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▶ ザ ルブリゾル コーポレイションの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】自動車または産業用歯車を潤滑する方法
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20241119BHJP
   C10M 137/10 20060101ALI20241119BHJP
   C10M 137/08 20060101ALI20241119BHJP
   C10M 135/36 20060101ALI20241119BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20241119BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20241119BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20241119BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20241119BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M137/10 B
C10M137/08
C10M137/10 A
C10M135/36
C10N10:04
C10N40:04
C10N30:06
C10N30:00 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021525585
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019060013
(87)【国際公開番号】W WO2020101969
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】62/758,729
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591131338
【氏名又は名称】ザ ルブリゾル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】バートン, ウィリアム アール.エス.
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00686690(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/079016(WO,A1)
【文献】特表平11-514403(JP,A)
【文献】特表2010-508422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、
a.潤滑粘度の油と、
b.0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物であって、アミンアルキルピロホスフェートであって、前記アルキル基が3~12個の炭素原子を含むアミンアルキルピロホスフェート、式(R’O) PSSHのアミンアルキルチオホスフェートであって、R’は、独立して、3~12個の炭素原子のヒドロカルビル基であるアミンアルキルチオホスフェート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物と、
c.0.2~0.8重量%の金属アルキルチオホスフェートと、を含み、
前記潤滑剤が、2~5重量%の総硫黄レベルを含む、潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記アミンアルキル(チオ)ホスフェートが、アミンホスフェートを含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記アミンホスフェートが、実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、ここで、リン原子の少なくとも30モルパーセントが、アルキルピロホスフェート塩構造中にあり、アルキル基の少なくとも80モルパーセントが、3~12個の炭素原子の第二級アルキル基であり、前記実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩が、2.5重量%未満の硫黄レベルを含む、請求項2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記アミンホスフェートが、実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、ここで、リン原子の少なくとも30モルパーセントが、アルキルピロホスフェート塩構造中にあり、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェートにおけるアルキル基の少なくとも25モルパーセントが、3~12個の炭素原子の第一級アルキル基であり、前記実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩が、2.5重量%未満の硫黄レベルを含む、請求項2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記アミンが、2-エチルヘキシルアミンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記アミンが、N-ヒドロカルビル置換γ-またはδ-アミノ(チオ)エステルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記アミンホスフェートが、0.5~2.0重量パーセントで存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
前記アミンアルキルチオホスフェートのアルキルチオホスフェートが、ジアルキルジチオホスフェートを含む、請求項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
前記アミンが、C~C20のアルキルアミンを含む、請求項またはに記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
前記アミンアルキルチオホスフェートが、0.5~2.0重量パーセントで存在する、請求項7~9に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
前記金属アルキルチオホスフェートが、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む、請求項11に記載の潤滑剤組成物。
【請求項13】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキルが3~6個の炭素原子を含む、請求項12に記載の潤滑剤。
【請求項14】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、0.02~0.095重量%の亜鉛を前記潤滑剤組成物に提供する、請求項11または12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
6重量%未満の有機硫化物をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
前記有機硫化物が、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールを含む、請求項15に記載の潤滑剤。
【請求項17】
高負荷および低速の条件での歯車の動作温度を改善する方法であって、潤滑剤組成物で前記歯車を潤滑することであって、前記潤滑剤組成物が、
a.潤滑粘度の油と、
