(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】印刷制御システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241119BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241119BHJP
H04L 67/00 20220101ALI20241119BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06F3/12 367
B41J29/38 201
G06F3/12 312
G06F3/12 385
H04L67/00
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2021055810
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】吉本 和弘
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058045(JP,A)
【文献】特開2016-062232(JP,A)
【文献】特開2014-172394(JP,A)
【文献】特開2012-088938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
H04L 67/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、
前記親機が、
他の親機に記憶されている印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記他の親機から取得し記憶するジョブリスト取得部と、
第1の子機から前記ジョブリスト情報を送信することを要求するジョブリスト要求を取得した場合に、要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備え、
前記子機が、
接続可能な唯1つの親機を特定した接続親機情報を記憶する第2記憶部と、
前記ジョブリスト要求を、前記唯1つの親機に送信するジョブリスト要求部と、
前記親機から送信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、前記印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、前記ジョブリスト応答を取得することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項2】
前記親機が、
1または複数の印刷データを保存する第1記憶部と、
前記第1記憶部に保存された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、他の親機に送信する印刷ジョブ通知部と、
前記複数の子機のうち第1の子機から送信され、前記印刷データのファイル名を含むジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得部とをさらに備え、
前記ジョブリスト取得部が、他の親機から送信されてきたジョブリスト情報を前記第1記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
【請求項3】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、
前記親機が、
1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、他の親機に送信する印刷ジョブ通知部と、
他の親機から送信されてきたジョブリスト情報を取得し前記第1記憶部に記憶するジョブリスト取得部と、
前記複数の子機のうち第1の子機から送信され、前記印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得部と、
前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備え、
前記子機が、
接続可能な唯1つの親機を特定した接続親機情報を記憶する第2記憶部と、
前記ジョブリスト要求を、前記唯1つの親機に送信するジョブリスト要求部と、
前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、前記印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、前記ジョブリスト応答を取得することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項4】
前記親機の第1記憶部に、接続可能な1または複数の他の親機の情報からなる他親機情報を予め記憶し、
前記印刷ジョブ通知部が、前記他親機情報に記憶された親機に、ジョブリスト情報を送信することを特徴とする請求項2または3に記載の印刷制御システム。
【請求項5】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続され親機と子機のうち、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とを、1つのグループに属する画像形成装置として設定された印刷制御システムであって、
前記親機が、
1または複数の印刷データを保存する第1記憶部と、
他の親機に記憶されている印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記他の親機から取得し記憶するジョブリスト取得部と、
任意の第1の子機から前記ジョブリスト情報を送信することを要求するジョブリスト要求を取得した場合に、要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備え、
前記子機が、
前記ジョブリスト要求を、接続可能な親機を特定した接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部と、
前記親機から送信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部と、
接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶した第2記憶部とを備え、
各子機の第2記憶部に記憶される前記接続親機情報に、子機と同じグループに属する1または複数の親機の情報を記憶し、
前記子機のジョブリスト要求部が、前記接続親機情報に記憶された任意の1つの親機に前記ジョブリスト要求を送信し、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、前記印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、前記ジョブリスト応答を取得することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項6】
前記子機は、前記ジョブリスト応答取得部によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリスト情報を表示させるジョブリスト表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の印刷制御システム。
【請求項7】
前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求する場合、
前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記親機のジョブリスト要求取得部が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、
前記印刷ジョブ応答部が、前記第1記憶部に記憶されているジョブリスト情報のうち、前記ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を取得し、前記取得したジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の印刷制御システム。
【請求項8】
前記第1の子機は、
前記ジョブリスト表示部によって表示されたジョブリスト情報のうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを前記第1の子機に送信することを要求する印刷情報要求を、前記選択された印刷データを記憶している親機に送信する印刷情報要求部と、
前記印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する印刷情報取得部とをさらに備え、
前記親機は、
前記選択された印刷データのジョブ名で特定され、前記第1記憶部に記憶されていた印刷データを含む印刷応答情報を、前記印刷情報要求を送信してきた第1の子機に送信する印刷情報応答部をさらに備え、
前記第1の子機から、前記親機に印刷情報要求を送信した後、前記親機から、前記第1の子機に印刷応答情報が返信された場合に、前記第1の子機において、前記印刷情報取得部が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷することを特徴とする請求項6に記載の印刷制御システム。
【請求項9】
印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定され、
各子機の第2記憶部に記憶される前記接続親機情報に、子機と同じグループに属する1つの親機の情報と、子機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とを記憶し、
前記印刷データが記憶されている親機の印刷ジョブ通知部が、前記親機の第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、同じグループに属する他の親機に送信し、
前記同じグループに属する他の親機が、前記ジョブリスト情報を取得している場合、任意の第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記ジョブリスト要求を受信した親機のうち、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を取得している親機の印刷ジョブ応答部が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御システム。
【請求項10】
印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定され、
前記親機が、前記第1記憶部に、その親機と同じグループに属する他の親機の情報と、
その親機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とからなる他親機情報を予め記憶し、
前記第1記憶部に印刷データを記憶している親機Aの印刷ジョブ通知部が、前記第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、前記親機Aの他親機情報に記憶された親機に送信し、
前記親機Aから送信されたジョブリスト情報を取得した親機Bが、前記親機Bの他親機情報に記憶された親機のうち親機Bと同じグループに属する他の親機に、前記取得したジョブリスト情報を送信した後、
前記親機Bから送信されたジョブリスト情報を受信した親機が、自己の前記第1記憶部にジョブリスト情報を記憶し、
前記任意の第1の子機のジョブリスト要求部が、ジョブリスト要求を、その子機の前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、
前記ジョブリスト要求を取得した親機の印刷ジョブ応答部が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、自己の第1記憶部に記憶されたジョブリスト情報であって、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載された印刷制御システムに含まれる子機として設定された画像形成装置。
【請求項12】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、
複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データを保存する保存ステップと、
印刷データを保存している第1の親機が、その印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を生成するジョブリスト生成ステップと、
生成したジョブリスト情報を、第1の親機に予め記憶された他親機情報に設定されている親機に配信するジョブリスト配信ステップと、
他親機情報に設定されている親機が、前記配信されたジョブリスト情報を受信し記憶するジョブリスト受信ステップと、
複数の子機のうち、第1の子機から、前記印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を、前記第1の子機に予め記憶された接続親機情報に設定されている唯1つの親機に送信するジョブリスト要求ステップと、
前記唯1つの親機が、ジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得ステップと、
前記ジョブリスト要求を取得した親機が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機からのジョブリスト要求によって要求された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報であって、前記記憶されているジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答ステップと、
前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得ステップとを備える
ことを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法。
【請求項13】
ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、
前記親機が、他の親機に記憶されている印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記他の親機から取得し記憶するジョブリスト取得ステップと、
前記子機が、前記ジョブリスト情報を送信することを要求するジョブリスト要求を、接続可能な唯1つの親機を特定した接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求ステップと、
前記唯1つの親機が、前記子機から送信されたジョブリスト要求を取得した場合に、要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する印刷ジョブ応答ステップと、
前記子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを保存している親機、あるいは、前記印刷データを保存していない親機のうちいずれか1つの親機から、送信された前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得ステップとを備えることを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷制御システムに関し、特に、複数の画像形成装置がネットワークを介して接続され、ユーザが作成した印刷データを記憶した画像形成装置とは異なる画像形成装置で、そのユーザが作成した印刷データを印刷することが可能な印刷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークを介して複数の画像形成装置を接続し、ユーザの所有する携帯端末から送信された印刷データDATAを、1つの特定の画像形成装置(親機)に記憶させ、そのユーザが、特定の画像形成装置とは異なる画像形成装置(子機)において、印刷データDATAを印刷させる操作をした場合に、子機から親機に問合せ、親機から子機に印刷データDATAを送信して、子機でその印刷データDATAを印刷することが可能な印刷システムが利用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ユーザ端末から親機として設定された1台の画像形成装置に印刷ジョブを送信して、親機にその印刷ジョブを記憶し、複数の画像形成装置のうち子機として設定された画像形成装置に、親機のIPアドレスを記憶しておき、ユーザが、子機が設置された場所に移動して、子機でユーザ情報を入力して親機にログインした場合に、子機が親機からそのユーザの印刷ジョブを取得して、ユーザの印刷指示により印刷ジョブに含まれる印刷データをその子機で印刷する印刷システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ユーザが子機にてユーザIDとパスワードを入力してログインすると、入力されたユーザIDとパスワードが、ユーザ毎の印刷ジョブが記憶されている親機に送信されてユーザ認証が行われ、親機にてユーザ認証に成功すると、ユーザIDに対応する印刷ジョブの情報が親機から子機に送信され、子機にてユーザについての印刷ジョブの一覧が表示され、子機にてユーザが印刷ジョブを選択し印刷開始を指示すると、選択された印刷ジョブの送信要求が子機から親機に送信され、送信要求のあった印刷ジョブが親機から子機に送信されて、子機にて受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する情報処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-18318号公報
