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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】機器取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241119BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20241119BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20241119BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B60R11/02 C
F16B5/06 Q
F16B19/00 M
F16B5/10 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021197532
(22)【出願日】2021-12-06
(65)【公開番号】P2023083694
(43)【公開日】2023-06-16
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜己
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-020666(JP,A)
【文献】実開昭57-049916(JP,U)
【文献】特開2019-189023(JP,A)
【文献】特開2008-240887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0146350(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
F16B 5/00 - 5/12
F16B 17/00 - 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造体に電子機器を取り付けるための機器取付構造であって、
前記構造体に結合されると共に、前記電子機器を支持するベースと、
前記ベースに第1係合部及び第2係合部を介して結合され、前記ベースと共に前記電子機器を覆うカバーとを有し、
前記第1係合部は、前記ベース及び前記カバーの一方に設けられた係止凹部と、前記ベース及び前記カバーの他方に設けられ、前記係止凹部に挿入される係止片とを有し、
前記係止凹部は、第1方向において互いに対向する第1壁部及び第2壁部を有すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に向けて開口し、
前記係止片は、前記第1壁部及び前記第2壁部の一方に当接する第1部分と、前記第1部分から突出すると共に前記第1壁部及び前記第2壁部の他方に当接し、前記第1部分よりも高い可撓性を有する第2部分とを有し、
前記カバーと前記ベースとが前記第2係合部において係合することによって、前記ベースに対する前記カバーの前記第2方向への移動が規制され
前記第1部分は、前記第1壁部と対向する第1面及び前記第2壁部と対向する第2面を有する平板状の基部と、前記基部を前記第1面から前記第2面に貫通する貫通孔とを有し、
前記第2部分は、前記貫通孔を画定する孔壁面から突出し、
前記第2部分の厚みは、前記基部の厚みよりも小さく、
前記第2部分は、前記孔壁面の前記第2面側に結合され、前記第1面を越えて前記貫通孔の外方に突出している機器取付構造。
【請求項2】
前記係止片が前記係止凹部に挿入された状態において、前記第2部分は、前記第1方向に対して傾斜し、かつ前記係止凹部の開口端側に延びている請求項1に記載の機器取付構造。
【請求項3】
前記第2部分は、板ばねを構成する請求項2に記載の機器取付構造。
【請求項4】
前記第2部分は、前記貫通孔から突出した中間部に、前記貫通孔側に屈曲する屈曲部を有する請求項に記載の機器取付構造。
【請求項5】
前記第1部分は、前記基部の先端縁に沿って延び、前記基部の厚みよりも厚い厚肉部を有し、
前記厚肉部が前記第1壁部及び前記第2壁部の一方に当接する請求項又は請求項に記載の機器取付構造。
【請求項6】
前記孔壁面の一部は前記厚肉部によって形成され、
