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  • 特許-避難支援システム及び避難支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】避難支援システム及び避難支援方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/16 20060101AFI20241119BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20241119BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20241119BHJP
   G08B 21/08 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
E04H3/16 Z ESW
G01W1/10 D
G08B27/00 B
G08B21/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021035516
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135595
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 雅伸
(72)【発明者】
【氏名】神原 浩
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 夏来
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-029925(JP,A)
【文献】特開2011-010699(JP,A)
【文献】特開2017-084105(JP,A)
【文献】米国特許第10665073(US,B1)
【文献】実開平05-010653(JP,U)
【文献】特開2003-092794(JP,A)
【文献】特開2010-190605(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109519024(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/16
G01W 1/10
G08B 27/00
G08B 21/08
G21C 19/07
B65D 90/52
G08B 7/00
G06Q 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プールが設置された建物において当該プールを利用する利用者に対する避難行動を支援する避難支援システムであり、
前記プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を含む外部情報と、前記プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を含む観測情報とに基づき、前記プールにおける挙動を予測する予測処理部と、
前記予測処理部の予測結果に基づいて、避難の要否を判定する避難判定部と、
前記避難が要であると判定された場合に前記利用者に対して避難に関する情報を出力する出力部と
を有する避難支援システム。
【請求項2】
前記予測処理部は、更に、建物構造情報に基づき、プール設置階の揺れ、プール内の波高や流速、プールサイド上の浸水深さ・流速・溢水量を予測する請求項1に記載の避難支援システム。
【請求項3】
前記出力部として、少なくとも水中スピーカーが備えられており、前記プールの水の中において避難に関する音を出力する
請求項1又は2に記載の避難支援システム。
【請求項4】
前記出力部として、少なくとも水中照明装置が備えられており、前記プールの水の中において避難することを光によって通知する
請求項1又は2に記載の避難支援システム。
【請求項5】
プールが設置された建物において当該プールを利用する利用者に対する避難行動を支援する避難支援方法であり、
前記プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を含む外部情報と、前記プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を含む観測情報とに基づき、前記プールにおける挙動を予測する工程と、
予測処理部の予測結果に基づいて、避難の要否を判定する工程と、
前記避難が要であると判定された場合に前記利用者に対して避難に関する情報を出力する工程と
を有する避難支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難支援システム及び避難支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビルの上層階に位置するホテルやマンション等に付帯する遊泳用のプールでは、地震や強風による液面振動(スロッシング)の発生が危惧される。つまり、建物に設置されるプールでは、建物の固有周期とスロッシングの周期とが同調すると、プール内の水が大きく振動する可能性がある。液槽の液面振動は、プール長や水深といったプールのサイズとプロポーションで決まり、通常の遊泳用プールについては、多くの場合、地盤や建物の揺れの固有周期に比べて、液面振動の周期は十分に長周期となっている。しかしながら、高層ビルの上層階に位置するホテルやマンション等の遊泳用のプールの場合には、建物の応答も長周期化するため、遊泳用プールのスロッシング固有周期と同調し、プールサイドへの溢水が発生する可能性がある。こうしたプールの溢水を防ぐ現実的な方法としては、設計時にプールサイズからスロッシング固有周期を照査し、プールサイズを調整する方法がある。また、特許文献1には、津波を検知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-190934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、高層ビルの上層階に位置するホテルやマンション等に付帯する遊泳用のプールでは、地震や強風の発生により、スロッシングが発生する可能性がある。スロッシングが発生すると、プールサイドへの溢水が起こり、プールの利用者の安全が脅かされる危険性がある。このため、地震や強風に対して、プールの利用者を対象とした安全確保や避難誘導に関するシステムが要望される。
