(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】発光ユニット、照明装置、読取装置および記録システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241119BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20241119BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241119BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20241119BHJP
F21V 29/71 20150101ALI20241119BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241119BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241119BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241119BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241119BHJP
【FI】
F21S2/00 439
F21V29/503
F21V29/70
F21V29/83
F21V29/71
F21V19/00 150
F21V19/00 170
G06T1/00 430G
H04N1/12 Z
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021101792
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2020143820
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】田代 卓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 武史
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-253699(JP,A)
【文献】特開2011-223389(JP,A)
【文献】特開2012-160309(JP,A)
【文献】実開昭52-117384(JP,U)
【文献】特開2015-109638(JP,A)
【文献】特開2011-081996(JP,A)
【文献】特開2012-009451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/00
F21V 19/00
G06T 1/00
H04N 1/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の第1面に配された発光素子と、前記第1面を覆うフロントパネルと、前記基板のうち前記第1面とは反対の第2面の側に配されたバックパネルと、を含む発光ユニットであって、
前記フロントパネルには、前記発光素子が発する光を取り出すための開口部が設けられており、
前記第1面に対する正射影において、前記開口部は、前記発光素子の光出射面のうち一部と重なるように配され、
前記バックパネルは、
前記フロントパネルよりも熱伝導率が高く、
前記第1面の側に突出する突出部を備え、
前記突出部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルのうち少なくとも1つに接して
おり、
前記突出部が、前記フロントパネルと嵌合する篏合部を含むことを特徴とする発光ユニット。
【請求項2】
前記フロントパネルのうち前記開口部の側壁を含む内壁には、前記内壁から前記フロントパネルの外縁に達する溝および貫通孔のうち少なくとも一方を含む通気部が設けられており、
前記開口部の側壁の面積に対して、前記開口部の側壁に配された前記通気部の面積が1%以上かつ20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項3】
基板と、前記基板の第1面に配された発光素子と、前記第1面を覆うフロントパネルと、前記基板のうち前記第1面とは反対の第2面の側に配されたバックパネルと、を含む発光ユニットであって、
前記バックパネルは、前記フロントパネルよりも熱伝導率が高く、
前記フロントパネルには、前記発光素子が発する光を取り出すための開口部が設けられており、
前記フロントパネルのうち前記開口部の側壁を含む内壁には、前記内壁から前記フロントパネルの外縁に達する溝および貫通孔のうち少なくとも一方を含む通気部が設けられており、
前記開口部の側壁の面積に対して、前記開口部の側壁に配された前記通気部の面積が1%以上かつ20%以下であ
り、
前記バックパネルは、前記第2面の側から前記第1面を越えて突出する突出部を備え、
前記突出部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルのうち少なくとも1つに接しており、
前記突出部が、前記フロントパネルと嵌合する篏合部を含むことを特徴とする発光ユニット。
【請求項4】
前記第1面に対する正射影において、前記開口部は、前記発光素子の光出射面のうち一部と重なるように配されていることを特徴とする請求項3に記載の発光ユニット。
【請求項5】
前記通気部が、前記内壁から前記フロントパネルの外縁に達する溝であり、
前記溝が、前記フロントパネルのうち前記第1面と対向する部分に配されていることを特徴とする請求項2乃至
4の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項6】
前記通気部が、屈曲していることを特徴とする請求項2乃至
5の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項7】
前記突出部が、前記基板の外縁よりも外側から前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項1
乃至3の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項8】
前記通気部が、前記内壁から前記フロントパネルの外縁に達する溝であり、
前記溝が、前記フロントパネルのうち前記第1面と対向する部分に配され、
前記突出部が、前記基板の外縁よりも外側から前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項2または
3に記載の発光ユニット。
【請求項9】
前記通気部が、屈曲しており、
前記突出部が、前記基板の外縁よりも外側から前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項2または
3に記載の発光ユニット。
【請求項10】
前記突出部を第1突出部として、
前記バックパネルは、前記基板を貫通し、前記第1面の側に突出する第2突出部をさらに備え、
前記第2突出部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルのうち少なくとも1つに接していることを特徴とする請求項
7乃至
9の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項11】
前記突出部が、前記基板を貫通し、前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項1
