(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】納期回答装置および納期回答方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241119BHJP
【FI】
G06Q10/08
(21)【出願番号】P 2021100614
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大家 健司
(72)【発明者】
【氏名】野本 多津
(72)【発明者】
【氏名】小倉 孝裕
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097475(JP,A)
【文献】特開2004-155567(JP,A)
【文献】特開2018-073200(JP,A)
【文献】再公表特許第19/053821(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
注文数量の予測を行う販売チャネルである需要予測チャネル
ごとに商品の在庫計画を超過した在庫実績
の量を在庫余裕度として特定し、前記需要予測チャネル間で前記商品の前記在庫余裕度を合算して前記商品の余裕となる在庫の量として算出し、前記
商品の余裕となる在庫
の量を、注文数量の予測を行わない販売チャネルである非需要予測チャネルへの受注可能枠
の前記商品の量として特定するとともに、該受注可能枠に
前記受注可能枠以下の前記商品の量を所定の開示枠
として設定する受注枠算出・開示部と、
前記非需要予測チャネルにて受け付けた実注文に係る注文数量が前記開示枠の範囲内か否か判定し、範囲内であれば該実注文に対して納品可能として納期回答を行い、範囲内でなければ該実注文に対して納入不可として納期回答を行う実注文取得・納期回答部と、
を備えることを特徴とする納期回答装置。
【請求項2】
請求項1に記載の納期回答装置であって、
前記受注枠算出・開示部は、前記開示枠を、前記受注可能枠または前記非需要予測チャネルの需要規模のいずれか小さい方に応じて設定する、
ことを特徴とする納期回答装置。
【請求項3】
請求項1に記載の納期回答装置であって、
前記受注枠算出・開示部は、
前記商品の前記余裕となる在庫の量を、前記需要予測チャネルを構成する販売チャネルごとの所定期間の前記在庫の最小値と、前記需要予測チャネルの該所定期間の前記在庫の最小値と、の小さい方に応じて算出する、
ことを特徴とする納期回答装置。
【請求項4】
請求項1に記載の納期回答装置であって、
前記受注枠算出・開示部は、前記開示枠を販売数量の上限として注文受付画面を生成する、
ことを特徴とする納期回答装置。
【請求項5】
請求項1に記載の納期回答装置であって、
前記需要予測チャネルの前記在庫実績を、ネットワークを介して他の装置から取得する在庫実績取得部、
を備えることを特徴とする納期回答装置。
【請求項6】
請求項1に記載の納期回答装置であって、
前記需要予測チャネル
の販売計画を、ネットワークを介して他の装置から取得する需要予測チャネル販売計画取得部
を備え、
前記受注枠算出・開示部は、前記在庫計画を特定する処理において前記販売計画の量を受払計算に用いる、
ことを特徴とする納期回答装置。
【請求項7】
コンピュータを用いた納期回答方法であって、
前記コンピュータは、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
注文数量の予測を行う販売チャネルである需要予測チャネル
ごとに商品の在庫計画を超過した在庫実績
の量を在庫余裕度として特定し、前記需要予測チャネル間で前記商品の前記在庫余裕度を合算して前記商品の余裕となる在庫の量として算出し、前記
商品の余裕となる在庫
の量を、注文数量の予測を行わない販売チャネルである非需要予測チャネルへの受注可能枠
の前記商品の量として特定するとともに、該受注可能枠に
前記受注可能枠以下の前記商品の量を所定の開示枠
として設定する受注枠算出・開示ステップと、
受け付けた実注文に係る注文数量が前記開示枠の範囲内か否か判定し、範囲内であれば該実注文に対して納品可能として納期回答を行い、範囲内でなければ該実注文に対して納入不可として納期回答を行う実注文取得・納期回答ステップと、
