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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】農作物の収穫装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 21/04 20060101AFI20241119BHJP
   A01D 51/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A01D21/04
A01D51/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021032732
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133825
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】森 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 尚勝
(72)【発明者】
【氏名】窪田 祐貴
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201601(JP,A)
【文献】米国特許第04706447(US,A)
【文献】特開平11-113338(JP,A)
【文献】中国実用新案第211322101(CN,U)
【文献】米国特許第04364222(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00-33/14
A01D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行できる走行機体の前方において、上記圃場の地表に転がるように実が点在した農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる掻寄手段と、上記掻寄手段で掻寄せられた農作物を上記ピックアップエリアにおいてピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記掻寄手段は、
上記ピックアップエリアの左右少なくともいずれかにおいて、上記ピックアップエリア側が上記走行機体に近づくように斜めに配置された掻寄ローラを含んで構成され、
上記掻寄ローラは、
その前面が上面に移行する方向に回転駆動され、
その外周面に、上記走行機体の走行と上記掻寄ローラ自体の上記回転駆動に伴って、上記圃場に存在する上記農作物が接触したときに、上記農作物を前方に向かって転動させるための突状部が設けられ
上記掻寄手段が、
上記掻寄ローラの上部に配置されて上記農作物を規制する規制部材を含んで構成されている
ことを特徴とする農作物の収穫装置。
【請求項2】
上記突状部は、弾性材料から形成されたものである
請求項1記載の農作物の収穫装置。
【請求項3】
上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面からの突出寸法が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている
請求項1または2記載の農作物の収穫装置。
【請求項4】
上記突状部は、上記掻寄ローラの長手方向に沿って存在するものである
請求項1~のいずれか一項に記載の農作物の収穫装置。
【請求項5】
上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面においてらせん状に形成されたものである
請求項記載の農作物の収穫装置。
【請求項6】
上記規制部材は、上記突状部との隙間が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の農作物の収穫装置。
【請求項7】
上記規制部材は、上記掻寄ローラの回転軸よりも前方に位置するよう配置されている
請求項1~6のいずれか一項に記載の農作物の収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に存在する農作物を収穫する農作物の収穫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場に散在する農作物の収穫は、人力で行わなければならないケースがある。たとえばカボチャの収穫がそうである。
カボチャは、地面を這うように蔓が伸び、地表に転がるように実が生育する。その収穫作業は、まず蔓から実を切り離し、それらを1トン程度の実が入る鉄製コンテナに人力で運び入れる。そのコンテナをフォークリフト等でトラックに積み込むことが行われる。
カボチャの実は1個あたり1.5~3kg程度の重量がある。蔓から切り離した実を拾い上げてコンテナまで、ひとつずつ人手で持ち運ばなければならない。その作業は腰や腕への肉体的な負担が大きい。たいへんな重労働である。
【0003】
上記の問題に対する先行技術文献として、本出願人は下記の特許文献1~7を把握している。
【0004】
特許文献1は、「カボチャ収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0009〕
本考案のカボチャ収納機は、図1に示すように、カボチャを収穫地点からコンテナ4付近まで移動させるための搬送コンベアー1aと搬送コンベアー1aの後部に設けられたローラー付台1bからなる搬送ユニット1二組と、輸送用平パレット3から構成されており、これら二組の搬送ユニット1は、搬送ユニット1の長手方向が輸送用平パレット3の長辺と平行に位置するように対称に適宜な間隔、例えば収穫作業人が乗ることができるスペースを設け、かつ、トラクターとの間にコンテナ4を収納するスペースを設けて輸送用平パレット3上に配置される。
〔0010〕
本考案のカボチャ収穫機を用いて作業員三人で収穫していく場合(トラクター運転手は別)の実施例について以下に説明する。図2に示すように、定植に使用した三本の農業用マルチフィルム5のうち、左右二本の農業用マルチフィルム5上にはツルから刈取られたカボチャが置かれており、カボチャが置かれていない中央の農業用マルチフィルム5上をコンテナ4を積んだトラクターが走行する。左右二本の農業用マルチフィルム5に作業員一人ずつを配置し、トラクターの移人動に合わせ歩きながら、搬送コンベヤー1a端部の上に農業用マルチフィルム5上に点在するカボチャを乗せていく。残り一人の作業員は、輸送用平パレット3上の二組の搬送ユニット1の間に搭乗し、ローラー付台1bに運ばれてきたカボチャをコンテナ4の中に入れる作業を行う。
【0005】
特許文献2は、「作物拾上げ収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔請求項1〕
