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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電動アシストトロッコ
(51)【国際特許分類】
   B61D 15/00 20060101AFI20241119BHJP
   B60T 7/10 20060101ALI20241119BHJP
   B60T 11/04 20060101ALI20241119BHJP
   B61D 15/12 20060101ALI20241119BHJP
   B61C 15/00 20060101ALI20241119BHJP
   B61G 5/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B61D15/00 A
B60T7/10 P
B60T11/04
B61D15/12
B61C15/00
B61G5/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021121660
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017408
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591153145
【氏名又は名称】ユニオン建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 貴史
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-237969(JP,A)
【文献】特開2020-168979(JP,A)
【文献】特開2009-012603(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02908347(DE,A1)
【文献】米国特許第01342137(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 15/00
B60T 7/10
B60T 11/04
B61D 15/12
B61C 15/00
B61G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキを備えた手動トロッコを前方に連結して推進する際に、推進力をアシストするための電動アシストトロッコであって、
車輪と、
該車輪を駆動するための動力装置と、
該動力装置のモータを駆動するためのバッテリと、
前記車輪を制動するためのブレーキ装置と、
連結器と、
該連結器により前方に連結された手動トロッコのブレーキを操作するためのブレーキロッドと、
手動トロッコを推進するべく前方に押すと、前記モータを駆動すると共に前記ブレーキロッドを前方に移動して、連結された手動トロッコのブレーキを解放し、手動トロッコの推進を止めるべく後方に引くと、前記モータを停止すると共に前記ブレーキロッドを後方に移動して、連結された手動トロッコにブレーキを掛ける操作レバーと、
を備えたことを特徴とする電動アシストトロッコ。
【請求項2】
前記ブレーキロッドが、順次前方の手動トロッコに連結され、前記操作レバーにより複数の手動トロッコのブレーキを同時に操作するようにされていることを特徴とする請求項1に記載の電動アシストトロッコ。
【請求項3】
前記アシストの速度が可変又は選択可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動アシストトロッコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシストトロッコに係り、特に、ブレーキを備えた手動トロッコを前方に連結して推進する際に、推進力をアシストすることが可能な電動アシストトロッコに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の建設作業や保守作業に際して資材や機材を運搬するためのトロッコとして、ブレーキを備えた軽量の手動トロッコが実用化されている。
【0003】
しかしながら、多量の資材や機材を運搬する際に、複数の手動トロッコをまとめて移動するのは困難であった。
【0004】
なお、本発明に関連があるとみられる技術として、軌陸車との連結が切れたときにトロッコにブレーキを掛ける軌陸車連結用トロッコが特許文献1に記載され、制動用エアが切れたときにトロッコにブレーキを掛ける保守用トロッコが特許文献2に記載され、モーターカーとの連結が切れたときに台車にブレーキを掛ける保守用トロッコが特許文献3乃至6に記載され、脱線時に他の連結車両にブレーキを掛ける自動走行列車が特許文献7に記載され、独立した自走台車が特許文献8乃至10に記載されているが、いずれも、ブレーキを備えた手動トロッコを前方に連結して推進する際に、推進力をアシストするための電動アシストトロッコに関するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-49894号公報
