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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】試料観察装置及び試料観察方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20241119BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20241119BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20241119BHJP
   G01N 21/63 20060101ALN20241119BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/36
G01N21/01 D
G01N21/63 Z
G01N21/64 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021070905
(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公開番号】P2022165532
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】重松 恭平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 考二
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032183(JP,A)
【文献】特開2005-241733(JP,A)
【文献】Andrew J. Radosevich et al.,"Hyperspectral in vivo two-photon microscopy of intrinsic contrast",OPTICS LETTERS,2008年09月12日,Vol.33, No.18,pp.2164-2166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/00 - 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を励起光として出力する光源部と、
前記励起光を試料に対して走査しながら、前記パルス列に含まれる各パルス光の照射に応じた前記試料からの光応答を時間分解測定し、前記各パルス光に対する測定データを取得する測定部と、
前記試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、前記各パルス光に対する測定データに一括で線形分離処理を施す処理部と、を備える試料観察装置。
【請求項2】
前記光源部は、単一の光源から生成された前記パルス光の中心波長を時間に応じて変調することで前記パルス列を生成する請求項1記載の試料観察装置。
【請求項3】
前記光源部では、入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いて前記パルス列を生成する請求項1又は2記載の試料観察装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記試料において前記パルス列に含まれる前記複数のパルス光に対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて前記各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施す請求項1~3のいずれか一項記載の試料観察装置。
【請求項5】
前記線形分離処理が施された前記測定データに基づいて、特定のターゲットに関する観察像を生成する画像生成部を更に有する請求項1~4のいずれか一項記載の試料観察装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記特定のターゲットに関する観察像を重畳した重畳画像を生成する請求項5記載の試料観察装置。
【請求項7】
前記測定部は、前記試料からの光応答を時間分解測定するマルチチャネルの検出部を有している請求項1~6のいずれか一項記載の試料観察装置。
【請求項8】
中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を励起光として出力する出力ステップと、
前記励起光を試料に対して走査しながら、前記パルス列に含まれる各パルス光の照射に応じた前記試料からの光応答を時間分解測定し、前記各パルス光に対する測定データを取得する測定ステップと、
前記試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、前記各パルス光に対する測定データに一括で線形分離処理を施す処理ステップと、を備える試料観察方法。
【請求項9】
前記出力ステップでは、単一の光源から生成された前記パルス光の中心波長を時間に応じて変調することで前記パルス列を生成する請求項8記載の試料観察方法。