【0005】
不特定多数が利用するような公共的プールでは、プールを監視する係員が多く配置されており、地震が発生したときに、地震情報をキャッチした係員による注意喚起や避難誘導が可能である。これに対して、個人用の客室や住戸に附帯する遊泳用プールについては、十分な係員が配置されていないことが多く、注意喚起や避難誘導が遅れる可能性がある。特に利用者が水中にいる場合には、揺れを感知しにくいため、利用者が緊急地震速報システムによる音声や警告灯等の光に気づくのが遅れ、逃げ遅れのリスクが生じうる。また、強風については、一般に高層ビルは長周期の揺れが卓越することが知られているが、地震と異なり強風についての速報システムは一般的には利用されておらず、注意喚起や避難誘導を行う手立てそのものが確立されていない。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明は、地震や強風によるスロッシングの発生に対処して、プールの利用者に適切な指示や避難誘導を行える避難支援システム及び避難支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る避難支援システムは、プールが設置された建物において当該プールを利用する利用者に対する避難行動を支援する避難支援システムであり、前記プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を含む外部情報と、前記プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を含む観測情報とに基づき、前記プールにおける挙動を予測する予測処理部と、前記予測処理部の予測結果に基づいて、避難の要否を判定する避難判定部と、前記避難が要であると判定された場合に前記利用者に対して避難に関する情報を出力する出力部とを有する。
【0008】
本発明の一態様に係る避難支援方法は、プールが設置された建物において当該プールを利用する利用者に対する避難行動を支援する避難支援方法であり、前記プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を含む外部情報と、前記プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を含む観測情報とに基づき、前記プールにおける挙動を予測する工程と、予測処理部の予測結果に基づいて、避難の要否を判定する工程と、前記避難が要であると判定された場合に前記利用者に対して避難に関する情報を出力する工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建物に設置されたプールにおいて、地震や強風などが発生したとき、利用者の安全性が懸念されるビルの長周期動揺とそれに伴うスロッシング現象の発生を予測するとともに、利用者への注意喚起や避難誘導の確実な実施が行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る避難支援システムの概要を示すブロック図である。
図2】水害ハザードマップの説明図である。
図3】本実施形態に係る避難支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る避難支援システムの概要を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る避難支援システム100は、外部情報提供サーバ10と、観測機器20と、情報収集サーバ30と、出力装置40と、プール避難支援装置50とから構成される。外部情報提供サーバ10、観測機器20、情報収集サーバ30、出力装置40、及びプール避難支援装置50は、ネットワークNW1を介して、接続可能とされている。
【0013】
外部情報提供サーバ10は、例えば気象庁のサーバであり、ネットワークNW1を介して、地震情報11や気象情報12など、公共利用可能な各種の外部情報を提供している。なお、外部情報提供サーバ10は、気象庁のサーバに限らず、プールの液面振動等の予測に必要な各種の情報を提供する各種のサーバを含んでいても良い。
【0014】
観測機器20は、建物に設置されたプールに関する各種の観測情報を取得する。ここでは、プールは、例えば、高層ビルの上層階に位置するホテルやマンション等に付帯されている。観測機器20は、例えば、加速度センサ21と、風速計22と、監視カメラ23からなる。加速度センサ21は、プールの付近の揺れ(加速度)を検出する。風速計22は、プールが設置されている付近に吹く風の風速を計測する。監視カメラ23は、プールの状況を撮影する。なお、観測機器20は、上述の機器に限定されず、プールの液面振動等の予測に必要な情報を計測する各種の観測機器を含む。
【0015】
