示の目的は、スノー路面性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空気入りタイヤは、トレッド面を有するトレッドを備え、前記トレッドは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝を備え、前記複数の主溝は、前記トレッド面における端縁のそれぞれが前記タイヤ周方向に対して平行である少なくとも一つのストレート主溝と、前記トレッド面における端縁のそれぞれが前記タイヤ周方向に対して傾斜する少なくとも一つのジグザグ主溝と、を含み、前記少なくとも一つのジグザグ主溝の前記トレッド面における端縁は、タイヤ幅方向の内側に配置される内側端縁と、前記タイヤ幅方向の外側に配置される外側端縁と、を含み、前記内側端縁の前記タイヤ幅方向の最外側位置は、前記外側端縁の前記タイヤ幅方向の最内側位置よりも、前記タイヤ幅方向の内側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図
【
図4】同実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面の要部展開図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
なお、後述する各寸法値、位置関係及び大小関係等は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1を正規リム20に装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0010】
また、正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。
【0011】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0012】
タイヤ幅方向D1において、内側は、タイヤ赤道面S1に近い側となり、外側は、タイヤ赤道面S1から遠い側となる。また、タイヤ径方向D2において、内側は、タイヤ回転軸に近い側となり、外側は、タイヤ回転軸から遠い側となる。
【0013】
タイヤ幅方向D1のうち、第1側D11は、第1幅方向側D11ともいい、第2側D12は、第2幅方向側D12ともいう。また、タイヤ周方向D3のうち、第1側D31は、第1周方向側D31ともいい、第2側D32は、第2周方向側D32ともいう。
【0014】
タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ1のタイヤ幅方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面のことである。また、タイヤ赤道線とは、タイヤ1のタイヤ径方向D2の外表面(後述する、トレッド面2a)とタイヤ赤道面S1とが交差する線のことである。
【0015】
なお、
図1に示すように、第1幅方向側D11へ行くにつれて、第1周方向側D31へ向かう側(第2幅方向側D12へ行くにつれて、第2周方向側D32へ向かう側)D4は、第1傾斜側D4という。また、
図2に示すように、第1幅方向側D11へ行くにつれて、第2周方向側D32へ向かう側(第2幅方向側D12へ行くにつれて、第1周方向側D31へ向かう側)D5は、第2傾斜側D5という。
【0016】
そして、「タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対して同じ側に傾斜する」とは、同じ傾斜側(例えば、第1傾斜側D4,D4同士、第2傾斜側D5,D5同士)であることをいう。即ち、タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対する傾斜角度が異なっていても、同じ傾斜側D4,D4(D5,D5)であれば、「タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対して同じ側に傾斜する」に含まれる。
【0017】
また、「タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対して反対側に傾斜する」とは、反対の傾斜側(第1傾斜側D4と第2傾斜側D5)であることをいう。即ち、タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対する傾斜角度が同じであっても、反対の傾斜側D4,D5であれば、「タイヤ周方向D3(タイヤ幅方向D1)に対して反対側に傾斜する」に含まれる。
【0018】
図3に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビードコアを有する一対のビード1aと、各ビード1aからタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール1bと、一対のサイドウォール1bのタイヤ径方向D2の外端に連接され、タイヤ径方向D2の外表面(トレッド面2a)が路面に接地するトレッド2とを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤ1であって、リム20に装着される。