を実施することを特徴とする納期回答方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納期回答装置および納期回答方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「料飲店が商品を購入する際の取引の安全性、信頼性を高めることが可能な商取引支援システムを提供するものであり、商品の提供者と料飲店との間に販売店が介在する商取引形態に適用される商取引支援システムにおいて、在庫量からみて販売可能な範囲で注文が成立するように料飲店からの商品注文の受け付けを制御する手段と、料飲店の注文の内容に基づいて物流拠点に商品の出荷を指示する手段と、物流拠点からの情報に基づいて在庫データを管理する手段と、料飲店の注文に対応して売上を計上すべき販売店を判別する手段と、料飲店が注文した商品を販売店が提供者から仕入れて料飲店に販売したとみなした場合の提供者及び販売店の売上代金の処理に必要な情報を生成し、当該情報を提供者及び販売店に提供する手段とを設ける。」という技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の技術では、仮注文を受けることができない販売チャネルから注文を受信した際に、当該チャネルに対する需要の見積もりがない中でも引当・納期回答を行うことについては、何ら提示されていない。
【0005】
本発明の目的は、需要見積もりがない販売チャネルの引当・納期回答を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の手段を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、納期回答装置であって、注文数量の予測を行う販売チャネルである需要予測チャネルの在庫実績と販売計画を用いて該需要予測チャネルの商品の在庫の余裕を算出し、前記余裕となる在庫を、注文数量の予測を行わない販売チャネルである非需要予測チャネルへの受注可能枠に振り替え、該受注可能枠に所定の開示枠を設定する受注枠算出・開示部と、前記非需要予測チャネルにて受け付けた実注文に係る注文数量が前記開示枠の範囲内か否か判定し、範囲内であれば該実注文に対して納品可能として納期回答を行い、範囲内でなければ該実注文に対して納入不可として納期回答を行う実注文取得・納期回答部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、需要見積もりがない販売チャネルの引当・納期回答を適切に行う技術を提供することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】需要予測チャネル在庫実績記憶部のデータ構造例を示す図である。
【
図3】需要予測チャネル販売計画記憶部のデータ構造例を示す図である。
【
図4】需要予測チャネル仮注文情報記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】供給計画記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】実注文情報記憶部のデータ構造の例を示す図である。
【
図7】納期回答装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図8】納期回答処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図11】製品供給企業向けの開示枠表示画面の例を示す図である。
【
図12】非需要予測チャネル向けの注文受付画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0011】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0013】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。ただし、同一の部材であっても環境変更等により変更前の部材と称呼を共有すると混乱を生ぜしめるおそれが高い場合、別の異なる符号や名称を付すことがある。
【0015】
なお、以下の実施形態においては、「入出力インターフェース部」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0018】
また、以下の説明では、「記憶部」または「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。
【0019】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0021】
