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特許7590244車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241119BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/0962
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021052010
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149734
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野尻 剛史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 雄大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正行
(72)【発明者】
【氏名】下江 良
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-230625(JP,A)
【文献】特開2016-109645(JP,A)
【文献】特開2020-168985(JP,A)
【文献】特開2010-230967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0168169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の外界輝度の情報を取得する輝度取得手段と、
前記外界輝度に基づいて、前記車両の状況を表示する第1表示部が表示する第1表示領域と、前記車両の状況を表示する第2表示部が表示する第2表示領域であって前記第1表示領域の下方に表示される前記第2表示領域とを含む複数の表示領域の輝度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記外界輝度が閾値を上回る場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第1表示領域の輝度を抑制し、
前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第2表示領域の輝度を抑制することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第1表示領域の輝度を抑制するとともに前記第2表示領域の輝度を抑制することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記複数の表示領域は、前記第2表示領域よりも下方であって前記車両の内部の周囲に配置された第3表示部が表示する第3表示領域をさらに含み、
前記制御手段は、前記外界輝度に基づいて前記第3表示領域の輝度をさらに制御し、
前記制御手段は、前記外界輝度が前記閾値よりも低い第2閾値以下である場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第3表示領域の輝度を抑制することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両との車間距離を検知し、
前記車間距離に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車間距離が長いほど前記複数の表示領域の各々の輝度を低くし、前記車間距離が短いほど前記複数の表示領域の各々の輝度を高くすることを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記外界輝度が所定輝度以上である場合、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の際の輝度範囲の上限値を第1の輝度値とし、
前記外界輝度が前記所定輝度未満である場合、前記上限値を前記第1の輝度値よりも低い第2の輝度値とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記複数の表示領域の輝度の変更操作を受け付ける操作手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の実行中に前記車両の乗員により前記操作手段が操作された場合、前記複数の表示領域の輝度を増加させることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の実行中に前記車両の乗員により前記操作手段が操作された場合、前記複数の表示領域の輝度を上限値まで増加させることを特徴とする請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両との車間距離を検知し、
前記車間距離に基づいて前記複数の表示領域の各々の色を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両の走行車線からの離脱を検知し、
前記離脱に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させることを特徴とする請求項4乃至9の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記車間距離に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも、前記離脱に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させる場合の輝度変化の方が緩やかになるように制御することを特徴とする請求項10に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記車両の車室の状況を検知する検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記第3表示領域の輝度が抑制されていない状態において、
前記車両の助手席に他の乗員が存在する場合、前記車両のルーフが開状態である場合、又は、前記車室の天井に配置されており下方を照明する照明装置が点灯している場合、
前記第3表示領域の輝度の上限値を増加させることを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記車間距離が所定距離以下となった場合に警告を出力する警告手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記警告が出力された場合、前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させることを特徴とする請求項4乃至11の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記車両の乗員により制動操作が実行されて前記車間距離が所定距離を上回った場合、前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させることを特徴とする請求項4乃至11の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記第1表示領域のバックライト輝度と、前記第2表示領域のバックライト輝度とを制御することを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項16】