乃至3の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項12】
前記通気部が、前記内壁から前記フロントパネルの外縁に達する溝であり、
前記溝が、前記フロントパネルのうち前記第1面と対向する部分に配され、
前記突出部が、前記基板を貫通し、前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項2または
3に記載の発光ユニット。
【請求項13】
前記通気部が、屈曲していることを特徴とする請求項
8または
12に記載の発光ユニット。
【請求項14】
前記通気部が、屈曲しており、
前記突出部が、前記基板を貫通し、前記第1面の側に突出していることを特徴とする請求項2または
3に記載の発光ユニット。
【請求項15】
前記突出部は、2つの前記篏合部を含み、
前記第1面に対する正射影において、2つの前記篏合部を結ぶ仮想線が、前記発光素子を通過することを特徴とする請求項
1乃至14の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項16】
前記仮想線が、前記基板の外縁のうち互いに対向する2辺を最短距離で結ぶ線と平行な仮想線を含むことを特徴とする請求項
15に記載の発光ユニット。
【請求項17】
2つの前記篏合部および前記発光素子が並ぶ方向を第1方向、前記第1方向と交差する方向を第2方向としたとき、
前記篏合部の前記第2方向に沿った長さが、前記発光素子の前記第2方向に沿った長さの1/3以上であることを特徴とする請求項
15または
16に記載の発光ユニット。
【請求項18】
前記フロントパネルが、前記基板を貫通し、前記第2面の側に突出する突起部を備えることを特徴とする請求項1乃至
17の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項19】
前記突起部が、前記バックパネルを貫通し、前記バックパネルから突出していることを特徴とする請求項
18に記載の発光ユニット。
【請求項20】
前記フロントパネルの前記開口部に、光透過部材が配されていることを特徴とする請求項1乃至
19の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項21】
前記バックパネルと前記第2面との間に、前記フロントパネルよりも熱伝導率が高い可撓性部材が配されていることを特徴とする請求項1乃至
20の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項22】
前記可撓性部材は、前記第2面から前記基板の外縁を通り前記第1面の側に延在する延在部を含み、
前記延在部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルのうち少なくとも1つに接していることを特徴とする請求項
21に記載の発光ユニット。
【請求項23】
前記第2面に対する正射影において、前記バックパネルは、前記バックパネルの外縁よりも内側に前記基板が露出する開口を備えることを特徴とする請求項1乃至
22の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項24】
前記第2面に対する正射影において、前記バックパネルの外縁が、前記基板の外縁よりも内側に配された凹部を備えることを特徴とする請求項1乃至
23の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項25】
前記開口部の側壁が、前記第1面よりも光の反射率が高いことを特徴とする請求項1乃至
24の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項26】
前記開口部の側壁が、前記第1面よりも光の反射率が低いことを特徴とする請求項1乃至
24の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項27】
前記第1面に対する正射影において、前記バックパネルが、前記基板の外縁よりも外側に張り出す張出部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至
26の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項28】
前記張出部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルに接していないことを特徴とする請求項
27に記載の発光ユニット。
【請求項29】
前記基板は、長手方向と前記長手方向と交差する短手方向とを有する形状をしており、
前記フロントパネルおよび前記バックパネルは、前記基板の前記長手方向の一方の端部に配され、
前記張出部が、前記基板の前記長手方向の一方の端部の前記短手方向に沿う端辺から前記長手方向に張り出していることを特徴とする請求項
27または
28に記載の発光ユニット。
【請求項30】
前記基板の前記長手方向の他方の端部に、複数の電極が配されており、
前記バックパネルと、前記複数の電極のうち1つの電極と、が電気的に接続されていることを特徴とする請求項
29に記載の発光ユニット。
【請求項31】
前記張出部が、前記第2面に沿った方向に張り出した第1部分と、前記第1部分から前記第1面の側に向けて折り曲げられた第2部分と、を含むことを特徴とする請求項
29または
30に記載の発光ユニット。
【請求項32】
前記第1面に対する正射影において、前記発光素子を通る前記長手方向の仮想線が、前記張出部を通ることを特徴とする請求項
29乃至
31の何れか1項に記載の発光ユニット。
【請求項33】
請求項1乃至
32の何れか1項に記載の発光ユニットと、
前記発光ユニットから発せられる光を導光する導光体と、
前記発光ユニットおよび前記導光体を収容するフレームと、
を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項34】
請求項
33に記載の照明装置と、
前記照明装置によって照明された被照明体の画像情報を取得するためのイメージセンサと、
を含むことを特徴とする読取装置。
【請求項35】
請求項
27乃至
32の何れか1項に記載の発光ユニット、前記発光ユニットから発せられる光を導光する導光体、および、前記発光ユニットおよび前記導光体を収容するフレームを含む照明装置と、
前記照明装置によって照明された被照明体の画像情報を取得するためのイメージセンサと、
前記照明装置および前記イメージセンサを収容する筐体と、
を含む読取装置であって、
前記照明装置は、前記筐体に設けられた窓を介して被照明体を照明し、
前記張出部が、前記基板の外縁から前記窓の側に張り出すことを特徴とする読取装置。
【請求項36】
前記バックパネルが接地されていることを特徴とする請求項
34または
35に記載の読取装置。
【請求項37】
請求項
34乃至
36の何れか1項に記載の読取装置と、
前記読取装置で取得した画像情報を記録媒体に記録する記録装置と、