走行装置(9)で走行可能にした機体フレーム(1)に掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)を設け、圃場に在る作物を前記拾上げ搬送装置(22)上に載せて機体後部の作物収容部(38)に搬送する作物拾上げ収穫機において、前記作物収容部(38)を昇降機構(44)で上昇可能にしたことを特徴とする作物拾上げ収穫機。
〔0028〕
また、該左右の搬送フレーム18,18の機体前側、即ち前端側には、搬送従動スプロケット19,19を各々回転自在に設け、該左右の搬送従動スプロケット19,19と左右の搬送駆動スプロケット17,17に亘って搬送伝動チェーン20,20を無端状に巻回する。さらに、該左右の搬送伝動チェーン20,20の左右間には、作物を載置して搬送する複数の搬送バー21を、前後方向に所定間隔毎に配置することにより、拾上げ搬送装置22が構成される。
〔0060〕
該掻込装置55は、側面視で反時計回り方向に回転し、前記拾上げ搬送装置22の搬送始端部にある作物を掻込板54で拾上げ搬送装置22の搬送方向下手側に押し上げることで、作物が確実に搬送される状態とするものである。
【0006】
特許文献3は、「結球野菜収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0019〕
操縦部4の左側には、キャベツ等の結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。実施形態の収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜き結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置14を備えている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込みホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送体17L,17Rと、根茎搬送体17L,17Rの上方に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の縦搬送ベルト18L,18Rとを備えている。側面視で縦搬送ベルト18L,18Rと根茎搬送体17L,17Rの間に、搬送中の結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置19が配置されている。
〔0021〕
根茎搬送体17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部を左右から挟持して当該根茎部を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送体17L,17Rも前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。縦搬送ベルト18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部を左右から挟持して状態で後ろ斜め上方に搬送するものである。実施形態の縦搬送ベルト18L,18Rは、側面視で根茎搬送体17L,17Rと平行状に配置されている。従って、縦搬送ベルト18L,18Rも、根茎搬送体17L,17Rと同様に、前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。
【0007】
特許文献4は、「結球野菜収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0019〕
操縦部4の左側には、結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜いて結球部を挟持し後方に搬送する引抜き搬送装置14と、搬送中の結球野菜Aの根茎部を切断する切断装置19とを備えている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込ホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送帯17L,17Rと、根茎搬送帯17L,17Rの上方後部に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の結球搬送帯18L,18Rとを備えている。側面視で結球搬送帯18L,18Rと根茎搬送帯17L,17Rの間に、切断装置19が配置されている。
〔0022〕
根茎搬送帯17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部を左右から挟持して当該根茎部を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送帯17L,17Rも前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。結球搬送帯18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部を左右から挟持した状態で後ろ斜め上方に搬送するものである。実施形態の結球搬送帯18L,18Rは、側面視で根茎搬送帯17L,17Rと平行状に配置されている。従って、結球搬送帯18L,18Rも、根茎搬送帯17L,17Rと同様に、前低後高状に傾斜した姿勢で設けられている。
【0008】
特許文献5は、「収穫機」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0047〕
(刈取部の構成)
図1,2,3に示すように、刈取部4は骨格となるフレーム体9を備えており、フレーム体9は、底部10、底部10の右及び左に連結された横側部11、底部10及び横側部11の後部に連結された後側部12を備えている。
〔0050〕
図1,2,3に示すように、フレーム体9において、横搬送体17が、左右方向の軸芯P2周りに回転駆動自在に、横側部11に支持されている。横搬送体17は、円筒状の胴部17a、胴部17aの外周部に連結された右螺旋部17b及び左螺旋部17c、棒状の掻き込み部17dを備えている。
〔0051〕
図2に示すように、横搬送体17の右螺旋部17bが、搬送部3の入口部3aの右側に位置して、横搬送体17の左螺旋部17cが、搬送部3の入口部3aの左側に位置している。横搬送体17の掻き込み部17dが、搬送部3の入口部3aの前側に位置している。
【0009】
特許文献6は、「鱗茎菜類収穫装置」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0018〕
