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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H01R13/42 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021000104
(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公開番号】P2022105377
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩一郎
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-040183(JP,A)
【文献】特開2005-216810(JP,A)
【文献】特開2005-317267(JP,A)
【文献】特開2005-197035(JP,A)
【文献】特開平10-092499(JP,A)
【文献】特開平08-007969(JP,A)
【文献】特開2011-070831(JP,A)
【文献】特開2009-170302(JP,A)
【文献】特開平05-290917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、
前記ハウジングに収容される端子と、
を備えるコネクタであって、
前記端子は、前記ハウジングの内部に弾性変形可能に設けられた係止ランスと係合することによって前記ハウジングから抜け止めされ、
前記係止ランスは、前記ハウジングの外部から挿入される解除治具で変形されることによって前記端子との係合が解除され、
前記ハウジングには、前記係止ランスが前記解除治具によって変形されたときに、前記係止ランスと当接し、前記係止ランスの過大な変形を規制する規制部が設けられており、
前記ハウジングには、前記相手ハウジングとの嵌合状態を保持する弾性変形可能なロックアームが設けられ、
前記ロックアームは、前記相手ハウジングと前記ハウジングとが嵌合するときに、前記係止ランス側に向けて弾性変形され、
前記係止ランスは、前記解除治具によって変形されたときに、前記ロックアーム側に向けて変形され、
前記規制部は、前記係止ランスと前記ロックアームとの間で、前記ロックアームの基端側に配置され、
前記ハウジングには、前記ハウジングの内面と、前記係止ランスと前記ロックアームとの対向面とで区画された許容空間が形成され
前記規制部は、前記ロックアームの基端側である根元部と連続する一部材で形成され、前記許容空間内に向けて突出されているコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングとしての第2ハウジングと、第2ハウジングに収容される端子としての端子ユニットとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、端子ユニットが、第2ハウジングの内部に弾性変形可能に設けられた係止ランスとしての第2ランスと係合することによって第2ハウジングから抜け止めされている。
【0004】
このようなコネクタでは、第2ランスが、第2ハウジングの外部から挿入される解除治具で変形されることによって端子ユニットとの係合が解除される。この第2ランスと端子ユニットとの係合を解除することにより、例えば、メンテナンスなどを行うときに、端子ユニットを第2ハウジングから離脱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-152215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、係止ランスが、解除治具によって変形されたときに、過大に変形されてしまう可能性がある。係止ランスに過大な変形が生じると、係止ランスが塑性変形してしまう虞がある。
【0007】
係止ランスが塑性変形してしまうと、再び、ハウジングに端子を収容したときに、係止ランスと端子との係合が、適切に行われなくなることが懸念される。
【0008】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、係止ランスと端子との係合を常に適切に行うことができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係るコネクタは、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに収容される端子と、を備え、前記端子は、前記ハウジングの内部に弾性変形可能に設けられた係止ランスと係合することによって前記ハウジングから抜け止めされ、前記係止ランスは、前記ハウジングの外部から挿入される解除治具で変形されることによって前記端子との係合が解除され、前記ハウジングには、前記係止ランスが前記解除治具によって変形されたときに、前記係止ランスと当接し、前記係止ランスの過大な変形を規制する規制部が設けられている。