【0019】
また、タイヤ1は、一対のビードコアの間に架け渡されるカーカス1cと、カーカス1cの内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナ1dとを備えている。カーカス1c及びインナーライナ1dは、ビード1a、サイドウォール1b、及びトレッド2に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0020】
タイヤ1は、タイヤ赤道面S1に対して非対称となる構造である。本実施形態においては、タイヤ1は、車両への装着向きを指定されたタイヤであり、リム20に装着する際に、タイヤ1の左右何れを車両に対面するかを指定されたタイヤである。なお、トレッド2のトレッド面2aに形成されるトレッドパターンは、タイヤ赤道面S1に対して非対称となる形状としている。
【0021】
車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール1bに表示されていてもよい。具体的には、サイドウォール1bは、タイヤ外表面を構成すべく、カーカス1cのタイヤ幅方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム1eを備え、該サイドウォールゴム1eは、表面に、車両への装着の向きを表示する表示部(図示していない)を有する、という構成でもよい。
【0022】
例えば、車両装着時に内側(以下「車両内側」ともいう)に配置される一方のサイドウォール1bは、車両内側となる旨の表示(例えば、「INSIDE」等)を付されている。また、例えば、車両装着時に外側(以下「車両外側」ともいう)に配置される他方のサイドウォール1bは、車両外側となる旨の表示(例えば、「OUTSIDE」等)を付されている。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、第1幅方向側D11は、車両内側D11とし、第2幅方向側D12は、車両外側D12としてもよい。
【0023】
トレッド2は、路面に接地するトレッド面2aを有するトレッドゴム2bと、トレッドゴム2bとカーカス1cとの間に配置されるベルト2cとを備えている。そして、トレッド面2aは、実際に路面に接地する接地面を有しており、当該接地面のうち、タイヤ幅方向D1の外端は、接地端2d,2eという。なお、該接地面は、タイヤ1を正規リム20にリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤ1を平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド面2aを指す。
【0024】
正規荷重は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤ1が乗用車用である場合には内圧180kPaの対応荷重の85%とする。
【0025】
図3及び
図4に示すように、トレッドゴム2bは、タイヤ周方向D3に延びる複数の主溝3,4,5,6と、複数の主溝3,4,5,6及び一対の接地端2d,2eによって区画される複数の陸7,8,9,10,11とを備えている。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、主溝3,4,5,6の個数は、四つとし、陸7,8,9,10,11の個数は、五つとしてもよい。
【0026】
主溝3,4,5,6は、タイヤ周方向D3に連続して延びている。主溝3,4,5,6は、例えば、摩耗するにしたがって露出することで摩耗度合が分かるように、溝を浅くしてある部分、所謂、トレッドウエアインジケータ(図示していない)を備えていてもよい。また、例えば、主溝3,4,5,6は、接地端2d,2e間の距離(タイヤ幅方向D1の寸法)の3%以上の溝幅を有していてもよい。また、例えば、主溝3,4,5,6は、5mm以上の溝幅を有していてもよい。
【0027】
タイヤ幅方向D1の最外側に配置される一対の主溝3,4は、ショルダー主溝3,4という。ショルダー主溝3,4のうち、第1幅方向側(車両内側)D11に配置される主溝3は、第1ショルダー主溝3といい、第2幅方向側(車両外側)D12に配置される主溝4は、第2ショルダー主溝4という。
【0028】
また、一対のショルダー主溝3,4間に配置される主溝5,6は、センター主溝5,6という。センター主溝5,6のうち、第1幅方向側(車両内側)D11に配置される主溝5は、第1センター主溝5といい、第2幅方向側(車両外側)D12に配置される主溝6は、第2センター主溝6という。
【0029】
ショルダー主溝3,4と接地端2d,2eによって区画される陸7,8は、ショルダー陸7,8といい、隣接される一対の主溝3,4,5,6によって区画される陸9,10,11は、ミドル陸9,10,11という。なお、ショルダー主溝3,4とセンター主溝5,6とによって区画されるミドル陸9,10は、メディエイト陸9,10ともいい、一対のセンター主溝5,6によって区画されるミドル陸11は、センター陸11ともいう。
【0030】