前記第2部分は前記厚肉部から延びている請求項に記載の機器取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の構造体に電子機器を取り付けるための機器取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウインドウパネルに取り付けられ、カメラ等のセンサモジュールを支持するベースと、ベースに結合され、ベース及びセンサモジュールを覆うカバーとを有する機器取付構造が開示されている。ベースは、その前部に設けられた係止受部と、その後部に設けられた係合部とを有する。カバーは、その前部に設けられた係止片と、その後部に設けられた被係合部とを有する。係止片が係止受部に挿入された後に、非係合部が係合部に着脱可能に係止されることによって、カバーはベースに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6494750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベース又はカバーに製造誤差が生じると、係止受部と係合部との間に隙間が発生し、ベースに対するカバーのがた付きが生じるという問題がある。
【0005】
以上の背景に鑑み、本発明は、機器取付構造において、がた付きを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両の構造体(2、3)に電子機器(5)を取り付けるための機器取付構造(1)であって、前記構造体に結合されると共に、前記電子機器を支持するベース(6)と、前記ベースに第1係合部(7)及び第2係合部(8)を介して結合され、前記ベースと共に前記電子機器を覆うカバー(9)とを有し、前記第1係合部は、前記ベース及び前記カバーの一方に設けられた係止凹部(41)と、前記ベース及び前記カバーの他方に設けられ、前記係止凹部に挿入される係止片(42)とを有し、前記係止凹部は、第1方向において互いに対向する第1壁部(41A)及び第2壁部(41B)を有すると共に、前記第1方向と直交する第2方向に向けて開口し、前記係止片は、前記第1壁部及び前記第2壁部の一方に当接する第1部分(42A)と、前記第1部分から突出すると共に前記第1壁部及び前記第2壁部の他方に当接し、前記第1部分よりも高い可撓性を有する第2部分(42B)とを有し、前記カバーと前記ベースとが前記第2係合部において係合することによって、前記ベースに対する前記カバーの前記第2方向への移動が規制される。
【0007】
この態様によれば、係止片の第1部分が係止凹部の第1壁部及び第2壁部の一方に当接し、かつ係止片の第2部分が係止凹部の第1壁部及び第2壁部の他方に当接する。そのため、第1方向において係止片が係止凹部にがた付き無く係止される。すなわち、機器取付構造において、がた付きを抑制することができる。
【0008】
上記の態様において、前記係止片が前記係止凹部に挿入された状態において、前記第2部分は、前記第1方向に対して傾斜し、かつ前記係止凹部の開口端側に延びてもよい。
【0009】
この態様によれば、係止片を係止凹部に挿入するときに第2部分が係止凹部の縁部に引っ掛かることを避けることができる。また、第2部分の損傷を抑制することができる。
【0010】
上記の態様において、前記第2部分は、板ばねを構成してもよい。
【0011】
この態様によれば、第2部分が第1壁部及び第2壁部の他方に一層確実に当接することができる。
【0012】
上記の態様において、前記第1部分は、前記第1壁部と対向する第1面(42C)及び前記第2壁部と対向する第2面(42D)を有する平板状の基部(42E)と、前記基部を前記第1面から前記第2面に貫通する貫通孔(42F)とを有し、前記第2部分は、前記貫通孔を画定する孔壁面(42H)から突出してもよい。
【0013】
この態様によれば、第2部分の変位範囲を大きくすることができ、第2部分が第1壁部及び第2壁部の他方に一層確実に当接することができる。
【0014】
上記の態様において、前記第2部分の厚みは、前記基部の厚みよりも小さく、前記第2部分は、前記孔壁面の前記第2面側に結合され、前記第1面を越えて前記貫通孔の外方に突出してもよい。
【0015】
この態様によれば、第2部分の変位範囲を大きくすることができ、第2部分が第1壁部及び第2壁部の他方に一層確実に当接することができる。
【0016】
上記の態様において、前記第2部分は、前記貫通孔から突出した中間部に、前記貫通孔側に屈曲する屈曲部(42J)を有してもよい。
【0017】
この態様によれば、第2部分は屈曲部において第1壁部及び第2壁部の他方に当接する。これにより、第2部分が第1壁部及び第2壁部の他方に対して滑らかに摺動することができ、使用者は係止片を係止凹部に円滑に挿入することができる。
【0018】
上記の態様において、前記第1部分は、前記基部の先端縁に沿って延び、前記基部の厚みよりも厚い厚肉部(42G)を有し、前記厚肉部が前記第1壁部及び前記第2壁部の一方に当接してもよい。
【0019】
この態様によれば、係止片の剛性を向上させることができる。
【0020】
上記の態様において、前記孔壁面の一部は前記厚肉部によって形成され、前記第2部分は前記厚肉部から延びてもよい。
【0021】
