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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20241119BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F25D29/00
F25D23/02 304C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020213192
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099429
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/098007(WO,A1)
【文献】特開2000-346540(JP,A)
【文献】特開平04-000176(JP,A)
【文献】特開2014-044014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 29/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
少なくとも一部に透明領域を有する前面部材と、前記前面部材の後方を覆い前記前面部材に向かって開口する第1開口部が形成された後面部材と、前記前面部材と前記後面部材とに固定され前記第1開口部に臨む第2開口部が形成された枠体と、前記第1開口部および前記第2開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部材と、前記枠体に着脱可能に配置された断熱部材と、前記前面部材と前記後面部材との間に充填された発泡断熱材と、を有し、前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
前記扉内の前記枠体の内側に配置されており、前記前面部材の後面に近接した状態で前記透明領域に対向するように前記後面に固定され、前記扉の前面側から操作可能なタッチパネルと、
を備え、
前記枠体は、
前記前面部材に液密に固定された第1固定部と、
前記第1開口部の縁に沿って前記後面部材に液密に固定された第2固定部と、
前記第1固定部に接続され前記タッチパネルを側方から囲む第1壁部と、
前記第1壁部と前記第2固定部との間に配置され前記第2固定部と接続して前記第2開口部を形成する第2壁部と、
を有し、前記前面部材と前記後面部材との間に前記発泡断熱材が充填されない内部空間を形成しており
前記タッチパネルおよび前記断熱部材は、前後方向に並んで前記内部空間に配置されており、
前記内部空間および前記蓋部材は、前記前後方向に並んで配置されており、
前記発泡断熱材は、前記枠体の外側に充填されており、前記タッチパネルの上方または側方に充填されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記タッチパネルと前記第2開口部との間に配置されており、平面視の外形が前記第2開口部よりも小さい、前記枠体内の空間を奥行方向に仕切る仕切り部材と、
前記第2壁部の内側に突出して前記第2開口部よりも狭い第3開口部を形成し、前記仕切り部材の周縁を前側から支持する支持部と
さらに備え、
前記断熱部材は、前記支持部に支持されており、前記仕切り部材と前記蓋部材とに挟まれている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記蓋部材を外して前記第2開口部を開放したとき、前記第2開口部を通して前記後面部材の後方から前記タッチパネルが視認できる、
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記タッチパネルの後面に配置された回路基板をさらに備え、
前記蓋部材を外して前記第2開口部を開放したとき、前記第2開口部を通して前記後面部材の後方から前記回路基板が視認可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2開口部を通して前記後面部材の後方から前記回路基板が着脱可能である、
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記蓋部材は、
前記後面部材における前記第1開口部の縁の内側に着脱可能に嵌め込まれる蓋板と、
前記蓋板の前側に突出し、前記第2開口部に嵌め込まれる嵌め枠と、
前記嵌め枠に形成され前記第2壁部と着脱可能に係合する第1係合部と、
を有し、
前記第2壁部は、前記第1係合部と着脱可能に係合する第2係合部を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記蓋板には、前記嵌め枠よりも外側に突出し、ネジを挿通する挿通孔が形成された固定板が設けられており、
前記第2壁部には、前記ネジを固定するネジ固定部が設けられている、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記第1固定部は、両面テープによって前記後面部材に液密に固定されており、
前記第2固定部は、両面テープによって前記後面部材に液密に固定されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記前面部材は、ガラス板である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫における貯蔵室の扉に、操作用のタッチパネルを設けることが知られている。タッチパネルとタッチパネルの動作に必要な電装部品とは、故障する可能性があるので、容易にメンテナンスできることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-91623号公報
【文献】国際公開第2019/150635号
【文献】特開2012-52727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、扉内に収容された、タッチパネルに関連する部品のメンテナンスを容易に行える冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、扉と、タッチパネルと、を持つ。冷蔵庫本体は、貯蔵室を含む。扉は、貯蔵室を開閉可能に閉じる。扉は、前面部材と、後面部材と、枠体と、蓋部材と、断熱部材と、発泡断熱材と、を持つ。前面部材は、少なくとも一部に透明領域を有する。後面部材は、前面部材の後を覆う。後面部材には、前面部材に向かって開口する第1開口部が形成されている。枠体は、前面部材と後面部材とに固定される。枠体には、第1開口部に臨む第2開口部が形成されている。蓋部材は、第1開口部および第2開口部を開閉可能に塞ぐ。断熱部材は、枠体に着脱可能に配置される。発泡断熱材は、前面部材と後面部材との間に充填されている。タッチパネルは、扉内の枠体の内側に配置されている。タッチパネルは、前面部材の後面に近接した状態で透明領域に対向するように後面に固定されている。タッチパネルは、扉の前面側から操作可能である。枠体は、第1固定部と、第2固定部と、第1壁部と、第2壁部と、を持つ。第1固定部は、前面部材に液密に固定されている。第2固定部は、第1開口部の縁に沿って後面部材に液密に固定されている。第1壁部は、第1固定部に接続されタッチパネルを側方から囲む。第2壁部は、第1壁部と第2固定部との間に配置されている。第2壁部は、第2固定部に接続して第2開口部を形成する。枠体は、前面部材と後面部材との間に発泡断熱材が充填されない内部空間を形成する。タッチパネルおよび断熱部材は、前後方向に並んで内部空間に配置されている。内部空間および蓋部材は、前後方向に並んで配置されている。発泡断熱材は、枠体の外側に充填されている。発泡断熱材は、タッチパネルの上方または側方に充填されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図2図1におけるF2-F2線に沿う断面図。
図3】第1の実施形態における右冷蔵室扉を示す斜視図。
図4】第1の実施形態における右冷蔵室扉の分解斜視図。
図5】第1の実施形態における蓋部材を外した右冷蔵室扉の斜視図。
図6】第1の実施形態における蓋部材の斜視図。
図7図2におけるF7-F7線に沿う断面図。
図8】第1の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図。
図9図7におけるF9部の拡大図。
図10図8におけるF10視の部分拡大図。
図11】第1の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図。
図12図3におけるF12-F12線に沿う断面図。
図13】第2の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図。
図14図9におけるF14視の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。