b.0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物であって、アミンアルキルピロホスフェートであって、前記アルキル基が3~12個の炭素原子を含むアミンアルキルピロホスフェート、式(R’O) PSSHのアミンアルキルチオホスフェートであって、R’は、独立して、3~12個の炭素原子のヒドロカルビル基であるアミンアルキルチオホスフェート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物と、
c.0.2~0.8重量%の金属アルキルチオホスフェートと、を含み、前記潤滑剤が、2~5重量%の総硫黄レベルを含む、潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。
【請求項18】
使用済み歯車の動作効率を改善する方法であって、潤滑剤組成物で前記歯車を潤滑することであって、前記潤滑剤組成物が、
a.潤滑粘度の油と、
b.0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物であって、アミンアルキルピロホスフェートであって、前記アルキル基が3~12個の炭素原子を含むアミンアルキルピロホスフェート、式(R’O) PSSHのアミンアルキルチオホスフェートであって、R’は、独立して、3~12個の炭素原子のヒドロカルビル基であるアミンアルキルチオホスフェート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物と、
c.0.2~0.8重量%の金属アルキルチオホスフェートと、を含み、前記潤滑剤が、2~5重量%の総硫黄レベルを含む、潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
開示された技術は、自動車または産業用歯車、および車軸およびベアリング用の潤滑剤組成物(潤滑剤組成物は、潤滑粘度の油、ホスフェートおよび/またはチオホスフェート化合物、ならびにジアルキルジチオリン酸亜鉛などの金属チオホスフェート化合物を含有する)、ならびに、そのような自動車用または産業用歯車を潤滑剤組成物で潤滑することにより、自動車用または産業用歯車の動作効率および温度を改善する方法に関する。
【0002】
駆動系の動力伝達装置(歯車または変速機など)は、耐久性と清浄度を提供しながら、複数の、しばしば相反する潤滑要件を満たすための非常に困難な技術的問題と解決策を提示する。
【0003】
動作効率を改善することは、相手先ブランド製造業者および潤滑油製造業者の両方が共有する共通の目標である。相手先ブランド製造業者は、動作効率を改善するために、機械的処理方法を使用して表面粗さを低減することに焦点を合わせ得る。これらの機械的処理方法としては、ホーニング、トップポリッシング、および振動仕上げが挙げられる。あるいは、潤滑油製造業者は、動作効率を最適化するために、多くの場合、粘度を最適化することと、流体トラクション係数を低下させることとを目標とする。現在の機械的処理方法は、大規模な自動車用歯車の生産に実装するには、費用と時間がかかる可能性がある。したがって、この目標を達成するために機械的プロセスに依存するのではなく、流体特性を修正することによって動作効率を改善したいという要望がある。
【0004】
2019年6月11日にDouglassらに付与されたUS10,316,712は、エネルギー効率を最大化するために添加剤で製造された物品の粗さを低減するための様々な添加剤の使用を教示している。’712特許のデータは、多くの異なる添加剤が表面粗さを低減するように機能できること、そして実際、添加されていない潤滑油でさえ表面粗さを低減できることを示唆している。’712特許は、例えば、ASTM D7452、ASTM D6121、ASTM D4172、またはASTM D5704で必要な性能を提供するなど、潤滑油に任意の他の利点を提供する方法を教示していない。
したがって、表面粗さを低減し、流体トラクション係数を低減し、および/または流体効率を改善することができる潤滑剤溶液は、技術的および商業的に有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第10,316,712号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
歯車油の使用に一般的ではない金属アルキルチオホスフェート化学とのアミンアルキル(チオ)ホスフェート化学の使用は、表面粗さを低減し、トラクション係数を改善し、結果として効率を改善し、動作温度を低減するのに有益であることが分かった。
【0007】
技術の一態様は、潤滑粘度の油と、0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物と、0.1~2重量%、または0.2~1.9重量%、または0.3~1重量%の金属アルキルチオホスフェートと、を含む潤滑剤組成物を対象とする。
【0008】
実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、単にアミンアルキルホスフェートであり得る。他の実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンアルキルチオホスフェートであり得る。さらなる実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンホスフェートおよびアミンアルキルチオホスフェートの両方の組み合わせを含み得る。
【0009】
一実施形態では、潤滑剤は、アルキルピロホスフェート塩構造中に少なくとも約30モルパーセントのリン原子を有する実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩であるアミンホスフェートを含むことができる。いくつかの実施形態において、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェート中のアルキル基の少なくとも約80モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第二級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェート中のアルキル基の少なくとも約25モルパーセントは、約3~約12個の炭素原子の第一級アルキル基であり得る。
【0010】
実施形態において、アミンアルキルチオホスフェートは、ジアルキルジチオホスフェートであり得る。
【0011】
潤滑剤組成物中の金属アルキルチオホスフェートは、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含むことができる。いくつかの実施形態において、ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、二次ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり得る。
【0012】
潤滑剤組成物はまた、他の添加剤を含むことができる。一実施形態では、潤滑剤組成物は、約1~約5または約2~約5重量%の総硫黄レベルを組成物に提供する量の硫黄含有添加剤を含むことができる。一実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.01~約0.5重量%の総リンレベルを有することができる。
【0013】
技術の別の態様は、説明したようにドライブライン装置に潤滑剤組成物を供給することと、ドライブライン装置を動作させることとによって、ドライブライン装置を潤滑する方法を包含する。ドライブライン装置は、例えば、車軸、ベアリング、変速機、または歯車であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な好ましい特徴および実施形態が、非限定的な例示として以下に説明される。本発明の一態様は、(a)潤滑粘度の油と、(b)少なくとも1つのアミンアルキル(チオ)ホスフェートと、(b)金属アルキルチオホスフェートと、を含むドライブライン装置用の潤滑剤組成物である。
【0015】
潤滑粘度の油