この態様によれば、第2部分の変位範囲を大きくすることができ、第2部分が第1壁部及び第2壁部の他方に一層確実に当接することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の構成によれば、機器取付構造において、がた付きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る機器取付構造の斜視図
図2】機器取付構造の断面図
図3】ベース部材の斜視図
図4】第1カバーを上方から見た斜視図
図5】第1カバーを下方から見た斜視図
図6】係止片の断面図
図7】ブラケット及びルーフコンソールの分解斜視図
図8】第1カバー及び第2カバーの平面図
図9】機器取付構造の断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の機器取付構造の実施形態について説明する。機器取付構造は、車両の構造体に電子機器を取り付ける。車両の構造体は、ウインドウパネル、ルーフ、インストルメントパネル、センターコンソール、ドア等を含む。電子機器は、カメラ、レーザ、ライダ、ソナー等の様々なセンサを含む。
【0025】
機器取付構造は、車両のウインドウパネルとルーフとの境界部に設けられる。ウインドウパネルは、車室の前部を画定するフロントウインドウパネル、車室の後部を画定するリヤウインドパネル、車室の左右の側部を画定する一対のサイドウインドウパネルを含む。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、機器取付構造1は、フロントウインドウパネル2と、ルーフ3との境界に設けられている。フロントウインドウパネル2は、上方に向けて後方に傾斜している。ルーフ3は、車室4の上部を画定し、略水平に配置されている。ルーフ3は、金属によって形成されたルーフパネル(不図示)と、ルーフパネルの下面に取り付けられたルーフライニング3Bとを有する。ウインドウパネルは、ガラス又は樹脂によって形成されているとよい。
【0027】
機器取付構造1は、車両の構造体としてのフロントウインドウパネル2に結合されると共に、電子機器5を支持するベース6と、ベース6に第1係合部7及び第2係合部8を介して結合され、ベース6と共に電子機器5を覆う第1カバー9とを有する。ベース6は、フロントウインドウパネル2の車内側面(後面)の上端部に取り付けられている。また、機器取付構造1は、ルーフ3に取り付けられたブラケット11を有する。第1カバー9は、ベース6に加えて、ブラケット11にも取り付けられている。ベース6、第1カバー9、及びブラケット11は、樹脂によって形成されているとよい。
【0028】
図2及び図3に示すように、ベース6は、前面と後面とを有し、板状に形成されたベース本体部15を有する。ベース本体部15の前面は平面状に形成されている。ベース本体部15の前面は、両面テープや接着材によってフロントウインドウパネル2の車内側面に結合されている。ベース本体部15は、フロントウインドウパネル2の車内側面に沿って上下に延びている。ベース本体部15の上縁は、左右に延び、フロントウインドウパネル2の上縁近傍に配置されている。
【0029】
ベース本体部15の上部の左右方向における中央には、ベース本体部15を前面から後面に貫通する透孔16が形成されている。ベース本体部15の前面において、透孔16の前方には導光溝17が形成されている。導光溝17は、透孔16から前方に延び、前方に向けて左右方向における幅が漸増している。導光溝17の深さは、透孔16から前方に向けて、浅くなっている。
【0030】
図1及び図3に示すように、ベース本体部15の下部の左右方向における中央には、ベース本体部15を前面から後面に貫通するミラー装着孔18が形成されている。ミラー装着孔18は、導光溝17の前方に配置されている。ミラー装着孔18の内側には、ルームミラー21を支持するためのミラーベース22が配置される。ミラーベース22は、両面テープ又は接着剤によってフロントウインドウパネル2の車内側面に結合されている。ミラーベース22は、フロントウインドウパネル2から下方に延びた後、屈曲して後方に延びている。ミラーベース22の後端には、ルームミラー21が設けられている。
【0031】
ベース6において、導光溝17の左右方向における中央部を形成する部分は、着脱可能な付加部品24によって形成されてもよい。付加部品24は、ベース6に弾性爪等によって着脱可能に取り付けられているとよい。ベース6がフロントウインドウパネル2に結合された状態において、付加部品24はベース6に対して着脱可能になっている。付加部品24をベース6から取り外すことによって、導光溝17の内部やフロントウインドウパネル2の車内側面を清掃することが可能になる。また、付加部品24は、前端部において左右に延びる軸線を中心として回動可能に結合され、後端部において着脱可能にベース6に係止されてもよい。
