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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/02 20060101AFI20241119BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
G02B13/02
G02B13/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021009317
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113238
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100213285
【弁理士】
【氏名又は名称】古畑 依里
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 健一
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-64823(JP,A)
【文献】特開平1-90409(JP,A)
【文献】特開平5-2132(JP,A)
【文献】特開平1-167716(JP,A)
【文献】特開平4-78805(JP,A)
【文献】特開2008-64884(JP,A)
【文献】特開2008-275783(JP,A)
【文献】特開平7-35973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267271(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111123487(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に配置された、
正の屈折力を有する第1レンズと、
第2レンズと、
第3レンズと、
第4レンズとから構成され、
前記第1レンズは、近軸において物体側が凸面であり、
前記第3レンズは、近軸において像側が凹面であり、
以下の条件式(1)、(2)、(3)、および(4)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1)13<νd4<34
(2)0.3<νd3/νd4<2.0
(3)0.25<|r2/r3|<0.85
(4)0.85<|f4|/f<3.85
ただし、
νd4:第4レンズのd線に対するアッべ数
νd3:第3レンズのd線に対するアッべ数
r2:第1レンズの像側の面の近軸曲率半径
r3:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径
f4:第4レンズの焦点距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(5)0.15<|r2|/f<0.55
ただし、
r2:第1レンズの像側の面の近軸曲率半径
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(6)0.2<|r3|/f<1.2
ただし、
r3:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(8)9<(D3/|f3|)×100<43
ただし、
D3:第3レンズの光軸上の厚み
f3:第3レンズの焦点距離
【請求項5】
以下の条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(9)0.1<|f2|/f<0.7
ただし、
f2:第2レンズの焦点距離
f:撮像レンズ全系の焦点距離
【請求項6】
前記第1レンズは、近軸において両凸形状であり、
前記第2レンズは、近軸において両凹形状で負の屈折力を有し、
前記第3レンズは、近軸において像側が凹面のメニスカス形状で正の屈折力を有し、
前記第4レンズは、近軸において像側が凸面のメニスカス形状で負の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
前記第1レンズは、近軸において物体側が凸面のメニスカス形状であり、
前記第2レンズは、近軸において両凸形状で正の屈折力を有し、
前記第3レンズは、近軸において両凹形状で負の屈折力を有し、
前記第4レンズは、近軸において像側が凹面のメニスカス形状で正の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家電製品や情報端末機器、自動車等、様々な製品にカメラ機能が搭載されるようになった。今後も、カメラ機能を融合させた様々な商品開発が進んでいくものと考えられる。
【0003】
このような機器に搭載される撮像レンズは、小型でありながらも高い解像性能が求められる。
【0004】
従来の高性能化を目指した撮像レンズとしては、例えば、以下の特許文献1のような撮像レンズが知られている。
【0005】
特許文献1には、物体側から順に、凸面を物体側に向けた正メニスカスの第1レンズと、両凹面の第2レンズと、絞り、両凸面の第3レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズから構成され、画像読取レンズ全系の厚さ、第3レンズと第4レンズの光軸上の間隔と画像読取レンズ全系の厚さの関係が、一定の条件を満たすよう構成された撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-275783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のレンズ構成で、低Fナンバー化を図ろうとした場合、周辺部における収差補正が非常に困難であり、良好な光学性能を得ることはできない。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、低Fナンバー化の要求をバランスよく満足しながらも、諸収差が良好に補正された高い解像力を備える撮像レンズを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明において使用する用語に関し、レンズの面の凸面、凹面、平面とは近軸における形状を指すものと定義する。屈折力とは、近軸における屈折力を指すものと定義する。極点とは接平面が光軸と垂直に交わる光軸上以外における非球面上の点として定義する。光学全長とは、最も物体側に位置する光学素子の物体側の面から撮像面までの光軸上の距離として定義する。なお、光学全長やバックフォーカスは、撮像レンズと撮像面の間に配置されるIRカットフィルタやカバーガラス等の厚みを空気換算して得られる距離とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、第4レンズとから構成され、前記第1レンズは、近軸において物体側が凸面であり、前記第3レンズは、近軸において像側が凹面で構成される。
【0011】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの正の屈折力で低背化を図る。また、近軸において物体側を凸面とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を抑制する。また、第3レンズの像側の面を近軸において凹面とすることで、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0012】
上記構成の撮像レンズにおいて、それぞれのレンズの屈折力は、物体側から順に、第1レンズを正、第2レンズを負、第3レンズを正、第4レンズを負、に配列した第1の構成を含む。