前記第1表示部はヘッドアップディスプレイであり、前記第2表示部はメータ表示部であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項17】
前記第3表示部は、前記車両の内部の周囲に配置され、水平方向にフロントガラスより下方に配置された室内灯であることを特徴とする請求項3又は12に記載の車両制御装置。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の車両制御装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項19】
車両を制御する車両制御装置の動作方法であって、
前記車両の外界輝度の情報を取得する輝度取得工程と、
前記外界輝度に基づいて、前記車両の状況を表示する第1表示部が表示する第1表示領域と、前記車両の状況を表示する第2表示部が表示する第2表示領域であって前記第1表示領域の下方に表示される前記第2表示領域とを含む複数の表示領域の輝度を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
前記外界輝度が閾値を上回る場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第1表示領域の輝度を抑制し、
前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第2表示領域の輝度を抑制することを特徴とする車両制御装置の動作方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至17の何れか1項に記載の車両制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の警告情報が表示される表示領域に警告情報が表示されている間、表示領域のバックライトの輝度を高くすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-185413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数の表示領域が車両に配置されている場合、特に外界が暗い時には、運転者の視界に入る車両上方の表示領域において輝度が高くなると誘目が発生するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、運転者の視界に表示領域が存在する場合に、外界の視認性を向上させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明に係る車両制御装置は、
車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の外界輝度の情報を取得する輝度取得手段と、
前記外界輝度に基づいて、前記車両の状況を表示する第1表示部が表示する第1表示領域と、前記車両の状況を表示する第2表示部が表示する第2表示領域であって前記第1表示領域の下方に表示される前記第2表示領域とを含む複数の表示領域の輝度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記外界輝度が閾値を上回る場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第1表示領域の輝度を抑制し、
前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度低下するにつれて前記第2表示領域の輝度を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者の視界に表示領域が存在する場合に、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の構成例を説明するための図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示部の配置構成の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る車両制御装置が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る車両制御装置が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態に係る車両制御装置が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図7】(a)~(c)本発明の一実施形態に係る表示領域の輝度変化の一例を示す図である。
図8】(a)~(c)本発明の一実施形態に係る第2表示領域の輝度変化が行われる領域範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
<車両構成>
図1および図2は、本実施形態に係る車両1の構成を説明するための図である。図1は、以下で説明される各要素の配置位置および要素間の接続関係を、車両1の上面図および側面図を用いて示す。図2は、車両1のシステムブロック図である。
【0011】
尚、以下の説明において、前/後、上/下、側方(左/右)などの表現を用いる場合があるが、これらは、車両1の車体を基準に示される相対的な方向を示す表現として用いられる。例えば、「前」は車体の前後方向における前方を示し、「上」は車体の高さ方向を示す。
【0012】
図2に示されるように、車両1は、操作機構11、周辺監視装置12、車両制御装置13、駆動機構14、制動機構15、操舵機構16、乗員監視装置17、第1表示部301、第2表示部302、第3表示部303、報知部18を備える。なお、本実施形態では車両1は四輪車とするが、車輪の数はこれに限られるものではない。
【0013】
操作機構11は、加速用操作子111、制動用操作子112、及び、操舵用操作子113を含む。典型的には、加速用操作子111はアクセルペダルであり、制動用操作子112はブレーキペダルであり、また、操舵用操作子113はステアリングホイールである。しかし、これらの操作子111~113には、レバー式、ボタン式等、他の方式のものが用いられてもよい。
【0014】