情報収集サーバ30は、外部情報提供サーバ10、観測機器20から定期的に各種情報を取得して、各種情報をデータベースとして記憶する。情報収集サーバ30は、取得した情報を、そのまま記憶してもよいし、必要な情報を整理、選択、一部の抽出などの加工を行って記憶するようにしてもよい。情報収集サーバ30が収集する各種情報には、時々刻々と変化する情報が含まれる。また、情報収集サーバ30は、プールの液面振動等の予測に必要な各種の情報を記憶している。
【0016】
情報収集サーバ30は、地震情報記憶部31と、気象情報記憶部32と、建物構造情報記憶部33と、建物設備情報記憶部34とを備えている。
【0017】
地震情報記憶部31は、外部情報提供サーバ10から緊急地震速報等の地震速報を取得し、時刻とともに記憶する。気象情報記憶部32は、外部情報提供サーバ10から強風警報、強風注意報等の気象情報を取得し、時刻とともに記憶する。建物構造情報記憶部33は、プールの設置階、プール長や水深、建物の固有周期等、プールが設置されている建物の構造の情報を記憶する。建物設備情報記憶部34は、災害発生時に利用可能な設備などの情報を記憶する。なお、情報収集サーバ30の構成は、上述に限定されず、各種の記憶部を有していても良い。
【0018】
出力装置(出力部)40は、地震や強風が発生したときに、指示情報を出力する。ここでは、出力装置40として、スピーカー41と、水中スピーカー42と、警報ランプ43と、水中照明44と、ウェラブル端末45とが示されている。スピーカー41は、プールの利用者が聞こえる位置に取り付けられ、サイレン等で指示情報を音で出力する。水中スピーカー42は、プール内部に取り付けられ、水中にいる利用者にサイレン等で指示情報を水中の音で出力する。警報ランプ43は、プールの利用者が見える位置に取り付けられ、指示情報を警告灯の光により通知する。水中照明44は、プールの内部に取り付けられ、指示情報を水中にいる利用者に警告灯の光により通知する。ウェラブル端末45は、腕時計型等、利用者の身体に取り付けられる端末であり、指示情報をメッセージで表示したり、警告音や音声で出力したりして利用者に知らせる。なお、出力装置40は、上述に限定されず、利用者に指示情報を伝えることができれば、どのようなものであっても良い。
【0019】
プール避難支援装置50は、地震や強風が発生したときに、プールの液面振動等を予測し、これに応じて、避難の要否を判定する。プール避難支援装置50は、制御部60と記憶部70とから構成される。
【0020】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、プール避難支援装置50を統括的に制御する。制御部60は、情報取得部61と、予測処理部62と、避難判定部63と、出力処理部64とを備えている。
【0021】
情報取得部61は、外部情報提供サーバ10から、NW1を経由して、地震情報や気象情報を取得する。情報取得部61は地震情報や気象情報を取得することができるが、プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を外部情報として取得してもよい。
また、情報取得部61は、観測機器20から、NW1を経由して、プールの設置場所の加速度や風速などの観測情報を取得する。情報取得部61は、プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を観測情報として取得してもよい。
また、情報取得部61は、情報収集サーバ30から、NW1を経由して、地震情報、気象情報、建物構造情報、建物設備情報等を取得する。
【0022】
予測処理部62は、地震情報や気象情報と、プールの設置場所の加速度や風速などの観測情報と、建物構造情報や建物設備情報などから、ビルやプールの挙動を数理的手法によって解析・予測し、ビルの応答やプール設置階の揺れ、プール内の波高や流速、プールサイド上の浸水深さ、流速、溢水量を予測する。例えば、予測処理部62は、過去に観測された複数の情報の変化とプールの状況とで各種機械学習を行い、当該機械学習の結果に基づいて、予測情報を推定するようにしてもよい。
ここで、機械学習には、例えば、重回帰分析や、カルマンフィルター、ニューラルネットワーク(ディープラーニング)、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン等が含まれる。
【0023】
避難判定部63は、予測処理部62での予測結果に基づいて、避難の要否を判定する。なお、避難の要否判定手法の一例としては、水害ハザードマップ作成の手引き(2016年 国土交通省)で示されている、水害時の流速と水位のチャート図などを準用するなどの簡易な方法が考えられる。すなわち、図2は、水害ハザードマップの説明図である。図2において、横軸は流速を示し、縦軸は水深を示す。曲線A1は、避難の要否を決定する実験値であり、曲線A1より下側は避難の必要のない領域であり、曲線A1より上側は避難の必要な領域である。図2示すように、水深が0.5m、流速が0.7m/s程度に達すると、避難が困難になる。避難の要否の手法としては、その他、流体解析で人に作用する波圧を算定し判定する方法、AI(Artificial Intelligence)を用いて判定する手法、など様々な方法が考えられる。
【0024】
出力処理部64は、指示情報を出力装置40に出力する。指示情報は、避難の要否などの情報、避難場所の情報の他、場合によっては、避難の必要が無いという情報も含む。前述したように、出力装置40としては、スピーカー41と、水中スピーカー42と、警報ランプ43と、水中照明44と、ウェラブル端末45等がある。プールにいる利用者全体に、素早く避難警報を知らせるには、指示情報として、スピーカー41によるサイレンの報知や、警報ランプ43による警告灯の点灯が有効である。また、水中にいる利用者に、素早く避難警報を知らせるには、指示情報として、水中スピーカー42によるサイレンの報知や、水中照明44による警告灯の点灯等が有効である。また、プールの利用者に指示情報の詳細を知らせるには、ウェラブル端末45へのEメールの送信やSNS(Social Networking Service)によるメッセージの送信が有効である。