【0032】
図2に示すように、ベース6の後面の上部には、電子機器5を着脱可能に係止するためのデバイス係止部26が設けられている。デバイス係止部26は、複数の弾性爪や係止凹部41によって形成されている。本実施形態では、デバイス係止部26は、電子機器5の前端部を係止する左右一対の係止凹部41と電子機器5の後端を係止する弾性爪とを有する。デバイス係止部26によって、電子機器5はベース6の後面に装着される。電子機器5がカメラである場合、電子機器5がベース6の後面に装着された状態において、カメラのレンズは透孔16と対応する位置に配置される。電子機器5がレーダやライダである場合、発信部及び受信部が透孔16と対応する位置に配置されるとよい。
【0033】
図1図2及び図7に示すように、ブラケット11は、ルーフパネル及びルーフライニング3Bの少なくとも一方に結合されているとよい。本実施形態では、ブラケット11は、ルーフライニング3Bに設けられている。ブラケット11は、ルーフライニング3Bと一体に形成されてもよい。ブラケット11は、左右に延びる前辺部11Aと、前辺部11Aの左右の両端から後方に延びる左右の側辺部11Bと、左右に延び、左右の側辺部11Bの後端のそれぞれに結合した後辺部11Cとを有し、四角形の枠形に形成されている。ブラケット11は、ルーフライニング3Bを上下に貫通する取付孔28の縁部に設けられている。ブラケット11の内側には、ルーフコンソール29が配置される。ルーフコンソール29は、ファスナ等の締結部材29Aによってルーフパネルに締結されるとよい。ルーフコンソール29は、室内灯又はディスプレイ等であってよい。
【0034】
図1図2及び図4に示すように、第1カバー9は、板状に形成されたカバー本体部31と、カバー本体部31の左右の側縁のそれぞれに設けられた左右一対のカバー側壁部32とを有する。第1カバー9がベース6及びブラケット11に装着された状態において、カバー本体部31はベース6の下方を前後に延びている。左右のカバー側壁部32はカバー本体部31から上方に延びている。各カバー側壁部32の上縁は、後方に向けて上方に傾斜し、フロントウインドウパネル2の車内側面に沿って延びている。カバー本体部31には複数の通気孔33が形成されている。
【0035】
図2に示すように、第1係合部7は、ベース6及び第1カバー9の一方に設けられた係止凹部41と、ベース6及び第1カバー9の他方に設けられ、係止凹部41に挿入される係止片42とを有する。本実施形態では、ベース6に左右一対の係止凹部41が設けられ、第1カバー9に一対の係止片42が設けられている。
【0036】
図2及び図3に示すように、ベース6の後面の下端部には、下方に向けて突出する左右一対の支持壁44が設けられている。左右一対の支持壁44は、左右方向において互いに対向している。左右一対の係止凹部41は、左右において対応する支持壁44に設けられている。一対の支持壁44は、ベース6の下面においてミラー装着孔18の左方及び右方に配置されている。各係止凹部41は、各支持壁44の後縁から前方に向けて凹み、かつ左右方向に貫通している。
【0037】
係止凹部41は、第1方向において互いに対向する第1壁部41A及び第2壁部41Bを有すると共に、第1方向と直交する第2方向に向けて開口している。本実施形態では、第1方向は上下方向に対応し、かつ第2方向は前後方向に対応する。第1壁部41Aは係止凹部41の上壁を構成し、第2壁部41Bは係止凹部41の下壁を構成する。
【0038】
一対の係止片42は、対応する係止凹部41によって、上下方向(第1方向)への移動、及び前後方向(第2方向)における前側への移動が規制される一方、左右方向及び後方への移動が許容されている。
【0039】
図4及び図5に示すように、第1カバー9の前縁の左右方向における中央には、後方に向けて凹む凹部51が形成されている。凹部51は、第1カバー9の厚み方向(上下方向)に貫通している。凹部51はミラー装着孔18の下方に配置されている。一対の係止片42は、第1カバー9の前縁において凹部51の左右外方に設けられている。
【0040】
各係止片42は、第1壁部41A及び第2壁部41Bの一方に当接する第1部分42Aと、第1部分42Aから突出すると共に第1壁部41A及び第2壁部41Bの他方に当接し、第1部分42Aよりも高い可撓性を有する第2部分42Bとを有する。本実施形態では、第1部分42Aが第2壁部41Bに当接し、第2部分42Bが第1壁部41Aに当接する。
【0041】