を含むことを特徴とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ユニット、照明装置、読取装置トおよび記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラインセンサなどに用いられる発光ユニットにおいて、光源の高輝度化に応じて光源からの発熱量が増加し、導光体の端部の変形や光源の劣化など、光学特性に対する影響が懸念される。特許文献1には、光源ユニットに用いられる発光体の発熱に対して、発光体が配された回路基板の発光体とは反対の面にフィンを備える放熱部材を取り付けることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成において、発光体と導光体との間にはリフレクタが配されている。導光体は熱に弱い場合があり、発光体の発熱によってリフレクタの温度が上昇すると、リフレクタに圧接されている導光体が変形してしまう可能性がある。また、発光体から発せられる光の形状の制御のために、発光体と導光体との間に発光体の一部を覆う配光制御用の部材が配される場合がある。配光制御用の部材によって発光体の一部が覆われた場合、発光体と導光体との間でさらに熱が籠ってしまい、導光体の端部の変形や光源の劣化などが起きる可能性がある。
【0005】
本発明は、発光ユニットにおいて、光源から発せられる熱を放熱するのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る発光ユニットは、基板と、前記基板の第1面に配された発光素子と、前記第1面を覆うフロントパネルと、前記基板のうち前記第1面とは反対の第2面の側に配されたバックパネルと、を含む発光ユニットであって、前記フロントパネルには、前記発光素子が発する光を取り出すための開口部が設けられており、前記第1面に対する正射影において、前記開口部は、前記発光素子の光出射面のうち一部と重なるように配され、前記バックパネルは、前記フロントパネルよりも熱伝導率が高く、前記第1面の側に突出する突出部を備え、前記突出部が、前記第1面、前記発光素子および前記フロントパネルのうち少なくとも1つに接しており、前記突出部が、前記フロントパネルと嵌合する篏合部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によって、発光ユニットにおいて、光源から発せられる熱を放熱するのに有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る発光ユニットの構成例を示す斜視図。
【
図2】
図1の発光ユニットの構成例を示す分解斜視図。
【
図3】
図1の発光ユニットに用いられる発光素子の構成例を示す断面図。
【
図4】
図1の発光ユニットの突出部の構成例を示す図。
【
図7】
図1の発光ユニットの可撓性部材の配置例を示す図。
【
図8】
図1の発光ユニットが組み込まれた照明装置の構成例を示す図。
【
図9】
図1の発光ユニットのフロントパネルの変形例を示す図。
【
図10】
図1の発光ユニットを含む記録システムの構成例を示す図。
【
図11】
図1の発光ユニットの変形例を示す斜視図。
【
図14】
図10の発光ユニットが組み込まれた照明装置、および、
図10の発光ユニットを含む記録システムの構成例を示す図。
【
図15】
図1、10の発光ユニットのフロントパネルおよびバックパネルの特性例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1(a)~
図15(b)を参照して、本開示の実施形態による発光ユニットについて説明する。
図1(a)、
図1(b)は、本実施形態の発光ユニット100の構成例を示す斜視図であり、
図2(a)、
図2(b)は、発光ユニット100の構成例を示す分解斜視図である。
【0011】
発光ユニット100は、基板130と、基板130の面131に配された発光素子140と、面131を覆うように配されるフロントパネル120と、基板130のうち面131とは反対の面132の側に配されたバックパネル160と、を含む。フロントパネル120には、発光素子140が発する光を取り出すための開口部121が設けられている。基板130の面131に対する正射影において、開口部121は、発光素子140の光出射面141のうち一部と重なるように配されている。換言すると、フロントパネル120は、発光素子140の光出射面141のうち一部を覆っている。後述する発光ユニット100が組み込まれた照明装置において、開口部121によって、発光素子140から発せられた光を効率的に導光体に入射させ、迷光などを抑制することが可能となる。フロントパネル120の開口部121の形状は、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、円形であってもよいし、矩形や多角形などであってもよい。ここで、光出射面141とは、発光素子140のうち光を出射する側の面の全体のことであってもよいし、発光素子140の光を出射する面のうち実際に光が出射される部分のことであってもよい。ここで、フロントパネル120は、発光素子140が配された基板130(の面131)と、後述する発光ユニット100が組み込まれた照明装置の導光体の光入射面(あるいは、光入射面と接触している導光体カバー部材)と、の両者と接していることが望ましい。このフロントパネル120が、基板130と、照明装置の導光体の光入射面と、の両者に接することによって、基板130上に配された発光素子140(光出射面141または発光面)と導光体の光入射面とが接触しないようにしている。つまり、フロントパネル120は、発光素子140と導光体との間に空気層を介在させるためのスペーサとして機能しており、発光素子140で発生した熱が導光体に伝導されにくい構成となっている。
【0012】
本実施形態において、開口部121は、発光素子140の光出射面141のうち一部と重なるように配されるが、開口部121の配置は、これに限られることはない。例えば、開口部121は、発光素子140の光出射面141の全体と重なるように配されていてもよい。換言すると、フロントパネル120は、発光素子140の光出射面141を覆っていなくてもよい。発光ユニット100が組み込まれた照明装置の構成に応じて、フロントパネル120の開口部121の形状や大きさは適宜、調整されればよい。
【0013】
フロントパネル120は、熱特性に優れた樹脂材料などによって構成されうる。ここで、熱特性に優れるとは、耐熱性に優れ、また、熱膨張率が低いなどの特性でありうる。フロントパネル120には、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ABSなどの樹脂が用いられてもよい。
【0014】
基板130は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などを含む所謂プリント基板でありうる。また、基板130として、セラミック製の基板が用いられてもよい。基板130の面131、132には、発光素子140に電力を供給するための配線パターン(導電体、不図示)が形成されうる。配線パターンは、面131だけに配されていてもよいし、面131と面132との両面に配されていてもよい。また、基板130は、多層配線基板であってもよい。発光ユニット100に求められる条件に応じて、適宜、配線パターンは形成されればよい。
【0015】
図3(a)~
図3(c)は、発光素子140の構成例を示す断面図である。発光素子140は、
図3(a)に示されるように、ケース142内に配された発光ダイオード(LED)チップ143が、樹脂144によって封止された構成となっている。発光素子140は、白色の光を発するように構成されていてもよい。このとき、LEDチップ143として、青色発光するLEDと黄色発光するLEDとが配されていてもよい。また、例えば、LEDチップ143として青白発光するLEDが配され、樹脂144に青色の光によって励起され黄色発光する蛍光体が分散されていてもよい。発光素子140は、基板130の面131に実装される表面実装タイプの素子であってもよい。また、発光素子140は、基板130の面131と対向する面とは反対側の面に光出射面141が配される所謂、頂面発光型の素子でありうる。
