(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】硬貨取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20241119BHJP
G07D 11/14 20190101ALI20241119BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D11/14
(21)【出願番号】P 2021208771
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海谷 拓実
(72)【発明者】
【氏名】神田 信一
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004518(JP,A)
【文献】特開2011-197763(JP,A)
【文献】特開2012-256260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置から引き出し可能に設けられ、硬貨を処理する硬貨ユニットと、
前記自装置から引き出し可能に、前記硬貨ユニットより下に設けられ、前記硬貨ユニットより排出された硬貨を収納する硬貨収納部と、
前記硬貨ユニットと前記硬貨収納部との間を仕切り、前記硬貨ユニットより排出された硬貨を通過させる開口部が形成された仕切り板と、
前記開口部に配置され、前記硬貨ユニットより排出された硬貨の落下経路を覆う第1の筒部を有する第1のガイド部材と、
前記第1の筒部の内壁面に対して外壁面を接触させ、前記第1の筒部の筒長方向にスライド可能な第2の筒部を有する第2のガイド部材と、
前記第2の筒部を前記第1の筒部の筒長方向に押し上げる弾性部材と、
を有することを特徴とする硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記弾性部材が前記第2のガイド部材を前記第1の筒部の前記筒長方向に一定長押し上げたときに、前記第1の筒部の内壁面と、前記第2の筒部の外壁面とにおいて、互いに嵌合して前記第2の筒部のスライドを規制する少なくとも一対の嵌合部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記第1のガイド部材は、前記開口部に対して前記第1の筒部の筒長方向に当該第1の筒部がスライド可能に配置される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記第1のガイド部材および前記第2のガイド部材において、前記硬貨ユニットおよび前記硬貨収納部の引き出し方向における外壁面に斜面が形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬貨取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、硬貨取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨を取り扱う入金機において、入金した硬貨は、上部の硬貨ユニットで計数され、最終的に下部の硬貨収納部に収納される。この入金機における硬貨ユニットと硬貨収納部は、硬貨のジャム処理や部品交換などのメンテナンス作業のために、入金機から引き出せる構造となっている。このような引き出し構造とするため、入金機における硬貨ユニットと、硬貨収納部との間には、引き出す際に干渉しないように隙間が設けられている。
【0003】
硬貨ユニットと、硬貨収納部との間にこのような隙間を設ける場合、上部の硬貨ユニットで計数後の硬貨を下部の硬貨収納部に収納する際に、硬貨漏れを起こすことがある。
【0004】
図13は、従来の入金機における硬貨漏れを説明する説明図である。
図13に示すように、従来の入金機200においては、仕切り板230で仕切られた上部に硬貨ユニット210が配置され、下部に硬貨収納部220が配置される。仕切り板230は、入金された硬貨300を計数する硬貨ユニット210と、硬貨ユニット210で計数した硬貨300を搬送する搬送部212とを有する。
【0005】
搬送部212により搬送された硬貨300は、最終的に硬貨ユニット210の下部より排出され、仕切り板230に設けられた開口部231を通過して硬貨収納部220に落下する。そして、開口部231を通過して落下してきた硬貨300は、硬貨収納部220の上部の開口部より硬貨収納部220の内部に収納される。