開示された技術の1つの成分は、潤滑粘度の油であり、基油とも称される。基油は、米国石油協会(API)基油互換性ガイドライン(2011)のグループI~Vの基油のいずれかから選択されてもよく、すなわち、以下の通りである。
基油カテゴリー 硫黄(%)飽和度(%)粘度指数
グループI>0.03および/または<90 80~120未満
グループII≦0.03および≧90 80~120未満
グループIII≦0.03および≧90>120
グループIV すべてのポリαオレフィン(PAO)
グループV グループI、II、III、またはIVに含まれないその他のすべて
【0016】
グループI、II、およびIIIは、鉱油ベースストックである。APIによって公式に識別されていない場合でも、他の一般的に認識されている基油のカテゴリーが使用されてもよい。グループII+は、110~119の粘度指数および他のグループIIの油より低い揮発度を有するグループIIの材料を指し、グループIII+は、130以上の粘度指数を有するグループIIIの材料を指す。潤滑粘度の油には、天然または合成油およびそれらの混合物が含まれ得る。鉱油と合成油、例えばポリαオレフィン油および/またはポリエステル油の混合物が使用されてもよい。
【0017】
一実施形態では、潤滑粘度の油は、1.5~7.5、または2~7、または2.5~6.5、または3~6mm/秒の、ASTM D445による100℃における動粘度を有する。一実施形態では、潤滑粘度の油は、1.5~7.5、または他の前述の範囲のいずれかの、ASTM D445による100℃における動粘度を有するポリαオレフィンを含む。
【0018】
アミンアルキル(チオ)ホスフェート
開示された技術の潤滑剤は、少なくとも1つのアミンアルキル(チオ)ホスフェートを含むことになる。本明細書で使用される場合、括弧内に「チオ」を含むことは、ホスフェートが硫黄原子を含有する場合も含有しない場合もあることを意味する。
【0019】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンホスフェート、すなわち、実質的に硫黄を含まないホスフェートを含むことができる。実質的に硫黄を含まないということは、硫黄がアミンホスフェートに意図的に添加されておらず、好ましくは、アミンホスフェートが完全に硫黄を含まないことを意味する。ただし、生産状況では、硫黄汚染が発生し得、結果としてアミンホスフェートにいくらか硫黄が含まれ得ることが認識されている。アミンホスフェートがいくらかの硫黄汚染を含む限り、硫黄がアミンホスフェートの基本特性に影響を及ぼさなければ、そのような汚染された化合物は、依然として実質的に硫黄を含まないと見なされることになる。一般に、硫黄汚染レベルは、実質的に硫黄を含まないと見なされるために、2.5重量%、または1重量%、0.1重量%、または0.01重量%未満であり得る。
【0020】
一実施形態では、アミンホスフェートは、オルトホスフェート(またはモノマーホスフェート)構造とは対照的に、アルキルピロホスフェート構造に少なくとも30モルパーセントのリン原子を含み得る。ピロホスフェート構造中のリン原子のパーセンテージは、30~100モル%、または40~90%または50~80%または55~70%または55~65%であってもよい。リン原子の残りの量は、オルトホスフェート構造であってもよく、または部分的に未反応のリン酸もしくは他のリン種からなってもよい。一実施形態において、リン原子の最大60または最大50モルパーセントが、モノ-またはジ-アルキル-オルトホスフェート塩構造である。
【0021】
一実施形態では、ピロホスフェートの形態で存在するようなアミンホスフェートは、式(I)の半中和塩および/または式(II)のような完全に中和された塩によって部分的に表され得る。
【化1】
【0022】
アミンホスフェートの実際の中和の程度、すなわち、リンエステルの-OH基の塩析の程度は、50%~100%、または80%~99%、または90%~98%、または93%~97%、または約95%であり得る。これらの材料の変形はまた、式(I)または式(II)の変形などで存在し得、式(I)中の-OH基は、別の-OR基で置き換えられるか、または1つまたは複数の-OR基は、-OH基で置き換えられるか、またはR基は、リン含有基(すなわち、末端R基の代わりに、第3リン構造を含むものである)で置き換えられる。例示的な変形構造には、以下が挙げられる場合がある。
【化2】
【0023】
式(I)および(II)の構造は、リン原子が硫黄原子ではなく酸素に結合しているという点で、完全に硫黄を含まない種として示されている。しかしながら、O原子の小さなモル分率は、0~5パーセント、または0.1~4パーセント、または0.2~3パーセント、または0.5~2パーセント等のS原子によって置き換えられ得る可能性がある。
【0024】
ピロホスフェートは、一般的な構造のオルトホスフェートと区別され得る。
【化3】

これは、任意選択的に、上記の量でも存在し得る。
【0025】
アミンホスフェートはまた、オルトホスフェート構造のモノエステルおよびジエステルならびにピロホスフェート構造のジエステルを含むいくらかの量の部分エステルを含み得る。
【0026】
式(I)および(II)において、各Rは、独立して、3~12個の炭素原子のアルキル基である。アルキル基は、一級基または二級基、あるいは一級基および二級基の両方の混合物であり得る。特定の実施形態において、Rアルキル基の少なくとも80モルパーセント、または少なくとも85、90、95、または99パーセントは、第二級アルキル基となる。特定の実施形態では、Rアルキル基の少なくとも25モルパーセント、または少なくとも30、40、50、60、70、80または90、またはさらに99モルパーセントは、第一級アルキル基となる。
【0027】
いくつかの実施形態において、アルキル基は、3または4~12個の炭素原子、または3~8個、または4~6個、または5~10個、または6~8個の炭素原子を有することになる。アルキル基は、直鎖、分岐、環状、または芳香族であり得る。そのような基としては、2-ブチル、2-ペンチル、3-ペンチル、3-メチル-2-ブチル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、4-メチル-2-ペンチル、および他のそのような二級基およびそれらの異性体(6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する)、ならびに、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、3-メチルブチル、2-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェネチル、および他のそのような一級基およびその異性体(3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、基のα-位置にメチル分岐を有することになり、その一例は、4-メチル-2-ペンチル(4-メチルペンタ-2-イルとも呼ばれる)基である。
【0028】
アルキル(チオ)ホスフェートはまた、アミンアルキルチオホスフェートであり得、ここで、アルキルチオホスフェートは、式(R’O)PSSHによって表され、式中、各R’は、独立して、約3~約30個、好ましくは約3~約18個、または約3~約12個、または約8個までの炭素原子を含有するヒドロカルビル基である。R’基の例は、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、様々なアミル、n-ヘキシル、メチルイソブチルカルビニル、ヘプチル、2-エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ベヘニル、デシル、ドデシル、およびトリデシル基を含む。例示的な低級アルキルフェニルR’基は、ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘプチルフェニル等を含む。R’基の混合物の例は、1-ブチルおよび1-オクチル;1-ペンチルおよび2-エチル-1-ヘキシル;イソブチルおよびn-ヘキシル;イソブチルおよびイソアミル;2-プロピルおよび2-メチル-4-ペンチル;イソプロピルおよびsec-ブチル;ならびにイソプロピルおよびイソオクチルを含む。