ショルダー陸7,8のうち、第1幅方向側(車両内側)D11に配置される陸7は、第1ショルダー陸7といい、第2幅方向側(車両外側)D12に配置される陸8は、第2ショルダー陸8という。また、メディエイト陸9,10のうち、第1幅方向側(車両内側)D11に配置される陸9は、第1メディエイト陸9といい、第2幅方向側(車両外側)D12に配置される陸10は、第2メディエイト陸10という。
【0031】
陸7,8,9,10,11は、複数の副溝12,13,14を備えている。副溝12,13,14のうち、タイヤ周方向D3に沿って延びる副溝12は、周溝12といい、副溝12,13,14のうち、タイヤ幅方向D1に沿って延びる副溝13,14は、幅溝13,14という。
【0032】
そして、幅溝13,14のうち、トレッド面2aにおける溝幅が1.6mm以上である幅溝13は、スリット13といい、幅溝13,14のうち、トレッド面2aにおける溝幅が1.6mm未満である幅溝14は、サイプ14という。なお、周溝12がタイヤ周方向D3に対して傾斜する角度は、45°未満であり、例えば、30°以下であることが好ましい。また、幅溝13,14がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度は、45°以下であり、例えば、30°以下であることが好ましい。
【0033】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、全てのスリット13は、陸7,8,9,10,11のタイヤ幅方向D1の全長に亘って延びていてもよい。即ち、全てのスリット13の両端部は、主溝3,4,5,6又は接地端2d,2eにそれぞれ連接されていてもよい。これにより、陸7,8,9,10,11は、タイヤ周方向D3に並ぶように、スリット13によって区画される複数のブロック7a,8a,9a,10a,11aを備えている。
【0034】
なお、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、各陸7,8,9,10,11のブロック7a,8a,9a,10a,11aの個数は、同じでもよく、また、各陸7,8,9,10,11のスリット13の個数は、同じでもよい。また、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、スリット13の溝幅は、全長に亘って、一定(同じだけでなく、±5%の差異を有する略同じも含む)であってもよい。
【0035】
ここで、主溝3,4,5,6の構成について、
図4を参照しながら説明する。
【0036】
図4に示すように、主溝3,4,5,6は、ストレート主溝4,6及びジグザグ主溝3,5を備えている。なお、ストレート主溝4,6は、トレッド面2aにおける端縁4a,4b,6a,6bのそれぞれがタイヤ周方向D3に対して平行である主溝4,6であり、ジグザグ主溝3,5は、トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bのそれぞれがタイヤ周方向D3に対して傾斜する主溝3,5である。
【0037】
そして、ストレート主溝4,6においては、内部の水が円滑に流れるため、排水性能を向上させることができる。しかも、ジグザグ主溝3,5においては、スノー路面に対して端縁3a,3b,5a,5bによるトラクションを大きくすることができるため、スノー路面性能を向上させることができる。
【0038】
このように、ストレート主溝4,6及びジグザグ主溝3,5の両方が備えられているため、排水性能及びスノー路面性能の両立を図ることができる。したがって、特に限定されないが、本実施形態に係るタイヤ1は、オールシーズン用タイヤ(ドライ路面、ウエット路面、及びスノー路面に適したタイヤ)として使用され得る。
【0039】
また、例えば、所定の道路は、路面の排水性を向上させるために、車両が進行する方向に対して平行に延びるレイングルーブを備えている。そして、ジグザグ主溝3,5がレイングルーブに落ち込んだ場合には、ジグザグ主溝3,5の端縁3a,3b,5a,5bは、一部のみでレイングルーブと掛り合うため、レイングルーブと掛り合う部分の長さは、短くなる。
【0040】
これにより、ジグザグ主溝3,5がレイングルーブに落ち込んだ場合に、タイヤ1に生じる横力が大きくなることを抑制することができるため、ジグザグ主溝3,5がレイングルーブに落ち込む前後で、タイヤ1に生じる横力が変化することを抑制することができる。したがって、ハンドルがとられて車両がふらつくといった現象(グルーブワンダー現象)が生じることを抑制することができる。
【0041】
ところで、タイヤ1が外輪として車両が旋回する場合に、車両内側D11の領域の接地長(路面に接地するタイヤ周方向D3の長さ)が短くなり、車両外側D12の領域の接地長が長くなる。それに対して、車両内側D11の主溝3,5は、ジグザグ主溝3,5であり、車両外側D12の主溝4,6は、ストレート主溝4,6である。
【0042】
これにより、接地長の短い車両内側D11の主溝3,5が、ジグザグ主溝3,5であるため、車両内側D11の領域において、スノー路面に対する旋回時のトラクションが小さくなることを抑制することができる。しかも、接地長の長い車両外側D12の主溝4,6が、ストレート主溝4,6であるため、車両外側D12の領域において、旋回時の排水性能が低下することを抑制することができる。したがって、旋回時のスノー路面性能及び排水性能の両立を図ることができる。