【請求項10】
前記出力ステップでは、入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いて前記パルス列を生成する請求項8又は9記載の試料観察方法。
【請求項11】
前記処理ステップでは、前記試料において前記パルス列に含まれる前記複数のパルス光に対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて前記各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施す請求項8~10のいずれか一項記載の試料観察方法。
【請求項12】
前記線形分離処理が施された前記測定データに基づいて、特定のターゲットに関する観察像を生成する画像生成ステップを更に有する請求項8~11のいずれか一項記載の試料観察方法。
【請求項13】
前記画像生成ステップでは、前記特定のターゲットに関する観察像を重畳した重畳画像を生成する請求項12記載の試料観察方法。
【請求項14】
前記測定ステップでは、マルチチャネル検出によって前記試料からの光応答を時間分解測定する請求項8~13のいずれか一項記載の試料観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試料観察装置及び試料観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の試料観察装置として、例えば蛍光観察顕微鏡が挙げられる。蛍光観察顕微鏡では、試料内のターゲットに選択的に化学結合する色素を注入し、励起光の照射によるターゲットからの蛍光を観察する。しかしながら、蛍光観察顕微鏡では、試料が生体である場合には、侵襲性を考慮に入れる必要がある。例えば生体に対する色素の安全性や比較的高いエネルギーを有する可視域の励起光の取り扱いに十分に配慮する必要がある。
【0003】
そこで、近年では、従来の蛍光観察に代えて、多光子励起や高次高調波発生といった現象に基づく非線形光学顕微鏡が着目されてきている。非線形光学顕微鏡では、例えば波長700nm~1700nm程度の近赤外光が用いられる。近赤外光は、可視光に比べてエネルギーが低いため、非線形光学顕微鏡における侵襲性が比較的低いものである。また、多光子励起や高次高調波発生は、染色無しに生じる場合がある。試料の染色を必要としないという観点でも、非線形顕微鏡の侵襲性は低いと言える。多光子励起や高次高調波の発生といった複数の観測方式(modality)に基づく光応答を弁別することで、複数の異なるターゲットを識別できる機能を有する顕微鏡は、マルチモーダル顕微鏡と称される。
【0004】
非線形光学顕微鏡に関する技術としては、例えば非特許文献1,2に記載の手法がある。非特許文献1では、試料に照射する光の波長を変えながら撮像を行い、試料の画像から単一のターゲットのみが発光している部分を抽出し、当該抽出部分の励起スペクトルを基準とした分離処理を行っている。非特許文献2では、試料に照射する光の偏光をパルス毎に変調し、マウスの尻尾におけるコラーゲンの配向方向を観察している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】AndrewJ Radosevich et al., “Hyperspectral in-vivo two-photon microscopy of intrinsicfluorophores” Biomedical optics 2008, OSA Technical Digest (CD) paper BWG7.pdf
【文献】XimengY. Dow et al., “Imaging the Nonlinear Susceptibility Tensor of Collagen byNonlinear Optical Stokes Ellipsometry” Biophysical Journal 111, 1361-1374, October 4, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したマルチモーダル観察では、複数の光子がターゲットで同時に吸収されるように、通常のレーザ光ではなく、超短パルス光の使用が大前提となっている。近年では、超短パルス光を発生させる光源の開発が進んできているが、その一方で、マルチモーダル観察の実現にあたっては、ターゲットの染色を用いないことが装置構築の困難性を高めている。
【0007】
具体的には、従来のマルチモーダル観察では、複数の異なる観察方式に対応する幅広い波長のパルス光を用いるため、観察方式の数に応じた複数の光源を装置に組み込む必要がある。また、試料からの異なる波長の光のそれぞれを弁別するため、ダイクロイックミラー等の波長分離素子や光検出器を観察方式の数に応じて装置に組み込む必要がある。装置のユーザが必ずしも光の専門家ではないことを考えると、典型的なマルチモーダル観察の装置は、光学系が複雑となる故にユーザにとって取り扱いが難しい装置となっている。
【0008】
