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特許7590195包装用容器、包装用容器の使用方法、包装用容器の開封方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】包装用容器、包装用容器の使用方法、包装用容器の開封方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20241119BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B65D77/20 C
B65D43/04 200
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021010378
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114194
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】甲地 歩
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08807385(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0103990(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0072217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0241456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0215517(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0141731(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0079568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028033(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0056976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容部を有する容器本体と、
収容部を覆うカバー部の外方に向かうツマミ片を有する蓋体とを備え、
容器本体は、閉蓋時にツマミ片と重なるように収容部の外方に向かう重畳片を有し、
重畳片は、収容部に通じる基端片と、基端片と連続している折り返し片と、基端片と折り返し片との間に位置するヒンジと、ヒンジを挟んで基端片及び折り返し片にそれぞれ形成される一対の固着部と、折り返し片側の固着部を囲うように形成された破断部とを有し、
ツマミ片は、基端片と折り返し片とに挟まれ、
固着部は、蓋体と固着しない
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
蓋体は、OPS製である
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
蓋体は、ツマミ片を含む蓋体外端部を有し、
容器本体は、収容部より外側に形成されて閉蓋時にツマミ片を除いて蓋体外端部と対向する本体外壁部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
蓋体外端部は、カバー部より外方に位置する蓋体嵌合部から連続して外方に向かい、
本体外壁部は、収容部より上方に位置する本体嵌合部から連続して上方に向かう
ことを特徴とする請求項3に記載の包装用容器。
【請求項5】
破断部は、折り返し片側の固着部を囲ってヒンジに至る
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項6】
ツマミ片は、2つの舌片からなり、
基端片側の固着部は、閉蓋時に双方の間に位置するように形成される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項7】
一対の固着部は、固着時に下方に向かって突出する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項8】
折り返し片は、ヒンジと対向する位置に折り返し先端片を有し、
カバー部は、折り返し時に折り返し先端片を収めるカバー凹部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の包装用容器の使用方法であって、
容器本体の収容部に収容物を収容する工程と、