【0013】
また、上記構成の撮像レンズにおいて、それぞれのレンズの屈折力は、物体側から順に、第1レンズを正、第2レンズを正、第3レンズを負、第4レンズを正、に配列した第2の構成を含む。
【0014】
上記第1の構成において、第1レンズは近軸で両凸形状とすることが望ましい。第1レンズを近軸で両凸形状とすることで、両面の正の屈折力により、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を抑制する。
【0015】
上記第1の構成において、第2レンズは近軸で両凹形状とすることが望ましい。第2レンズを近軸において両凹形状とすることで、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0016】
上記第1の構成において、第3レンズは近軸において像側が凹面のメニスカス形状とすることが望ましい。第3レンズを近軸において像側が凹面のメニスカス形状とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0017】
上記第1の構成において、第4レンズは近軸において像側が凸面のメニスカス形状とすることが望ましい。第4レンズを近軸において像側が凸面のメニスカス形状とすることで、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0018】
すなわち、屈折力の配列を物体側から順に正、負、正、負とする第1の構成においては、それぞれのレンズの形状は、それぞれ近軸において物体側から順に、両凸形状、両凹形状、像側が凹面のメニスカス形状、像側が凸面のメニスカス形状で構成するのが望ましい。
【0019】
上記第2の構成において、第1レンズは近軸で物体側が凸面のメニスカス形状とすることが望ましい。第1レンズを近軸で物体側が凸面のメニスカス形状とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を抑制する。また、近軸において像側が凹面の形状とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差のより良好な補正が可能になる。
【0020】
上記第2の構成において、第2レンズは近軸で両凸形状とすることが望ましい。第2レンズを近軸で両凸形状とすることで、両面の正の屈折力により、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0021】
上記第2の構成において、第3レンズは近軸で両凹形状とすることが望ましい。第3レンズを近軸において両凹形状とすることで、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0022】
上記第2の構成において、第4レンズは像側が凹面のメニスカス形状とすることが望ましい。第4レンズを近軸において像側が凹面のメニスカス形状とすることで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正する。
【0023】
すなわち、屈折力の配列を物体側から順に正、正、負、正とする第2の構成においては、それぞれのレンズの形状は、それぞれ近軸において物体側から順に、物体側が凸面のメニスカス形状、両凸形状、両凹形状、像側が凹面のメニスカス形状で構成するのが望ましい。
【0024】
なお、上記第1の構成、および第2の構成における各レンズ面は非球面で形成することが望ましい。各レンズ面に適切な非球面を形成することで、諸収差をより良好に補正する。
【0025】
本発明の撮像レンズは、上述した構成を採ることにより、Fナンバーが、4.0以下を実現する。
【0026】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)13<νd4<34
ただし、νd4は第4レンズのd線に対するアッべ数である。
【0027】
条件式(1)の範囲を満足することで、色収差の良好な補正が可能になる。
【0028】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)0.3<νd3/νd4<2.0
ただし、νd3は第3レンズのd線に対するアッべ数、νd4は第4レンズのd線に対するアッべ数である。
【0029】
条件式(2)の範囲を満足することで、色収差の良好な補正が可能になる。
【0030】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)0.25<|r2/r3|<0.85
ただし、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径である。
【0031】
条件式(3)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0032】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)0.85<|f4|/f<3.85
ただし、f4は第4レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0033】
条件式(4)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0034】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.15<|r2|/f<0.55
ただし、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0035】
条件式(5)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0036】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)0.2<|r3|/f<1.2
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0037】
条件式(6)の範囲を満足することで、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0038】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)0.5<r6/|f3|<6.0
ただし、r6は第3レンズの像側の面の近軸曲率半径、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0039】
条件式(7)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0040】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)9<(D3/|f3|)×100<43
ただし、D3は第3レンズの光軸上の厚み、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0041】
条件式(8)の範囲を満足することで、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0042】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)0.1<|f2|/f<0.7
ただし、f2は第2レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0043】