【0043】
次に、内部の水の流れが乱流になり易いジグザグ主溝3,5(第1ショルダー主溝3及び第1センター主溝5)の構成について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
【0044】
図5に示すように、ジグザグ主溝3,5のトレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bは、タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周方向成分3c,5cと、タイヤ幅方向D1に沿って延びる複数の幅方向成分3d,5dとを備えている。なお、周方向成分3c,5cがタイヤ周方向D3に対して傾斜する角度は、45°未満であり、幅方向成分3d,5dがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度は、45°以下である。
【0045】
そして、複数の周方向成分3c,5cの全ては、第1傾斜側D4に傾斜して延びている。これにより、複数の周方向成分3c,5cの全てが、タイヤ周方向D3に対して同じ側D4に傾斜しているため、ジグザグ主溝3,5内の水の流れが乱流になることを抑制することができる。
【0046】
したがって、ジグザグ主溝3,5内の水が滞留することを抑制することができるため、ジグザグ主溝3,5による排水性能の低下を抑制することができる。なお、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、第1ショルダー主溝3の周方向成分3cと第1センター主溝5の周方向成分5cとは、同じ第1傾斜側D4に傾斜して延びていてもよい。
【0047】
また、例えば、本実施形態のように、複数の幅方向成分3d,5dの全ては、タイヤ周方向D3に対して同じ側(具体的には、第2傾斜側)D5に傾斜して延びていてもよい。また、例えば、本実施形態のように、幅方向成分3d,5dと周方向成分3c,5cとは、タイヤ周方向D3に対して反対側D5,D4に延びていてもよい。また、例えば、本実施形態のように、第1ショルダー主溝3の幅方向成分3dと第1センター主溝5の幅方向成分5dとは、同じ第2傾斜側D5に傾斜して延びていてもよい。
【0048】
また、トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bは、タイヤ幅方向D1の内側に配置される内側端縁3a,5aと、タイヤ幅方向D1の外側に配置される外側端縁3b,5bとを備えている。
図5において、内側端縁3a,5aのタイヤ幅方向D1の最外側位置P1,P3と、外側端縁3b,5bのタイヤ幅方向D1の最内側位置P2,P4は、それぞれ破線で図示されている。
【0049】
そして、内側端縁3a,5aの最外側位置P1,P3は、外側端縁3b,5bの最内側位置P2,P4よりも、タイヤ幅方向D1の内側に配置されている。これにより、タイヤ周方向D3に対して平行に延びるストレート空間が、ジグザグ主溝3,5内に形成されるため、ジグザグ主溝3,5内の水がストレート空間を円滑に流れる。したがって、ジグザグ主溝3,5内の水が滞留することを抑制することができるため、ジグザグ主溝3,5による排水性能の低下を抑制することができる。
【0050】
ところで、車両が直進する場合に、タイヤ幅方向D1の内側領域の接地長が、長くなるため、第1センター主溝5の接地長が、第1ショルダー主溝3の接地長よりも、長くなる。これにより、第1センター主溝5内の水が滞留し易くなるため、排水性能が低下し易い。
【0051】
そこで、第1センター主溝5の周方向成分5cの長さ(例えば、平均長さ)は、第1ショルダー主溝3の周方向成分3cの長さ(例えば、平均長さ)よりも、長くなっている。これにより、第1センター主溝5内の水の流れが乱流になることを抑制することができるため、第1センター主溝5内の水が滞留することを抑制することができる。したがって、第1センター主溝5による排水性能の低下を抑制することができる。
【0052】
しかも、
図5及び
図6に示すように、第1センター主溝5の深さW1は、第1ショルダー主溝3の深さW2よりも、深くなっている。これにより、第1センター主溝5の溝内空間(即ち、水の流路)を大きくすることができるため、第1センター主溝5内の水が滞留することを抑制することができる。したがって、第1センター主溝5による排水性能の低下を抑制することができる。
【0053】
なお、図示していないが、本実施形態においては、第2センター主溝6の深さは、第2ショルダー主溝4の深さよりも、深くなっている。具体的には、各センター主溝5,6のそれぞれの深さは、各ショルダー主溝3,4のそれぞれの深さよりも、深くなっている。これにより、各センター主溝5,6の溝内空間を大きくすることができるため、タイヤ1の排水性能を向上させることができる。
【0054】
一方で、周方向成分3cの長さが短い第1ショルダー主溝3は、タイヤ径方向D2の外側端を含む溝外側部3eと、底面を含む溝底部3fと、タイヤ径方向D2において溝外側部3eと溝底部3fとの間に配置される溝内側部3gとを備えている。なお、