収容物の入った容器本体に対して、蓋体のツマミ片を容器本体の基端片に配置して、嵌合する工程と、
容器本体の折り返し片を折り返し、ツマミ片を折り返し片で覆い、ツマミ片の端部を隠す工程と、
固着部同士を固着する工程とを含む
ことを特徴とする包装用容器の使用方法。
【請求項10】
請求項9に記載の包装用容器の使用方法でパッキングされた収容物の入った包装用容器の開封方法であって、
少なくとも折り返し片から固着部を離脱する工程と、
折り返し片を基端片から離し、ツマミ片を露出する工程とを含む
ことを特徴とする包装用容器の開封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に装着された蓋体の不正開封の予防構造を備えた包装用容器、包装用容器の使用方法、及び包装用容器の開封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される生鮮品や惣菜といった食品向けの熱可塑性樹脂製の包装用容器は、内容物を収容する容器本体と、容器本体に装着されて開口を閉じる蓋体とを備える。
【0003】
近年、スーパーマーケット等の小売店の店外の工場などで食品を容器で包装して、小売店へ運搬し、小売店にて販売するアウトパックやデリバリーの普及により、パッキング後に最終消費者の手にわたるまでに、例えば、配達員といった不特定多数が介在する場面が多くなる傾向がある。こうした状況において、商品の鮮度や食味などの品質のほかに、最終消費者にとってパッキング後に開封されていないことが目視できる状況が求められている。
【0004】
こうした状況のなか従来の容器では蓋体の不正な開封や改ざんを予防するには至らず、商品の安全性を確保し切れていなかったことから、容器本体から蓋体が開封された痕跡を残せる包装用容器の構造が検討されてきた。
【0005】
例えば特許文献1及び2には、容器本体に第一突出部、蓋体に第二突出部がそれぞれ設けられ、第一突出部に第一凹状部及びこれを囲む切取ミシン線、第二突出部に第二凹状部がそれぞれ形成されており、閉蓋時に第一凹状部と第二凹状部とが嵌り合い、開蓋時に切取ミシン線が切断されて第一突出部から第一凹部が切り離なされない限り、容器本体から蓋体を取り外せないことから、開封の有無を容易に識別できる包装用容器の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3201039号公報
【文献】実用新案登録第3201142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2では、蓋体側の第二突出部が露出しているため、切取ミシン線が切断されないよう、第二突出部を介して蓋体を不正に開封されるおそれがあるばかりでなく、上述した構造の有無を一見して把握しにくいことから、不正な開封の抑止効果を期待しにくく、悪意が優先すると蓋体が開封されてしまうことから、商品の安全性を確保していると言い切れない。
【0008】
すなわち、商品の安全性を確保するには、蓋体の開封の有無の識別では足りず、不正な開封の抑止が必要であり、そのためには蓋体の開封の切っ掛けとなる部分が少なくとも接触されにくく、望ましくは外部に露出しておらず、一方で、ユーザフレンドリーの観点から、正当な需要者が迷わずかつ容易に蓋体を開封しやすければ、商品の価値向上に起因することに、発明者は創意工夫の末に辿り着いた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、蓋体の不正な開封の抑止効果を期待でき、これについて誰もが理解した上で、容器本体に対して容易に蓋体を装着又は取り外しできる包装用容器を提供すると共に、こういった包装用容器の使用方法及び開封方法を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明における包装用容器は、内容物を収容する収容部を有する容器本体と、収容部を覆うカバー部の外方に向かうツマミ片を有する蓋体とを備え、容器本体は、閉蓋時にツマミ片と重なるように収容部の外方に向かう重畳片を有し、重畳片は、収容部に通じる基端片と、基端片と連続している折り返し片と、基端片と折り返し片との間に位置するヒンジと、ヒンジを挟んで基端片及び折り返し片にそれぞれ形成される一対の固着部と、折り返し片側の固着部を囲うように形成された破断部とを有し、ツマミ片は、基端片と折り返し片とに挟まれ、固着部は、蓋体と固着しないことを特徴とする。
【0011】
蓋体は、OPS製であることが望ましい。
【0012】
蓋体は、ツマミ片を含む蓋体外端部を有し、容器本体は、収容部より外側に形成されて閉蓋時にツマミ片を除いて蓋体外端部と対向する本体外壁部を有することが望ましい。
【0013】
蓋体外端部は、カバー部より外方に位置する蓋体嵌合部から連続して外方に向かい、本体外壁部は、収容部より上方に位置する本体嵌合部から連続して上方に向かうことが望ましい。