【0016】
光出射面141の形状は、
図3(a)に示されるように、平坦であってもよい。また、光出射面141の形状は、
図3(b)に示されるように、ケース142よりも光が出射される側に膨らむ凸形状を有していてもよい。また、例えば、発光素子140は、
図3(c)に示されるように、樹脂144の側面がケース142によって覆われず、基板130の側以外の面に光を出射するような構成となっていてもよい。
【0017】
バックパネル160は、フロントパネル120よりも熱伝導率が高い部材である。バックパネル160には、アルミニウムや銅、また、それらの合金など、金属材料が用いられてもよい。バックパネル160は、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、基板130の面131の側に突出する突出部161を備える。この突出部161は、基板130の面131、発光素子140およびフロントパネル120のうち少なくとも1つに接している。
図1(a)~
図2(b)に示される構成では、突出部161は、フロントパネル120に接している。
【0018】
発光ユニット100において、発光素子140の発熱量が増加し、発光素子140に配されたLEDが劣化してしまう可能性がある。また、発光ユニット100が組み込まれた照明装置の導光体などの光学部品が、熱によって変形してしまう可能性がある。このため、基板130の面131に配された発光素子140で発生した熱を、基板130の面132の側に逃がす必要がある。しかし、上述のような熱伝導率が低い材料を用いた基板130は、面131の側に配された発光素子140から発せられる熱を面132の側に通しにくい。
【0019】
そこで、本実施形態において、熱伝導率がフロントパネル120よりも高いバックパネル160の突出部161が、基板130の面132の側から面131の側に突出し、フロントパネル120と接する。これによって、基板130の面131に配された発光素子140で発せられる熱を効率的に基板130の面132の側に伝達し、バックパネル160から放熱することが可能となる。突出部161が、基板130の面131に接している場合、また、発光素子140に直接、接している場合であっても、同様に、基板130の面131から面132の側に熱を伝達し、バックパネル160から放熱することができる。バックパネル160は、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、フロントパネル120よりも大きくてもよい。バックパネル160の面積を大きくすることによって、放熱の効果を向上させることができる。
【0020】
バックパネル160は、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、基板130の外縁よりも外側から基板130の面131の側に突出していてもよい。このとき、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、突出部161は、フロントパネル120と嵌合する篏合部として機能してもよい。これによって、発光素子140が配された基板130、フロントパネル120、バックパネル160の組付けや、組付けの際の位置決めが容易になりうる。
【0021】
また、例えば、
図1(a)~
図2(b)に示されるように、篏合部として機能する突出部161が2つ配されている場合について考える。このとき、基板130の面131に対する正射影において、2つの篏合部として機能する突出部161を結ぶ仮想線410が、
図4(a)に示されるように、発光素子140を通過するように配されていてもよい。このとき、仮想線410が、基板130の外縁のうち互いに対向する2辺を最短距離で結ぶ線と平行な仮想線410aを含んでいてもよい。2つの篏合部として機能する突出部161を、このような配置にすることによって、バックパネル160の突出部161が、発光素子140の近くに配されうる。発熱する発光素子140の近くに熱伝導率が高いバックパネル160の突出部161が配されることによって、基板130の面132の側に熱を伝えやすくなる。
【0022】
また、フロントパネル120を発光素子140に密着させる場合を考える。この場合、篏合部として機能する2つの突出部161を結ぶ仮想線410が、発光素子140を通過するように配されることによって、フロントパネル120に、より均等に発光素子140の側への力が掛かりうる。フロントパネル120をより確実に発光素子140と接触させることによって、発光素子140からフロントパネルに120に熱を伝えることが可能となる。これによって、フロントパネル120と発光素子140との間に空気が介在した場合よりも、フロントパネル120を介して発光素子140で発せられる熱をバックパネル160へ伝達することができる。
【0023】
また、
図1(a)~
図2(b)、
図4(b)に示されるように、2つの篏合部として機能するバックパネル160の突出部161および発光素子140が並ぶ方向をY方向、Y方向と交差する方向をZ方向とする。Y方向およびZ方向は、基板130の面131、132に沿った方向である。また、Y方向およびZ方向と交差し、基板130の面132から面131へと向かう方向をX方向とする。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交しうる。このとき、
図4(b)に示されるように、篏合部として機能する突出部161のZ方向に沿った長さ420が、発光素子140のZ方向に沿った長さ430の1/3以上であってもよい。バックパネル160のうちフロントパネル120と嵌合する突出部161のZ方向の長さを大きくすることによって、フロントパネル120からバックパネル160へ熱を伝達する経路が広くなる。つまり、発光素子140が配された基板130の面131の側から面132の側に、より熱を伝達することができるようになる。
図1(a)~
図2(b)、
図4(a)、
図4(b)には、篏合部として機能する突出部161が2つ配されている場合を示したが、篏合部として機能する突出部161が3つ以上配されていてもよい。
【0024】
バックパネル160の突出部161は、基板130の外縁よりも外側から基板130の面131の側に突出することに限られることはない。
図5は、発光ユニット100のフロントパネル120の開口部121を通る断面図である。例えば、
図5に示されるように、バックパネル160は、基板130を貫通し、基板130の面131の側に突出する突出部162を備えていてもよい。このとき、突出部162は、上述の突出部161と同様に、基板130の面131、発光素子140およびフロントパネル120のうち少なくとも1つに接している。これによって、基板130の外縁の側から熱を基板130の面132に伝えるのに比べて、発光素子140に近い位置から熱を基板130の面132へ伝えることが可能となりうる。突出部162が、上述のように篏合部として機能してもよい。また、バックパネル160の突出部162が、発光素子140が配された基板130、フロントパネル120、バックパネル160を組付ける際の位置決めに使用されてもよい。突出部162が、発光素子140が配された基板130、フロントパネル120、バックパネル160を組付ける際の位置決めに使用されることで、発光ユニット100の組付けが、容易になりうる。
【0025】
また、
図5、
図6に示されるように、基板130の面132に対する正射影において、バックパネル160は、バックパネル160の外縁よりも内側に基板130の面132が露出する開口163を備えていてもよい。また、
図1(b)、