また、以下の説明では、「プログラム」や「処理部」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0022】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「納期回答装置」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。納期回答装置100が表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
消費者ニーズの多様化やIT技術・物流網の発達を受けて、近年、販売チャネルの多様化が進んでいる。メーカは系列販売店だけでなく、大型量販店などのいわゆる大口チャネルや、インターネットショッピングなど直販のいわゆる小口チャネルを同時に販売チャネルに抱えるようになっている。また、売買の取引も電子化が進んでいる。これらの社会動向を受けて、多種多数な需要者・供給者がいる中で、効率よく需給を一致させることの重要性は高まっている。
【0025】
大口チャネルでは、一般に、販売店が販売機会損失の回避のために在庫を一定程度抱える。そのため、大口チャネルの販売店はメーカに対して商品の注文数量(以下、需要とも表記する)が多くなる傾向にあるため、取引の慣習上、メーカはチャネルごとに注文数量の予測を行い、予測の範囲内で実際に供給可能な数量である受注枠を設けて生産量を決定し商品の供給計画を立案することがある。
【0026】
他方、インターネット直販等の小口チャネルでは、メーカは注文数量を見積ることが難しく、生産量の決定はメーカの在庫リスクとの兼ね合いで決定されることが多い。このような状況では、大口チャネルの注文の予実誤差により出た商品在庫の余裕を、小口チャネルにおいて注文を受け付けて販売することができれば、在庫調整・リスクの低減につながることがある。
【0027】
本発明によれば、注文数量の予測がない、あるいは注文数量の予測を行わない販売チャネル(以下、非需要予測販売チャネルとも表記する)への受注枠を、注文数量の予測がある、あるいは注文数量の予測を行う販売チャネル(以下、需要予測チャネルとも表記する)の在庫実績と販売計画から算出した在庫余裕度に基づき生成することができる。これにより、注文数量の予測がある販売チャネルの販売力を超える過剰供給防止と注文数量の予測がない販売チャネルへの受注枠開示・納期回答が可能となることによる販売機会損失の低減が可能となる。
【0028】
[実施例1]
図1は、納期回答装置の構成例を示す図である。納期回答装置100は、図示しないインターネット等のネットワークに接続し通信可能である。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部または全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれかまたはこれらの複合したネットワークである。なお、ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0029】
納期回答装置100は、処理部として、在庫実績取得部1000と、需要予測チャネル販売計画取得部2000と、需要予測チャネル仮注文取得部3000と、供給計画更新部4000と、受注枠算出・開示部5000と、実注文取得・納期回答部6000と、を備える。また、納期回答装置100は、入出力インターフェース部7000と、記憶部8000と、備える。
【0030】
記憶部8000には、需要予測チャネル在庫実績記憶部8100と、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と、需要予測チャネル仮注文情報記憶部8300と、供給計画記憶部8400と、実注文情報記憶部8600と、が含まれる。
【0031】
図2は、需要予測チャネル在庫実績記憶部のデータ構造例を示す図である。需要予測チャネル在庫実績記憶部8100は、販売チャネル名8101と、製品名8102と、在庫実績8103の3つのフィールドを有する。需要予測チャネル在庫実績記憶部8100は、需要予測チャネルごとに、取り扱う製品とその在庫実績とを関連付けて格納する。
【0032】
図3は、需要予測チャネル販売計画記憶部のデータ構造例を示す図である。需要予測チャネル販売計画記憶部8200は、販売チャネル名8201と、製品名8202と、販売時期8203と、販売計画台数8204と、の4つのフィールドを持つ。需要予測チャネル販売計画記憶部8200は、需要予測チャネルと、販売時期とに応じて、取り扱う製品の販売計画台数を関連付けて格納する。
【0033】
なお、本実施形態では、販売時期を1週間ごとに区切った週次データを用いる例を提示しているが、他の時間単位(日別、月別など)で区切ったデータを用いるものであってもよい。納期回答装置100を利用する頻度と販売時期の時間の単位を揃えるのが望ましい。例えば、日次で納期回答装置100を利用する場合は日別の販売計画台数を、月次で納期回答装置100を利用する場合は月別の販売計画台数を用いるのが、より望ましい。
