(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/40 20230101AFI20241119BHJP
【FI】
H04N25/40
(21)【出願番号】P 2021027232
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-08-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 令和2年11月13日 ウェブサイトのアドレス(URL) https://opt-j.com/abstracts/OPJ2020_Extended%20Abstracts.pdf ウェブサイトの掲載日 令和2年11月13日 ウェブサイトのアドレス(URL) https://opt-j.com/opj2020-2/ https://opt-j.com/opj2020-2/documents/post-21.html
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】宅見 宗則
(72)【発明者】
【氏名】杉山 行信
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】北山 研一
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-250274(JP,A)
【文献】特開2019-161295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光に応じて電荷を発生するフォトダイオードを各々含みM行N列(M,Nは2以上の整数)に2次元配列されたMN個の画素と、
前記M行N列のうちの第m行(mは1以上M以下の各整数)のN個の画素と第m行制御線により接続され、この第m行制御線を介して第m行制御信号を第m行のN個の画素へ与える行制御部と、
前記M行N列のうちの第m行のN個の画素と第m行出力線により接続され、第m行のN個の画素それぞれの前記フォトダイオードで発生して第m行出力線へ出力された電荷を入力する行読出部と、
前記M行N列のうちの第n列(nは1以上N以下の各整数)のM個の画素と第n列制御線により接続され、この第n列制御線を介して第n列制御信号を第n列のM個の画素へ与える列制御部と、
前記M行N列のうちの第n列のM個の画素と第n列出力線により接続され、第n列のM個の画素それぞれの前記フォトダイオードで発生して第n列出力線へ出力された電荷を入力する列読出部と、
を備え、
前記MN個の画素のうちの第m行第n列の画素は、第m行制御信号および第n列制御信号それぞれの論理値に基づいて、前記フォトダイオードで発生した電荷を第m行出力線または第n列出力線へ出力するか否かを選択する、
固体撮像装置。
【請求項2】
第m行制御線が複数本設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
第n列制御線が複数本設けられている、
請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
第m行出力線が複数本設けられている、
請求項1~3の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
第n列出力線が複数本設けられている、
請求項1~4の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記行読出部は、第m行出力線を介して入力された電荷を蓄積する1または複数のキャパシタを含む、
請求項1~5の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記行読出部は、全ての第m行出力線を介して入力された電荷の総和量に応じた電圧値を出力する、
請求項1~6の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記行読出部は、第m行出力線を介して入力された電荷の量に応じた電圧値を順次に出力する、
請求項1~6の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記列読出部は、第n列出力線を介して入力された電荷を蓄積する1または複数のキャパシタを含む、
請求項1~8の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記列読出部は、全ての第n列出力線を介して入力された電荷の総和量に応じた電圧値を出力する、
請求項1~9の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記列読出部は、第n列出力線を介して入力された電荷の量に応じた電圧値を順次に出力する、
請求項1~9の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記行制御部は、第1~第M行制御信号をシリアルデータとして入力して、そのうちの第m行制御信号を第m行制御線へ出力するシフトレジスタを含む、
請求項1~11の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記行制御部は、前記シフトレジスタから出力される第m行制御信号をラッチして、そのラッチした第m行制御信号を第m行制御線へ出力するフリップフロップを含む、
請求項12に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記列制御部は、第1~第N列制御信号をシリアルデータとして入力して、そのうちの第n列制御信号を第n列制御線へ出力するシフトレジスタを含む、
請求項1~13の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記列制御部は、前記シフトレジスタから出力される第n列制御信号をラッチして、そのラッチした第n列制御信号を第n列制御線へ出力するフリップフロップを含む、
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
第m行第n列の画素は、前記フォトダイオードとして、第m行出力線に接続されたフォトダイオードと、第n列出力線に接続されたフォトダイオードと、を別個に含む、
請求項1~15の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
第m行第n列の画素は、前記フォトダイオードを1個含み、該フォトダイオードで発生した電荷を出力する場合に、第m行出力線および第n列出力線のうちの何れか一方のみへ出力する、
請求項1~15の何れか1項に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載された撮像装置は、入力光に対する出力光の強度比を画素毎に変調することができる空間光変調器と、入力光の強度を検出する光検出器とを備え、圧縮センシング技術により対象物の像を取得することができる。この文献に記載された撮像装置では、対象物の像を空間光変調器の変調面に形成し、設定された光振幅変調パターンに基づいて空間光変調器により画素毎に光振幅変調を行って、その変調後の光の強度を光検出器により検出する。複数種類の光振幅変調パターンを順次に空間光変調器に設定し、各々の光振幅変調パターンの設定時に光検出器により光強度値を取得して、各光振幅変調パターンおよび対応する光強度値を記憶部により記憶する。そして、記憶部に記憶された複数組の光振幅変調パターンおよび光強度値を解析することにより、対象物の像を取得することができる。
【0003】
この撮像装置で用いられる光検出器は、入力光のビーム断面の強度分布を検出するために複数の画素が配列されたイメージセンサである必要はなく、単一の画素からなるポイントセンサであってよい。したがって、イメージセンサの使用が適切でない波長域で対象物を撮像することが要求される場合、または、イメージセンサより低ノイズもしくは高性能で対象物を撮像することが要求される場合等に、ポイントセンサを用いた撮像装置による撮像が有効である。また、撮像により取得しようとする画像がスパースであれば、圧縮センシング技術により、画素数より少ない個数の光振幅変調パターンを用いて対象物の像を取得することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Marco F. Duarte, et al., “Single-PixelImaging via Compressive Sampling.” IEEE Signal Processing Magazine, Vol.25,Issue 2, pp.83-91 (Mar. 2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載された撮像装置は、光検出器に加えて空間光変調器を用いて光学系を構築する必要があることから、コストや消費電力が増加し、光学系の構築が容易でない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、圧縮センシング技術による画像の取得を容易に行うことができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の固体撮像装置は、(1) 受光に応じて電荷を発生するフォトダイオードを各々含みM行N列(M,Nは2以上の整数)に2次元配列されたMN個の画素と、(2) M行N列のうちの第m行(mは1以上M以下の各整数)のN個の画素と第m行制御線により接続され、この第m行制御線を介して第m行制御信号を第m行のN個の画素へ与える行制御部と、(3) M行N列のうちの第m行のN個の画素と第m行出力線により接続され、第m行のN個の画素それぞれのフォトダイオードで発生して第m行出力線へ出力された電荷を入力する行読出部と、(4) M行N列のうちの第n列(nは1以上N以下の各整数)のM個の画素と第n列制御線により接続され、この第n列制御線を介して第n列制御信号を第n列のM個の画素へ与える列制御部と、(5) M行N列のうちの第n列のM個の画素と第n列出力線により接続され、第n列のM個の画素それぞれのフォトダイオードで発生して第n列出力線へ出力された電荷を入力する列読出部と、を備える。MN個の画素のうちの第m行第n列の画素は、第m行制御信号および第n列制御信号それぞれの論理値に基づいて、フォトダイオードで発生した電荷を第m行出力線または第n列出力線へ出力するか否かを選択する。