本明細書では、特に断らない限り、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、上下左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味している。
図中に矢線で示した、+X方向は右方向、-X方向は左方向、+Y方向は後方向、-Y方向は前方向、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向である。
法線が+X方向に延びる平面をYZ平面、法線が+Y方向に延びる平面をZX平面、+Z方向に延びる平面をXY平面と称する場合がある。
実施形態の冷蔵庫の扉に含まれる部品に関する説明では、特に断らない限り、扉が閉じられている状態の配置に基づいて説明する。例えば、回転式扉について説明する場合、特に断らない限り、開いた状態であっても上述の±X方向、±Y方向±、および±Z方向が扉に固定されている方向であるとして説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の冷蔵庫について説明する。
図1は、第1の実施形態の冷蔵庫を示す正面図である。図2は、図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
図1に示す本実施形態の冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
冷蔵庫1は、例えば、冷蔵庫本体5および複数の扉11を有する。
冷蔵庫本体5は筐体10を含む。図2に示すように、筐体10は、例えば、内箱10aと、外箱10bと、発泡断熱材10cと、を含む。
【0009】
内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。
外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材であり、例えば金属製である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。外箱10bは、筐体10の前面を除く外面部を形成する略直方体である。
ただし、外箱10bの下端部の後側には、後述する機械室26を形成するための凹部が形成されている。
発泡断熱材10cは、例えば発泡ウレタンのような発泡体からなる断熱材であり、内箱10aと外箱10bとの間に充填されている。
【0010】
図1に示すように、筐体10は、上壁21、下壁22、左側壁23、右側壁24、および後壁25(図2参照)を有する。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左側壁23、右側壁24は、下壁22の左右の端部から上方に起立し、上壁21の左右の端部に繋がる。図2に示すように、後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がる。
【0011】
図2に示すように、筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が形成されている。複数の貯蔵室27は、例えば、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C(図1参照)、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置されている。冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置されている。野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置されている。製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。筐体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0012】
筐体10は、第1仕切部28と、第2仕切部29と、を有する。第1仕切部28および第2仕切部29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。
第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27C(図1参照)および小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27C(図1参照)および小冷凍室27Dとの間を仕切っている。
【0013】
野菜室27Bの室内の温度は、冷蔵室27Aよりも高温に維持される。野菜室27Bの内部には、例えば、野菜などの貯蔵物を収容する野菜室容器と、野菜室容器を前後方向に移動するためのガイドレールと、が設けられている。
【0014】
製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの室内の温度は、貯蔵物を冷凍可能な温度に維持される。製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの内部には、例えば、それぞれ冷凍貯蔵する貯蔵物を収容する貯蔵物容器、および貯蔵物容器を前後方向に移動するためのガイドレール、などが設けられている。
【0015】
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に覆われている。図1に示すように、複数の扉11は、例えば、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eを含む。
左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abは、冷蔵室27Aの開口を閉じる。
右冷蔵室扉11Abの内部には、後述するタッチパネルPが配置されている。右冷蔵室扉11Abの詳細構成は後述する。
野菜室扉11Bは、野菜室27Bの開口を閉じる。製氷室扉11Cは、製氷室27Cの開口を閉じる。小冷凍室扉11Dは、小冷凍室27Dの開口を閉じる。主冷凍室扉11Eは、主冷凍室27Eの開口を閉じる。
左右に隣り合って設けられた左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abは、観音開き式の一対の扉である。
野菜室扉11B、製氷室扉11C(図1参照)、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、例えば、引き出し式の扉である。野菜室扉11Bの後面には野菜室容器が連結されている。製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの各後面には、それぞれの貯蔵物容器が連結されている。
複数の扉11は、それぞれの内部に適宜の断熱材を含む。適宜の断熱材には、上述した発泡断熱材10cと同様の発泡断熱材、シート断熱材、および真空断熱材などが含まれてもよい。
【0016】
筐体10の後側には、筐体10とともに冷蔵庫本体5を形成する種々の部材が配置されている。冷蔵庫本体5を形成する部材としては、例えば、冷媒が循環するパイプ、冷却ユニット15A、15B、流路形成部材14A、14B、冷却ファン16A、16B、および制御基板17などが挙げられる。
冷蔵庫本体5において、筐体10の後側の下部には、例えば、圧縮機、凝縮器、蒸発皿などが配置された機械室26が設けられている。
【0017】
冷却ユニット15Aは、冷蔵室27Aの後側に配置されており、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bを冷却する。
冷却ユニット15Bは、主冷凍室27Eの後側に配置されており、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを冷却する。
流路形成部材14Aは、冷却ユニット15Aから供給される冷気をそれぞれ冷蔵室27A、野菜室27Bに流す流路を形成する。
流路形成部材14Bは、冷却ユニット15Bから供給される冷気を製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに流す流路を形成する。
【0018】
冷却ファン16Aは、冷却ユニット15Aで形成された冷気を流路形成部材14Aで囲まれた流路に送風し、野菜室27Bおよび冷蔵室27Aの内部に循環する冷気の流れを形成する。
冷却ファン16Bは、冷却ユニット15Bで形成された冷気が流路形成部材14Bで囲まれた流路を送風し、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの内部に循環する冷気の流れを形成する。
【0019】
制御基板17は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板17は、複数の貯蔵室27に設けられた温度センサの検出結果に基づき、冷却ユニット15A、15B、冷却ファン16A、16B、および圧縮機等の動作を制御する。本実施形態では、制御基板17は冷蔵室27Aの上方における後側の外箱10b上に配置されている。