【0034】
図4は、需要予測チャネル仮注文情報記憶部のデータ構造の例を示す図である。需要予測チャネル仮注文情報記憶部8300は、注文チャネル名8301と、製品名8302と、納期8303と、仮注文台数8304と、の4つのフィールドを有する。すなわち、需要予測チャネル仮注文情報記憶部8300は、販売チャネルからの製品別・納期別の仮注文台数、すなわち製品の納入を行う予定の注文の台数を格納する。
【0035】
なお、本実施形態では、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と同様に、納期の時間単位を週単位に区切った例を提示しているが、他の時間単位(日別、月別など)で区切ったデータを用いるものであってもよい。納期回答装置100を利用する頻度と納期の時間の単位を揃えるのが望ましい。例えば、日次で納期回答装置100を利用する場合は日別の納期と仮注文台数を、月次で納期回答装置100を利用する場合は月別の納期と仮注文台数を用いるのが、より望ましい。
【0036】
図5は、供給計画記憶部のデータ構造の例を示す図である。供給計画記憶部8400は、製品名8401と、供給時期8402と、供給計画台数8403と、の3つのフィールドを有する。すなわち、供給計画記憶部8400は、製品の供給時期ごとに、製品を供給する企業すなわちメーカの供給計画台数を格納する。
【0037】
なお、本実施形態では、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と同様に、供給時期の時間単位を週単位に区切った例を提示しているが、他の時間単位(日別、月別など)で区切ったデータを用いるものであってもよい。納期回答装置100を利用する頻度と納期の時間の単位を揃えるのが望ましい。例えば、日次で納期回答装置100を利用する場合は日別の供給時期と供給計画台数を、月次で納期回答装置100を利用する場合は月別の供給時期と供給計画台数を用いるのが、より望ましい。
【0038】
図6は、実注文情報記憶部のデータ構造の例を示す図である。実注文情報記憶部8600は、注文チャネル名8601と、製品名8602と、納期8603と、実注文台数8604と、の4つのフィールドを有する。すなわち、実注文情報記憶部8600は、販売チャネルからの製品別・納期別の実注文台数、すなわち実際に製品の納入を行う注文の台数を格納する。
【0039】
なお、本実施形態では、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と同様に、納期の時間単位を週単位に区切った例を提示しているが、他の時間単位(日別、月別など)で区切ったデータを用いるものであってもよい。納期回答装置100を利用する頻度と納期の時間の単位を揃えるのが望ましい。例えば、日次で納期回答装置100を利用する場合は日別の納期と実注文台数を、月次で納期回答装置100を利用する場合は月別の納期と実注文台数を用いるのが、より望ましい。
【0040】
図1の説明に戻る。在庫実績取得部1000は、需要予測チャネルの在庫実績を取得する。具体的には、在庫実績取得部1000は、入出力インターフェース部7000が提供する、需要予測チャネルとの通信を介して、該販売チャネルの在庫実績を取得し、需要予測チャネル在庫実績記憶部8100に格納する。
【0041】
需要予測チャネル販売計画取得部2000は、該販売チャネル自身の販売計画を取得する。具体的には、需要予測チャネル販売計画取得部2000は、入出力インターフェース部7000が提供する需要予測チャネルとの通信を介して、あるいは入力装置を介して、該販売チャネルが顧客に対して計画する販売計画情報を取得し、需要予測チャネル販売計画記憶部8200に格納する。
【0042】
需要予測チャネル仮注文取得部3000は、顧客との事前商談などを通じて得られる仮注文を取得する。具体的には、需要予測チャネル仮注文取得部3000は、入出力インターフェース部7000が提供する需要予測チャネルとの通信を介して、あるいは入力装置を介して、製品を供給する企業と、需要予測チャネルとの間で実施される事前商談などで得られる仮注文情報を取得し、需要予測チャネル仮注文情報記憶部8300に格納する。
【0043】
供給計画更新部4000は、製品を供給する企業が注文を受ける製品の生産・在庫計画を用いて算出される供給計画を更新する。具体的には、供給計画更新部4000は、製品を供給する企業の生産計画と在庫計画とを用いて、供給計画記憶部8400を更新する。