また、シンプルな構成でマルチモーダル観察を実現するための課題も別に存在している。例えば単一の超短パルスレーザでマルチモーダル観察を行う場合、複数の方式による観察の実施には、波長の切り替えを行う必要がある。この波長の切り替えに際しては、有限のタイムラグが発生するため、波長の切り替えに基づく試料のリアルタイム観察は困難である。このため、例えば波長を複数の観察方式で用いる理想的な波長の平均付近に設定することで、全ての方式に基づく観察を同時に実施することが考えられる。しかしながら、この手法では、各観察方式に関して最適波長から外れた励起光を用いることになるため、S/N比の良好な観察を行うにはパルス光のエネルギーを上げざるを得ず、結果として試料の侵襲性を高めてしまうことになる。
【0009】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡易な光学系で試料のマルチモーダル観察を実施できる試料観察方法及び試料観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る試料観察装置は、中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を励起光として出力する光源部と、励起光を試料に対して走査しながら、パルス列に含まれる各パルス光の照射に応じた試料からの光応答を時間分解測定し、各パルス光に対する測定データを取得する測定部と、試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施す処理部と、を備える。
【0011】
この試料観察装置では、中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を形成している。複数のパルス光の中心波長のそれぞれを各観察方式に適用することで、観察方式の数に応じた複数の光源の配置が不要となる。また、この試料観察装置では、各パルス光の照射に応じた試料からの光応答を時間分解測定し、試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施している。これにより、観察方式の数に応じた波長分離素子及び光検出器を配置する必要が無くなる。また、線形分離処理を用いることで、得られた各ターゲットに関する観察像間のクロストークを原理的に回避できる。したがって、この試料観察装置では、簡易な光学系で試料のマルチモーダル観察を実施できる。
【0012】
光源部は、単一の光源から生成されたパルス光の中心波長を時間に応じて変調することでパルス列を生成してもよい。これにより、光学系を更に簡易なものとすることができる。
【0013】
光源部では、入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いてパルス列を生成してもよい。この場合、例えばファイバレーザを用いてパルス光の波長毎の時間変調を簡便に実施できる。したがって、装置の簡略化が図られる。
【0014】
処理部は、試料においてパルス列に含まれる複数のパルス光に対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施してもよい。この場合、実際の試料と同等の試料から得られた励起スペクトルを予め保有することで、線形分離処理の精度を十分に確保できる。したがって、得られた測定データ間のクロストークを一層好適に回避できる。
【0015】
試料観察装置は、線形分離処理が施された測定データに基づいて、特定のターゲットに関する観察像を生成する画像生成部を更に有していてもよい。これにより、クロストークを抑えた状態で各ターゲットに関する観察像を得ることができる。
【0016】
画像生成部は、特定のターゲットに関する観察像を重畳した重畳画像を生成してもよい。この場合、各ターゲットに関する観察結果が一つの画像にまとめられるため、観察結果を解析する際の利便性を向上できる。また、複数の観察方式を通じて観察可能となるような事象への対応も可能となる。
【0017】
測定部は、試料からの光を時間分解測定するマルチチャネルの検出部を有していてもよい。この構成によれば、励起光に含まれるパルス光の波長の数が試料のターゲットの数より少ない場合でも、試料のマルチモーダル観察を実施できる。
【0018】
本開示の一側面に係る試料観察方法は、中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を励起光として出力する出力ステップと、励起光を試料に対して走査しながら、パルス列に含まれる各パルス光の照射に応じた試料からの光応答を時間分解測定し、各パルス光に対する測定データを取得する測定ステップと、試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施す処理ステップと、を備える。
【0019】