【0006】
この仕切り板230と硬貨ユニット210、硬貨収納部220の間には、引き出す際に干渉しないように隙間が設けられている。このため、硬貨300を硬貨ユニット210より硬貨収納部220に収納する際に、この隙間から硬貨300が漏れ出す場合がある。
【0007】
このような隙間を埋めるため、硬貨ユニット210と、硬貨収納部220との間に硬貨ガイドを設ける従来技術が知られている。
図14は、従来の入金機200における硬貨ガイドを説明する説明図である。
図14に示すように、硬貨ガイド240は、仕切り板230の開口部231の形状に合わせた筒状部を有し、開口部231に設置される構成である。硬貨ガイド240は、このように開口部231に設置されることで筒状部が隙間を覆い、硬貨300が漏れ出すことを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来技術では、筒状部が固定長となることから、製品上の部品バラツキや組立バラツキにより生じる想定外の隙間に対応することが困難であるという問題がある。
【0010】
図15は、従来の入金機における硬貨ガイドの隙間を説明する説明図である。具体的には、
図15は、従来の入金機200における仕切り板230の開口部231部分の断面を例示している。
【0011】
図15に示すように、硬貨ガイド240と硬貨ユニット210との間には、部品バラツキや組立バラツキにより隙間250が生じる場合がある。このような隙間250が生じると、従来の硬貨ガイド240では対応できず、硬貨300を硬貨ユニット210より硬貨収納部220に収納する際に、隙間250から硬貨300が漏れ出す場合がある。
【0012】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、硬貨ユニットと硬貨収納部との間で硬貨が漏れ出すことを抑止できる硬貨取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の開示する硬貨取扱装置の一態様は、自装置から引き出し可能に設けられ、硬貨を処理する硬貨ユニットと、自装置から引き出し可能に、硬貨ユニットより下に設けられ、硬貨ユニットより排出された硬貨を収納する硬貨収納部と、硬貨ユニットと硬貨収納部との間を仕切り、硬貨ユニットより排出された硬貨を通過させる開口部が形成された仕切り板と、開口部に配置され、硬貨ユニットより排出された硬貨の落下経路を覆う第1の筒部を有する第1のガイド部材と、第1の筒部の内壁面に対して外壁面を接触させ、第1の筒部の筒長方向にスライド可能な第2の筒部を有する第2のガイド部材と、第2の筒部を第1の筒部の筒長方向に押し上げる弾性部材と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本願の開示する硬貨取扱装置の一態様によれば、硬貨ユニットと硬貨収納部との間で硬貨が漏れ出すことを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる入金機を正面側から示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる入金機から硬貨ユニットが引き出された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる入金機から硬貨収納部が引き出された状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる入金機における硬貨ユニットと硬貨収納部の間の仕切り板を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる入金機における硬貨ガイドを説明する説明図である。
【
図6】
図6は、下ガイドの外観を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、上ガイドの外観を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、下ガイドと上ガイドとの組み合わせを説明する説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる入金機における硬貨ガイドをA-A’でカットした場合の斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる入金機における硬貨ガイドのB-B’断面図である。
【
図11】