【0020】
次に、右冷蔵室扉11Abの詳細構成について説明する。
図3は、実施形態における右冷蔵室扉を示す斜視図である。図4は、実施形態における右冷蔵室扉の分解斜視図である。
【0021】
図3に示すように、右冷蔵室扉11Abは、前面部材30、外枠36、後面部材37、および蓋部材41を有する。図3では図示を省略しているが、図2に示すように、右冷蔵室扉11Abの後面側には、上下方向に移動可能な扉容器18A、18Bと、下部に固定された扉容器19と、が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
図3、4に示すように、前面部材30は、右冷蔵室扉11Abの前端部に位置する。前面部材30は、上下方向および横幅方向に延びる板部材であり、右冷蔵室扉11Abの前面を形成している。前面部材30は、例えば、ガラス板である。ただし、前面部材30は、ガラス板に限定されず、合成樹脂、金属などの素材で形成されてもよい。前面部材30は平板でもよいし、湾曲板でもよい。以下では、前面部材30がガラス製の平板の例で説明する。図4に示すように、前面部材30は、前側に前面30a、後側に後面30bを有する。
【0023】
図1に示すように、前面部材30は、不透明部30Aと、透明部30B(透明領域)と、を有する。
不透明部30Aは、前面部材30において可視光の透過率が低いため、右冷蔵室扉11Abの内部が視認しづらい領域である。本実施形態における不透明部30Aは、前面部材30の表面に可視光の透過率を低減する塗装膜が成膜されて形成されている。塗装膜は、前面30aに形成されてもよいし、後面30bに形成されてもよいが、本実施形態では、後面30bに形成されている。
透明部30Bは、前面部材30における透明領域である。透明部30Bは、前面部材30において、塗装膜が形成されない部位で形成される。本実施形態では、後述するタッチパネルPの表示領域以下の大きさに形成される。図1に示す例では、透明部30Bは、タッチパネルPの表示画面よりもわずかに狭い矩形である。透明部30Bは、前側から見てタッチパネルPの表示画面に重なる位置に形成されている。
【0024】
図4に示すように、外枠36は-Y方向から見て略矩形の枠である。後側から見た外枠36の外形は、前面部材30の外形と略同じである。本明細書では、対象を「後側から見る」とは、特に断らない限り、対象の後方から-Y方向に見ることを意味する。同様に、対象を「前側から見る」とは、特に断らない限り、対象の前方から+Y方向に見ることを意味する。
外枠36は、+Z方向に配置されて横幅方向に延びる上面部36aと、-Z方向に配置されて横幅方向に延びる下面部36bと、を有する。上面部36aおよび下面部36bにおける+X方向の端部には上下方向に延びる右面部36cが接続されている。上面部36aおよび下面部36bにおける-X方向の端部には上下方向に延びる左面部36dが接続されている。
上面部36aにおける+X方向の端部には、冷蔵庫本体5に設けられたヒンジを連結するヒンジ取付部36eが設けられている。下面部36bにおける+X方向の端部には、冷蔵庫本体5に設けられたヒンジを連結するヒンジ取付部36fが設けられている。
外枠36の-Y方向の端部は、前面部材30の後面30bに固定されている。
外枠36は、例えば合成樹脂製である。
【0025】
後面部材37は、前面部材30とは反対側から外枠36に取り付けられ、右冷蔵室扉11Abの後端部に位置する。前面部材30と後面部材37とは、外枠36を奥行方向に挟んでそれぞれ外枠36と固定されている。
後側から見た後面部材37の外形は、外枠36に沿う矩形である。後面部材37は、右冷蔵室扉11Abの後面、すなわち内面部を形成している。後面部材37は、例えば合成樹脂製である。
後面部材37は、第1平坦部37a、第2平坦部37b、傾斜部37c、およびリブ38を有する。
【0026】
第1平坦部37aは、前面部材30に沿って延びる平坦面である。図3に示す例では、第1平坦部37aは、ZX平面に平行な平面であり、前面部材30と平行である。
図4に示すように、第1平坦部37aには、後側から見て略矩形の貫通孔である第1開口部O1が形成されている。第1開口部O1は、前面部材30に向かって開口している。
第1平坦部37aは、後述する枠体35を後方から覆っている。
【0027】
第2平坦部37bは、第1平坦部37aよりも-Z方向に配置され、前面部材30に沿って延びる平坦面である。図3、4に示す例では、第2平坦部37bは、第1平坦部37aよりも-Y方向に位置し、開口部が形成されていない以外は、第1平坦部37aと同様な平坦面である。
傾斜部37cは、第1平坦部37aの-Z方向の端部から第2平坦部37bの+Z方向の端部に向かって斜め方向に延びる平坦な平面または湾曲面である。図3、4に示す例では、-Z方向に進むにつれて-Y方向に向かって傾斜する平面である。
【0028】
第1平坦部37a、傾斜部37c、および第2平坦部37bの全体は、後側から見て、外枠36の外形よりも少し小さい矩形状の周縁を有する。
リブ38は、第1平坦部37a、傾斜部37c、および第2平坦部37bの周縁から後方に突出した凸部である。リブ38は、後側から見ると、後面部材37の外形に沿う矩形である。
リブ38は、外枠36および第1平坦部37aよりも+Y方向に突出している。このため、リブ38は、右冷蔵室扉11Abが冷蔵室27Aの開口を閉じた状態で、冷蔵室27Aの内側まで延びている。
なお本明細書において「リブ」とは、説明の便宜上の名称であり、後面部材37において後方に突出した部分を広く意味し、特定の形状や作用のものに限定されない。
【0029】
リブ38は、リブ38U、38D、38R、38Lを有する。
リブ38Uは、外枠36の上面部36aに沿って横幅方向に延びている。
リブ38Dは、外枠36の下面部36bに沿って横幅方向に延びている。
リブ38Rは、外枠36の右面部36cに沿って上下方向に延びている。
リブ38Lは、外枠36の左面部36dに沿って上下方向に延びている。
リブ38R、38Lにおいて横幅方向に対向する各側面には、扉容器18A、18Bを移動可能に係止するレール部38aと、扉容器19を係止する係止部38bが、それぞれ設けられている。
リブ38の外縁と後面部材37の外形との間には、XZ平面に平行な外縁部37eが形成されている。
【0030】
外縁部37eには、後面部材37の外形に沿って、図示略のガスケットを取り付けるガスケット取り付け溝37fが形成されている。
ガスケット取り付け溝37fに取り付けられるガスケットは、右冷蔵室扉11Abが閉じられた時に、筐体10の先端と、左冷蔵室扉11Aaの+X方向の端部に配置された回転仕切り板と、に密着する。筐体10の先端および回転仕切り板と、右冷蔵室扉11Abとの間の隙間が封止される。同様のガスケットを有する左冷蔵室扉11Aaと、右冷蔵室扉11Abと、が閉じられると、冷蔵室27Aの前側の開口からの冷気の漏れが防止される。
【0031】
図4に示すように、蓋部材41は、第1開口部O1と、後述する枠体35の後端部に形成される第2開口部O2とを開閉可能に塞ぐ。
図5は、第1の実施形態における蓋部材を外した右冷蔵室扉の斜視図である。図6は、第1の実施形態における蓋部材の斜視図である。図7は、図2におけるF7-F7線に沿う断面図である。
【0032】
図5に示すように、蓋部材41は、蓋板41aと、嵌め枠41bと、を有する。
蓋板41aは、第1開口部O1の縁の内側に着脱可能に嵌め込まれる平板である。
蓋板41aの厚さは特に限定されない。蓋板41aは、第1開口部O1に嵌め込まれたとき、第1開口部O1の縁における第1平坦部37aと面一になることがより好ましい。
蓋板41aの外形は、第1開口部O1と同様の略矩形であり、周縁には上辺部41U、下辺部41D、左辺部41L、および右辺部41Rが形成されている。
【0033】
上辺部41Uは、蓋板41aにおける+Z方向の端部において横幅方向に延びる。ただし、上辺部41Uの横幅方向における中央部には、+Z方向に突出する固定板部41dが形成されている。
固定板部41dの外形は特に限定されないが、例えば、後側から見て半円形である。固定板部41dには、ネジ39を挿通する挿通孔41d1が厚さ方向に貫通している。
下辺部41Dは、蓋板41aにおける-Z方向の端部において横幅方向に延びる。
左辺部41Lは、蓋板41aにおける-X方向の端部において上下方向に延びる。
右辺部41Rは、蓋板41aにおける+X方向の端部において上下方向に延びる。
【0034】
嵌め枠41bは、蓋板41aの周縁よりも内側から蓋板41aの前側(-Y方向)に突出する。前側から見た嵌め枠41bの形状は、蓋板41aの外形よりも小さい矩形である。
嵌め枠41bの外側には、蓋板41aの周縁部が嵌め枠41bよりも外側に突出して形成された突縁部41fが延びている。
嵌め枠41bの外周面は、後述する枠体35の第2開口部O2に嵌め込まれる。嵌め枠41bの内側には、後述する断熱部材43(図4参照)が嵌め込み可能である。