この試料観察方法では、中心波長が異なる複数のパルス光が所定の時間間隔で並ぶパルス列を形成している。複数のパルス光の中心波長のそれぞれを各観察方式に適用することで、観察方式の数に応じた複数の光源の配置が不要となる。また、この試料観察方法では、各パルス光の照射に応じた試料からの光応答を時間分解測定し、試料に含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施している。これにより、観察方式の数に応じた波長分離素子及び光検出器を配置する必要が無くなる。また、線形分離処理を用いることで、得られた各ターゲットに関する観察像間のクロストークを原理的に回避できる。したがって、この試料観察方法では、簡易な光学系で試料のマルチモーダル観察を実施できる。
【0020】
出力ステップでは、単一の光源から生成されたパルス光の中心波長を時間に応じて変調することでパルス列を生成してもよい。これにより、光学系を更に簡易なものとすることができる。
【0021】
出力ステップでは、入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いてパルス列を生成してもよい。この場合、例えばファイバレーザを用いてパルス光の波長毎の時間変調を簡便に実施できる。
【0022】
処理ステップでは、試料においてパルス列に含まれる複数のパルス光に対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて各パルス光に対する測定データに線形分離処理を施してもよい。この場合、実際の試料と同等の試料から得られた励起スペクトルを予め保有することで、線形分離処理の精度を十分に確保できる。したがって、得られた測定データ間のクロストークを一層好適に回避できる。
【0023】
試料観察方法は、線形分離処理が施された測定データに基づいて、特定のターゲットに関する観察像を生成する画像生成ステップを更に有していてもよい。これにより、クロストークを抑えた状態で各ターゲットに関する観察像を得ることができる。
【0024】
画像生成ステップでは、特定のターゲットに関する観察像を重畳した重畳画像を生成してもよい。この場合、各ターゲットに関する観察結果が一つの画像にまとめられるため、観察結果を解析する際の利便性を向上できる。また、複数の観察方式を通じて観察可能となるような事象への対応も可能となる。
【0025】
測定ステップでは、マルチチャネル検出によって試料からの光応答を時間分解測定してもよい。この構成によれば、励起光に含まれるパルス光の波長の数が試料のターゲットの数より少ない場合でも、試料のマルチモーダル観察を実施できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、簡易な光学系で試料のマルチモーダル観察を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】試料観察装置の一実施形態を示す模式的な図である。
図2】変調部によるパルス光の時間変調の一例を示す模式的な図である。
図3】一般的な顕微鏡システムにおける応答光取得のタイミングチャートである。
図4】本実施形態における応答光取得のタイミングチャートである。
図5】励起スペクトルの一例を示す図である。
図6】線形分離処理で用いられる連立方程式の一例を示す図である。
図7】(a)は、各パルス光に対する観察像を示す図であり、(b)は、その重畳画像を示す図である。
図8】試料観察方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図9】試料観察装置の変形例の要部を示す模式的な図である。
図10】励起スペクトル及び発光スペクトルの一例を示す図である。
図11】線形分離処理で用いられる連立方程式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る試料観察装置及び試料観察方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0029】
図1は、試料観察装置の一実施形態を示す模式的な図である。この試料観察装置1は、試料Sのマルチモーダル観察を実現する装置として構成されている。試料観察装置1は、当該装置単体で顕微鏡システムを構成するものであってもよく、既存の顕微鏡に対して取り付け可能にユニット化されたものであってもよい。
【0030】
マルチモーダル観察とは、複数の異なる観察方式(modality)を組み合わせた観察手法である。マルチモーダル観察では、例えば波長700nm~1700nm程度の近赤外光を用い、多光子励起蛍光や高次高調波の発生といった現象を組み合わせることにより、試料Sの染色を行わずに観察を行うことが可能となっている。マルチモーダル観察では、蛍光を発生させるための色素の使用を排除でき、また、比較的低エネルギーである近赤外光を用いることができる。このため、特に試料Sが生体である場合に、高い非侵襲性の確保が可能となっている。
【0031】
多光子励起蛍光は、複数の光子によって試料S中のターゲットを高エネルギー状態に励起して蛍光を放出させる手法である。多光子励起蛍光には、2光子励起蛍光或いは3光子励起蛍光などの種類がある。これらは、例えば試料Sの自家蛍光の観察に適用できる。多光子励起蛍光の代表的なターゲットとしては、例えばケラチンやFADなどのタンパク質、ビタミンAなどの脂質、NAD(P)Hなどの酵素が挙げられる。