図11は、硬貨ガイドにおける上ガイドの押し上げを例示する説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる入金機における硬貨ガイド内の硬貨の通過例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、従来の入金機における硬貨漏れを説明する説明図である。
【
図14】
図14は、従来の入金機における硬貨ガイドを説明する説明図である。
【
図15】
図15は、従来の入金機における硬貨ガイドの隙間を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる硬貨取扱装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する硬貨取扱装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0017】
図1は、実施形態にかかる入金機を正面側から示す斜視図である。
図2は、実施形態にかかる入金機から硬貨ユニットが引き出された状態を示す斜視図である。
図3は、実施形態にかかる入金機から硬貨収納部が引き出された状態を示す斜視図である。
【0018】
図1において、入金機1の幅方向をX方向とし、入金機1の奥行方向をY方向とし、入金機1の高さ方向をZ方向として示す。
図1以降においても、
図1と同様にX方向、Y方向及びZ方向をそれぞれ示す。
【0019】
図1に示すように、実施形態にかかる入金機1は、硬貨取扱装置の一例であり、例えば、コンビニエンスストア等の店舗内で従業員(以下、利用者と称する。)が売上金等を入金するために用いる業務用の入金機である。入金機1は、硬貨ユニット3と、紙幣ユニット4と、硬貨収納部5と、紙幣収納部6と、表示部7と、プリンタ部8とを備える。
【0020】
硬貨ユニット3は、入金された硬貨の鑑別、計数等の処理を行う。紙幣ユニット4は、入金された紙幣の鑑別、計数等の処理を行う。硬貨収納部5は、硬貨ユニット3で処理された硬貨が収容される。紙幣収納部6は、紙幣ユニット4で処理された紙幣が収容される。表示部7は、入金情報等を含む各種情報を表示するディスプレイである。プリンタ部8は、入金情報等を印字する。また、入金機1の下部は、例えば、端末機器等が収容される物品庫9や、各種の備品が保管される保管庫10を備える。
【0021】
硬貨ユニット3は、硬貨が入金される硬貨入金口3aと、鑑別不能な硬貨等を返却する硬貨排出口3bと、を有する。また、硬貨ユニット3の正面側には、硬貨ユニット3を正面側に引き出す際に用いる操作部14が設けられている。操作部14は、硬貨ユニット3に関するロック機構を解除する操作レバー部材14aを有する。利用者は、この操作レバー部材14aを操作することで、硬貨ユニット3のロック機構を解除し、硬貨ユニット3を正面側に引き出すことができる。
【0022】
図2に示すように、硬貨ユニット3は、ユニットホルダ部材12によって支持されており、ユニットホルダ部材12がスライド機構13によってスライド可能に支持されている。したがって、硬貨ユニット3は、スライド機構13によってユニットホルダ部材12と共に、入金機1の内部から外部へ引き出されるように構成されている。また、スライド機構13は、硬貨ユニット3を奥行方向(Y方向)に沿って移動可能に支持する複数のスライドレール部材13aを有する。
【0023】
図1に示すように、紙幣ユニット4は、紙幣が入金される紙幣入金口4aと、釣銭の紙幣や鑑別不能な紙幣等を返却する紙幣排出口4bと、を有する。入金機1の正面側には、硬貨収納部5および紙幣収納部6を開閉するための収納部扉20が設けられている。収納部扉20は、ヒンジ21により支持されており、このヒンジ21を軸にして入金機1の正面側に開閉可能となっている。収納部扉20の正面側には、収納部扉20の開閉に用いる操作部24が設けられている。操作部24は、収納部扉20に関するロック機構を解除する操作レバー部材24aを有する。利用者は、この操作レバー部材24aを操作することで、収納部扉20のロック機構を解除し、収納部扉20を入金機1の正面側に開くことができる。
【0024】
図3に示すように、硬貨収納部5は、硬貨が収容される硬貨収容体としての硬貨カセット50と、この硬貨カセット50を硬貨ユニット3の下に収納された状態から引き出し可能に支持するスライド機構23とを有する。硬貨カセット50の上面には、硬貨ユニット3の下に硬貨カセット50を配置した状態において硬貨ユニット3より硬貨が排出される位置に開口部50aが設けられている。これにより、硬貨ユニット3より排出された硬貨は、開口部50aを介して硬貨カセット50の内部に収容される。