【文献】特開2014-125061号公報
【文献】特開2015-6827号公報
【文献】特開2015-6828号公報
【文献】特開2012-35766号公報
【文献】特開2011-246005号公報
【文献】特開平6-205501号公報
【文献】特許第5893199号公報
【文献】実用新案登録第3168005号公報
【文献】特開2013-39921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、ブレーキを備えた手動トロッコを前方に連結して推進する際に、推進力をアシストすることが可能な電動アシストトロッコを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ブレーキを備えた手動トロッコを前方に連結して推進する際に、推進力をアシストするための電動アシストトロッコであって、車輪と、該車輪を駆動するための動力装置と、該動力装置のモータを駆動するためのバッテリと、前記車輪を制動するためのブレーキ装置と、連結器と、該連結器により前方に連結された手動トロッコのブレーキを操作するためのブレーキロッドと、手動トロッコを推進するべく前方に押すと、前記モータを駆動すると共に前記ブレーキロッドを前方に移動して、連結された手動トロッコのブレーキを解放し、手動トロッコの推進を止めるべく後方に引くと、前記モータを停止すると共に前記ブレーキロッドを後方に移動して、連結された手動トロッコにブレーキを掛ける操作レバーと、を備えたことを特徴とする電動アシストトロッコにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
ここで、前記ブレーキロッドが、順次前方の手動トロッコに連結され、前記操作レバーにより複数の手動トロッコのブレーキを同時に操作するようにすることができる。
【0009】
又、前記アシストの速度を可変又は選択可能とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブレーキを備えた手動トロッコを連結して前方に推進する際に、推進力をアシストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の(A)運搬時と(B)ブレーキ時を比較して模式的に示す正面図
図2】前記実施形態の電動アシストトロッコの構成を示す(A)正面図、(B)側面図及び(C)平面図
図3】前記電動アシストトロッコの動力装置を示す正面図
図4】同じくブレーキ装置を示す(A)平面図及び(B)断面図
図5】同じく資材又は機材運搬用に電動アシストトロッコと手動トロッコを連結した状態を示す(A)平面図及び(B)正面図
図6】同じく資材又は機材運搬後に手動トロッコを元の場所に戻す状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0013】
本発明の実施形態は、図1に示すような、ブレーキレバー28Aによって操作されるブレーキ28を備えた3台の手動トロッコ20を前方(図の左方)に連結してオペレータ12が推進する際に推進力をアシストするための電動アシストトロッコ30であって、図2(A)(正面図)、(B)(側面図)、(C)(平面図)に示す如く、動力車輪(動輪とも称する)34Aと、該動力車輪34Aを駆動するための動力装置36と、該動力装置36のモータ36Aを駆動するためのバッテリ38と、前記モータ36A及びバッテリ38を収容するためのケース40と、前記動力車輪34Aを制動するためのブレーキ装置42と、前方の手動トロッコ20と連結するための連結器44と、該連結器44により前方に連結された手動トロッコ20のブレーキ28を操作するための左右のブレーキロッド46L、46Rと、前方に連結された手動トロッコ20をオペレータ12が推進するべく前方に押すと、前記モータ36Aを駆動すると共に、図1(A)に示した如く、前記ブレーキロッド46L及び手動トロッコ20間に配設した連結ロッド50を前方に移動して、手動トロッコ20のブレーキレバー28Aを立てることにより、連結された全ての手動トロッコ20のブレーキ28を解放し、手動トロッコ20の推進を止めるべくオペレータ12が手を離すと、前記モータ36Aを停止すると共に、図1(B)に示した如く、前記ブレーキロッド46L及び連結ロッド50を後方に移動して、連結された手動トロッコ20のブレーキレバー28Aを後方に引き、各手動トロッコ20のブレーキ28を作動させて全ての手動トロッコ20にブレーキを掛ける操作レバー48と、を備えたものである。
【0014】