【0032】
高次高調波は、多光子励起蛍光のような実励起を伴わず、一定の条件下で複数の光子を一つの光子に変換して発光させる手法である。この手法では、入射光の作用によって入射光の波長とは異なる波長の光がターゲットから発生する。第2高調波は、例えば微小構造体の観察に適用できる。第2高調波の代表的なターゲットとしては、例えばコラーゲンなどのタンパク質、DNAなどの核酸、コレステロールなどの脂質が挙げられる。第3高調波は、例えば屈折率が互いに異なる層の界面の観察に適用できる。第3高調波の代表的なターゲットとしては、例えば血球やミトコンドリアなどののタンパク質、エナメル質などの無機質が挙げられる。
【0033】
以下、試料観察装置1の具体的な構成について説明する。試料観察装置1は、図1に示すように、光源部2と、測定部3と、制御部4とを備えて構成されている。光源部2は、レーザ光源11と、変調部12とを有している。レーザ光源11は、フェムト秒領域或いはピコ秒領域の近赤外の超短パルス光を出射する光源である。レーザ光源11は、例えばチタンサファイアレーザ、Yb:YAGレーザ、Ybファイバレーザ、Erファイバレーザ、Tmファイバレーザなどによって構成されている。
【0034】
変調部12は、単一のレーザ光源11からのパルス光Lの中心波長を時間に応じて変調する部分である。変調部12は、中心波長が異なる複数のパルス光Lが所定の時間間隔で並ぶパルス列Lcを励起光Leとして出力する。図1の例では、中心波長がλ,λ,λ,λである4つのパルス光Lが所定の時間間隔をもって並ぶパルス列Lcが生成されている。このパルス列Lcを含む光が励起光Leとして変調部12から出力する。
【0035】
変調部12は、例えば入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いて上記パルス列Lcを生成する態様としてもよい。この場合、変調部12は、例えば音響光学変調器とフォトニック結晶ファイバとの組み合わせによって構成できる。この構成では、音響光学変調器で強度を高速変調したパルス列Lcをフォトニック結晶ファイバに伝搬させることでソリトン自己周波数シフトを生じさせることができる。変調部12は、パルスシェーパとフォトニック結晶ファイバとの組み合わせによって構成してもよい。この場合、パルスシェーパで強度変調したマルチパルスをフォトニック結晶ファイバに伝搬させることでソリトン自己周波数シフトを生じさせることができる。
【0036】
図2の例では、波長がλの4つのパルス光Lを音響光学変調器によって4つの異なる強度に変調することにより、4つのパルス光Lが時間t,t,t,tにおいて順に並ぶパルス列Lcが生成されている。変調後のパルス列Lcでは、時間的に先のパルス光Lから順に強度が徐々に小さくなっている。これらのパルス光Lをフォトニック結晶ファイバ14に伝搬させることでソリトン自己周波数シフトが生じる。フォトニック結晶ファイバ14から出力したパルス列Lcでは、中心波長がλ,λ,λ,λである4つのパルス光Lが時間t,t,t,tにおいて順に並ぶこととなる。
【0037】
測定部3は、走査部15と、コリメータレンズ16と、対物レンズ17と、検出部18と、データ集録部19とを有している。走査部15は、励起光Leを試料S上で2次元走査する部分である。走査部15は、例えば一対のガルバノミラー20A,20Bによって構成されている。ガルバノミラー20Aは、励起光Leを試料Sのx方向に走査し、ガルバノミラー20Bは、励起光Leを試料Sのy方向に走査する。走査部15を構成する素子は、ガルバノミラーに限られず、MEMSミラーなどの他の素子であってもよい。走査部15は、音響光学変向器やxyステージなどの他の手段によって構成されていてもよい。
【0038】
走査部15を経た励起光Leは、コリメータレンズ16によって平行光化された後、対物レンズ17によって集光され、試料Sに照射される。試料Sからは、励起光Leのパルス列に含まれる各パルス光Lの照射に応じた光(以下、「応答光Lr」と称す)が発生する。図1の例では、4つのパルス光Lの照射に応じて、4つの応答光I,I,I,Iが発生する。なお、試料Sと検出部18との間の光路上には、励起光Leをカットし、且つ応答光Lrを通過させるフィルタ(不図示)が配置されていることが好ましい。
【0039】
検出部18は、パルス列に含まれる各パルス光Lの照射に応じた試料Sからの応答光を時間分解測定する部分である。検出部18は、例えば光電子増倍管によって構成されている。検出部18は、光電子増倍管、MPPC(Multi pixel photon counter)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオードなどの時間分解測定が可能な装置によって構成されている。ここでは、検出部18は、シングルチャネルの光電子増倍管によって構成されている。検出部18は、応答光Lrに応じた信号をデータ集録部19に出力する。
【0040】