【0025】
また、スライド機構23は、硬貨収納部5を奥行方向(Y方向)に沿って移動可能に支持する複数のスライドレール部材23aを有する。したがって、硬貨収納部5は、入金機1の内部において硬貨ユニット3の下に収納された状態から、外部へ引き出されるように構成されている。
【0026】
図4は、実施形態にかかる入金機1における硬貨ユニット3と硬貨収納部5の間の仕切り板を説明する説明図である。具体的には、
図4は、入金機1の内部における硬貨ユニット3より硬貨が排出される位置を、硬貨ユニット3を取り外した状態で斜め上から俯瞰している図である。
【0027】
図4に示すように、入金機1の内部には、硬貨ユニット3と硬貨収納部5との間を仕切る仕切り板60が設置されている。この仕切り板60の硬貨ユニット3より硬貨が排出される位置には、排出された硬貨の落下経路となる開口部60aが形成されている。このため、硬貨ユニット3の下部より排出された硬貨は、開口部60aを落下(通過)して開口部50aより硬貨カセット50の内部に収容される。
【0028】
図5は、実施形態にかかる入金機1における硬貨ガイドを説明する説明図である。
図5に示すように、硬貨ユニット3の下部より排出された硬貨が硬貨カセット50の内部に収容されるまでの落下経路となる仕切り板60の開口部60aには、その落下経路における隙間を覆うようにして形成された硬貨ガイド100が嵌め込まれる。この硬貨ガイド100により、硬貨は落下経路から漏れずに硬貨カセット50の内部に収容される。
【0029】
具体的には、硬貨ガイド100は、硬貨ユニット3より排出された硬貨の落下経路を覆う筒部を有する下ガイド110を開口部60aに嵌め込む。そして、硬貨ガイド100は、その下ガイド110の筒部の内壁面に対して外壁面を接触させ、下ガイド110の筒部の筒長方向(Z方向)にスライド可能な筒部を有する上ガイド120を下ガイド110に嵌め込む。ここで、下ガイド110と上ガイド120との間には、上ガイド120を筒長方向に押し上げる弾性部材が取り付けられる。この下ガイド110および上ガイド120が、ガイド部材の一例である。
【0030】
これにより、硬貨ガイド100は、例えば、硬貨ユニット3と、硬貨ガイド100との鉛直方向(Z方向)における間に部品バラツキや組立バラツキなどにより想定外の隙間が生じる場合であっても、上ガイド120の筒部が押し上がることで、その隙間を無くすことができる。
【0031】
図6は、下ガイド110の外観を示す斜視図である。
図6に示すように、下ガイド110は、硬貨ユニット3より排出された硬貨の落下経路を覆う筒部112を有し、この筒部112の上側(Z方向)の端部にはフランジとなる板部111が形成されている。下ガイド110は、筒部112を仕切り板60の開口部60aに嵌め込んだ際に、板部111が開口部60aの縁に掛かることで係止される。
【0032】
筒部112は、開口部60aの形状に合わせた直方体状であり、壁部112a、112b、112c、112dにより形成される。硬貨ユニット3および硬貨収納部5の引き出し方向(奥行き方向であるY方向)における壁部112a、112cは、上ガイド120の爪部124a、124c(
図7参照)と嵌合する凹部114a、114cを有する。この下ガイド110における凹部114a、114cと、上ガイド120における爪部124a、124cとは、嵌合部材の一例である。なお、本実施形態では嵌合部材を2対としているが、嵌合部材は少なくとも一対あればよく、その設置位置や数などは適宜変更してもよい。
【0033】
また、壁部112a、112cの外壁面には、斜面115a(
図9参照)、斜面115cが形成されている。また、幅方向であるX方向における壁部112b、112dには、弾性部材130(
図8参照)が差し込まれる溝部113が形成されている。
【0034】
図7は、上ガイド120の外観を示す斜視図である。
図7に示すように、上ガイド120は、下ガイド110の筒部112の内壁面に対して外壁面を接触させ、下ガイド110の筒部112の筒長方向(Z方向)にスライド可能な筒部122を有する。この筒部122の上側(Z方向)の端部にはフランジとなる板部121が形成されている。上ガイド120は、筒部122を下ガイド110の筒部112に嵌め込んだ際に、板部121が下ガイド110の板部111に掛かることで係止される。また、硬貨ユニット3および硬貨収納部5の引き出し方向(奥行き方向であるY方向)における板部121の外壁面には、斜面123cが形成されている。