嵌め枠41bの外周面には、後述する枠体35と着脱可能に係合するための複数の第1係合部41cが設けられている。第1係合部41cの形状および個数は、蓋部材41を枠体35と着脱可能に係合できれば特に限定されない。
例えば、枠体35に凹状の第2係合部が形成される場合に、第1係合部41cは嵌め枠41bの外側に突出する突起であってもよい。第2係合部が凸状の場合には、第1係合部41cは嵌め枠41bの内側に凹む凹部であってもよい。第1係合部41cの詳細形状の例は後述する。
本実施形態では、一例として、図5に示すように、下辺部41Dに沿う嵌め枠41bに3個の第1係合部41cと、左辺部41Lに沿う嵌め枠41bに3個の第1係合部41cと、が設けられている。図6に示すように、上辺部41Uに沿う嵌め枠41bに2個の第1係合部41cと、右辺部41Rに沿う嵌め枠41bに3個の第1係合部41cと、が設けられている。
【0035】
蓋板41aにおける+Y方向の表面には第1係合部41cが設けられた位置を示す指標41eが設けられている。
指標41eの形成方法、形状は、第1係合部41cに近い位置が視認できれば、特に限定されない。例えば、指標41eは、蓋板41aからわずかに突出する後側から見て三角形の段部で形成されてもよい。
【0036】
蓋部材41は、樹脂成形品で形成することができる。蓋部材41の材料は、蓋部材41を外すときに、ある程度、たわませることができるように、弾性変形しやすい樹脂材料が用いられることがより好ましい。
【0037】
以上に説明した前面部材30、外枠36、後面部材37、および蓋部材41は、右冷蔵室扉11Abの外面を形成している。
次に、右冷蔵室扉11Abの内部構造を説明する。
図7は、図2におけるF7-F7線に沿う断面図である。図8は、第1の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図である。図9は、図7におけるF9部の拡大図である。図10は、図8におけるF10視の部分拡大図である。図11は、第1の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図である。図12は、図2におけるF12-F12線に沿う断面図である。
【0038】
図7に示すように、右冷蔵室扉11Abの内部には、タッチパネルP、回路基板33、回路基板34(図8参照)、枠体35、中蓋44(仕切り部材)、断熱部材43、および発泡断熱材40が配置されている。
【0039】
タッチパネルPは、パネル本体31と、固定具32と、を有する。
パネル本体31は、画像を表示する表示部31aと、ユーザの操作を検知する検知部31bと、を有する。
表示部31aの種類は、画像信号に基づいて画像を表示できれば特に限定されない。例えば、表示部31aとして、液晶パネルが用いられてもよい。液晶パネルは、偏光方向が異なる2枚に偏光フィルタと、画素電極が配置された液晶と、バックライトと、を含む光透過型表示装置である。例えば、表示部31aとして、有機EL素子などの自発光型の表示装置が用いられてもよい。
表示部31aの表示画像としては、ユーザの操作入力を行う部位を示す操作用画像と、その他の文字、絵柄などを表示する画像と、が挙げられる。
検知部31bは、表示部31aに表示される操作用画像の位置に対向する前面部材30の前面30aに操作手段が近接または接触したことを検知する。検知部31bの検知方式は、適宜の操作手段による操作が検知できれば特に限定されない。例えば、検知部31bは、静電容量方式、光学方式などのセンサであってもよい。
図7に示す例では、検知部31bとして、透明電極を有する静電容量方式のセンサが用いられている。この場合、透明電極は、表示部31aの有効表示画面の全体を前側から覆う透明基板上に形成されている。
検知部31bは、前面部材30の前面30aに近接または接触する、ユーザの指などの操作手段の位置を検知する。
【0040】
パネル本体31は、前面部材30に沿って延び、図1に示すように、前側から見て矩形の平板形である。例えば、パネル本体31として、タブレット入力装置が用いられてもよい。
【0041】
固定具32は、パネル本体31を保持し、前面部材30の後面30bに固定される。
固定具32の形状は、パネル本体31を保持した状態で、後面30bに固定できれば特に限定されない。図7に示す例では、固定具32は、パネル本体31を内部に収容する凹部が形成され、-Y方向において開口する箱型である。
固定具32の凹部に収容されたパネル本体31は、例えば、ネジ、両面テープ、接着剤などによって、固定具32に固定される。これにより、固定具32に対するパネル本体31の横幅方向および上下方向の相対位置が固定される。
固定具32における凹部は、後面部32a、側面部32b、および突縁部32cに囲まれて形成される。
後面部32aは、タッチパネルPの後面を後側から覆う平板である。
図7に示すように、側面部32bは、後面部32aの周縁からタッチパネルPの側面に沿って-Y方向に突出する平板である。
側面部32bの-Y方向の端部には、後面30bに沿って固定具32における凹部の外側に延びる突縁部32cが、全周にわたって形成されている。
固定具32において、突縁部32cから後面部32aまでの凹部の深さは、パネル本体31の厚さに略等しい。
【0042】
突縁部32cは、突縁部32cの-Y方向の表面と前面部材30の後面30bとの間に介在する両面テープT1によって後面30bに固定されている。これにより、固定具32内のパネル本体31の検知部31bは、後面30bからの距離が固定された状態で前面部材30に対向する。
表示部31aの有効表示領域は、透明部30Bに重なるように位置合わせされている。
【0043】
図8に示すように、回路基板33は、基板33aと、基板33aに形成されパネル本体31において主に画像や音源を制御する回路と、を有している。回路基板33の基板33a上には、回路を形成する種々の部品が実装されている。例えば、基板33a上には、動作時に発熱しやすいIC33bが実装されている。
回路基板33の配置位置は、特に限定されないが、後側から見た回路基板33の位置は、横幅方向において+X方向寄りであり、上下方向において中央よりも少し+Z方向寄りである。奥行方向においては、図7に示すように、固定具32の後面部32aの+Y方向側の表面の上方に配置されている。基板33aは、固定具32の後面部32aに設けられた基板固定部にネジ止めされている。
回路基板33は、配線が形成されたフレキシブル基板33cによって、パネル本体31と電気的に接続されている。
回路基板33は、二点鎖線で示す配線ケーブル45を介して、冷蔵庫本体5における制御基板17(図2参照)と電気的に接続されている。ただし、図8では、見易さのため、配線ケーブル45と回路基板33との接続部の図示は省略している。
【0044】
図8に示すように、回路基板34は、基板34aと、基板34aに形成されパネル本体31において外部からの音源を電気信号に変換する回路と、を有している。回路基板34の基板34a上には、回路を形成する種々の部品が実装されている。例えば、基板34a上には、動作時に発熱しやすいIC34bが実装されている。
回路基板34の配置位置は、特に限定されないが、図8に示す例では、回路基板34は、固定具32の後面部32aの+Y方向に回路基板33と同様にして配置されている。回路基板34は、上下方向において回路基板33の-Z方向に並ぶように配置されている。
回路基板34は、図示略の配線ケーブルによって回路基板33と接続され、回路基板33と同様、配線ケーブル45を通して制御基板17(図2参照)と電気的に接続されている。ただし、図8では、見易さのため、配線ケーブル45と回路基板34との接続部の図示は省略している。
【0045】
枠体35は、後側から見た固定具32の外周部を囲んだ状態で、固定具32を側方から覆っている。ここで、後側から見た固定具32の外周部は、固定具32の突縁部32cの周縁で形成されている。
図7に示すように、枠体35は、奥行方向の両端部に開口が形成された、全体として奥行方向に延びる筒形である。枠体35は、第1固定部35c、第1壁部35b、段部35a、第2壁部35f、第2固定部35g、および支持部35dを有する。
【0046】
図8に示すように、第1固定部35cは、後側から見て固定具32の外周部を囲む大きさの開口が形成された平板である。
図9に示すように、第1固定部35cは、第1固定部35cと前面部材30の後面30bとの間に介在する両面テープT2によって後面30bに固定されている。両面テープT2は、第1固定部35cの全周に設けられている。これにより、第1固定部35cは、前面部材30に液密に固定されている。
本明細書において、固定部が「液密に固定されている」とは、特に断らない限り後述する発泡断熱材40を形成する発泡液が流動時および発泡時に固定部を通過できないように固定されていることを意味する。
図9に示す例では、さらに、第1固定部35cの+Y方向の表面と、枠体35の外側において第1固定部35cと隣接する後面30bと、に跨がって、片面テープT4が貼り付けられている。これにより、第1固定部35cの固定強度が増すとともに、枠体35の外側から、第1固定部35cと前面部材30との間に発泡液が侵入できなくなるので、第1固定部35cと前面部材30との間の液密性がさらに向上する。