【0014】
破断部は、折り返し片側の固着部を囲ってヒンジに至ることが望ましい。
【0015】
ツマミ片は、2つの舌片からなり、基端片側の固着部は、閉蓋時に双方の間に位置するように形成されることが望ましい。
【0016】
一対の固着部は、固着時に下方に向かって突出することが望ましい。
【0017】
折り返し片は、ヒンジと対向する位置に折り返し先端片を有し、カバー部は、折り返し時に折り返し先端片を収めるカバー凹部を有することが望ましい。
【0018】
本発明における包装用容器の使用方法は、容器本体の収容部に内容物を収容する工程と、内容物の入った容器本体に対して、蓋体のツマミ片を容器本体の基端片に配置して、嵌合する工程と、容器本体の折り返し片を折り返し、ツマミ片を折り返し片で覆い、ツマミ片の端部を隠す工程と、固着部同士を固着する工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明における包装用容器の使用方法でパッキングされた内容物の入った包装用容器の開封方法は、少なくとも折り返し片から固着部を離脱する工程と、折り返し片を基端片から離し、ツマミ片を露出される工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蓋体の不正な開封の抑止効果を期待でき、これについて誰もが理解した上で、容器本体に対して蓋体を容易に装着又は取り外しできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の(a)平面斜視図、(b)底面斜視図である。
図2】上記包装用容器の(a)平面図、(b)(a)のX-X部分における部分拡大端面図である。
図3】上記包装用容器における閉蓋時及び開蓋時の状態遷移図である。
図4】本発明の一実施形態における別の包装用容器の部分拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図2を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器(以下「本包装用容器」ともいう。)の構造について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きで包装用容器を設置した状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。
【0023】
<本包装用容器の概要>
本包装用容器は、スーパーマーケット等の小売店内で販売される生鮮食品・惣菜・弁当といった内容物を包装するものであり、内容物を収容する容器本体1と、容器本体1の開口を閉じる蓋体2とを備えている。本包装用容器は、小売店内の陳列棚に載置できる程度の大きさであり、好ましくは内容物を包装した状態で2つ以上積み重ねやすい形状であり、かつ強度や剛性を有する。
【0024】
<容器本体1の概要>
図1に示すように、容器本体1は、内容物を収容する収容部1aを有する。詳細には、容器本体1は、内容物を載置する底面部11と、底面部11の周端縁から上方向に連続して立ち上がる本体側壁部12とで形成される収容部1aと、蓋体2との内嵌合用として本体側壁部12の上端縁から上方向に連続して立ち上がる本体嵌合部13と、本体嵌合部13の上端縁から上方向に連続して立ち上がる本体外壁部14と、本体嵌合部13の上端縁及び本体外壁部14の外端縁から外方向に連続して延出する重畳片15とを備えている。容器本体1の平面視形状は、正方形の一角を切り落としたような五角形であり、互いに直交する2つの長辺と、隣接する長辺と直交する2つの短辺と、双方の短辺に対して傾斜している傾斜辺とで構成されているが、四角形でも六角形以上でもよい。
【0025】
<蓋体2の概要>
図1に示すように、蓋体2は、容器本体1の収容部1aを覆うカバー部2aと、カバー部2aの外方に向かうツマミ片26を有する。詳細には、蓋体2は、平面状の天面部21と、天面部21の周端縁から下方向に連続して立ち下がる蓋体側壁部22とで形成されるカバー部2aと、蓋体側壁部22の下端縁から外方向に連続して延出する蓋体フランジ部23と、容器本体1との内嵌合用として蓋体フランジ部23の外端縁から上方向に連続して立ち上がる蓋体嵌合部24と、蓋体嵌合部24の上端縁から外方向に連続して延出する蓋体外端部25と、カバー部2aの外方に向かうツマミ片26とを備えている。蓋体2の平面視形状は、容器本体1の平面視形状と同じだが、異なっていてもよい。
【0026】
<容器本体1の形成方法・素材・寸法等の仕様>