図6において、各部3e,3f,3g間の境界は、二点鎖線で示されている。
【0055】
例えば、本実施形亭においては、溝内側部3gと溝底部3fとの境界は、タイヤ子午面における断面において、壁面3h,3jが直線と曲線との境界とすることができる。具体的には、タイヤ子午面における断面において、溝内側部3gの壁面3h,3hは、直線であり、溝底部3fの壁面3j,3jのうち、少なくともタイヤ径方向D2の外側部分は、曲線である、と構成とすることができる。
【0056】
溝内側部3gは、タイヤ幅方向D1で離れる一対の内側壁面3h,3hを備えている。そして、一対の内側壁面3h,3hのそれぞれは、タイヤ周方向D3に対して平行である。これにより、第1ショルダー主溝3内の水が溝内側部3gで円滑に流れることができるため、第1ショルダー主溝3による排水性能の低下を抑制することができる。
【0057】
なお、溝外側部3eは、タイヤ幅方向D1で離れる一対の外側壁面3i,3iを備えている。そして、一対の外側壁面3i,3iのそれぞれは、タイヤ周方向D3に対して傾斜している。特に限定されないが、溝外側部3eの深さW3は、第1ショルダー主溝3の深さW2に対して、例えば、50%以下であることが好ましい。また、特に限定されないが、溝外側部3eの深さW3は、溝内側部3gの深さW4よりも、深いことが好ましい。
【0058】
ところで、ジグザグ主溝3,5にストレート空間が存在することによって、ストレート空間に起因するノイズが発生し易くなる。そこで、第1センター主溝5は、トレッド面2aにおける幅が第1幅W5である幅狭部5eと、トレッド面2aにおける幅が第1幅W5よりも広い第2幅W6である幅広部5fとを備えている。
【0059】
これにより、第1センター主溝5の溝内空間の断面積がタイヤ周方向D3で変化するため、ストレート空間に起因するノイズが発生することを抑制することができる。しかも、車両が直進するときに、タイヤ幅方向D1の内側領域の接地長が長くなることに対して、幅狭部5e及び幅広部5fを有する第1センター主溝5が、ジグザグ主溝3,5のうち、タイヤ幅方向D1の内側に配置される主溝5であるため、ノイズが発生することを効果的に抑制することができる。
【0060】
以上より、本実施形態のように、空気入りタイヤ1は、トレッド面2aを有するトレッド2を備え、前記トレッド2は、タイヤ周方向D3に延びる複数の主溝3,4,5,6を備え、前記複数の主溝3,4,5,6は、前記トレッド面2aにおける端縁4a,4b,6a,6bのそれぞれが前記タイヤ周方向D3に対して平行である少なくとも一つのストレート主溝4,6と、前記トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bのそれぞれが前記タイヤ周方向D3に対して傾斜する少なくとも一つのジグザグ主溝3,5と、を含み、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3,5の前記トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bは、タイヤ幅方向D1の内側に配置される内側端縁3a,5aと、前記タイヤ幅方向D1の外側に配置される外側端縁3b,5bと、を含み、前記内側端縁3a,5aの前記タイヤ幅方向D1の最外側位置P1,P3は、前記外側端縁3b,5bの前記タイヤ幅方向D1の最内側位置P2,P4よりも、前記タイヤ幅方向D1の内側に配置される、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、ジグザグ主溝3,5の、トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bのそれぞれが、タイヤ周方向D3に対して傾斜しているため、端縁3a,3b,5a,5bによるスノー路面に対するトラクションを大きくすることができる。これにより、スノー路面性能を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3,5の前記トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bは、前記タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周方向成分3c,5cを含み、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3,5は、複数備えられ、複数の前記ジグザグ主溝3,5は、第1ジグザグ主溝(本実施形態においては、第1センター主溝)5と、前記第1ジグザグ主溝5よりも前記タイヤ幅方向D1の外側に配置される第2ジグザグ主溝(本実施形態においては、第1ショルダー主溝)3と、を含み、前記第1ジグザグ主溝5の前記周方向成分5cの長さは、前記第2ジグザグ主溝3の前記周方向成分3cの長さよりも、長い、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、車両が直進する場合に、第1ジグザグ主溝5のタイヤ周方向D3の接地長が、第2ジグザグ主溝3のタイヤ周方向D3の接地長よりも、長くなることに対して、第1ジグザグ主溝5の周方向成分5cの長さは、第2ジグザグ主溝3の周方向成分3cの長さよりも、長くなっている。