【0008】
本発明の一側面において、第m行制御線が複数本設けられているのが好適であり、第n列制御線が複数本設けられているのが好適であり、第m行出力線が複数本設けられているのが好適であり、また、第n列出力線が複数本設けられているのが好適である。
【0009】
本発明の一側面において、行読出部は、第m行出力線を介して入力された電荷を蓄積する1または複数のキャパシタを含むのが好適である。行読出部は、全ての第m行出力線を介して入力された電荷の総和量に応じた電圧値を出力するのが好適である。或いは、行読出部は、第m行出力線を介して入力された電荷の量に応じた電圧値を順次に出力するのが好適である。
【0010】
本発明の一側面において、列読出部は、第n列出力線を介して入力された電荷を蓄積する1または複数のキャパシタを含むのが好適である。列読出部は、全ての第n列出力線を介して入力された電荷の総和量に応じた電圧値を出力するのが好適である。或いは、列読出部は、第n列出力線を介して入力された電荷の量に応じた電圧値を順次に出力するのが好適である。
【0011】
本発明の一側面において、行制御部は、第1~第M行制御信号をシリアルデータとして入力して、そのうちの第m行制御信号を第m行制御線へ出力するシフトレジスタを含むのが好適である。また、行制御部は、シフトレジスタから出力される第m行制御信号をラッチして、そのラッチした第m行制御信号を第m行制御線へ出力するフリップフロップを含むのが好適である。
【0012】
本発明の一側面において、列制御部は、第1~第N列制御信号をシリアルデータとして入力して、そのうちの第n列制御信号を第n列制御線へ出力するシフトレジスタを含むのが好適である。また、列制御部は、シフトレジスタから出力される第n列制御信号をラッチして、そのラッチした第n列制御信号を第n列制御線へ出力するフリップフロップを含むのが好適である。
【0013】
本発明の一側面において、第m行第n列の画素は、フォトダイオードとして、第m行出力線に接続されたフォトダイオードと、第n列出力線に接続されたフォトダイオードと、を別個に含むのが好適である。或いは、第m行第n列の画素は、フォトダイオードを1個含み、該フォトダイオードで発生した電荷を出力する場合に、第m行出力線および第n列出力線のうちの何れか一方のみへ出力するのが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圧縮センシング技術による画像の取得を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態の固体撮像装置1の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、列読出部32の回路構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、列読出部32の他の回路構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、列読出部32の更に他の回路構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、列制御部31の回路構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、画素P
m,nの回路構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図8】
図8は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、画素P
m,nを
図8の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図10】
図10は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、画素P
m,nを
図10の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図12】
図12は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の第1期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図16】
図16は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の第2期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図17】
図17は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の第3期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図18】
図18は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の第4期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図19】
図19は、
図15~
図18で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図20】
図20は、
図15~
図18で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図21】
図21は、
図15~
図18で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図22】
図22は、
図15~
図18で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図23】
図23は、画素P
m,nを
図10または
図12の回路構成例とした場合の第1期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図24】
図24は、画素P
m,nを
図10または
図12の回路構成例とした場合の第2期間の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図25】
図25は、
図23および
図24で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図26】
図26は、
図23および
図24で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図27】
図27は、
図23および
図24で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図28】
図28は、
図23および
図24で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【
図29】
図29は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図30】
図30は、画素P
m,nを
図29の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図31】
図31は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図32】
図32は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図33】
図33は、画素P
m,nを
図31または
図32の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【
図34】
図34は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図35】
図35は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。
【
図36】
図36は、画素P
m,nを
図34または
図35の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