【0047】
第1壁部35bは、第1固定部35cの内縁の全周から+Y方向に延びる角筒形の枠である。
第1壁部35bにおける+Y方向の端部の後面30bからの高さは、固定具32および回路基板33、34等の枠体35内の収容物の後面30bからの高さよりも高い。
図8に示すように、+Z方向に配置された第1壁部35bの+X方向の端部には、配線ケーブル45を挿通する配線挿通部35jが設けられている。
【0048】
配線挿通部35jは、第1壁部35bから+Z方向に突出する筒形であり、中心部には第1壁部35bを厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。配線挿通部35jの外形および貫通孔の形状は配線ケーブル45が液密に挿入できれば特に限定されない。
図10に示す例では、配線挿通部35jは、略円筒形であり、中心部に円形の貫通孔が形成されている。貫通孔の内周面35j1における第1固定部35c側の端部は、第1固定部35cの+Y方向の表面と略同じ位置に形成されている。このため、配線挿通部35jは、外周の一部が第1固定部35cで形成される略円筒形である。
【0049】
配線挿通部35jに挿通された配線ケーブル45は、封止材46によって外周が覆された状態で、内周面35j1に挿通されている。
封止材46は、配線ケーブル45の外周面と内周面35j1との間を液密に封止できる適宜の材料で形成される。例えば、封止材46としては、柔軟な発泡体を含むソフトテープなどが用いられてもよい。
【0050】
図7に示すように、段部35aは、横幅方向において互いに対向する第1壁部35bの+Y方向における各端部から内側に延びる平板である。各段部35aは、第1固定部35cと平行に延びている。
前面部材30の後面30bからの段部35aの高さは、固定具32および回路基板33、34等の枠体35内の収容物と干渉しない高さである。
図8、11に示すように、上下方向に対向する第1壁部35bの+Y方向の端部には段部35aは形成されていない。
【0051】
第2壁部35fは、奥行方向において、第1壁部35bと後述する第2固定部35gとの間に配置されている。第2壁部35fは、+Y方向の端部が第2固定部35gと接続して前側から見て第1開口部O1に臨む第2開口部O2を形成する(図9参照)。
第2開口部O2は、前側から見た蓋部材41の嵌め枠41bの外周面と着脱可能に嵌合する形状である。
後側から見た第2壁部35fの形状は、後側から見た第1壁部35bの形状と同じでもよいし、異なっていてもよい。
図8、11に示す例では、第2壁部35fにおいて横幅方向の各端部を形成する壁体は、各段部35aの内側の端部から+Y方向に延びている。このため、横幅方向における第2壁部35fの外形の幅は、横幅方向における第1壁部35bの外形の幅よりも狭い。
これに対して、第2壁部35fにおいて上下方向の各端部を形成する壁体は、第1壁部35bにおいて上下方向の各端部を形成する壁体の+Y方向の端部から+Y方向に延びている。このため、上下方向における第2壁部35fの外形の幅は、上下方向における第1壁部35bの外形の幅に等しい。この場合、第2壁部35fと第1壁部35bとの上下方向の端部を形成する各壁体は、連続的な平板である。
このような構成により、図8、11に示す例では、後側から見た第2壁部35fの形状は、第1壁部35bよりも横幅が狭い矩形である。
【0052】
図7に示すように、第2壁部35fにおいて横幅方向に対向する各壁体の+Y方向の先端は、第1開口部O1の内側にあり、+Y方向においては第1開口部O1の縁を形成する第1平坦部37aの-Y方向の表面の高さまで延びている。図示は省略するが、第2壁部35fにおいて上下方向に対向する各壁体の先端も同様である。
【0053】
図9に示すように、第2壁部35fの内周面には、蓋部材41の第1係合部41cと係合する第2係合部35hが形成されている。
第2係合部35hの形状および個数は、第1係合部41cと着脱可能に係合できれば特に限定されない。
例えば、第1係合部41cが嵌め枠41bの外側に突出する突起の場合には、第2係合部35hは第1係合部41cの突起を係止する凹部で形成される。例えば、第1係合部41cが嵌め枠41bの内側に凹む凹部の場合には、第2係合部35hは第1係合部41cの凹部に係止する突起で形成される。
図9に示す例では、第1係合部41cは、+Y方向側に係止面41hが形成され、係止面41hの先端から-Y方向に向かうにつれて嵌め枠41bに向かって傾斜する傾斜面41gを有する爪状突起である。
この場合、第2係合部35hとしては、第2壁部35fの内面から外側に凹んだ凹溝であってもよい。凹溝における+Y方向の内周面には、係止面41hが係止する係止面35iが形成されている。
第2係合部35hが凹溝からなる場合、凹溝は第2壁部35fを貫通することなく形成される。図9に示す例では、凹溝の溝底面を形成するため、第2壁部35fの外周面には、第2係合部35hに対応する位置に、凹溝の深さと略同じ高さだけ外側に突出する突出部が形成されている。ただし、第2係合部35hは、第2壁部35fの厚さの範囲に形成されてもよい。
【0054】
第2係合部35hは、複数の第1係合部41cを係止できるように形成されてもよいが、図8、11に示す例では、第2係合部35hは、第1係合部41cを1個ずつ係止する。このため、第2係合部35hは、第1係合部41cに対応する位置に同数設けられている。
【0055】
図11に示すように、奥行方向において蓋部材41における固定板部41dと対向する第2壁部35fの外側には、挿通孔41d1に挿通されるネジ39を固定するネジ固定部35kが設けられている。
ネジ固定部35kの+Y方向の端部には、ネジ39を螺合するネジ穴35k1が形成されている。ネジ穴35k1は、+Y方向に開口し、-Y方向に延びて-Y方向の端部が閉じられた有底の孔部である。
なお、図12は模式図のため、ネジ固定部35kの+Y方向の端面と固定板部41dとの間に隙間が空いているように図示されているが、ネジ39を螺合することによって、固定板部41dは、ネジ固定部35kの+Y方向の端面と密着する。
このようにネジ39が螺合されることにより、固定板部41dとネジ固定部35kの+Y方向の端面との間は液密に封止される。
【0056】
第2固定部35gは、+Y方向における第2壁部35fの端部から第2壁部35fの外側に向かって延びている。第2固定部35gは、第1固定部35cと平行な平板である。第2固定部35gは、第2開口部O2の+Y方向の端部から外側に延びる矩形枠である。
図9に拡大断面を示すように、第2固定部35gは、第1開口部O1の縁を形成する第1平坦部37aに+Y方向から対向する位置まで延びている。
第1平坦部37aと対向する第2固定部35gの部位は、両面テープT3が介在することにより第1平坦部37aの-Y方向の表面に液密に固定されている。ただし、第2固定部35gにおいて第1開口部O1の内側に臨む部位には、両面テープT3は貼り付けられていない。
図8に示すように、両面テープT3は、同様にして、第2固定部35gにおいて、ネジ固定部35kを除く略全周に貼り付けられている。図8では、両面テープT3が一続きのC字形の例が示されているが、両面テープT3は、周方向に分割されていてもよい。例えば、両面テープT3は、直線状に延びる複数個の組合せで形成されてもよい。
【0057】
図7に示すように、支持部35dは、第2壁部35fの内側に突出し、後述する中蓋44の周縁を前側から支持する。支持部35dの形状は、中蓋44を支持できれば特に限定されない。例えば、支持部35dは、後側から見た第2壁部35fの周方向において間を空けて配置された複数の突板で形成されてもよいし、全周にわたって内側に突出する枠板で形成されてもよい。
図8、11に示す例では、支持部35dは第2壁部35fの全周にわたって形成された枠板である。この場合の支持部35dの詳細を図9を参照して説明する。
支持部35dは、第2壁部35fからZX平面と平行に延びる基端板35d1と、先端板35d2の先端から-Y方向に屈曲した後、基端板35d1と平行により内方に延びる先端板35d2と、を有する。
基端板35d1と先端板35d2との+Y方向の表面において、それぞれの接続部には、基端板35d1から-Y方向に凹む段部35eが形成されている。
先端板35d2の先端には、後側から見て第2開口部O2よりも狭い矩形状の第3開口部O3が形成されている。
【0058】
第3開口部O3の大きさおよび位置は、枠体35の内側に配置される部品のメンテナンスが可能な大きさおよび位置である。ここで、部品のメンテナンスには、例えば、部品の調整、検査、修理の交換のいずれかの作業が含まれる。部品のメンテナンスは、冷蔵庫1の出庫後に行われる場合と、冷蔵庫1の製造工程で行われる場合と、を含む。
メンテナンス対象の部品は、タッチパネルPに関連する部品(タッチパネルP自体も含む)であって枠体35の内部に収容された部品である。