【0029】
一実施形態において、アミンアルキルチオホスフェートのアルキルチオホスフェートを、エポキシド、またはグリセロール等の多価アルコールと反応させ得る。この反応生成物は、単独で使用されてもよく、またはさらにリン含有酸、無水物、または低級エステルと反応されてもよい。エポキシドは、一般に脂肪族エポキシドまたはスチレンオキシドである。有用なエポキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、スチレンオキシド等を含む。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが好ましい。多価アルコールは、上に記載されている。グリコールは、2~約12個、または約2~約6個、または2個もしくは3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールであり得る。グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール等を含む。アルキルチオホスフェート、グリコール、エポキシド、無機リン試薬、およびそれらを反応させる方法は、米国特許第3,197,405号および同第3,544,465号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
アミン成分-アミンアルキル(チオ)ホスフェートのアミン成分はR NHで表され得、式中、各Rは、独立して、水素またはヒドロカルビル基またはエステル含有基、またはエーテル含有基であるが、ただし、少なくとも1つのR基は、ヒドロカルビル基またはエステル含有基またはエーテル含有基である(すなわち、NHではない)。好適なヒドロカルビルアミンとしては、1~18個の炭素原子または3~12個もしくは4~10個の炭素原子を有する第一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンおよびその異性体、ペンチルアミンおよびその異性体、ヘキシルアミンおよびその異性体、ヘプチルアミンおよびその異性体、オクチルアミンおよびその異性体(イソオクチルアミンおよび2-エチルヘキシルアミンなど)、ならびに高級アミンが挙げられる。他の第一級アミンとしては、ドデシルアミン、脂肪アミン(n-オクチルアミン、n-デシルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-オクタデシルアミン、およびオレイルアミンなど)が挙げられる。他の有用な脂肪アミンとしては、市販の脂肪アミン(「Armeen(登録商標)」アミン)(Akzo Chemicals,Chicago,Illから入手可能な製品)(Armeen(登録商標)C、Armeen(登録商標)O、Armeen(登録商標)OL、Armeen(登録商標)T、Armeen(登録商標)HT、Armeen(登録商標)S、およびArmeen(登録商標)SDなど)が挙げられ、ここで、文字の指定は、ココ、オレイル、タロー、またはステアリル基などの脂肪族に関する。
【0031】
使用され得る第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミン、ビス-2-エチルヘキシルアミン、N-メチル-1-アミノ-シクロヘキサン、Armeen(登録商標)2C、およびエチルアミルアミンが挙げられる。第二級アミンは、ピペリジン、ピペラジン、およびモルホリンなどの環状アミンであり得る。
【0032】
好適な第三級アミンとしては、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-デシルアミン、トリ-ラウリルアミン、トリ-ヘキサデシルアミン、およびジメチルオレイルアミン(Armeen(登録商標)DMOD)が挙げられる。トリイソデシルアミンまたはトリデシルアミンおよびそれらの異性体が使用され得る。
【0033】
アミンの混合物の例としては、(i)第三級アルキル一級基に11~14個の炭素原子を有するアミン、(ii)第三級アルキル一級基に14~18個の炭素原子を有するアミン、または(iii)第三級アルキル一級基に18~22個の炭素原子を有するアミンが挙げられる。第三級アルキル第一級アミンの他の例としては、tert-ブチルアミン、tert-ヘキシルアミン、tert-オクチルアミン(1,1-ジメチルヘキシルアミンなど)、tert-デシルアミン(1,1-ジメチルオクチルアミンなど)、tert-ドデシルアミン、tert-テトラデシルアミン、tert-ヘキサデシルアミン、tert-オクタデシルアミン、tert-テトラコサニルアミン、およびtert-オクタコサニルアミンが挙げられる。一実施形態において、アミンの有用な混合物としては、「Primene(登録商標)81R」および「Primene(登録商標)JMT」が挙げられ、Primene(登録商標)81RおよびPrimene(登録商標)JMT(両方ともRohm&Haas社によって製造および販売されている)は、それぞれ、C11~C14の第三級アルキル第一級アミンとC18~C22の第三級アルキル第一級アミンとの混合物であり得る。
【0034】
他の実施形態では、アミンは、N-ヒドロカルビル置換γ-またはδ-アミノ(チオ)エステルなどのエステル含有アミンであり得、したがって、第二級アミンである。エステル含有アミンは、例えば、典型的には分岐ヒドロカルビル基を有する第一級アミンの、エチレン性不飽和エステルまたはチオエステルとのマイケル付加によって、または、例えば、5-オキシ置換カルボン酸または5-オキシ置換チオカルボン酸のエステルの還元的アミノ化によって調製され得る。それらはまた、5-ハロゲン置換カルボン酸または5-ハロゲン置換チオカルボン酸のエステルのアミノ化によって、または2-アミノ置換ヘキサン二酸のエステルの還元的アミノ化によって、または2-アミノヘキサン二酸のエステルのアルキル化によって調製され得る。
【0035】
アミンは、どのタイプであっても、反応してリンエステル成分の酸性基(複数可)を中和し、アミンアルキル(チオ)ホスフェートを調製する。
【0036】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、式(I)または(II)のホスフェートアミン、またはその変形であり得、アミンは、2-エチルヘキシルアミンである。
【0037】
一実施形態では、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、式(I)または(II)のアミンホスフェート、またはその変形であり得、アミンは、N-ヒドロカルビル置換γ-またはδ-アミノ(チオ)エステルである。
【0038】
一実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、アミンアルキルチオホスフェートであり得、それは、C14~C18アルキル化ジチオリン酸と、C11~C14第三級アルキル第一級アミンの混合物であるPrimene 81R(商標)(Rohm&Haas社によって製造および販売されている)との反応生成物である。
【0039】
実施形態において、アミンアルキル(チオ)ホスフェートとしては、アミンホスフェートの組み合わせ、アミンアルキルチオホスフェートの組み合わせ、およびアミンホスフェートとアミンアルキルチオホスフェートとの組み合わせが挙げられる。
【0040】
潤滑剤組成物中の実質的に硫黄を含まないアミンアルキル(チオ)ホスフェートの量は、例えば、0.01~5重量パーセントであり得る。アミンアルキル(チオ)ホスフェートの代替量は、0.2~3パーセント、または0.2~1.2パーセント、または0.5~2.0パーセント、または0.55~1.4パーセント、または0.6~1.3パーセント、または0.7~1.2、または1~2、またはさらに1.5~2、または1.2~1.8重量パーセント、またはさらには1.8~2.2重量パーセントであり得る。この量は、リンを潤滑剤配合物に200~3000重量ppm、または400~2000ppm、または300~2000ppm、または600~1500ppm、または700~1100ppm、または900~1900ppm、または1100~1800ppm、または1200~1600ppm、または1500~2000ppmの量で提供するのに好適であり得る。