図6に示されるように、基板130の面132に対する正射影において、バックパネル160の外縁が、基板130の外縁よりも内側に配された凹部164を備えていてもよい。バックパネル160に開口163や凹部164を設けることによって、基板130の面132が露出する。基板130の面132が露出することによって、面132から直接、大気中に放熱することが可能となる。
【0026】
さらに、
図1(a)~
図2(b)、
図5、
図6に示されるように、フロントパネル120が、基板130を貫通し、基板130の面132の側に突出する突起部122を備えていてもよい。この場合、突起部122が、バックパネル160に接していてもよい。これによって、基板130の面131から面132の側に熱を伝えやすくなる。この突起部122が、
図1(a)~
図2(b)、
図5、
図6に示されるように、さらにバックパネル160を貫通し、バックパネル160から突出していてもよい。これによって、突起部122から大気中に直接、放熱することが可能となる。このフロントパネル120の突起部122は、
図2(b)に示されるように、発光素子140が配された基板130、フロントパネル120、バックパネル160を組付ける際の位置決めに使用されてもよい。突起部122が、発光素子140が配された基板130、フロントパネル120、バックパネル160を組付ける際の位置決めに使用されることで、発光ユニット100の組付けが、容易になりうる。
【0027】
また、
図2(a)、
図2(b)に示されるように、バックパネル160と基板130の面132との間に、フロントパネル120よりも熱伝導率が高い可撓性部材150が配されていてもよい。可撓性部材150は、樹脂などを含む両面テープであってもよい。例えば、可撓性部材150は、弾性があり、高い熱伝導性を有するシリコーンゴムなどであってもよい。可撓性部材150は、
図2(a)、
図2(b)に示されるように、基板130の面131に対する正射影において、発光素子140と重なる位置に配されていてもよい。これによって、基板130の面132からバックパネル160へ、より効率的に熱を伝え、バックパネル160から放熱することが可能となる。
【0028】
また、
図7に示されるように、可撓性部材150は、基板130の面132から基板130の外縁を通り面131の側に延在する延在部151を備えていてもよい。この延在部151が、基板130の面131、発光素子140およびフロントパネル120のうち少なくとも1つに接していてもよい。延在部151は、
図7に示されるように、発光素子140に直接、接していてもよい。フロントパネル120よりも熱伝導率が高い可撓性部材150が、発光素子140に接することによって、発光素子140で発生した熱をより効率的に基板130の面132の側に伝達させることが可能となる。
【0029】
図8は、本実施形態の発光ユニット100が組み込まれた照明装置800の構成例を示す図である。
図8は、照明装置800のうち発光ユニット100のフロントパネル120の開口部121を通る断面図である。照明装置800は、発光ユニット100と、発光ユニット100から発せられる光を導光する導光体810と、発光ユニット100および導光体810を収容するフレーム820と、を含む。
【0030】
導光体810は、
図8に示されるように、発光ユニット100に近接する。また、導光体810は、発光ユニット100のフロントパネル120に接するように配されうる。導光体810には、アクリルなどの樹脂が用いられうる。アクリルは、100℃以下の温度で軟化し変形しうるため、発光素子140で発生した熱を伝わり難くする必要がある。このため、上述のように、本実施形態の発光ユニット100は、基板130の発光素子140が配される側の面131から、効率的に基板130の面132の側に熱が伝わるように構成される。これによって、照明装置800において、発光ユニット100で発生する熱による不具合を抑制することが可能となる。
【0031】
図8に示されるように、上述したフロントパネル120の突起部122は、フレーム820と嵌合していてもよい。突起部122とフレーム820とが嵌合することによって、発光ユニット100をフレーム820に組付ける際の位置決めが容易になりうる。また、フレーム820は、アルミニウムやその合金などの金属が用いられうる。フロントパネル120の突起部122が、フロントパネル120よりも熱伝導率が高いフレーム820と嵌合することによって、発光素子140で発生した熱をフロントパネル120の突起部122からフレーム820を介して放熱しやすくなる。
【0032】
また、上述したように、導光体810は、発光ユニット100に近接して配される。このため、発光素子140と導光体810との間に熱が籠ってしまう可能性がある。また、上述のように、フロントパネル120が、発光素子140の光出射面141の一部を覆う構成の場合、発光素子140と導光体810との間の空間が狭くなり、さらに熱が籠ってしまう可能性がある。
【0033】
そこで、
図9(a)に示されるように、フロントパネル120のうち開口部121の側壁123を含む内壁には、内壁からフロントパネル120の外縁(外壁)124に達する溝によって構成される通気部910が設けられていてもよい。この溝は、フロントパネル120の導光体810と対向する側の面に設けてもよいし、
図9(a)に示されるように、発光素子140や基板130の面131と対向する側の面に設けてもよい。例えば、導光体810に熱を伝えたくない(導光体810を構成する材料が耐熱性の低い材料である)場合には、溝をフロントパネル120の発光素子140の側の面に設けることが望ましい。ここで、2つの通気部910を設ける場合に、1つはフロントパネル120の導光体810の側の面に設けた溝とし、もう1つはフロントパネル120の発光素子140の側の面に設けた溝としてもよい。明るさの観点から、
図9(a)に示されるように、通気部910を構成する溝をフロントパネル120のうち基板130の面131と対向する部分に配してもよい。また、例えば、
図9(b)に示されるように、フロントパネル120のうち開口部121の側壁123を含む内壁には、内壁からフロントパネル120の外縁124に達する貫通孔によって構成される通気部910が設けられていてもよい。これによって、発光素子140と導光体810との間の熱を外部に効率的に逃がすことができ、導光体810への発光素子140で発生した熱の影響を抑制することが可能となる。通気部910は、空気の流れ(対流)を考慮し、2か所以上、さらに、好ましくは4か所以上に配されていてもよい。
【0034】
ここで、通気部910を2か所に設ける場合、対流しやすくすることを考慮して、フロントパネル120の内壁の上側の面に1つ、下側の面に1つ設けるのが望ましいが、この限りではない。例えば、通気部910をフロントパネル120の内壁の上側の面に2つ設ければ、温度が上昇した空気(気体)がその2つの通気部910から抜けつつ、フロントパネル120と基板130と間の隙間、あるいは、フロントパネル120と導光体810と間の隙間から空気が空間内に入ってくることとなる。また、例えば、通気部910をフロントパネル120の内壁の上側の面に1つ、上側でも下側でもない面に1つ設けた場合には、後者の通気部910から空間内に空気を取り込んで、上側の通気部910から空気を排出することとなる。さらには、通気部910が2つの場合、基板130の面131に対する正射影において、発光素子140の中心に対して1つの通気部910の内壁側の孔(溝)の中心の方位を0度とした時に、もう1つの通気部910のフロントパネル120の内壁の側の孔の中心が150~210度の範囲に入ることが望ましい。なお、ここで中心とは、フロントパネル120の内壁の側の孔を平面視した際の、幾何学的な重心、あるいは外接円の中心でもよい。さらに通気部910を4つ設ける場合、1つの通気部910の中心の方位を0度とした時、2、3、4つ目の通気部910の中心の方位は、60~120度、150~210度、240~300度の範囲内に位置することが望ましい。このような構成にすれば、本実施形態の発光ユニット100がどのような向きで設置されたとしても、適切な対流で空気の流れを生じさせやすくなる。但し、4つの通気部910を設ける場合には、4つのうち3つの通気部910が上記の条件を満足していれば、1つが外れていても構わない。