【0044】
受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネルの在庫実績と販売計画を用いて、該販売チャネルの在庫の余裕を計算し、余裕分を非需要予測チャネルへの受注可能枠に振り替え、さらにその一部または全部について一時に受注できる最大量としての開示枠を設定する。具体的には、受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネル在庫実績記憶部8100と、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と、を用いて、該販売チャネルの在庫余裕を算出する。そして、受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネルの在庫余裕分を、非需要予測チャネルの最大受注枠に振り替え、記憶部8000に格納されている図示しない過去の実注文実績と、非需要予測チャネルの最大受注枠とを用いて、非需要予測チャネルへの開示枠を算出する。
【0045】
実注文実績に応じた開示枠、すなわち需要規模に応じた開示枠を設ける理由は、想定しない規模での小口チャネル市場への製品供給が発生するリスクを避ける安全弁の役割を担うためである。より詳しくは、大口チャネルの注文数量の規模が小口チャネルの需要規模に応じてきわめて大きい場合、大口チャネルの注文数量の予実誤差が大きいと小口チャネルの販売可能数が大幅に変動してしまい、想定しない規模での市場への製品供給が発生し、供給過剰の印象を与える恐れがあるためである。開示枠を設けることで、供給過剰の印象を与えることと、一度に大量の小口チャネルからの注文を受けることを回避できる。
【0046】
実注文取得・納期回答部6000は、メーカが実注文を受けると、その注文が受注枠算出・開示部5000にて算出された開示枠の範囲に収まっているかを判断し、その注文に対して納期回答を行う。具体的には、実注文取得・納期回答部6000は、入出力インターフェース部7000が提供する販売チャネルとの通信を介して実注文情報を取得し、注文の数量が開示枠の範囲内であれば納品可能、注文の数量が開示枠の範囲外であれば納入不可と回答を生成し、販売チャネルとの通信を介して、回答を注文者に提示する。
【0047】
入出力インターフェース部7000は、少なくとも受注枠、開示枠、納期回答の表示・伝送等の出力を行い、各種データの入力を受け付ける。具体的には、入出力インターフェース部7000は、需要予測チャネルの在庫実績、販売計画、仮注文情報の取得、各販売チャネルの実注文情報取得、処理結果を出力する画面の生成・送信を行い、処理結果を各販売チャネルへ提供する。
【0048】
図7は、納期回答装置のハードウェア構成の例を示す図である。納期回答装置100は、プロセッサ(例えば、CPU:Central Processing Unit、あるいはGPU:Graphics Processing Unit)901と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読む読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。なお、読取装置905は、可搬性を有する記憶媒体904の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良いことは言うまでもない。
【0049】
プロセッサ901は、外部記憶装置903からメモリ902にロードした所定の納期回答プログラムを実行することにより、各種処理を実行する。納期回答プログラムは、例えば、OS(Operating System)プログラム上で実行可能なアプリケーションプログラムである。納期回答プログラムは、例えば、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、外部記憶装置903にインストールされてもよいし、あるいは、通信装置908を介してネットワークからダウンロードされてプロセッサ901により実行されるようにしてもよい。
【0050】
例えば、在庫実績取得部1000と、需要予測チャネル販売計画取得部2000と、需要予測チャネル仮注文取得部3000と、供給計画更新部4000と、受注枠算出・開示部5000と、実注文取得・納期回答部6000とは、外部記憶装置903に記憶されている納期回答プログラムをメモリ902にロードしてプロセッサ901で実行することで実現可能であり、入出力インターフェース部7000は、プロセッサ901が入力装置906と、出力装置907と、通信装置908とを利用することで実現可能であり、記憶部8000は、プロセッサ901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0051】