周辺監視装置12は、カメラ121、レーダ122、及び、ライダ(Light Detection and Ranging(LiDAR))123を含み、これらは何れも車両(自車両)1の周辺環境を監視ないし検出するためのセンサとして機能する。カメラ121は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等を用いた撮像装置である。レーダ122は、例えばミリ波レーダ等の測距装置である。また、ライダ123は、例えばレーザレーダ等の測距装置である。これらは、図1に例示されるように、車両1の周辺環境を検出可能な位置、例えば、車体の前方側、後方側、上方側および側方側にそれぞれ配される。
【0015】
上述の車両1の周辺環境の例としては、車両1の走行環境およびそれに関連する車両1周辺の環境(車線の延設方向、走行可能領域、信号機の色など)、車両1周辺のオブジェクト情報(他車両、歩行者、障害物などのオブジェクトの有無、そのオブジェクトの属性、位置、移動の向きや速さなど)等が挙げられる。この観点で、周辺監視装置12は、車両1の周辺情報を検出するための検出装置等と表現されてもよい。
【0016】
また、周辺監視装置12は、輝度センサ124を含む。輝度センサ124は、例えば車両1のフロントガラスの下方に配置され、フロントガラスを通って上空の方向を向いている。輝度センサ124は車両1の外界輝度を取得することができる。
【0017】
車両制御装置13は、車両1を制御可能に構成され、例えば、操作機構11、周辺監視装置12からの信号に基づいて、各機構14~16を制御することができる。車両制御装置13は複数のECU(電子制御ユニット)131~135を含む。各ECUは、1以上のCPU、1以上のメモリおよび通信インタフェースを含む。各ECUは、通信インタフェースを介して受け取った情報(データないし電気信号)に基づいて1以上のCPUにより1以上のメモリから1以上のプログラムを読み出して処理を実行する。そして、その処理結果を、1以上のメモリに格納し、或いは、通信インタフェースを介して他の要素に出力する。
【0018】
ECU131は、加速用ECUであり、例えば、運転者による加速用操作子111の操作量に基づいて後述の駆動機構14を制御する。ECU132は、制動用ECUであり、例えば、運転者による制動用操作子112の操作量に基づいて制動機構15を制御する。制動機構15は、例えば、各車輪に設けられたディスクブレーキである。ECU133は、操舵用ECUであり、例えば、運転者による操舵用操作子113の操作量に基づいて操舵機構16を制御する。操舵機構16は、例えば、パワーステアリングを含む。
【0019】
ECU134は、周辺監視装置12に対応して設けられた解析用ECUである。ECU134は、周辺監視装置12により得られた車両1の周辺環境に基づいて所定の解析/処理を行い、その結果をECU131~ECU133に出力することができる。ECU131~133は、ECU134から取得した信号に基づいて各機構14~16を制御することができる。このような構成により、車両制御装置13は、周辺環境に応じた車両1の走行制御を行うことができる。
【0020】
また、ECU134は、周辺監視装置12により得られた車両1の周辺環境に基づいて所定の解析/処理を行い、車両1に設けられた各種の表示部の表示内容や、表示輝度等を制御することができる。さらに、ECU134は、ECU131~ECU133から取得した情報を用いて車両1に設けられた各種の表示部の表示内容や、表示輝度等を制御することができる。
【0021】
また、ECU134は、報知部18の動作を制御し、例えば、音声及び/又は振動等を用いて乗員に対して警告を報知したり、種々の情報を報知したりすることもできる。
【0022】
ECU135は、乗員監視装置17に対応して設けられた解析用ECUである。乗員監視装置17は、本実施形態では、車内に設置された車内カメラ171を含み、この車内カメラ171を用いて車両1の車室内の撮影画像を取得することができる。ECU135は、この撮影画像を乗員監視装置17から受け取って、その解析結果に基づいて車両1に設けられた各種の表示部の表示内容や、表示輝度等を制御することができる。
【0023】
なお、車両制御装置13は図示の構成に限られるものではない。例えば、各ECU131~135にはASIC(特定用途向け集積回路)等の半導体装置が用いられてもよい。即ち、各ECU131~135の機能は、ハードウェアおよびソフトウェアの何れによっても実現可能である。また、ECU131~135の一部または全部を、単一のECUとして構成してもよい。また、車両制御装置13は、周辺監視装置12、乗員監視装置17、報知部18等の少なくとも何れかを含む構成としてもよい。
【0024】
<表示部の配置構成>
ここで、図3を参照して、本実施形態に係る第1表示部301、第2表示部302、第3表示部303の配置構成の一例を説明する。
【0025】
第1表示部301は、例えばヘッドアップアップディスプレイであり、車両1のフロントガラスに対して情報を投影することで第1表示領域311に車両1の状況、状態等を表示することができる。第2表示部は302、例えばメータ表示部であり、第2表示領域312を有している。第2表示領域312は第1表示領域311の車両上下方向の下方に配置されている。
【0026】
第3表示部303は、例えば車両1の内部の周囲に配置され、水平方向にフロントガラスより下方に配置された室内灯である。第3表示部303は、第3表示領域313a~313cを表示する第3表示部303a~303cを含むがその配置数、配置位置等は図示の例に限定されない。第3表示部303は種々の輝度で種々の色を点灯又は点滅することができる。第3表示領域313a~313cは、第2表示領域312よりも車両上下方向の下方に配置されている。
【0027】
日中であったり、晴天時であったりして外界が明るい時は、車両1の各表示領域の輝度を高くすることで、視認性を向上させることができる。一方、夕方になったり、曇り空や雨天になったりして外界が暗くなった時に、各表示領域の輝度がそのままだと、表示領域の輝度が相対的に高くなってしまい外界よりも表示領域に誘目されやすくなる。さらに、車両上下方向の上方に位置する表示領域ほど、外界が暗くなるほど誘目されやすくなる。
【0028】
そこで、本実施形態では、ECU134が、輝度センサ124により検知された外界輝度の情報を取得し、外界輝度に基づいて各表示領域の表示輝度や表示色等を制御する。例えば、外界が暗くなるにつれて、上方に位置する表示領域の輝度を抑制し、一定以上暗くなった場合、下方に位置する表示領域の輝度を抑制する。なお、輝度の抑制とは、輝度を低下させることに限定されず、輝度をゼロにする(すなわち表示領域のバックライトをオフにする)ことも含みうる。
【0029】
第1表示領域311、第2表示領域312については例えばそのバックライトの輝度や色を制御する。第1表示領域311及び第2表示領域312については、表示領域全体(バックライト)の輝度制御に代えて或いはそれと共に、第1表示領域311に表示中のアイコンや文字、数字等の発光輝度や色を制御するように構成してもよい。第3表示領域313についてはその発光輝度や発光色、発光位置や発光面積を制御する。第3表示領域313は、運転者の視界から遠い位置に配置されており、発光色の変化よりも発光輝度の変化を運転者は認識しやすい。