図1は、本実施形態の固体撮像装置1の全体構成を示す図である。固体撮像装置1は、画素アレイ部10、行制御部21,行読出部22、列制御部31および列読出部32を備える。
【0018】
画素アレイ部10は、M行N列に2次元配列されたMN個の画素P1,1~PM,Nを含む。MN個の画素P1,1~PM,Nは共通の構成を有する。画素Pm,nは第m行第n列に位置する。画素Pm,nは、受光に応じて電荷を発生するフォトダイオードを含み、PPS(passivepixel sensor)構成を有する。ここで、M,Nは2以上の整数である。mは1以上M以下の各整数である。nは1以上N以下の各整数である。
【0019】
行制御部21は、第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nと第m行制御線23mにより接続されており、この第m行制御線23mを介して第m行制御信号Xmを第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nへ与える。行読出部22は、第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nと第m行出力線24mにより接続されており、第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nそれぞれのフォトダイオードで発生して第m行出力線24mへ出力された電荷を入力する。
【0020】
列制御部31は、第n列のM個の画素P1,n~PM,nと第n列制御線33nにより接続されており、この第n列制御線33nを介して第n列制御信号Ynを第n列のM個の画素P1,n~PM,nへ与える。列読出部32は、第n列のM個の画素P1,n~PM,nと第n列出力線34nにより接続されており、第n列のM個の画素P1,n~PM,nそれぞれのフォトダイオードで発生して第n列出力線34nへ出力された電荷を入力する。
【0021】
画素Pm,nは、行制御部21から第m行制御線23mへ出力された第m行制御信号Xmを入力するとともに、列制御部31から第n列制御線33nへ出力された第n列制御信号Ynを入力する。画素Pm,nは、これらの入力した第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynそれぞれの論理値に基づいて、フォトダイオードで発生した電荷を第m行出力線24mまたは第n列出力線34nへ出力するか否かを選択する。
【0022】
画素アレイ部10のMN個の画素P1,1~PM,Nのうち、第m行出力線24mへ電荷を出力する画素、および、第n列出力線34nへ電荷を出力する画素は、第1~第M行制御信号X1~XMおよび第1~第N列制御信号Y1~YNによって決まる。第1~第M行制御信号X1~XMのパターンまたは第1~第N列制御信号Y1~YNのパターンを異ならせることにより、第m行出力線24mへ電荷を出力する画素を異ならせることができ、また、第n列出力線34nへ電荷を出力する画素を異ならせることができる。
【0023】
したがって、この固体撮像装置1は、圧縮センシング技術による画像の取得を行う際に、従来では必要であった空間光変調器を用いる必要がないので、コストや消費電力の増加が抑制され、光学系の構築が容易となる。すなわち、この固体撮像装置1は、圧縮センシング技術による画像の取得を容易に行うことができる。
【0024】
この固体撮像装置1を用いて圧縮センシング技術による画像の取得を行う際には、第1~第M行制御信号X1~XMおよび第1~第N列制御信号Y1~YNそれぞれについて複数のパターンが必要である。複数のパターンは、ランダムに選ばれたものであってもよいし、アダマール行列に基づいて設定されたものであってもよい。
【0025】
また、この固体撮像装置1を用いて圧縮センシング技術による画像の取得を行う際には、第1~第M行出力線241~24Mおよび第1~第N列出力線341~34Nそれぞれへ出力される電荷の個々の量に基づいてもよいし、第1~第M行出力線241~24Mへ出力される電荷の総和量および第1~第N列出力線341~34Nへ出力される電荷の総和量に基づいてもよいし、第1~第M行出力線241~24Mおよび第1~第N列出力線341~34Nへ出力される電荷の総和量に基づいてもよい。
【0026】
第m行制御線は、1本であってもよいし、複数本であってもよい。第m行制御線が2本設けられる場合、一方の第m行制御線により画素Pm,nに与えられる第m行制御信号は、他方の第m行制御線により画素Pm,nに与えられる第m行制御信号を論理反転した信号であってもよい。第n列制御線は、1本であってもよいし、複数本であってもよい。第n列制御線が2本設けられる場合、一方の第n列制御線により画素Pm,nに与えられる第n列制御信号は、他方の第n列制御線により画素Pm,nに与えられる第n列制御信号を論理反転した信号であってもよい。第m行出力線は、1本であってもよいし、複数本であってもよい。また、第n列出力線は、1本であってもよいし、複数本であってもよい。
【0027】
次に、列読出部32の回路構成例について
図2~
図4を用いて説明する。
図2は、列読出部32の回路構成例を示す図である。この図に示される列読出部32は、NMOSトランジスタ41
1~41
Nおよび変換部49を含む。NMOSトランジスタ41
nのドレインは第n列出力線34
nと接続されている。NMOSトランジスタ41
nのソースは変換部49と接続されている。NMOSトランジスタ41
nは、ゲートに与えられる信号のレベルに応じて、ドレインとソースとの間が導通(オン)および非導通(オフ)の何れかに設定されるスイッチとして作用する。
【0028】
変換部49は、NMOSトランジスタ411~41Nそれぞれのソースと接続されている。変換部49は、入力された電荷の量に応じた電圧値を出力するチャージアンプ、および、このチャージアンプから出力される電圧値に応じたデジタル値を出力するAD変換器を含む。
【0029】
NMOSトランジスタ411~41Nのうちの何れかがオン状態であると、そのオン状態であるNMOSトランジスタ41nと第n列出力線34nを介して接続された第n列のM個の画素P1,n~PM,nの何れかの画素から出力された電荷が変換部49へ入力され、その電荷量に応じたデジタル値が変換部49から出力される。NMOSトランジスタ411~41Nは、同時にオン状態となってもよいし、一つずつ順次にオン状態となってもよい。
【0030】
この図には、NMOSトランジスタ481~48Nも示されている。NMOSトランジスタ48nのドレインは電源電位供給端に接続されている。NMOSトランジスタ48nのソースは第n列出力線34nと接続されている。NMOSトランジスタ48nもスイッチとして作用する。NMOSトランジスタ48nは、オン状態であるとき、第n列出力線34nに接続された第n列のM個の画素P1,n~PM,nそれぞれのフォトダイオードで発生した電荷を初期化することができる。
【0031】
図3は、列読出部32の他の回路構成例を示す図である。この図に示される列読出部32は、NMOSトランジスタ41
1~41
Nおよび変換部49に加えて、NMOSトランジスタ42
1~42
Nおよびキャパシタ43
1~43
Nを含む。NMOSトランジスタ42
nのドレインは第n列出力線34
nと接続されている。NMOSトランジスタ42
nのソースはNMOSトランジスタ41
nのドレインと接続されている。キャパシタ43
nは、NMOSトランジスタ42
nのソースと接地電位供給端との間に設けられている。NMOSトランジスタ42
nもスイッチとして作用する。
【0032】
この回路構成例では、NMOSトランジスタ41nがオフ状態であるとき、NMOSトランジスタ42nがオン状態であると、第n列出力線34nから到達した電荷がキャパシタ43nに転送されて蓄積される。その後、NMOSトランジスタ42nがオフ状態であるとき、NMOSトランジスタ41nがオン状態であると、キャパシタ43nに蓄積されていた電荷が変換部49へ入力され、その電荷量に応じたデジタル値が変換部49から出力される。NMOSトランジスタ411~41Nも、同時にオン状態となってもよいし、一つずつ順次にオン状態となってもよい。
【0033】
図4は、列読出部32の更に他の回路構成例を示す図である。この図に示される列読出部32は、NMOSトランジスタ41
1~41
N、NMOSトランジスタ42
1~42
N、キャパシタ43
1~43
N、NMOSトランジスタ44
1~44
N、NMOSトランジスタ45
1~45
N、キャパシタ46
1~46
N、NMOSトランジスタ47
1~47
Nおよび変換部49を含む。NMOSトランジスタ44
n,45
nおよびキャパシタ46
nは、NMOSトランジスタ41
n,42
nおよびキャパシタ43
nと同様の構成を有する。NMOSトランジスタ47
nのドレインは、NMOSトランジスタ41
n,44
nそれぞれのソースと接続されている。変換部49は、NMOSトランジスタ47
1~47
Nそれぞれのソースと接続されている。
【0034】