【0041】
アミンアルキル(チオ)ホスフェートは、典型的には、様々な個々の化学種の混合物を含むであろうことが当業者によって理解されるであろう。本明細書でのアミンアルキル(チオ)ホスフェートへの言及は、記載された合成によって調製され得るような化合物の混合物を包含することが当業者によって理解されるであろう。
【0042】
金属アルキルチオホスフェート化合物
潤滑剤組成物は、金属チオホスフェート化合物をさらに含むことになる。金属アルキルチオホスフェート化合物は、次の式で表すことができる。
【化4】

式中、R25およびR26は、独立して、水素、ヒドロカルビル基、またはそれらの混合物であり、ただし、R25およびR26のうちの少なくとも1つは、ヒドロカルビル基、好ましくはアルキルまたはシクロアルキル(1~30個、または2~20個、場合によっては2~15個の炭素原子を有する)である。特定の実施形態において、R25およびR26は、2~8個の炭素原子、またはさらに3~6個の炭素原子の第二級アルキル基、例えば、4-メチルペンタン-2-オールまたはイソプロパノールから誘導されたものであり得る。
【0043】
Mは金属であり、nはMの利用可能な原子価に等しい整数である。Mは一価または二価または三価、好ましくは二価、より好ましくは二価の遷移金属、最も好ましくは亜鉛である。
【0044】
金属チオホスフェートの例としては、イソプロピルメチルアミルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルイソオクチルジチオリン酸亜鉛、ジ(シクロヘキシル)ジチオリン酸亜鉛、イソブチル2-エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、イソプロピル2-エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、イソブチルイソアミルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルn-ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ(ヘキシル)ジチオリン酸カルシウム、ジ(ノニル)ジチオリン酸バリウム、ジ(イソブチル)ジチオリン酸亜鉛、イソプロピル二級ブチルジチオリン酸亜鉛、イソプロピルジチオリン酸亜鉛、イソプロピル4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸亜鉛、4-メチルペンタン-2-オールジチオリン酸亜鉛、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
金属チオホスフェートは、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、その調製に使用されるアルコールの構造に応じて、第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛または第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛として示され得る。いくつかの実施形態において、潤滑剤組成物は、第一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み得る。いくつかの実施形態において、潤滑剤組成物は、第二級ジアルキルチオリン酸亜鉛を含み得る。いくつかの実施形態において、潤滑剤組成物は、第一級および第二級ジアルキルチオリン酸亜鉛の混合物を含み得る。
【0046】
亜鉛などの金属アルキルチオホスフェートからの金属は、約0.02~約0.095重量%の亜鉛、または約0.025~0.085重量%、またはさらには約0.03~約0.075重量%の亜鉛の濃度で供給され得る。そのようなレベルは、約0.2~約0.8重量%、約0.25~0.75重量%、またはさらには約0.3~約0.70重量%の金属アルキルチオホスフェート濃度に関連し得る。
【0047】
亜鉛などの金属アルキルチオホスフェートからの金属は、約0.02~約0.2重量%の亜鉛、または約0.025~0.19重量%、またはさらには約0.03~約0.18重量%の亜鉛の濃度で供給され得る。そのようなレベルは、約0.2~約2重量%、または約0.25~1.9重量%、またはさらには約0.3~約1.8重量%の金属アルキルチオホスフェート濃度に関連し得る。
【0048】
実施形態では、金属アルキルチオホスフェートは、0.01または0.02~約0.095重量%のリン、または約0.025~0.085重量%、またはさらには約0.03~約0.075重量%のリンを提供することができる。
【0049】
実施形態では、金属アルキルチオホスフェートは、0.01または0.02~約0.2重量%のリン、または約0.025~0.19重量%、またはさらには約0.03~約0.18重量%のリンを提供することができる。
【0050】
他の添加剤
潤滑剤組成物はまた、例えば、硫化オレフィン、チアジアゾール、および後処理された分散剤などのチアジアゾール付加物などの多硫化物を含む有機硫化物などの他の硫黄含有化合物を含み得る。
【0051】
有機硫化物は、0重量%~6重量%、4重量%~6重量%、0.5重量%~3重量%、3重量%~5重量%、0重量%~1重量%、0.1重量%~0.5重量%、1%~3%、2%~3%、3%~4%、または2%~4%の範囲の潤滑剤組成物に存在し得る。
【0052】
あるいは、有機硫化物は多硫化物であり得る。一実施形態において、ポリスルフィド分子の少なくとも約50重量%は、トリスルフィドまたはテトラスルフィドの混合物である。他の実施形態において、ポリスルフィド分子の少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%は、トリスルフィドまたはテトラスルフィドの混合物である。ポリスルフィドは、油、脂肪酸、もしくはエステル、オレフィン、またはポリオレフィンからの硫化有機ポリスルフィドを含む。
【0053】
硫化され得る油には、天然または合成油、例えば、鉱油、ラード油、脂肪族アルコールおよび脂肪酸または脂肪族カルボン酸(例えば、オレイン酸ミリスチルおよびオレイン酸オレイル)から誘導されたカルボン酸エステル、ならびに合成不飽和エステルまたはグリセリドなどが含まれる。
【0054】
脂肪酸には、8~30個または12~24個の炭素原子を含有するものが含まれる。脂肪酸の例には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびトール油が含まれる。混合不飽和脂肪酸エステルから調製された硫化脂肪酸エステルは、例えば、トール油、亜麻仁油、大豆油、菜種油、および魚油を含む動物性脂肪および植物性油から得られる。
【0055】
多硫化物はまた、典型的には1つ以上の二重結合を有する、広範囲のアルケンから誘導されるオレフィンから誘導される。一実施形態において、オレフィンは、3~30個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、オレフィンは、3~16個または3~9個の炭素原子を含有する。一実施形態では、硫化オレフィンは、プロピレン、イソブチレン、ペンテン、またはそれらの混合物から誘導されたオレフィンを含む。一実施形態では、ポリスルフィドは、既知の技術による重合から誘導されたポリオレフィン、上述のオレフィン、を含む。一実施形態では、ポリスルフィドは、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化ジシクロペンタジエン、硫化テルペン、および硫化Diels-Alder付加物、リン硫化炭化水素を含む。
【0056】