【文献】特開2017-129940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の印刷システムでは、印刷データを記憶する親機が、1つの特定の画像形成装置に固定されているので、各子機にその親機の情報を予め記憶しておけば、印刷しようとする子機から、その親機に接続することで、印刷データを容易に取得することができた。
しかし、印刷システムが、複数の親機と複数の子機とから構成される場合、印刷しようとする子機において、印刷データを記憶した親機がどの親機であるかが不明な場合がある。
【0007】
たとえば、子機から5台の親機に接続することが可能な場合、子機から、5台の各親機に対して、それぞれ、印刷データを記憶しているか否かを問合せ、各親機からの返信(問合せに対する応答)を待って、印刷データを記憶している親機を見つける必要がある。
親機の台数が増えるほど、印刷データを記憶している親機を見つけるのに時間がかかる。
【0008】
また、子機から接続することが可能な親機の台数が多い場合、問合せの情報の送信数が多くなり、また、その問合せに対する各親機からの応答の数も多くなり、子機における問合せの送信および応答の受信の処理に係る負荷が大きい。
さらに、逆に、1台の親機に接続可能な子機の台数が多い場合、親機は多数の問合せの情報を受信して、各問合せに対応した印刷ジョブを取得して、各子機にそれぞれの問合せに対する応答を送信する処理をしなければならず、親機においても、問合せの受信と、印刷ジョブの取得と、応答の送信の処理に係る負荷が大きい。
【0009】
また、印刷しようとする子機において、上記の問合せデータが子機から各親機に対して送信された後、複数の親機からの返信を待つためのタイマーが設定される場合、複数の親機の中にメンテナンス等の原因で停止状態にある親機がある場合、そのような親機からの返信が来ないので、ユーザは、タイマーに設定された時間が経過するのを待つ必要があり、ユーザの利便性が悪い。
【0010】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうち、ユーザが作成した印刷データを記憶することが可能な親機が複数あり、ネットワークを介して接続することができる親機と子機の数がどちらも多数ある場合でも、親機と子機のそれぞれの負荷を軽減でき、ユーザが、印刷データを記憶していない画像形成装置を利用して、容易かつ迅速に印刷データを印刷することができ、ユーザの利便性を向上させることのできる印刷制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、前記親機が、他の親機に記憶されている印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記他の親機から取得し記憶するジョブリスト取得部と、任意の第1の子機から前記ジョブリスト情報を送信することを要求するジョブリスト要求を取得した場合に、要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備え、前記子機が、前記ジョブリスト要求を、接続可能な親機を特定した接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部と、前記親機から送信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、前記印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、前記ジョブリスト応答を取得することを特徴とする印刷制御システムを提供するものである。
【0012】
この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムであって、前記親機が、1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、他の親機に送信する印刷ジョブ通知部と、他の親機から送信されてきたジョブリスト情報を取得し前記第1記憶部に記憶するジョブリスト取得部と、前記複数の子機のうち任意の第1の子機から送信され、前記印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得部と、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備え、前記子機が、接続可能な親機を特定した接続親機情報を記憶した第2記憶部と、前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信するジョブリスト要求部と、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得部とを備え、前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブIDで特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、前記印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、前記ジョブリスト応答を取得することを特徴とする印刷制御システムを提供するものである。
【0013】
また、前記親機の第1記憶部に、接続可能な1または複数の他の親機の情報からなる他親機情報を予め記憶し、前記印刷ジョブ通知部が、前記他親機情報に記憶された親機に、ジョブリスト情報を送信することを特徴とする。
【0014】
また、各子機の第2記憶部に記憶される前記接続親機情報に、1つの親機の情報が記憶されていることを特徴とする。
【0015】
また、印刷制御システムに含まれる親機と子機のうち、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とを、1つのグループに属する画像形成装置として設定し、各子機の第2記憶部に記憶される前記接続親機情報に、子機と同じグループに属する1または複数の親機の情報を記憶し、前記子機のジョブリスト要求部が、前記接続親機情報に記憶された親機のうち任意の1つの親機に前記ジョブリスト要求を送信することを特徴とする。
【0016】
また、前記子機は、前記ジョブリスト応答取得部によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリスト情報を表示させるジョブリスト表示部をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
また、前記親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求する場合、前記第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ユーザの識別情報を含めた前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記親機のジョブリスト要求取得部が、前記ジョブリスト要求を取得した場合、前記印刷ジョブ応答部が、前記第1記憶部に記憶されているジョブリスト情報のうち、前記ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を取得し、前記取得したジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記ジョブリスト要求を送信してきた第1の子機に送信することを特徴とする。
【0018】
また、前記第1の子機は、前記ジョブリスト表示部によって表示されたジョブリスト情報のうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを前記第1の子機に送信することを要求する印刷情報要求を、前記選択された印刷データを記憶している親機に送信する印刷情報要求部と、前記印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する印刷情報取得部とをさらに備え、前記親機は、前記選択された印刷データのジョブIDで特定され、前記第1記憶部に記憶されていた印刷データを含む印刷応答情報を、前記印刷情報要求を送信してきた第1の子機に送信する印刷情報応答部をさらに備え、前記第1の子機から、前記親機に印刷情報要求を送信した後、前記親機から、前記第1の子機に印刷応答情報が返信された場合に、前記第1の子機において、前記印刷情報取得部が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷することを特徴とする。
【0019】
また、印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定され、各子機の第2記憶部に記憶される前記接続親機情報に、子機と同じグループに属する1つの親機の情報と、子機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とを記憶し、前記印刷データが記憶されている親機の印刷ジョブ通知部が、前記親機の第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、同じグループに属する他の親機に送信し、前記同じグループに属する他の親機が、前記ジョブリスト情報を取得している場合、任意の第1の子機のジョブリスト要求部が、前記ジョブリスト要求を、前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記ジョブリスト要求を受信した親機のうち、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を取得している親機の印刷ジョブ応答部が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信することを特徴とする。
【0020】
また、印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定され、前記親機が、前記第1記憶部に、その親機と同じグループに属する他の親機の情報と、その親機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とからなる他親機情報を予め記憶し、前記第1記憶部に印刷データを記憶している親機Aの印刷ジョブ通知部が、前記第1記憶部に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、前記親機Aの他親機情報に記憶された親機に送信し、前記親機Aから送信されたジョブリスト情報を取得した親機Bが、前記親機Bの他親機情報に記憶された親機のうち親機Bと同じグループに属する他の親機に、前記取得したジョブリスト情報を送信した後、前記親機Bから送信されたジョブリスト情報を受信した親機が、自己の前記第1記憶部にジョブリスト情報を記憶し、前記任意の第1の子機のジョブリスト要求部が、ジョブリスト要求を、その子機の前記接続親機情報に記憶された親機に送信し、前記ジョブリスト要求を取得した親機の印刷ジョブ応答部が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、自己の第1記憶部に記憶されたジョブリスト情報であって、前記第1の子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信することを特徴とする。
【0021】
また、この発明は、上記したいずれかの印刷制御システムに含まれる親機として設定された画像形成装置を提供するものである。
また、上記したいずれかの印刷制御システムに含まれる子機として設定された画像形成装置を提供するものである。
【0022】
また、この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムの印刷制御方法であって、複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データを保存する保存ステップと、印刷データを保存している第1の親機が、その印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を生成するジョブリスト生成ステップと、生成したジョブリスト情報を、第1の親機に予め記憶された他親機情報に設定されている親機に配信するジョブリスト配信ステップと、他親機情報に設定されている親機が、前記配信されたジョブリスト情報を受信し記憶するジョブリスト受信ステップと、複数の子機のうち、任意の第1の子機から、前記印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を前記第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を、前記第1の子機に予め記憶された接続親機情報に設定されている1つの親機に送信するジョブリスト要求ステップと、前記接続親機情報に設定されている親機が、ジョブリスト要求を取得するジョブリスト要求取得ステップと、前記ジョブリスト要求を取得した親機が、前記取得したジョブリスト要求に対する返信として、前記第1の子機からのジョブリスト要求によって要求された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報であって、前記記憶されているジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、前記第1の子機に送信する印刷ジョブ応答ステップと、前記第1の子機が、前記ジョブリスト要求を送信した親機から返信される前記ジョブリスト応答を取得するジョブリスト応答取得ステップとを備えることを特徴とする印刷制御システムの印刷制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、親機が、記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を他の親機に送信する印刷ジョブ通知部と、他の親機から送信されてきたジョブリスト情報を取得し記憶するジョブリスト取得部と、子機から送信されたジョブリスト要求に対する返信として、要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を子機に送信する印刷ジョブ応答部とを備えるので、子機は、印刷データを記憶していない親機からもジョブリスト応答を取得することができ、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうち、ユーザが作成した印刷データを記憶することが可能な親機が複数あり、ネットワークを介して接続することができる親機と子機の数がどちらも多数ある場合でも、親機と子機のそれぞれの負荷を軽減でき、ユーザが、印刷データを記憶していない画像形成装置を利用して、容易かつ迅速に印刷データを印刷することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の印刷制御システムの一実施例の説明図である。
【
図2】この発明の画像形成装置のうち、親機の一実施例の構成ブロック図である。
【
図3】この発明の画像形成装置のうち、子機の一実施例の構成ブロック図である。
【
図4A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図である。
【
図4B】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図である。
【
図5A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(他親機情報)の一実施例の説明図である。
【
図5B】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(接続親機情報)の一実施例の説明図である。
【
図5C】接続可能な親機と子機の対応関係の一実施例の説明図である。
【
図5D】接続可能な親機と子機間におけるジョブリスト情報の配信処理の一実施例の説明図である。
【
図6】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(印刷情報)の一実施例の説明図である。
【
図7】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(ジョブリスト要求)の一実施例の説明図である。
【
図8A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(ジョブリスト情報)の一実施例の説明図である。
【
図8B】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(ジョブリスト応答)の一実施例の説明図である。
【
図9】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される情報(印刷情報要求)の一実施例の説明図である。
【
図10】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される情報(印刷応答情報)の一実施例の説明図である。
【
図11】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される接続親機情報に、2つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例(実施例2)の説明図である。
【
図12A】グループごとの接続可能な親機と子機の対応関係の一実施例(実施例3)の説明図である。
【