【0035】
また、ここでいうフロントパネル120の内壁とは、フロントパネル120の開口部121の側壁123を含んでおり、基板130と導光体810と共に空間(発光素子140を含む空間)を形成するものである。つまり、この内壁は、フロントパネル120の開口部121の側壁123のみで構成されていても構わないし、フロントパネル120以外の部材、例えば、基板130やフロントパネル120の外側の部材、導光体810を保持する導光体ホルダ(例えば、フレーム820)などを含んでいても構わない。また、この空間は封止されていても良いが、前述したように、フロントパネル120と導光体810との間や、フロントパネル120と基板130との間に隙間が生じていても構わない。但し、この隙間は、基板130(発光素子140の光出射面141)と導光体810との間の距離の20%以下(好ましくは7%以下、更に望ましくは3%以下)であることが望ましい。あるいは、この隙間は、発光素子140の光出射面141の対角長の30%以下(好ましくは対角長の3%以下、更に望ましくは1%以下)であることが望ましい。
【0036】
フロントパネル120の開口部121の側壁123は、発光素子140で発せられた光をより効率的に導光体810に入射させるために、白色など光の反射率が高い構成となっていてもよい。例えば、開口部121の側壁123を含むフロントパネル120が、白色の樹脂で形成されていてもよい。また、例えば、フロントパネル120のうち少なくとも開口部121の側壁123が白色に塗られていてもよいし、開口部121の側壁123に、アルミニウムなどの金属などが形成されていてもよい。例えば、開口部121の側壁123が、基板130の面131よりも光の反射率が高くてもよい。ここで、基板130の面131の光の反射率は、上述の配線パターンを含まず、絶縁性のレジストの光の反射率でありうる。
【0037】
フロントパネル120の開口部121の側壁123が白色など光を反射しやすい構成の場合、上述の通気部910は、光を反射し難い部分となりうる。したがって、通気部910のフロントパネル120の内壁に占める割合が増えた場合、発光素子140で発せられた光が、効率的に導光体810に入射しなくなってしまう可能性がある。また、発光素子140から出射した光が通気部910を通り抜けた場合、迷光となってしまう可能性がある。そこで、フロントパネル120の開口部121の側壁123の面積に対して、開口部121に配された通気部910の面積は20%以下であってもよい。さらに、開口部121の側壁123で光をより反射させ、迷光などを抑制するために、フロントパネル120の開口部121の側壁123の面積に対して、開口部121に配された通気部910の面積は10%以下であってもよい。ここで、通気部910の面積とは、フロントパネル120に孔を設けた場合には、その孔の開口部121の側壁123側での面積である。また、フロントパネル120に溝を設けた場合には、開口部の側壁123の位置において溝が設けられていない部分同士を直線的に補間した場合の、その補間に用いた直線と溝とで囲まれる開口部121の側壁123側での面積を指す。
【0038】
一方、通気部910は、上述したように、発光素子140と導光体810との間の空気を外部へ放出し、外部の空気を流入させる必要がある。発明者らが実験したところ、フロントパネル120の開口部121の側壁123の面積に対して、開口部121の側壁123に配された通気部910の面積が1%以上であると、通気部910を設ける効果が得られることがわかった。さらに、フロントパネル120の開口部121の側壁123の面積に対して、開口部121の側壁123に配された通気部910の面積が2%以上であると、より高い効果が得られることがわかった。以上のことから、フロントパネル120の開口部121の側壁123の面積に対して、開口部121の側壁123に配された通気部910の面積は1%以上かつ20%以下であってもよく、さらに2%以上かつ10%以下であってもよい。
【0039】
上述のように、発光素子140から発せられた光が通気部910に侵入した場合、迷光になる可能性がある。そこで、
図9(a)に示される例では、溝は真っすぐ(直線的)な形状としているが、
図9(c)に示されるように、基板130の面131に対する正射影において、通気部910は、屈曲していてもよい。通気部910が屈曲することによって、通気部910に侵入した光が通気部910を通り抜ける可能性が低下する。さらに、
図9(d)の断面図に示されるように、通気部910としてフロントパネル120の基板130の面131と対向する部分に溝を形成した場合、発光素子140の段差に応じて、通気部910が屈曲していてもよい。
図9(c)には、通気部910の屈曲構造として、直角に1回、または、2回、曲がる構造を示しているが、これらの形状に限られることはなく、様々な形状を備えていてもよい。通気部910を屈曲させる場合、
図9(b)に示される貫通孔よりも、
図9(a)、
図9(d)に示される溝の方が、フロントパネル120を作製する際に、工程数が抑制される可能性や形成の容易度が向上する可能性がある。
【0040】
また、例えば、通気部910が屈曲しているか否かに関わらず、通気部910の内壁は黒色など光の反射率が低い色であってもよい。これによって、フロントパネル120に設けられた通気部910を介した迷光を抑制することができる。
【0041】
また、フロントパネル120の開口部121の側壁123は、白色などの反射率が高い色でなくてもよい。フロントパネル120の開口部121の側壁123は、例えば、黒色などの反射率が低い色が用いられていてもよい。例えば、開口部121の側壁123が、基板130の面131よりも光の反射率が低くてもよい。ここで、基板130の面131の光の反射率は、上述の配線パターンを含まず、絶縁性のレジストの光の反射率でありうる。フロントパネル120の開口部121の側壁123に通気部910が配されている場合、フロントパネル120の開口部121の側壁123の反射率が低い方が、上述の迷光などに対してフロントパネル120の設計が容易になりうる。また、通気部910が設けられない場合であっても、フロントパネル120の開口部121の側壁123は、反射率が低い色が用いられていてもよい。
【0042】
また、
図8に示されるように、フロントパネル120の開口部121に、光透過部材830が配されていてもよい。光透過部材830は、例えば、光学フィルタの機能を有していてもよい。つまり、光透過部材830は、上述のLEDチップ143と樹脂144との関係のように、LEDチップ143または発光素子140(LEDチップ143と樹脂144との組み合わせ)が発する光のうち適当な光が導光体810に入射するように機能してもよい。例えば、光透過部材830に適当な蛍光体が分散されていてもよい。また、例えば、光透過部材830は、レンズの機能を有していてもよい。また、光透過部材830は、熱カットガラスのように熱の透過を抑制する機能を有していてもよい。光透過部材830のこれらの機能は、2つ以上が組み合わさっていてもよい。