図8は、納期回答処理のフローチャートの例を示す図である。納期回答処理は、予め定められた頻度(例えば、1時間毎)で、または実注文を受け付けたときに開始される。または、納期回答装置100に処理開始の指示がなされたときに、開始される。
【0052】
まず、在庫実績取得部1000は、需要予測チャネルの在庫実績を取得する(ステップS100)。具体的には、在庫実績取得部1000は、入出力インターフェース部7000が提供する、需要予測チャネルとの通信を介して、該販売チャネルの在庫実績を取得し、需要予測チャネル在庫実績記憶部8100に格納する。
【0053】
そして、需要予測チャネル販売計画取得部2000は、需要予測チャネルから、顧客への販売計画を取得する(ステップS200)。具体的には、需要予測チャネル販売計画取得部2000は、入出力インターフェース部7000が提供する需要予測チャネルとの通信を介して、あるいは入力装置906を介して、該販売チャネルが顧客に対して計画する販売計画情報を取得し、需要予測チャネル販売計画記憶部8200に格納する。
【0054】
そして、需要予測チャネル仮注文取得部3000は、需要予測チャネルの仮注文の入力を受け付ける(ステップS300)。具体的には、需要予測チャネル仮注文取得部3000は、入出力インターフェース部7000が提供する需要予測チャネルとの通信を介して、あるいは入力装置906を介して、製品を供給する企業(メーカ)と、需要予測チャネルとの間で実施される事前商談などで得られる仮注文情報を取得し、需要予測チャネル仮注文情報記憶部8300に格納する。
【0055】
そして、供給計画更新部4000は、最新の生産計画と在庫計画とを用いて、供給計画を更新する(ステップS400)。具体的には、供給計画更新部4000は、製品を供給する企業の生産計画と在庫計画とを用いて、供給計画記憶部8400を更新する。
【0056】
図9は、供給計画の更新例を示す図である。まず、供給計画更新部4000は、製品を供給する企業が持つ、最新の生産計画を取得する。
図9の例8450では、製品名8451が「W-X120A」である製品を、時期8452が「2021/03/29」において、生産台数8454を「170台」生産するという情報が得られるものとする。また、時期8452が「2021/04/05」においては生産台数8454を「70台」生産し、時期8452が「2021/04/12」においては生産台数8454を「120台」とする生産計画を得ている。
【0057】
次に、供給計画更新部4000は、製品を供給する企業が持つ、最新の在庫計画を取得する。
図9の例では、製品名8451が「W-X120A」である製品を、時期8452が「2021/03/29」において、メーカ在庫台数8455が「270台」在庫しており、時期8452が「2021/04/05」において、メーカ在庫台数8455が「220台」在庫しており、時期8452が「2021/04/12」において、メーカ在庫台数8455が「240台」在庫しているという在庫計画を得ている。
【0058】
次に、供給計画更新部4000は、Nを時期を示す変数と定義したとき、「N-1(Nの1単位期間過去の期間)の在庫台数+Nの生産台数-Nの在庫台数」の計算式で算出される値を時期Nの供給計画台数として算出し、この算出値を供給計画記憶部8400の供給台数8453として対応づけて格納する。例えば、N-1=2021/03/29、N=2021/04/05の場合、
図9の数値の例では、2021/04/05の供給台数8453を「270+70-220=120」と算出して、供給計画記憶部8400を更新する。
【0059】
そして、受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネルの在庫実績・販売計画から該販売チャネルの在庫余裕を算出する(ステップS500)。具体的には、受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネル在庫実績記憶部8100と、需要予測チャネル販売計画記憶部8200と、を用いて、該販売チャネルの在庫余裕を算出する。
【0060】
図10は、在庫余裕度の算出例を示す図である。算出例8550では、大口チャネルである「ABC電機」という家電量販企業の需要予測チャネル単位の在庫計画と販売計画から算出した在庫余裕の例が示されている。在庫実績8556のうち、括弧で括られていない値が在庫実績である。販売台数8554は、販売計画の値である。また、仕入台数8553と在庫計画8555は、1単位期間過去に立案したものであり、