この回路構成例では、第n列出力線34nに対し2つのキャパシタ43n,46nが設けられていることにより、各第n列出力線34nから到達した電荷が一方のキャパシタに転送され蓄積されている間に、他方のキャパシタに蓄積されていた電荷が変換部49に入力されて電荷量に応じたデジタル値が変換部49から出力される。例えば、NMOSトランジスタ41n,45nがオフ状態であるときに、NMOSトランジスタ42nがオン状態であると、第n列出力線34nから到達した電荷がキャパシタ43nに転送されて蓄積され、また、NMOSトランジスタ44n,47nがオン状態であると、キャパシタ46nに蓄積されていた電荷が変換部49へ入力され、その電荷量に応じたデジタル値が変換部49から出力される。
【0035】
なお、電荷量に応じたデジタル値を出力する変換部は、列読出部32において一つのみ設けられてもよいし、列読出部32において列毎に設けられてもよい。行読出部22も列読出部32と同様の構成とすることができる。また、電荷量に応じたデジタル値を出力する変換部は、行読出部22および列読出部32において一つのみ設けられてもよい。
【0036】
次に、列制御部31の回路構成例について説明する。列制御部31は、第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nをパラレル入力して第n列制御信号Y
nを第n列制御線33
nへ出力してもよいし、また、第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nをシリアルデータとして入力して第n列制御信号Y
nを第n列制御線33
nへ出力してもよい。好適には列制御部31は
図5に示される構成とすることができる。
【0037】
図5は、列制御部31の回路構成例を示す図である。この図に示される列制御部31は、シフトレジスタ51およびフリップフロップ52
1~52
Nを含む。シフトレジスタ51は、第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nをシリアル入力して、第n列制御信号Y
nをフリップフロップ52
nへ出力する。フリップフロップ52
nは、シフトレジスタ51から出力された第n列制御信号Y
nをラッチして、そのラッチした第n列制御信号Y
nを第n列制御線33
nへ出力する。
【0038】
フリップフロップ52nはRSフリップフロップであるのが好適である。この場合、フリップフロップ52nは、latchがオンであるとき、ラッチしていた第n列制御信号Ynを第n列制御線33nへ出力することができる。フリップフロップ52nは、setがオンであるとき、論理値1を第n列制御線33nへ出力することで、画素Pm,nをリセットすることができる。また、フリップフロップ52nは、resetがオンであるとき、論理値0を第n列制御線33nへ出力することで、画素Pm,nをオフとすることができる。
【0039】
この回路構成例のように、列制御部31がシフトレジスタ51およびフリップフロップ521~52Nを含む場合、フリップフロップ52nから第n列制御信号Ynを第n列制御線33nへ出力している間に、シフトレジスタ51は次の第1~第N列制御信号Y1~YNをシリアル入力することができる。
【0040】
なお、行制御部21も列制御部31と同様の構成とすることができる。シフトレジスタは、行制御部21および列制御部31それぞれに設けられてもよいし、行制御部21および列制御部31において一つのみ設けられてもよい。
【0041】
次に、画素Pm,nの回路構成例について説明する。画素Pm,nは、受光に応じて電荷を発生する1または複数のフォトダイオードを含み、入力した第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynそれぞれの論理値に基づいて、フォトダイオードで発生した電荷を第m行出力線24mまたは第n列出力線34nへ出力するか否かを選択する。その選択を行う回路の構成は様々な態様が可能である。
【0042】
図6は、画素P
m,nの回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD1、フォトダイオードPD2、スイッチSW1、スイッチSW2、論理積回路AND1および論理積回路AND2を含む。スイッチSW1,SW2は、MOSトランジスタにより構成され得る。
【0043】
論理積回路AND1は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPD1と第n列出力線34nとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPD1で発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0044】
論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPD2と第m行出力線24mとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPD2で発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0045】
図7は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図において8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちのハッチングで示した画素は、フォトダイオードPD1で発生した電荷を第n列出力線34
nへ出力するとともに、フォトダイオードPD2で発生した電荷を第m行出力線24
mへ出力する。他の画素は、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない。
【0046】
図8は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1、スイッチSW2、論理積回路AND1、論理積回路AND2および論理反転回路INVを含む。
【0047】
論理積回路AND1は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0048】
論理反転回路INVは、第n列制御信号Ynを入力して、この第n列制御信号Ynの論理を反転した信号を論理積回路AND2へ出力する。
【0049】
論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmおよび論理反転回路INVの出力信号を入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmが論理値1であって第n列制御信号Ynが論理値0であれば、スイッチSW2をオン状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0050】
この回路構成例では、スイッチSW1,SW2が同時にオン状態になることはないので、画素P
m,nに含まれるフォトダイオードは1つでよい。したがって、
図6に示された構成例と比較すると、
図8に示される構成例では各フォトダイオードの光感応領域の面積を大きくすることができる。
【0051】
図9は、画素P
m,nを
図8の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図においても8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34
nへ出力し、別の第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24
mへ出力する。他の画素は、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない。
【0052】
図10は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1、スイッチSW2、論理積回路AND1、論理積回路AND2、論理反転回路INV1および論理反転回路INV2を含む。
【0053】
論理反転回路INV1は、第m行制御信号Xmを入力して、この第m行制御信号Xmの論理を反転した信号を論理積回路AND1へ出力する。
【0054】
論理積回路AND1は、論理反転回路INV1の出力信号および第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND1は、第m行制御信号Xmが論理値0であって第n列制御信号Ynが論理値1であれば、スイッチSW1をオン状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0055】
論理反転回路INV2は、第n列制御信号Ynを入力して、この第n列制御信号Ynの論理を反転した信号を論理積回路AND2へ出力する。
【0056】
論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmおよび論理反転回路INV2の出力信号を入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmが論理値1であって第n列制御信号Ynが論理値0であれば、スイッチSW2をオン状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0057】
この回路構成例でも、スイッチSW1,SW2が同時にオン状態になることはないので、画素P