また、この機体1の長辺方向の一端部には投入口11が上方に向って開口形成され、この投入口11とは反対側の長辺方向の他端部には他側方に向って開口した排出口12が開口形成され、この機体1の内部には前記投入口11と前記排出口12とを連通する搬送経路部13が設けられ、この搬送経路部13に搬送方向Aに沿って作業搬送手段としての一対の搬送ローラ15が互いに対向して設けられている。この一対の搬送ローラ15は機体1の下側に長辺方向の一端部から他端近傍にわたって配設され、この一対の搬送ローラ15にて玉葱Tがこの搬送経路部13を搬送される。なお、この排出口12には排出シュート14が連設されている。
〔0025〕
一方、前記作業部10の一対の搬送ローラ15は、互いに逆方向に同期的に回転、すなわちともに内側下方に向って回転し、玉葱Tの茎部T2 を下方向に引き込みながらその根部T3 を上方向に向けた状態でこの玉葱Tを搬送方向Aに沿って前記搬送経路部13を搬送するもので、この各搬送ローラ15は回転軸41を有し、この回転軸41は前記機体1の長辺方向に沿って水平状に配設され、この回転軸41には円筒体42が固着され、この円筒体42の外周面には図示しない細い帯状の搬送突条取付け溝が螺旋状に形成され、この搬送突条取付け溝にはゴム材料等からなる細長状の弾性搬送突条部材43が固着されている。この弾性搬送突条部材43の断面は略台形状に形成され、この弾性搬送突条部材43の螺旋状間のピッチはこの一対の搬送ローラ15の回転で玉葱Tを搬送可能なピッチで、玉葱Tの実部T1 の直径より少し小さい寸法である。
【0010】
特許文献7は、「全稈投入型コンバインの穀稈搬送装置」に関するものであり、つぎの記載がある。
〔0010〕
〔実施例〕以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。図7に本考案に係る全稈投入型コンバインを示している。このコンバインは、クローラ走行装置1を備えた走行機体2上に脱穀装置3を搭載するとともに、脱穀装置3の前部横側部に搭乗運転部4を配置し、機体前部に刈取前処理部5を昇降自在に連結して構成してある。前記脱穀装置3には、機体前後方向に沿う軸芯周りで回転駆動して扱処理する扱胴6と、その下方側に扱処理物を穀粒とワラ屑等に選別する選別部7とを備え、選別穀粒は脱穀装置3の横側に配設した穀粒タンク8に回収するよう構成してある。前記刈取前処理部5は、植立穀稈を立姿勢に引き起こす引起し装置9、植立穀稈の株元側を切断するバリカン型の第1刈取装置10A、株元を切断された刈取穀稈を後方に挟持搬送する挟持搬送装置11、挟持搬送される刈取穀稈の穂先部下部側を切断する第2刈取装置10B等から成る刈取部5Aと、刈取られた穀稈穂先側を中央側に寄せ集めて後方に送り出すオーガ12及びオーガ12から送りだされた穀稈を脱穀装置3の入口に向けて掻き上げ搬送するフィードコンベア13等から成る。
〔0012〕
前記オーガ12の横送り搬送領域におけるガイド面19には、図4にも示すように、横方向に沿って螺旋羽根20の外周縁にほぼ接触する位置まで延びる複数の帆布21を付設して、スクレーパとして作用し穀稈のオーガ12に対する巻き付きを防止してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実用新案登録第3211730号公報
【文献】特開2017-175997号公報
【文献】特開2014-18084号公報
【文献】特開2017-153449号公報
【文献】特開2019-4867号公報
【文献】特開2000-157022号公報
【文献】実用新案登録第2528413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1のカボチャ収穫機は、搬送コンベアー1aにより、カボチャを収穫地点からコンテナ4付近まで移動させることができる。
しかしながら、このカボチャ収穫機では、地面に転がったカボチャを拾上げる作業は人力によって行わねばならない。この作業は依然として、腰や腕への肉体的な負担が大きな重労働である。
【0013】
特許文献2の作物拾上げ収穫機は、掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)により、圃場に在る作物を拾上げて収穫する。
しかしながら、この作物拾上げ収穫機は、掻込装置(55)と拾上げ搬送装置(22)が機体フレーム(1)の幅いっぱいに設けられいる。つまり、設備自体が大掛かりで設備効率が悪く、コスト面において不利である。
【0014】
特許文献3の結球野菜収穫機は、左右一対の縦搬送ベルト18L,18Rによって結球野菜Aの結球部を左右から挟持して搬送する。つまり、キャベツ、レタス、ハクサイのように比較的重量の軽い結球野菜の収穫に適したものであり、カボチャのように重量がある農作物の収穫には適用するのが難しい。また、特許文献3の結球野菜収穫機は、結球野菜Aが一定間隔で並ぶ列状になるよう栽培された圃場において、列状の結球野菜Aを順次収穫するのに適したものである。つまり、カボチャのように圃場に散在する農作物をピックアップする収穫には適用するのが難しい。
【0015】
特許文献4の結球野菜収穫機は、左右一対の結球搬送帯18L,18Rによって結球野菜Aの結球部を左右から挟持した状態で搬送するものである。つまり、特許文献3と同様に、重量があるカボチャ等の農作物の収穫に適用するのは難しい。また、特許文献4の結球野菜収穫機も、一定間隔で結球野菜Aが列状に並ぶ圃場において、列状の結球野菜Aを順次収穫するのに適したものである。つまり、特許文献3と同様に、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用するのは難しい。
【0016】
特許文献5の収穫機は、横搬送体17が、機体の進行方向に対して直交して左右に延びるよう配置されている。上記横搬送体17は、圃場の作物を掻き込む方向(前面が下面に移行する方向である)に回転する。そのとき、右螺旋部17bと左螺旋部17cが作物を中央の入口部3aに供給する。
特許文献5は、コンバインによる穀稈の収穫を行うものであり、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用するのは難しい。仮に特許文献5の構造をカボチャのピックアップに適用しようとしても、搬送されるカボチャが、横搬送体17や右螺旋部17bおよび左螺旋部17cと摩擦し、表面が傷つくことになる。
【0017】
特許文献6の収穫機は、一対の搬送ローラ15に搬送される玉葱Tを載せた状態で、上記搬送ローラ15を回転させ、螺旋状の弾性搬送突条部材43により玉葱Tを送る。
特許文献6は、玉葱等の鱗茎菜類の茎部および根部を切断するためのものであり、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用するのは難しい。仮に特許文献6の構造をカボチャのピックアップに適用しようとしても、搬送されるカボチャが、搬送ローラ15および弾性搬送突条部材43と摩擦し、表面が傷つくことになる。
【0018】
特許文献7の収穫機は、螺旋羽根20のあるオーガ12によって穀稈穂先側を中央側に寄せ集めて後方に送り出すものである。