容器本体1は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.25~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。また、発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは2~4mmであり、より好ましくは2.5~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。容器本体の大きさについて特に制限はないが、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0027】
<蓋体2の形成方法・素材・寸法等の仕様>
蓋体2は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、二軸延伸ポリスチレン(OPS;Oriented Polystyrene)といったポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、無色透明が好ましいが、有色又は不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.23~0.75mm、さらに好ましくは0.25~0.5mmである。容器本体の大きさについて特に制限はないが、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0028】
以下、容器本体1の詳細な構造を説明する。
【0029】
<収容部1a>
図1に示すように、底面部11の面積及び本体側壁部12の高さはいずれでもよく、これらによって定まる収容部1aの容量に特に制限はないが、例えば200~1500ccであればよい。本体側壁部12は、縦方向や横方向に所定の段差や内側に凹んだ図示しない補強リブを単数又は複数有していても、有さずに面一でもよい。容器本体1の開口に相当する収容部1aの開口は、本体側壁部12の上端縁で形成される。
【0030】
<本体嵌合部13>
図2に示すように、本体嵌合部13は、垂直方向の断面略L字型であり、本体側壁部12の上端縁の全部から周状に形成されており、かつ本体側壁部12より外方向に張り出ていてもよい。本体嵌合部13の高さはいずれでもよい。
【0031】
<本体外壁部14>
図2に示すように、本体外壁部14は、本体嵌合部13の上端縁の一部を除いて周状に形成されており、換言すると、容器本体1の平面視形状における傾斜辺に相当する本体嵌合部13の上端縁の中央付近を除いて周状に形成されており、本体嵌合部13より外方向に張り出ている。本体外壁部14は、最内側に位置する本体外壁内端部14aと、最外側に位置する本体外壁外端部14bとを有し、垂直方向の断面で頂上が平坦な山型状だが、略三角形状でも円弧状でもよい。本体外壁部14の高さH、詳細には、本体外壁内端部14aの下端から上端までの距離は、3~8mmであり、好ましくは4~6mm、より好ましくは4.5~5.5mmであり、3mmより低いと蓋体外端部25に指が届きやすく密閉性が低下するおそれがあり、8mmより高いと突出し過ぎて成形性が低下するおそれがある。
【0032】
<重畳片15>
図2に示すように、重畳片15は、閉蓋時にツマミ片26と重なるように収容部1aの外方に向かっており、換言すると、収容部1aより外側に位置してツマミ片26が載置するように成形された平面状の部位であり、また、ツマミ片26を挟む部位であり、詳細には、収容部1aに通じる基端片15aと、基端片15aと連続している折り返し片15bと、基端片15aと折り返し片15bとの間に位置するヒンジ15cと、ヒンジ15cを挟んで基端片15a及び折り返し片15bにそれぞれ形成される一対の固着部15d,15eとを有する。ここで、重畳片15の大きさには特に制限はないが、例えば15~35cmであればよく、20~30cmであればさらによい。
【0033】
この構成によれば、少なくともツマミ片26の先端部分が重畳片15と重なって隠れ、詳細には、ツマミ片26が基端片15aと折り返し片15bとに挟まれて隠れるため、閉蓋時に折り返し片15bを折り返して一対の固着部15d,15eを固着後、固着部15eを離脱して折り返し片15bを折り戻さない限り、ツマミ片26が現れず開封しようがないため、蓋体2の不正な開封の抑止効果と共に、開封の有無の容易な識別を期待できる。また、開封時には一連の動作が必要であるため需要者に対するアイキャッチ性も高く、固着部15eを離脱しても鋭利な部位が表れない限り安全性も高いことから、ユーザフレンドリーな開封構造としての認知も期待できる。また、固着部15d,15eの固着強度に適した材料で容器本体1を成形すればよい分、蓋体2の材料・剛性・強度といった仕様を柔軟に決定しやすくなる効果を期待できる。
【0034】