m,nに含まれるフォトダイオードは1つでよい。したがって、
図6に示された構成例と比較すると、
図10に示される構成例でも各フォトダイオードの光感応領域の面積を大きくすることができる。
【0058】
図11は、画素P
m,nを
図10の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図においても8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34
nへ出力し、別の第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24
mへ出力する。他の画素は、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない。
【0059】
図12は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1、スイッチSW2、論理積回路AND1および論理積回路AND2を含む。
【0060】
第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nに対して、第m行制御信号Xmの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV1が設けられ、第m行制御信号Xmを与える行制御線に加えて、論理反転回路INV1の出力信号を与える行制御線が別に設けられている。
【0061】
第n列のM個の画素P1,n~PM,nに対して、第n列制御信号Ynの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV2が設けられ、第n列制御信号Ynを与える列制御線に加えて、論理反転回路INV2の出力信号を与える列制御線が別に設けられている。
【0062】
この回路構成例におけるスイッチSW1,SW2の動作は、
図10に示された構成例と同様である。この回路構成例でも、スイッチSW1,SW2が同時にオン状態になることはないので、画素P
m,nに含まれるフォトダイオードは1つでよい。したがって、
図6に示された構成例と比較すると、
図12に示される構成例でも各フォトダイオードの光感応領域の面積を大きくすることができる。また、
図10に示された構成例と比較すると、
図12に示される構成例では、画素P
m,nが論理反転回路を含まない分、フォトダイオードの光感応領域の面積をさらに大きくすることができる。
【0063】
図13は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD1,PD2およびNMOSトランジスタM1~M4を含む。NMOSトランジスタM1~M4はスイッチとして作用する。
【0064】
NMOSトランジスタM1,M3は、第n列制御信号Ynが論理値1であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM2,M4は、第m行制御信号Xmが論理値1であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値0であればオフ状態となる。
【0065】
NMOSトランジスタM1,M2は、フォトダイオードPD1と第n列出力線34nとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPD1で発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。NMOSトランジスタM3,M4は、フォトダイオードPD2と第m行出力線24mとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるとき、フォトダイオードPD2で発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0066】
画素P
m,nを
図13の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例は、
図7と同様である。
【0067】
図14は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPDおよびNMOSトランジスタM1~M4を含む。NMOSトランジスタM1~M4はスイッチとして作用する。
【0068】
第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nに対して、第m行制御信号Xmの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV1が設けられ、第m行制御信号Xmを与える行制御線に加えて、論理反転回路INV1の出力信号を与える行制御線が別に設けられている。
【0069】
第n列のM個の画素P1,n~PM,nに対して、第n列制御信号Ynの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV2が設けられ、第n列制御信号Ynを与える列制御線に加えて、論理反転回路INV2の出力信号を与える列制御線が別に設けられている。
【0070】
NMOSトランジスタM1は、第n列制御信号Ynをゲートに入力する。NMOSトランジスタM2は、論理反転回路INV1の出力信号をゲートに入力する。NMOSトランジスタM1,M2は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に直列的に設けられており、第m行制御信号Xmが論理値0であって第n列制御信号Ynが論理値1であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0071】
NMOSトランジスタM3は、論理反転回路INV2の出力信号をゲートに入力する。NMOSトランジスタM4は、第m行制御信号Xmをゲートに入力する。NMOSトランジスタM3,M4は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に直列的に設けられており、第m行制御信号Xmが論理値1であって第n列制御信号Ynが論理値0であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0072】
画素P
m,nを
図14の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例は、
図11と同様である。
【0073】
これまでに説明してきた画素P
m,nの回路構成例を採用した場合において、画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を
図7、
図9、
図11に示した。これらの電荷出力の例では、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない画素が存在した。しかし、次に説明するように、各画素をリセットする前に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mを論理反転した信号をも出力し、または、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nを論理反転した信号をも出力することで、効率的に全ての画素から電荷を出力させることができる。また、第1~第M行制御信号X
1~X
Mまたは第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nを論理反転するだけでいいので、圧縮センシング技術に用いるパターンを記憶するための容量を節約することができる。
【0074】
図15~
図18は、画素P
m,nを
図6の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。例えば、第1期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして[10101101]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして[10110010]を出力する。この第1期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図15においてハッチングで示した画素となる。
【0075】
第1期間に続く第2期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして前の期間と同じ[10101101]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして前の期間の[10110010]を論理反転した[01001101]を出力する。この第2期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図16においてハッチングで示した画素となる。
【0076】
第2期間に続く第3期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして前の期間の[10101101]を論理反転した[01010010]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして前の期間と同じ[01001101]を出力する。この第3期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図17においてハッチングで示した画素となる。