【0030】
<処理>
続いて、図4のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る車両制御装置13が実施する処理の手順を説明する。本実施形態では、2種類の表示領域(第1表示領域311、第2表示領域312)を制御する。
【0031】
S401において、ECU134は、周辺監視装置12の輝度センサ124から車両1の周辺情報として外界輝度の情報を取得する。
【0032】
S402において、ECU134は、外界輝度が閾値以下であるか否かを判定する。外界輝度が閾値を上回る場合、S403へ進む。一方、外界輝度が閾値以下である場合、S404へ進む。
【0033】
S403において、ECU134は、外界輝度に基づいて第1表示領域311の輝度を制御する。具体的には、外界輝度の低下に応じて第1表示領域311の輝度を抑制する(例えば輝度を低下させる)ように制御し、外界輝度の増加に応じて第1表示領域311の輝度を増加するように制御する。輝度の制御対象は、最も上方に位置している第1表示領域311であり、それより下方に位置している第2表示領域312及び第3表示領域313の輝度は変更しない。
【0034】
S404において、ECU134は、外界輝度に基づいて第2表示領域312の輝度を制御する。具体的には、外界輝度の低下に応じて第2表示領域312の輝度を抑制する(例えば輝度を低下させる)ように制御し、外界輝度の増加に応じて第2表示領域312の輝度を増加するように制御する。輝度の制御対象は、次に上方に位置している第2表示領域312であり、それより下方に位置している第3表示領域313の輝度は変更しない。以上で図4の処理が終了する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、外界輝度が閾値を上回る場合、外界輝度の低下に応じて、上方に位置する第1表示領域の輝度を抑制する。そして、外界輝度が閾値以下である場合、外界輝度の低下に応じて、下方に位置する第2表示領域の輝度を抑制する。
【0036】
これにより、運転者の視界に表示領域が存在する場合に、外界の視認性を向上させることが可能となる。特に、外界が暗くなった場合でも表示領域に対する乗員の誘目を防止し、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、図4のS404において、外界輝度が閾値以下である場合に、外界輝度の低下に応じて第2表示領域312の輝度を抑制する例を説明したが、その際に、外界輝度の低下に応じて第1表示領域311の輝度も抑制するように構成してもよい。すなわち、第1表示領域311については、外界輝度が閾値を上回る場合でも閾値以下である場合でも、外界の低下に応じて輝度を抑制する制御を行い、第2表示領域312については、外界輝度が閾値を閾値以下である場合だけ、外界の低下に応じて輝度を抑制する制御を行ってもよい。
【0038】
このように、上方に位置する第1表示領域311については常時外界輝度に応じた輝度制御を行いつつ、一定以上暗くなってきた場合に下方に位置する第2表示領域312も外界輝度に応じた輝度制御を行うことで、外界の明るさに応じて適切に乗員の誘目を防止し、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【0039】
また、図4の処理において、第1表示領域311についても、外界が一定上明るい場合には外界輝度に応じた表示輝度の制御を実行しないように構成してもよい。すなわち、外界輝度が第1閾値以下である場合に、外界輝度に応じた第1表示領域311の輝度制御を実行し、外界輝度が第1閾値を上回る場合には外界輝度に応じた第1表示領域311の輝度制御を実行しないようにしてもよい。その場合、外界輝度が第1閾値以下であって、第2閾値を上回る範囲にある場合は第1表示領域311の輝度制御を実行し、外界輝度が第2閾値以下である場合は第2表示領域312の輝度制御を実行してもよい。
【0040】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で説明した第1表示領域311、第2表示領域312の輝度制御に加えて、第3表示領域313の輝度制御も行う例を説明する。装置構成については第1実施形態で説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
<処理>
図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る車両制御装置13が実施する処理の手順を説明する。本実施形態では、3種類の表示領域(第1表示領域311、第2表示領域312、第3表示領域313)を制御する。
【0042】
S501において、ECU134は、周辺監視装置12の輝度センサ124から車両1の周辺情報として外界輝度の情報を取得する。
【0043】
S502において、ECU134は、外界輝度が第1閾値以下であるか否かを判定する。外界輝度が第1閾値を上回る場合、S503へ進む。一方、外界輝度が第1閾値以下である場合、S504へ進む。
【0044】
S503において、ECU134は、外界輝度に基づいて第1表示領域311の輝度を制御する。具体的には、外界輝度の低下に応じて第1表示領域311の輝度を抑制する(例えば輝度を低下させる)ように制御し、外界輝度の増加に応じて第1表示領域311の輝度を増加するように制御する。輝度の制御対象は、最も上方に位置している第1表示領域311であり、それより下方に位置している第2表示領域312及び第3表示領域313の輝度は変更しない。
【0045】
S504において、ECU134は、外界輝度が第1閾値よりも低い第2閾値以下であるか否かを判定する。外界輝度が第2閾値を上回る場合(第1閾値以下であって第2閾値を上回る範囲)、S505へ進む。一方、外界輝度が第2閾値以下である場合、S506へ進む。
【0046】
S505において、ECU134は、外界輝度に基づいて第2表示領域312の輝度を制御する。具体的には、外界輝度の低下に応じて第2表示領域312の輝度を抑制する(例えば輝度を低下させる)ように制御し、外界輝度の増加に応じて第2表示領域312の輝度を増加するように制御する。輝度の制御対象は、次に上方に位置している第2表示領域312であり、それより下方に位置している第3表示領域313の輝度は変更しない。
【0047】