メンテナンス対象の部品としては、例えば、タッチパネルP、回路基板33、34、回路基板33、34の電装品、フレキシブル基板33c、配線ケーブル45などが挙げられる。回路基板33、34上の電装品は、回路基板33、34とともに、固定具32から取り外すことができてもよいし、回路基板33、34から単品で着脱できてもよい。単品で着脱できる電装品としては、例えば、ソケットに装着されるIC、LSI、不揮発メモリ、マイク、スピーカ、アンテナ、リセットスイッチなどが挙げられる。
本実施形態では、タッチパネルPが前面部材30から容易には取り外せないので、タッチパネルPのメンテナンスは、回路基板33、34を通した調整および検査に限定される。
【0059】
第3開口部O3は、少なくとも、メンテナンス対象の部品を、第3開口部O3を通して視認できるように形成されることが必要である。第3開口部O3は、メンテナンス対象の部品を後側から視認できることが好ましいが、-Y方向に対する斜め方向から視認できてもよい。
第3開口部O3は、メンテナンス対象の部品の調整に用いるスイッチ、ボリュームなどを操作できる大きさおよび位置に形成されることがより好ましい。
第3開口部O3は、メンテナンス対象の部品の検査に用いる検査端子に検査装置を接続できる大きさおよび位置に形成されることがより好ましい。
第3開口部O3は、メンテナンス対象の部品を取り外して外部に取り出せる大きさおよび位置であることがより好ましい。
【0060】
第1開口部O1、第2開口部O2は、第3開口部O3に近い大きさであることがより好ましい。これにより、蓋部材41の大きさをメンテナンスに必要な大きさの第3開口部O3の大きさに近づけることができる。
【0061】
図8に示す例では、第3開口部O3は、固定具32の後面部32aの大部分を視認できる大きさおよび位置に形成されている。このため、メンテナンス担当者は、回路基板33、34、フレキシブル基板33c、および配線ケーブル45などを視認でき、それぞれのメンテナンスに必要な作業が可能である。
【0062】
図9に示すように、段部35eおよび先端板35d2は、全体として、後側から見て第3開口部O3よりも大きく第2開口部O2よりも小さい矩形の凹部を形成している。
段部35eの深さは、特に限定されないが、例えば、後述する中蓋44の厚さに等しくてもよい。
【0063】
図7に示すように、枠体35においては、第1固定部35cが後面30bに液密に固定され、第2固定部35gが第1平坦部37aに液密に固定されている。枠体35は、右冷蔵室扉11Abにおいて、後面部材37、外枠36、および前面部材30で囲まれた内部空間を、枠体35の外側の第1空間S1と、枠体35の内側の第2空間S2と、に液密に仕切っている。
第1壁部35bに開口を形成する配線挿通部35jは、配線ケーブル45の装着後に配線ケーブル45と封止材46とによって、液密に塞がれる。
第2空間S2は、固定具32の側方および後方において、第1開口部O1まで広がる空間であり、第3開口部O3、第2開口部O2、および第1開口部O1に連通している。
このため、枠体35によって形成される第2空間S2は、第1空間S1に後述する発泡断熱材40が充填されたときに前面部材30と後面部材37との間に発泡断熱材40が充填されない内部空間である。
【0064】
枠体35は、合成樹脂の成形品によって形成される。枠体35の材料は、両面テープT2、T3、および片面テープT4との接着性に優れる材料であれば特に限定されない。
枠体35は、内側にタッチパネルP、回路基板33、34などの電装品を含んでいるので、枠体35の材料としては、難燃性を有する樹脂材料が用いられることがより好ましい。
【0065】
図4に示すように、中蓋44は、第3開口部O3を後側から覆う。中蓋44は、第3開口部O3を塞ぐように覆うことがより好ましい。ただし後述する断熱部材43を配置したときに、後面30bとの距離の変化が許容できる程度の剛性を有していれば、一部に開口が形成されてもよい。
図9に示す例では、中蓋44は、支持部35dの段部35eの内側における先端板35d2上に配置可能であり、厚さ方向に開口を有しない平板である。この場合、後側から見た中蓋44の外形は、段部35eに着脱可能に嵌合する矩形である。
中蓋44が段部35eの内側に配置されると、第2空間S2は、中蓋44によって、タッチパネルPおよび回路基板33、34を含む前側空間S2fと、前側空間S2fよりも後側の後側空間S2rとに仕切られる。
【0066】
中蓋44の厚さは、特に限定されないが、図9に示す例では、支持部35dの基端板35d1と面一に配置するために、段部35eの深さに等しい厚さを有している。
ただし、中蓋44は、着脱時に指などを掛け易いように+Y方向の表面に突起部が設けられていてもよい。
中蓋44の-Y方向の表面には、先端板35d2に係止する係止突起が突出していてもよい。この場合、後述する断熱部材43が取り外されたときに中蓋44が落下しにくくなる。
中蓋44は、枠体35の内側においてZX平面に平行に配置されているので、重力によって撓むことがなく、かつ後述する発泡断熱材40の発泡圧を受けることものないので、剛性は低くてもよい。このため、中蓋44は平板でも必要な剛性が得られやすい。中蓋44が平板であると、後側空間S2rの容積を大きくできるので、後側空間S2rに配置される後述する発泡断熱材40の断熱性能を向上できる。
ただし、必要な断熱性能が得られる場合には、中蓋44には、剛性を向上するために+Y方向および-Y方向の表面の少なくとも一方にリブが形成されたりしてもよい。
【0067】
中蓋44の材料は、必要な剛性が得られれば特に限定されない。例えば、回路基板33、34の熱を遮断しやすくする観点では、熱伝導性が低い樹脂材料が用いられてもよい。
例えば、中蓋44は回路基板33、34の近くに配置されるので、中蓋44の材料としては、難燃性を有する樹脂材料が用いられることがより好ましい。
【0068】
図7に示すように、断熱部材43は、枠体35内において、支持部35d、中蓋44、第2壁部35f、および蓋部材41に囲まれた後側空間S2rに配置される。断熱部材43は、タッチパネルPおよび回路基板33、34で発生した熱が、蓋部材41を通して冷蔵室27A内に伝わることを抑制するために配置されている。
断熱部材43は、蓋部材41の嵌め枠41bの内側に嵌め込むことができる板形に成形される。後側から見た断熱部材43の外形は、嵌め枠41bの内周面の形状と略同じである。
断熱部材43は、単独で、または蓋部材41とともに、枠体35に着脱可能に配置される。
特に、断熱部材43は、単独で枠体35に着脱可能に設けることにより、蓋部材41をたわませて外した後に、単独で枠体35から外すことができる。この場合、断熱部材43の厚さの自由度が大きくなったり、たわみにくい材料またはたわませると破損しやすい材料も使用できたりする利点がある。
断熱部材43の材料としては、例えば、真空断熱材、発泡スチロール板、ウレタンボードなどが挙げられる。
【0069】
発泡断熱材40は、右冷蔵室扉11Abの内部において、第1空間S1に充填されている。発泡断熱材40は、例えば発泡ウレタンのような発泡体からなる断熱材である。発泡断熱材40は、発泡断熱材10cと同様の材料が用いられてもよい。
第2空間S2は、枠体35が前面部材30と後面部材37とに液密に固定され、配線挿通部35jも液密に閉塞されることにより、第1空間S1に連通しない。このため、発泡断熱材40は、第2空間S2には充填されない。
【0070】
次に、右冷蔵室扉11Abの製造方法の一例を説明する。
パネル本体31を固定具32に収容し、パネル本体31と固定具32とを互いに固定してタッチパネルPを組み立てる。後面部32aには、回路基板33、34を固定する。パネル本体31から延出するフレキシブル基板33cは、固定具32の後面に沿って折り曲げられて、回路基板33のコネクタに接続される。
この後、タッチパネルPを、外枠36が固定された前面部材30の後面30bに固定する。例えば、突縁部32cにセパレータ付きの両面テープT1を予め貼り付けておき、セパレータを剥がして、タッチパネルPを後面30bに固定する。
このとき、前面部材30は、後面30bを上に向けて水平に配置しておくことがより好ましい。
【0071】
この後、枠体35の第1固定部35cを後面30bに固定する。
例えば、両面テープT2で固定する場合には、第1固定部35cには、セパレータ付きの両面テープT2を予め貼り付けておき、セパレータを剥がして、第1固定部35cを後面30bに固定する。さらに片面テープT4を貼り付ける場合には、第1固定部35cの外周を跨いで、第1固定部35cと後面30bとに片面テープT4を貼り付ける。
外枠36との間に、片面テープT4の貼り付け作業のスペースを確保できない場合には、タッチパネルPと枠体35とを前面部材30に固定した後で、前面部材30に外枠36を固定してもよい。
片面テープT4のみで枠体35を固定する場合には、両面テープT2を貼り付けない第1固定部35cを後面30b上に載置した後に、枠体35が動かないように保持した状態で上述と同様に片面テープT4を貼り付ける。
【0072】
両面テープT3は、後面部材37を第2固定部35gに固定するまでに、貼り付けられていればよい。例えば、セパレータ付きの両面テープT3は、前面部材30に枠体35を固定するまでに予め第2固定部35gに貼り付けられていてもよいし、前面部材30に枠体35を固定した後、後面部材37を固定する前までに第2固定部35gに貼り付けられてもよい。