さらに、重畳片15は、少なくとも折り返し片15b側の固着部15eを囲うように形成された破断部15fを有する。具体的には、破断部15fは、固着部15eを半周程度囲ってヒンジ15cに至っていても、全周を円状に囲ってもよい。この構成によれば、破断部15fの破断により固着部15dを折り返し片15bから容易に分離でき、破断しても鋭利な部位が表れないため安全性が高くなり、破断部15fの破断強度に適した材料で容器本体1の仕様を決定しやすい効果を期待できる。
【0035】
<基端片15a>
図2に示すように、基端片15aは、本体嵌合部13を隔てて収容部1aに間接的に通じるが、いずれの部位も隔てず直接的に通じてもよい。基端片15aは、周状に形成された本体外壁部14の周方向の端部に挟まれた位置に形成されており、換言すると、本体外壁部14の一部を切り欠いた箇所に形成されており、形状・面積・寸法を限定しない。
【0036】
<折り返し片15b>
図2に示すように、折り返し片15bは、基端片15aと一体的に形成されており、基端片15aの外端縁から外方向に連続しており、具体的には、収容部1aとは逆側に位置する基端片15aの外端縁から外方向に連続しており、折り返し先端片15btを含む。折り返し片15bの外端縁は、本体外壁外端部14bと連続している。折り返し片15bを折り返していない状態で、折り返し片15bと本体外壁外端部14bとが、容器本体1の最外端を形成する。折り返し片15bは、平面視で三角形状だが、形状・面積・寸法を限定しない。
【0037】
<ヒンジ15c>
図2に示すように、ヒンジ15cは、基端片15aの外端縁に位置し、具体的には、収容部1aとは逆側に位置する基端片15aの外端縁に位置し、換言すると、収容部1aに向かって折り返し部15bが折れ曲がるように位置している。ヒンジ15cは、成形後の重畳片15に加工された部位であり、非切断部分と切断部分とが交互に形成されたミシン目でも、基端片15a及び折り返し片15bの厚みより薄く折れ曲がりやすい部位でもよく、別途成形された折り返し片15bを基端片15aと連結する部材でもよく、一体的に成形された基端片15aと折り返し片15bとを単に折り曲げた部位でもよい。ヒンジ15cは、本体外壁外端部14bに至っていてもいなくてもよい。
【0038】
<固着部15d,15e>
図2に示すように、固着部15d,15eは、略同形状かつ同サイズであり、閉蓋時の固着された状態で下方向に突出して嵌合するスナップ嵌合部であり、上方向に突出して嵌合してもよいが、蓋体2の開蓋動作や本包装容器の持ち運び・積み重ねに対する影響に鑑みると、下向きに突出していると望ましい。固着部15d,15eは、嵌合式ではなく、熱圧着式でもよい。固着部15d,15eは、基端片15aや折り返し片15dの中央付近かつヒンジ15cから等距離に配置されているが、ツマミ片26との相関に応じて配置されてもよい。固着部15d,15eは、破断部15fによる分離以外に、所定の手段による破壊や変形により、基端片15aや折り返し片15bから離脱してもよい。
【0039】
<破断部15f>
図2に示すように、破断部15fは、折り返し片15b側の固着部15eを囲ってヒンジ15cに至っており、この構成によれば、破断部15fの破断により固着部15eを除いて折り返し片15bがヒンジ15cを軸に回動自在となるため、折り返し片15bを切り離さなくてもツマミ片26を露出でき、切れ端を除去する手間を省ける効果を期待できる。
【0040】
破断部15fは、非切断部分と切断部分とが交互に形成されたミシン目であり、固着部15eのみ囲っており、破断部15fの破断により固着部15d,15eの固着状態からヒンジ15cを軸に折り返し片15bを回動自在にするが、双方の固着部15d,15eを囲っている場合、破断部15fの破断により固着部15d,15eの固着状態のまま固着部15d,15eを除去してもよく、固着部15d,15eを折り返し片15b及び基端片15aから分離可能にする。破断部15fの非切断部分は1~5mmあればよく、切断部分は10~50mmあればよい。固着部15d,15e同士が外れる前に破断部15fが破断するために、破断部15fの破断強度が固着部15d,15eの嵌合強度より小さいことが好ましい。
【0041】
以下、蓋体2の詳細な構造を説明する。
【0042】
<カバー部2a>
図1に示すように、天面部21の面積及び蓋体側壁部22の高さはいずれでもよく、これらによって定まるカバー部2aの膨出量はいずれでもよく、球面のドーム状や角ばった箱状といった形状も限定しない。蓋体側壁部22は、縦方向や横方向に所定の段差や内側に凹んだ図示しない補強リブを単数又は複数有していても、有さずに面一でもよい。カバー部2aは、天面部21及び蓋体側壁部22の一部を切り欠いて内側に凹むように形成されたカバー凹部2bを有する。
【0043】
<蓋体嵌合部24>
