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特許7590290力判定装置、方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】力判定装置、方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20241119BHJP
   A63B 60/46 20150101ALI20241119BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20241119BHJP
【FI】
A63B69/36 541S
A63B60/46
A63B102:32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021138980
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032698
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周作
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-079186(JP,A)
【文献】特開2018-171244(JP,A)
【文献】特開2003-284796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0111197(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 53/00-60/64
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録部と、
極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出部と、
極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出部と、
前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定部と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、
前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、
前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、
前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である、
力判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力判定装置であって、
前記第一時点は、前記第一方向の歪みが最大値をとった時点である、
力判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の力判定装置であって、
前記第一時点は、測定開始時点である、
力判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の力判定装置であって、
前記第二時点は、前記第一方向または前記第二方向の歪みが0となった時点である、
力判定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の力判定装置であって、
前記第二時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとった時点である、
力判定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の力判定装置であって、
前記力判定部は、前記第一比と前記第二比との差が大きい程、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力が大きいと判定する、
力判定装置。
【請求項7】
スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、
極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、
前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、
前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、
前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、
前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である、
力判定方法。
【請求項8】
力判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記力判定処理が、
スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、
極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、
前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、
前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、
前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、
前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である、
プログラム。
【請求項9】
力判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記力判定処理が、
スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、
極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、
前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、
前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、
前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、
前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である、
記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイング中のゴルフクラブのシャフトに加わる力の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフクラブのスイング動作を分析する装置が知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-058302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スイング中(特に、切り返し)のゴルフクラブのシャフトに加わる力(例えば、力の大小)を正確に判定できれば、ゴルフの練習およびゴルフクラブの開発に有益である。
【0005】
そこで、本発明は、スイング中(特に、切り返し)のゴルフクラブのシャフトに加わる力の判定を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる力判定装置は、スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録部と、極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出部と、極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出部と、前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定部とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点であるように構成される。
【0007】