図4図6に示すように、各第1部分42Aは、第1壁部41Aと対向する第1面42C及び第2壁部41Bと対向する第2面42Dを有する平板状の基部42Eと、基部42Eを第1面42Cから第2面42Dに貫通する貫通孔42Fとを有する。各基部42Eは、第1カバー9の前縁前方に延びている。また、各第1部分42Aは、基部42Eの先端縁に沿って延び、基部42Eの厚みよりも厚い厚肉部42Gを有する。各厚肉部42Gは、基部42Eの左右方向に延びている。厚肉部42Gは第1壁部41A及び第2壁部41Bの一方に当接する。厚肉部42Gは、例えば円柱形に形成されているとよい。厚肉部42Gによって、係止片42の剛性が向上する。
【0042】
第2部分42Bは、貫通孔42Fを画定する孔壁面42Hから突出している。孔壁面42Hの一部は厚肉部42Gによって形成され、第2部分42Bは厚肉部42Gから延びていてもよい。第2部分42Bと厚肉部42Gとの接続部は、滑らかな曲面に形成されているとよい。条本実施形態では、孔壁面42Hの前部は、厚肉部42Gの後面によって形成されている。
【0043】
係止片42が係止凹部41に挿入された状態において、第2部分42Bは、第1方向である前後方向に対して傾斜し、かつ係止凹部41の開口端側に延びている。本実施形態では、第2部分42Bは、孔壁面42Hの前部から後方かつ上方に延び、第1面42Cよりも上方に突出している。これにより、第2部分42Bの変位範囲を大きくすることができ、第2部分42Bが第1壁部41Aに一層確実に当接することができる。また、係止片42を係止凹部41に挿入するときに第2部分42Bが係止凹部41の縁部に引っ掛かることを避けることができる。また、第2部分42Bの損傷を抑制することができる。
【0044】
第2部分42Bの厚みは、基部42Eの厚みよりも小さい。これにより、第2部分42Bは基部42Eよりも高い可撓性を有する。第2部分42Bは、板ばねを構成する。第2部分42Bは、孔壁面42Hの第2面42D側に結合され、第1面42Cを越えて貫通孔42Fの外方に突出している。すなわち、第2部分42Bと孔壁面42Hとの結合部は、基部42Eの厚み方向における中央よりも第2面42D側にオフセットしている。
【0045】
第2部分42Bは、貫通孔42Fから突出した中間部に、貫通孔42F側に屈曲する屈曲部42Jを有する。第2部分42Bは、屈曲部42Jにおいて直角に屈曲している。第2部分42Bは屈曲部42Jにおいて第1壁部41Aに当接する。これにより、第2部分42Bが第1壁部41Aに対して滑らかに摺動することができ、使用者は係止片42を係止凹部41に円滑に挿入することができる。
【0046】
上方から見て第2部分42Bの後端は、貫通孔42Fと重なる位置に配置されている。これにより、第2部分42Bが基部42E側に押されたときに、第2部分42Bの後端が貫通孔42F内に進入し、第2部分42Bと基部42Eとが干渉することを避けることができる。
【0047】
各係止片42を対応する係止凹部41に挿入すると、第2部分42Bが第1壁部41Aに押されて弾性変形すると共に、第2部分42Bの復元力によって第1部分42Aの厚肉部42Gが第2壁部41Bに当接する。これにより、各係止片42は対応する係止凹部41に対してがた付きなく係止される。
【0048】
各係止片42と対応する係止凹部41との間には緩衝材47が介装されてもよい。緩衝材47は、例えば不織布やウレタンシート等によって形成されているとよい。緩衝材47は、係止片42の表面に接着されていてもよい。
【0049】
図3に示すように、各支持壁44の左右内方には、左右の前側付勢部53が設けられている。各前側付勢部53は、ベース6の後面から下方に突出した壁部53Aと、壁部53Aの後縁から前方かつ左右外方に延びる第1弾性片53Bとを有する。各第1弾性片53Bは、左右において対応する係止片42に左右内方から当接し、係止片42を左右外方に向けて付勢する。
【0050】
図2及び図7に示すように、第2係合部8は、第1カバー9の後端部をブラケット11の前端部に結合する。第2係合部8は、ブラケット11の前辺部11Aから前方に突出した左右一対の板状の支持部55と、支持部55を上下方向(第1方向)に貫通した支持孔56を有する。各支持孔56は、左右方向に延びた長方形に形成されている。
【0051】
第1カバー9の後縁は、ベース6の上縁より後方に配置され、かつブラケット11の前辺部11Aより後方に配置されている。すなわち、第1カバー9の後部は、ブラケット11の前辺部11Aの下方に配置されている。図2図4、及び図8に示すように、第2係合部8は、カバー本体部31の上面から上方に突出した突片部58と、突片部58に装着された弾性爪59とを有する。
【0052】