【0010】
前記ハウジングには、前記相手ハウジングとの嵌合状態を保持する弾性変形可能なロックアームが設けられ、前記ロックアームは、前記相手ハウジングと前記ハウジングとが嵌合するときに、前記係止ランス側に向けて弾性変形され、前記係止ランスは、前記解除治具によって変形されたときに、前記ロックアーム側に向けて変形され、前記規制部は、前記係止ランスと前記ロックアームとの間で、前記ロックアームの基端側に配置されていることが好ましい。
【0011】
前記規制部は、前記ロックアームの基端側に一体に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、係止ランスと端子との係合を常に適切に行うことができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るコネクタの断面図である。
図2】本実施形態に係るコネクタのハウジングの断面図である。
図3】本実施形態に係るコネクタと相手コネクタとが嵌合したときの断面図である。
図4】本実施形態に係るコネクタと相手コネクタとの嵌合途中の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0015】
本実施形態に係るコネクタ1は、相手ハウジング3と嵌合可能なハウジング5と、ハウジング5に収容される端子としての端子ユニット7とを備えている。
【0016】
また、端子ユニット7は、ハウジング5の内部に弾性変形可能に設けられた係止ランス9と係合することによってハウジング5から抜け止めされている。さらに、係止ランス9は、ハウジング5の外部から挿入される解除治具11で変形されることによって端子ユニット7との係合が解除される。
【0017】
そして、ハウジング5には、係止ランス9が解除治具11によって変形されたときに、係止ランス9と当接し、係止ランス9の過大な変形を規制する規制部13が設けられている。
【0018】
また、ハウジング5には、相手ハウジング3との嵌合状態を保持する弾性変形可能なロックアーム15が設けられている。さらに、ロックアーム15は、相手ハウジング3とハウジング5とが嵌合するときに、係止ランス9側に向けて弾性変形される。また、係止ランス9は、解除治具11によって変形されたときに、ロックアーム15側に向けて変形される。そして、規制部13は、係止ランス9とロックアーム15との間で、ロックアーム15の基端側に配置されている。
【0019】
また、規制部13は、ロックアーム15の基端側と一体に設けられている。
【0020】
図3図4に示すように、コネクタ1は、相手コネクタ17と嵌合可能となっている。この相手コネクタ17は、例えば、基板(不図示)上に実装され、相手インナ端子19と、相手インナハウジング21と、相手アウタ端子23と、相手ハウジング3と、シールドシェル25とを備えている。
【0021】
相手インナ端子19は、導電性材料からなり、L字状に形成されている。この相手インナ端子19の一端側は、例えば、基板に形成された導体パターンにはんだ付けなどによって電気的に接続され、相手インナ端子19が基板に電気的に接続される。また、相手インナ端子19の他端側は、基板の平面方向であるコネクタ1と相手コネクタ17との嵌合方向に沿って棒状に延出された接続部となっている。このような相手インナ端子19は、相手インナハウジング21に収容されている。
【0022】
相手インナハウジング21は、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。この相手インナハウジング21は、相手インナ端子19が圧入などによって固定され、相手インナ端子19の一端側と他端側とが外部に露出して配置される。このような相手インナハウジング21は、相手アウタ端子23に収容され、相手インナ端子19と相手アウタ端子23との間の絶縁性を保持する。
【0023】
相手アウタ端子23は、導電性材料からなり、相手インナハウジング21を収容可能に筒状に形成されている。この相手アウタ端子23は、相手インナハウジング21を収容し、基板に形成されたグランドパターンに半田付けなどによって電気的に接続され、基板に接地される。このような相手アウタ端子23は、相手ハウジング3に収容され、相手ハウジング3内でシールド回路を形成し、ノイズなどの侵入や漏洩を防止する。
【0024】
相手ハウジング3は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、相手アウタ端子23を収容可能なように筐体状に形成されている。この相手ハウジング3には、コネクタ1のハウジング5が内部に嵌合可能なフード部27が設けられている。このフード部27のハウジング5との嵌合方向前側の開口端には、コネクタ1のロックアーム15と係合可能な被ロック部29が設けられている。このような相手ハウジング3の外周は、シールドシェル25によって覆われている。