【0077】
第3期間に続く第4期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして前の期間と同じ[01010010]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして前の期間の[01001101]を論理反転した[10110010]を出力する。この第4期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図18においてハッチングで示した画素となる。
【0078】
このように第1~第4期間にかけて全ての画素から電荷を出力させることができる。この場合の露光から読出までのタイミングは様々な態様が可能である。
図19~
図22は、
図15~
図18で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【0079】
図19に示されるタイミングの態様例では、全ての画素が同時に露光を開始し、一定期間経過後の第1期間に
図16においてハッチングで示した画素から電荷が出力され、第2期間に
図17においてハッチングで示した画素から電荷が出力され、第3期間に
図18においてハッチングで示した画素から電荷が出力され、第4期間に
図19においてハッチングで示した画素から電荷が出力される。第1~第4期間のうちの何れの期間において電荷が出力されるかによって露光時間が異なることになるが、圧縮センシング技術による最適化問題を解く際に露光時間の差異を容易に補正することができる。このタイミングの態様は、
図2に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。
【0080】
図20に示されるタイミングの態様例では、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図16においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図17においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0081】
これらの画素について電荷転送が終了すると、
図18においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図19においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0082】
このタイミングの態様は、
図4に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。この場合、行読出部22において行毎に2つのキャパシタが設けられ、列読出部32において列毎に2つのキャパシタが設けられているので、画素から一方のキャパシタへの電荷の転送と、他方のキャパシタから変換部49への電荷の転送とを、並列的に行うことができる。
【0083】
図21に示されるタイミングの態様例でも、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図16においてハッチングで示した画素においてリセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図17においてハッチングで示した画素において、リセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0084】
これらの画素について電荷転送が終了すると、
図18においてハッチングで示した画素において、リセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図19においてハッチングで示した画素において、リセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0085】
このタイミングの態様は、
図3に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。この場合、行読出部22において行毎に1つのキャパシタが設けられ、列読出部32において列毎に1つのキャパシタが設けられているので、読出時間及び露光時間に依らず適用が可能である。
【0086】
図22に示されるタイミングの態様例でも、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図16においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について読出が終了すると、
図17においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について読出が終了すると、
図18においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について読出が終了すると、
図19においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。このタイミングの態様は、
図2に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。読出時間が露光時間の1/3以下である場合に適用が可能である。
【0087】
図23および
図24は、画素P
m,nを
図10または
図12の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。例えば、第1期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして[10101101]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして[10110010]を出力する。この第1期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図23においてハッチングで示した画素となる。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34
nへ出力し、別の第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24
mへ出力する。他の画素は、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない。
【0088】
第1期間に続く第2期間に、行制御部21が第1~第M行制御信号X
1~X
Mとして前の期間と同じ[10101101]を出力するとともに、列制御部31が第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nとして前の期間の[10110010]を論理反転した[01001101]を出力する。この第2期間に画素アレイ部10において電荷を出力する画素は、
図24においてハッチングで示した画素となる。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34
nへ出力し、別の第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24
mへ出力する。他の画素は、第m行出力線24
mおよび第n列出力線34
nの何れへも電荷を出力しない。
【0089】
このように第1および第2期間にかけて全ての画素から電荷を出力させることができる。この場合の露光から読出までのタイミングは様々な態様が可能である。
図25~
図28は、
図23および
図24で説明した全画素から電荷を出力する場合の露光から読出までのタイミングの態様の例を示す図である。
【0090】
図25に示されるタイミングの態様例では、全ての画素が同時に露光を開始し、一定期間経過後の第1期間に
図23においてハッチングで示した画素から電荷が出力され、第2期間に
図24においてハッチングで示した画素から電荷が出力される。第1および第2期間のうちの何れの期間において電荷が出力されるかによって露光時間が異なることになるが、圧縮センシング技術による最適化問題を解く際に露光時間の差異を容易に補正することができる。このタイミングの態様は、
図2に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。
【0091】
図26に示されるタイミングの態様例では、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図23においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図24においてハッチングで示した画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0092】
このタイミングの態様は、