突片部58は、左右一対の側壁部58Aと、一対の側壁部58Aを連結する連結壁部58Bとを有する。各側壁部58Aは、面が左右方向を向き、前後方向に延びている。連結壁部58Bは、面が前後方向を向き、左右方向に延びている。平面視において、突片部58はH形に形成されている。弾性爪59は、上方から連結壁部58Bに被せられ、連結壁部58Bに係止されている。弾性爪59は、連結壁部58Bの上端から前面側に延びる前側片59Aと、連結壁部58Bの上端から後面側に延びる後側片59Bとを有するとよい。弾性爪59の前側片59A及び後側片59Bは、連結壁部58Bに係止され、上下方向への移動が規制されている。弾性爪59の前側片59A及び後側片59Bは、弾性変形することによって連結壁部58Bに対して前後方向に移動可能になっている。前側片59Aの中間部は左右の側壁部58Aの前縁よりも前方に突出し、後側片59Bは左右の側壁部58Aの後縁よりも後方に突出している。
【0053】
左右一対の突片部58及び弾性爪59は、左右において対応する支持孔56に挿入される。一対の側壁部58Aの前縁及び後縁は、支持孔56の前縁部及び後縁部に当接している。これにより、一対の突片部58は、対応する支持孔56によって、前後方向への移動が規制されている。また、各弾性爪59が対応する支持孔56の上縁に係止されることによって、各突片部58は支持孔56に対して上下方向への移動が規制されている。各突片部58の左右幅は、対応する支持孔56の左右幅よりも小さく形成されている。これにより、各突片部58は対応する支持孔56に対して左右方向に移動可能となっている。
【0054】
一対の突片部58の少なくとも一方は、一対の側壁部58Aに付勢部材58Cを有し、他方の側壁部58Aにリブ58Dを有する。付勢部材58Cは、側壁部58Aから左右側方に延び、支持孔56の左又は右の側縁部に当接している。付勢部材58Cは、ばね片であり、左右方向に弾性変形することができる。付勢部材58Cによって、リブ58Dは支持孔56に当接している。これにより、突片部58の一方は、対応する支持孔56に対して左右方向にがた付きなく固定される。
【0055】
図2及び図8に示すように、第1カバー9の前部には、第2カバー71が装着される。第2カバー71は、互いに結合する左側ピース71Aと右側ピース71Bとを有する。左側ピース71A及び右側ピース71Bのそれぞれは、第1カバー9の下面の前端部に設けられた結合片72に結合する。第2カバー71は、第1カバー9の前端部から下方に膨出している。第2カバー71は、第1カバー9の凹部51及びベース6の前端部を覆う。第2カバー71の後部には、ミラーベース22が通過するための貫通孔71Cが形成されている。第2カバー71の前部には、車室内の空気を第2カバー内に取り入れるための換気孔71Dが形成されている。
【0056】
次に、第1カバー9のベース6及びブラケット11への取付方法について説明する。最初に、作業者は、第1カバー9の各係止片42を対応する係止凹部41に後方から挿入する。このとき、左右の前側付勢部53が対応する係止片42を左右外方に押圧する。これにより、第1カバー9が、ベース6に対して左右方向において概ねセンタリングされる。
【0057】
各係止片42が各係止凹部41に挿入された状態で、第1カバー9は、各係止片42の厚肉部42Gを中心として、所定の範囲で回動することができ、第1カバー9の後端が上下に移動することができる。次に、作業者は、第1カバー9の後端を上方に移動させ、一対の突片部58を対応する支持孔56に挿入する。これにより、各弾性爪59が支持孔56の孔縁に係止される。これにより、第1カバー9がベース6及びブラケット11に取り付けられる。その後、第2カバー71の左側ピース71A及び右側ピース71Bが第1カバー9に取り付けられる。
【0058】
以上の実施形態によれば、各係止片42の第1部分42Aが対応する係止凹部41の第2壁部41Bに当接し、かつ第2部分42Bが第1壁部41Aに当接する。そのため、上下方向に係止片42が係止凹部41にがた付き無く係止される。すなわち、機器取付構造1において、がた付きを抑制することができる。
【0059】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第2部分42Bは、屈曲部42Jを有さずに、直線状に延びていてもよい。また、他の実施形態では、第1部分42Aが第1壁部41Aに当接し、第2部分42Bが第2壁部41Bに当接してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 :機器取付構造
2 :フロントウインドウパネル
3 :ルーフ
5 :電子機器
6 :ベース
7 :第1係合部
8 :第2係合部
9 :第1カバー
11 :ブラケット
41 :係止凹部
41A :第1壁部
41B :第2壁部
42 :係止片
42A :第1部分
42B :第2部分
42C :第1面
42D :第2面
42E :基部
42F :貫通孔
42G :厚肉部
42H :孔壁面
42J :屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9