【0025】
シールドシェル25は、導電性材料からなり、相手ハウジング3のフード部27の外周を覆うことが可能なように枠状に形成されている。このシールドシェル25は、相手ハウジング3の外周を覆い、基板に形成されたグランドパターンに半田付けなどによって電気的に接続され、基板に接地される。このようなシールドシェル25は、相手ハウジング3の外周でシールド回路を形成し、相手アウタ端子23と共に、ノイズなどの浸入や漏洩を防止する。
【0026】
このような相手コネクタ17は、相手ハウジング3のフード部27内に、基板の平面方向に沿ってコネクタ1のハウジング5が嵌合される。以下、図1図5を用いてコネクタ1について説明する。
【0027】
図1図4に示すように、コネクタ1は、同軸電線31の端末部に設けられ、端子ユニット7と、ハウジング5とを備えている。
【0028】
同軸電線31は、内部電線33と、シールド部材35と、シース37とを備えている。内部電線33は、導電性材料からなる複数の素線が撚り合わせられた芯線と、絶縁性材料からなり芯線の外周を覆う絶縁被覆とからなる。なお、芯線は、単線であってもよい。シールド部材35は、導電性材料からなる複数の素線が編み込まれて形成された編組からなり、内部電線33の外周を覆うように配置されている。なお、シールド部材35は、編組に限らず、金属箔などであってもよい。シース37は、絶縁性材料からなり、シールド部材35の外周を覆うように配置されている。なお、内部電線33とシールド部材35との間には、金属箔(不図示)が配置されている。
【0029】
このように構成された同軸電線31は、端末部において、まず、シース37を所定長さ剥がす。次に、露出されたシールド部材35の外周に、環状の金属スリーブ39を圧着させる。次に、金属スリーブ39の外周を覆うように、シールド部材35を折り返す。次に、露出した金属箔(不図示)を所定長さ切除した後に、露出された内部電線33の絶縁被覆を所定長さ剥がし、内部電線33の芯線を露出させる。
【0030】
そして、端末処理が施された同軸電線31には、内部電線33の露出する芯線に端子ユニット7のインナ端子41が電気的に接続され、露出するシールド部材35に端子ユニット7のアウタ端子45が電気的に接続される。
【0031】
端子ユニット7は、インナ端子41と、インナハウジング43と、アウタ端子45とを備えている。
【0032】
インナ端子41は、導電性材料からなり、相手インナ端子19のタブ状の接続部が挿入可能な箱状の接続部を有する雌型端子からなる。このインナ端子41は、内部電線33の芯線に対して一対の加締め片からなる圧着部を圧着させることにより、内部電線33と電気的に接続される。このようなインナ端子41は、インナハウジング43に収容され、コネクタ1と相手コネクタ17とが嵌合することにより、相手インナ端子19と電気的に接続される。
【0033】
インナハウジング43は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、インナ端子41を収容可能なように筒状に形成されている。このインナハウジング43は、アウタ端子45に収容され、インナ端子41とアウタ端子45との間の絶縁性を保持する。
【0034】
アウタ端子45は、導電性材料からなり、インナハウジング43を収容可能に筒状に形成されている。このアウタ端子45には、一対の加締め片からなるシールド圧着部47が設けられている。このシールド圧着部47は、同軸電線31のシールド部材35に加締められることにより、アウタ端子45とシールド部材35とが電気的に接続される。また、アウタ端子45には、一対の加締め片からなるシース圧着部49が設けられている。このシース圧着部49は、同軸電線31のシース37に加締められることにより、アウタ端子45が同軸電線31に固定される。このようなアウタ端子45は、コネクタ1と相手コネクタ17とが嵌合することにより、相手アウタ端子23と接触し、相手アウタ端子23と電気的に接続されてシールド回路を形成する。このシールド回路の形成により、相手インナ端子19及びインナ端子41に対するノイズなどの浸入や漏洩を防止する。
【0035】
このような端子ユニット7は、同軸電線31の端末部に組付けられた状態で、ハウジング5に収容される。この端子ユニット7のアウタ端子45の外周には、ハウジング5の係止ランス9にハウジング5からの離脱方向に係合可能な被係合部51が設けられている。この被係合部51と係止ランス9との係合により、ハウジング5からの端子ユニット7の抜け止めがなされ、ハウジング5から同軸電線31が引き出された状態となる。
【0036】