S506において、ECU134は、外界輝度に基づいて第3表示領域313の輝度を制御する。具体的には、外界輝度の低下に応じて第3表示領域313の輝度を抑制する(例えば輝度を低下させる)ように制御し、外界輝度の増加に応じて第3表示領域313の輝度を増加するように制御する。図3の例では、第3表示領域313a~313c全体の輝度を制御してもよいし、一部の輝度(例えば運転席に近い第3表示領域313cの輝度のみ)を制御するように構成してもよい。以上で図6の一連の処理が終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、外界輝度が第1閾値を上回る場合、外界輝度の低下に応じて、上方に位置する第1表示領域の輝度を抑制する。そして、外界輝度が第1閾値以下であり且つ第2閾値を上回る場合、外界輝度の低下に応じて、下方に位置する第2表示領域の輝度を抑制する。さらに、外界輝度が第2閾値以下である場合、外界輝度の低下に応じて、さらに下方に位置する第3表示領域の輝度を抑制する。
【0049】
これにより、外界が暗くなるにつれて運転者の視界に近い上方の表示領域から順に表示輝度を減少させることができるため、表示領域に対する乗員の誘目を防止し、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、外界輝度に応じて上方の表示領域から順に輝度を調整する例を説明したが、さらに車両1の車室の状況に応じて表示領域の輝度を調整してもよい。
【0051】
ECU134は、車内に設置された車内カメラ171により取得された撮影画像に基づいて、車両の車室の状況を検知する。そして、ECU134は、第3表示領域313の輝度が抑制されていない状態において、車両1の助手席に他の乗員が存在する場合、車両1のルーフが開状態である場合、又は、車室の天井に配置されており下方を照明する照明装置が点灯している場合に、第3表示領域313の輝度の上限値を増加させてもよい。
【0052】
車両1の助手席に他の乗員が存在する場合は、運転席から助手席側の第3表示領域313aが隠れるため、その輝度変化を認識しにくくなる。そのため、そのような場合に第3表示領域313の輝度の上限値を増加させることで、輝度変化を認識しやすくすることができる。同様に、車両1のルーフが開状態である場合は、外界の光が車室内に差し込むため、車内が明るくなって輝度変化を認識しにくくなる。そのため、そのような場合に第3表示領域313の輝度の上限値を増加させることで、輝度変化を認識しやすくすることができる。その際、ルーフの開度に応じて上限値の増加の程度を変更してもよい。例えば、ルーフの開度が大きいほど上限値を高くしてもよい。同様に、車室の天井に配置されており下方を照明する照明装置が点灯している場合は、車内が明るくなって輝度変化を認識しにくくなる。そのため、そのような場合に第3表示領域313の輝度の上限値を増加させることで、輝度変化を認識しやすくすることができる。
【0053】
また、第3表示領域313の輝度が抑制されていない状態、すなわち、外界輝度が第2閾値を上回る状態において、上記の場合に第3表示領域313の輝度の上限値を増加させることで、第3表示領域313の表示(発光)をより認識しやすくすることができる。
【0054】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、外界が暗くなるにつれて、運転者の視界に近い上方の表示領域の輝度から順番に抑制する例を説明した。これに対して、本実施形態では、車両1の前方を走行する前方車両との車間距離に応じて表示領域の輝度を制御する例を説明する。
【0055】
S601おいて、ECU134は、周辺監視装置12から周辺情報を取得する。
【0056】
S602において、ECU134は、S601で取得した周辺情報に基づいて、車両1の走行車線の前方を走行する前方車両が検知された場合、前方車両と車両1との車間距離を検知する。具体的には、周辺情報に基づいて前方車両との車間距離を算出して取得する。
【0057】
S603において、ECU134は、S602で検知された前方車両との車間距離に応じて複数の表示領域の各々の輝度を変更する。具体的には、車間距離が長いほど輝度を低くし、車間距離が短いほど輝度を高くする制御を行う。これにより、前方車両と接近していることを運転者が容易に認識することができる。ここで、輝度制御を行う対象は、例えば第1表示領域311、第2表示領域312、第3表示領域313の全てとしてもよいし、第1表示領域311、第2表示領域312の上方の2種類の表示領域としてもよいし、最も上方の第1表示領域311だけとしてもよい。
【0058】
S604において、ECU134は、前方車両と車両1との車間距離が所定距離以下であるか否かを判定する。車間距離が所定距離以下である場合、S605へ進む。一方、車間距離が所定距離よりも長い場合、S607へ進む。
【0059】
S605において、ECU134は、前方車両との距離が近いことを運転者に報知するために警告を出力する。警告は、例えば音声及び/又は操舵用操作子113(ステアリングホイール)の振動を用いて出力することができる。
【0060】
S606において、ECU134は、前方車両が車両1の走行車線から離脱したことを検知したか否かを判定する。離脱とは、前方車両が右左折したり、車線変更したりして、車両1の前方からいなくなることを意味する。前方車両の離脱が検知された場合、S607へ進む。一方、前方車両の離脱が検知されていない場合、S601に戻る。
【0061】
S607において、ECU134は、複数の表示領域の各々の輝度を低下させる。警告が出力された場合、運転者は注意が必要な状況であることを認識できているので、表示領域の輝度を増加させることによる注意喚起は不要となるため、表示領域の輝度を低下させる制御を行う。その際、ECU134は、複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、複数の表示領域の各々の輝度を低下させてもよい。これにより、警告が出力されたことに応じた輝度低下であることを容易に認識することが可能となる。
【0062】
また、ECU134は、前方車両が走行車線から離脱した(右左折、車線変更等)場合にも、表示領域の輝度を低下させる。前方車両が存在しなくなるため、注意喚起は不要となるためである。これにより、前方車両が走行車線から離脱したことを容易に認識することができる。このとき、車間距離に応じて複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも、離脱に応じて複数の表示領域の各々の輝度を低下させる場合の輝度変化の方が緩やかになるように制御してもよい。ここで、図7(b)は離脱時の輝度変化の一例を示す図である。図7(b)に示すように、例えば前方車両との接近により表示領域の輝度が次第に増加している場面において、t2で前方車両の離脱が発生し、その後はt2以前よりも緩やかな輝度変化で表示領域の輝度が低下している。
【0063】