特許文献7は、コンバインによる穀稈の収穫を行うものであり、圃場に散在するカボチャのような農作物をピックアップする収穫に適用するのは難しい。仮に特許文献5の構造をカボチャのピックアップに適用しようとしても、搬送されるカボチャは、横搬送体17や右螺旋部17bおよび左螺旋部17cとの摩擦が生じ、表面を傷つけることになる。
【0019】
本発明の目的は、上記課題を解決した農作物の収穫装置を提供することにある。
つまり、圃場に存在する農作物のピックアップを自動化した農作物の収穫装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1記載農作物の収穫装置は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
圃場を走行できる走行機体の前方において、上記圃場の地表に転がるように実が点在した農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる掻寄手段と、上記掻寄手段で掻寄せられた農作物を上記ピックアップエリアにおいてピックアップするピックアップ手段とを備え、
上記掻寄手段は、
上記ピックアップエリアの左右少なくともいずれかにおいて、上記ピックアップエリア側が上記走行機体に近づくように斜めに配置された掻寄ローラを含んで構成され、
上記掻寄ローラは、
その前面が上面に移行する方向に回転駆動され、
その外周面に、上記走行機体の走行と上記掻寄ローラ自体の上記回転駆動に伴って、上記圃場に存在する上記農作物が接触したときに、上記農作物を前方に向かって転動させるための突状部が設けられ
上記掻寄手段が、
上記掻寄ローラの上部に配置されて上記農作物を規制する規制部材を含んで構成されている。
【0021】
請求項2記載の農作物の収穫装置は、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記突状部は、弾性材料から形成されたものである。
【0022】
請求項3記載の農作物の収穫装置は、請求項1または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面からの突出寸法が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている。
【0024】
請求項記載の農作物の収穫装置は、請求項1~のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記突状部は、上記掻寄ローラの長手方向に沿って存在するものである。
【0025】
請求項記載の農作物の収穫装置は、請求項記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面においてらせん状に形成されたものである。
【0028】
請求項記載の農作物の収穫装置は、請求項1~5のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記規制部材は、上記突状部との隙間が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている。
【0030】
請求項記載の農作物の収穫装置は、請求項1~6のいずれか一項に記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記規制部材は、上記掻寄ローラの回転軸よりも前方に位置するよう配置されている。
【発明の効果】
【0033】
請求項1記載の農作物の収穫装置は、圃場を走行できる走行機体の前方に、掻寄手段とピックアップ手段を備えている。上記走行機体は圃場を走行する。上記掻寄手段は、上記圃場に存在する農作物を所定のピックアップエリアに向かって掻寄せる。上記ピックアップ手段は、上記掻寄手段で掻寄せられた農作物を上記ピックアップエリアにおいてピックアップする。上記掻寄手段は掻寄ローラを含んで構成される。上記掻寄ローラは、上記ピックアップエリアの左右少なくともいずれかにおいて、上記ピックアップエリア側が上記走行機体に近づくように斜めに配置されている。また、上記掻寄ローラは、その前面が上面に移行する方向に回転駆動される。さらに、上記掻寄ローラは、その外周面に突状部が設けられている。上記突状部は、上記走行機体の走行と上記掻寄ローラ自体の上記回転駆動に伴って、上記圃場に存在する上記農作物が接触したときに、上記農作物を前方に向かって転動させる。
このため、圃場に存在する農作物をもれなく掻寄せてピックアップできる。したがって、圃場に残った農作物を人手で集める余分な作業をしなくてよい。また、上記走行機体の走行と上記掻寄ローラの回転により、農作物を前方に向かって転動させる。転動された農作物は、上記ピックアップエリア側が上記走行機体に近づくように斜めに配置された上記掻寄ローラに沿って、上記ピックアップエリアに向かって掻き寄せられる。したがって、掻き寄せられる農作物と掻寄ローラとの摩擦がなくなり、掻き寄せられる農作物をほとんど傷つけない。
また、請求項1記載の農作物の収穫装置は、上記掻寄手段が規制部材を含んで構成されている。上記規制部材は、上記掻寄ローラの上部に配置されて上記農作物を規制する。このため、上記掻寄ローラを乗り越えた農作物を走行機体が踏み潰すといったロスが生じない。
【0034】
請求項2記載の農作物の収穫装置は、上記突状部は、弾性材料から形成されたものである。
弾性材料から形成された突状部は、農作物に対する摩擦抵抗が大きく、農作物を前方に向かって弾きながら効果的に転動させることができる。
【0035】
請求項3記載の農作物の収穫装置は、上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面からの突出寸法が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラへの農作物の茎の巻き込みを防止しながら、農作物を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記突出寸法が小さすぎると農作物を前方に転動させることができない。反対に、上記突出寸法が大きすぎると農作物の茎が掻寄ローラに絡まってしまい、操業を続けられなくなる。
【0037】
請求項記載の農作物の収穫装置は、上記突状部は、上記掻寄ローラの長手方向に沿って存在するものである。
上記掻寄ローラの長手方向に沿って存在する上記突状部により、上記掻寄ローラの全長にわたって農作物を前方に転動させ、農作物をピックアップエリアに掻き寄せることができる。
【0038】
請求項記載の農作物の収穫装置は、上記突状部は、上記掻寄ローラの外周面においてらせん状に形成されたものである。
上記掻寄ローラの外周面にらせん状に形成された上記突状部により、上記掻寄ローラの全長にわたって農作物を前方に転動させ、農作物をピックアップエリアに掻き寄せることができる。
【0041】