図10の例では「2021/03/22」時点で立案した仕入と在庫の計画を表す。なお、在庫実績8556の括弧で括られている値は、在庫実績と仕入・販売計画を用いて受払計算(N-1の在庫台数+Nの仕入台数-Nの実販台数)により算出して得られる在庫見通し値である。
【0061】
算出例8560では、大口チャネルである「スーパーDEF」という総合小売企業の需要予測チャネル単位の在庫計画と販売計画から算出した在庫余裕の例が示されている。在庫実績8566のうち、括弧で括られていない値が在庫実績である。販売台数8564は、販売計画の値である。また、仕入台数8563と在庫計画8565は、1単位期間過去に立案したものであり、
図10の例では「2021/03/22」時点で立案した仕入と在庫の計画を表す。なお、在庫実績8566の括弧で括られている値は、在庫実績と仕入・販売計画を用いて受払計算(N-1の在庫台数+Nの仕入台数-Nの実販台数)により算出して得られる在庫見通し値である。
【0062】
算出例8570では、大口チャネルである「ABC電機」と「スーパーDEF」を含む需要予測チャネル全体の在庫余裕の合計例が示されている。在庫実績8576のうち、括弧で括られていない値が在庫実績である。販売台数8574は、販売計画の値である。また、仕入台数8573と在庫計画8575は、1単位期間過去に立案したものであり、
図10の例では「2021/03/22」時点で立案した仕入と在庫の計画を表す。なお、在庫実績8576の括弧で括られている値は、在庫実績と仕入・販売計画を用いて受払計算(N-1の在庫台数+Nの仕入台数-Nの実販台数)により算出して得られる在庫見通し値である。
【0063】
次に、受注枠算出・開示部5000は、1単位期間過去に立案した各チャネルならびにチャネル全体での合計の在庫計画(8555、8565、8575)と、在庫実績・見通し値(8556、8566、8576)との偏差を算出し、それを在庫余裕(8557、8567、8577)としてそれぞれ出力する。但し、余裕台数を算出するものであるため、偏差が負値となった場合には、受注枠算出・開示部5000は在庫余裕をゼロとして扱う。例えば、算出例8550では、受注枠算出・開示部5000は、時期8552が「実績」であるレコードの在庫余裕は、在庫実績8556-在庫計画8555=「85」-「70」=「15」、と計算して算出する。また算出例8560では、在庫実績8566-在庫計画8565=40-50=-10となるが、偏差が負値のため、受注枠算出・開示部5000は、在庫余裕をゼロとする。
【0064】
次に、受注枠算出・開示部5000は、チャネル合計並びに販売チャネルごと、製品ごとに、算出した期間(所定期間でもよい)の在庫余裕の最小値をチャネルの在庫余裕として算出する。
図10の例の場合、所定期間内においてABC電機は+15、スーパーDEFは0、チャネル合計は+15がそれぞれ最小値となる。
【0065】
次に、受注枠算出・開示部5000は、販売チャネルごとに算出した在庫余裕を合算した値を算出する。
図10に挙げた2社のみが販売チャネルに含まれる場合、「ABC電機」の在庫余裕15+「スーパーDEF」の在庫余裕0=15となる。
【0066】
そして、受注枠算出・開示部5000は、販売チャネルごとに算出した在庫余裕を合算した値(15)と、チャネル合計で算出した在庫余裕(15)と、を比較し、小さい方の値または同値であればその値を最終的な在庫余裕(本例においては15)とする。
【0067】
そして、受注枠算出・開示部5000は、需要予測チャネルの在庫余裕分を非需要予測チャネルの最大受注枠と設定する(ステップS600)。例えば、
図10の例では、受注枠算出・開示部5000は、ステップS500にて算出した最終的な在庫余裕(15)を、非需要予測チャネルの最大受注枠に振り替える。
【0068】
そして、受注枠算出・開示部5000は、過去の実注文実績と、非需要予測チャネルの最大受注枠と、に応じて開示枠を算出する(ステップS700)。具体的には、受注枠算出・開示部5000は、まず、実注文実績から非需要予測チャネルの需要規模を算出する。例えば、受注枠算出・開示部5000は、非需要予測チャネルの過去注文実績の平均を需要規模としても良いし、その他指数平滑法や機械学習など一般的に用いられている需要予測方法により求めた値を需要規模としても良い。そして、受注枠算出・開示部5000は、算出した需要規模の値と、ステップS600において算出した最大受注枠と、の小さい方の値を開示枠とする。