ハウジング5は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、相手コネクタ17の相手ハウジング3のフード部27内に嵌合可能な形状に形成されている。このハウジング5の内部には、端子ユニット7を収容可能な収容室53が設けられている。この収容室53を構成する上壁には、ハウジング5の高さ方向に弾性変形可能な係止ランス9が連続する一部材で形成されている。
【0037】
係止ランス9は、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合方向後側を基端とし、嵌合方向前側を自由端とするように、弾性変形可能に嵌合方向に沿って延出されている。この係止ランス9の自由端側には、収容室53の内部に向けて突出する係合部55が設けられている。この係合部55は、収容室53に端子ユニット7が正規の位置に配置された状態で、端子ユニット7の被係合部51と当接可能に配置され、ハウジング5からの端子ユニット7の抜け止めを行う。
【0038】
このような係止ランス9は、収容室53の挿入開口57から端子ユニット7が挿入されると、係合部55が端子ユニット7のアウタ端子45の外周面と摺動する。この摺動により、係止ランス9は、上方に向けて弾性変形する。端子ユニット7が収容室53の正規の位置に配置されると、係止ランス9は、下方に向けて復元し、係合部55が被係合部51と離脱方向に対向して配置される。この係合部55と被係合部51との配置により、例えば、同軸電線31に引っ張り力が加わったときに、端子ユニット7が挿入開口57から抜け出ることを防止することができる。
【0039】
一方、例えば、メンテナンスなどによって、収容室53から端子ユニット7を離脱させる場合には、嵌合方向前側に設けられ、収容室53と連通された治具挿入開口59から解除治具11を挿入する。この解除治具11は、先端が係止ランス9の自由端側と当接することにより、係止ランス9を上方に向けて弾性変形させる。この係止ランス9の弾性変形により、係合部55と被係合部51との係合が解除され、端子ユニット7を挿入開口57から離脱させることができる。
【0040】
ここで、ハウジング5には、収容室53と連通された取付部61にサイドスペーサ63が組付けられる。このサイドスペーサ63は、取付部61に仮係止位置で組付けられた状態で、収容室53に対する端子ユニット7の収容と離脱を許容する。一方、サイドスペーサ63は、取付部61に本係止位置で組付けられた状態で、端子ユニット7と収容室53からの離脱方向に対向して配置され、係止ランス9と共に二重で抜け止めを行う。このようなサイドスペーサ63が組付けられるハウジング5には、ハウジング5の高さ方向に弾性変形可能なロックアーム15が連続する一部材で形成されている。
【0041】
ロックアーム15は、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合方向前側を基端とし、嵌合方向後側を自由端とするように、弾性変形可能に嵌合方向に沿って延出されている。このロックアーム15の外面には、上方に向けて突出するロック部65が設けられている。このロック部65は、ハウジング5が相手ハウジング3のフード部27内の正規の位置に嵌合された状態で、被ロック部29と離脱方向に対向して配置される。このロック部65と被ロック部29との配置により、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合状態が保持される。
【0042】
このようなロックアーム15は、ハウジング5が相手ハウジング3のフード部27内に挿入されると、ロック部65が被ロック部29と摺動する。この摺動により、ロックアーム15は、係止ランス9側である下方に向けて弾性変形する。コネクタ1と相手コネクタ17とが正規に嵌合すると、ロックアーム15は、上方に向けて復元し、ロック部65が被ロック部29と離脱方向に対向して配置される。このロック部65と被ロック部29との配置により、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合状態が保持される。
【0043】
一方、例えば、メンテナンスなどによって、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合を解除させる場合には、ロックアーム15の自由端に設けられた操作部67を下方に向けて押圧し、ロックアーム15を下方に向けて弾性変形させる。このロックアーム15の弾性変形により、ロック部65と被ロック部29との係合が解除され、ハウジング5をフード部27内から離脱させることができる。
【0044】
このようなハウジング5には、ハウジング5の内面と、係止ランス9とロックアーム15との対向面とで区画された許容空間69が形成されている。この許容空間69は、係止ランス9のロックアーム15側である上方に向けた弾性変形と、ロックアーム15の係止ランス9側である下方に向けた弾性変形とを許容する空間となっている。