【0043】
図8に示される本実施形態の発光ユニット100が組み込まれた照明装置800は、さらに、読取装置に組み込むことができる。
図10は、上述の照明装置800が組み込まれた読取装置1100を含む記録システム1000の概略構成図である。記録システム1000は、複写機やプリンタ、ハードディスクやメモリにデータを記録するデータ記録装置などを含む。
図10は、記録システム1000のうち複写機やプリンタなどの紙媒体などに記録をする例を示している。
【0044】
図10に示される記録システム1000は、照明装置800が組み込まれた、媒体の読取を行う読取装置1100と、読取装置1100によって取得された画像情報に基づいて記録媒体に記録を行う記録装置1200と、記録媒体を搬送する搬送装置1300と、を備える。ここで、読取装置1100は、発光ユニット100が組み込まれた照明装置800と、照明装置800によって照明された被照明体の画像情報を取得するためのイメージセンサ1101と、を含む。
【0045】
記録装置1200は、例えば、インクジェット方式や電子写真方式などの任意の方法で、記録媒体1400(例えば紙)に文字を含む画像などを記録することができる。また、搬送装置1300としては、記録媒体を上流から下流へと搬送する搬送ローラを用いることができる。ひとつの実施形態において、記録システム1000はコピー処理を行うことができ、この場合、記録装置1200は、読取装置1100が読み取った画像情報を、画像として記録媒体に記録する。また、ひとつの実施形態において、記録システム1000はフィードバック制御を行うことができる。例えば、読取装置1100は、記録装置1200によって記録が行われた後の記録媒体に対する画像情報の読取を行い、読取データとして記録装置1200に送信することができる。この読取データに基づき、記録装置1200は記録媒体への記録状態を確認することができ、次回の記録時における記録パラメータを制御することができる。
【0046】
また、本実施形態の発光ユニット100が組み込まれた照明装置800を含む読取装置1100が適用される記録システム1000は、上述のように、紙などの記録媒体1400に記録する装置に限られるものではない。記録装置1200が、読取装置1100が読み取った画像情報などを、電子データとしてハードディスクやメモリなどの記録媒体に記録してもよい。この場合、記録装置1200が、ハードディスクやメモリなどの記録媒体を内包していてもよい。また、この場合、記録システム1000に、上述の搬送装置1300は配されていなくてもよい。
【0047】
ここで、バックパネル160の変形例について説明する。
図11(a)、
図11(b)は、上述の
図1(a)、
図1(b)に対応する、変形例のバックパネル160を備える発光ユニット100の構成例を示す斜視図である。同様に、
図12(a)、
図12(b)は、上述の
図2(a)、
図2(b)に対応する、変形例のバックパネル160を備える発光ユニット100の構成例を示す分解斜視図である。
【0048】
図11(a)~
図12(b)に示されるように、バックパネル160は、基板130の面131に対する正射影において、基板130の外縁よりも外側に張り出す張出部165をさらに含んでいてもよい。張出部165は、基板130の面131に対する正射影において、フロントパネル120の外縁よりも外側に張り出していてもよい。バックパネル160が張出部165を備えることによって、バックパネル160の面積が大きくなるだけでなく、バックパネル160のうち基板130の面132に向かい合う側の面の一部からも放熱が可能になる。つまり、バックパネル160から大気中への放熱の効果をさらに向上させることが可能になる。張出部165は、平面状であってもよいし、
図13(a)に示されるように、基板130の面132に沿った方向に張り出した部分165aと、部分165aから基板130の面131の側に向けて折り曲げられた部分165bと、を含んでいてもよい。例えば、張出部165の部分165bは、
図13(a)に示されるように、フロントパネル120の外壁を覆うように配されていてもよい。
【0049】
図11(a)~
図12(b)に示されるように、張出部165は、基板130の面131、発光素子140およびフロントパネル120に接していなくてもよい。上述のように、バックパネル160は、突出部161などを備えることによって、効率的に基板130の面131に配された発光素子140で発せられる熱を効率的に基板130の面132の側に伝達し、バックパネル160から放熱できるためである。また、張出部165が、基板130の面131、発光素子140およびフロントパネル120のうち少なくとも1つに接していてもよい。
【0050】
図14(a)は、張出部165を備えるバックパネル160を含む発光ユニット100が組み込まれた照明装置800の構成例を示す図である。基板130は、
図14(a)に示されるように、フレキシブル基板であってもよい。基板130は、
図11(a)~
図12(b)、
図14(a)に示されるように、長手方向(Z方向)と長手方向と交差する短手方向(Y方向)とを有する形状をしている。この場合、フロントパネル120およびバックパネル160は、基板130の長手方向の一方の端部に配されうる。また、基板130には、
図11(a)~
図12(b)に示されるように、長手方向の他方の端部に、複数の電極133a~133cが配されている。複数の電極133a~133cは、
図14(a)に示されるように、照明装置800のフレーム820に設けられた電力供給部840に接続されている。
【0051】
この場合、張出部165は、
図11(a)~
図12(b)、
図14(a)に示されるように、基板130の長手方向の一方の端部の短手方向に沿う端辺から長手方向に張り出している。このとき、バックパネル160は、複数の電極133a~133cのうち1つの電極133aに電気的に接続されていてもよい。
図11(b)、
図12(b)に示される構成において、バックパネル160に設けられた接続端子166が、配線パターン134の端部に設けられたパッド135に接触し、バックパネル160は、電極133aに電気的に接続される。配線パターン134は、
図11(b)、
図12(b)に示されるように、基板130の面132に配されていてもよいし、面131に配されていてもよいし、基板130が積層構造を有する場合には、面131と面132との間の何れかの層に配されていてもよい。また、上述のように、基板130には、発光素子140に電力供給部840から電力を供給するための配線パターン(導電体、不図示)が形成されている。発光素子140に電力を供給するための配線パターンは、バックパネル160に電気的に接続された電極133aとは別の電極133b、133cに接続されうる。
図11(a)~12(b)に示される構成において、3つの電極133a~133cが配されているが、これに限られることはなく、基板130には、4つ以上の電極が配されていてもよい。
【0052】
上述のような張出部165の位置および電極133aへの電気的な接続は、発光ユニット100が組み込まれた照明装置800を備える読取装置1100において、放熱の他に、静電気によって発光素子140、および/または、発光素子140への電力供給量を制御する駆動回路(
図14(a)に示される構成において、電力供給部840)がダメージを受けることを抑制するのに有効に機能する。具体的には、
図14(b)に示されるように、記録媒体1400として紙やフィルムなどを用いた記録システム1000に使用される読取装置1100において、読取装置1100に接して、または、近接して記録媒体1400が配されうる。このとき、例えば、記録媒体1400は、