これにより、接地長の長い第1ジグザグ主溝5内の水の流れが乱流になることを抑制することができるため、第1ジグザグ主溝5内の水が滞留することを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3は、タイヤ径方向D2の外側端を含む溝外側部3eと、底面を含む溝底部3fと、前記タイヤ径方向D2において前記溝外側部3eと前記溝底部3fとの間に配置される溝内側部3gと、を備え、前記溝内側部3gは、前記タイヤ幅方向D1で離れる一対の内側壁面3h,3hを備え、前記一対の内側壁面3h,3hのそれぞれは、前記タイヤ周方向D3に対して平行である、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、溝内側部3gが、タイヤ径方向D2において、溝外側部3eと溝底部3fとの間に配置されており、溝内側部3gの一対の内側壁面3h,3hのそれぞれは、タイヤ周方向D3に対して平行である。これにより、ジグザグ主溝3内の水が溝内側部3gで円滑に流れることができる。
【0066】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記少なくとも一つのジグザグ主溝5は、前記トレッド面2aにおける幅が第1幅W5である幅狭部5eと、前記トレッド面2aにおける幅が前記第1幅W5よりも広い第2幅W6である幅広部5fと、を備える、という構成が好ましい。
【0067】
斯かる構成によれば、タイヤ周方向D3に対して平行に延びるストレート空間が形成されていることに対して、ジグザグ主溝5は、幅狭部5e及び幅広部5fを備えている。これにより、ジグザグ主溝5の溝内空間の断面積をタイヤ周方向D3で変化させることができる。
【0068】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3,5の前記トレッド面2aにおける端縁3a,3b,5a,5bは、前記タイヤ周方向D3に沿って延びる複数の周方向成分3c,5cを含み、前記複数の周方向成分3c,5cの全ては、前記タイヤ周方向D3に対して同じ側D4に傾斜する、という構成が好ましい。
【0069】
斯かる構成によれば、複数の周方向成分3c,5cの全てが、タイヤ周方向D3に対して同じ側D4に傾斜しているため、ジグザグ主溝3,5内の水の流れが乱流になることを抑制することができる。これにより、ジグザグ主溝3,5内の水が滞留することを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記複数の主溝3,4,5,6は、前記タイヤ幅方向D1の最外側に配置される一対のショルダー主溝3,4と、前記一対のショルダー主溝3,4間に配置される少なくとも一つのセンター主溝5,6と、を含み、前記少なくとも一つのセンター主溝5,6の深さW1は、前記一対のショルダー主溝3,4のそれぞれの深さW2よりも、深い、という構成が好ましい。
【0071】
斯かる構成によれば、車両が直進する場合に、センター主溝5,6のタイヤ周方向D3の接地長が、ショルダー主溝3,4のタイヤ周方向D3の接地長よりも、長くなることに対して、センター主溝5,6の深W1さは、ショルダー主溝3,4の深さW2よりも、深くなっている。これにより、センター主溝5,6の溝内空間が大きくなるため、センター主溝5,6内の水が滞留することを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記少なくとも一つのストレート主溝4,6は、車両装着時にタイヤ赤道面S1よりも外側に配置され、前記少なくとも一つのジグザグ主溝3,5は、車両装着時に前記タイヤ赤道面S1よりも内側に配置される、という構成が好ましい。
【0073】
斯かる構成によれば、タイヤ1が外輪として車両が旋回する場合に、車両外側D12の領域の接地長が長くなることに対して、ストレート主溝4,6は、車両外側D12に配置されている。これにより、車両外側D12の領域において、旋回時の排水性能が低下することを抑制することができる。
【0074】
また、タイヤ1が外輪として車両が旋回する場合に、車両内側D11の領域の接地長が短くなることに対して、ジグザグ主溝3,5は、車両内側D11に配置されている。これにより、車両内側D11の領域において、スノー路面に対する旋回時のトラクションが小さくなることを抑制することができる。
【0075】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0076】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ジグザグ主溝3,5は、二つ備えられ、ストレート主溝4,6は、二つ備えられている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。ジグザグ主溝3,5及びストレート主溝4,6の個数は、特に限定されず、ジグザグ主溝3,5及びストレート主溝4,6は、それぞれ少なくとも一つ備えられていればよい。