条件式(9)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0044】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)0.1<|f3|/f<0.8
ただし、f3は第3レンズの焦点距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0045】
条件式(10)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0046】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)13<νd3<34
ただし、νd3は第3レンズのd線に対するアッべ数である。
【0047】
条件式(11)の範囲を満足することで、色収差の良好な補正が可能になる。
【0048】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)0.1<r1/f<0.4
ただし、r1は第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0049】
条件式(12)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0050】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)0.3<r1/|r2|<1.5
ただし、r1は第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0051】
条件式(13)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0052】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
(14)0.2<|r2/r8|<1.8
ただし、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、r8は第4レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0053】
条件式(14)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0054】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
(15)0.05<|r2/f1|<2.00
ただし、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、f1は第1レンズの焦点距離である。
【0055】
条件式(15)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0056】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
(16)0.65<|r3/r7|<3.70
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径である。
【0057】
条件式(16)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0058】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(17)を満足することが望ましい。
(17)0.25<|r5|/f<0.80
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0059】
条件式(17)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0060】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(18)を満足することが望ましい。
(18)0.5<|r5|/T3<9.0
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0061】
条件式(18)の範囲を満足することで、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0062】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(19)を満足することが望ましい。
(19)0.05<|r5|/r6<1.60
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r6は第3レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0063】
条件式(19)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0064】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(20)を満足することが望ましい。
(20)0.2<|r5/f3|<2.0
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0065】
条件式(20)の範囲を満足することで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0066】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(21)を満足することが望ましい。
(21)0.2<r6/f<3.0
ただし、r6は第3レンズの像側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0067】
条件式(21)の範囲を満足することで、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0068】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(22)を満足することが望ましい。
(22)0.1<|r7|/f<0.8
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0069】
条件式(22)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0070】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(23)を満足することが望ましい。
(23)0.2<|r7|/(T3+bf)<1.7
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離、bfはバックフォーカスである。
【0071】
条件式(23)の範囲を満足することで、低背化を図るとともに、コマ収差、非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0072】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(24)を満足することが望ましい。
(24)0.1<|r7/r8|<1.6
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r8は第4レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0073】