図12B】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される接続親機情報に、各グループ内の1つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例(実施例3)の説明図である。
【
図12C】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される他親機情報に、同じグループ内の他の親機の情報を設定記憶した場合の一実施例(実施例3)の説明図である。
【
図12D】各グループ内において、接続可能な親機間におけるジョブリスト情報の配信の一実施例(実施例3)の説明図である。
【
図12E】グループを超えて、接続可能な親機と子機間において配信されるジョブリストの配信処理の一実施例(実施例3)の説明図である。
【
図13A】この発明の画像形成装置のうち、親機の記憶部に記憶される他親機情報に、グループ内とグループ外の親機の情報を設定記憶した場合の一実施例(実施例4)の説明図である。
【
図13B】グループを超えて、接続可能な親機同士の間で配信されるジョブリスト情報の配信処理の一実施例(実施例4)の説明図である。
【
図13C】この発明の画像形成装置のうち、子機の記憶部に記憶される接続親機情報に、同じグループ内の1つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例(実施例4)の説明図を示す。
【
図13D】各グループ内において接続可能な親機と子機間でのジョブリスト情報の配信処理の一実施例(実施例4)の説明図である。
【
図14】この発明の画像形成装置のうち、子機の表示部に表示されるジョブリスト表示画面の一実施例の説明図である。
【
図15】この発明の印刷制御システムにおける情報通信シーケンスの一実施例の説明図である。
【
図16】この発明の画像形成装置のうち、子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図17】この発明の画像形成装置のうち、子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートである。
【
図18】この発明の画像形成装置のうち、親機における印刷情報受信処理とジョブリスト情報配信処理の一実施例のフローチャートである。
【
図19】この発明の画像形成装置のうち、親機における子機からの要求に対する応答処理(ジョブリスト応答の送信、印刷応答情報の送信)の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
この発明の印刷制御システムは、ネットワークに接続された複数の画像形成装置から構成される。
特に、この発明は、ネットワークを介して、親機として設定された複数の画像形成装置と、子機として設定された複数の画像形成装置とが接続された印刷制御システムである。
【0026】
画像形成装置(以下、MFP:Multifunction Peripheral、複合機とも呼ぶ)は、画像データを処理する装置であり、たとえば、複写(コピー)機能、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿編集機能、原稿保存機能、原稿送信(ファックス、FAX)機能、通信機能などを備えた電子機器である。
【0027】
複数の画像形成装置は、いずれも同等の画像処理機能を有する装置であるが、初期設定により、親機として機能する画像形成装置と、子機として機能する画像形成装置があるものとする。
親機として機能する画像形成装置(以下、単に、親機と呼ぶ)は、特に、ユーザ所有のパソコンや携帯端末などの情報処理装置から送信された印刷データを一時保存する機能を有するものとする。
【0028】
一方、子機として機能する画像形成装置(以下、単に、子機と呼ぶ)は、印刷データを取得して、その印刷データを印刷用紙等に出力する機能を有するものとする。
また、親機も、子機と同様に、印刷データを印刷用紙等に出力する機能を有するものとする。
また、親機に印刷データを送信する装置として、ユーザ所有のパソコンや携帯端末などの情報処理装置も、印刷制御システムに含まれるものとする。
【0029】
さらに、以下に説明するこの発明の印刷制御システムの通信処理は、ネットワークに接続された複数の情報処理装置から構成され、複数の情報処理装置が複数の親機と複数の子機の対応関係で接続され、互いに印刷データなどの情報を送受信する通信制御システムにも適用可能である。
情報処理装置としては、パソコン、通信装置、表示装置、画像形成装置など種々の装置があり、以下の実施形態は、これらの情報処理装置のいずれにも適用可能である。
【0030】
<この発明の印刷制御システムの構成>
図1に、この発明の印刷制御システムの一実施例の説明図を示す。
図1に示すように、この発明の印刷制御システムは、ネットワーク10を介して接続された親機(MFP-P)1と、子機(MFP-C)2と、情報処理装置(TE)3とから構成される。
親機(MFP-P)1は、上記したように、印刷データを一時保存する機能を有する画像形成装置であり、1または複数の親機(P01、P02、P03)が、印刷制御システムに含まれるものとする。
【0031】
子機(MFP-C)2は、上記したように、印刷データを出力する機能を有する画像形成装置であり、1または複数の子機(C001からC006)が、印刷制御システムに含まれるものとする。
情報処理装置(TE)3は、印刷データを印刷しようとするユーザが所有する装置であり、たとえば、ユーザが作成した文書情報や取得した画像情報等を記憶するものとする。
【0032】
ユーザが、情報処理装置TEで作成した文書情報を印刷しようとする場合、その文書情報を、印刷出力をさせる画像形成装置に直接送信してもよい。
ただし、複数の文書情報等をまとめて、後で一括して印刷しようとする場合、たとえば、情報処理装置TEから、各文書情報を印刷できる形式に変換した印刷データを、所定の親機1に送信し、その親機1に一時保存してもよい。
印刷データは、いずれかの親機または子機で印刷されるまで、所定の親機1に一時保存され、印刷が終了した後は、その親機1から削除される。
親機1では、ユーザごとに印刷データを管理し、一時保存されている1または複数の印刷データを、ユーザごとの印刷ジョブと呼ぶ。
【0033】
各親機1と各子機2と情報処理装置3は、ネットワーク10を介して、相互にデータ通信ができるものとする。
ネットワーク10に接続される親機1と、子機2と、情報処理装置3の台数は、
図1に示したものに限定するものではなく、他の台数の各装置がネットワーク10に接続されるようにしてもよい。
ネットワーク10としては、インターネットなどの広域通信網や、LANなど、既存のあらゆる通信網を用いることができ、通信形態は、有線通信および無線通信のどちらを用いてもよい。
【0034】
<画像形成装置の親機の構成>
図2に、この発明の画像形成装置のうち、親機の一実施例の構成ブロック図を示す。
図2に示すように、画像形成装置の親機(MFP-P)1は、LANなどのネットワーク10を介して、子機2と、情報処理装置3とに接続してデータ通信ができるものとする。
【0035】
図2において、親機(MFP-P)1は、主として、制御部11、操作部12、表示部13、画像処理部14、通信部15、印刷情報取得部21、印刷ジョブ通知部22、ジョブリスト取得部23、ジョブリスト要求取得部24、印刷ジョブ応答部25、印刷情報要求取得部26、印刷情報応答部27、記憶部30を備える。
記憶部30は、上記した1または複数の印刷データを記憶する第1記憶部に相当する。
【0036】
制御部11は、操作部や画像処理部などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の画像処理機能などを実行する。
【0037】
操作部12は、親機の利用者が情報を入力する部分であり、親機を動作させる所定の入力操作をするための入力装置である。たとえば、文字などの情報の入力や、機能の選択入力をする部分であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどが用いられる。
ユーザが操作するキーとしては、動作開始キー、機能選択キー、設定キーなどがある。
ユーザは、たとえば、タッチパネルや読み取り動作の開始キーを入力する操作をすることによって、印刷項目設定機能、印刷機能などを実行させる。
【0038】
表示部13は、情報を表示する部分であり、各機能の実行に必要な情報や、機能の実行の結果などを、利用者に知らせるために表示する。たとえば、LCD、有機ELディスプレイなどが用いられ、操作部12としてタッチパネルが用いられる場合は、表示部13とタッチパネルとが重ね合わせて配置される。
表示部13には、たとえば、画像形成装置の印刷等に利用する設定項目の設定や、原稿読取機能等を実行するのに必要な情報や、選択した機能の操作画面、印刷項目設定操作画面などが、文字、記号、図形、画像、アイコン、アニメーション、動画等を用いて、表示される。
【0039】
画像処理部14は、親機である画像形成装置の主要な機能である画像形成機能を実行する部分であり、主に、画像入力部、画像形成部、および、画像出力部からなる。
主として、画像入力部は、所定の画像データを入力する部分であり、画像形成部は、入力された画像データを印刷等することのできる情報に変換する部分であり、画像出力部は、形成された印刷情報等を印刷用紙等に出力する部分である。
【0040】
画像入力部は、画像や文字図形等が記載された原稿の画像データを入力する部分であり、たとえば、原稿台等に載置された原稿を読み取る部分である。
画像入力部としては、情報が記載された原稿を読み取るスキャナ(読取装置)を用いる。
画像形成装置は、原稿を読み取るために、原稿が載置される原稿載置台(原稿台)と、原稿を抑える原稿カバーとを備える。
また、画像形成装置は、複数枚の原稿を載置して、複数の原稿を1枚ずつ自動的に搬送して読み取る自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えてもよい。
この場合、画像等が記載された原稿をスキャナで読み取り、原稿の画像データを、記憶部30に記憶する。
【0041】
また、画像情報を入力する方法には種々の方法がある。
たとえば、ネットワーク10を介して、ユーザの所有するパソコンや携帯端末、サーバなどの情報処理装置TEから送信されてくる画像情報を入力してもよい。
また、USBメモリなどの外部の記憶媒体を接続するインタフェースが、画像入力部に該当する。
入力したい画像情報などの電子データファイルを、USBメモリなどの外部の記憶媒体に記憶しておき、USBメモリ等をUSB端子などの入力インタフェースに接続し、操作部12で所定の入力操作を行うことによって、USBメモリ等に記憶された所望の電子データファイルを読み出して、記憶部30に、入力画像データとして記憶してもよい。
【0042】
画像形成部は、たとえば、入力画像データを記録媒体に印刷する場合、一般的に、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電、及び定着の各工程を連続的に実施して、入力画像データを記録媒体に形成する。
現像工程では、トナーカートリッジからトナーを現像装置に補給し、帯電した感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が現像され、静電潜像に対応したトナー像が形成される。感光体ドラムの表面に形成されたトナー像は転写装置によって記録媒体上に転写され、その後、定着装置によって加熱されることにより記録媒体上に定着させられる。
また、画像形成部は、入力画像データを転送や表示できる形態の情報に変換する。
【0043】
画像出力部は、形成された入力画像データを出力する部分であり、たとえば、入力画像データ等の情報を印刷するプリンタに相当し、読み取られた原稿の入力画像データを、所定の印刷用紙(紙媒体)に印刷する。
ただし、入力画像データの出力は、印刷に限るものではなく、スキャンされた原稿の入力画像データの記憶、スキャンされた原稿の入力画像データのFAX送信なども含まれる。
たとえば、読み取られた原稿の入力画像データをUSBメモリなどの外部の記憶媒体へ記憶すること、インターネットなどのネットワークを介して他の情報処理装置やサーバへ入力画像データを送信することも、画像出力に相当する。
【0044】
通信部15は、ネットワークを介して、情報を通信する部分であり、子機として設定された画像形成装置や、ユーザの所有する携帯端末や、他の情報処理装置とデータ通信をする部分である。
たとえば、ユーザの所有するパソコンや携帯端末、サーバなどの情報処理装置TEから転送されてきた電子データファイルを受信する。
また、親機1に入力された入力画像データを、親機1に接続された外部記憶装置(USBメモリなど)に転送したり、ネットワーク10を介して、子機や、原稿を入力したユーザ所有のパソコンやサーバなどの情報処理装置TEに送信したりする。
特に、この発明では、後述するように、親機の通信部15は、ジョブリスト応答や印刷応答情報を子機に送信したり、ジョブリスト要求や印刷情報要求を子機から受信したりする。
【0045】
印刷情報取得部21は、情報処理装置TEから、ユーザが作成等した文書や画像など、印刷したいデータ(印刷データ、印刷ファイル、または印刷ジョブとも呼ぶ)を取得する部分である。
また、たとえば、印刷データを、その印刷データのジョブ名、ユーザ名、作成日時、および印刷設定などと対応づけて、印刷情報として、記憶部30に記憶する。
記憶部30に記憶される印刷情報33は、たとえは、後述する
図6に示すような情報である。
【0046】
情報処理装置TEは、たとえば、ユーザ所有の携帯端末であるが、ユーザは、その携帯端末TEで印刷データを作成し、作成した印刷データを一時保存したい場合、所定の親機に印刷データを送信する操作をする。
情報処理装置TEには、接続可能な1または複数の親機の情報(たとえば、IPアドレス)を予め記憶しておく。
情報処理装置TEによって接続可能な親機が複数ある場合は、情報処理装置TEにおいて、印刷データを送信する親機を予め固定的に設定してもよく、送信する優先順位を付けて設定してもよい。
あるいは、印刷データの送信時に、その都度、ユーザが、印刷データを送信する親機として、複数の親機の中から所望の親機を選択してもよい。
【0047】
印刷ジョブ通知部22は、親機の記憶部30に一時記憶された印刷データのジョブ名(以下、保存ジョブ名とも呼ぶ)を含むジョブリスト情報を、他の親機に送信する部分である。
印刷ジョブ通知部22は、親機が、自己の記憶部30にユーザの印刷データが記憶されたことを、他の親機に通知するために、ジョブリスト情報を送信する。
ジョブリスト情報は、後述する
図8Aに示すように、主に、ユーザ名、保存親機名、印刷データの保存ジョブ名を含む情報であり、印刷データそのものは含まれない。
また、ユーザの印刷データが一時保存されている親機も、自己の記憶部30に、送信したジョブリスト情報を記憶しておく。
【0048】
ジョブリスト情報を送信する親機は、後述する
図5Aに示す他親機情報32に予め設定された親機である。
たとえば、
図1に示したように、ネットワークに3つの親機(P01、P02、P03)が接続されている場合、親機P01の他親機情報に、他の親機(P02、P03)の情報を予め設定記憶しておく。
【0049】
親機P01に、ユーザの印刷データが一時記憶された場合、その印刷データの保存ジョブ名等を含むジョブリスト情報が生成されて、親機P01から、他の2つの親機(P02、P03)に、そのジョブリスト情報が送信される。
同様に、親機P03にユーザの印刷データが一時記憶された場合は、親機P03から、他の2つの親機(P01、P02)に、ジョブリスト情報が送信される。
また、4つ以上の多数の親機が、ネットワークに接続されている場合、多数の親機をいくつかのグループに分けて、たとえば、1つのグループ内に属する複数の親機間同士で、相互に、ジョブリスト情報の送受信ができるようにしてもよい。
【0050】
ジョブリスト取得部23は、他の親機から送信されたジョブリスト情報を取得する部分であり、取得されたジョブリスト情報は、自己の記憶部30に記憶される。
取得されたジョブリスト情報には、ユーザ名、保存親機名、印刷データの保存ジョブ名が含まれるので、ジョブリスト情報により、どのユーザの印刷データが、どの親機に記憶されているかを確認することができる。
【0051】
たとえば、ジョブリスト情報に含まれるユーザ名がUS1111で、保存親機名がP01で、印刷データの保存ジョブ名がF101であった場合、ユーザ名「US1111」のユーザが記憶させた保存ジョブ名「F101」の印刷データが、親機P01に記憶されていることがわかる。
ジョブリスト情報を、他親機情報に設定記憶されている親機に配信することによって、印刷データを記憶している配信元の親機だけでなく、配信先の親機においても、他の親機に記憶されている印刷データの情報を確認することができる。
【0052】
したがって、他親機情報に設定記憶されて相互に接続可能な親機に、ジョブリスト情報を配信するので、後述するように、1つの子機から接続可能な親機が複数ある場合において、ユーザが記憶させた印刷データの保存先が、その複数の親機のうちどの親機であるかが不明な場合、その子機から、複数の親機のうち1つの親機に問い合わせる情報(ジョブリスト要求)を送信すれば、子機において、印刷データの保存先を知ることができる。
すなわち、子機から、複数の親機のうち、ジョブリスト要求を送信した親機以外の親機に対しては問い合わせる必要がなくなるので、問合せ数を減らすことができ、子機と親機の負荷を軽減することができる。
【0053】
ジョブリスト要求取得部24は、子機または他の親機から送信されたジョブリスト要求を取得する部分である。
ジョブリスト要求は、親機に一時保存されている印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する