図10の例においては、受注枠算出・開示部5000は、求めた需要規模が5である場合、最大受注枠が15であっても、開示枠は小さい方の値である5とする。
【0069】
次に、実注文取得・納期回答部6000は、非需要予測チャネルから実注文を取得する(ステップS800)。具体的には、実注文取得・納期回答部6000は、非需要予測チャネルから実注文のある注文数量の情報を取得し、実注文情報記憶部8600に格納する。
【0070】
そして、実注文取得・納期回答部6000は、ステップS800で取得した実注文ごとに、注文数量が開示枠範囲内か否か判定する(ステップS900)。具体的には、実注文取得・納期回答部6000は、実注文の注文台数と開示枠の注文台数とを比較し、「実注文台数≦開示枠台数」という大小関係が成立する場合、開示枠の範囲内と判断する。
【0071】
注文数量が開示枠範囲内である場合(ステップS900にて「Yes」の場合)には、実注文取得・納期回答部6000は、当該注文に受注枠を引き当てて注文を成立させ、「納品可能」の納期回答を行う(ステップS910)。
【0072】
そして、実注文取得・納期回答部6000は、開示枠を更新する(ステップS920)。具体的には、実注文取得・納期回答部6000は、ステップS700で算出した非需要予測チャネルの最大受注枠から、ステップS910で引き当てた注文数量を引いた値を新たな最大受注枠として更新し、更新された最大受注枠とステップS800で算出した需要規模の小さい方の値を、開示枠の更新値とする。例えば、当初の最大受注枠が15、需要規模が5、ステップS910で引き当てた注文台数が3の場合、実注文取得・納期回答部6000は、最大受注枠を15-3=12に更新し、需要規模5と比較して小さい方の値である5を新たな開示枠とする(この例では、開示枠に変更はない)。
【0073】
そして、実注文取得・納期回答部6000は、別の実注文が在るか判定する(ステップS950)。別の実注文が在る場合(ステップS950にて「Yes」の場合)には、実注文取得・納期回答部6000は、制御をステップS800に戻す。別の実注文がない場合(ステップS950にて「No」の場合)には、実注文取得・納期回答部6000は、納期回答処理を終了させる。
【0074】
注文数量が開示枠範囲内でない場合(ステップS900にて「No」の場合)には、実注文取得・納期回答部6000は、当該注文に対して「納入不可」の納期回答を行う(ステップS930)。そして、実注文取得・納期回答部6000は、制御をステップS950に進める。
【0075】
図11は、製品供給企業向けの開示枠表示画面の例を示す図である。開示枠表示画面8700には、機種選択入力領域8710と、開示枠表示領域8720とが含まれている。機種選択入力領域8710は機種名の入力を受け付けて、該機種に関する受注枠や在庫計画等の情報を需要予測チャネルごとに表示する。開示枠表示領域8720は、非需要予測チャネルに販売可能であることを開示する枠数(ステップS920にて更新された開示枠)を表示する。
【0076】
図12は、非需要予測チャネル向けの注文受付画面の例を示す図である。注文受付画面8800には、受注枠算出・開示部5000により作成され、販売する商品ごとに注文時に販売数量の上限を示す情報として取扱数表示領域8810が表示される。取扱数表示領域8810には、上述の非需要予測チャネルに販売可能であることを開示する枠数(ステップS920にて更新された開示枠)を表示する。
【0077】
以上が、本発明の第一の実施形態に係る納期回答装置の構成例である。第一の実施形態に係る納期回答装置100によれば、需要見積もりがない販売チャネルの引当・納期回答を適切に行うことが可能となる。
【0078】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0079】
また、上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0080】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0081】
100:納期回答装置、1000:在庫実績取得部、2000:需要予測チャネル販売計画取得部、3000:需要予測チャネル仮注文取得部、4000:供給計画更新部、5000:受注枠算出・開示部、6000:実注文取得・納期回答部、7000:入出力インターフェース部、8000:記憶部、8100:需要予測チャネル在庫実績記憶部、8200:需要予測チャネル販売計画記憶部、8300:需要予測チャネル仮注文情報記憶部、8400:供給計画記憶部、8600:実注文情報記憶部。