図2に示すように、蓋体嵌合部24は、垂直方向の断面略L字型であり、蓋体フランジ部23の外端縁の全周から周状に形成されており、蓋体フランジ部23より外方向に張り出していてもよい。蓋体嵌合部24の高さは、本体嵌合部13の高さと同程度あればいずれでもよい。
【0044】
<蓋体外端部25>
図2に示すように、蓋体外端部25は、蓋体嵌合部24の上端縁の一部を除いて周状に形成されており、換言すると、容器本体1の平面視形状における傾斜辺に相当する蓋体嵌合部24の上端縁の中央付近を除いて周状に形成されている。蓋体外端部25は、ツマミ片26を含んでもよく、換言すると、一部をツマミ片26としてもよい。蓋体外端部25の幅W、詳細には、蓋体外端部25の最内端から最外端までの距離は、0.5~5mmであり、好ましくは1.5~4mmであり、より好ましくは2~3.5mmであり、0.5mmより短いと蓋体2の強度や剛性が低下するおそれがあり、5mmより長いと突出し過ぎて成型性が低下するおそれがある。
【0045】
<ツマミ片26>
図2に示すように、ツマミ片26は、カバー部2aより外側に位置し、蓋体外端部25から外方向に連続して延出しているが、蓋体嵌合部24の上端縁又は蓋体フランジ部23から外方向に連続して延出していてもよい。ツマミ片26は、ヒンジ15cに至らない程度に延出しており、蓋体外端部25の最外端からの突出量は6~16mmであり、好ましくは8~14mmである。ツマミ片26は、2つの舌片26a,26bを有し、舌片26a,26bの各々は、ヒンジ15cと平行し、かつ固着部15dを左右両側から挟むように所定の距離を隔てて形成されている。ツマミ片26は、2つの舌片26a,26bを有さない替わりに、中央付近に固着部15dより大きめで、かつ閉蓋時に固着部15dと重ならない位置に図示しない貫通孔を有してもよい。
【0046】
以下、上述した重畳片15の作用効果を増進する容器本体1と蓋体2との関係性について説明する。
【0047】
図2に示すように、蓋体2は、ツマミ片26を含む蓋体外端部25を有し、容器本体1は、収容部1aより外側に形成されて閉蓋時にツマミ片26を除いて蓋体外端部25と対向し、好ましくは密着している本体外壁部14を有する。この構成によれば、蓋体外端部25が本体外壁部14に包囲されており、ツマミ片26を除いて開蓋時に摘ままれる部分が露出していないため、蓋体2の不正な開封が困難であり、重畳片15の作用効果を増進する効果を期待できる。
【0048】
図2に示すように、蓋体外端部25は、カバー部2aより外方に位置する蓋体嵌合部24から連続して外方に向かい、本体外壁部14は、収容部1aより上方に位置する本体嵌合部13から連続して上方に向かう。この構成によれば、蓋体2が容器本体1の内側で嵌合する分、蓋体2の密閉性が高まると共に、蓋体2の不正な開封が困難であり、重畳片15の作用効果をさらに増進する効果を期待できる。
【0049】
図2に示すように、ツマミ片26は、舌片26a,26bからなり、基端片15a側の固着部15dは、閉蓋時に舌片26a,26bの間に位置するように形成される。この構成によれば、ツマミ片26及び固着部15dのサイズ・位置や舌片26a,26bの間隔といった仕様を厳密に決定しなくても、固着部15d,15eを互いに固着させ、かつ折り返し片15bの折り返しによりツマミ片26を基端片15aと共に挟み込めるため、蓋体2の不正な開封を予防する構造を形成しやすい効果を期待できる。
【0050】
図2に示すように、折り返し片15bは、ヒンジ15cと対向する位置に折り返し先端片15btを有し、カバー部2aは、折り返し時に折り返し先端片15btを収めるカバー凹部2bを有する。この構成によれば、閉蓋時に固着部15d,15eを固着するため折り返し部15bを折り返すが、折り返し先端片15btをカバー凹部2bに収めて天面部21を超えて突出させない効果を期待でき、開蓋時にカバー凹部2bから指を挿入して折り返し先端片15btを摘まみやすくできる効果を期待できる。
【0051】
次に、図2及び図3を参照しつつ、本包装用容器の使用方法及び開封方法について説明する。
【0052】
<包装用容器の使用方法の一例>
図3(a)及び(b)に示すように、本包装用容器の使用方法は、容器本体1の収容部1aに収容物を収容する工程と、収容物の入った容器本体1に対して、蓋体2のツマミ片26を容器本体1の基端片15aに配置して、図2に示す本体内嵌合13と蓋体嵌合部24とを嵌合する工程と、容器本体1の折り返し片15bを折り返し、ツマミ片26を折り返し片15bで覆い、ツマミ片26の端部を隠す工程と、固着部15d,15e同士を固着する工程とを含む。
【0053】
この工程によれば、蓋体2で容器本体1の開口を閉じるだけで、舌片26a,26bで基端片15aの固着部15dを挟むようにツマミ片26を配置でき、換言すると、ツマミ片26を基端片15aに載置するだけで、容器本体1の開口を閉じる蓋体の位置を決定できるため、迷わず容易に閉蓋でき、そして、折り返し片15bをヒンジ15cで折り返し、かつ固着部15d,15eが固着する程度に押圧するだけで不正開封の予防構造が完成する効果を期待できる。