データ集録部19は、励起光Leに含まれる各パルス光Lに対する測定データを取得する部分である。データ集録部19は、例えばオシロスコープ、PCIボードなどによって構成されている。データ集録部19は、検出部18から出力された信号をデジタル化して測定データを生成し、制御部4に出力する。
【0041】
図3は、一般的な顕微鏡システムにおける応答光取得のタイミングチャートである。同図に示すように、一般的な顕微鏡システムでは、励起光であるパルス光が所定の繰り返し周波数で試料に入射する。試料に対する励起光のx方向及びy方向の走査は、パルス光の繰り返し周波数に対して十分に遅い周波数で実施される。応答光の測定データは、xy平面上の各座標において集録され、観察像として再構成される。
【0042】
これに対し、図4は、本実施形態に係る試料観察装置における応答光取得のタイミングチャートである。同図に示すように、試料観察装置1では、中心波長がλ,λ,λ,λである4つのパルス光Lが時間t,t,t,tにおいて順に並んだ励起光Leが試料Sに入射する。試料Sに対する励起光Leのx方向及びy方向の走査は、図3の場合と同様である。一方、応答光の測定データは、xy平面上の各座標において、時間t,t,t,tの異なるタイミングで時間分解されて集録され、観察像として再構成される。
【0043】
制御部4は、物理的には、RAM、ROMなどのメモリ、CPUなどのプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスクなどの格納部、ディスプレイなどの表示部を備えて構成されたコンピュータシステムである。コンピュータシステムとしては、例えばパーソナルコンピュータ、クラウドサーバ、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末など)などが挙げられる。制御部4は、PLC(programmable logic controller)によって構成されていてもよく、FPGA(Field-programmable gate array)等の集積回路によって構成されていてもよい。
【0044】
制御部4は、機能的な構成要素として、駆動制御部21と、処理部22と、格納部23と、画像生成部24とを有している。駆動制御部21は、試料観察装置1の動作を制御する部分である。駆動制御部21は、不図示の操作部によるユーザの操作の入力に応じて、レーザ光源11、変調部12、及び走査部15の各動作を制御する。
【0045】
処理部22は、試料Sに含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光Lに対する測定データに線形分離処理を施す部分である。図5は、励起スペクトルの一例を示す図である。図5に示すように、励起スペクトルとは、励起光の波長を変化させながら各ターゲットからの応答光の強度を測定した際に得られるスペクトルである。一方、各ターゲットからの応答光を分光器で測定した際に得られるスペクトルは、発光スペクトル(図10参照)と称される。
【0046】
図5の例では、g,g,gの3つの励起スペクトルが図示されている。本実施形態では、これらの励起スペクトルg,g,gに関するデータは、格納部23に予め保有されている。励起スペクトルg,g,gは、試料Sにおいて励起光Leのパルス列に含まれる複数のパルス光Lに対して特定のターゲットのみが発光する領域(seed region)を対象として、事前の測定によって得られたものである。この他、励起スペクトルの取得方法は、In Vitroサンプルを用いて事前に励起光Leに対する応答光Lrの波長依存性を測定するものであってもよく、ターゲット毎の既存のデータを参照するものであってもよい。
【0047】
励起スペクトルg,g,gに基づく測定データの線形分離処理は、図6に示す連立方程式(1)~(4)を用いて行われる。この線形分離処理で用いる情報は、励起スペクトルg,g,gと励起光Leに含まれるパルス光Lの波長λ,λ,λ,λである。式中の|Ex(λ)|は、励起光Leに含まれる各パルス光Lの強度である。パルス光Lの波長の数は、連立方程式の数に一致している。この連立方程式(1)~(4)の解を求めることで、試料観察装置1にダイクロイックミラー等の波長分離素子及び光検出器を配置することなく、時間分離した4つの応答光I,I,I,Iから各ターゲット由来の応答光I,I,Iをそれぞれ算出できる。処理部22は、線形分離処理が施された測定データを画像生成部24に出力する。
【0048】
画像生成部24は、線形分離処理の結果得られた各ターゲット由来の応答光から各ターゲットに関する観察像を生成する部分である。画像生成部24は、図7(a)に示すように、xy平面の各座標に対する線形分離処理の結果得られた各ターゲット由来の応答光I,I,Iの値を二次元平面上に配列することで、各ターゲットに関する観察像G,G,Gを生成する。また、本実施形態では、画像生成部24は、図7(b)に示すように、各ターゲットに関する観察像G,G,Gを重畳した重畳画像Gsを生成する。画像生成部24は、生成した観察像G,G,G及び重畳画像Gsの全部又は一部を表示部25に出力する。表示部25では、複数の観察方式の全部又は一部による試料Sの観察結果が表示される。