図7に示すような情報である。
ジョブリスト要求には、特定のユーザのユーザ名が含まれている。
【0054】
たとえば、ユーザが、複数の子機のうち任意の第1の子機において、印刷機能を選択する操作をした場合、この第1の子機から、そのユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求が、特定の1つの親機に送信される。
この特定の親機のジョブリスト要求取得部24が、第1の子機から送信されたジョブリスト要求を取得する。
ジョブリスト要求を送信する特定の親機は、後述する
図5Bに示すような子機の接続親機情報72に予め設定記憶されている親機である。
【0055】
ジョブリスト要求を取得した親機では、自己の記憶部30に記憶されているジョブリスト情報をチェックし、要求されたユーザのユーザ名が含まれるジョブリスト情報がある場合は、そのジョブリスト情報に含まれる保存ジョブ名を取得し、ジョブリストを生成する。
ジョブリストには、少なくとも、ジョブリスト要求に含まれていたユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名が含まれ、上記したジョブリスト情報と同じものでもよい。
ユーザが親機に記憶させた印刷データが複数ある場合は、その複数の印刷データのジョブ名を含むジョブリストが生成される。
【0056】
ジョブリストには、印刷データの実体であるファイルそのものは含まない。
また、ジョブリストの保存親機名は、印刷データの実体であるファイルが記憶されている親機の識別情報であり、ジョブリスト要求を取得した親機の識別情報と異なる場合がある。
なお、ジョブリスト要求を取得した親機に、ジョブリスト要求に含まれていたユーザ名が含まれるジョブリスト情報がない場合は、ジョブリストは生成されない。
【0057】
印刷ジョブ応答部25は、取得したジョブリスト要求に対する返信として、子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機または他の親機に送信する部分である。
ジョブリスト応答は、後述する
図8Bに示すような情報である。
ジョブリスト応答には、ジョブリストのユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名が含まれる。
【0058】
ジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することで、そのユーザが記憶させた印刷データが存在する親機と、その親機に記憶されている印刷データの保存ジョブ名が、通知される。
【0059】
印刷情報要求取得部26は、子機または他の親機から送信された印刷情報要求を取得する部分である。
印刷情報要求は、親機に記憶されている印刷データを、印刷情報要求を送信してきた子機または他の親機に送信することを要求するデータであり、後述する
図9に示すような情報である。
印刷情報要求には、送信すべき印刷データのジョブ名(要求ジョブ名)が含まれる。
印刷情報要求を取得した親機では、要求ジョブIDで特定される印刷データを記憶部30から読み出し、その印刷データを、印刷情報要求を送信してきた子機等に送信する。
【0060】
印刷情報応答部27は、取得した印刷情報要求に対する返信であり、子機で選択された印刷データのジョブIDで特定され、親機の記憶部30に記憶されていた印刷データを含む印刷応答情報を、印刷情報要求を送信してきた子機または他の親機に送信する部分である。
ここでは、取得した印刷情報要求に含まれる要求ジョブIDで特定される印刷データを含む印刷応答情報を生成する。
印刷応答情報は、上記した印刷情報33を含む情報でもよく、後述する
図10に示すような情報である。
印刷応答情報を受信した子機等は、この印刷応答情報に含まれる印刷情報から、印刷データを取得して、印刷データを、所定の印刷用紙に印刷する。
【0061】
記憶部30は、この発明の親機の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部30には、たとえば、自己設定情報31、他親機情報32、印刷情報33、ジョブリスト情報34、受信ジョブリスト要求35、ジョブリスト応答36、受信印刷情報要求37、印刷応答情報38などが記憶される。
【0062】
自己設定情報31は、画像形成装置が親機であることを意味する情報であり、この印刷制御システムの運用を開始する場合や、印刷制御システムに、新たな親機を導入する場合に、印刷制御システムの管理担当者等によって、予め設定記憶される。
図4Aに、親機の記憶部30に記憶される情報(自己設定情報)の一実施例の説明図を示す。
図4Aに示す自己設定情報31では、たとえば、識別情報と、装置区別と、IPアドレスと、グループ名とからなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0063】
識別情報は、画像形成装置を識別するための情報であり、装置名や、装置の固有番号など、その画像形成装置を印刷制御システムに属する他の画像形成装置と区別するために付けられた情報である。
図4Aでは、「P01」という識別情報が設定されている。
装置区別は、画像形成装置が親機であることを設定した情報である。
図4Aに示すように、たとえば、装置区別に「親機」が設定された場合、その画像形成装置は、親機として機能する。
【0064】
IPアドレスは、ネットワーク10に接続された通信機器を識別するために、機器ごとに付与される情報であり、一般的に、グローバルIPアドレス、またはプライベートIPアドレスのどちらかが、画像形成装置ごとに設定される。
図4Aに示す自己設定情報31では、この親機に、「192.168.10.1」というIPアドレスが設定されている。
なお、このIPアドレスを、上記した識別情報として利用してもよい。
【0065】
グループ名は、親機が属するグループを識別する情報である。
図4Aに示す自己設定情報31では、グループ名に「G1」が設定されており、この親機P01は、「G1」というグループに属していることを意味する。
ネットワークに接続された画像形成装置が多数ある場合に、接続可能な複数の画像形成装置を区別するために、予めグループが設定される。
印刷制御システムに含まれる親機と子機のうち、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とを、1つのグループに属する画像形成装置として予め設定する。
【0066】
たとえば、1つの会社組織が、複数の部署から構成される場合に、部署ごとにグループを設定し、各部署が所有する複数の画像形成装置に、同じグループ名を設定してもよい。
また、1つの会社組織が、複数階に分散して存在する場合に、1つの階ごとにグループを設定し、各階に設置された複数の画像形成装置に、同じグループ名を設定してもよい。
1つのグループに属する画像形成装置には、1または複数の親機と、1または複数の子機とが含まれるものとする。
ただし、グループが設定されない場合は、自己設定情報31に、グループ名は記憶しなくてもよい。
【0067】
他親機情報32は、接続可能な1または複数の他の親機の情報を予め記憶したものである。
ここに記憶されている親機と情報通信が可能であり、印刷ジョブ通知部22が、たとえば、他親機情報32に記憶された親機に、上記したジョブリスト情報を送信する。
図5Aに、親機の記憶部30に記憶される他親機情報32の一実施例の説明図を示す。
図5Aでは、親機P01と親機P02に記憶される他親機情報32を示している。
ここでは、
図1に示したように、3つの親機(P01、P02、P03)がネットワークに接続され、相互に通信が可能であるとする。
【0068】
図5Aの他親機情報32には、親機識別情報とIPアドレスからなるものを示している。
たとえば、親機P01に記憶される他親機情報32には、2つの親機の情報が記憶され、「192.168.10.2」というIPアドレスの親機P02と、「192.168.10.3」というIPアドレスの親機P03とが、親機P01に接続可能である。
また、親機P02に記憶される他親機情報32には、2つの親機の情報が記憶され、「192.168.10.1」というIPアドレスの親機P01と、「192.168.10.3」というIPアドレスの親機P03とが、親機P02に接続可能である。
このような他親機情報32が記憶されている場合、たとえば、親機P02に、印刷データが一時記憶された場合、その印刷データに関するジョブリスト情報が、他親機情報32に記憶されている2つの親機(P01、P03)に配信される。
【0069】
印刷情報33は、情報処理装置TEから送信された印刷データに関する情報であり、いずれかの子機あるいは親機で印刷データの印刷が完了するまで、一時保存される情報である。
この印刷情報33を利用して、子機等において、印刷処理が実行される。
図6に、親機の記憶部30に記憶される情報(印刷情報)の一実施例の説明図を示す。
図6の印刷情報33では、ユーザ名、ジョブ名、日付、印刷設定からなる情報を示しており、そのジョブ名を持つ印刷データそのものも記憶されている。
【0070】
図6の1つ目の印刷情報33において、たとえば、US1111というユーザ名のユーザが2020年9月11日に記憶した「F101」というジョブ名の印刷データで、印刷設定が「カラー、用紙サイズA4、印刷枚数1枚」に設定された印刷データが、記憶されている。
また、
図6の2つ目の印刷情報33では、US2222というユーザ名のユーザが2020年9月12日に記憶した「F202」というジョブ名の印刷データで、印刷設定が「白黒、用紙サイズA4、印刷枚数3枚」に設定された印刷データが、記憶されている。
ただし、印刷設定の内容は、後で実際に印刷するときに変更することが可能なので、印刷情報33に、印刷設定を含めなくてもよい。
【0071】
ジョブリスト情報34は、親機に一時保存された印刷データに関する情報であり、上記したように、主に、ユーザ名、保存親機名、印刷データの保存ジョブ名を含む情報であり、印刷データそのものは含まれない。
図8Aに、親機の記憶部30に記憶されるジョブリスト情報34の一実施例の説明図を示す。
図8Aのジョブリスト情報では、ユーザ名が「US1111」であり、保存親機名が「P03」であり、印刷データの保存ジョブ名には、3つのファイル(F101、F102、F103)の名前が記憶されている。
このジョブリスト情報34から、保存親機名が「P03」の親機には、ユーザ名が「US1111」のユーザが記憶させた3つの印刷データ(保存ジョブ名:F101、F102、F103)が記憶されていることがわかる。
【0072】
受信ジョブリスト要求35は、親機で受信される情報であり、子機や他の親機から送信されたジョブリスト要求に相当する。
ジョブリスト要求は、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるリスト(ジョブリスト)を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する
図7に示すような情報である。
【0073】
ジョブリスト応答36は、ジョブリスト要求に対する返信に含まれる情報である。
上記したように、ジョブリスト応答には、親機に印刷データが存在する場合、指定されたユーザが記憶させた印刷データの保存ジョブ名を含むジョブリストが含まれる。ジョブリスト応答には、印刷データそのものは含まれない。
【0074】
図8Bに、親機の記憶部30に記憶されるジョブリスト応答の一実施例の説明図を示す。
図8Bのジョブリスト応答36では、親機名、宛先子機名、ユーザ名、保存親機名、保存ジョブ名からなるものを示している。ただし、これらの情報に限定するものではない。
保存親機名は、印刷データを記憶している親機を特定する情報であり、親機の名前の代わりに、親機の識別番号や、親機に付与されたIPアドレスを含めてもよい。
ここで、ユーザ名、保存親機名、保存ジョブ名は、ジョブリスト情報34に相当する。
【0075】
たとえば、
図8Bのジョブリスト応答36において、親機名が「P02」という親機から、宛先子機名が「C006」という子機に対して送信されるジョブリスト応答36では、保存親機名が「P03」という親機に、ユーザ名が「US1111」のユーザが記憶させた3つの印刷データが一時保存されており、その印刷データの保存ジョブ名は、それぞれ、F101、F102、F103であることを示している。
【0076】
ジョブリスト応答には、印刷データそのものが含まれないので、ジョブリスト応答の送信にかかる通信トラフィック量を抑制できる。また、ジョブリスト応答の送信の時点では、後に印刷されないことになる印刷データが子機に送信されることがなく、無駄な通信処理を省くことができる。
【0077】
受信印刷情報要求37は、親機で受信される情報であり、子機や他の親機から送信された印刷情報要求である。
印刷情報要求は、親機に一時保存されている印刷データのうち指定された印刷データを、この印刷情報要求を送信してきた子機等に送信することを要求する情報であり、後述する
図9に示すような情報である。
【0078】
印刷応答情報38は、印刷情報要求に対する返信に含まれる情報である。
図10に、親機の記憶部30に記憶される印刷応答情報の一実施例の説明図を示す。
図10の印刷応答情報38では、親機名、宛先子機名、ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定からなるものを示しており、印刷ジョブ名で特定される印刷データそのものも、印刷応答情報38に含まれる。ただし、これらの情報に限定するものではない。
ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定からなる部分と印刷データは、親機に記憶されている印刷情報33に相当する。
【0079】
図10において、たとえば、親機名が「P02」という親機から、宛先子機名が「C006」という子機に対して送信される印刷応答情報38では、ユーザ名が「US1111」のユーザが記憶させた印刷データで、印刷設定が「カラー、用紙サイズA4、印刷枚数1枚」であって、印刷ジョブ名が「F101」と「F103」という2つの印刷データが、含まれていることを示している。
上記したように、印刷応答情報38は、印刷情報要求を送信してきた子機等に送信され、印刷応答情報38を受信した子機等において、印刷応答情報38に含まれる印刷データが、所定の印刷用紙に印刷される。
【0080】
<画像形成装置の子機の構成>
図3に、この発明の画像形成装置のうち、子機の一実施例の構成ブロック図を示す。
画像形成装置の子機(MFP-C)2は、親機と同様に、複写(コピー)機能や、通信機能などを備えた電子機器である。
図3に示すように、LANなどのネットワーク10を介して、子機2は、親機1と情情報処理装置3とに接続してデータ通信ができるものとする。
【0081】
図3において、子機(MFP-C)2は、主として、制御部51、操作部52、表示部53、画像処理部54、通信部55、ジョブリスト要求部61、ジョブリスト応答取得部62、ジョブリスト表示部63、印刷情報要求部64、印刷情報取得部65、記憶部70を備える。
記憶部70は、上記した第2記憶部に相当する。
【0082】
制御部51は、親機の制御部11と同様に、操作部や画像処理部などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
また、操作部52、表示部53、画像処理部54、および通信部55についても、親機と同等の機能を有するので、説明を省略する。
画像処理部54は、親機の画像処理部14と同様に、主に、画像入力部、画像形成部、および、画像出力部からなる。
【0083】
ジョブリスト要求部61は、子機から、親機に対して、ジョブリスト要求を送信する部分である。
ジョブリスト要求は、上記したように、所定のユーザが記憶させた印刷データの保存ジョブ名を、子機に送ることを要求するデータであり、後述する接続親機情報72に記憶された親機に送信される。
【0084】
ジョブリスト要求を接続可能な親機に送信することで、その親機から、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を取得する。
たとえば、後述する
図5Bに示す接続親機情報72では、各子機に1つの親機の情報が記憶されている。この場合、子機から、接続親機情報72に記憶されているこの1つの親機に対してのみ、ジョブリスト要求を送信する。
子機から、ジョブリスト要求が接続親機情報72に記憶されている親機に送信されるとき、その親機が、ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機であるか、あるいは、印刷データを記憶していない親機であるかは、その子機ではわからない。
【0085】
複数の親機と複数の子機がネットワークに接続され相互に通信が可能な場合においても、各子機からジョブリスト要求を送信する親機を、接続親機情報72に記憶されている1つの親機に制限することで、ジョブリスト要求の送信にかかる子機の負荷を軽減し、ジョブリスト要求の送信トラフィック量を下げることができる。
【0086】
また、印刷制御システムに含まれる親機と子機をいくつかのグループに分けて、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とを、1つのグループに属する画像形成装置として設定する場合は、各子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、子機と同じグループに属する1または複数の親機の情報を記憶し、子機のジョブリスト要求部61が、接続親機情報72に記憶された親機のうち任意の1つの親機にジョブリスト要求を送信するようにしてもよい。
【0087】
ジョブリスト応答取得部62は、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得する部分である。