上記のように構成された力判定装置によれば、歪み記録部が、スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する。第一比導出部が、極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する。第二比導出部が、極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する。力判定部が、前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する。前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向である。前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である。前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点である。前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点である。前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である。
【0008】
なお、本発明にかかる力判定装置は、前記第一時点は、前記第一方向の歪みが最大値をとった時点であるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる力判定装置は、前記第一時点は、測定開始時点であるようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる力判定装置は、前記第二時点は、前記第一方向または前記第二方向の歪みが0となった時点であるようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる力判定装置は、前記第二時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとった時点であるようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる力判定装置は、前記力判定部は、前記第一比と前記第二比との差が大きい程、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力が大きいと判定するようにしてもよい。
【0013】
本発明は、スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である力判定方法である。
【0014】
本発明は、力判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記力判定処理が、スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点であるプログラムである。
【0015】
本発明は、力判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記力判定処理が、スイング中のゴルフクラブにおけるシャフトの第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、極小値時点および第一時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第一時点における第二方向の歪みの差分との比である第一比を導出する第一比導出工程と、極小値時点および第二時点における第一方向の歪みの差分と、前記極小値時点および前記第二時点における第二方向の歪みの差分との比である第二比を導出する第二比導出工程と、前記第一比と前記第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しにおける前記ゴルフクラブのシャフトに加わる力を判定する力判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であり、前記極小値時点は、前記第二方向の歪みが最大値をとる時点以前であって、前記第二方向の歪みが極小値をとる時点であり、前記第一時点は、前記極小値時点よりも前の時点であり、前記第二時点は、前記極小値時点よりも後の時点である記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかるスイング種別判定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図2】ゴルフクラブ2の正面図である。
図3】シャフト2bの断面図である。
図4】歪み記録部14の記録内容を示す図である。
図5】スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの歪みの一例を、第一方向Hを横軸に、第二方向Vを縦軸にとって図示したグラフである。
図6】スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの歪みの一例を、第一方向Hを横軸に、第二方向Vを縦軸にとって図示したグラフに、極小値時点(t=tmin)、第一時点(t=t11、t12)および第二時点(t=t21、t22、t23)を記入したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかるスイング種別判定装置1の構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態にかかるスイング種別判定装置1は、歪み測定結果受信部12、歪み記録部14、第一比導出部15、第二比導出部16、力判定部18を備える。
【0019】
歪み測定結果受信部12は、歪み測定結果送信器8から送信された、歪みの測定結果を受信する。歪み測定結果送信器8は、ゴルフクラブ2のシャフト2bに取り付けられている。
【0020】
図2は、ゴルフクラブ2の正面図である。ゴルフクラブ2は、ヘッド2a、シャフト2b、グリップ2cを有する。ただし、図2においては、グリップ2cを握る者(プレーヤー)の手は図示省略する。ヘッド2aの前方にはゴルフボール4が置かれている。ヘッド2aは、シャフト2bを介して、グリップ2cに接続されている。プレーヤーは、グリップ2cを握り、ゴルフクラブ2をスイングさせ、ヘッド2aをゴルフボール4に当てて、ゴルフボール4を飛ばす。
【0021】
第一方向Hは、ゴルフクラブ2のスイングによってゴルフボール4を飛ばす方向である。第二方向Vは、第一方向Hとシャフト2bとに直交する方向である。
【0022】
図3は、シャフト2bの断面図である。シャフト2bには、歪みゲージ9H、9Vが取り付けられている。シャフト2bの断面は円形であり、その円の中心(図示省略)を通って第一方向Hに延伸する直線(H軸)とシャフト2bの外周との交点(シャフト2bの外周における最も右の点)近傍に、歪みゲージ9Hが配置されている。シャフト2bの断面は円形であり、その円の中心(図示省略)を通って第一方向Hと直交する方向(図示省略)に延伸する直線とシャフト2bの外周との交点(シャフト2bの外周における最も下の点)近傍に、歪みゲージ9Vが配置されている。
【0023】
歪みゲージ9Hは、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第一方向Hの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに測定する。
【0024】
歪みゲージ9Vは、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第二方向Vの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに測定する。
【0025】
歪み測定結果送信器8は、歪みゲージ9Hおよび歪みゲージ9Vの測定結果を送信する。
【0026】
歪み記録部14は、歪み測定結果受信部12の受信結果を受けて記録する。すなわち、歪み記録部14は、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第一方向Hおよび第二方向Vの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに記録する。
【0027】
図4は、歪み記録部14の記録内容を示す図である。歪み記録部14は、時点t1に対応づけて(H1、V1)を、時点t2に対応づけて(H2、V2)を、時点t3に対応づけて(H3、V3)を記録する。ただし、H1、H2、H3は、第一方向(H軸方向)の歪みであり、V1、V2、V3は、第二方向(V軸方向)の歪みである。もちろん、歪み記録部14の記録する時点t1、t2、t3は一例であり、他の時点およびそれに対応する(H、V)を記録できることは当然である。
【0028】
図5は、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの歪みの一例を、第一方向Hを横軸に、第二方向Vを縦軸にとって図示したグラフである。