チアジアゾールの例には、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、またはそのオリゴマー、ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、ヒドロカルビルチオ置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、またはそのオリゴマーが含まれる。ヒドロカルビル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールのオリゴマーは、通常、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール単位の間に硫黄-硫黄結合を形成して、チアジアゾール単位の2つ以上のオリゴマーを形成する。チアジアゾール化合物のさらなる例は、WO2008/094759、段落0088~0090に見出される。
【0057】
開示された技術は、一般に、金属表面の摩擦/トラクションおよび粗さをより実質的に低減する方法を提供する。この方法は、潤滑剤の存在下で金属表面を境界または混合潤滑条件下に置くこと、すなわち、本明細書に記載の潤滑剤組成物を金属表面に提供することを含む。「境界条件または混合条件」という用語は、装置の金属表面が別の表面に非常に近接しており、装置の動作中に金属表面の突起と他の表面の突起との間の物理的接触が可能である動作条件を意味する。したがって、「金属表面を境界または混合潤滑条件下に置くこと」とは、装置の金属表面が別の表面との境界または混合条件にさらされ、境界条件が存在するように装置が動作することを意味する。金属表面を境界条件下に置くことの一例としては、ドライブライン装置上での歯車の動作が挙げられ、歯車は非常に近接しているため、歯車表面のいくらかの物理的な接触が可能である。
【0058】
この技術はまた、歯車を潤滑剤組成物で潤滑することと、歯車を動作させることとにより、高負荷および低速の条件での歯車の動作温度を改善する方法を提供する。
【0059】
この技術はまた、歯車を潤滑剤組成物で潤滑することと、歯車を動作させることとによって、歯車の動作効率を改善する方法を提供する。特に、この技術は、歯車を潤滑剤組成物で潤滑することと、歯車を動作させることとによって、使用済み歯車の動作効率を改善する方法を提供する。「使用済み歯車」とは、意図された用途で動作している歯車を意味する。例えば、自動車の運転に使用される自動車用歯車は、使用済み歯車と見なされるであろう。または、その産業用途に使用される産業用歯車は、使用済み歯車と見なされるであろう。
【0060】
特に、開示された技術は、ドライブライン装置を潤滑する方法であって、本明細書に記載の潤滑剤組成物(すなわち、(a)潤滑粘度の油および(c)金属アルキルチオホスフェート(いくつかの例では、(a)潤滑粘度の油、(b)アミンアルキル(チオ)ホスフェート、および(c)金属アルキルチオホスフェート)を含有する潤滑剤組成物)をそれに供給することと、潤滑剤組成物が、典型的な歯車潤滑剤よりも大幅に制御された様式でドライブライン装置上の金属表面の摩擦/トラクションならびに粗さを低減することを可能にするのに十分な期間の間、ドライブライン装置を動作させることと、を含む、ドライブライン装置を潤滑する方法を提供する。この表面粗さの低減は、視覚的に観察するか、装置内の2つの金属表面間のトラクション係数の測定された低減、または潤滑剤組成物を使用した動作の前後のドライブライン装置での効率測定などの他の方法で推定できる。
【0061】
自動車用歯車は、車両の歯車ボックス(例えば、マニュアル変速機)、車軸またはディファレンシャル、または他のドライブイン動力伝達ドライブイン装置のような歯車を含み得る。ドライブライン装置はまた、ベアリングを含み得る。潤滑された歯車には、例えば後輪駆動車軸などのハイポイド歯車が含まれ得る。
【0062】
潤滑剤は、ドライブライン装置の通常の動作で、それの期待される他の態様を満たすことができる必要がある。
【0063】
本明細書で使用される場合、「縮合生成物」という用語は、縮合反応が実際に実行されて生成物を直接導くかどうかに関係なく、エステル、アミド、イミド、および酸または酸の反応性等価物(例えば、酸ハロゲン化物、無水物、もしくはエステル)と、アルコールまたはアミンとの縮合反応によって調製され得る他のそのような材料を包含することを意図する。したがって、例えば、特定のエステルは、直接縮合反応によってではなく、エステル交換反応によって調製され得る。その結果として生じる生成物は、依然として縮合生成物とみなされる。
【0064】
記載される各化学成分の量は、特に指示がない限り、市販の材料に通常存在し得るあらゆる溶媒または希釈油を除いて、つまり活性化学物質に基づいて示される。しかしながら、特に指示がない限り、本明細書で言及する各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードに存在すると通常理解される他のそのような材料を含有し得る、商業グレードの材料であると解釈されるべきである。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」という用語は、通常の意味で使用され、これは当業者に良く知られている。具体的には、それは、分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有し、主に炭化水素の性質を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には、
炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキル基またはアルケニル基)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、および芳香族、脂肪族、ならびに脂環式置換芳香族置換基、ならびに環が分子の別の部分を介して完結した環式置換基(例えば、2つの置換基が一緒に環を形成する)、
置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の文脈において、主に置換基の炭化水素の性質を変えない非炭化水基を含有する置換基(例えば、ハロ(特にクロロ基およびフルオロ基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、およびスルホキシ基)、
ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈において、主として炭化水素特性を有するが、別な方法では炭素原子から構成される環、または鎖に炭素以外を含有する置換基およびピリジル基、フリル基、チエニル基、およびイミダゾリル基のような置換基、が挙げられる。ヘテロ原子には、硫黄、酸素、窒素が含まれる。一般に、ヒドロカルビル基の10個の炭素原子ごとに2個以下、または1個以下の非炭化水素置換基が存在し得、代替的には、ヒドロカルビル基には非炭化水素置換基を有しないであろう。
【0066】
本明細書に記載の物質のいくつかは、最終的な製剤で相互作用し得ることが既知であるため、最終的な製剤の成分は最初に添加されるものと異なり得る。例えば、金属イオン(例えば、洗剤の)は他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に移動する可能性がある。それにより形成された、本発明の組成物をその意図する用途において使用して形成された生成物を含む生成物は、簡単に説明されない場合がある。それにもかかわらず、そのような修飾物および反応生成物は全て、本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記の成分を混合することにより調製される組成物を包含する。
【0067】
本明細書の本発明は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解され得る。
【実施例
【0068】
WAMボールオンディスク試験機でWedeven Associates社が開発および実施したベンチスクリーン試験手順で、3つの流体を評価した。市販の80W-90流体、および75W-85油として配合された2つの追加流体を評価した。試料1および2は、表1の製法に従って調製した。試験は、流体力学から境界までの潤滑膜の段階的な低減を可能にするために、速度プロファイルを変更して周囲条件下で完了した。単一の応力(160ksi)が速度の範囲にわたって維持された。トラクション係数は、7つのステージにわたって重複して各流体について測定された。