図4に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。この場合、行読出部22において行毎に2つのキャパシタが設けられ、列読出部32において列毎に2つのキャパシタが設けられているので、画素から一方のキャパシタへの電荷の転送と、他方のキャパシタから変換部49への電荷の転送とを、並列的に行うことができる。
【0093】
図27に示されるタイミングの態様例では、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図23においてハッチングで示した画素においてリセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について電荷転送が終了すると、
図24においてハッチングで示した画素において、リセットおよび一定期間の露光が行われた後、これらの画素から電荷が行読出部22または列読出部32に転送され、その後、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。
【0094】
このタイミングの態様は、
図3に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。この場合、行読出部22において行毎に1つのキャパシタが設けられ、列読出部32において列毎に1つのキャパシタが設けられているので、読出時間及び露光時間に依らず適用が可能である。
【0095】
図28に示されるタイミングの態様例でも、各画素のリセットを適切なタイミングで行うことにより、全ての画素の露光時間を一定にする。
図23においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。これらの画素について読出が終了すると、
図24においてハッチングで示した画素について、電荷量に応じたデジタル値が行読出部22または列読出部32から出力される。このタイミングの態様は、
図2に示された列読出部32の回路構成例および行読出部22の同様の回路構成例の場合に適用が可能である。読出時間が露光時間以下である場合に適用が可能である。
【0096】
これまで
図15~
図28を用いて説明した実施形態は、各画素をリセットする前に、第1~第M行制御信号X
1~X
Mまたは第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nを論理反転することにより、効率的に全ての画素から電荷を出力させることができるものであった。しかし、次に説明する画素P
m,nの回路構成例とすれば、1組の第1~第M行制御信号X
1~X
Mおよび第1~第N列制御信号Y
1~Y
Nを用いることで効率的に全ての画素から電荷を出力させることができる。
【0097】
図29は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1~SW4および論理積回路AND1~AND4を含む。
【0098】
第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nに対して、第m行制御信号Xmの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV1が設けられ、第m行制御信号Xmを与える行制御線に加えて、論理反転回路INV1の出力信号を与える行制御線が別に設けられている。また、第m行のN個の画素Pm,1~Pm,Nに対して、第m行出力線24mとして行出力線24m,1および行出力線24m,2が設けられている。
【0099】
第n列のM個の画素P1,n~PM,nに対して、第n列制御信号Ynの論理を反転した信号を出力する論理反転回路INV2が設けられ、第n列制御信号Ynを与える列制御線に加えて、論理反転回路INV2の出力信号を与える列制御線が別に設けられている。また、第n列のM個の画素P1,n~PM,nに対して、第n列出力線34nとして列出力線34n,1および列出力線34n,2が設けられている。
【0100】
論理積回路AND1は、論理反転回路INV1の出力信号および第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND1は、第m行制御信号Xmが論理値0であって第n列制御信号Ynが論理値1であれば、スイッチSW1をオン状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPDと列出力線34n,1との間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34n,1へ出力する。
【0101】
論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmおよび論理反転回路INV2の出力信号を入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND2は、第m行制御信号Xmが論理値1であって第n列制御信号Ynが論理値0であれば、スイッチSW2をオン状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPDと行出力線24m,1との間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24m,1へ出力する。
【0102】
論理積回路AND3は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW3をオン状態とし、そうでなければスイッチSW3をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND3は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynの双方が論理値1であれば、スイッチSW3をオン状態とする。スイッチSW3は、フォトダイオードPDと行出力線24m,2との間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24m,2へ出力する。
【0103】
論理積回路AND4は、論理反転回路INV1の出力信号および論理反転回路INV2の出力信号を入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW4をオン状態とし、そうでなければスイッチSW4をオフ状態とする。すなわち、論理積回路AND4は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynの双方が論理値0であれば、スイッチSW4をオン状態とする。スイッチSW4は、フォトダイオードPDと列出力線34n,2との間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34n,2へ出力する。
【0104】
図30は、画素P
m,nを
図29の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図においても8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34
n,1へ出力し、第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24
m,1へ出力し、第3種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24
m,2へ出力し、第4種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34
n,2へ出力する。このように、全ての画素から電荷を出力させることができる。
【0105】
図31は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1,SW2、論理積回路ANDおよび論理反転回路INVを含む。
【0106】
論理積回路ANDは、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、双方の信号が論理値1であればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0107】
論理反転回路INVは、論理積回路ANDの出力信号を入力して、論理積回路ANDの出力信号が論理値0であれはスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0108】
この回路構成例では、スイッチSW1,SW2のうち何れか一方はオン状態となる。
【0109】
図32は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPDおよびNMOSトランジスタM1~M4を含む。NMOSトランジスタM1~M4はスイッチとして作用する。
【0110】
NMOSトランジスタM1は、第n列制御信号Ynが論理値1であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM2は、第m行制御信号Xmが論理値1であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM1,M2は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0111】