請求項記載の農作物の収穫装置は、上記規制部材は、上記突状部との隙間が、上記農作物の茎の外径と同等以下になるよう設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラへの農作物の茎の絡まりと、突状部と規制部材との干渉を防止し、農作物を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記隙間が小さすぎると突状部と規制部材に干渉が生じやすい。反対に、上記隙間が大きすぎると農作物の茎が掻寄ローラに絡まるトラブルが生じ、操業を続けられなくなる。
【0043】
請求項記載の農作物の収穫装置は、上記規制部材は、上記掻寄ローラの回転軸よりも前方に位置するよう配置されている。
上記規制部材による規制が有効に働き、上記掻寄ローラを乗り越えた農作物を走行機体が踏み潰すといったロスが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の第1実施形態を説明する図であり、農作物の収穫装置を車体の上から見た図である。
図2】上記農作物の収穫装置を車体の左側から見た図である。
図3】掻寄手段の配置を説明する図である。
図4】掻寄手段を説明する図であり、(A)は側面図、(B)は前から見た図である。
図5】突状部の断面形状を説明する図である。
図6】掻寄手段の機能を説明する斜視図である。
図7】掻寄手段の機能を説明する図であり、(A)は横から見た図、(B)は斜視図である。
図8】ガイド部材と切断手段を説明する図である。
図9】ガイド部材と切断手段の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
◆第1実施形態
図1図8は、本発明の第1実施形態を説明する図である。
【0048】
本実施形態は、本発明を、農作物5の一例としてカボチャを収穫する収穫装置に適用した例を説明する。
【0049】
〔概略〕
図1~2は、上記収穫装置の全体構造を説明する図である。
この収穫装置は、走行機体1、ピックアップ手段10、掻寄手段70、搬送手段50および収容容器60を備えている。
なお、図1図2では、図の左が走行機体1の前方、図の右が走行機体1の後方である。したがって、図1では、図の上が走行機体1の右側、図の下が走行機体1の左側にあたる。
【0050】
上記走行機体1には、車体前方に上記ピックアップ手段10と掻寄手段70が設けられ、車体上に搬送手段50が、車体後方に上記収容容器60が配置されている。
【0051】
上記収穫装置では、上記走行機体1の走行に伴って、上記走行機体1の車幅前方に存在する農作物5を、上記掻寄手段70により所定のピックアップエリア2に向かって掻き寄せる。上記ピックアップエリア2に集まった農作物5を、車体前方の上記ピックアップ手段10によりピックアップする。上記ピックアップ手段10でピックアップされた農作物5は、上記搬送手段50で走行機体1の後方に搬送され、収容容器60に収容される。
【0052】
〔走行機体1〕
上記走行機体1は、車体の下部に無限軌道3を有し、車体の上部に座席4が設けられている。上記無限軌道3は、当該走行機体1が圃場を走行するための走行手段として機能する。上記座席4は、運転等の操作を行う作業者が着席するためのものである。上記走行機体1は、駆動エンジン、バッテリー、油圧機構等(いずれも図示していない)が搭載されている。
【0053】
上記走行機体1の車体上部には、上記搬送手段50が設けられている。上記搬送手段50は、ピックアップされた農作物5を、車体前方から車体後方まで搬送する。つまり、上記搬送手段50は、車体前方から車体後方にわたって設けられている。
【0054】
上記収穫装置では、走行機体1の左右の片側寄りに上記座席4が配置されている。上記搬送手段50は、上記座席4と反対側寄りの、上記座席4を避けるエリアに配置されている。この例では、上記座席4は、上記走行機体1の右側寄りに配置されている。上記搬送手段50は、上記走行機体1の左側寄りを通るように配置されている。
【0055】
上記走行機体1の前方には、ピックアップ手段10が設けられている。上記ピックアップ手段10は、上記搬送手段50の前端部分に配置されている。
【0056】
当該走行機体1における幅に対する一部分にピックアップエリア2が設けられている。上記ピックアップエリア2は、上記ピックアップ手段10の前端部に対応するエリアである。つまりこの例では、上記ピックアップエリア2は、当該走行機体1の横幅(車幅)のうち左寄りの所定幅の部分に設けられたエリアである。
【0057】
〔掻寄手段70〕
上記走行機体1の前方における、上記ピックアップエリア2以外の部分(この例では車体の前方右側の領域である)に、上記掻寄手段70が設けられている。上記掻寄手段70は、上記走行機体1の走行に伴って、上記圃場に存在する農作物5が上記掻寄手段70の前方に迫ったときに、その農作物5を上記ピックアップエリア2に向かって掻寄せる。上記掻寄手段70は、上記ピックアップエリアの左右少なくともいずれかに設けることができる。つまり、上記掻寄手段70を、上記ピックアップエリア2の前方左側に設けることもできるし、上記ピックアップエリア2の両側に設けることもできる。
【0058】
図3は、上記掻寄手段70の配置を説明する図である。上記掻寄手段70は、上記ピックアップエリア2側が上記走行機体1に近づくように斜めに配置されている。
【0059】
図3(A)(B)に示すように、上記走行機体1の走行方向に対する上記掻寄手段70の角度を可変しうるように構成することができる。具体的には、掻寄手段70のピックアップエリア2から遠い側と走行機体1との距離を、シリンダ73の伸縮によって変えるようにできる。
【0060】
図3(A)は、傾斜角を深くした例、図3(B)は、傾斜角を浅くした例である。圃場や農作物5の状態により、ピックアップエリア2に向かって農作物5が転がりにくいときは、傾斜角が深くなるよう設定することができる。ピックアップエリア2に向かって農作物5が転がりやすいときは、傾斜角が浅くなるよう設定することができる。
【0061】
図4は、上記掻寄手段70の具体的構成を説明する図であり、(A)は側面図、(B)は前から見た図である。図4(A)において矢印Fは走行機体1の走行方向、つまり前方である。
【0062】
上記掻寄手段70は、掻寄ローラ71と規制部材72を含んで構成されている。上記掻寄ローラ71は、回転駆動されることにより、上記圃場に存在する上記農作物5が接触したときにそれを転動させる。上記規制部材72は、上記農作物5が上記掻寄ローラ71を乗り越えないように規制する。
【0063】
〔掻寄ローラ71〕
上記掻寄ローラ71は、円柱状に形成された金属製のローラであり、その前面が上面に移行する方向に回転駆動される。つまり、走行機体1の走行方向Fの前面が上面に移行し、さらに後面、下面と移行して再び前面に戻るように回転する。図では上記掻寄ローラ71の回転方向を矢印Rで示している。
【0064】