ここで、ジョブリスト要求を送信した子機は、ジョブリスト要求で要求したジョブリスト情報に含まれる印刷データのジョブ名で特定される印刷データを記憶している親機、あるいは、印刷データを記憶していない親機のうちいずれか1つの親機から、ジョブリスト応答を取得する。
【0088】
上記したように、ジョブリスト要求を受信した親機は、ジョブリスト要求に対する返信として、ジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
ジョブリスト要求を受信した親機は、印刷データを記憶していない親機である場合もある。
ジョブリスト応答には、ユーザ名、保存親機名、保存ジョブ名などが含まれているので、ジョブリスト応答を確認することにより、ユーザが印刷データを記憶させた親機と、記憶されている印刷データのジョブ名がわかる。
また、ジョブリスト応答には保存ジョブ名が含まれているので、その保存ジョブ名を、子機の表示部53に表示させることで、ユーザは、印刷させたい印刷データを選択することができる。
【0089】
ジョブリスト表示部63は、ジョブリスト応答取得部62によって取得されたジョブリスト応答に含まれているジョブリスト情報を、子機の表示部53に、表示させる部分である。
ジョブリスト情報には、指定されたユーザの印刷データの保存ジョブ名が含まれるので、この保存ジョブ名を表示させる。
たとえば、後述する
図14に示すようなジョブリスト表示画面を、表示部53に表示させる。
【0090】
ユーザが、子機において、印刷機能を選択する入力をした場合に、その子機から、接続親機情報72に予め設定された親機にジョブリスト要求が送信され、その親機から、ジョブリスト情報を含むジョブリスト応答が送信される。
子機においてジョブリスト応答が取得された場合に、そのユーザの印刷データを特定する保存ジョブ名を含むジョブリスト表示画面が、子機の表示部53に表示される。
【0091】
図14に示すようなジョブリスト表示画面では、保存親機名「P02」の親機に記憶されているユーザUS1111の印刷データのジョブリストが表示されている。
このジョブリストには、3つの印刷データのジョブ名が表示されており、3つの印刷データのジョブ名は、日報(F101)、提案書(F102)、報告書(F103)である。
この表示を確認したユーザは、自己の3つの印刷データが親機P02に記憶されていることを理解し、3つの印刷データのうち、印刷したいファイルを選択することができる。
【0092】
ジョブリスト応答取得部62によって、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答が取得された後に、ジョブリスト表示部63が、取得されたジョブリスト応答に含まれるジョブリストを表示させるようにする。
【0093】
印刷情報要求部64は、子機から、親機に対して、印刷情報要求を送信する部分である。
たとえば、印刷情報要求部64は、ジョブリスト表示部63によって表示されたジョブリスト情報のうち、その子機において印刷すべき印刷データのジョブ名が選択された場合に、選択された印刷データのジョブ名を含み、選択された印刷データを子機に送信することを要求する印刷情報要求を、選択された印刷データを記憶している親機に送信する。
選択された印刷データを記憶している親機は、ジョブリスト応答に含まれる保存親機名(あるいはIPアドレス)で特定される親機である。
すなわち、印刷情報要求は、ジョブリスト応答を送信してきた親機ではなく、選択された印刷データそのものを記憶している親機に送信される。
【0094】
後述する
図9に示すように、印刷情報要求には、宛先親機名と、ユーザ名と、要求ジョブ名とが含まれる。
この印刷情報要求を送信することで、宛先親機名で特定される親機に対して、ユーザ名と要求ジョブ名で特定される印刷データを、子機に送信することを要求する。
宛先親機名で特定される親機は、印刷情報要求を受信すると、要求された印刷データを含む印刷応答情報を、印刷情報要求を送信してきた子機に送信する。
【0095】
印刷情報取得部65は、印刷情報要求に対する返信である印刷応答情報を取得する部分である。
上記した
図10に示したように、取得した印刷応答情報(受信印刷応答情報77)には、ユーザ名や印刷ジョブ名などからなる印刷情報が含まれ、印刷データそのものも含まれる。
子機では、この印刷情報を利用して、画像処理部54によって、印刷データの印刷が実行される。
すなわち、子機から親機に印刷情報要求を送信した後、親機から子機に印刷応答情報が返信された場合に、その子機において、印刷情報取得部65が取得した印刷応答情報に含まれる印刷データを印刷する。
【0096】
記憶部70は、この発明の子機の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部70には、たとえば、自己設定情報71、接続親機情報72、ジョブリスト要求73、受信ジョブリスト応答74、ジョブリスト情報75、印刷情報要求76、受信印刷応答情報77、印刷情報78などが記憶される。
【0097】
自己設定情報71は、画像形成装置が子機であることを意味する情報であり、この印刷制御システムの運用を開始する場合や、印刷制御システムに、新たな子機を導入する場合に、印刷制御システムの管理担当者等によって、予め設定記憶される。
図4Bに、子機の記憶部70に記憶される自己設定情報71の一実施例の説明図を示す。
図4Bに示す自己設定情報71では、たとえば、識別情報と、装置区別と、IPアドレスと、グループ名からなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0098】
識別情報は、画像形成装置を識別するための情報であり、装置名や、装置の固有番号など、その画像形成装置を印刷制御システムに属する他の画像形成装置と区別するために付けられた情報である。
図4Bでは、「C001」という識別情報が設定されている。
装置区別は、画像形成装置が子機であることを設定した情報である。
図4Bに示すように、たとえば、装置区別に「子機」が設定された場合、その画像形成装置は、子機として機能する。
【0099】
IPアドレスは、ネットワーク10に接続された通信機器を識別するために、機器ごとに付与される情報であり、一般的に、グローバルIPアドレス、またはプライベートIPアドレスのどちらかが、画像形成装置ごとに設定される。
図4Bに示す自己設定情報71では、この子機に、「192.168.10.51」というIPアドレスが設定されている。
なお、このIPアドレスを、上記した識別情報として利用してもよい。
【0100】
グループ名は、子機が属するグループを識別する情報である。
図4Bに示す自己設定情報71では、グループ名に「G1」が設定されており、この子機C001は、「G1」というグループに属していることを意味する。
ネットワークに接続された画像形成装置が多数ある場合に、接続可能な複数の画像形成装置を区別するために、予めグループが設定される。
ただし、グループが設定されない場合は、自己設定情報31に、グループ名は記憶しなくてもよい。
上記した
図4Aに示した親機P01と、
図4Bに示した子機C001では、どちらも、グループ名に「G1」が設定されているので、同じグループに属する。
【0101】
接続親機情報72は、接続可能な親機を特定した情報である。
接続親機情報72に設定された親機に情報を送信することができ、接続親機情報72に設定された親機から情報を受信できるものとする。
図5Bに、子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72の一実施例の説明図を示す。
図5Bに示す接続親機情報72では、たとえば、親機識別情報と、IPアドレスとからなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
IPアドレスだけを、接続親機情報72として利用してもよい。
【0102】
親機識別情報は、上記した自己設定情報31の識別情報(装置名)に相当する。
図5Bでは、6つの子機の接続親機情報72を示しており、各子機の接続親機情報72には、それぞれ、1つの親機識別情報とIPアドレスとが記憶されている。
たとえば、子機C001とC002の接続親機情報72には、親機識別情報P01と、IPアドレス(192.168.10.1)が記憶されており、子機C001とC002は、親機P01にジョブリスト要求を送信することができる。
【0103】
また、子機C003とC004の接続親機情報72には、親機識別情報P02と、IPアドレス(192.168.10.2)が記憶されており、子機C003とC004は、親機P02にジョブリスト要求を送信することができる。
同様に、子機C005とC006の接続親機情報72には、親機識別情報P03と、IPアドレス(192.168.10.3)が記憶されており、子機C005とC006は、親機P03にジョブリスト要求を送信することができる。
【0104】
ジョブリスト要求73は、上記したように、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を、ジョブリスト要求を送信してきた子機等に送ることを要求するデータである。
図7に、子機の記憶部70に記憶されるジョブリスト要求73の一実施例の説明図を示す。
図7のジョブリスト要求73では、要求装置名、宛先親機名、ユーザ名、要求内容からなるものを示している。ただし、これらの情報に限定されるものではない。
【0105】
要求内容は、親機に対して要求される条件を示したものであり、特定のユーザのジョブリスト情報を要求する場合には、たとえば、「ユーザのジョブリスト」が設定される。
要求装置名は、ジョブリスト要求を送信する子機の装置名であり、子機のIPアドレスを利用してもよい。
宛先親機名は、ジョブリスト情報を返信することを要求される親機の装置名であり、親機のIPアドレスを利用してもよい。
ユーザ名は、親機に一時保存されている印刷データの所有者を指定したものである。
ジョブリスト要求73の要求内容が「ユーザのジョブリスト」の場合、指定されたユーザ名のユーザによって記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報が要求されることを意味する。
【0106】
図7には、2つのジョブリスト要求73の例を示している。
1つ目のジョブリスト要求73は、子機C006から、親機P01に送信されるジョブリスト要求73であり、要求装置名がC006、宛先親機名がP01、ユーザ名がUS1111、要求内容が「ユーザのジョブリスト」である。
このジョブリスト要求73は、親機P01に対して、ユーザ名US1111のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、子機C006に送信することを要求するものである。
また、2つ目のジョブリスト要求73は、子機C006から、親機P02に送信されるジョブリスト要求73であり、親機P02に対して、ユーザ名US1111のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、子機C006に送信することを要求するものである。
【0107】
ジョブリスト要求73を送信する親機と、ユーザ名US1111のユーザが記憶させた印刷データが記憶されている親機とは、一致する場合もあれば、異なる場合もある。
ジョブリスト要求73を送信する親機に、ユーザ名US1111のユーザが記憶させた印刷データが記憶されていない場合でも、そのユーザが記憶させた印刷データに関するジョブリスト情報を記憶している場合は、ジョブリスト要求73を受信した親機から、ユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、子機C006に送信することができる。
【0108】
ジョブリスト情報を要求する条件として、特定のユーザ以外を設定したい場合は、要求内容に、他の条件を設定してもよい。
たとえば、特定の文書名が付与されたファイルのみのジョブリスト情報を要求する場合は、要求内容に、「特定の文書名のジョブリスト」を設定し、ユーザ名以外に、「文書名」の欄を設け、「報告書」というような文書名を設定してもよい。
なお、ジョブリスト要求73が、特定のユーザのジョブリスト情報を要求するものに限定される場合は、要求内容はなくてもよい。
【0109】
詳細は後述するが、親機に対して、特定のユーザが記憶させた印刷データのジョブ名からなるジョブリスト情報を子機に送信することを要求する場合、子機のジョブリスト要求部61が、ユーザの識別情報(たとえば、ユーザ名)を含めたジョブリスト要求を、接続親機情報72に記憶された親機に送信する。
そして、親機のジョブリスト要求取得部22が、ジョブリスト要求を取得した場合、印刷ジョブ応答部23が、その親機の記憶部30に記憶されているジョブリスト情報のうち、ジョブリスト要求に含まれるユーザの識別情報によって特定されるユーザが記憶させた印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を取得し、取得したジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
【0110】
受信ジョブリスト応答74は、親機に送信されたジョブリスト要求73に対して、その親機から返信された応答内容であり、上記したように、
図8Bに示したようなジョブリスト応答36に相当する。
子機では、受信ジョブリスト応答74を確認することにより、ユーザが記憶させた印刷データを記憶している親機が分かり、ユーザが記憶させた印刷データの保存ジョブ名が取得される。
【0111】
ジョブリスト情報75は、受信ジョブリスト応答74に含まれる情報であり、上記した
図8Aに示した情報34に相当し、ユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名からなる情報である。
【0112】
印刷情報要求76は、親機に、子機で印刷しようとする印刷データを要求するための情報である。
たとえば、ユーザが、子機において、ジョブリスト情報に含まれる保存ジョブ名のうち、印刷したいジョブ名を選択し印刷開始を意味する入力操作をした場合に、印刷情報要求76が、その子機から親機に送信される。
図9に、子機の記憶部70に記憶される印刷情報要求76の一実施例の説明図を示す。
図9の印刷情報要求76では、子機名、宛先親機名、ユーザ名、要求ジョブ名、要求内容からなるものを示している。
【0113】
要求内容は、印刷情報要求76が、印刷ファイルそのものを送信することを要求するデータであることを示す情報であり、たとえば、「印刷ファイル」という情報が設定される。
子機名は、印刷情報要求76を送信する子機の識別情報であり、宛先親機名は、印刷情報要求76が送信される親機の識別情報である。
ユーザ名は、印刷しようとする印刷データの所有者を指定したものである。
要求ジョブ名は、印刷しようとする印刷データのジョブ名を指定したものである。
ユーザ名と要求ジョブ名とによって、親機から子機に送信してほしい印刷データが特定される。
【0114】
図9には、2つの印刷情報要求76の例を示している。
1つ目の印刷情報要求76は、子機C006から、親機P02に送信される印刷情報要求76であり、子機名がC006、宛先親機名がP02、ユーザ名がUS1111、要求ジョブ名がF101とF103、要求内容が「印刷ファイル」である。
この印刷情報要求76は、親機P02に一時保存されている印刷データのうち、ユーザ名US1111と2つの要求ジョブ名F101、F103で特定される2つの印刷データを、子機C006に送信することを要求するものである。
2つ目の印刷情報要求76は、子機C004から、親機P01に送信される印刷情報要求76であり、この印刷情報要求76は、親機P01に一時保存されている印刷データのうち、ユーザ名US2222と要求ジョブ名F201で特定される印刷データを、子機C004に送信することを要求するものである。
【0115】
受信印刷応答情報77は、子機から親機に送信された印刷情報要求に対する返信として、親機から子機に送信される印刷応答情報38である。
受信印刷応答情報77は、たとえば、上記した
図10に示す印刷応答情報38に相当する。
【0116】
印刷情報78は、親機から子機に送られてきた受信印刷応答情報77に含まれる情報である。
たとえば、上記した
図10の印刷応答情報38に示したように、ユーザ名、印刷ジョブ名、日付、印刷設定と、印刷データそのものを含む部分が、印刷情報78に相当する。
子機では、この印刷情報78を利用して、印刷データの印刷が実行される。
【0117】
<この発明におけるジョブリスト情報の配信処理の実施例>
この発明では、上記したように、情報処理装置TEから送信された印刷情報が、所定の親機に記憶された場合に、その所定の親機から、その親機に記憶されている他親機情報に予め設定されている他の親機に、印刷情報から生成されたジョブリスト情報を配信する。
また、子機からのジョブリスト要求を取得した親機が、ジョブリスト情報を利用して、ジョブリスト要求に対する返信であるジョブリスト応答を子機に送信することによって、子機において、ユーザが記憶させた印刷データの所在と、印刷データのジョブ名を確認することができる。
以下に、ジョブリスト情報の配信処理のいくつかの実施例について説明する。
【0118】
(実施例1)
ここでは、複数の親機と複数の子機が、グループ化されずに、相互に通信可能な状態で、ネットワーク10に接続されている印刷制御システムについて説明する。
図5Cに、接続可能な親機と子機の対応関係の一実施例の説明図を示す。
図1に示したように、3つの親機(P01、P02、P03)と、6つの子機(C001、C002、C003、C004、C005、C006)が、ネットワーク10に接続されているものとする。
また、各親機には、