両面テープT3は、後面部材37に予め貼り付けられていてもよい。ただし、後面部材37よりも枠体35の方が、剛性が高いので、両面テープT3は、枠体35の第2固定部35gに予め貼り付けると貼り付け作業がより容易となる。
【0073】
この後、外枠36のヒンジ取付部36eに配線ケーブル45を挿通し、配線ケーブル45の先端を配線挿通部35jに挿通する。このとき、配線ケーブル45の先端から枠体35内で必要な長さだけ離れた位置に、封止材46を取り付けておく。封止材46を配線挿通部35jの内周面35j1に押し込むことによって、配線ケーブル45が配線挿通部35jに液密に固定される。
この後、配線ケーブル45の先端を、回路基板33のコネクタに接続する。コネクタの接続作業は、第2開口部O2および第3開口部O3を通して、枠体35の後側から行える。コネクタを接続後、回路基板33、34に通電して基板検査が行われてもよい。
以上で、図8に示すような組立体が形成される。
【0074】
この後、支持部35dの先端板35d2の後側に、中蓋44を配置する。中蓋44は、第2開口部O2の後側から挿入できる。中蓋44の外形は、第2開口部O2よりも小さい矩形なので、中蓋44は、前面部材30に略平行な姿勢で第2開口部O2内に移動できる。
前面部材30は水平に配置されているので、中蓋44も先端板35d2上に水平に配置される。このため、前面部材30が立てられている場合とは異なり、中蓋44の自重によって、段部35eから外れることはない。
この後、中蓋44および支持部35dの後側に断熱部材43を配置する。断熱部材43は、第2開口部O2よりもわずかに小さいので、横幅方向および上下方向において、第2壁部35fの内周面と隙間が空くように、断熱部材43を配置することがより好ましい。
前面部材30は水平に配置されているので、断熱部材43も中蓋44上に水平に配置される。このため、前面部材30が立てられている場合とは異なり、断熱部材43が配置された後、移動して第2壁部35fとの間の隙間が塞がることはない。
【0075】
この後、外枠36および枠体35上に後面部材37を配置し、それぞれを互いに固定する。
例えば、枠体35と後面部材37とは、両面テープT3によって貼り合わされる。このとき、両面テープT3は、第1開口部O1の外側に貼り付けられる。これにより、後側から見ると、第1開口部O1の内側に第1開口部O1の全周にわたって第2固定部35gの表面が露出する。
【0076】
この後、固定板部41dがネジ固定部35kに重なり、蓋部材41の外周が第1開口部O1に沿うようにして、蓋部材41の嵌め枠41bを断熱部材43と第2壁部35fとの間に挿入する。このとき、断熱部材43と第2壁部35fとの隙間が一部でなくなっていても、嵌め枠41bを押し込むにつれて嵌め枠41bが、断熱部材43と第2壁部35fとの間に入り込むので、特に組立に支障はない。
【0077】
例えば、第1係合部41cが図9に示すような突起である場合、嵌め枠41bが第2壁部35fに挿入されると、第1係合部41cが内側に押し込まれて嵌め枠41bが内側にたわむ。第1係合部41cが第2係合部35hに入ると、嵌め枠41bの弾性復元力によって、第1係合部41cが第2係合部35hの内部に押し込まれる。これにより、係止面41hが、係止面35iに前側から係止する。これにより、第1係合部41cと第2係合部35hとが互いに係合する。
このとき、第1係合部41cの位置は、指標41eによって容易に分かるので、組立作業者は、指標41eの近傍の蓋板41aを押すことによって、確実に第1係合部41cと第2係合部35hとを係合できる。
【0078】
各第1係合部41cが各第2係合部35hと係合すると、蓋板41aの突縁部41fが第1開口部O1の内側に嵌まり込む。突縁部41fは、両面テープT3が貼り付けられていない第2固定部35gに重なる。
この後、固定板部41dの挿通孔41d1にネジ39を挿通して、ネジ固定部35kにネジ39を螺合する。これにより、蓋部材41がネジ固定される。
固定板部41dは、両面テープT3が貼り付けられていないネジ固定部35kの表面と密着して固定される。
【0079】
このようにして、発泡断熱材40を除く扉組立体が形成される。
この後、扉組立体の第1空間S1内に発泡断熱材40を形成する発泡液を導入し、発泡させる。発泡した後、発泡体が硬化すると、発泡断熱材40が形成されて、図3に示すような右冷蔵室扉11Abが製造される。
枠体35は、後面部材37と前面部材30との間に液密に固定されているので、第1空間S1に充填される発泡液が第2空間S2に進入することはない。
【0080】
右冷蔵室扉11Abが取り付けられた本実施形態の冷蔵庫1によれば、右冷蔵室扉11Abを開いた状態で、メンテナンス担当者がネジ39を外した後、蓋部材41を+Y方向に引っ張ることで、各第1係合部41cと各第2係合部35hとの係合が外れる。これにより、右冷蔵室扉11Abから蓋部材41を取り外すことができる。
例えば、メンテナンス担当者は、ネジ39を外した後の固定板部41dまたはその近傍の突縁部41fを、+Y方向を引っ張ることによって、上辺部41Uの近くの2つの第1係合部41cと第2係合部35hとの係合を解除する。さらにメンテナンス担当者は、蓋部材41の上端部を+Y方向に引っ張ることによって、左辺部41Lと右辺部41Rの近くの第1係合部41cと第2係合部35hとの係合を、上から下に向かって順次解除することができる。
このとき、蓋部材41が弾性変形しやすい樹脂材料で形成されていると、蓋部材41を単独で円滑に取り外しやすい。
蓋部材41は、ネジ39で固定されているので、メンテナンス担当者が工具を使用しないと取り外せないようになっている。このため、蓋部材41がユーザによる偶発的な操作によって外れてしまうことを防止できる。
特に、蓋部材41のネジ止め箇所は、蓋部材41の上辺部41Uに設けられているので、ネジ止め箇所がより下方に設けられている場合に比べてユーザが開けにくくなっている。
【0081】
メンテナンス担当者は、蓋部材41を取り外した後、断熱部材43と中蓋44とをこの順に取り外して、枠体35の外側に取り出す。これにより、第2開口部O2と、第3開口部O3とが開放されるので、メンテナンス担当者は、第2開口部O2および第3開口部O3を通してメンテナンス作業を行える。
このように、本実施形態によれば、右冷蔵室扉11Abを冷蔵庫本体5から取り外したり、蓋部材41、断熱部材43、および中蓋44以外の部品を取り外したり分解したりすることなく、メンテナンス対象の部品を容易にメンテナンスすることができる。
【0082】
本実施形態によれば、右冷蔵室扉11Abの前側にメンテナンス用の開口を設けなくてよいので、右冷蔵室扉11Abの前側の美観を向上することができる。
さらに、右冷蔵室扉11Abの外枠36の上下方向および横幅方向の外周面にも、メンテナンス用の開口を設けなくてよい。
外枠36の外周面にメンテナンス用の開口を設ける場合、メンテナンス対象の部品を開口から引き出さないとメンテナンスができない。メンテナンス対象の部品を引き出せるようにすると、引き出し経路に断熱材を配置できないか、配置できても断熱性能が低い断熱材しか配置することができない。このため、メンテナンス用の開口の周囲の断熱性能が低下して、扉の断熱性能も低下する可能性がある。
本実施形態によれば、発泡断熱材40が充填されない第2空間S2のうち、後側空間S2rには、中蓋44と、断熱部材43とが、配置されて第3開口部O3が覆われる。このため、タッチパネルP、回路基板33、34の近傍の前側空間S2f以外の右冷蔵室扉11Abの内部空間が発泡断熱材40または断熱部材43によって断熱される。この結果、右冷蔵室扉11Abは、良好な断熱性能を有するとともに、必要に応じて、前側空間S2f内のメンテナンス対象部品を容易にメンテナンスすることができる。
【0083】
中蓋44は、回路基板33、34と断熱部材43との間の遮蔽板の機能を有する。特に中蓋44が難燃性材料で形成される場合には中蓋44の遮蔽性能が良好になる。この場合、断熱部材43、蓋部材41の材料として、難燃性を有しない材料を使用することができるので、断熱部材43および蓋部材41の部品コストを低減できる。
枠体35が難燃性材料で形成される場合には、枠体35の外部の部品に難燃性を有しない材料を使用することができるので同様に右冷蔵室扉11Abの部品コストを低減できる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1によれば、タッチパネルPが枠体35によって側方を覆われて前面部材30に固定されており、タッチパネルPの後方における枠体35の第2開口部O2が着脱可能な蓋部材41によって開閉可能である。このため、枠体35内に配置され、右冷蔵室扉11Ab内に収容された、タッチパネルPに関連する部品のメンテナンスを容易に行える冷蔵庫を提供することができる。