【0049】
図8は、試料観察方法の一実施形態を示すフローチャートである。同図に示すように、試料観察方法は、出力ステップ(ステップS01)と、測定ステップ(ステップS02)と、処理ステップ(ステップS03)と、画像生成ステップ(ステップS04)とを備えて構成されている。
【0050】
出力ステップS01では、単一の光源からのパルス光Lの中心波長を時間に応じて変調し、中心波長が異なる複数のパルス光Lが所定の時間間隔で並ぶパルス列Lcを励起光Leとして出力する。ここでは、レーザ光源11から所定の繰り返し周波数で出力した超短パルス光をソリトン自己周波数シフトを用いて変調する(図2参照)。ソリトン自己周波数シフトでは、入力強度に応じて出力波長が変わるパルス列が生成される。これにより、中心波長がλ,λ,λ,λである4つのパルス光Lが時間t,t,t,tにおいて順に並んだパルス列Lcが励起光Leとして出力される。
【0051】
測定ステップS02では、励起光Leを試料Sに対して走査しながら、パルス列に含まれる各パルス光Lの照射に応じた試料Sからの応答光I,I,I,Iを時間分解測定し、各パルス光Lに対する測定データを取得する。続く処理ステップS03では、試料Sに含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光Lに対する測定データに線形分離処理を施す。処理ステップS03では、例えば試料Sにおいてパルス列に含まれる複数のパルス光Lに対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて各パルス光Lに対する測定データに線形分離処理を施す。これにより、応答光I,I,I,Iの測定データから各ターゲット由来の応答光I,I,Iを互いに分離する。
【0052】
画像生成ステップS04では、xy平面の各座標に対する線形分離処理の結果得られた各ターゲット由来の応答光I,I,Iの値を二次元平面上に配列し、各ターゲットに関する観察像G,G,Gを生成する。また、画像生成ステップS04では、各ターゲットに関する観察像G,G,Gを重畳した重畳画像Gsを生成する。その後、生成した各観察像G,G,G及び重畳画像Gsの全部又は一部を表示部25に出力し、試料Sの各ターゲットの観察を実施する。
【0053】
以上説明したように、試料観察装置1では、中心波長が異なる複数のパルス光Lが所定の時間間隔で並ぶパルス列Lcを形成している。複数のパルス光Lの中心波長のそれぞれを各観察方式に適用することで、観察方式の数に応じた複数の光源の配置が不要となる。また、試料観察装置1では、各パルス光Lの照射に応じた試料Sからの光を時間分解測定し、試料Sに含まれるターゲット毎の励起スペクトルに基づいて、各パルス光Lに対する測定データに線形分離処理を施している。これにより、観察方式の数に応じた波長分離素子及び光検出器を配置する必要が無くなる。また、線形分離処理を用いることで、得られた各ターゲットに関する観察像G,G,G間のクロストークを回避できる。したがって、試料観察装置1では、簡易な光学系で試料Sのマルチモーダル観察を実施できる。
【0054】
この試料観察装置1では、励起光Leにおけるパルス光Lの繰り返し周波数を80MHzとし、試料Sからの応答光Lrの寿命を3ns程度と考えた場合、中心波長がλ,λ,λ,λであるパルス光Lを用いて4種の観察方式による試料Sの観察が可能となる。また、試料観察装置1では、各ターゲットからの応答光I,I,Iを線形分離処理によって行うため、観察対象に制限が生じることがない。このことは、ターゲットの発光スペクトルを染色によって制御できないラベルフリーの顕微鏡システムにおいては、本質的なメリットとなる。
【0055】
線形分離処理は、比較的簡単な処理であり、測定データの取得に応じてほぼリアルタイムに観察像G,G,G及び重畳画像Gsを得ることができる。マルチモーダル観察では、リアルタイム計測が重要である。観察方式毎に励起波長の切り替えを行う態様では、例えば医療分野において、腫瘍に隣接する血管枝での白血球の血管外漏出といった事象を観察することが難しい。こうした事象は、複数の観察方式で試料のリアルタイム観察を行うことで初めて捉えることができるものであり、試料観察装置1の高い有用性を示している。
【0056】
本実施形態では、光源部2は、単一のレーザ光源11から生成されたパルス光Lの中心波長を時間に応じて変調することでパルス列Lcを生成している。これにより、光学系を更に簡易なものとすることができる。また、本実施形態では、入力強度に応じて出力波長が変わるソリトン自己周波数シフトを用いてパルス列Lcを生成している。このような手法により、例えばファイバレーザを用いてパルス光Lの波長毎の時間変調を簡便に実施できる。したがって、装置の簡略化が図られる。
【0057】