図5Aに示すような他親機情報32が予め記憶されているものとする。
さらに、各子機の接続親機情報72には、接続可能な親機として、1つの親機の情報が設定記憶されており、たとえば、
図5Bに示すような接続親機情報72が予め記憶されているものとする。
【0119】
この場合、
図5Cに示すように、3つの親機どうしは相互に通信可能であるが、子機と親機との間の接続は制限される。
たとえば、子機C001、C002の接続親機情報72には、親機P01のみが設定記憶されているので、この2つの子機(C001、C002)から送信されるジョブリスト要求の送信先は、親機P01に限定され、他の親機(P02、P03)には送信されない。
【0120】
また、子機C003、C004の接続親機情報72には、親機P02のみが設定記憶されているので、この2つの子機から送信されるジョブリスト要求の送信先は、親機P02に限定され、他の親機(P01、P03)には送信されない。
同様に、子機C005、C006の接続親機情報72には、親機P03のみが設定記憶されているので、この2つの子機から送信されるジョブリスト要求の送信先は、親機P03に限定され、他の親機(P01、P02)には送信されない。
【0121】
3つの親機(P01、P02、P03)と、6つの子機(C001、C002、C003、C004、C005、C006)が、このような対応関係を持つ場合のジョブリスト情報の配信処理の一実施例の説明図を、
図5Dに示す。
図5Dにおいて、まず、情報処理装置TEから、ユーザ(ユーザ名:US01)の印刷データを含む印刷情報が、親機P02に送信され、この印刷情報が親機P02に記憶されたとする。
この印刷データのジョブ名を「FA」とする。
親機P02では、ジョブ名が「FA」の印刷データが一時保存された状態となる。
【0122】
たとえば、ユーザが、情報処理装置TEにおいて、親機P02に印刷データを記憶することを要求する入力操作をすることにより、ユーザの印刷データ(ジョブ名:FA)を含む印刷情報が、親機P02に送信される。
親機P02において、印刷データ(ジョブ名:FA)を含む印刷情報が記憶されたので、この印刷データのジョブ名FAを含むジョブリスト情報(以下、ジョブリストLAと呼ぶ)が生成される。
ジョブリストLAには、ユーザ名:US01と、保存親機名:P02と、印刷データのジョブ名:FAが含まれる。
【0123】
その後、親機P02は、
図5Aに示す親機P02の他親機情報32に記憶されている2つの親機(P01、P03)に、ジョブ名FAを含むジョブリストLAを配信する。
2つの親機(P01、P03)では、受信したジョブリストLAを記憶する。
この時点で、子機が接続できる3つの親機(P01、P02、P03)すべてに、ユーザ(ユーザ名:US01)が親機P02に記憶させた印刷データのジョブ名FAを含むジョブリスト情報(ジョブリストLA)が記憶された状態となり、印刷データそのものは親機P02に記憶されている。
【0124】
次に、印刷データを記憶させたユーザ(ユーザ名:US01)が、子機C006のところに移動し、子機C006において、所定のログイン操作をして、正常なユーザ認証によって、3つの親機に接続できる状態になり、印刷機能を選択する入力操作をしたとする。
子機において印刷機能を選択する入力操作がされた場合に、子機から、接続可能な親機にジョブリスト要求が送信されるものとする。
上記した
図5Bに示すように、子機C006の接続親機情報72には、親機P03のみが設定記憶されているものとすると、ジョブリスト要求が、親機P03に送信される。
このジョブリスト要求には、要求装置名:C006と、ユーザ名:US01が含まれる。
【0125】
このジョブリスト要求を受信した親機P03は、上記したジョブリストLAが記憶されているので、ジョブリストLAを含むジョブリスト応答を、子機C006に送信する。
【0126】
ジョブリスト応答を受信した子機C006は、ジョブリストLAを記憶し、表示部53に、ジョブリストLAを表示させる。
これにより、子機C006において、印刷データのジョブ名:FAを含むジョブリスト表示画面が表示されるので、子機C006のところにいるユーザ(ユーザ名:US01)は、たとえば、表示されたジョブ名FAを選択し、印刷開始の入力操作をすることによって、ユーザが記憶させた印刷データを印刷させることができるようになる。
【0127】
すなわち、印刷開始の入力操作をすることで、子機C006から印刷データが記憶されている親機への印刷情報要求の送信と、印刷データが記憶されている親機から子機C006への印刷応答情報の返信が行われ、印刷応答情報に印刷データそのものが含まれているので、子機C006で、その印刷データを印刷することができる。
【0128】
上記実施例では、各子機の接続親機情報72に、接続可能な親機として、1つの親機の情報が予め設定記憶され、この1つの親機にジョブリスト要求を送信するものとしたが、これに限るものではない。
各子機の接続親機情報72に、接続可能な親機として、複数の親機の情報を予め設定記憶しておき、これらの親機のうち任意の1つの親機にジョブリスト要求を送信してもよい。
【0129】
たとえば、印刷制御システムに含まれる親機と子機のうち、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とを、1つのグループに属する画像形成装置として設定し、各子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、子機と同じグループに属する1または複数の親機の情報を記憶し、ジョブリスト要求部61が、接続親機情報72に記憶された親機のうち任意の1つの親機にジョブリスト要求を送信するようにしてもよい。
あるいは、各子機の記憶部70の接続親機情報72に、子機と同じグループに属する複数の親機の情報を記憶している場合、ユーザが、接続親機情報72に記憶された複数の親機のうち、所望の1つの親機を選択する操作をして、ジョブリスト要求部61が、選択された親機にジョブリスト要求を送信するようにしてもよい。
【0130】
また、この実施例では、ユーザは、複数の親機が接続されているネットワークに接続された複数の子機のうち、自己の印刷データを記憶させた親機とは異なる任意の子機で印刷機能を選択する入力操作をすることによって、その子機において、自己の印刷データのジョブ名を表示させ、印刷データを印刷させることができる。
この場合、子機から送信されるジョブリスト要求は、予め設定された1つの親機だけに送信されるので、子機と親機を接続するネットワークに流れるトラフィック量を抑えることができ、親機と子機の負荷も低減させることができる。
【0131】
(実施例2)
実施例1では、各子機には、
図5Bに示すように、1つの親機の情報を設定した接続親機情報72が予め記憶されており、子機からのジョブリスト要求は、予め設定された1つの親機だけに送信される場合について説明した。
【0132】
しかし、子機と接続可能な複数の親機がネットワークに接続されている場合において、接続親機情報72に予め設定された1つの親機が、故障やメンテナンスのために停止状態にある場合、子機からその親機に送信されたジョブリスト要求が受信されず、親機からジョブリスト応答が返信されてこない場合がある。
1つの親機が停止状態であったとしても、他の複数の親機には、ジョブリスト情報が記憶されているはずなので、停止状態にない他の親機にジョブリスト要求を送信することで、ジョブリスト応答が返信される可能性がある。
ネットワークに接続された複数の親機が、同時に故障する場合や、同時にメンテナンスがされている可能性はあるが、同時に複数の親機が停止状態になる可能性は低いと考えられる。
【0133】
そこで、この実施例2では、各子機には、
図11に示すような接続親機情報72を予め記憶しておき、子機からのジョブリスト要求を、予め設定された2つの親機に送信されるようにする。
実施例2でも、
図1に示したように、3つの親機(P01、P02、P03)と、6つの子機(C001、C002、C003、C004、C005、C006)が、ネットワーク10に接続されているものとする。
【0134】
図11に、子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、2つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例の説明図を示す。
図11では、6つの子機の接続親機情報72に、それぞれ、3つの親機のうち2つの親機の情報を記憶したものを示している。
たとえば、子機C001の接続親機情報72には、親機P01とP02に関する識別情報とIPアドレスが記憶され、子機C006の接続親機情報72には、親機P03とP01に関する識別情報とIPアドレスが記憶されている。
これにより、子機C001からジョブリスト要求を送信する場合、2つの親機(P01、P02)にジョブリスト要求を送信し、子機C006からジョブリスト要求を送信する場合、2つの親機(P03、P01)にジョブリスト要求を送信するようにする。
【0135】
ジョブリスト要求を送信する方法としては、たとえば、設定された2つの親機に、ほぼ同時に、ジョブリスト要求を送信してもよい。
この場合、2つの親機から、同じジョブリスト情報から生成されたジョブリスト応答が返信されるので、先に受信したジョブリスト応答を利用すればよい。
【0136】
あるいは、設定された2つの親機に優先順位をつけて、まず、優先順位の高いほうの親機を選択して、その選択された親機にジョブリスト要求を送信し、その後、優先順位の低いほうの親機を選択してジョブリスト要求を送信するようにしてもよい。
この場合、先にジョブリスト要求を送信した親機からジョブリスト応答が返信された場合は、優先順位の低いほうの親機にはジョブリスト要求を送信しなくてもよい。
ただし、優先順位の高いほうの親機から、一定時間経過しても返信がなかった場合に、優先順位の低いほうの親機にジョブリスト要求を送信すればよい。
【0137】
このように、各子機の接続親機情報72に2つの親機の情報を予め記憶して、2つの親機にジョブリスト要求を送信すれば、ジョブリスト要求を送信するトラフィック量が増えるが、2つの親機のうちどちらかが停止状態にあっても、停止状態にない親機のほうからジョブリスト応答を取得することができる。
【0138】
なお、各子機の接続親機情報72に、2つの親機の情報を記憶することに限定するものではない。3つ以上の親機の情報を記憶してもよい。
複数の親機がネットワークに接続され、子機がこれらの親機と通信できる場合は、接続親機情報72に、通信可能な親機の情報を予め設定記憶してもよい。たとえば、子機と通信可能な親機が10台ある場合は、この10台の親機の情報を、接続親機情報72に予め設定記憶すればよい。
【0139】
この場合は、たとえば、接続親機情報72に設定された複数の親機のうち、1つの親機を順番に選択し、その選択された親機に、順次ジョブリスト要求を送信するようにすればよい。選択された親機が停止状態でない場合は、その親機がジョブリスト要求を受信できジョブリスト応答が返信されてくるので、その時点以降、残りの親機にジョブリスト要求を送信しなくてもよい。
このように、各子機の接続親機情報72に、接続可能な複数の親機の情報を予め設定記憶して、複数の親機にジョブリスト要求を送信すれば、複数の親機のうちいずれかが停止状態にあっても、停止状態にない親機からジョブリスト応答を取得することができる。
【0140】
ただし、ユーザが記憶させた印刷データが記憶されている親機自体が、停止状態になっている場合は、子機において、ジョブリスト応答を取得することができても、印刷データそのものを取得することができない。
したがって、印刷データが記憶されている親機が、メンテナンス等で停止状態になることが分かっている場合は、その親機が停止状態になる前に、その親機から、ネットワークの接続された子機と他の親機に、親機が停止状態となる時間帯等を送信し、その親機に記憶されている印刷データを利用することができなくなることを通知してもよい。
あるいは、親機が停止状態になる前に、その親機に記憶されている印刷データを、他の親機に複写して、停止状態中は、他の親機から印刷データを取得するようにしてもよい。
【0141】
(実施例3)
ネットワークに接続された複数の親機と複数の子機が、いくつかのグループに分割され、グループ内だけでなく、グループを超えて、ジョブリスト情報が配信される印刷制御システムについて説明する。
印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定されているものとする。
また、グループを超えたジョブリスト情報の配信を実現するために、各子機の接続親機情報72に、各グループに属する1つの親機を記憶する。
複数の親機と複数の子機が、設置されている階ごとに、グループ化されているものとする。
【0142】
まず、実施例3におけるジョブリスト情報の配信処理の概要を、以下に示す。
各子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、子機と同じグループに属する1つの親機の情報と、子機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とを記憶しておく。
【0143】
印刷データが記憶されている親機の印刷ジョブ通知部22が、親機の記憶部30に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、同じグループに属する他の親機に送信する。
同じグループに属する他の親機は、このジョブリスト情報を取得する。これにより、同じグループに属する複数の親機が、同じジョブリスト情報を取得している状態となる。
同じグループに属する他の親機が、ジョブリスト情報を取得している場合、任意の子機のジョブリスト要求部61が、ジョブリスト要求を、接続親機情報72に記憶された親機に送信する。
【0144】
ジョブリスト要求を受信した親機のうち、子機から要求されたジョブリスト情報を取得している親機の印刷ジョブ応答部25が、取得したジョブリスト要求に対する返信として、子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、子機に送信する。
これにより、任意の子機は、子機と異なるグループに属する親機から、ジョブリスト情報を取得することができ、グループを超えたジョブリスト情報の配信を実現することができる。
【0145】
図12Aに、グループごとの接続可能な親機と子機の対応関係の一実施例の説明図を示す。
図12Aにおいて、親機と子機が設置された階(1階、2階、3階)が3つあり、それらの階毎に、グループ(G1、G2、G3)が設定されるものとする。
また、1つの階(グループ)ごとに、3つの親機と6つの子機が設置され、1つの親機に2つの子機が接続できるように設定されていたとする。
たとえば、1階において、3つの親機(P11、P12、P13)と、6つの子機(C011からC016)が設置され、これらの親機と子機が、グループG1に属しているとする。
同様に、2階において、3つの親機(P21、P22、P23)と、6つの子機(C021からC026)が設置され、これらの親機と子機が、グループG2に属しているとする。
【0146】
図12Bに、子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、各グループ内の1つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例の説明図を示す。
図12Bにおいて、1階に設置されグループG1に属している子機C013の接続親機情報72には、同じグループG1の1階に設置されている親機P12と、他のグループG2の2階に設置されている親機P23と、他のグループG3の3階に設置されている親機P33の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
また、2階に設置されグループG2に属している子機C022の接続親機情報72には、他のグループG1の1階に設置されている親機P12と、同じグループG2の2階に設置されている親機P21と、他のグループG3の3階に設置されている親機P32の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
同様に、3階に設置されグループG3に属している子機C036の接続親機情報72には、他のグループG1の1階に設置されている親機P11と、他のグループG2の2階に設置されている親機P22と、同じグループG3の3階に設置されている親機P33の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
【0147】
図12Cに、親機の記憶部30に記憶される他親機情報32に、同じグループ内の他の親機の情報を設定記憶した場合の一実施例の説明図を示す。
図12Cにおいて、1階に設置されグループG1に属している親機P11の他親機情報32には、同じグループG1に属する他の2つの親機(P12、P13)の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
また、2階に設置されグループG2に属している親機P22の他親機情報32には、
同じグループG2に属する他の2つの親機(P21、P23)の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
同様に、3階に設置されグループG3に属している親機P33の他親機情報32には、
同じグループG3に属する他の2つの親機(P31、P32)の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
【0148】
上記した
図12Cに示すような他親機情報32が、各親機に記憶されている状態において、各階(グループ)の1つの親機に印刷データが記憶され、ジョブリスト情報が生成された場合は、他親機情報32に記憶されている同じグループの他の親機に、ジョブリスト情報が送信される。