図10に示される記録システム1000と同様に、搬送装置1300によって移動しうる。また、例えば、記録システム1000を使用するユーザが、記録媒体1400を読取装置1100上に載置し、使用後に記録媒体1400を取り除くことが考えられる。記録媒体1400が、このように移動することによって、読取装置1100において静電気が発生しうる。
【0053】
読取装置1100は、
図14(b)に示されるように、照明装置800と、イメージセンサ1101と、照明装置800およびイメージセンサ1101を収容する筐体1102と、を含みうる。このとき、照明装置800は、筐体1102に設けられた窓1103を介して被照明体である記録媒体1400を照明する。筐体1102に設けられた窓1103は、ガラスや透明な樹脂などの誘電材料が用いられる場合が多く、記録媒体1400の移動によって静電気が生じる可能性がある。この静電気によって、照明装置800の発光ユニット100の発光素子140、および/または、発光素子140への電力供給量を制御する駆動回路(電力供給部840)が、ダメージを受けてしまう可能性がある。
【0054】
そこで、
図14(b)に示されるように、発光ユニット100のバックパネル160の張出部165が、基板130の外縁から読取装置1100の窓1103の側に張り出すように配される。また、バックパネル160は、上述のように電極133aに接続される。このとき、バックパネル160が電気的に接続される電極133aは、電力供給部840の接地端子(グランド端子)に接続される。つまり、バックパネル160は接地される。これによって、張出部165が避雷針のように機能し、窓1103で発生した静電気を、発光素子140を通過させることなく、バックパネル160から基板130に伝えることができる。この場合、上述のように、電極133aは、バックパネル160に電気的に接続され、発光素子140に電気的に接続されていなくてもよい。換言すると、発光素子140への電力の供給は、電極133bおよび電極133cを用いて行われていてもよい。これによって、バックパネル160を介して静電気が通過する経路と、発光素子140に電力を供給する経路と、を分離することが可能になり、窓1103で発生した静電気が、発光素子140を通過してしまうことを抑制できる。結果として、バックパネル160の張出部165は、放熱を効果的に実施するだけでなく、静電気による発光素子140、および/または、発光素子への電力供給量を制御する駆動回路(電力供給部840)へのダメージを抑制するために使用することができる。つまり、発光ユニット100、発光ユニット100を組み込んだ照明装置800、照明装置800が組み込まれた読取装置1100、および、読取装置1100を含む記録システム1000の信頼性を向上させることが可能となる。
【0055】
バックパネル160と基板130とが電気的に接続される接続端子166およびパッド135の位置は、
図12(a)に示されるように、発光素子140よりも基板130の電極133が配される端部の側であってもよい。しかしながら、これに限られることはなく、適当な位置でバックパネル160と基板130とが電気的に接続されてもよい。例えば、基板130の面131に対する正射影において、接続端子166およびパッド135が、発光素子140と重なる位置に配されていてもよい。
【0056】
また、張出部165は、
図13(b)に示すように、基板130の面131に対する正射影において、発光素子140を通る長手方向(Z方向)の仮想線440が張出部165を通るように配されていてもよい。読取装置1100の窓1103と発光素子140との間に、張出部165が配されることによって、発光素子140、および/または、発光素子140への電力供給量を制御する駆動回路(電力供給部840)に対する静電気の影響が抑制されうる。また、張出部165の数は、1つに限られることはない。
図13(c)に示されるように、2つ以上の張出部165が配されていてもよい。このとき、発光素子140を通る長手方向(Z方向)の仮想線440が1つ以上の張出部165を通るように、張出部165が配されていてもよい。
【0057】
また、張出部165は、上述のように、基板130の面132に沿った方向に張り出した部分165aと、部分165aから基板130の面131の側に向けて折り曲げられた部分165bと、を含みうる。この場合、
図14(a)に示されるように、部分165bの先端は、発光素子140およびフロントパネル120よりも突出しないように配されていてもよい。しかしながら、導光体810の配置や形状、導光体810からの光の出射方向などの条件、読取装置1100の筐体1102の形状などに応じて、適宜、設計されればよい。また、
図13(c)に示されるように、張出部165は、基板130の面131の側に折れ曲がる部分165bを有せず、基板130の面132に沿った方向に張り出した部分165aだけであってもよい。
【0058】
図15(a)には、上述のように金属材料が用いられたバックパネル160の電気抵抗の数値例、および、上述のように樹脂材料が用いられたフロントパネル120の電気抵抗の数値例が示されている。バックパネル160に伝わる静電気が、フロントパネル120を介して発光素子140に伝わることを抑制するために、フロントパネル120の抵抗値をバックパネル160の抵抗値で除したR比が、以下の式(1)を満たしていてもよい。
1.0×10
3<R比<1.0×10
30 ・・・ (1)
図15(a)の数値例1~4の組み合わせは、それぞれ式(1)を満たしている。さらに、R比が、以下の式(1a)を満たしていてもよい。
1.0×10
15<R比<1.0×10
25 ・・・ (1a)
図15(a)の数値例1、4が、式(1a)を満たしている。
【0059】
図15(b)には、上述のように金属材料が用いられたバックパネル160の熱伝導率の数値例、および、上述のように樹脂材料が用いられたフロントパネル120の熱伝導率の数値例が示されている。基板130の面131に配された発光素子140で発せられる熱を効率的に基板130の面132の側に伝達し、バックパネル160から放熱する必要がある。換言すると、発光素子140で発せられる熱が、フロントパネル120から導光体810などに伝わりにくくする必要がある。フロントパネル120からバックパネル160への熱の伝達が、より効率的に実施されるように、フロントパネル120の熱伝導率をバックパネル160の熱伝導率で除したC比が、以下の式(2)を満たしていてもよい。
1.0×10
-7<C比<1.0 ・・・ (2)
図15(b)の数値例1~4の組み合わせは、それぞれ式(2)を満たしている。さらに、C比が、以下の式(2a)を満たしていてもよい。
1.0×10
-4<C比<1.0×10
-1 ・・・ (2a)
図15(b)の数値例1~3が、式(2a)を満たしている。
【0060】
上述したように、本実施形態の発光ユニット100は、光源である発光素子140から発せられる熱を効率よく、基板130の発光素子140が配された面131とは反対の面132の側に伝達し、放熱することができる。これによって、本実施形態の発光ユニット100、発光ユニット100を組み込んだ照明装置800、照明装置800が組み込まれた読取装置1100、および、読取装置1100を含む記録システム1000の信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
100:発光ユニット、120:フロントパネル、121:開口部、130:基板、131,132:面、140:発光素子、141:光出射面、160:バックパネル、161:突出部