【0085】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の冷蔵庫を説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1Aは、第1の実施形態の冷蔵庫1における右冷蔵室扉11Abに代えて、右冷蔵室扉111Abを有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図13は、第2の実施形態における前面部材と枠体とを示す斜視図である。図14は、図9におけるF14視の部分拡大図である。
【0086】
図13に示すように、右冷蔵室扉111Abは、右冷蔵室扉11Abの枠体35に代えて、枠体135を有する。枠体135は、配線挿通部35jに代えて配線挿通部135jを有する以外は、枠体35と同様である。
図13、14に示すように、配線挿通部135jは、第1の実施形態において配線挿通部35jが形成された第1壁部35bおよび第1固定部35cを、-Z方向から見てU字状に切り欠いた形状を有する。
配線挿通部135jは、第1壁部35bにおいて第1固定部35c側に開口するU字溝135j1と、U字溝135j1の開口端からそれぞれ+Z方向に延びる第1固定部35cの端縁135j2と、によって形成される。
各端縁135j2の間には,両面テープT2は配置されていないので、各端縁135j2の間には、後面30bが露出している。
【0087】
本実施形態では、配線ケーブル45は、第1の実施形態と同様の封止材46が外周を覆った状態で、U字溝135j1に挿通されている。封止材46として変形容易なソフトテープなどが用いられることによって、封止材46がU字溝135j1の内側を塞ぐことができる。
各端縁135j2の間には、両面テープT2が配置されていないので、封止材46は円滑にU字溝135j1に挿入できる。ここで、挿入された後、封止材46は、各端縁135j2の間の後面30bに密着し、後面30bとの隙間が塞がれる。
【0088】
枠体135によれば、配線挿通部135jが第1壁部35bおよび第1固定部35cを-Z方向から見てU字状に切り欠いた形状に形成されているので、配線挿通部135jがアンダーカット形状を有しない。このため、枠体135を成形する際の成形型の型構造を簡素化でき、部品コストを低減できる。
【0089】
本実施形態の冷蔵庫1Aによれば、配線挿通部35jに代えて配線挿通部135jを有する以外は同様の構成を有するので、冷蔵庫1と同様に、右冷蔵室扉11Ab内に収容された、タッチパネルPに関連する部品のメンテナンスを容易に行える冷蔵庫を提供することができる。
【0090】
上記各実施形態では、蓋部材41が上辺部41Uの1箇所でネジ止めされているとして説明した。しかし、ネジ止め箇所は、2箇所以上であってもよい。ネジ止め箇所も上辺部41Uに限らず、突縁部41fに沿うどの位置でネジ止めされてもよい。
ネジ止め箇所が2箇所以上であると、さらにユーザがネジ39を外しにくくなる。
【0091】
上記各実施形態では、第2開口部O2が第1開口部O1よりも狭い例で説明した。この場合、第2開口部O2と嵌め枠41bとの間の隙間が、突縁部41fによって覆われるので、第2空間S2内で暖められた空気が冷蔵室27Aに進入しにくくなる。これにより、右冷蔵室扉11Abの断熱性能を向上できる。
ただし、例えば、中蓋44による第3開口部O3の閉塞性能が良好な場合など、突縁部41fが形成されていなくても、前側空間S2f内で暖められた空気が冷蔵室27Aに進入しにくい場合には、第2開口部O2と第1開口部O1とは同形状でもよい。
【0092】
上記各実施形態では、蓋部材41と中蓋44との間に、断熱部材43が設けられた例で説明した。しかし、蓋部材41および中蓋44の少なくとも一方によって、必要な断熱性能が得られれば、断熱部材43は省略されてもよい。
例えば、蓋部材41および中蓋44の少なくとも一方は、それぞれに固定された断熱部材を含んでいてもよい。
特に蓋部材41だけでも必要な断熱性能が得られる場合、中蓋44と、支持部35dとは省略されてもよい。この場合、枠体35は、第3開口部O3を有しない筒で形成できる。
【0093】
上記各実施形態では、タッチパネルPの後方に回路基板33、34が配置されるとして説明した。しかし、回路基板33、34の少なくとも一方は、タッチパネルPと並列に配置されてもよい。
さらに、回路基板33、34は、タッチパネルPに関連する回路基板の一例であり、タッチパネルPとともに配置される回路基板は、これには限定されない。例えば、回路基板は1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。
【0094】
上記各実施形態では、タッチパネルPが、右冷蔵室扉11Abに設けられるとして説明した。しかし、タッチパネルPは、左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abの両方に設けられてもよいし、左冷蔵室扉11Aaのみに設けられてもよい。
左冷蔵室扉11AaにタッチパネルPが設けられる場合、タッチパネルPは、第1の実施形態における枠体35、中蓋44、断熱部材43、および蓋部材41とともに設けられる。ただし、左冷蔵室扉11Aaに設けたタッチパネルP、枠体35、中蓋44、断熱部材43、および蓋部材41の横幅方向の幅および上下方向の高さは、左冷蔵室扉11Aaの横幅および高さの範囲で適宜変更されてもよい。
【0095】
上記各実施形態では、観音開き式の扉に、カバーで囲まれて前面部材に固定されたタッチパネルおよびタッチパネルに関連する部品が設けられるとして説明した。しかし、タッチパネルおよびタッチパネルに関連する部品は、例えば、片開き式の扉に設けられてもよい。
タッチパネルおよびタッチパネルに関連する部品は、回転式の扉以外の扉、例えば、引き出し式の扉、引き戸式の扉に設けられていてもよい。
タッチパネルおよびタッチパネルに関連する部品は、複数の扉11のいずれに設けられてもよい。
タッチパネルおよびタッチパネルに関連する部品を有する扉には、いずれも上記各実施形態における枠体、蓋部材、仕切り部材、断熱部材などが必要に応じてもうけられてもよい。
【0096】
以上、説明した少なくとも一つの実施形態によれば、冷蔵庫が、貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、少なくとも一部に透明領域を有する前面部材と、前記前面部材の後方を覆い前記前面部材に向かって開口する第1開口部が形成された後面部材と、前記前面部材と前記後面部材とに固定され前記第1開口部に臨む第2開口部が形成された枠体と、前記第1開口部および前記第2開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部材と、前記前面部材と前記後面部材との間に充填された発泡断熱材と、を有し、前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、前記扉内の前記枠体の内側に配置されており、前記前面部材の後面に近接した状態で前記透明領域に対向するように前記後面に固定され、前記扉の前面側から操作可能なタッチパネルと、を備え、前記枠体は、前記前面部材に液密に固定された第1固定部と、前記第1開口部の縁に沿って前記後面部材に液密に固定された第2固定部と、前記第1固定部に接続され前記タッチパネルを側方から囲む第1壁部と、前記第1壁部と前記第2固定部との間に配置され前記第2固定部と接続して前記第2開口部を形成する第2壁部と、を有し、前記前面部材と前記後面部材との間に前記発泡断熱材が充填されない内部空間を形成するので、扉内に収容された、タッチパネルに関連する部品のメンテナンスを容易に行える冷蔵庫を提供することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1、1A…冷蔵庫,5…冷蔵庫本体,11…複数の扉,11Ab、111Ab…右冷蔵室扉(扉),27…貯蔵室,27A…冷蔵室(貯蔵室),30…前面部材,30a…前面,30b…後面,30B…透明部(透明領域),33、34…回路基板,33b、34b…IC,33c…フレキシブル基板,35、135…枠体,35b…第1壁部,35c…第1固定部,35d…支持部,35e…段部,35f…第2壁部,35g…第2固定部,35h…第2係合部,35j、135j…配線挿通部,35k…ネジ固定部,36…外枠,36e、36f…ヒンジ取付部,37…後面部材,37a…第1平坦部,39…ネジ,40…発泡断熱材,41…蓋部材,41a…蓋板,41b…嵌め枠,41c…第1係合部,41d…固定板部,41d1…挿通孔,41e…指標,41f…突縁部,43…断熱部材,44…中蓋(仕切り部材),45…配線ケーブル,46…封止材,O1…第1開口部,O2…第2開口部,O3…第3開口部,P…タッチパネル,S1…第1空間,S2…第2空間(内部空間),S2f…前側空間,S2r…後側空間,T1、T2、T3…両面テープ,T4…片面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図13
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