【0035】
筒部122は、下ガイド110の壁部112aの形状に合わせた直方体状であり、壁部122a、122b、122c、122dにより形成される。壁部122a、122cは、前述した下ガイド110の凹部114a、114cと嵌合する爪部124a、爪部124cを有する。
【0036】
図8は、下ガイドと上ガイドとの組み合わせを説明する説明図である。具体的には、
図8左側は硬貨ガイド100の分解斜視図であり、
図8右側は下ガイド110と、上ガイド120と、弾性部材130とを組み合わせた硬貨ガイド100の斜視図である。
【0037】
図8に示すように、弾性部材130は、例えばステンレス鋼線などによるU字状の部材である。弾性部材130は、上ガイド120における板部121の底面にU字の端部が固定される。そして、上ガイド120を下ガイド110に組み合わせる際には、弾性部材130のU字部分が溝部113に差し込まれる。
【0038】
図9は、実施形態にかかる入金機1における硬貨ガイド100をA-A’でカットした場合の斜視図である。
図9に示すように、上ガイド120を下ガイド110に組み合わせた場合、弾性部材130におけるU字部分の底部は溝部113の底部113aと接触し、U字形状が変形する。弾性部材130は、この変形を元に戻そうとする復元力により、上ガイド120を上向き(Z方向(筒長方向))に押し上げる。
【0039】
図10は、実施形態にかかる入金機1における硬貨ガイド100のB-B’断面図である。
図10に示すように、硬貨ガイド100では、弾性部材130が上ガイド120を押し上げることで、硬貨ユニット3と、硬貨ガイド100との鉛直方向(Z方向)における間に隙間があったとしても、その隙間を無くすことができる。
【0040】
また、硬貨ガイド100では、弾性部材130が上ガイド120を一定長押し上げたところで、下ガイド110における凹部114a、114cと、上ガイド120における爪部124a、124cとが嵌合し、押し上げが停止される。これにより、硬貨ガイド100では、上ガイド120が鉛直方向(Z方向)に飛び出すことを抑止できる。
【0041】
また、硬貨収納部5の引き出し方向(Y方向)における壁部112a、112cの外壁面には、斜面115a、斜面115cが形成されている。このため、例えば、硬貨収納部5の引き出し操作時において斜面115a、斜面115cに硬貨収納部5が接触する場合は、下ガイド110が押し上がることから、硬貨収納部5が下ガイド110に引っかかることを抑止できる。
【0042】
また、硬貨ユニット3の引き出し方向(Y方向)における上ガイド120の外壁面には、斜面123cが形成されている。このため、例えば、硬貨ユニット3の引き出し操作時において斜面123cに硬貨収納部5が接触する場合は、上ガイド120が押し下がることから、硬貨ユニット3が上ガイド120に引っかかることを抑止できる。
【0043】
図11は、硬貨ガイド100における上ガイド120の押し上げを例示する説明図である。
図11に示すように、硬貨ガイド100では、製品上の部品バラツキや組立バラツキなどにより想定外の隙間が生じる場合であっても、上ガイド120が押し上がることでその隙間を無くすことができる。
【0044】
図12は、実施形態にかかる入金機1における硬貨ガイド100内の硬貨の通過例を示す説明図である。
図12に示すように、実施形態にかかる入金機1においては、仕切り板60で仕切られた上部に硬貨ユニット3が配置され、下部に硬貨収納部5が配置される。硬貨ユニット3は、入金された硬貨2を計数する計数部30と、計数部30で計数した硬貨2を搬送する搬送部31とを有する。
【0045】
搬送部31により搬送された硬貨2は、最終的に硬貨ユニット3の下部より排出され、下ガイド110に上ガイド120を組み合わせた硬貨ガイド100を介して硬貨収納部5の内部に落下する。このとき、製品上の部品バラツキや組立バラツキなどにより想定外の隙間が生じる場合であっても、上ガイド120が押し上がることでその隙間がなくなることから、硬貨2は、落下経路から漏れることなく、硬貨収納部5の内部に収納されることとなる。
【0046】