【0029】
ゴルフクラブ2のスイングは、バックスイングSb(曲線P0P1)から始まり、切り返しSt(曲線P1P2)、第一ダウンスイングSd1(曲線P2P3)、第二ダウンスイングSd2(曲線P3Im)と続く。なお、第二ダウンスイングSd2は、インパクトImで終わる。なお、図5においては、図示の便宜上、バックスイングSbを実線、切り返しStを点線、第一ダウンスイングSd1を実線、第二ダウンスイングSd2を点線というように、歪みを表示する図形を構成する線の種類を変えて図示している。
【0030】
なお、切り返しStは、バックスイングSbから第一ダウンスイングSd1への移行過程である。第一ダウンスイングSd1は、ゴルフクラブ2のシャフト2bがしなっている過程である。第二ダウンスイングSd2は、シャフト2bのしなりが戻る過程である。
【0031】
ここで、ダウンスイングは、第二方向Vの歪みが最大値Vmaxをとった時点の前後で、第一ダウンスイングSd1および第二ダウンスイングSd2に分けることができる。
【0032】
図6は、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの歪みの一例を、第一方向Hを横軸に、第二方向Vを縦軸にとって図示したグラフに、極小値時点(t=tmin)、第一時点(t=t11、t12)および第二時点(t=t21、t22、t23)を記入したものである。ただし、図6においては、図5において図示した点P0、P1、P2、P3およびバックスイングSb、切り返しSt、第一ダウンスイングSd1、第二ダウンスイングSd2、インパクトImを図示省略する。
【0033】
第二方向Vの歪みが最大値Vmaxをとる時点をt23とする(t=t23、ただしtは時間)。時点t23の際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪み(=Vmax)が、それぞれ、点Q23(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0034】
時点t23以前であって、第二方向Vの歪みが極小値をとる時点を極小値時点tminとする(t=tmin)。極小値時点tminの際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪みが、それぞれ、点Qmin(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0035】
第一時点を、極小値時点tminよりも前の時点とする(t<tmin)。
【0036】
例えば、第一方向Hの歪みが最大値をとった時点を、第一時点とする(t=t11)。第一時点t11の際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪みが、それぞれ、点Q11(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0037】
例えば、測定開始時点を、第一時点とする(t=t12)。第一時点t12の際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪みが、それぞれ、点Q12(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0038】
ただし、t12<t11<tminである。
【0039】
第一比導出部15は、歪み記録部14の記録内容を読み出し、極小値時点tminおよび第一時点(t<tmin)における第一方向Hの歪みの差分と、極小値時点tminおよび第一時点(t<tmin)における第二方向Vの歪みの差分との比である第一比を導出する。
【0040】
例えば、第一時点をt12とした場合、第一比は、直線Q12Qmin(図6参照)の傾きとなる。
【0041】
第二時点を、極小値時点tminよりも後の時点とする(t>tmin)。
【0042】
例えば、第一方向Hの歪みが0となった時点を、第二時点(t=t21)とする。第二時点t21の際の第一方向Hの歪み(=0)及び第二方向Vの歪みが、それぞれ、点Q21(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0043】
例えば、第二方向Vの歪みが0となった時点を、第二時点(t=t22)とする。第二時点t22の際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪み(=0)が、それぞれ、点Q22(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0044】
例えば、第二方向Vの歪みが最大値(Vmax)をとった時点を、第二時点(t=t23)とする。第二時点t23の際の第一方向Hの歪み及び第二方向Vの歪み(=Vmax)が、それぞれ、点Q23(図6参照)のH座標およびV座標である。
【0045】
ただし、tmin<t21<t22<t23である。
【0046】
第二比導出部16は、歪み記録部14の記録内容を読み出し、極小値時点tminおよび第二時点(t>tmin)における第一方向Hの歪みの差分と、極小値時点tminおよび第二時点(t>tmin)における第二方向Vの歪みの差分との比である第二比を導出する。
【0047】
例えば、第二時点をt23とした場合、第二比は、直線Q23Qmin(図6参照)の傾きとなる。
【0048】
力判定部18は、第一比導出部15から第一比を、第二比導出部16から第二比を受ける。さらに、力判定部18は、第一比と第二比とを比較することにより、スイング中の切り返しStにおけるゴルフクラブ2のシャフト2bに加わる力を判定する。例えば、力判定部18は、第一比と第二比との差が大きい程、スイング中の切り返しStにおけるゴルフクラブ2のシャフト2bに加わる力が大きいと判定する。
【0049】
例えば、第一時点をt12、第二時点をt23とした場合、第一比と第二比との差が大きいということは、角度α(=直線Q12Qminと直線Q23Qminとのなす角度)が小さいとうことであり、点Qminの近傍(すなわち、切り返しSt)で、大きな力がャフト2bに加わっているということがわかる。
【0050】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0051】
まず、プレーヤーは、グリップ2cを握り、ゴルフクラブ2をスイングさせ、ヘッド2aをゴルフボール4に当てて、ゴルフボール4を飛ばす(図2参照)。この際のシャフト2bの歪みを歪みゲージ9H、9V(図3参照)が測定し、測定結果が、歪み測定結果送信器8により送信される。
【0052】
歪み測定結果送信器8により送信された歪みの測定結果は、歪み測定結果受信部12により受信され、歪み記録部14に記録される(図4参照)。例えば、(H1、V1)、(H2、V2)、(H3、V3)が、それぞれ、歪みを測定した時点t1、t2、t3に対応付けられて、歪み記録部14に記録される。
【0053】
歪み記録部14の記録内容は、第一比導出部15および第二比導出部16により読み出され、第一比(例えば、直線Q12Qmin(図6参照)の傾き)および第二比(例えば、直線Q23Qmin(図6参照)の傾き)が導出される。
【0054】
第一比および第二比は、力判定部18に与えられる。さらに、第一比と第二比とが比較され、第一比と第二比との差が大きい程(すなわち、角度αが小さい程)、スイング中の切り返しStにおけるゴルフクラブ2のシャフト2bに加わる力が大きいと判定される。
【0055】
本発明の実施形態によれば、スイング中(特に、切り返し)のゴルフクラブ2のシャフト2bに加わる力を判定できる。
【0056】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば、歪み測定結果受信部12、歪み記録部14、第一比導出部15、第二比導出部16および力判定部18を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0057】
1 力判定装置
12 歪み測定結果受信部
14 歪み記録部
15 第一比導出部
16 第二比導出部
18 力判定部
2 ゴルフクラブ
2a ヘッド
2b シャフト
2c グリップ
4 ゴルフボール
8 歪み測定結果送信器
9H、9V 歪みゲージ
t1、t2、t3、ti、tm 時点
歪み H1、H2、H3、V1、V2、V3
H 第一方向
V 第二方向
Sb バックスイング
St 切り返し
Sd1 第一ダウンスイング
Sd2 第二ダウンスイング
Im インパクト
Vmax 最大値
tmin 極小値時点
t11、t12 第一時点
t21、t22、t23 第二時点
図1
図2
図3
図4
図5
図6