条件式(24)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0074】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(25)を満足することが望ましい。
(25)6<(D2/|f2|)×100<61
ただし、D2は第2レンズの光軸上の厚み、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0075】
条件式(25)の範囲を満足することで、低背化を図るとともに、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0076】
また、上記構成の撮像レンズにおいては、以下の条件式(26)を満足することが望ましい。
(26)0.05<|f2/f4|<0.75
ただし、f2は第2レンズの焦点距離、f4は第4レンズの焦点距離である。
【0077】
条件式(26)の範囲を満足することで、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0078】
本発明により、諸収差が良好に補正された解像力の高い撮像レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の第1実施形態である実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態である実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態である実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態である実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態である実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態である実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態である実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態である実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態である実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態である実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態である実施例6の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図12】本発明の第2実施形態である実施例6の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0081】
図1は、本発明の第1実施形態の実施例1に係る撮像レンズの概略構成図を示している。図3図5図7図9、および図11はそれぞれ、本発明の第2実施形態の実施例2から6に係る撮像レンズの概略構成図を示している。
【0082】
概略構成図に示すように、本発明による撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に配置された、正の屈折力を有する第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4とから構成され、前記第1レンズL1は、近軸において物体側が凸面であり、前記第3レンズL3は、近軸において像側が凹面で構成される。
【0083】
また、第4レンズL4と撮像面IMG(すなわち、撮像素子の撮像面)の間には赤外線カットフィルタやカバーガラス等のフィルタIRが配置されている。なお、このフィルタIRは省略することが可能である。
【0084】
開口絞りSTは、第1レンズL1の物体側に配置しているため、諸収差の補正を容易にするとともに、高像高の光線が撮像素子に入射する際の角度の制御を容易にしている。
【0085】
[第1実施形態]
以下に図1を参照して、本発明の第1実施例形態を詳細に説明する。
【0086】
第1レンズL1は正の屈折力を有し、近軸で両凸形状である。そのため、両面の正の屈折力により、低背化を図るとともに、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を抑制している。
【0087】
第2レンズL2は負の屈折力を有し、近軸で両凹形状である。そのため、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0088】
第3レンズL3は正の屈折力を有し、近軸で像側が凹面のメニスカス形状である。そのため、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0089】
第4レンズL4は負の屈折力を有し、近軸で像側が凸面のメニスカス形状である。そのため、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0090】
[第2実施形態]
以下に図3を参照して、本発明の第2実施例形態を詳細に説明する。
【0091】
第1レンズL1は正の屈折力を有し、物体側が凸面のメニスカス形状である。そのため、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を抑制している。また、近軸において像側が凹面の形状とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差のより良好な補正が可能になる。
【0092】
第2レンズL2は正の屈折力を有し、近軸で両凸形状である。そのため、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0093】
第3レンズL3は負の屈折力を有し、近軸で両凹形状である。そのため、色収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0094】
第4レンズL4は正の屈折力を有し、近軸で像側が凹面のメニスカス形状である。そのため、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差を良好に補正している。
【0095】
本実施の形態に係る撮像レンズは、第1レンズL1から第4レンズL4のすべてが、それぞれ単レンズで構成されていることが好ましい。単レンズのみの構成は、非球面を多用することができる。本実施形態においては、すべてのレンズ面に適切な非球面を形成することで、良好な諸収差の補正が行われている。また、接合レンズを採用する場合に比較して工数を削減できるため、低コストで製作することが可能となる。
【0096】
また、本実施の形態に係る撮像レンズは、すべてのレンズ面を非球面で形成することが望ましいが、要求される性能によっては、製造が容易な球面を採用してもよい。
【0097】
本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1)から(26)を満足することにより、好ましい効果を奏するものである。
(1)13<νd4<34
(2)0.3<νd3/νd4<2.0
(3)0.25<|r2/r3|<0.85
(4)0.85<|f4|/f<3.85
(5)0.15<|r2|/f<0.55
(6)0.2<|r3|/f<1.2
(7)0.5<r6/|f3|<6.0
(8)9<(D3/|f3|)×100<43
(9)0.1<|f2|/f<0.7
(10)0.1<|f3|/f<0.8
(11)13<νd3<34
(12)0.1<r1/f<0.4
(13)0.3<r1/|r2|<1.5