図12Dに、各グループ内において、接続可能な親機間におけるジョブリスト情報の配信の一実施例の説明図を示す。
【0149】
図12Dにおいて、たとえば、3階(グループG3)に設置された親機P33でジョブリスト情報(ジョブリストL3)が生成された場合、そのジョブリストL3は、親機P33の他親機情報32を利用して、同じグループG3に属する他の2つの親機(P31、P32)に、送信される。
同様に、2階(グループG2)に設置された親機P22でジョブリスト情報(ジョブリストL2)が生成された場合、そのジョブリストL2は、親機P22の他親機情報32を利用して、同じグループG2に属する他の2つの親機(P21、P23)に、送信される。
【0150】
図12Eに、グループを超えて接続可能な親機と子機間において、配信されるジョブリストの配信処理の一実施例の説明図を示す。
図12Eにおいて、まず、ユーザUS2222が、情報処理装置TE02で印刷データを作成し、その印刷データを含む印刷情報D2を、グループG2に属する親機P22に、記憶させる入力操作をしたとする。
【0151】
このとき、ユーザ名(US2222)や印刷データを含む印刷情報D2が、TE02から親機P22に送信され、親機P22に印刷情報D2が一時保存される。
すなわち、印刷データそのものは、2階に設置された親機P22に一時保存される。
親機P22では、印刷情報D2が記憶されたので、印刷情報D2を利用して、ジョブリスト情報(ジョブリストL2)が生成される。
ジョブリストL2には、ユーザ名(U2222)、保存親機名(P22)、印刷データの保存ジョブ名が含まれる。
【0152】
次に、親機P22では、ジョブリスト情報(ジョブリストL2)を配信する。
図12Cに示した親機P22の他親機情報32を利用して、この情報32に設定されている2つの親機(P21、P23)に、ジョブリストL2を配信する。
2つの親機(P21、P23)は、ジョブリストL2を記憶する。
これにより、同じグループG2(2階)に属する3つの親機(P21、P22、P23)に、ユーザUS2222が記憶させた印刷データのジョブリストL2が記憶された状態となる。
【0153】
その後、ユーザUS2222が、1階に移動し、1階に設置された子機C013において、ユーザ認証をしてログインし、印刷機能を選択する入力をしたとする。
印刷機能の選択入力がされた子機C013では、子機C013の記憶部70に記憶されている接続親機情報72が読み出され、ユーザ名(US2222)を含むジョブリスト要求が親機に送信される。
子機C013に、
図12Bに示した子機C013の接続親機情報72が記憶されていたとすると、接続親機情報72に記憶されている3つの親機(P12、P23、P33)に、ジョブリスト要求が送信される。
【0154】
ここで、ジョブリスト要求は、ユーザUS2222がいる1階に設置された同じグループG1の親機P12だけでなく、グループを超えて、他の階に設置された他のグループの親機(P23、P33)にも送信される。
特に、ユーザUS2222が記憶させた印刷データのジョブリストL2を記憶している2階(グループG2)の親機P23に、ジョブリスト要求が送信される。
【0155】
親機P23では、ユーザUS2222のジョブリストを要求するジョブリスト要求が受信されたので、親機P23に記憶されているユーザUS2222のジョブリストL2を含むジョブリスト応答を、1階に設置されたグループG1の子機C013に送信する。
子機C013は、このジョブリストL2を受信すると、子機C013の表示部53に、ジョブリストL2を含むジョブリスト表示画面を表示させる。
【0156】
ジョブリスト表示画面には、ジョブリストL2に含まれる印刷データの保存ジョブ名が表示されるので、子機C013のところにいるユーザUS2222は、自己が記憶させた印刷データを確認することができる。
この後、たとえば、子機C013において、ユーザUS2222が、印刷データの保存ジョブ名を、印刷すべきファイルとして選択入力することによって、子機C013から印刷データが記憶されている親機への印刷情報要求の送信と、印刷データが記憶されている親機から子機C013への印刷応答情報の返信が行われ、印刷応答情報に印刷データそのものが含まれているので、子機C013で、その印刷データを印刷することができる。
【0157】
以上の処理により、印刷データの保存ジョブ名を含むジョブリスト情報が、グループを超えて、印刷データが記憶されている親機が属するグループとは異なるグループに属する子機に配信されるので、ユーザは、印刷データを記憶させた親機が属するグループ名や、印刷を実行しようとする子機が属するグループ名を知らなくても、容易に、印刷データの保存処理と、印刷データの印刷処理を実行させることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0158】
(実施例4)
上記した実施例3では、各子機の接続親機情報72に、各グループに属する1つの親機を記憶して、グループを超えてジョブリスト情報が配信される印刷制御システムについて説明した。
以下に示す実施例では、親機に記憶される他親機情報32に、同じグループに属する親機だけでなく、他のグループに属する1つの親機も記憶することによって、グループを超えたジョブリスト情報の配信を実現することを説明する。
【0159】
この実施例でも、
図12Aに示すように、3つの階に親機と子機が設置され、階ごとにグループが設定され、グループごとに接続可能な3つの親機と6つの子機が対応しているものとする。
また、印刷制御システムに含まれる親機と子機が、複数のグループに分割され、接続可能な1または複数の親機と、1または複数の子機とが、1つのグループに属する画像形成装置として設定されているものとする。
【0160】
まず、実施例4におけるジョブリスト情報の配信処理の概要を、以下に示す。
親機が、記憶部30に、その親機と同じグループに属する他の親機の情報と、その親機と異なる各グループに属するそれぞれの1つの親機の情報とからなる他親機情報32を予め記憶しておく。
【0161】
記憶部30に印刷データを記憶している親機Aの印刷ジョブ通知部22が、記憶部30に記憶された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を、親機Aの他親機情報32に記憶された親機に送信する。
【0162】
親機Aから送信されたジョブリスト情報を取得した親機Bが、親機Bの他親機情報32に記憶された親機のうち親機Bと同じグループに属する他の親機に、取得したジョブリスト情報を送信する。
親機Bから送信されたジョブリスト情報を受信した親機が、自己の記憶部30にジョブリスト情報を記憶する。
【0163】
任意の子機のジョブリスト要求部61が、ジョブリスト要求を、その子機の接続親機情報72に記憶された親機に送信する。
【0164】
ジョブリスト要求を取得した親機の印刷ジョブ応答部25が、取得したジョブリスト要求に対する返信として、自己の記憶部30に記憶されたジョブリスト情報であって、子機から要求されたジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、子機に送信する。
これにより、任意の子機は、子機と異なるグループに属する親機から、ジョブリスト情報を取得することができ、グループを超えたジョブリスト情報の配信を実現することができる。
【0165】
図13Aに、親機の記憶部30に記憶される他親機情報32に、グループ内とグループ外の親機の情報を設定記憶した場合の一実施例の説明図を示す。
図13Aにおいて、1階に設置されグループG1に属している親機P12の他親機情報32には、同じグループG1に属する他の2つの親機(P11、P13)の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶され、さらに、他のグループに属する1つの親機の情報(親機識別情報、IPアドレス)が、予め記憶されているものとする。
ここで、他のグループに属する親機は、たとえば、グループG2に属する親機P21と、グループG3に属する親機P31である。
【0166】
また、2階に設置されグループG2に属している親機P21の他親機情報32には、
同じグループG2に属する他の2つの親機(P22、P23)の情報(親機識別情報、IPアドレス)と、他のグループに属する1つの親機(たとえば、グループG1の親機P12、グループG3の親機P32)の情報が、予め記憶されているものとする。
同様に、3階に設置されグループG3に属している親機P31の他親機情報32には、
同じグループG3に属する他の2つの親機(P32、P33)の情報(親機識別情報、IPアドレス)と、他のグループに属する1つの親機(たとえば、グループG1の親機P13、グループG2の親機P23)の情報が、予め記憶されているものとする。
【0167】
図13Aに示すような他親機情報32が親機に記憶されている場合、
図13Bに示すように、あるグループの親機で生成されたジョブリスト情報が、グループを超えて、他のグループの親機にも送信され、記憶される。
図13Bに、グループを超えて接続可能な親機同士の間で、配信されるジョブリスト情報の配信処理の一実施例の説明図を示す。
図13Bにおいて、まず、ユーザUS1111が、情報処理装置TE01で印刷データを作成し、その印刷データを含む印刷情報D1を、グループG1に属する親機P12に、記憶させる入力操作をしたとする。
【0168】
このとき、ユーザ名(US1111)や印刷データを含む印刷情報D1が、TE01から親機P12に送信され、親機P12に印刷情報D1が一時保存される。
すなわち、印刷データそのものは、1階に設置された親機P12に一時保存される。
親機P12では、印刷情報D1が記憶されたので、印刷情報D1を利用して、ジョブリスト情報(ジョブリストL1)が生成される。
ジョブリストL1には、ユーザ名(U1111)、保存親機名(P12)、印刷データの保存ジョブ名が含まれる。
【0169】
次に、親機P12では、ジョブリスト情報(ジョブリストL1)を配信する。
図13Aに示した親機P12の他親機情報32を利用して、この情報32に設定されている4つの親機(P11、P13、P21、P31)に、ジョブリストL1を配信する。
4つの親機(P11、P13、P21、P31)は、ジョブリストL1を記憶する。
これにより、親機P12と同じグループG1(1階)に属する3つの親機(P11、P12、P13)と、他のグループG2(2階)に属する1つの親機P21と、他のグループG3(3階)に属する1つの親機P31とに、ユーザUS1111が記憶させた印刷データのジョブリストL1が記憶された状態となる。
【0170】
ここで、グループG1に属する親機P12からジョブリストL1が配信された他のグループに属する2つの親機(P21、P31)は、受信したジョブリストL1が他のグループに属する親機から配信されたものであるので、他親機情報32に設定されている同じグループに属する他の親機に、そのジョブリストL1を配信する。
すなわち、グループG2(2階)に属する親機P21は、同じグループG2に属する他の親機(P22、P23)に、ジョブリストL1を配信する。
また、グループG3(3階)に属する親機P31は、同じグループG3に属する他の親機(P32、P33)に、ジョブリストL1を配信する。
【0171】
これにより、ジョブリストL1は、グループG2(2階)に属する3つの親機(P21、P22、P23)と、グループG3(3階)に属する3つの親機(P31、P32、P33)にも記憶され、その結果、3つの階に設置された9つの親機に記憶されることになる。
すなわち、各グループに属する親機に、ジョブリストL1が記憶された状態となる。
したがって、この状態では、子機から、グループ内外のいずれの親機にジョブリスト要求を送信しても、ジョブリスト応答が返信される状態となっている。
【0172】
図13Cに、子機の記憶部70に記憶される接続親機情報72に、同じグループ内の1つの親機の情報を設定記憶した場合の一実施例の説明図を示す。
図13Cでは、3階に設置されグループG3に属する子機C033に記憶される接続親機情報72を示している。
ここでは、子機C033と同じグループG3に属する1つの親機P32の情報が設定記憶されているものとする。
【0173】
その後、ユーザUS1111が、子機でログインし、印刷機能を選択する入力をしたとすると、
図13Dに示すようなジョブリスト情報の配信処理が行われる。
図13Dに、各グループ内において接続可能な親機と子機間でのジョブリスト情報の配信処理の一実施例の説明図を示す。
【0174】
図13Dに示すように、たとえば、ユーザUS1111が、3階に移動し、3階に設置された子機C033において、ユーザ認証をしてログインし、印刷機能を選択する入力をしたとする。
印刷機能の選択入力がされた子機C033では、子機C033の記憶部70に記憶されている接続親機情報72が読み出され、ユーザ名(US1111)を含むジョブリスト要求が親機に送信される。
子機C033に、
図13Cに示した子機C033の接続親機情報72が記憶されていたとすると、接続親機情報72に記憶されている1つの親機P32に、ジョブリスト要求が送信される。
ここで、ジョブリスト要求は、ユーザUS1111がいる3階に設置された子機C033と同じグループG3の親機P32だけに送信される。
【0175】
親機P32では、ユーザUS1111のジョブリストを要求するジョブリスト要求が受信されたので、親機P32に記憶されているユーザUS1111のジョブリストL1を含むジョブリスト応答を、同じ3階に設置されたグループG3の子機C033に送信する。
子機C033は、このジョブリストL1を受信すると、子機C033の表示部53に、ジョブリストL1を含むジョブリスト表示画面を表示させる。
【0176】
ジョブリスト表示画面には、ジョブリストL1に含まれる印刷データの保存ジョブ名が表示されるので、子機C033のところにいるユーザUS1111は、自己が記憶させた印刷データを確認することができる。
この後、たとえば、子機C033において、ユーザUS1111が、印刷データの保存ジョブ名を、印刷すべきファイルとして選択入力することによって、子機C033から印刷データが記憶されている親機への印刷情報要求の送信と、印刷データが記憶されている親機から子機C033への印刷応答情報の返信が行われ、印刷応答情報に印刷データそのものが含まれているので、子機C033で、その印刷データを印刷することができる。
【0177】
以上の処理により、印刷データの保存ジョブ名を含むジョブリスト情報が、グループを超えて、印刷データが記憶されている親機が属するグループとは異なるグループに属する子機に配信されるので、ユーザは、印刷データを記憶させた親機が属するグループ名や、印刷を実行しようとする子機が属するグループ名を知らなくても、容易に、印刷データの保存処理と、印刷データの印刷処理を実行させることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0178】
<この発明の印刷制御システムの印刷制御方法の概要>
以下に、この発明の印刷制御システムに属する親機と子機との間で行われる印刷制御方法の一実施例の概要について説明する。
(親機:印刷データの保存ステップ)
複数の親機のうち、少なくとも任意の第1の親機に、1または複数の印刷データを保存する。
【0179】
(親機:ジョブリスト情報の生成ステップ)
印刷データを保存している第1の親機が、その印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を生成する。
(親機:ジョブリスト情報の配信ステップ)
生成したジョブリスト情報を、第1の親機に予め記憶された他親機情報に設定されている親機に配信する。
【0180】
(親機:ジョブリスト情報の受信ステップ)
他親機情報に設定されている親機が、配信されたジョブリスト情報を受信し記憶する。
【0181】
(子機:ジョブリスト要求の送信ステップ)
複数の子機のうち、任意の第1の子機から、印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報を第1の子機に送信することを要求するジョブリスト要求を、第1の子機に予め記憶された接続親機情報に設定されている1つの親機に送信する。
【0182】
(親機:ジョブリスト要求の取得ステップ)
接続親機情報に設定されている親機が、ジョブリスト要求を取得する。
(親機:ジョブリスト応答の送信ステップ)
ジョブリスト要求を取得した親機が、取得したジョブリスト要求に対する返信として、第1の子機からのジョブリスト要求によって要求された印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報であって、記憶されているジョブリスト情報を含むジョブリスト応答を、第1の子機に送信する。
【0183】
(子機:ジョブリスト応答の取得ステップ)
第1の子機が、ジョブリスト要求を送信した親機から返信されるジョブリスト応答を取得する。
【0184】
<この発明の印刷制御システムの印刷制御処理>
図15に、この発明の印刷制御システムにおける印刷制御処理の情報通信シーケンスの一実施例の説明図を示す。
ここでは、上記したジョブリスト情報の配信処理の実施例1に関する情報通信シーケンスについて説明する。
また、
図15には、1つの情報処理装置TEと、3つの親機(P01、P02、P03)と、1つの子機C006の間で行われる情報通信シーケンスを示す。
【0185】
また、3つの親機は、いずれも停止状態ではなく、ジョブリスト応答を送信することができる状態であるとする。
親機P02には、他親機情報32として、
図5Aに示すような2つの親機(P01、P03)の識別情報とIPアドレスが記憶されているものとする。
子機C006には、接続親機情報72として、