上記掻寄ローラ71は、その外周面に突状部75が設けられている。上記突状部75は、上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71自体の上記回転駆動に伴って、上記圃場に存在する上記農作物5が接触したときに、上記農作物5を前方に向かって転動させる。
【0065】
この例では、上記突状部75は、上記掻寄ローラ70の長手方向に沿って存在し、具体的には、上記掻寄ローラ71の外周面においてらせん状に形成されている。
【0066】
〔突状部75〕
図5は、上記突状部75の断面形状を説明する図である。上記突状部75は、この例では断面形状が台形の長尺状に形成されている。上記突状部75は、この例では弾性材料から形成されている。具体的にはゴム材料である。
【0067】
上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の外周面から突出した寸法(つまり台形の高さ寸法)が、1~40mmになるよう設定するのが好ましい。このようにすることにより、上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の外周面からの突出寸法が、上記農作物5の茎6の外径と同等以下になるよう設定される。
【0068】
上記らせん状の突状部75は、上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71自体の上記回転駆動に伴って接触した上記農作物5を、上記ピックアップエリア2に向かって送るように形成されている。
【0069】
〔動作〕
図6図8は、上記掻寄手段70の機能を説明する斜視図である。 図7(A)は横から見た図、図7(B)は斜視図である。
【0070】
上記掻寄手段70は、上記掻寄ローラ71が回転駆動されることにより、上記圃場に存在する上記農作物5が接触したときに、上記突状部75が上記掻寄ローラ71の前面において下から上に向かって動く。このとき上記突状部75が上記農作物5の表面を下から上に向かって弾き上げる。これにより、上記農作物5が、前方に向かって転動される。図では、農作物5が転動する方向を矢印Hで示している。このとき、上記掻寄ローラ71に設けられたらせん状の突状部75の回転により、転動しながら上記掻寄ローラ71に接触した農作物5が矢印P方向に送られ、ピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる。
【0071】
図において、矢印Pは、上記ピックアップエリア2に向かって農作物5が送られる方向である。つまり、上記走行機体1が矢印F方向に走行し、上記掻寄ローラ71が矢印R方向に回転する。このとき、らせん状の上記突状部75により、上記掻寄ローラ71に接触した農作物5が矢印P方向に送られる。上記突状部75のらせん方向は、このよう設定されている。
【0072】
〔規制部材72〕
上記規制部材72は、上記掻寄ローラ71の上部に配置されて上記農作物5が上記掻寄ローラ71を乗り越えないように規制する。
【0073】
上記規制部材72は、この例では金属製の帯状板であり、上記掻寄ローラ71の長手走行に沿って、その板面が前方を向くように配置されている。この例では、上記規制部材72が、上記掻寄ローラ71の回転軸よりも前方に位置するよう配置されている。
【0074】
上記規制部材72は、上記突状部75との隙間が、1~40mmになるよう設定するのが好ましい。このようにすることにより、上記規制部材72は、上記突状部75との隙間が、上記農作物5の茎6の外径と同等以下になるよう設定される。
【0075】
上記規制部材72は、矢印F方向に進みながら上記矢印R方向に回転する掻寄ローラ71に当たった農作物5が、掻寄ローラ71を乗り越えてしまうのを防止する。
【0076】
これにより、圃場に存在する農作物5は、走行機体1の走行に伴って上記掻寄ローラ71の前方に迫り、上記掻寄ローラ71に当たると矢印P方向に転がって、ピックアップエリア2に向かって掻寄せられる。
【0077】
上記掻寄ローラ71の回転方向や回転数は、圃場に存在する農作物5の状態に応じて変更することができるように構成されている。
【0078】
〔茎6の処理〕
図8および図9は、ガイド部材31と切断手段41を説明する図である。
上記掻寄手段70は、茎6の処理を行うためのガイド部材31と切断手段41を備えている。
【0079】
〔ガイド部材31〕
上記ガイド部材31は、上記掻寄ローラ71の上記ピックアップエリア2と反対側の端部近傍に設けられている。上記ガイド部材31は、上記掻寄ローラ71の上側で、下に行くほど掻寄ローラ71に近づくよう、斜め方向に配置された棒状体である。上記ガイド部材31は、上記走行機体1の走行に伴って上記掻寄ローラ71を乗り越える上記農作物5の茎6を、上記掻寄ローラ71の下側に向かってガイドする。つまり、上記掻寄ローラ71が矢印R方向に回転しているため、走行機体1が走行したときに、農作物5の茎6が上記掻寄ローラ71を乗り越えようとする。これを矢印Sで示すように、上記掻寄ローラ71の下側に向かってガイドする。これにより、掻寄ローラ71に茎6が絡まることによるトラブルを未然に防止できる。
【0080】
〔切断手段41〕
上記切断手段41は、上記掻寄ローラ71の上記ピックアップエリア2と反対側の端部近傍に設けられている。図示した例は、上記切断手段41は円盤状のカッターである。丸鋸を用いることもできる。上記切断手段41は、上記走行機体1の走行に伴って引きずられる上記農作物5の茎6を切断する。つまり、走行機体1が走行したときに、上記掻寄ローラ71が矢印R方向に回転しているため、農作物5の茎6が上述したように上記ガイド部材31に引っ掻かる。そのまま走行機体1が走行を続けると、茎6が引きずられるため、これを上記切断手段41で切断する。これにより、掻寄ローラ71に茎6が絡まることによるトラブルを未然に防止できる。
【0081】
〔ピックアップ手段10〕
上記ピックアップ手段10は、上記圃場に存在する農作物5を、上記走行機体1の走行に伴って上記ピックアップエリア2においてピックアップする。
【0082】
上記ピックアップ手段10は、底部送り手段11とローディング手段21とを含んで構成されている。
上記底部送り手段11は、上記農作物5を載せて後方に向かわせるためのコンベアである。上記ローディング手段21は、上記農作物5を挟んで上記底部送り手段11に載せるためのものである。上記ローディング手段21は、左右のコンベアベルト21A,21Bから構成される。
【0083】
〔搬送手段50〕
上記搬送手段50は、上記ピックアップ手段10でピックアップされた農作物5を搬送する。上記搬送手段50により、車体前方のピックアップエリア2でピックアップされた農作物5を、車体後方の収容容器60まで搬送する。
【0084】
この例では、上記搬送手段50は、第1コンベア51、第2コンベア52、第3コンベア53を含んで構成されている。
【0085】