急激な輝度変化は誘目を発生させるため、警告の意図が無い輝度の低下時には緩やかな輝度変化とすることで、不必要な誘目を回避することができる。特に、前方車両の走行車線からの離脱は、車両1の乗員が予期していない事象である可能性があるため、緩やかに低下させることで不必要な誘目を回避することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、前方車両との車間距離に応じて表示領域の輝度を制御する。これにより、車間距離に応じて運転者に注意喚起を行うことが可能となる。そして、前方車両との車間距離が所定距離以下になり警告が出力された場合、表示領域の輝度を低下させる。警告が出力された場合、運転者は注意が必要な状況であることを認識できているので、表示領域の輝度を増加させることによる注意喚起は不要となるためである。また、前方車両が走行車線から離脱した(右左折、車線変更等)場合にも、表示領域の輝度を低下させる。前方車両が存在しなくなるため、注意喚起は不要となるためである。
【0065】
なお、本実施形態では、S604において車間距離が所定距離以下になった場合に警告を出力するとともに、表示領域の輝度を低下させる例を説明した。これに代えて或いはこれと共に、乗員による制動操作が実行された(乗員がブレーキペダルを踏んだ)ことによって車間距離が所定距離を上回った場合には、注意喚起は不要であるため表示領域の輝度を低下させる制御を行う。その際、複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、複数の表示領域の各々の輝度を低下させるように構成してもよい。図7(c)は乗員による制動操作が実行された場合の輝度変化の一例を示す図である。図7(c)において、前方車両との接近に応じて輝度が増加していき、t3において乗員による制動操作が実行され、その後、輝度が急激に低下している。図示の例では輝度はゼロになっていないが、ゼロまで低下させてもよい。これにより、制動操作が実行されたことに応じた輝度低下であることを容易に認識することが可能となる。
【0066】
[変形例]
なお、本実施形態において、外界輝度に基づいて表示領域の輝度範囲の上限値を変更してもよい。外界輝度が90(相対値としての一例であるため単位無し)以上である場合、例えば晴れの日など外界輝度が100である場合に、表示領域の基本表示輝度を50とし、上限値を80とする。そして、外界輝度が90未満である場合、例えば曇りの日など外界輝度が80である場合に、表示領域の基本表示輝度を50とし、上限値を70とする。
【0067】
晴れの日には前方車両との車間距離に応じて50~80の輝度範囲で表示領域の輝度を変化させる。一方、曇りの日には前方車両との車間距離に応じて50~70の輝度範囲で表示領域の輝度を変化させる。あるいは、晴れの日と同様の輝度変化範囲(30)にするために40~70の輝度範囲で表示領域の輝度を変化させてもよい。
【0068】
すなわち、外界輝度が所定輝度以上である場合、車間距離に応じた複数の表示領域の輝度変更の際の輝度範囲の上限値を第1の輝度値(上記の例では80)とし、外界輝度が所定輝度未満である場合、上限値を第1の輝度値よりも低い第2の輝度値(上記の例では70)としてもよい。
【0069】
このように、外界が明るい場合は表示領域の輝度範囲の上限値を大きな値に設定し、外界が暗い場合は表示領域の輝度範囲の上限値を小さな値に設定する。これにより、外界の明るさに応じて、適切な表示輝度での表示が可能となり、不必要な誘目を防止することができる。
【0070】
なお、各表示領域の輝度の上限値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、運転者の視界から遠くなるほど輝度の上限値を大きくし、光の変化度が大きくなるように構成してもよい。すなわち、第1表示領域311よりも第2表示領域312の輝度上限値を大きくしてもよい。また第2表示領域312よりも第3表示領域313の輝度上限値を大きくしてもよい。
【0071】
また、例えばナビゲーション画面等を表示可能なディスプレイ(例えばタッチパネルディスプレイ)及び/又は1つ以上の物理スイッチを操作部とし、操作部を用いて複数の領域の輝度の変更操作を受け付け可能に構成してもよい。そして、第3実施形態における車間距離に応じた複数の表示領域の輝度変更の実行中に車両1の乗員により操作部が操作された場合、複数の表示領域の輝度を増加させる制御を行ってもよい。その際、例えば表示輝度の上限値まで増加させてもよい。例えば、図7(a)に示すように、車間距離が短くなって徐々に輝度が高く変化している場面において、t1で操作部が操作されて輝度変更操作が行われた場合(或いは輝度変更のための表示画面がディスプレイに表示された場合)、表示領域の輝度を短時間で増加させる制御を行う。
【0072】
乗員は、車間距離に応じた複数の表示領域の輝度変化を見ても、それが車間距離が近くなったことに基づく警告であると理解せず、表示領域の誤作動と勘違いし、自ら表示領域の輝度を操作部を用いて調整しようとする可能性がある。よって、操作部の操作で輝度調整操作が実行されたことに応じて、表示領域の輝度を増加させることで、明確に輝度変化を認識させ、前方車両との接近に基づく警告であることをすぐに認識させることができる。よって、操作部を用いた表示領域の輝度調整操作を早期に中断させ、外界を視認させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、車両1の前方を走行する前方車両との車間距離に応じて各表示領域の輝度を変更する例を説明した。しかし、変更する対象は輝度に限定されない。例えば、車間距離に基づいて複数の表示領域の各々の色を変更するように制御してもよい。例えば、車間距離が遠いときは青色(又は緑色)であり、車間距離が第1閾値以下となった場合に黄色に変更し、車間距離がさらに短い第2閾値以下となった場合に赤色に変更してもよい。運転者は表示領域の色の変化を見て、注意及び警戒が必要であることを直感的に認識することが可能となる。
【0074】
また、車間距離に応じて表示領域の輝度と色との両方を変更してもよい。例えば、車間距離が狭くなったときに、赤色に変更する及び輝度を増加させる制御を行うことで、より前方車両との接近により注意及び警戒が必要であることを容易に認識することが可能となる。
【0075】
上述の各実施形態では、外界輝度に応じて表示領域の輝度を変更する例を説明したが、例えば第2表示部312の第2表示領域312については、例えば第2表示領域312全体の領域(バックライト全体)を輝度変化させるのではなく、外界の明るさに応じて輝度変化させる領域を変更してもよい。例えば図8(a)は外界が明るい場合の輝度変化領域の一例を示す。第2表示部312の第2表示領域312のうち変化領域801の輝度を変化させるように制御する。図8(b)は外界輝度が中程度の場合の輝度変化領域の一例を示す。図示のように、第2表示部312の第2表示領域312のうち変化領域802(およそ下半分の領域)の輝度を変化させるように制御する。そして、図8(c)は外界が暗い場合の輝度変化領域の一例を示す。図示のように、第2表示部312の第2表示領域312のうち変化領域803の輝度を変化させるように制御する。図示の例では3つのパターンを示したが、外界輝度に応じて連続的に輝度変化領域を変更してもよい。すなわち、外界が明るいほど輝度変化領域が上方まで増大し、外界が暗いほど輝度変化領域が下方に減少していくように制御してもよい。これにより、外界が暗い場合に、視界上方の輝度が低下することから誘目を防止することが可能となる。