【表1】
【0069】
すべての試験は重複して実行され、2回の実行の平均が以下の表に報告されている。ステージ1~ステージ6への同伴速度の低減により、流体力学から境界までの潤滑レジームを取る。同伴速度が減少すると、油膜厚さが減少し、突起間干渉が増加し、トラクション係数がステージ6で最大まで増加する。ステージ7では、同伴速度が増加してステージ4と同じになる。これらの条件間のトラクションの相対的な違いは、混合接触および境界接触で動作することを目的としたステージ5と6との間に表面改質および粗さ低減が達成されたことを示す1つの指標である。粗さが減少した場合、ステージ4~7へのトラクション係数の減少が期待される。
【表2】
【0070】
粗さの測定は、接触ゾーンの内側および外側の両方で、実行ごとに3つの場所で行われた(各流体が2回実行されたため、合計6つの測定が記録された)。これらの測定値から、接触ゾーンの内側と接触ゾーンの外側の平均%変化を計算した。平均値は以下の表に報告される。最大の粗さの低減は、ZDDPを含有する試料2について記録された。
【表3】
【0071】
市販の試料の粘度グレードが試料1および2の粘度グレードと同じではなく、試料1と2との間で行われた複数の配合変更が存在するため、観察された結果の主な原因が何に起因する可能性があるのかを特定するのを補助するために追加の作業が行われた。試料3~6は、流体1と2との違いの一部を分離するのを補助し、リンエステルアミン塩の性質がトラクション係数に影響を与えるであろうかどうかを判定するために調製された。配合は、試料1および2と比較して単純化されており、すべての流体は5.9cStの目標動粘度を有するように配合された。
【表4】
【0072】
試料3~6は、試料1および2で概説した条件と同じ条件下で、WAMボールオンディスク試験機で評価された。試料1および2は、1サイクル後にのみ評価されたが、試料3~6は、7つのステージの手順を6回繰り返すことによって評価された。トラクション測定は各ステージで行われ、粗さ測定は、6つのサイクルすべてが完了した後、接触ゾーン内および接触ゾーンの外側の両方で行われた。トラクション測定値は、最初と最後のサイクルの両方について、7つのステージすべてにわたって下の表に記録されている。
【表5】
【0073】
所与のステージでのサイクル1のデータと、同じステージでのサイクル6のデータとの間で各流体を比較することもできる。これは、より多くのサイクルにわたって潤滑剤による粗さの減少が繰り返されることを説明している。表に報告されている%変化は、サイクル1と6との間のトラクション係数のこの変化を表しており、また、試料6が試料3~5よりも優れていることを示している。摩擦調整剤の添加は、試料4と比較して試料5のトラクション結果にほとんど影響を与えない。
【0074】
粗さの低減は、視覚的に観察でき、6サイクル後の粗さの変化として測定/報告できる。以下の表6は、試験の開始から終了までのボールおよびディスクの両方の粗さの変化を示している。表に報告されている結果は、ボールおよびディスク部分で行われた6回の測定の平均を表している。粗さの最大の減少は試料6で観察される。
【表6】
【0075】
試料7~10について、追加のトラクションデータが収集された。試料7および8は、試料8にS含有リン酸エステルアミン塩およびZDDPの両方を含有することを除いて同一である。試料9および10は互いに同一であるが、試料10は、Sを含まないリン酸エステルアミン塩およびZDDPの両方を含有する。これらの試料は、標準のミニトラクション機(MTM)を使用して分析された。1.0GPaの圧力の摩擦力が、140℃の温度で100mm/sの平均速度と250%のスライド対ロール比(SRR)で加えられた。
【表7】
【0076】
トラクション係数は経時的に記録された。データのサブセットは、以下の表に報告されている。なお、試験の初期において、すべての流体のトラクション係数は比較的類似しているが、より長期間にわたって結果が分岐し始める。ZDDPを含有する試料8および10は、時間の経過とともにトラクション係数が大幅に低減することを示しているが、試料7および9のトラクション係数は、試験全体を通じて比較的一定に保たれている。
【表8】
【0077】
油が受けた応力条件は、Wedeven試験とMTM試験で大きく異なるが、結果は同じであった。両方の条件のセットの下で、アミンホスフェートおよびZDDPの両方を含有する流体は、アミンホスフェートのみを含有する流体と比較して、時間の経過とともにより低いトラクション係数を示した。
【0078】
Wedevenでは、試料2の車軸効率は、使用済みの車軸(25000マイルのサービスを備えた中型車軸)で測定された。試験は、拡張された速度-負荷サイクルからなるコンディショニング期間の前後に定常状態を実行することを含んだ。定常状態の条件は、高速および低速のピニオン速度での1つの温度(80°C)と5つの負荷(ピニオントルク)からなっていた。歯車コンディショニング期間は2つのステージに分割された。第1ステージは79℃で行われ、第2ステージは93℃で行われた。各ステージは、11の異なるピニオン速度(約250~3000RPM)および7つの異なるピニオントルク(約50~200lb-ft)で実行された。潤滑剤が表面粗さをさらに低減できる場合、これらの拡張された速度および負荷条件により、すでに壊れた車軸の摩擦を低減することができる。拡張前のフェーズと拡張後のフェーズの比較が、以下の表に示される。最低負荷、高速条件を除くすべての条件で、拡張速度負荷手順後の動作効率に顕著な利点がある。この向上は、すでに効率的な動作環境で重要であり、現場での重要な使用にもかかわらず、潤滑剤は、コンディショニングフェーズで表面粗さをさらに低減することにより、効率をさらに改善させることができたことを示している。
【表9】
【0079】
以下の表は、試料2を使用した選択したリングおよびピニオンの歯の粗さ測定値を示しており、すでに使用されている車軸の歯の粗さの低減が達成されたことを確認している。効率データと組み合わせると、これは、高価な表面仕上げまたは根本的に低い流体粘度を必要とせずに、既存のハードウェアで効率の利点を達成できることを示している。
【表10】
【0080】
トルク損失測定における動作効率の利点に加えて、ZDDPを含有する歯車油液はまた、高負荷低速条件での動作温度を改善することができる。修正されたL-37試験は、試験フェーズの間に冷却水の代わりに制御された空気の流れで開発された。これにより、業界の試験で一般的な制御された様式で動作させるのではなく、動作時と同じように試験温度を変動させることが可能になった。
【0081】
この手順は、標準のL-37手順であるASTM D6121-16aに基づく2フェーズ試験でのL-37試験用に承認されたDana60ハードウェアで実行された。セットアップの逸脱は、補助的な試験フェーズの排水中にいくらかの油が失われることを可能にするように車軸を正確に3リットルに充填することと、試験中に動作がパージ、補充、および排水を実行することを可能にするように、修正された車軸カバーを使用することと、を含む。コンディショニングパラメータは、負荷、速度、温度制御を含む、ASTM D6121L-37仕様に準拠している。
【0082】
試験フェーズまたはフェーズ2は、D6121における規格の実施から修正される。スプレー水温度制御および温度設定値の代わりに、車軸サンプ温度の直接制御が削除され、車軸がオペレーターの安全遮断である190℃未満の任意の温度に浮遊することを可能にする。車軸は、直径15.24センチメートルのセンターハウジング上の入口ダクトを通って、車軸の上方に、およびエンクロージャーを介して、7.11メートル/秒で押し出される、制御された空気の一定の速度および軌道によって、過度の温度に到達するのを防ぐ。さらに、負荷は、D6121-16aセクションA9.4(1645Nm+-34Nm)で指定された13%の接触応力低減荷重設定値に設定され、非荷重低減車軸バッチを使用して、冷却水制御なしで温度制限を超えるリスクをさらに減少させるのを補助する。手順のこのフェーズの他のすべてのパラメータおよび規格は、ASTMD6121-16aの関連部分に準拠している。