【0077】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、タイヤ幅方向D1の内側に配置される第1ジグザグ主溝5の周方向成分5cの長さは、タイヤ幅方向D1の外側に配置される第2ジグザグ主溝3の周方向成分3cの長さよりも、長い、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0078】
例えば、第1ジグザグ主溝5の周方向成分5cの長さは、第2ジグザグ主溝3の周方向成分3cの長さよりも、短い、という構成でもよい。また、例えば、第1ジグザグ主溝5の周方向成分5cの長さは、第2ジグザグ主溝3の周方向成分3cの長さと、同じ、という構成でもよい。
【0079】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ジグザグ主溝3である第1ショルダー主溝3は、溝外側部3e、溝内側部3g及び溝底部3fを備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0080】
例えば、第1ショルダー主溝3は、ジグザグ主溝5である第1センター主溝5のように、タイヤ径方向D2の外側端を含む溝外側部3eと、底面を含み、溝外側部3eと連接する溝底部3fとを備える、という構成でもよい。また、例えば、第1センター主溝5は、第1ショルダー主溝3のように、溝外側部、溝内側部及び溝底部を備えている、という構成でもよい。
【0081】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ジグザグ主溝5である第1センター主溝5は、幅狭部5e及び幅広部5fを備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0082】
例えば、第1センター主溝5は、ジグザグ主溝3である第1ショルダー主溝3のように、トレッド面2aにおける幅が一定(同じだけでなく、±5%の差異を有する略同じも含む)である、という構成でもよい。また、例えば、第1ショルダー主溝3は、第1センター主溝5のように、幅狭部及び幅広部を備えている、という構成でもよい。
【0083】
(5)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、複数の周方向成分3c,5cの全ては、タイヤ周方向D3に対して同じ側D4に傾斜している、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数の周方向成分3c,5cの一部は、第1傾斜側D4に延び、複数の周方向成分3c,5cの一部は、第2傾斜側D5に延びる、という構成でもよい。
【0084】
(6)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、センター主溝5,6の深さW1は、ショルダー主溝3,4の深さW2よりも、深い、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、センター主溝5,6の深さW1は、ショルダー主溝3,4の深さW2と、同じ、という構成でもよい。また、例えば、センター主溝5,6の深さW1は、ショルダー主溝3,4の深さW2よりも、浅い、という構成でもよい。
【0085】
(7)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1は、車両への装着向きを指定されたタイヤである、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、空気入りタイヤ1は、車両への装着向きを指定されていないタイヤである、という構成でもよい。具体的には、トレッドパターンは、タイヤ赤道線上の任意点に対して点対称となるトレッドパターンでもよく、また、タイヤ赤道線に対して線対称となるトレッドパターンでもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…空気入りタイヤ、1a…ビード、1b…サイドウォール、1c…カーカス、1d…インナーライナ、1e…サイドウォールゴム、2…トレッド、2a…トレッド面、2b…トレッドゴム、2c…ベルト、2d…接地端、2e…接地端、3…第1ショルダー主溝(ジグザグ主溝)、3a…内側端縁、3b…外側端縁、3c…周方向成分、3d…幅方向成分、3e…溝外側部、3f…溝底部、3g…溝内側部、3h…内側壁面、3i…外側壁面、3j…壁面、4…第2ショルダー主溝(ストレート主溝)、4a…端縁、4b…端縁、5…第1センター主溝(ジグザグ主溝)、5a…内側端縁、5b…外側端縁、5c…周方向成分、5d…幅方向成分、5e…幅狭部、5f…幅広部、6…第2センター主溝(ストレート主溝)、6a…端縁、6b…端縁、7…第1ショルダー陸、7a…ブロック、8…第2ショルダー陸、8a…ブロック、9…第1メディエイト陸、9a…ブロック、10…第2メディエイト陸、10a…ブロック、11…センター陸、11a…ブロック、12…周溝、13…スリット、14…サイプ、20…リム、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、D4…第1傾斜側、D5…第2傾斜側、D11…第1幅方向側(車両内側)、D12…第2幅方向側(車両外側)、D31…第1周方向側、D32…第2周方向側、S1…タイヤ赤道面