【0076】
また、第3実施形態において、前方車両との車間距離に応じて輝度を変化させる制御を行う際、車間距離が所定距離以上離れている場合、第2表示領域312のバックライトを非点灯もしくはわずかに点灯させ、車間距離が近くなった場合に白色もしくは赤色にバックライトの色を変更する制御を行ってもよい。ただし、外界が暗い場合、白色又は赤色に変更する際の輝度は外界が明るい時と比較して低い輝度となるように制御してもよい。
【0077】
また、ECU135が乗員監視装置17の車内カメラ171により撮影された画像を解析して、乗員(特に運転者)視線方向や顔の向きに基づいての誘目の発生を推定してもよい。表示領域の輝度変化により誘目が発生していると推定される場合、ECU134が輝度変化の程度を自動で調整(例えば現在の輝度変化よりも緩やかな輝度変化になるように調整)してもよい。
【0078】
また、第1実施形態又は第2実施形態と、第3実施形態とを組み合わせて実行してもよい。すなわち、外界が暗くなるにつれて、上方に位置する表示領域から輝度を抑制する第1実施形態又は第2実施形態の制御とともに、車間距離に応じた表示領域の輝度制御を行う第3実施形態の制御との両方を実行してもよい。
【0079】
(その他の実施形態)
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現するプログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0080】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0081】
<実施形態のまとめ>
第1の態様による車両制御装置(例えば13)は、
車両(例えば1)を制御する車両制御装置であって、
前記車両の外界輝度の情報を取得する輝度取得手段(例えば12、134)と、
前記外界輝度に基づいて、前記車両の状況を表示する第1表示部(例えば301)が表示する第1表示領域(例えば311)と、前記車両の状況を表示する第2表示部(例えば302)が表示する第2表示領域(例えば312)であって前記第1表示領域の下方に表示される前記第2表示領域とを含む複数の表示領域の輝度を制御する制御手段(例えば134)と、を備え、
前記制御手段は、
前記外界輝度が閾値を上回る場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第1表示領域の輝度を抑制し、
前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第2表示領域の輝度を抑制する。
【0082】
これにより、運転者の視界に表示領域が存在する場合に、外界の視認性を向上させることが可能となる。特に、外界が暗くなった場合でも表示領域に対する乗員の誘目を防止し、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【0083】
第2の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第1表示領域の輝度を抑制するとともに前記第2表示領域の輝度を抑制する。
【0084】
これにより、外界が明るい場合には、外界輝度に応じて上方に位置する表示領域を制御することで誘目を防止し、外界が暗い場合には、外界輝度に応じて両方の表示領域を制御することでより効果的に誘目を防止することができる。
【0085】
第3の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記複数の表示領域は、前記第2表示領域よりも下方であって前記車両の内部の周囲に配置された第3表示部が表示する第3表示領域をさらに含み、
前記制御手段は、前記外界輝度に基づいて前記第3表示領域の輝度をさらに制御し、
前記制御手段は、前記外界輝度が前記閾値よりも低い第2閾値以下である場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第3表示領域の輝度を抑制する。
【0086】
これにより、外界がより暗くなった場合に、より下方に位置する表示領域について輝度制御することで、より効果的に誘目を防止することができる。
【0087】
第4の態様による車両制御装置(例えば13)は、
前記車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段(例えば12、134)をさらに備え、
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両との車間距離を検知し、
前記車間距離に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を変更する。
【0088】
これにより、前方車両との車間距離を輝度調整によって直感的に認識させることが可能となる。
【0089】
第5の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記車間距離が長いほど前記複数の表示領域の各々の輝度を低くし、前記車間距離が短いほど前記複数の表示領域の各々の輝度を高くする。
【0090】
これにより、表示領域の輝度が高くなったことで、容易に前方車両への接近を認識することが可能となる。
【0091】
第6の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、
前記外界輝度が所定輝度以上である場合、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の際の輝度範囲の上限値を第1の輝度値とし、
前記外界輝度が前記所定輝度未満である場合、前記上限値を前記第1の輝度値よりも低い第2の輝度値とする。
【0092】
これにより、外界の明るさに応じて、適切な表示輝度での表示が可能となり、不必要な誘目を防止することができる。
【0093】
第7の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記複数の表示領域の輝度の変更操作を受け付ける操作手段(例えばタッチパネルディスプレイ、物理ボタン等)をさらに備え、
前記制御手段は、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の実行中に前記車両の乗員により前記操作手段が操作された場合、前記複数の表示領域の輝度を増加させる。
【0094】
操作部の操作で輝度調整操作が実行されたことに応じて、表示領域の輝度を増加させることで、明確に輝度変化を認識させ、現在の表示領域の輝度変化が前方車両との接近に基づく警告であることをすぐに認識させることができる。よって、操作部を用いた表示領域の輝度調整操作を早期に中断させ、外界を視認させることが可能となる。
【0095】