【0045】
ここで、係止ランス9の弾性変形と、ロックアーム15の弾性変形とは、端子ユニット7の保持と、コネクタ1と相手コネクタ17との嵌合状態との保持とを行うものであり、同時に行われることがない。このため、許容空間69は、少なくとも係止ランス9の上方に向けた弾性変形の範囲と、ロックアーム15の下方に向けた弾性変形の範囲とが、ハウジング5の高さ方向で重なり合うように設定されている。このように許容空間69を設定することにより、ハウジング5を高さ方向に小型化することができる。
【0046】
このようなコネクタ1において、端子ユニット7をハウジング5から離脱させるとき、係止ランス9は、治具挿入開口59から挿入される解除治具11によって、上方に向けて弾性変形される。このとき、係止ランス9が過大に変形されると、係止ランス9が塑性変形して、係止ランス9が下方に向けて正規の位置に復元しない可能性がある。このため、例えば、メンテナンスなどを終えて、再び、端子ユニット7をハウジング5に収容したときに、係止ランス9の係合部55が、端子ユニット7の被係合部51と正常に係合できない可能性がある。
【0047】
そこで、ハウジング5には、係止ランス9の過大な変形を規制する規制部13が設けられている。この規制部13は、ロックアーム15の基端側である根元部71と連続する一部材で形成され、許容空間69内に向けて突出され、係止ランス9とロックアーム15との間に配置されている。このような規制部13は、解除治具11によって係止ランス9が上方に向けて過大に変形されようとしたときに、係止ランス9の自由端と当接する。
【0048】
この規制部13と係止ランス9との当接により、係止ランス9の上方に向けた過大な変形が規制され、係止ランス9に塑性変形が生じることを防止することができる。このため、解除治具11との係合を解除したときに、係止ランス9を正常に復元させることができる。従って、再び、ハウジング5に端子ユニット7を収容したときに、係止ランス9の係合部55と端子ユニット7の被係合部51とを適切に係合させることができ、端子ユニット7を常に安定してハウジング5に保持することができる。
【0049】
このようなコネクタ1では、ハウジング5に、係止ランス9が解除治具11によって変形されたときに、係止ランス9と当接し、係止ランス9の過大な変形を規制する規制部13が設けられている。このため、係止ランス9に過大な変形による塑性変形が生じることがない。
【0050】
従って、このようなコネクタ1では、解除治具11による係止ランス9の塑性変形を防止することができ、係止ランス9と端子ユニット7との係合を常に適切に行うことができる。
【0051】
また、ハウジング5には、相手ハウジング3との嵌合状態を保持する弾性変形可能なロックアーム15が設けられている。さらに、ロックアーム15は、相手ハウジング3とハウジング5とが嵌合するときに、係止ランス9側に向けて弾性変形される。また、係止ランス9は、解除治具11によって変形されたときに、ロックアーム15側に向けて変形される。そして、規制部13は、係止ランス9とロックアーム15との間で、ロックアーム15の基端側に配置されている。
【0052】
このため、係止ランス9とロックアーム15とが互いに近接する方向に弾性変形されるので、ハウジング5における係止ランス9とロックアーム15との弾性変形を許容する空間を共用でき、ハウジング5を小型化することができる。また、規制部13は、係止ランス9とロックアーム15との間で、ロックアーム15の基端側に配置されているので、規制部13がロックアーム15の弾性変形を阻害することがない。
【0053】
また、規制部13は、ロックアーム15の基端側と一体に設けられている。このため、規制部13の剛性を高めることができ、規制部13によって、係止ランス9の過大な変形を安定して規制することができる。
【0054】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0055】
例えば、本実施形態においては、端子が、同軸電線に電気的に接続される端子ユニットとなっているが、これに限るものではない。端子は、被覆電線のような通常の電線に電気的に接続されるものであってもよく、ハウジングに収容されるものであれば、端子はどのような形態であってもよい。
【0056】
また、規制部は、ロックアームの基端側と一体に設けられているが、これに限らず、規制部をロックアームの基端側と別体に設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ
3 相手ハウジング
5 ハウジング
7 端子ユニット(端子)
9 係止ランス
11 解除治具
13 規制部
15 ロックアーム
図1
図2
図3
図4