【0025】
記憶部70は、予測情報記憶部71と、避難情報記憶部72と、指示情報記憶部73とを備える。
【0026】
予測情報記憶部71は、予測処理部62で算出された予測結果を記憶する。また、予測情報記憶部71は、予測情報を生成するための情報(例えば、機械学習のモデル情報、学習結果など)を記憶するようにしてもよい。
【0027】
避難情報記憶部72は、避難判定部63で決定した避難情報を記憶する。なお、避難情報記憶部72には、避難場所など施設固有の情報もあらかじめ蓄積されていても良い。
【0028】
指示情報記憶部73は、震度情報や強風情報等に対応付けて、指示情報を記憶する。指示情報記憶部73は、例えば、「地震です。速やかにプールからあがり、居室内に移動してください」、或いは「地震が発生しましたが、安全のため、その場に待機してください」というような、避難の要否や避難場所に関するメッセージをデータベース化して指示情報として記憶している。
【0029】
次に、本実施形態に係る避難支援システム100の動作について説明する。 図3は、本実施形態に係る避難支援システム100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明は地震が発生したときの処理であるが、強風が発生した場合の処理も同様である。
【0030】
(ステップS101)情報取得部61は、外部情報提供サーバ10から、NW1を経由して、外部情報として、地震情報や気象情報を取得している。また、情報取得部61は、観測機器20から、NW1を経由して、プールの設置場所の加速度や風速などの観測情報を取得している。また、情報取得部61は、情報収集サーバ30から、NW1を経由して、建物構造情報や建物設備情報を取得している。ここで、地震が発生すると、例えば気象庁の外部情報提供サーバ10から、緊急地震速報が送られてくる。また、建物に設置された加速度センサ21などの観測値から、建物の揺れが検出される。情報取得部61は、これらの情報から地震を検出すると、処理をステップS102に進める。
【0031】
(ステップS102)予測処理部62は、情報取得部61で取得された震度、気象などの外部情報と、加速度、風速などの観測情報と、建物構造情報とから、プール設置階の加速度、速度、変位等の建物の応答を予測して、処理をステップS103に進める。
予測処理部62は、情報取得部61によって得られた外部情報と、観測情報と、建物構造情報とから、プール設置階の加速度、速度、変位等の建物の応答を予測できればよい。この場合、予測処理部62は、予測する際に外部情報として、プールがある場所の気象と震度とのうち少なくともいずれか一方を用いて予測してもよい。また、予測処理部62は、予測する際に観測情報として、プール近傍の加速度と風速とのうち少なくともいずれか一方を用いて予測してもよい。
【0032】
(ステップS103)予測処理部62は、求められたプール設置階の加速度、速度、変位等を予測情報記憶部71に記憶させて、処理をステップS104に進める。
【0033】
(ステップS104)予測処理部62は、建物の応答の情報から、プール内の波高や流速等の液面挙動、プールサイド上の浸水深さ、流速、溢水量等を予測して、処理をステップS105に進める。
【0034】
(ステップS105)予測処理部62は、求められたプール内の波高や流速の液面挙動、プールサイド上の浸水深さ、流速、溢水量等を予測情報記憶部71に記憶させて、処理をステップS106に進める。
【0035】
(ステップS106)避難判定部63は、予測情報記憶部71に記憶されているプール設置階の加速度、速度、変位等と、プール内の波高や流速、プールサイド上の浸水深さ、流速、溢水量等とを基に、利用者の避難の要否判定を行い、処理をステップS107に進める。
【0036】
(ステップS107)避難判定部63は、判定結果を避難情報記憶部72に記憶させる。
【0037】
(ステップS108)避難判定部63は、利用者の避難が必要か否かを判定し、避難が必要なら、処理をステップS109に進める。
【0038】
(ステップS109)出力処理部64は、予測情報に基づいたメッセージを指示情報記憶部73から検索する。
【0039】
(ステップS110)出力処理部64は、指示情報記憶部73から予測情報に基づいたメッセージを読み出し、読み出されたメッセージを出力装置40に出力する。出力装置40を構成するスピーカー41、水中スピーカー42、警報ランプ43、水中照明44、ウェラブル端末45は、メッセージに応じた指示を、警告音や警告灯、文字や音声等により出力する。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る避難支援システムでは、地震や強風などビルの高層階に設置されたプールにおいて、利用者の安全性が懸念されるビルの長周期動揺とそれに伴うスロッシング現象の発生を予測するとともに、利用者への注意喚起や避難誘導の確実な実施が期待できる。
【0041】
上述した実施形態における避難支援システム100の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0042】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10…外部情報提供サーバ、30…情報収集サーバ、40…出力装置、50…プール避難支援装置、61…情報取得部、62…予測処理部、63…避難判定部、64…出力処理部、71…予測情報記憶部、72…避難情報記憶部、73…指示情報記憶部
図1
図2
図3