NMOSトランジスタM3は、第n列制御信号Ynが論理値0であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM4は、第m行制御信号Xmが論理値0であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM3,M4は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に並列的に設けられており、少なくとも一方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0112】
この回路構成例では、直列的に接続されたNMOSトランジスタM1,M2の全体と、並列的に接続されたNMOSトランジスタM3,M4の全体とのうち、何れか一方はオン状態となる。
【0113】
図33は、画素P
m,nを
図31または
図32の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図においても8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34
nへ出力し、第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24
mへ出力する。このように、全ての画素から電荷を出力させることができる。
【0114】
図34は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPD、スイッチSW1,SW2、排他的論理和回路XORおよび否定排他的論理和回路NXORを含む。
【0115】
排他的論理和回路XORは、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、両信号の論理値が互いに異なればスイッチSW1をオン状態とし、そうでなければスイッチSW1をオフ状態とする。スイッチSW1は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0116】
否定排他的論理和回路NXORは、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynを入力して、両信号の論理値が互いに同じであればスイッチSW2をオン状態とし、そうでなければスイッチSW2をオフ状態とする。スイッチSW2は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に設けられており、オン状態であるとき、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0117】
この回路構成例でも、スイッチSW1,SW2のうち何れか一方はオン状態となる。
【0118】
図35は、画素P
m,nの他の回路構成例を示す図である。この図に示される画素P
m,nは、フォトダイオードPDおよびNMOSトランジスタM1~M8を含む。NMOSトランジスタM1~M8はスイッチとして作用する。
【0119】
NMOSトランジスタM1は、第n列制御信号Ynが論理値1であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM2は、第m行制御信号Xmが論理値1であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM1,M2は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0120】
NMOSトランジスタM3は、第n列制御信号Ynが論理値0であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM4は、第m行制御信号Xmが論理値0であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM3,M4は、フォトダイオードPDと第n列出力線34nとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0121】
NMOSトランジスタM1~M4は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynそれぞれの論理値が互いに同じであれば、フォトダイオードPDで発生した電荷を第n列出力線34nへ出力する。
【0122】
NMOSトランジスタM5は、第n列制御信号Ynが論理値0であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM6は、第m行制御信号Xmが論理値1であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM5,M6は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0123】
NMOSトランジスタM7は、第n列制御信号Ynが論理値1であればオン状態となり、第n列制御信号Ynが論理値0であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM8は、第m行制御信号Xmが論理値0であればオン状態となり、第m行制御信号Xmが論理値1であればオフ状態となる。NMOSトランジスタM7,M8は、フォトダイオードPDと第m行出力線24mとの間に直列的に設けられており、双方がオン状態であるときに、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0124】
NMOSトランジスタM5~M8は、第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynそれぞれの論理値が互いに異なれば、フォトダイオードPDで発生した電荷を第m行出力線24mへ出力する。
【0125】
この回路構成例では、NMOSトランジスタM1~M4の全体と、NMOSトランジスタM5~M8の全体とのうち、何れか一方はオン状態となる。
【0126】
図36は、画素P
m,nを
図34または
図35の回路構成例とした場合の画素アレイ部10における各画素の電荷出力の例を示す図である。この図においても8行8列の個々の矩形領域が画素を示している。そのうちの第1種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を列出力線34
nへ出力し、第2種のハッチングで示した画素は、フォトダイオードPDで発生した電荷を行出力線24
mへ出力する。このように、全ての画素から電荷を出力させることができる。
【0127】
以上のとおり、本実施形態によれば、画素Pm,nは、入力した第m行制御信号Xmおよび第n列制御信号Ynそれぞれの論理値に基づいて、フォトダイオードで発生した電荷を第m行出力線24mまたは第n列出力線34nへ出力するか否かを選択する。画素アレイ部10のMN個の画素P1,1~PM,Nのうち、第m行出力線24mへ電荷を出力する画素、および、第n列出力線34nへ電荷を出力する画素は、第1~第M行制御信号X1~XMおよび第1~第N列制御信号Y1~YNによって決まる。第1~第M行制御信号X1~XMのパターンまたは第1~第N列制御信号Y1~YNのパターンを異ならせることにより、第m行出力線24mへ電荷を出力する画素を異ならせることができ、また、第n列出力線34nへ電荷を出力する画素を異ならせることができる。したがって、この固体撮像装置1は、圧縮センシング技術による画像の取得を行う際に、従来では必要であった空間光変調器を用いる必要がないので、コストや消費電力の増加が抑制され、光学系の構築が容易となる。すなわち、この固体撮像装置1は、圧縮センシング技術による画像の取得を容易に行うことができる。
【0128】
また、固体撮像装置1の行読出部22および列読出部32から出力されるデータのみからは画像を再構成することはできない。画像を再構成するには、行読出部22および列読出部32から出力されるデータに加えて、第1~第M行制御信号X1~XMおよび第1~第N列制御信号Y1~YNのパターンが必要である。第1~第M行制御信号X1~XMおよび第1~第N列制御信号Y1~YNのパターンは、暗号化通信における鍵と同様のものであると言える。すなわち、固体撮像装置1を用いた圧縮センシング技術では、画像を暗号化しなくとも、固体撮像装置1において暗号化され圧縮されたデータをネットワークで接続されたサーバなどに送信することができるので、データの安全性を容易に高めることができる。
【0129】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、画素Pm,n、行制御部21、行読出部22、列制御部31および列読出部32それぞれは、様々な回路構成例が可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…固体撮像装置、10…画素アレイ部、21…行制御部、22…行読出部、23m…第m行制御線、24m…第m行出力線、31…列制御部、32…列読出部、33n…第n列制御線、34n…第n列出力線、41n,42n,44n,45n,47n,48n…NMOSトランジスタ、43n,46n…キャパシタ、49…変換部、51…シフトレジスタ、52n…フリップフロップ。