図において、10は線路、22は手動トロッコ20のフレーム、24は同じく車輪、26は同じく連結器、32は電動アシストトロッコ30のフレーム、33は同じく動輪34Aの車軸、34Bは同じく補助車輪、47L、46Rは、それぞれブレーキロッド46L、46Rのガイド、52は動輪34Aのカバー(動輪カバーと称する)である。
【0015】
前記電動アシストトロッコ30の動力装置36は、図3に示す如く、フレーム32に固定されたモータ36Aと、該モータ36Aにより回転されるスプロケット36Bと、車軸33に固定されたスプロケット36Cと、前記スプロケット36Bと36Cに掛け渡されたローラーチェーン36Dを主に備えたチェーンドライブとされている。
【0016】
前記ブレーキ装置42は、図4(A)(平面図)及び図4(B)(断面図)に示す如く、動輪34Aの車軸33に固定されたブレーキローター(単にローターとも称する)42Aと、ブレーキハブ(単にハブとも称する)42Bと、ブレーキキャリパー(単にキャリパーとも称する)42Cと、ブレーキブラケット(単にブラケットとも称する)42Dと、ブレーキアーム(単にアームとも称する)42Eとを主に備えたディスクブレーキとされている。
【0017】
資材又は機材運搬用に3台の手動トロッコ20と電動アシストトロッコ30を連結した状態を図5(A)(平面図)及び図5(B)(正面図)に示す。
【0018】
以下、作用を説明する。
【0019】
資材又は機材運搬時には、まず、左側のブレーキロッド46Lにより電動アシストトロッコ30の操作レバー48と一番手前の手動トロッコ20のブレーキレバー28Aを連結すると共に、連結ロッド50により各手動トロッコ20のブレーキレバー28Aを相互に連結しておく。
【0020】
そして、図1(A)に示す如く、オペレータ12が操作レバー48を前方(図の左方)に押すと、モータ36Aが駆動され、動輪34Aが回転されると共に、操作レバー48の前方への移動により、ブレーキロッド46L及び連結ロッド50を介して全ての手動トロッコ20のブレーキレバー28Aが前方に押されて、全ての手動トロッコ20のブレーキ28が解放される。従って、オペレータ12が操作レバー48を前方に押すだけで、前方に連結された手動トロッコ20が前方に推進される。
【0021】
一方、停止する際には、図1(B)に示す如く、オペレータ12が操作レバー48から手を離す。すると、モータ36Aが停止されると共に、ブレーキロッド46L及び連結ロッド50を介して全ての手動トロッコ20のブレーキレバー28Aが後方に引かれて、全ての手動トロッコ20のブレーキ28が掛けられる。従って、オペレータ12が操作レバー48から手を離すだけで、電動アシストトロッコ30だけでなく、全ての手動トロッコ20を確実に停止することができる。
【0022】
資材又は機材を運搬後、例えば空になった手動トロッコ20を元の場所に戻す際は、図6に示す如く、電動アシストトロッコ30を反対側に付け替え、連結ロッド50を右側のブレーキロッド46Rに付け替えることで、空になった手動トロッコ20を推進運転で元の場所に戻すことができる。
【0023】
前記動力装置36によるアシスト力は、平坦時と勾配区間で選択可能としたり、可変とすることができる。
【0024】
本実施形態においては、電動アシストトロッコ30に補助車輪34Bが設けられているので、電動アシストトロッコ30を安定して線路10上に置くことができる。なお、補助車輪34Bを省略することも可能である。
【0025】
又、ブレーキロッド46L、46Rが左右に設けられていたので、元の場所に戻る際の連結ロッド50の付け替えも容易である。なお、ブレーキロッド46L、46Rを左右いずれか一方のみとすることも可能である。
【0026】
本発明は、鉄道の手動トロッコ以外の一般の手動トロッコにも同様に適用できる。
【0027】
手動トロッコの台数も3台に限定されず、1台のみ、又は2台、又は4台以上であっても良い。1台の場合、連結ロッドは不要である。
【0028】
動力装置やブレーキ装置の構成も前記実施形態に示したチェーンドライブやディスクブレーキに限定されず、例えばベルトドライブやギヤドライブとしたり、ドラムブレーキとすることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…線路
12…オペレータ
20…手動トロッコ
28…ブレーキ
28A…ブレーキレバー
30…電動アシストトロッコ
32…フレーム
34A…動力車輪(動輪)
34B…補助車輪
36…動力装置
36A…モータ
36B、36C…スプロケット
36D…ローラーチェーン
38…バッテリ
40…ケース
42…ブレーキ装置
42A…(ブレーキ)ローター
42B…(ブレーキ)ハブ
42C…(ブレーキ)キャリパー
42D…(ブレーキ)ブラケット
42E…(ブレーキ)アーム
44…連結器
46L、46R…ブレーキロッド
48…操作レバー
50…連結ロッド
52…(動輪)カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6