上記第1コンベア51は、車体の左寄りにおいて前後に延び、前端部が地面近くに位置して登り傾斜するように配置されている。上記第1コンベア51の後端部は、収容容器60の上部開口の高さである。上記第1コンベア51の前端部が、上記ピックアップエリア2である。上記第1コンベア51では、登り傾斜でも農作物5が転がり落ちないように、たとえば、サン付きベルトを用いることができる。
【0086】
上記第2コンベア52は、上記第1コンベア51の後端部において、車体の左右方向に延びるように配置されている。上記第2コンベア52により、上記第1コンベア51で搬送されてきた農作物5の搬送方向を一旦変える。
【0087】
上記第3コンベア53は、上記第2コンベア52の下流端において、車体の前後方向に延びるよう配置されている。上記第1コンベア51の後端部は、収容容器60の上部開口に達している。これにより、上記第3コンベア53で搬送された農作物5を収容容器60内に収容する。
【0088】
上記第1コンベア51の前端部にあるピックアップエリア2において、上記ピックアップ手段10によって農作物5が第1コンベア51上に搭載されることにより、上記農作物5がピックアップされる。上記第1コンベア51は、ピックアップされた農作物5を後方に運び、第2コンベア52に載せる。第2コンベア52は、農作物5の搬送方向を一旦変える。第2コンベア52から第3コンベア53に渡された農作物5は、第3コンベア53により車体後方の収容容器60まで搬送される。
【0089】
〔収容容器60〕
上記収容容器60は、上記搬送手段50で搬送された農作物5を収容する。上記収容容器60は、走行機体1の車体後方に配置されている。上記収容容器60は、上部に開口を有する箱状の容器である。上記収容容器60は、昇降可能なリフト機構61に搭載されている。また、第3コンベア53から投入される農作物5が高低差で傷つかないよう、上記収容容器60を傾斜させる傾斜機構(図示せず)を備えている。
【0090】
〔収穫動作〕
本実施形態の収穫装置では、たとえば、つぎのようにして農作物5を収穫することができる。
【0091】
たとえば農作物5としてカボチャを収穫する場合、あらかじめ茎6をヘタ部で切断してカボチャの実を切り離し、圃場に点在させておく。
【0092】
走行機体1を圃場で走行させる。この走行に伴って、圃場に点在するカボチャは、走行機体1の前方に迫り、掻寄ローラ71に当たると、ピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる。一部のカボチャは掻寄ローラ71に当たらずに、直接ピックアップエリア2に向かう。
【0093】
上記ピックアップエリア2では、左右のコンベアベルト21A,21B同士の前方の開放部に入ったカボチャが、上記コンベアベルト21A,21Bに挟まれて後方に送られ、ピックアップされて上記底部送り手段11に載せられる。その後、左右のコンベアベルト21A,21Bと底部送り手段11が後方に向かってカボチャを送る。このときカボチャは、3つのコンベアベルトで三方から保持されて上記三角形の通路を通り、後方に向かって送られる。
【0094】
その後カボチャは、上記搬送手段50でさらに車体の後方に向かって送られて収容容器60に収容され、収穫が行われる。
【0095】
〔まとめ〕
上記実施形態の農作物の収穫装置は、たとえばカボチャの収穫に用いることにより、カボチャを人力で拾いあげることなく収穫できる。この場合、あらかじめカボチャを蔓からハサミで切り離し、圃場に点在させておく。その圃場に本装置を走行させることにより、カボチャを地面からピックアップし、収容容器60に収容する。このように、上記第1実施形態は、カボチャの収穫作業において、地面からカボチャを持ち上げてコンテナまで運び入れる作業を機械化する。これにより省力化および省人化を達成する。
【0096】
掻寄ローラ71にカボチャが接触すると、上記突状部75がカボチャを下から押し上げ、カボチャは前方へ弾かれながらピックアップエリア2へ掻き寄せられる。そのため、小型のカボチャや地面の凹みにはまっているカボチャを掻寄ローラ71が乗り越えてしまうことに起因する取りこぼしが生じない。また、カボチャが断続的に掻寄ローラ71に接触しながら掻き寄せられるため、擦れによる傷も少ない。さらに、規制部材72により、掻寄ローラ71に茎6が巻き込まず、掻寄ローラ71に茎6が巻き付いて回転駆動手段が過負荷で停止してしまうトラブルが未然に防げる。
【0097】
〔実施形態の効果〕
上記実施形態は、つぎの作用効果を奏する。
【0098】
上記実施形態の農作物の収穫装置は、圃場を走行できる走行機体1の前方に、掻寄手段71とピックアップ手段2を備えている。上記走行機体1は圃場を走行する。上記掻寄手段71は、上記圃場に存在する農作物5を所定のピックアップエリア2に向かって掻寄せる。上記ピックアップ手段10は、上記掻寄手段70で掻寄せられた農作物5を上記ピックアップエリア2においてピックアップする。上記掻寄手段70は掻寄ローラ71を含んで構成される。上記掻寄ローラ71は、上記ピックアップエリア2の左右少なくともいずれかにおいて、上記ピックアップエリア2側が上記走行機体1に近づくように斜めに配置されている。また、上記掻寄ローラ71は、その前面が上面に移行する方向に回転駆動される。さらに、上記掻寄ローラ71は、その外周面に突状部75が設けられている。上記突状部75は、上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71自体の上記回転駆動に伴って、上記圃場に存在する上記農作物5が接触したときに、上記農作物5を前方に向かって転動させる。
このため、圃場に存在する農作物5をもれなく掻寄せてピックアップできる。したがって、圃場に残った農作物5を人手で集める余分な作業をしなくてよい。また、上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71の回転により、農作物5を前方に向かって転動させる。転動された農作物5は、上記ピックアップエリア2側が上記走行機体1に近づくように斜めに配置された上記掻寄ローラ71に沿って、上記ピックアップエリア2に向かって掻き寄せられる。したがって、掻き寄せられる農作物5と掻寄ローラ71との摩擦がなくなり、掻き寄せられる農作物5をほとんど傷つけない。
【0099】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記突状部75は、弾性材料から形成されたものである。
弾性材料から形成された突状部75は、農作物5に対する摩擦抵抗が大きく、農作物5を前方に向かって弾きながら効果的に転動させることができる。