図5Bに示すような1つの親機P03の識別情報とIPアドレスが記憶されているものとする。
【0186】
図15のステップsa1において、情報処理装置TEで、印刷情報の保存要求がされたとする。
印刷情報の保存要求では、たとえば、情報処理装置TEにおいて、ユーザUS1111が、自己の作成した印刷データを、親機P02に、保存することを要求する入力操作をする。
ここで、ユーザUS1111が作成した印刷データが3つあり、各印刷データのジョブ名を、F101、F102、F103とする。
この場合、
図6に示すような印刷情報33が生成され、ユーザ名がUS1111で、ジョブ名が(F101、F102、F103)であり、3つのジョブ名(F101、F102、F103)の印刷データそのものを含めて、親機P02に送信される。
【0187】
ステップsc1において、親機P02が、情報処理装置TEから送信された印刷情報33を受信し、記憶部30に記憶する。
これにより、ジョブ名(F101、F102、F103)の3つの印刷データそのものが、親機P02に一時保存される。
【0188】
印刷情報を受信した親機P02は、ジョブリスト情報を生成する。
ユーザUS1111が作成した印刷データが、親機P02に記憶されており、3つの印刷データのジョブ名が(F101、F102、F103)なので、ジョブリスト情報には、ユーザ名US1111と、保存親機名P02と、保存ジョブ名(F101、F102、F103)とが含まれる。
すなわち、このジョブリスト情報は、ユーザUS1111が記憶させた印刷データの保存ジョブ名を含む情報である。
【0189】
その後、親機P02は、生成したジョブリスト情報を、他の親機に通知する。
ここで、親機P02は、記憶部30に記憶されている他親機情報32を読み出し、他親機情報32には2つの親機(P01、P03)の情報が設定されているので、この親機(P01、P03)に送信する。
ステップsc2において、親機P02が、ジョブリスト情報を親機P01に送信し、ステップsb1において、親機P01が、そのジョブリスト情報を受信し、自己の記憶部30に記憶する。
ステップsc3において、親機P02が、ジョブリスト情報を親機P03に送信し、ステップsd1において、親機P03が、そのジョブリスト情報を受信し、自己の記憶部30に記憶する。
これにより、親機P01と親機P03にも、ユーザUS1111が記憶させた印刷データに関するジョブリスト情報が記憶された。
【0190】
次に、
図15のステップse1において、親機に接続可能な子機で、ユーザによる印刷機能の選択入力が行われたとする。
ここで、たとえば、上記と同じユーザUS1111が、子機C006のところに移動し、子機C006の操作部を利用して、ユーザ認証を伴うログインをした後、所望の機能が選択可能な機能選択画面を表示させて、印刷機能を選択する入力をする。
【0191】
ステップse2において、子機C006が、印刷すべき情報を取得するために、ジョブリスト要求を、親機に送信する。
子機C006には、接続親機情報72として、1つの親機P03の識別情報が記憶されているので、親機P03に、ジョブリスト要求が送信される。
ジョブリスト要求には、たとえば、子機名C006、宛先親機名P03、ユーザ名US1111が含まれる。
【0192】
ステップsd2において、親機P03がジョブリスト要求を受信する。
ジョブリスト要求を受信した親機P03は、自己の記憶部30に、ユーザUS1111が記憶させた印刷データに関するジョブリスト情報が記憶されているか否かをチェックする。
ジョブリスト情報が記憶されていれば、このジョブリスト情報を利用して、ジョブリスト応答を生成する。
親機P03には、上記したステップsd1で、ユーザUS1111が記憶させた印刷データに関するジョブリスト情報が記憶されているので、ユーザ名US1111と、保存親機名P02と、保存ジョブ名(F101、F102、F103)とが含まれるジョブリスト応答が生成される。
【0193】
ステップsd3において、親機P03が、生成したジョブリスト応答を、ジョブリスト要求を送信してきた子機C006に送信する。
ステップse3において、子機C006が、ジョブリスト応答を受信する。
子機C006では、親機P03から受信したジョブリスト応答の内容を確認し、ジョブリスト応答から、ジョブリスト応答に含まれる保存親機名P02と、保存ジョブ名(F101、F102、F103)を取得する。
これにより、保存ジョブ名(F101、F102、F103)の3つの印刷データが、親機P02に記憶されていることがわかる。
【0194】
ステップse4において、取得したジョブリストを、子機C006の表示部53に表示する。
たとえば、
図14に示すようなジョブリスト表示画面が、子機C006の表示部53に表示される。
【0195】
ステップse5において、ユーザUS1111は、子機C006の表示部53に表示されたジョブリスト表示画面を見て、自己が親機に記憶させておいた印刷データを確認し、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名を選択入力する。
たとえば、
図14のジョブ表示画面では、印刷させたい印刷データの印刷ジョブ名の選択欄にチェックする。
図14では、2つの印刷ジョブ名(F101、F103)に対応する選択欄にチェックが入力されている状態を示している。
その後、ユーザUS1111は、
図14に表示された印刷開始実行を選択する入力をする。
【0196】
ステップse6において、子機C006が、ジョブリスト応答に含まれる保存親機名の親機P02に、印刷情報要求76を送信する。
印刷情報要求76には、
図9の一つ目の印刷情報要求のように、要求ジョブ名として、選択入力された印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれる。
【0197】
ステップsc4において、親機P02が、印刷情報要求を受信する。
親機P02では、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、記憶部30から読み出し、印刷応答情報38を生成する。
たとえば、印刷応答情報38には、
図10の印刷応答情報38のように、印刷要求ジョブ名として印刷ジョブ名(F101、F103)が含まれ、この印刷ジョブ名の印刷データそのものも含まれる。
【0198】
ステップsc5において、親機P02が、生成された印刷応答情報38を、子機C006に送信する。
また、親機P02では、印刷応答情報38を送信した後、印刷情報要求に含まれる印刷ジョブ名(F101、F103)の印刷データそのものを、記憶部30から削除してもよい。
あるいは、子機C006で印刷が行われ、子機C006から印刷完了通知を受信した後に、親機P02で、その印刷された印刷データを、記憶部30から削除してもよい。
【0199】
ステップse7において、子機C006が、送信された印刷応答情報38を受信し、印刷応答情報38に含まれる印刷情報78を取得する。
ステップse8において、子機C006が、取得された印刷情報78に含まれる印刷ジョブ名(F101、F103)の印刷データを取得し、印刷出力部が、印刷データを所定の印刷用紙に印刷する。
【0200】
以上により、印刷制御処理の一連の情報通信シーケンスが終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、子機C006から、印刷データを印刷させる情報通信シーケンスを示したが、実際に印刷データを印刷させる画像形成装置は、子機以外に、印刷データが記憶されている親機でもよく、印刷データが記憶されている親機とは異なる親機でもよい。
【0201】
図15に示した情報通信シーケンスでは、ジョブリスト要求は、1つの親機のみに送信されるので、ジョブリスト要求を親機に送信する場合に比べて、トラフィック量を少なくでき、親機と子機の負荷を軽減することができる。
【0202】
<この発明の子機における印刷制御処理の実施例>
図16と
図17に、画像形成装置の子機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、
図15に示した情報通信シーケンスで実行される子機における一連の印刷制御処理のフローチャートを説明する。
前提として、
図15の情報通信シーケンスに示したように、ユーザが、情報処理装置TEにおいて、所定の親機に自己の印刷データを記憶させる入力操作(印刷情報保存要求操作)をして、その親機に印刷情報が送信されてユーザの印刷情報が一時保存されているものとする。
【0203】
図16のステップS1において、印刷機能の選択入力がされたか否かをチェックする。
情報処理装置TEで上記の印刷情報保存要求操作をしたユーザが、所望の子機のところに移動し、所定の親機に記憶させた自己の印刷データを印刷するために、印刷機能を選択する入力操作をする。このとき、入力操作をしたユーザのユーザ名、あるいは、ユーザの識別情報を記憶する。
なお、ユーザが、子機を使用する権限を有する者であるか否かを確認するために、上記の入力操作をする前に、ユーザの認証処理をしてもよい。
ステップS2において、ユーザによって印刷機能が選択入力された場合は、ステップS3に進み、そうでない場合は、ステップS1に戻る。
【0204】
ステップS3において、子機の記憶部70に記憶されている接続親機情報72を読み出す。
ステップS4において、読み出した接続親機情報72に記憶されている接続可能な親機に、ジョブリスト要求を送信する。
【0205】
ステップS5において、親機からの返信であるジョブリスト応答が受信されるのをチェックする。
ステップS6において、ジョブリスト応答が受信された場合、ステップS7に進み、そうでない場合は、ステップS5に戻る。
ジョブリスト応答は、たとえば、
図8Bに示すような情報である。
ステップS7において、受信したジョブリスト応答からジョブリスト情報を取得する。
【0206】
ステップS8において、ジョブリストを表示する。
すなわち、受信したジョブリスト情報に含まれていた「保存ジョブ名」を、表示部53に表示する。
たとえば、
図14に示すようなジョブリスト表示画面を表示させる。
ユーザは、印刷処理をするために、ジョブリスト表示画面を見て、表示された「保存ジョブ名」のうち、印刷しようとするファイルを選択し、印刷開始入力をすればよい。
その後、
図17のステップS11に進む。
【0207】
図17のステップS11において、ユーザによって、ジョブリスト表示画面に表示された「保存ジョブ名」のうち、印刷しようとする印刷ジョブ(ジョブ名)の選択入力と、印刷開始入力がされたか否かをチェックする。
ステップS12において、選択入力と印刷開始入力がされた場合は、ステップS13に進み、そうでない場合は、ステップS11に戻る。
ステップS13において、ジョブリスト情報に含まれている保存親機名を取得する。
保存親機名の親機は、印刷データが記憶されている親機である。
【0208】
ステップS14において、保存親機名の親機に、印刷情報要求を送信する。
ここで、保存親機名の親機に、ユーザ名と、印刷データのジョブ名を示した「要求ファイル」を含む印刷情報要求を送信する。
たとえば、
図9の1つ目に示すような印刷情報要求を送信する。
【0209】
印刷情報要求を受信した親機は、印刷情報要求に含まれるユーザ名と、要求ファイルによって特定される印刷データを読み出し、読み出した印刷データそのものを含む印刷応答情報を生成して、印刷情報要求を送信してきた子機に送信する。
たとえば、
図10に示すような印刷応答情報を送信する。
【0210】
ステップS15において、印刷応答情報が受信されるか否かをチェックし、印刷応答情報が受信された場合は、ステップS16に進み、そうでない場合は、ステップS15を繰り返すか、または、一定時間経過しても印刷応答情報が受信されない場合は、ステップS14に戻り、印刷情報要求を再送してもよい。
【0211】
ステップS16において、受信した印刷応答情報の内容を確認し、印刷情報を取得する。印刷情報には、印刷データそのものも含まれる。
ステップS17において、取得した印刷情報を利用して、これに含まれる印刷ジョブ名の印刷データを、所定の用紙に印刷する。
【0212】
以上の処理により、子機での印刷制御処理が終了し、ユーザが親機に記憶させていた印刷データが、その親機とは異なる子機から印刷される。
なお、親機で印刷データの印刷をすることも可能であり、ユーザが、所望の親機で印刷をする場合は、その親機において、上記した子機での印刷制御処理と同様の処理が実行される。
【0213】
<この発明の親機における印刷制御処理の実施例>
図18と
図19に、画像形成装置の親機における印刷制御処理の一実施例のフローチャートを示す。
図18では、印刷情報の受信処理と、ジョブリスト情報の配信処理に関する一実施例のフローチャートを示す。
図19では、子機からの要求に対する応答処理(ジョブリスト応答の送信、印刷応答情報の送信)の一実施例のフローチャートを示す。
【0214】
(印刷情報の受信処理と、ジョブリスト情報の配信処理)
図18のステップS31において、情報処理装置TEからの印刷情報保存要求によって、印刷情報が受信されるか否かをチェックする。
ステップS32において、印刷情報が受信された場合は、ステップS33に進み、そうでない場合は、ステップS37に進む。
【0215】
ステップS33において、受信した印刷情報を記憶する。
これにより、ユーザの作成した印刷データが、親機の記憶部30に一時記憶される。
ステップS34において、ジョブリスト情報を生成し、記憶する。
ここで、
図8Aに示すように、ユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名とを含むジョブリスト情報が生成される。
【0216】
ステップS35において、記憶部30に記憶されている他親機情報を読み出す。
ステップS36において、他親機情報に含まれる他の親機に、ジョブリスト情報を送信し、ステップS31に戻る。
【0217】
ステップS37において、他の親機から、ジョブリスト情報が受信されるか否かをチェックする。
ステップS38において、ジョブリスト情報が受信された場合は、ステップS39に進み、そうでない場合は、ステップS31に戻る。
ステップS39において、受信したジョブリスト情報を記憶し、ステップS31に戻る。
【0218】
以上の処理により、TEから送信された印刷データが親機に受信され、他親機情報に含まれる他の親機に、ユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名とを含むジョブリスト情報が送信され、印刷データを記憶した親機だけでなく、印刷データを記憶していない複数の親機においても、印刷データのジョブ名を含むジョブリスト情報が記憶された状態となる。
【0219】
(子機からの要求に対する応答処理)
図19のステップS51において、子機からのジョブリスト要求が受信されるか否かをチェックする。
ステップS52において、ジョブリスト要求が受信された場合、ステップS53に進み、そうでない場合は、ステップS54に進む。
【0220】
ステップS53において、ジョブリスト応答を生成し、ジョブリスト要求を送信してきた子機に送信する。
ジョブリスト応答には、ユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名とが含まれる。
その後、ステップS51に戻る。
【0221】
ステップS54において、印刷情報が記憶部30に記憶されているか否かをチェックし、印刷情報が1つでも記憶されている場合は、ステップS55に進み、そうでない場合は、ステップS51に戻る。
【0222】
ステップS55において、子機からの印刷情報要求が受信されるか否かをチェックする。
ステップS56において、印刷情報要求が受信された場合、ステップS57に進み、そうでない場合は、ステップS51に戻る。
ステップS57において、印刷情報要求に対応する印刷応答情報を生成し、その印刷応答情報を、印刷情報要求を送信してきた子機に送信する。
印刷情報要求で要求された印刷データが、記憶部30に記憶されているはずなので、その印刷データを読み出し、印刷応答情報を生成する。
印刷応答情報には、ユーザ名と、印刷ジョブ名と、印刷データそのものなどが含まれる。
その後、ステップS51に戻る。
【0223】
以上の処理により、子機から送信されるジョブリスト要求に対して、ユーザ名と、保存親機名と、保存ジョブ名を含むジョブリスト応答の送信を行い、子機から送信される印刷情報要求に対して、ユーザ名と、印刷ジョブ名と、印刷データそのものなどを含む印刷応答情報の送信が行われる。
【0224】
上記した実施形態では、子機から送信されるジョブリスト要求の数をできるだけ少なくし、通信トラフィック量を低減させ、親機と子機の負荷を軽減させる印刷制御システムを示した。
【符号の説明】
【0225】
1 画像形成装置(親機)、
2 画像形成装置(子機)、
3 情報処理装置、
10 ネットワーク、
11 制御部、
12 操作部、
13 表示部、
14 画像処理部、
15 通信部、
21 印刷情報取得部、
22 印刷ジョブ通知部、
23 ジョブリスト取得部、
24 ジョブリスト要求取得部、
25 印刷ジョブ応答部、
26 印刷情報要求取得部、
27 印刷情報応答部、
30 記憶部、
31 自己設定情報、
32 他親機情報、
33 印刷情報、
34 ジョブリスト情報、
35 受信ジョブリスト要求、
36 ジョブリスト応答、
37 受信印刷情報要求、
38 印刷応答情報、
51 制御部、
52 操作部、
53 表示部、
54 画像処理部、
55 通信部、
61 ジョブリスト要求部、
62 ジョブリスト応答取得部、
63 ジョブリスト表示部、
64 印刷情報要求部、
65 印刷情報取得部、
70 記憶部、
71 自己設定情報、
72 接続親機情報、
73 ジョブリスト要求、
74 受信ジョブリスト応答、
75 ジョブリスト情報、
76 印刷情報要求、
77 受信印刷応答情報、
78 印刷情報