【0054】
<包装用容器の開封方法の一例>
図3(b)及び(c)に示すように、本包装用容器の開封方法は、上述した使用方法でパッキングされた収容物の入った包装用容器に対し、所定の変形や破壊により少なくとも折り返し片15bから固着部15eを離脱する工程、具体的にはカバー凹部2bに親指と人差し指を挿入して折り返し片15bの折り返し先端片15btを摘まみ、固着部15d,15eを固着させたまま折り返し片15bを折り戻しつつ破断部15fを切断しながら折り返し片15bを基端片15aから離し、ツマミ片26を露出される工程とを含む。
【0055】
この工程によれば、開蓋時に、平面視で折り返し片15bが折られていて、かつツマミ片26が隠れているため、不正開封の予防構造を一見して認識しやすいアイキャッチ性を伴い、カバー凹部2bを介して折り返し先端片15btを容易に摘まめ、折り返し片15bを戻すだけで破断部15fを破断して折り返し片15bから固着部15eを容易に切り離せるため、迷わず容易に開蓋できる効果を期待できる。
【0056】
次に、図4を参照しつつ、本発明の一実施形態における別の包装用容器について、上述した包装用容器と相違する部分を説明し、同等の部分の説明を省略する。図1~3で示した部品又は部位と同等なものは、参照を容易にするため、図4(a)及び(b)では一律100及び200を加えた番号にしている。
ここで、図4は、図3(b)と同義であり、すなわち別の包装用容器における所定の部位の部分拡大端面図であり、容器本体と蓋体との嵌合パターンを説明するものである。
【0057】
図4(a)に示すように、容器本体101は、収容部101aと、収容部101aを形成する付番しない本体側壁部の上端縁から外方向に連続して延出する平坦状の本体フランジ部116aと、蓋体102との側面外嵌合用として本体フランジ部116aの外端縁から下方向に連続して立ち下がる本体嵌合部113と、本体嵌合部113の下端縁から外方向に連続して延出する平坦状の本体フランジ部116bと、本体フランジ部116bの外端縁から上方向に連続して立ち上がる本体外壁部114と、本体外壁部114を除く本体フランジ部116bの外端縁から外方向に連続して延出する図示及び付番しない重畳片とを備えている。
【0058】
そして、蓋体102は、カバー部102aと、カバー部102aを形成する付番しない蓋体側壁部の下端縁から外方向に連続して延出する蓋体フランジ部123と、容器本体101との側面外嵌合用として蓋体フランジ部123の外端縁から下方向に連続して立ち下がる蓋体嵌合部124と、蓋体嵌合部124の下端縁から外方向に連続して延出する蓋体外端部125と図示及び付番しないツマミ片とを備えている。
【0059】
図4(b)に示すように、容器本体201は、収容部201aと、収容部201aを形成する付番しない本体側壁部の上端縁から蓋体202との内外嵌合用として外方向かつ上方向に連続して突出する凸型の本体嵌合部213と、本体嵌合部213の外端縁から外方向に連続して延出する平坦状の本体フランジ部216と、本体フランジ部216の外端縁から上方向に連続して立ち上がる本体外壁部214と、本体外壁部214を除く本体フランジ部216の外端縁から外方向に連続して延出する図示及び付番しない重畳片とを備えている。
【0060】
そして、蓋体202は、カバー部202aと、カバー部202aを形成する付番しない蓋体側壁部の下端縁から外方向に連続して延出する蓋体フランジ部223と、容器本体201との内外嵌合用として蓋体フランジ部223の外端縁から外方向かつ上方向に連続して突出する凸型の蓋体嵌合部224と、蓋体嵌合部224の下端縁から外方向に連続して延出する蓋体外端部225と図示及び付番しないツマミ片とを備えている。
【0061】
なお、本実施形態に示した包装用容器は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0062】
1,101,201 容器本体、1a,101a,201a 収容部
11 底面部
12 本体側壁部
13,113,213 本体嵌合部
14,114,214 本体外壁部、14a 本体外壁内端部、14b 本体外壁外端部
15 重畳片、15a 基端片、15b 折り返し片、15c ヒンジ、15d,15f 固着部、15e 破断部、15bt 折り返し先端片
116(116a,116b),216 本体フランジ部
2 蓋体、2a,102a,202a カバー部
21 天面部
22 蓋体側壁部
23,123,223 蓋体フランジ部
24,124,224 蓋体嵌合部
25,125,225 蓋体外端部
26 ツマミ片、26a,26b 舌片
図1
図2
図3
図4