【0100】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の外周面からの突出寸法が、上記農作物5の茎6の外径と同等以下になるよう設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラ71への農作物5の茎6の巻き込みを防止しながら、農作物5を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記突出寸法が小さすぎると農作物5を前方に転動させることができない。反対に、上記突出寸法が大きすぎると農作物5の茎6が掻寄ローラ71に絡まってしまい、操業を続けられなくなる。
【0101】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の外周面から突出した寸法が、1~40mmに設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラ71への農作物5の茎6の絡まりを防止しながら、農作物5を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記突出寸法が小さすぎると農作物5を前方に転動させることができない。反対に、上記突出寸法が大きすぎると農作物5の茎6が掻寄ローラ71に絡まってしまい、操業を続けられなくなる。
【0102】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の長手方向に沿って存在するものである。
上記掻寄ローラ71の長手方向に沿って存在する上記突状部75により、上記掻寄ローラ71の全長にわたって農作物5を前方に転動させ、農作物5をピックアップエリア2に掻き寄せることができる。
【0103】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記突状部75は、上記掻寄ローラ71の外周面においてらせん状に形成されたものである。
上記掻寄ローラ71の外周面にらせん状に形成された上記突状部75により、上記掻寄ローラ71の全長にわたって農作物5を前方に転動させ、農作物5をピックアップエリア2に掻き寄せることができる。
【0104】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記らせん状は、上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71自体の上記回転駆動に伴って接触した上記農作物5を、上記ピックアップエリア2に向かって送るように形成されている。
上記走行機体1の走行と上記掻寄ローラ71自体の上記回転駆動に伴い、上記突状部75に接触した農作物5は、転動されながら上記突状部75のらせん状により上記ピックアップエリア2に向かって送られて、速やかに掻き寄せられる。
【0105】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記掻寄手段70が規制部材72を含んで構成されている。上記規制部材72は、上記掻寄ローラ71の上部に配置されて上記農作物5を規制する。
上記掻寄ローラ71を乗り越えた農作物5を走行機体1が踏み潰すといったロスが生じない。
【0106】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記規制部材72は、上記突状部75との隙間が、上記農作物5の茎6の外径と同等以下になるよう設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラ71への農作物5の茎6の絡まりと、突状部75と規制部材72との干渉を防止し、農作物5を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記隙間が小さすぎると突状部75と規制部材72に干渉が生じやすい。反対に、上記隙間が大きすぎると農作物5の茎6が掻寄ローラ71に絡まるトラブルが生じ、操業を続けられなくなる。
【0107】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記規制部材72は、上記突状部75との隙間が、1~40mmに設定されている。
このようにすることにより、掻寄ローラ71への農作物5の茎6の絡まりと、突状部75と規制部材72との干渉を防止し、農作物5を効果的に前方に転動させることができる。つまり、上記隙間が小さすぎると突状部75と規制部材72に干渉が生じやすい。反対に、上記隙間が大きすぎると農作物5の茎6が掻寄ローラ71に絡まるトラブルが生じ、操業を続けられなくなる。
【0108】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記規制部材72は、上記掻寄ローラ71の回転軸よりも前方に位置するよう配置されている。
上記規制部材72による規制が有効に働き、上記掻寄ローラ71を乗り越えた農作物5を走行機体1が踏み潰すといったロスが生じない。
【0109】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記掻寄ローラ71の上記ピックアップエリア2と反対側の端部近傍にガイド部材31を設けた。上記ガイド部材31は、上記走行機体1の走行に伴って上記掻寄ローラ71を乗り越える上記農作物5の茎6を、上記掻寄ローラ71の下側に向かってガイドする。
これにより、上記掻寄ローラ71に農作物5の茎6が絡まるのを防止し、茎6の絡まりによるトラブルを未然に防止できる。
【0110】
上記実施形態の農作物5の収穫装置は、上記掻寄ローラ71の上記ピックアップエリア2と反対側の端部近傍に切断手段41を設けた。上記切断手段41が、上記走行機体1の走行に伴って引きずられる上記農作物5の茎6を切断することにより、
これにより、上記掻寄ローラ71に農作物5の茎6が絡まるのを防止し、茎6の絡まりによるトラブルを未然に防止できる。
【0111】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではない。つまり、本発明は、本発明の技術思想を踏まえたさらに各種態様の変形例を包含する趣旨である。
【0112】
たとえば、本発明において、収穫する農作物5は、カボチャに限らず、地表面に配置されている農作物5であれば各種のものを対象とすることができる。たとえばカンピョウやスイカなどのように、地面を這うように蔓が伸び、地表に転がるように実が生育する農作物5を対象にできる。また、たとえばタマネギやジャガイモなどのように、掘りあげて地面に置かれている農作物5を対象にできる。
【符号の説明】
【0113】
1:走行機体
2:ピックアップエリア
3:無限軌道
4:座席
5:農作物
6:茎
10:ピックアップ手段
11:底部送り手段
21:ローディング手段
21A:コンベアベルト
21B:コンベアベルト
31:ガイド部材
41:切断手段
50:搬送手段
51:第1コンベア
52:第2コンベア
53:第3コンベア
60:収容容器
61:リフト機構
70:掻寄手段
71:掻寄ローラ
72:規制部材
73:シリンダ
75:突状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9