以上のように、入金機1は、自装置から引き出し可能に設けられ、硬貨2を処理する硬貨ユニット3を有する。また、入金機1は、自装置から引き出し可能に、硬貨2より下に設けられ、硬貨2より排出された硬貨2を収納する硬貨収納部5を有する。また、入金機1は、硬貨ユニット3と硬貨収納部5との間を仕切り、硬貨ユニット3より排出された硬貨2を通過させる開口部60aが形成された仕切り板60を有する。また、入金機1は、開口部60aに配置され、硬貨ユニット3より排出された硬貨2の落下経路を覆う筒部112を有する下ガイド110を有する。また、入金機1は、筒部112の内壁面に対して外壁面を接触させ、筒部112の筒長方向にスライド可能な筒部122を有する上ガイド120を有する。また、入金機1は、筒部122を筒部112の筒長方向に押し上げる弾性部材130を有する。
【0047】
これにより、入金機1では、硬貨ユニット3より排出された硬貨2の落下経路において、製品上の部品バラツキや組立バラツキなどにより想定外の隙間が生じる場合であっても、筒部122が押し上がることでその隙間を無くすことができる。したがって、入金機1は、硬貨ユニット3と硬貨収納部5との間で硬貨2が漏れ出すことを抑止できる。
【0048】
また、入金機1では、筒部112の内壁面と、筒部122の外壁面とにおいて、互いに嵌合して筒部122のスライドを規制する少なくとも一対の嵌合部材(凹部114a、114cおよび爪部124a、124c)を有する。
【0049】
これにより、入金機1では、弾性部材130による上ガイド120の押し上げによって、上ガイド120が下ガイド110より外に飛び出してしまうことを抑止できる。特に、硬貨ユニット3を入金機1より引き出した状態では、上ガイド120の上部が硬貨ユニット3より離れて露出することとなるが、このような場合であっても上ガイド120が飛び出してしまうことを抑止できる。
【0050】
また、下ガイド110は、仕切り板60の開口部60aに対して筒部112の筒長方向に筒部112がスライド可能に配置される。これにより、入金機1では、硬貨収納部5と下ガイド110との間に隙間が生じる場合であっても、下ガイド110が押し下がるようにスライドすることで、その隙間を無くすことができる。
【0051】
また、下ガイド110および上ガイド120において、硬貨ユニット3および硬貨収納部5の引き出し方向(Y方向)における外壁面に斜面(斜面115a、115c、123c)が形成される。これにより、硬貨ガイド100は、硬貨ユニット3および硬貨収納部5の引き出し操作時において、下ガイド110および上ガイド120の引っかかりを抑止できる。
【0052】
本開示における貨幣には、硬貨、紙幣が含まれるが、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券等の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置に適用されてもよい。また、硬貨としては、例えば、遊技機のメダル、コイン等を含む。したがって、本開示の硬貨取扱装置は、例えば、遊技機のメダル取扱装置に適用されてもよい。
【0053】
また、下ガイド110および上ガイド120における筒部112、122の形状は、直方体状としているが、開口部60aの形状(例えば三角柱または円柱状)に合わせたものに適宜変更してもよい。また、弾性部材130の素材は、ステンレス鋼線に限定するものではなく、ゴム材などの復元力(弾性力)を有するものであれば、いずれであってもよい。また、弾性部材130の形状も適宜変更してもよく、例えば、筒部112、122の形状が円柱形状である場合は、その形状に合わせたコイルばねを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…入金機
2…硬貨
3…硬貨ユニット
3a…硬貨入金口
3b…硬貨排出口
4…紙幣ユニット
4a…紙幣入金口
4b…紙幣排出口
5…硬貨収納部
6…紙幣収納部
7…表示部
8…プリンタ部
9…物品庫
10…保管庫
12…ユニットホルダ部材
13、23…スライド機構
13a、23a…スライドレール部材
14、24…操作部
14a、24a…操作レバー部材
20…収納部扉
21…ヒンジ
30…計数部
31…搬送部
50…硬貨カセット
50a…開口部
60…仕切り板
60a…開口部
100…硬貨ガイド
110…下ガイド
111、121…板部
112、122…筒部
112a~112d、122a~122d…壁部
113…溝部
113a…底部
114a、114c…凹部
115a、115c、123c…斜面
120…上ガイド
124a、124c…爪部
130…弾性部材