(14)0.2<|r2/r8|<1.8
(15)0.05<|r2/f1|<2.00
(16)0.65<|r3/r7|<3.70
(17)0.25<|r5|/f<0.80
(18)0.5<|r5|/T3<9.0
(19)0.05<|r5|/r6<1.60
(20)0.2<|r5/f3|<2.0
(21)0.2<r6/f<3.0
(22)0.1<|r7|/f<0.8
(23)0.2<|r7|/(T3+bf)<1.7
(24)0.1<|r7/r8|<1.6
(25)6<(D2/|f2|)×100<61
(26)0.05<|f2/f4|<0.75
ただし、
νd3:第3レンズL3のd線に対するアッべ数
νd4:第4レンズL4のd線に対するアッべ数
D2:第2レンズL2の光軸X上の厚み
D3:第3レンズL3の光軸X上の厚み
T3:第3レンズL3の像側の面から第5レンズL5の物体側の面までの光軸X上の距離
bf:バックフォーカス
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
r1:第1レンズL1の物体側の面の近軸曲率半径
r2:第1レンズL1の像側の面の近軸曲率半径
r3:第2レンズL2の物体側の面の近軸曲率半径
r5:第3レンズL3の物体側の面の近軸曲率半径
r6:第3レンズL3の像側の面の近軸曲率半径
r7:第4レンズL4の物体側の面の近軸曲率半径
r8:第4レンズL4の像側の面の近軸曲率半径
なお、上記の各条件式をすべて満足する必要はなく、それぞれの条件式を単独に満たすことで、各条件式に対応した作用効果を得ることができる。
【0098】
また、本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1a)から(26a)を満足することにより、より好ましい効果を奏するものである。
(1a)16<νd4<29
(2a)0.6<νd3/νd4<1.7
(3a)0.4<|r2/r3|<0.8
(4a)1.0<|f4|/f<3.4
(5a)0.25<|r2|/f<0.45
(6a)0.3<|r3|/f<0.9
(7a)0.9<r6/|f3|<4.9
(8a)14<(D3/|f3|)×100<36
(9a)0.15<|f2|/f<0.60
(10a)0.2<|f3|/f<0.6
(11a)16<νd3<29
(12a)0.2<r1/f<0.3
(13a)0.45<r1/|r2|<1.1
(14a)0.25<|r2/r8|<1.50
(15a)0.15<|r2/f1|<1.60
(16a)1<|r3/r7|<3
(17a)0.27<|r5|/f<0.65
(18a)1.7<|r5|/T3<7.5
(19a)0.10<|r5|/r6<1.35
(20a)0.4<|r5/f3|<1.6
(21a)0.3<r6/f<2.4
(22a)0.2<|r7|/f<0.6
(23a)0.4<|r7|/(T3+bf)<1.3
(24a)0.2<|r7/r8|<1.3
(25a)9<(D2/|f2|)×100<50
(26a)0.1<|f2/f4|<0.6
ただし、各条件式の符号は前の段落での説明と同様である。なお、条件式(1a)から(26a)それぞれの下限値のみ、または上限値のみを、それぞれが対応する条件式(1)から(26)へ適用させてもよい。
【0099】
本実施形態において、レンズ面の非球面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、近軸曲率半径をR、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20としたとき数式1により表わされる。
【0100】
【数1】
【0101】
次に、本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TTLは光学全長をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは近軸曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【0102】
(実施例1)
【0103】
基本的なレンズデータを以下の表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0106】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面Sにおけるd線の収差量(実線)、タンジェンシャル像面Tにおけるd線の収差量(破線)をそれぞれ示している(図4図6図8図10、および図12においても同じ)。図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0107】
(実施例2)
【0108】
基本的なレンズデータを以下の表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】
実施例2の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0111】
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0112】
(実施例3)
【0113】
基本的なレンズデータを以下の表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
実施例3の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0116】
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0117】
(実施例4)
【0118】
基本的なレンズデータを以下の表4に示す。
【0119】
【表4】
【0120】
実施例4の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0121】
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0122】
(実施例5)
【0123】
基本的なレンズデータを以下の表5に示す。
【0124】
【表5】
【0125】
実施例5の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0126】
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0127】
(実施例6)
【0128】
基本的なレンズデータを以下の表6に示す。
【0129】
【表6】
【0130】
実施例6の撮像レンズは、Fナンバー3.80を実現している。また、表7に示すように条件式(1)から(26)を満たしている。
【0131】
図12は実施例6の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図12に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0132】
表7に実施例1から実施例6に係る条件式(1)から(26)の値を示す。
【0133】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明に係る撮像レンズを、カメラ機能を備える製品へ適用した場合、当該カメラの低Fナンバー化への寄与とともに、高性能化を図ることができる。
【符号の説明】
【0135】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
IR フィルタ
IMG 撮像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12