【表11】
【0083】
以下の表12は、これらの評価の結果を示しており、歯車油液にZDDPを使用すると、結果として、修正されたL-37試験で動作温度が大幅に低下することを確認している。どちらの流体も、並外れた摩耗性能を示す。
【表12】
【0084】
上記で言及された文書の各々は、上記に具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、優先権が主張されるあらゆる先行出願を含んで参照により本明細書に組み込まれる。あらゆる文書への言及は、そのような文書が先行技術としての資格を有すること、またはあらゆる管轄の当業者の一般知識を構成することの承認ではない。実施例を除き、または明示的に示されている場合を除き、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを指定する本明細書におけるすべての数値は、任意選択的に「約」という単語によって修正されるものと理解される。本明細書に記載の量の上および下の量、範囲、および比率制限は、独立して組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、任意の他の要素の範囲または量とともに使用され得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「を特徴とする(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる」は、指定されていない任意の要素またはステップを除外し、「から本質的になる」は、考慮されている組成物または方法の本質的または基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の列挙されていない要素またはステップを含むことを許容する。「からなる」または「から本質的になる」という表現は、特許請求項の要素に適用される場合、特許請求項のどこにも「含む」が存在しないにもかかわらず、その要素によって表されるタイプのすべての種を制限することを意図する。
【0086】
主題の発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題の発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によりのみ制限されるものとする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
潤滑剤組成物であって、
a.潤滑粘度の油と、
b.0.5~2.0重量%のアミンアルキル(チオ)ホスフェート化合物と、
c.0.1~2重量%の金属アルキルチオホスフェートと、を含む、潤滑剤組成物。
(項目2)
前記アミンアルキル(チオ)ホスフェートが、アミンホスフェートを含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目3)
前記アミンホスフェートが、実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、ここで、リン原子の少なくとも約30モルパーセントが、アルキルピロホスフェート塩構造中にあり、アルキル基の少なくとも約80モルパーセントが、約3~約12個の炭素原子の第二級アルキル基である、項目2に記載の潤滑剤組成物。
(項目4)
前記アミンホスフェートが、実質的に硫黄を含まないアルキルホスフェートアミン塩を含み、ここで、リン原子の少なくとも約30モルパーセントが、アルキルピロホスフェート塩構造中にあり、そのような硫黄を含まないアルキルホスフェートにおけるアルキル基の少なくとも約25モルパーセントが、約3~約12個の炭素原子の第一級アルキル基であることができる、項目2に記載の潤滑剤組成物。
(項目5)
前記アミンが、2-エチルヘキシルアミンを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目6)
前記アミンが、N-ヒドロカルビル置換γ-またはδ-アミノ(チオ)エステルを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目7)
前記アミンホスフェートが、0.5~2.0重量パーセントで存在する、項目1~6のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目8)
前記アミンアルキル(チオ)ホスフェートが、アミンアルキルチオホスフェートを含む、項目1または2に記載の潤滑剤組成物。
(項目9)
前記アミンアルキルチオホスフェートのアルキルチオホスフェートが、ジアルキルジチオホスフェートを含む、項目8に記載の潤滑剤組成物。
(項目10)
前記アミンが、C ~C 20 のアルキルアミンを含む、項目8または9に記載の潤滑剤組成物。
(項目11)
前記アミンアルキルチオホスフェートが、0.5~2.0重量パーセントで存在する、項目8~10に記載の潤滑剤組成物。
(項目12)
前記金属アルキルチオホスフェートが、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目13)
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、第二級ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、項目12に記載の潤滑剤組成物。
(項目14)
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキルが3~6個の炭素原子を含む、項目13に記載の潤滑剤。
(項目15)
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が、0.02~0.2重量%の亜鉛を前記潤滑剤組成物に提供する、項目12または13に記載の潤滑剤組成物。
(項目16)
6重量%未満の有機硫化物をさらに含む、項目1~15のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目17)
前記有機硫化物が、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールを含む、項目17に記載の潤滑剤。
(項目18)
前記潤滑剤が、約2~約5重量%の総硫黄レベルを含む、項目1~17のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目19)
前記潤滑剤が、約0.01~約0.5重量%の総リンレベルを含む、項目1~18のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
(項目20)
金属表面の粗さを低減する方法であって、前記金属表面を境界潤滑条件下に置くことと、前記金属表面に項目1~19のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物を提供することと、を含む、方法。
(項目21)
前記金属表面が、車軸の表面を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記金属表面が、ベアリングの表面を含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記金属表面が、歯車の表面を含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
高負荷および低速の条件での歯車の動作温度を改善する方法であって、項目1~19に記載の潤滑剤組成物で前記歯車を潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。
(項目25)
使用済み歯車の動作効率を改善する方法であって、項目1~19に記載の潤滑剤組成物で前記歯車を潤滑することと、前記歯車を動作させることと、を含む、方法。