本実施形態では、試料Sにおいてパルス列Lcに含まれる複数のパルス光Lに対して特定のターゲットのみが発光する領域の励起スペクトルを予め保有し、当該励起スペクトルに基づいて各パルス光Lに対する測定データに線形分離処理を施している。実際の試料Sと同等の試料Sから得られた励起スペクトルを予め保有することで、線形分離処理の精度を十分に確保できる。したがって、得られた測定データ間のクロストークを一層好適に回避できる。
【0058】
本実施形態では、線形分離処理が施された測定データに基づいて、各ターゲットに関する観察像G,G,Gを生成している。これにより、クロストークを抑えた状態で各観察方式に対応した観察像G,G,Gを得ることができる。また、本実施形態では、観察像G,G,Gを重畳した重畳画像Gsを生成している。これにより、各観察方式による観察結果が一つの画像にまとめられるため、観察結果を解析する際の利便性を向上できる。また、複数の観察方式を通じて観察可能となるような事象への対応も可能となる。
【0059】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、シングルチャネルの検出器によって検出部18を構成しているが、これに代えて、マルチチャネルの検出器によって検出部18を構成してもよい。かかる検出器としては、マルチチャネルの光電子増倍管などが挙げられる。この構成によれば、励起光Leに含まれるパルス光Lの波長の数が試料Sのターゲットの数より少ない場合でも、線形分離処理で用いる連立方程式の解を求めることが可能となる。
【0060】
この構成を採用する場合、例えば図9に示すように、中心波長がλEX1,λEX2である2つのパルス光Lが順に並ぶパルス列Lcを励起光Leとして生成する。これら2つのパルス光Lの照射に応じて、2つの応答光I,Iが発生する。また、試料Sと検出部18との間の応答光Lrの光路に回折格子31とレンズ32とを配置し、測定部3に分光機能を付与する。回折格子31の追加により、試料Sからの応答光Lrの波長に応じて伝搬方向を変えることができる。したがって、検出部18がマルチチャネルの光電子増倍管である場合、チャネルごとに異なる波長成分を同時に検出できる。
【0061】
この構成で取得した応答光Lrの測定データの線形分離処理には、図10に示すように、励起スペクトルに加えて発光スペクトルを用いる。図10の例では、h,h,hの3つの発光スペクトルが、g,g,gの3つの励起スペクトルと共に図示されている。CH1及びCH2は、光電子増倍管の2つのチャネルである。応答光Lrの短波長成分は、CH1で検出され、応答光Lrの長波長成分は、CH2で検出される。CH1による計測波長範囲は、[λEM1,λEM2]で表し、CH2による計測波長範囲は、[λEM2,λEM3]で表す。λEM1,λEM2,λEM3の値は、回折格子31の格子間隔、レンズ32の焦点距離、回折格子31から検出部18までの光路長などによって調整できる。
【0062】
励起スペクトルg,g,g及び発光スペクトルh,h,hに基づく測定データの線形分離処理は、図11に示す連立方程式(1)~(4)を用いて行われる。この線形分離処理で用いる情報は、励起スペクトルg,g,g、発光スペクトルh,h,h、及び励起光Leに含まれるパルス光Lの波長λEX1,λEX2である。これらのパラメータは、CH1及びCH2のそれぞれについて定義されている。h([λEM1,λEM2])は、区間[λEM1,λEM2]における発光スペクトルの積算値であり、h([λEM2,λEM3])は、区間[λEM2,λEM3]における発光スペクトルの積算値である。積算値は、各ターゲットに対応してそれぞれ定義されている。式中の|E(λEX1)|及び|E(λEX2)|は、励起光Leに含まれる各パルス光Lの強度である。
【0063】
この態様では、パルス光Lの波長の数は2つであるが、検出部18のチャネル数が2であるため、パルス光Lの波長の数と検出部18のチャネル数との積が連立方程式の数に一致する。したがって、図11に示す連立方程式(1)~(4)の解を求めることができ、4つの応答光I1,CH1,I1,CH2,I2,CH1,I2,CH2から各ターゲット由来の応答光I,I,Iをそれぞれ算出できる。
【0064】
また、例えば上記実施形態では、単一のレーザ光源11からのパルス光Lの中心波長を時間に応じて変調することにより、中心波長が異なる複数のパルス光Lが所定の時間間隔で並ぶパルス列Lcを励起光Leとして出力する光源部2を例示しているが、光源部2は、複数のレーザ光源を用いて同様の励起光Leを出力する態様であってもよい。この場合、光源部2は、例えば互いに波長の異なる複数のレーザ光源とダイクロイックミラー等の波長分離素子を組み合わせることにより、所定の時間間隔で各レーザ光源からパルス光を発生させる構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…試料観察装置、2…光源部、3…測定部、11…レーザ光源(単一の光源)、18…検出部、22…処理部、24…画像生成部、L…パルス光、Lc…パルス列、Le…励起光、Lr…応答光(試料からの光)、G,G,G…観察像、Gs…重畳画像、S…試料。
図1
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