第8の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記車間距離に応じた前記複数の表示領域の輝度変更の実行中に前記車両の乗員により前記操作手段が操作された場合、前記複数の表示領域の輝度を上限値まで増加させる。
【0096】
これにより、より明確に輝度変化を認識させ、現在の表示領域の輝度変化が前方車両との接近に基づく警告であることをより早期に認識させることができる。
【0097】
第9の態様による車両制御装置(例えば13)は、
前記車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段(例えば12、134)をさらに備え、
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両との車間距離を検知し、
前記車間距離に基づいて前記複数の表示領域の各々の色を変更する。
【0098】
これにより、前方車両との車間距離を色調整によって直感的に認識させることが可能となる。
【0099】
第10の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、
前記周辺情報に基づいて前記車両の前方を走行する前方車両の走行車線からの離脱(例えば右左折、車線変更等)を検知し、
前記離脱に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させる。
【0100】
これにより、前方車両が走行車線から離脱したことを容易に認識することができる。
【0101】
第11の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記車間距離に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも、前記離脱に応じて前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させる場合の輝度変化の方が緩やかになるように制御する。
【0102】
激な輝度変化は誘目を発生させるため、警告の意図が無い輝度の低下時には緩やかな輝度変化とすることで、不必要な誘目を回避することができる。
【0103】
第12の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記車両の車室の状況を検知する検知手段(例えば17、134)をさらに備え、
前記制御手段は、
前記第3表示領域の輝度が抑制されていない状態において、
前記車両の助手席に他の乗員が存在する場合、前記車両のルーフが開状態である場合、又は、前記車室の天井に配置されており下方を照明する照明装置が点灯している場合、
前記第3表示領域の輝度の上限値を増加させる。
【0104】
これにより、他の乗員により表示が遮られる場合や、車内が明るくなる場合でも、輝度変化を認識しやすくすることができる。
【0105】
第13の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記車間距離が所定距離以下となった場合に警告を出力する警告手段(例えば18、134)をさらに備え、
前記制御手段は、前記警告が出力された場合、前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させる。
【0106】
これにより、警告が出力されたことに応じた輝度低下であることを容易に認識することが可能となる。
【0107】
第14の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記車両の乗員により制動操作が実行されて前記車間距離が所定距離を上回った場合、前記複数の表示領域の各々の輝度を増加させる場合の輝度変化よりも大きな輝度変化で、前記複数の表示領域の各々の輝度を低下させる。
【0108】
これにより、制動操作が実行されたことに応じた輝度低下であることを容易に認識することが可能となる。
【0109】
第15の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記制御手段は、前記第1表示領域のバックライト輝度と、前記第2表示領域のバックライト輝度とを制御する。
【0110】
このように、範囲が広いバックライトの輝度を調整することにより、効果的に誘目を防止することができる。
【0111】
第16の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記第1表示部はヘッドアップディスプレイであり、前記第2表示部はメータ表示部である。
【0112】
これにより、運転者の視界に含まれるヘッドアップディスプレイやメータ表示部の表示領域を外界輝度に基づいて制御することが可能となる。
【0113】
第17の態様による車両制御装置(例えば13)では、
前記第3表示部は、前記車両の内部の周囲に配置され、水平方向にフロントガラスより下方に配置された室内灯である。
【0114】
これにより、室内灯の表示領域(発光領域)を外界輝度に基づいて制御することが可能となる。
【0115】
第18の態様による車両(例えば1)は、
第1乃至第17の何れかの態様による車両制御装置を備える車両である。
【0116】
これにより、車両制御装置の処理を車両で実現可能となる。
【0117】
第19の態様による車両制御装置(例えば13)の動作方法は、
車両を制御する車両制御装置の動作方法であって、
前記車両の外界輝度の情報を取得する輝度取得工程と、
前記外界輝度に基づいて、前記車両の状況を表示する第1表示部が表示する第1表示領域と、前記車両の状況を表示する第2表示部が表示する第2表示領域であって前記第1表示領域の下方に表示される前記第2表示領域とを含む複数の表示領域の輝度を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、
前記外界輝度が閾値を上回る場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第1表示領域の輝度を抑制し、
前記外界輝度が前記閾値以下である場合、前記外界輝度の低下に応じて前記第2表示領域の輝度を抑制する。
【0118】
これにより、運転者の視界に表示領域が存在する場合に、外界の視認性を向上させることが可能となる。特に、外界が暗くなった場合でも表示領域に対する乗員の誘目を防止し、外界の視認性を向上させることが可能となる。
【0119】
第20の態様によるプログラムは、
コンピュータを、第1乃至第17の何れかの態様による車両制御装置として機能させるためのプログラムである。
【0120】
これにより、車両制御装置の処理をコンピュータにより実現可能となる。
【符号の説明】
【0121】
1:車両、12:周辺監視装置、13:車両制御装置、17:乗員監視装置、18:報知部、131~135:ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8